説明

車載用表示装置

【課題】 開口部から突出する表示パネルを低負荷で移動させることができ、表示パネルが突出姿勢のときに、開口部を開放する蓋体をがたつきにくいように安定させることができる車載用表示装置を提供する。
【解決手段】 駆動機構20に設けられた第1の可動部材21と第2の可動部材22が反時計方向へ回動して、表示パネル10が突出姿勢(iii)となる。第1の可動部材21が反時計方向へ回動すると、最初は蓋体駆動部材34が一緒にβ2方向へ回動し、その途中で連結カム機構による連結が解除されて、蓋体駆動部材34はばね48の力でβ2方向へ付勢され、蓋体30が開口部4を開放して開放姿勢(vi)に至る。第1の可動部材21と蓋体駆動部材34との連結が途中で解除されるため、表示パネル10を突出姿勢(iii)へ移動させるときに、ばね48の力が駆動機構20に対して負荷として作用することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内に設けられた開口部の内側に収納された表示パネルが、使用時に開口部から突出して、搭乗者が目視可能な突出姿勢となる車載用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1に、表示パネルユニットが、車両の内部に設けられた開口部から突出する構造の車載用表示装置が開示されている。
【0003】
この車載用表示装置は、筐体内に収納された表示パネルユニットを突出方向へ移動させる移動部材と、この移動部材を移動させるモータと、開口部を開閉するドア部材と、このドア部材を動作させる駆動ディスクとが設けられている。
【0004】
モータの動力で移動部材が前進方向へ駆動されると、その移動力によって表示パネルユニットが開口部に向けて前進させられるとともに、移動部材の移動力が駆動ディスクに伝達され、駆動ディスクの回動力によってドア部材が開口部を開放する開放位置へ移動させられる。ドア部材が開放されると駆動ディスクが停止して移動部材のみが前進し、その移動力によって表示パネルユニットが開口部から突出し、搭乗者が目視可能な突出姿勢となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−74303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された車載用表示装置では、駆動ディスクの回動力によってドア部材が開放位置に移動させられ後に、移動部材の移動力が駆動ディスクに伝達されなくなる。そのため、ドア部材が開放位置にて確実に停止できず、車体振動によってがたつき音を発生しやすくなる。
【0007】
上記がたつき音を低減するためには、ドア部材を開放位置に向けて付勢するばね部材を設けることが必要になる。しかし、このばね部材を設けると、表示パネルユニットを開口部の内側に収納して、ドア部材を閉鎖位置に移動させるときに、ばね部材の弾性力が常に駆動ディスクと移動部材に負荷を与えることになる。そのため、モータに作用する負荷が大きくなり、さらに、閉鎖位置に移動したドア部材がばね部材の付勢力によって開放方向へ動きやすくなる。
【0008】
本発明は上記課題を解決するものであり、蓋体が開放姿勢で安定できてがたつきを発生しにくくなり、この蓋体を閉鎖姿勢へ向けて移動させるときの駆動負荷も小さい車載用表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、表示パネルを車両に設定される開口部よりも内側に位置する収納姿勢と少なくとも一部が前記開口部から突出する突出姿勢との間で移動させる駆動機構と、前記開口部を閉鎖する閉鎖姿勢と前記開口部を開放させる開放姿勢との間で移動する蓋体を備えた車載用表示装置において、
前記表示パネルが収納姿勢ならびに突出姿勢に向けて移動するときに前記表示パネルと共に移動する可動部材と、前記蓋体を閉鎖姿勢と開放姿勢とへ移動させる蓋体駆動部材とを有し、
前記蓋体駆動部材は、前記蓋体を閉鎖姿勢とする閉鎖方向と開放姿勢とする開放姿勢とへ回動自在に設けられ、前記可動部材と前記蓋体駆動部材との間に、前記可動部材の移動力を前記蓋体駆動部材の回動力に変換する連結カム機構が設けられており、
