車載用電子機器
【課題】カード読み取り装置を装着し得る車載用電子機器において、カードを取り出す場合にのみ暗証コード等の照合を行うことにより、煩雑な操作を要することなくカードの盗難を防止できるようにする。
【解決手段】制御部は、カード読み取り装置にカードが装着されているか否かを検出し、カードが装着されている場合、表示部にカードの抜き取りをするか否かを選択する確認画面と、カードの抜き取りをする場合に照合コードの入力を要求する入力画面を、同時または順に表示し、カードの抜き取りが選択された時には、入力画面によって入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、制御部は前面パネルを移動して車載用電子機器本体の操作面を露出させる。
【解決手段】制御部は、カード読み取り装置にカードが装着されているか否かを検出し、カードが装着されている場合、表示部にカードの抜き取りをするか否かを選択する確認画面と、カードの抜き取りをする場合に照合コードの入力を要求する入力画面を、同時または順に表示し、カードの抜き取りが選択された時には、入力画面によって入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、制御部は前面パネルを移動して車載用電子機器本体の操作面を露出させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車載用電子機器に関するものであり、特に、ＥＴＣ(Electronic Toll Collection)車載器などのカード読み取り装置に装着されるカードの盗難防止機能を設けた車載用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来からＥＴＣ車載器、ＤＳＲＣ車載器や免許証読み取り装置などのカード読み取り装置が知られている。
【０００３】
これらのカード読み取り装置は、ＥＴＣ車載器やＤＳＲＣ車載器に挿入されたＩＣカードからカードＩＤなどを読み取る、または、免許証読み取り装置に挿入された免許証から運転手の情報を画像認識により読み取ることが可能である。
【０００４】
そして、読み取った情報は、高速道路や駐車場での料金収受や、初心者運転手・高齢者運転手の判断などに用いられる。このようなカード読み取り装置を用いたシステムとして、例えば、ＥＴＣシステムが知られている。
【０００５】
ＥＴＣシステムは、ＥＴＣカードが挿入されるＥＴＣ車載器と、料金所のＥＴＣ専用レーンに設置される無線アンテナ装置（路上機）と、ＥＴＣシステムの統括管理団体であるＯＲＳＥ（財団法人道路システム高度化推進機構）のネットワーク上の情報処理装置とで構成される。ユーザがＥＴＣ専用レーンを通過する際には、ＥＴＣ車載器と路上機との間で認証処理を行ってゲートの開閉動作が行われる。ＯＲＳＥの情報処理装置では、ＥＴＣカードに対する課金処理やＥＴＣシステムの利用履歴等の管理が行われるように構成されている。
【０００６】
このようなＥＴＣシステムによると、料金所での料金収受作業が短縮化されることによる交通渋滞の緩和や、料金収受にかかる人件費等の経費削減等の効果が得られることから、ＥＴＣシステムの普及が推進されており、これを受けて、ＥＴＣ車載器を車両に設置するユーザが急増している。
【０００７】
昨今では、このＥＴＣ車載器を電気的に接続して、該ＥＴＣ車載器で取得乃至生成される情報を利用して、各種処理を実行するナビゲーション装置も提案されている。例えば、下記の特許文献１（特開２００７−２８５７５２号公報）に示されるナビゲーション装置は、ＥＴＣ車載器に記憶されている通過料金所情報を、接続手段を介して取得することができ、この通過料金所を経路探索の際の目的地として選択的に指定することができるように構成している。また、ＥＴＣ車載器から特定のデータを得ることがなくても、エンジン停止時にＥＴＣ車載器にＥＴＣカードが装着されたままになっている場合や、エンジン始動時に装着がなされていないときにはその旨の音声報知等を、ナビゲーション装置を介して行うために、ＥＴＣ車載器とナビゲーション装置が電気的に接続されるのが一般的となっている。
【０００８】
一方、ナビゲーション装置においても、設置された車両の種別（大型車・普通車・小型車など）を登録しておき、探索した経路に高速道路の利用区間が含まれる場合、高速道路の利用区間の料金等を案内する機能を付加したものも提供されている。
【０００９】
そこで、ナビゲーション装置とＥＴＣ車載器を一体構造にしたナビゲーション装置も下記の特許文献２（特開平１１−３３７３４８号公報）に開示されている。このナビゲーション装置は、人工衛星位置決定システム（ＧＰＳ）及び道路交通情報システム（ＶＩＣＳ）の各受信部と高速道路料金自動支払システム（ＥＴＣ）の送受信部とを一体的に構成した単一ユニットにし、ＧＰＳ、ＶＩＣＳ、ＥＴＣの各信号処理部をカーナビゲーション装置に内蔵させ、かつ、カーナビゲーション装置の表示部をＧＰＳ、ＶＩＣＳ、ＥＴＣで共用させるように構成されている。
【００１０】
これらのＥＴＣ車載器においては、ＥＴＣカードを抜き忘れた際に、盗難に遭い、正規のユーザでない第３者によってＥＴＣカードが不正に使用され、ユーザが損害を被るという問題点が懸念される。そこで、ＥＴＣカードの盗難を防止するための機能を備えたＥＴＣ車載器が提案され、例えば、下記の特許文献３（特開２００２−３２８０２号公報）に開示されている。
【００１１】
この特許文献３に開示されたＥＴＣ車載器は、カード装着部とＨＭＩ部とを備え、カード装着部には、ユーザに固有のＩＣカード（ＥＴＣカード）が装着されるようになっている。ＩＣカード（ＥＴＣカード）は、そのＩＤコードが一致していることを条件として、カード装着部から抜き取り可能に構成され、正規のユーザが正しいＩＤコードを入力しない限りＥＴＣカードの抜き取りができないように構成して盗難を防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１２】
【特許文献１】特開２００７−２８５７５２号公報
【特許文献２】特開平１１−３３７３４８号公報
【特許文献３】特開２００２−３２８０２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
一般的にナビゲーション装置とＥＴＣ車載器を連携させる場合、上記特許文献１のように、接続ケーブルを用いてそれぞれ個々に製造された機器を接続する構成、あるいは、上記特許文献２のようにナビゲーション装置とＥＴＣ車載器を同一の筐体内に一体に組み込む構成とがある。
【００１４】
通常、ナビゲーション装置やＥＴＣ車載器は、自動車メーカによって標準装備として車載されている場合もあり、オプションとしてユーザの選択によりディーラーがメーカに搭載を指示、またはディーラー自身が搭載する場合もある。自動車用品店（販売店）でユーザがこれらの装置を購入する場合には販売店によってユーザの車両に搭載される場合もある。特に、ＥＴＣ車載器の場合には、後述するように利用規則によって定められた所定の登録、セットアップ作業が必要であり、販売店がこの作業を代行してユーザの車両に搭載するのが一般的である。
【００１５】
車両や機器の購入形態が様々である他、ユーザによってナビゲーション装置とＥＴＣ車載器を同時に車載する場合もあれば、当初はとどちらか一方を車載して、後に他の一方を車載する場合もある。上記特許文献１のようにケーブルで両機器を接続する構成であればどのような形態にも対応可能であるが、接続ケーブル、接続作業が必要になり、手間とコストがかかるという問題点がある。
【００１６】
一方、ナビゲーション装置とＥＴＣ車載器を同一の筐体内に一体に組み込む構成であれば、接続ケーブル、接続作業は不用になるが、別の不具合が生じる。例えば、一体型の場合、一方を先に車載し、他方を後から車載したいというユーザの要求には応じられないことになり、自動車用品の販売業者にとって販売のフレキシビリティーが阻害されるという問題点が生じる。また、ナビゲーション装置とＥＴＣ車載器の何れもが同じ製造事業者の製品であれば、両者を一体に組み込むことも容易であるが、何れか一方のみを製造する事業者にとっては、両者を一体に組み込んだ製品として販売するには一方を外部から調達しなければならず、コスト増を伴うという問題点がある。
【００１７】
そこで、ナビゲーション装置本体に、任意にＥＴＣ車載器を装着し得るＥＴＣ車載器装着用ガイド部と、ナビゲーション装置との間を接続する接続コネクタと、を備えたＥＴＣ車載器装着用スロットを設ければ、上記のような問題点を解消することができる。一般的な車載用のナビゲーション装置は、ナビゲーション装置本体の前面にスライドレールによって支持された液晶表示ユニットを有する表示パネルが設けられ、表示パネルをスライドして開き、ナビゲーション装置の前面に設けられたＣＤ／ＤＶＤ挿入口やＣＤ／ＤＶＤイジェクトボタン、ＳＤカード挿入口、地上波デジタル放送受信用のＢ−ＣＡＳカード挿入口などの各部を用いて所望の機能を利用するように構成される。
【００１８】