前記表示パネルが収納姿勢のときに、前記可動部材と前記蓋体駆動部材とが前記連結カム機構を介して連結され前記蓋体駆動部材が閉鎖方向へ回動させられて、前記蓋体が閉鎖姿勢とされており、
前記表示パネルが突出姿勢に向けて移動するときに、前記連結カム機構による前記可動部材と前記蓋体駆動部材との連結が解除され、前記蓋体駆動部材がばねの力で開放位置へ回動させられて前記蓋体が開放姿勢に設定されることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の車載用表示装置は、表示パネルが突出姿勢へ移動するときに、蓋体駆動部材がばねの力で開放位置へ回動させられるため、開放姿勢の蓋体を開放方向に向けて付勢することができる。そのため、振動が与えられたときに開放姿勢の蓋体のがたつきを抑制できる。蓋体が開放姿勢のときに、可動部材と蓋体駆動部材との連結が解除されているため、表示パネルを突出姿勢から収納姿勢へ移動させるときの最初の過程で前記ばねの付勢力が移動の抵抗力として作用しない。よって、表示パネルを移動させる駆動機構に過大な負荷が作用することがない。
【0011】
本発明では、前記表示パネルが収納姿勢のときに、前記連結カム機構で前記蓋体駆動部材が拘束されて、閉鎖姿勢の前記蓋体のがたつきが規制される。また、前記表示パネルが収納姿勢のときに、前記ばねの力が前記蓋体駆動部材に作用していないことが好ましい。
【0012】
上記のように、表示パネルが収納姿勢のときに、蓋体駆動部材が連結カム機構で拘束されることで、蓋体を閉鎖姿勢で動くことなく安定させることができる。このとき、蓋体駆動部材にばねの力が作用しないようにしておくと、表示パネルを突出姿勢へ移動させるために駆動機構を始動するときの駆動負荷を軽減できる。
【0013】
本発明は、前記蓋体駆動部材に付勢カムが設けられており、前記連結カム機構による前記可動部材と前記蓋体駆動部材との連結が解除されると、前記ばねの付勢力が前記付勢カムに与えられて、前記蓋体駆動部材が開放位置へ回動させられるものとして構成できる。
【0014】
本発明は、前記可動部材は、前記駆動機構の一部を構成しているものであってもよいし、可動部材が駆動機構とは別途に設けられたものであってもよい。
【0015】
本発明は、前記可動部材が、一端が表示パネルを支持する支持体に回動自在に連結され、他端が回動自在に支持されており、前記可動部材の回動中心と、前記蓋体駆動部材の回動中心とが異なる位置に設定されているものである。
【0016】
可動部材と蓋体駆動部材の回動中心が異なる位置にあると、蓋体駆動部材が閉鎖位置に回動しているときに、連結カム機構を介して、可動部材で蓋体駆動部材を保持できるようになり、蓋体が閉鎖姿勢で安定しやすくなる。
【0017】
本発明は、前記駆動機構と、前記可動部材と、前記蓋体駆動部材を支持するシャーシが設けられ、前記開口部が前記シャーシに設けられている。
【0018】
または、前記駆動機構と、前記可動部材と、前記蓋体駆動部材がシャーシに支持され、開口部がシャーシとは別に設けられていてもよい。例えば、本発明の車載用表示装置は、開口部を有しないユニットとして構成され、このユニットが、開口部を有する車両のインストルメントパネルなどの内部に設置されてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車載用表示装置は、表示パネルが突出姿勢のときに、開放姿勢の蓋体が開放方向に向けてばねで付勢されているため、振動が与えられたときの蓋体のがたつきを抑制できる。また、蓋体が開放姿勢から閉鎖姿勢へ向けて移動するときに、最初の過程で前記ばねの付勢力が駆動機構に対して抵抗力として作用しないため、表示パネルを移動させる駆動機構に過大な負荷が作用することがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態の車載用表示装置を示すものであり、表示パネルが収納姿勢のときの断面図、
【図2】本発明の実施の形態の車載用表示装置を示すものであり、表示パネルが突出姿勢のときの断面図、
【図3】連結カム機構によって可動部材と蓋体駆動部材とが連結された状態を示す説明図、
【図4】蓋体駆動部材が開放方向へ向けて中間姿勢まで回動し、連結カム機構による可動部材と蓋体駆動部材の連結が解除された状態を示す説明図、