このようなＥＴＣ車載器装着用スロットを設けたナビゲーション装置に、上記特許文献３に開示されたようなＥＴＣカードの盗難防止機能を適用する場合、ナビゲーション装置本体の前面に設けられた表示パネルをスライドして開く際に、ユーザに暗証コードの入力を要求し、暗証コードが正しい場合に表示パネルをスライドさせて、ナビゲーション装置本体の前面に設けられたＥＴＣ車載器を操作（ＥＴＣカードの抜き差し）可能に構成すればよい。
【００１９】
しかしながら、ナビゲーション装置本体の前面には、ＥＴＣ車載器装着用スロットの他に、ＣＤ／ＤＶＤ挿入口やＣＤ／ＤＶＤイジェクトボタン、ＳＤカード挿入口、地上波デジタル放送受信用のＢ−ＣＡＳカード挿入口などが設けられており、それらの各部を用いる場合にも、その都度ユーザに暗証コードの入力が要求されることになり、煩わしい操作を必要とするという問題点がある。
【００２０】
一方、表示パネルを開く際には暗証コード等の入力を不用とし、ＥＴＣ車載器自体に上記特許文献３に開示されたような盗難防止のためのコード照合を行わせるように構成することも考慮されるが、その場合、表示パネルはスライドされて開いた状態になるから、この表示パネルを用いて照合用の暗証コードを入力できるようにするためには、表示パネルの支持構造の変更を要するという問題点が生じる。このため、ＥＴＣ車載器に照合用のコード入力手段を設けるようにすると、ＥＴＣ車載器装着用スロットの設置スペースが大きくなり、コスト増を生じるという問題点も生じる。このような問題は、ＥＴＣ車載器を一体に組み込んだナビゲーション装置においても同様に生じる。
【００２１】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、カード読み取り装置を装着し得る車載用電子機器において、前面の表示パネルをスライドさせる操作があった場合に、カード読み取り装置からカードの抜き取り操作か否かをユーザに問い合わせ、カードの抜き取り操作である場合にのみ、暗証コードの照合を行うようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【００２２】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、カード読み取り装置を装着し得る車載用電子機器において、カードを抜き取る場合にのみ暗証コード等の照合を行うことにより、煩雑な操作を要することなくカードの盗難を防止できるようにした車載用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２３】
前記課題を解決するために、本願の請求項１にかかる発明は、表示部と操作部を含む前面パネルが車載用電子機器本体の操作面の前面に設けられ、前記操作部を操作して前記前面パネルを移動させて前記車載用電子機器本体の操作面を露出させるように構成された車載用電子機器であって、前記車載用電子機器は、制御部を備え、前記操作部の操作により前記前面パネルの移動が要求された際、前記制御部は、前記操作面に位置するカード挿入部にカードが挿入されているか否かを検出し、カードが挿入されている場合、前記表示部にカードの抜き取りをするか否かを選択する確認画面と、カードの抜き取りをする場合に照合コードの入力を要求する入力画面を、同時または順に表示し、カードの抜き取りが選択された時には、前記操作部の操作により入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、前記前面パネルを移動して前記車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする。
【００２４】
また、本願の請求項２にかかる発明は、請求項１にかかる車載用電子機器において、前記車載用電子機器は、さらに、前記カード挿入部に挿入されたカードをロックするロック手段を備え、前記制御部は、前記カードの抜き取りが選択されなかった時には、前記ロック手段の作動と前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする。
【００２５】
また、本願の請求項３にかかる発明は、請求項１にかかる車載用電子機器において、前記車載用電子機器は、さらに、前記カード挿入部に挿入されたカードをロックするロック手段を備え、前記制御部は、前記カード挿入部にカードが挿入されている場合、前記ロック手段を作動させ、前記カードの抜き取りが選択されなかった時には、前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させ、前記カードの抜き取りが選択された時には、前記操作部の操作により入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、前記ロック手段の解除と前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする。
【００２６】
また、本願の請求項４にかかる発明は、請求項１乃至請求項３のいずれかにかかる車載用電子機器において、前記車載用電子機器本体の操作面に、カード読み取り装置装着部を設け、前記カード読み取り装置装着部に、少なくとも前記カード挿入部と、前記ロック手段と、を備えたカード読み取り装置を装着することを特徴とする。
【００２７】
また、本願の請求項５にかかる発明は、請求項１乃至請求項４のいずれかにかかる車載用電子機器において、前記カード読み取り装置装着部にカード読み取り装置が装着されていない場合、または、前記カード挿入部にカードが挿入されていない場合に、前記操作部の操作により前面パネルの移動が要求された際には、前記前面パネルを移動して車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【００２８】
請求項１にかかる発明においては、カードが装着されているか否かを検出し、カードが装着されている場合、表示部に、カードの抜き取りをするか否かを選択する確認画面と、カードの抜き取りをする場合に照合コードの入力を要求する入力画面を、同時または順に表示し、カードの抜き取りが選択された時には、操作部の操作によって入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、制御手段は前面パネルを移動して車載用電子機器本体の操作面を露出させる。従って、照合コードが一致しない限り前面パネルが開くことがなく、カードの盗難を防止することができるようになる。
【００２９】
請求項２にかかる発明においては、請求項１にかかる車載用電子機器において、カードの抜き取りが選択されなかった時には、制御部は、カードをロックするロック手段の作動と前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させる。従って、カードの抜き取りでない場合には照合コードの入力が不用であり、操作が簡便になるとともに、前面パネルが移動して操作面が露出してもカードがロックされているためカードの盗難を防止することができるようになる。
【００３０】
請求項３にかかる発明においては、請求項１にかかる車載用電子機器において、制御部は、カードがカード挿入部に挿入されている場合、ロック手段を作動させ、カードの抜き取りが選択されなかった時には、前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させ、カードの抜き取りが選択された時には、前記操作部の操作により入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、前記ロック手段の解除と前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させる。従って、カードの抜き取りの場合のみ、カードのロックが解除されるため、カードの抜き取りでない場合には、照合コードの入力が不用であり、操作が簡便になるとともに、前面パネルが移動して操作面が露出してもカードがロックされているためカードの盗難を防止することができるようになる。
【００３１】
請求項４にかかる発明においては、請求項１乃至請求項３のいずれかにかかる車載用電子機器において、前記車載用電子機器本体の操作面にカード読み取り装置装着部を設け、カード読み取り装置装着部に、少なくとも前記カード挿入部と、前記ロック手段と、を備えたカード読み取り装置を装着するものであるから、利用者は車載用電子機器に任意にカード読み取り装置を装着することができ、また、カードの抜き取りでない場合には照合コードの入力が不用であり、操作が簡便になるとともに、前面パネルが移動して操作面が露出されてもカードがロックされるからカードの盗難を防止することができるようになる。
【００３２】
請求項５にかかる発明においては、請求項１乃至請求項４のいずれかにかかる車載用電子機器において、前記カード読み取り装置装着部にカード読み取り装置が装着されていない場合、または、前記カード挿入部にカードが挿入されていない場合に、前記操作部の操作により前面パネルの移動が要求された際には、前記前面パネルを移動して車載用電子機器本体の操作面を露出させる。従って、車載用電子機器にカード読み取り装置が装着されていな場合、または、前記カード挿入部にカードが挿入されていないには、自由に前面パネルを開く（移動させる）ことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の外観図である。