【図5】蓋体駆動部材が開放方向へ向けて回動し、蓋体が開放姿勢で安定した状態を示す説明図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1と図2に示す車載用表示装置1は、金属板で形成されたシャーシ2を有している。シャーシ2の上部に、合成樹脂材料で形成された化粧パネル3が設けられており、化粧パネル3に開口部4が形成されている。シャーシ2は、車両内のインストルメントパネルやダッシュボードなどの内装パネル5の内部に収納されて固定され、化粧パネル3の表面は内装パネル5の表面と連続面となるように設置される。
【0022】
車載用表示装置1に、表示パネル10が設けられている。表示パネル10は、パネル筐体11と、このパネル筐体11に保持された液晶表示装置などの表示装置12とを有している。図1と図2において、表示装置12の表示画面12aは右方向へ向けられている。表示パネル10は、図1において実線で示す収納姿勢(i)と、図2に示すように、その一部が開口部4から外部へ突出する突出姿勢(iii)との間で移動する。図1において破線で示すのは、表示パネル10が収納姿勢(i)から移動する途中の中間姿勢(ii)である。
【0023】
表示パネル10のパネル筐体11は、支持体13に固定されて支持されている。支持体13は金属板で形成されている。シャーシ2には、支持体13を収納姿勢(i)と突出姿勢(iii)との間で移動させる駆動機構20が設けられている。
【0024】
駆動機構20は、第1の可動部材21と第2の可動部材22を有している。第1の可動部材21は、基部が固定軸23を介してシャーシ2に回動自在に支持され、先部が移動軸24を介して支持体13に回動自在に連結されている。第2の可動部材22は、基部が固定軸25を介してシャーシ2に回動自在に支持され、先部が移動軸26を介して支持体13に回動自在に連結されている。
【0025】
駆動機構20には、第1の可動部材21と第2の可動部材22のいずれか一方を、図1に示す時計方向の回動終端から図2に示す反時計方向の回動終端までの間で回動させるモータおよび歯車列が設けられている。このモータの駆動力によって、移動軸24が固定軸23を中心とする円弧軌跡α1に沿って回動し、移動軸26が固定軸25を中心とする円弧軌跡α2に沿って回動して、表示パネル10が収納姿勢(i)と突出姿勢(iii)との間で移動する。
【0026】
図1と図2に示すように、車載用表示装置1に、蓋体30が設けられている。蓋体30は、化粧パネル3と同じ合成樹脂材料で形成されている。蓋体30には、ブラケット31が一体に設けられており、ブラケット31に案内軸32,33が設けられている。図1に示すように、シャーシ2には、左右に延びる案内溝6,7が形成されている。
【0027】
案内軸32が案内溝6を摺動し、案内軸33が案内溝7を摺動して、蓋体30が、図1に示す閉鎖姿勢(v)と、図2に示す開放姿勢(vi)との間で移動可能になる。閉鎖姿勢(v)の蓋体30は、化粧パネル3に内側から密着しまたは接近して、開口部4を閉鎖する。開放姿勢(vi)の蓋体30は、開口部4から外れ且つ化粧パネル3から離れている。
【0028】
図1に示すように、車載用表示装置1に蓋体駆動部材34が設けられている。蓋体駆動部材34は、中心軸35を介してシャーシ2に回動自在に支持されている。図1では図示を省略しているが、シャーシ2には、図の紙面と平行な第1の支持板が設けられている。第1の可動部材21を支持する固定軸23と第2の可動部材22を支持する固定軸25は、第1の支持板の紙面手前側に向く面に固定されている。シャーシ2には、第1の支持板よりも紙面の手前側に位置する第2の支持板が設けられ、第2の支持板の紙面奥側に向く面に前記中心軸35が固定されている。第1の可動部材21ならびに第2の可動部材22と、蓋体駆動部材34は紙面に直交する方向で互いに対向して設けられており、第1の可動部材21と第2の可動部材22が、図1に示す姿勢と図2に示す姿勢との間で回動する間に、可動部材21,22が中心軸35に当たることはない。
【0029】
蓋体駆動部材34の先部に駆動軸36が設けられ、駆動軸36と案内軸33との間が駆動リンク37で連結されている。図1に示すように蓋体駆動部材34が時計方向である閉鎖方向β1へ回動すると、駆動リンク37を介して蓋体30が右方向へ移動させられて閉鎖姿勢(v)となる。図2に示すように、蓋体駆動部材34が反時計方向である開放後方β2へ回動すると、蓋体30が開放姿勢(vi)に設定される。