【図２】本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置にＥＴＣ車載器が装着された状態を示す斜視図である。
【図３】本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の分解斜視図である。
【図４】本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図５】表示パネルを操作する際に表示される確認画面の一例を示す図である。
【図６】本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００３４】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化するためのＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこの実施例のＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載用電子機器にも等しく適用し得るものである。
【００３５】
例えば、車載用電子機器は、ナビゲーション機能を有していないその他の車載用電子機器にも適用できるものである。
【００３６】
また、本願発明では、カード読み取り装置の一例として、ＥＴＣ車載器を例示するが、ＥＴＣ車載器のように高速道路料金の料金収受に用いられる送受信器に限られず、例えば、他車両に搭載された送受信器との間でデータの送受信を行うもの（車車間通信用送受信器）や、道路上に設置された路上機との間でデータの送受信を行うもの（路車間通信用送受信器）であってもよく、このような送受信器の一例として、ＦＭ放送や、道路上（一般道又は高速道）に設置された路上機から交通情報を取得できるＶＩＣＳ受信機や、双方の車両内に搭載され車車間通信を行うため、又は、道路上や駐車場に設置された路上機との間で料金収受を行うためなどに用いられるＤＳＲＣ車載器などがある。なお、本発明においては、データの送受信を行う送受信器に限らず、挿入されたカードの情報を読み取る装置であれば本願発明の効果を奏する。
【００３７】
そして、これらを活用したシステムとしてＩＴＳシステム（高度道路交通システム：Intelligent Transport Systems）がある。ＩＴＳシステムとは、他車両に搭載された送受信器や道路上に設置された路上機との間で交通情報の送受信を行うことで自車両周辺の交通状態（自車両に接近してくる緊急車両の存在や、前方に位置する道路の渋滞情報等）をリアルタイムに取得し報知できるものであり、このシステムの普及により交通渋滞の緩和や交通事故の低減が期待されている。
【００３８】
さらに、本願発明では、カードの一例としてＥＴＣカードを例示するが、ＥＴＣ車載器と同様に、高速道路料金の料金収受に用いられるＩＣカードに限られず、例えば、上記のＤＳＲＣ車載器を用いた駐車場での料金収受の際に用いられるＩＣカードであってもよく、また、ＩＣカードや、料金収受を行うカードに限られず、運転免許証など個人情報を含むようなカードであってもよく、運転免許証の情報は、例えば、特開平７−２１０６２８に開示されているような免許証読み取り装置を用いることで、免許証の情報を読み取ることが可能である。
【実施例】
【００３９】
まず、図面を参照して本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の構造を説明する。図１は、本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の外観図、図２は、本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置にＥＴＣ車載器が装着された状態を示す斜視図であり、図３は、本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の分解斜視図である。
【００４０】
本発明にかかるナビゲーション装置１０は図１の外観図に示すように、ナビゲーション装置本体（筐体）１００の内部に各構成部材が納められ、液晶ディスプレイ１１及び液晶ディスプレイ１１の下部に配置された操作ボタン群１２が、ナビゲーション装置本体１００からスライド部材により引き出されるように構成される（図２斜視図参照）。なお、以下の説明においては、液晶ディスプレイ１１及び液晶ディスプレイ１１の下部に配置された操作ボタン群１２をあわせて前面パネルという。操作ボタン群１２のうちの１つのボタンにパネルオープンボタンが設けられ、このボタンを操作することによりスライド部材（不図示）を駆動して前面パネルをスライド（移動）させて開き、ナビゲーション装置本体１００側の操作面を露出させることができる。
【００４１】
図２は、前面パネルがナビゲーション装置本体１００からスライドして移動された状態を示す斜視図である。ナビゲーション装置の本体１００の操作面には、ＣＤ／ＤＶＤ挿入口１３やＣＤ／ＤＶＤイジェクトボタン１４、ＳＤカード挿入口１５の他に、別途購入等したＥＴＣ車載器２０をナビゲーション装置１０に接続するためのＥＴＣ車載器装着用スロット１６が設けられている。参照符号１９はＥＴＣ車載器２０に設けられたＥＴＣカード挿入口である。
【００４２】
ここで、図２において、ＥＴＣ車載器２０がＥＴＣ車載器装着用スロット１６に装着されている場合、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置している。
【００４３】
なお、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置するとは、図２のように、ＥＴＣカード挿入口１９が設けられたＥＴＣ車載器２０をＥＴＣ車載器装着用スロット１６に装着することにより、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置する場合に限られず、予めＥＴＣ車載器２０を一体に備えたナビゲーション装置１０であれば、常にナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置することになる。すなわち、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置するとは、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が固定されているか、或いは、ＥＴＣカード挿入口１９が設けられたＥＴＣ車載器２０が着脱できるかに関わらないものである。
【００４４】
なお、以下の説明では、ＥＴＣカード挿入口１９が設けられたＥＴＣ車載器２０をＥＴＣ車載器装着用スロット１６に装着することにより、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置する場合を例にして説明を行う。
【００４５】
図３の分解斜視図に示すように、ＥＴＣ車載器装着用スロット１６は、側面をなすＥＴＣ車載器装着用ガイド部１７２と、ＥＴＣ車載器装着用スロット１６の開口に対向して奥に設けられたＥＴＣ車載器２０とナビゲーション装置１０とを接続するための接続コネクタ１７１と、底面部材１７３とから構成されるＥＴＣ車載器装着部１７で形成される。
【００４６】
ＥＴＣ車載器２０をナビゲーション装置１０に接続する際には、ＥＴＣ車載器装着用スロット１６に、ＥＴＣ車載器２０を挿入し、接続コネクタ１７１とＥＴＣ車載器２０側の接続用コネクタ（不図示）とを接続して装着する。それにより、ナビゲーション装置１０とＥＴＣ車載器２０との接続が完了される。
【００４７】
ＥＴＣ車載器２０の前面にはＥＴＣカード挿入口１９が設けられている。ＥＴＣ車載器２０を用いて高速道路などにおける料金収受を行う場合には、ＥＴＣカードをＥＴＣカード挿入口１９に差し込んで、ＥＴＣ料金収受システムを利用することになる。ＥＴＣカード挿入口１９の近傍には図示しないＥＴＣカードロック機構が設けられ、ＥＴＣカードをロックできるようになっている。なお、図３において、参照符号１８は、地上波デジタル放送を受信するためのＢ−ＣＡＳカードの挿入口である。
【００４８】
ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０が装着されない場合には、ＥＴＣ車載器装着用スロット１６の開口部を蓋体等で覆っておく。蓋体はネジ止めする構成であってもよく、弾性を有する爪部材によって装着するような構成であってもよい。このようにすれば、ＥＴＣ車載器２０が装着されない状態でユーザが誤って他の機器をＥＴＣ車載器装着用スロット１６に装着するようなことがなくなる。
【００４９】
このように、ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を任意に装着できるようにしておけば、ナビゲーション装置１０の製造事業者とＥＴＣ車載器２０の製造事業者とが異なる場合であっても、カー用品の販売事業者等によってナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を装着することができるようになる。
【００５０】