【0030】
図3(A)と図3(B)の双方に蓋体駆動部材34が図示されている。図3(A)には、蓋体駆動部材34の紙面奥側に向く面に一体に設けられた連結カム溝41が現れており、図3(B)には、蓋体駆動部材34の紙面手前側に向く面に一体に設けられた付勢カム45が現れている。
【0031】
図3(A)に示すように、第1の可動部材21に連結部材である連結軸28が固定されており、蓋体駆動部材34に形成された連結カム溝41と連結軸28とで連結カム機構40が構成されている。連結カム溝41は、保持端41aと開放端41bを有している。連結カム溝41は、保持端41aが開放端41bよりも中心軸35に近くなるように湾曲して形成されている。そして、蓋体駆動部材34には、連結カム溝41の開放端41bを外部に開放する開放口42が形成されている。
【0032】
図3(B)に示すように、蓋体駆動部材34に設けられた付勢カム45は、凸部46を一体に有している。凸部46は押圧頂部46aと逃げ側部46bを有している。シャーシ2にばね48が設けられている。ばね48は板ばね材料で形成されており、固定片48aがシャーシ2に固定されている。固定片48aから弾性片48bが延びており、その先部に押圧片48cが折り曲げられて形成されている。
【0033】
次に、車載用表示装置1の動作を説明する。
図1では、第1の可動部材21と第2の可動部材22が時計方向へ回動させられた状態で、駆動機構20のモータが停止している。支持体13と表示パネル10は時計方向へ回動させられた位置で停止しており、表示パネル10が、化粧パネル3の内側に入り込んだ収納姿勢(i)で停止している。
【0034】
図1に示すように、表示パネル10が収納姿勢(i)であると、図3(A)に示すように、第1の可動部材21が時計方向(γ1方向)へ回動した位置で停止しており、第1の可動部材21に設けられた連結軸28が蓋体駆動部材34に形成された連結カム溝41の保持端41aの内部に保持されて、連結カム機構40が連結状態となっている。その結果、蓋体駆動部材34が閉鎖方向β1に回動させられて停止しており、図1に示すように、駆動リンク37で蓋体30が図示右方向へ移動させられて、蓋体30が閉鎖姿勢(v)となっている。
【0035】
図3に示す状態で駆動機構20のモータが停止していると、モータの負荷と歯車列の減速負荷とで第1の可動部材21が容易に動かないように停止している。第1の可動部材21の回動中心である固定軸23と、蓋体駆動部材34の回動中心である中心軸35とが、軸が重ならないように異なる位置に配置されており、図3に示すように、連結カム機構40が連結状態のときの、固定軸23から連結軸28までの距離R1と、中心軸35から連結軸28までの距離R2が相違している。したがって、第1の可動部材21が図3の姿勢で停止していると、連結カム機構40を介して連結されている蓋体駆動部材34も図3の状態で容易に動くことがなく停止している。そのため、蓋体30は図1に示す閉鎖姿勢(v)で安定している。
【0036】
図3(B)に示すように、蓋体30が閉鎖姿勢(v)のときに、ばね48の押圧片48cが、蓋体駆動部材34の付勢カム45の逃げ側部46bに隙間δを介して対向しており、付勢カム45にばね48の付勢力が作用していない。そのため、図3の状態から駆動機構20のモータを始動して、第1の可動部材21を反時計方向(γ2方向)へ始動するときの負荷を低減できる。
【0037】
ただし、図3の状態において、ばね48の押圧片48cで付勢カム45の凸部46が押圧され、蓋体駆動部材34に閉鎖方向(β1方向)への付勢力が作用しているものであってもよい。この場合、蓋体駆動部材34に作用する閉鎖方向(β1方向)の付勢力により、蓋体30が閉鎖姿勢(v)でさらに閉鎖方向へ押し付けられることになり、蓋体30が閉鎖姿勢(v)でさらに安定できるようになる。
【0038】
図1と図3に示すように、表示パネル10が収納姿勢(i)の状態から、表示パネル10を突出させる操作が行われると、駆動機構20のモータが移動し、その動力で第1の可動部材21と第2の可動部材22が反時計方向へ回動させられ、支持体13と表示パネル10が突出姿勢(iii)に向けて移動する。
【0039】