また、このようにナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を任意に装着することができるＥＴＣ車載器装着用スロット１６を設ければ、先ず、第１に、ナビゲーション装置１０とＥＴＣ車載器２０が一体に組み込まれている場合、例えば、ナビゲーション装置１０が故障した場合に再度ＥＴＣ登録（セットアップ）を行わなくてはならなくなるが、任意に装着可能であれば、ナビゲーション装置１０が故障してもＥＴＣ車載器２０を他のナビゲーション装置１０に載せ替えればよく、再セットアップの必要がない。また、逆にＥＴＣ車載器２０が故障した場合は、ＥＴＣ車載器２０のみを取り外して修理することもできる。第２にナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を接続するための専用の配線が必要なくなり、外観がきれいになる。第３に、カー用品の販売店としても配線作業が必要なくなる。第４にユーザがナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を後付けする場合にも配線の作業や費用が必要なくなるなどの利点が得られる。
【００５１】
次に、本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置１０の構成を説明する。図４は、ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０が装着された場合の構成を示すブロック図である。
【００５２】
ＥＴＣ車載器２０には、ユーザが購入する際にセットアップと呼ばれる作業が行われる。セットアップは、取付け対象となる車両の車両区分（特大・大型・中型・普通・小型等の有料道路の利用料金の区分）及び車両ナンバーといったセットアップ情報をＥＴＣ車載器２０に記憶（登録）させるものである。このセットアップが行われることにより、ＥＴＣ専用レーンの通過時には、料金所の路上機とＥＴＣ車載器２０との間の無線通信によって車両区分が特定されるから、ユーザが車両区分を都度指定しなくても自動的に車両区分に応じた利用料金が徴収される仕組みとなっている。
【００５３】
セットアップ作業は登録認可を受けた専門業者により行われるが、その作業に先立ってＯＲＳＥの側でセットアップ情報の暗号化が行われるようになっている。したがって、ユーザが勝手にセットアップ情報を書き換えることはできない。すなわち、車両区分情報とナンバー情報が登録されたＥＴＣ車載器２０と車両とは、取り付けられているか否かに拘わらず常に一体不可分の関係とされており、ＥＴＣ車載器２０を他の車両に載せ替えて使用することは原則としてできない。別の車両に載せ替えたいときには、再度のセットアップ作業を行わなければならない。なお、このような制限は、なりすまし防止等を理由としたＯＲＳＥの運用規則によるものである。
【００５４】
ナビゲーション装置１０の制御部１は、情報処理手段に相当し、ＣＰＵとＲＯＭやＲＡＭ等の内部メモリ（不図示）を備えてナビゲーション装置１０の制御を統括する。また、ユーザにより車両区分が別途入力されたときには、車両区分情報を内部メモリに登録する。なお、この車両区分は、経路探索部６が車両区分による道路の通行可否を考慮して経路探索処理等を行う際に利用され、あるいは高速道路利用区間の料金算出などに利用されるものであり、利用者がナビゲーション装置１０を搭載する車両に従って任意に登録するものである。
【００５５】
操作部２は、ナビゲーション装置１０における目的地の入力やその他各種の入力を行うための各種キー、スイッチなどから構成され、前述の操作ボタン群１２やＣＤ／ＤＶＤイジェクトボタン１４なども操作部２に含まれる。前述のナビゲーション装置１０への車両区分の入力もこの操作部２により行われる。
【００５６】
表示部３は、地図画像や最適経路画像、誘導案内画像を表示してユーザが視認できるようにするためのマンマシンインターフェースとしての役割を担うものであり、例えば液晶ディスプレイで構成され、前述の液晶ディスプレイ１１も表示部３に含まれる。なお、この表示部３は、タッチセンサーを具備させて操作部２の一部を担うように構成することもできる。この場合は画面上に表示されるアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われるようにする。
【００５７】
現在位置検出部４は、ＧＰＳ信号、速度センサ、方位センサ等により車両の現在位置を検出する。
【００５８】