図3から図4の過程で示すように、第1の可動部材21が反時計方向であるγ2方向へ回動する間に、第1の可動部材21の連結軸28が蓋体駆動部材34の連結カム溝41の内部を摺動し、蓋体駆動部材34が開放方向であるβ2方向へ回動させられる。表示パネル10が図1に示す中間姿勢(ii)まで移動すると、図4(B)に示すように、ばね48の押圧片48cが蓋体駆動部材34に設けられた付勢カム45の凸部46の押圧頂部46aに乗り上がって、この時点でばね48から蓋体駆動部材34に対して開放方向であるβ2方向への付勢力が作用する。
【0040】
第1の可動部材21が図4(A)に示す位置まで回動すると、連結軸28が連結カム機構40の開放口42に至り、継続して第1の可動部材21がγ2方向へ回動すると、連結軸28が開放口42から抜け出て、連結カム機構40による第1の可動部材21と蓋体駆動部材34との連結が解除される。連結が解除されると、ばね48の付勢力によって蓋体駆動部材34が開放方向(β2方向)へ回動させられ、駆動リンク37を介して蓋体30が図示左方向へ引かれる。そして、図2に示すように、蓋体30が開放姿勢(vi)に至ると、蓋体駆動部材34が図5(B)に示す位置で停止する。蓋体駆動部材34は図5(B)に示す位置でばね48によってβ2方向へ付勢され続けている。したがって、蓋体30は開放姿勢(vi)で安定した状態で停止する。
【0041】
図5(A)に示すように、連結軸28が連結カム溝41から離れた後に、第1の可動部材21がγ2方向へ回動すると、図2に示すように、表示パネル10が開口部4から外部に突出する。その後、駆動機構20のモータが停止し、第1の可動部材21と第2の可動部材22が停止し、表示パネル10が突出姿勢(iii)で停止する。この状態で、車室内の搭乗者が表示画面12aに映り出された画像を見ることができる。
【0042】
表示パネル10を収納する操作が行われると、駆動機構20のモータが始動して第1の可動部材21と第2の可動部材22が時計方向へ回動し、支持体13と表示パネル10が収納方向へ向けて移動を開始する。
【0043】
表示パネル10が図1に示す中間姿勢(ii)まで収納されると、図4(A)に示すように、第1の可動部材21の連結軸28が連結カム溝41に入り込む。その後は、第1の可動部材21と蓋体駆動部材34が連結カム機構40を介して連結され、第1の可動部材21の時計方向(γ1方向)への回動力により、蓋体駆動部材34が閉鎖方向(β1方向)へ回動させられる。そして、表示パネル10が収納姿勢(i)になると、図3(A)に示す位置で蓋体駆動部材34が安定し、蓋体30が閉鎖姿勢(v)で安定する。
【0044】
表示パネル10が収納される過程では、図4に示すように第1の可動部材21と蓋体駆動部材34とが連結カム機構40で連結された後に、第1の可動部材21が時計方向(γ1方向)へわずかに回動すると、ばね48の押圧片48cによって付勢カム45が時計方向へ付勢されるように、ばね48の付勢方向が切り替えられる。よって、蓋体駆動部材34は図3に示す姿勢に向けてばね48の力で回動させられる。
【0045】
上記のように、第1の可動部材21が反時計方向(γ2方向)および時計方向(γ1方向)へ回動するときに、ばね48の力が第1の可動部材21に作用するのは、表示パネル10が収納姿勢(i)と中間姿勢(ii)との間を移動するわずかな区間だけである。中間姿勢(ii)と図2に示す突出姿勢(iii)の間では、第1の可動部材21と蓋体駆動部材34との連結が解除されるため、第1の可動部材21はばね48の負荷を受けることなく回動できる。そのため、駆動機構20の負荷を低減できる。
【0046】
駆動機構20の負荷を低減するためには、収納姿勢(i)と中間姿勢(ii)との間での表示パネル10の回動角度が、収納姿勢(i)から突出姿勢(iii)までの全回動角度の半分以下であることが好ましく、1/3以下であることがさらに好ましい。
【0047】
図2に示すように、表示パネル10が突出姿勢(iii)のときは、図5に示すように、蓋体駆動部材34がばね48の力で開放方向(β2方向)へ付勢され続けるために、蓋体30が開放姿勢(vi)で安定し、振動が与えられたときのがたつき音を低減できる。
【0048】
前記実施の形態では、連結カム機構40を介して蓋体駆動部材34と連結される第1の可動部材21が駆動機構20の一部を構成しているが、駆動機構とは無関係の可動部材が設けられ、この可動部材が表示パネル10の移動に追従して移動し、この可動部材と蓋体駆動部材34とが連結カム機構40で連結されてもよい。
【0049】
また、連結カム機構40は、蓋体駆動部材34に連結カム溝41が形成され、蓋体駆動部材34に連結軸28が設けられているものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 車載用表示装置
2 シャーシ
3 化粧パネル
4 開口部
5 内装パネル
6,7 案内溝
10 表示パネル
12a 表示画面
13 支持体
20 駆動機構
21 第1の可動部材
22 第2の可動部材
23,25 固定軸
24,26 移動軸
28 連結軸
30 蓋体
32,33 案内軸
34 蓋体駆動部材
35 中心軸
36 駆動軸
37 駆動リンク
40 連結カム機構
41 連結カム溝
42 開放口
45 付勢カム
48 ばね
(i) 収納姿勢
(ii) 中間姿勢
(iii) 突出姿勢
(v) 閉鎖姿勢
(vi) 開放姿勢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを車両に設定される開口部よりも内側に位置する収納姿勢と少なくとも一部が前記開口部から突出する突出姿勢との間で移動させる駆動機構と、前記開口部を閉鎖する閉鎖姿勢と前記開口部を開放させる開放姿勢との間で移動する蓋体を備えた車載用表示装置において、
前記表示パネルが収納姿勢ならびに突出姿勢に向けて移動するときに前記表示パネルと共に移動する可動部材と、前記蓋体を閉鎖姿勢と開放姿勢とへ移動させる蓋体駆動部材とを有し、
前記蓋体駆動部材は、前記蓋体を閉鎖姿勢とする閉鎖方向と開放姿勢とする開放姿勢とへ回動自在に設けられ、前記可動部材と前記蓋体駆動部材との間に、前記可動部材の移動力を前記蓋体駆動部材の回動力に変換する連結カム機構が設けられており、
前記表示パネルが収納姿勢のときに、前記可動部材と前記蓋体駆動部材とが前記連結カム機構を介して連結され前記蓋体駆動部材が閉鎖方向へ回動させられて、前記蓋体が閉鎖姿勢とされており、
前記表示パネルが突出姿勢に向けて移動するときに、前記連結カム機構による前記可動部材と前記蓋体駆動部材との連結が解除され、前記蓋体駆動部材がばねの力で開放位置へ回動させられて前記蓋体が開放姿勢に設定されることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルが収納姿勢のときに、前記連結カム機構で前記蓋体駆動部材が拘束されて、閉鎖姿勢の前記蓋体のがたつきが規制される請求項1記載の車載用表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルが収納姿勢のときに、前記ばねの力が前記蓋体駆動部材に作用していない請求項2記載の車載用表示装置。
【請求項4】
前記蓋体駆動部材に付勢カムが設けられており、前記連結カム機構による前記可動部材と前記蓋体駆動部材との連結が解除されると、前記ばねの付勢力が前記付勢カムに与えられて、前記蓋体駆動部材が開放位置へ回動させられる請求項1ないし3のいずれかに記載の車載用表示装置。
【請求項5】
前記可動部材は、前記駆動機構の一部を構成している請求項1ないし4のいずれかに記載の車載用表示装置。
【請求項6】
前記可動部材は、一端が表示パネルを支持する支持体に回動自在に連結され、他端が回動自在に支持されており、前記可動部材の回動中心と、前記蓋体駆動部材の回動中心とが異なる位置に設定されている請求項1ないし5のいずれかに記載の車載用表示装置。
【請求項7】
前記駆動機構と、前記可動部材と、前記蓋体駆動部材を支持するシャーシが設けられ、前記開口部が前記シャーシに設けられている請求項1ないし6のいずれかに記載の車載用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−250650(P2012−250650A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125992(P2011−125992)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】