地図記憶部５は、道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータとを含む地図データが記憶されている。より詳細には地図データの道路（経路）をその結節点、屈曲点の位置を道路ノードとし、各道路ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報（距離や所要時間）をデータベースとして備えている。
【００５９】
経路探索部６は、現在位置検出部４により検出された現在位置から、操作部２を介して指定された目的地までの最適な経路を探索する。より具体的には、地図記憶部５に蓄積された地図データを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るまでのリンクを順次探索し、コスト情報が最小となるノード、リンクを探索して最適経路を決定する。なお、このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。
【００６０】
経路記憶部７には、上述のようにして経路探索部６で探索された最適経路が記憶される。
【００６１】
制御部１は、経路案内時において、経路記憶部７に記憶された最適経路のうち、現在位置検出部４により検出された現在位置を中心とした所定範囲の地図データを抽出して表示部３に表示するとともに、最適経路に記憶された案内報知ポイントに到達したときは、後述する音声出力部８を介して案内報知を行う。このように時々刻々変化する現在位置に応じて都度地図データの表示を切り替えながら目的地までの誘導案内を行う。
【００６２】
音声出力部８は、スピーカー等で構成され、最適経路を経由する誘導案内時の案内報知、キー操作音、その他ナビゲーション装置１０に関する種々の音声報知を行う。また、エンジン停止時にＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードが装着されたままになっている場合や、エンジン始動時に装着がなされていないときには、その旨を音声報知する際にも利用される。
【００６３】
車両区分特定部９は、ワンチップＩＣとして構成され、デコーダとして機能させるための復号化プログラムが格納されている。詳細には、ＥＴＣ車載器２０に格納された暗号化されたセットアップ情報を復号化し、その中に含まれる車両区分情報のみを制御部１に出力するように構成されている。なお、セットアップ情報は、秘密性の高い高度な暗号化処理が施されているため、ナビゲーション装置１０の製造者に復号化プログラムが提供されることが前提になる。
【００６４】
次に、ＥＴＣ車載器２０について説明する。ＥＴＣ車載器２０は、ＥＴＣカードリーダー２１と、送受信部２２と、車載器識別情報記憶部２３と、セットアップ情報記憶部２４からなる。ＥＴＣカードリーダー２１は、ＥＴＣカードの装着有無を検知するとともに、ＥＴＣカードを受け入れてＥＴＣカードのＩＤ情報を読み取る。さらに、ＥＴＣカードリーダー２１には、ロック機構（不図示）が設けられ、制御部１の指示により、ロック機構を作動させるとＥＴＣカードの抜き取りができないようになる。
【００６５】
送受信部２２は、無線アンテナ機能を有し、車両が有料道路の入口あるいは出口を通過する際に、入口、出口に設置された路上機との間で無線通信を行い、路上機へカードＩＤ情報やＥＴＣ車載器２０の識別情報等を送信し、路上機からは通過した料金所データ等を受信する処理を担う。
【００６６】
識別情報記憶部２３には、ＥＴＣ車載器２０に固有の車載器識別情報が格納されている。この車載器識別情報は、上述のように料金所の路上機との無線通信の際に利用される。
【００６７】
セットアップ情報記憶部２４には、セットアップ情報が格納されている。セットアップ情報はＯＲＳＥの側で暗号化されたものであり、セットアップ作業の際にＥＴＣ車載器２０に対応づけられた車両のナンバー情報と、車両区分情報とを含むものである。
【００６８】
ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０が接続されたときには、当然に利用者によってＥＴＣカードの抜き差しが行われる。このため利用者によって前面パネルをスライドさせて開く操作（パネルオープン操作という）が行われる。パネルオープン操作により前面パネルが開かれると、ＥＴＣ車載器２０に装着されたＥＴＣカードを抜き取ることができるため、盗難を防止することが必要になる。このためには、パネルオープン操作が行われた際に、暗証コードやＥＴＣカードのＩＤ番号などの照合コードを入力して照合を行い、正規の利用者であることを確認した後に、前面パネルを開くように構成すればよい。
【００６９】
しかしながら、このパネルオープン操作は、ナビゲーション装置１０の他の機能、音楽や画像の再生機能や地上波デジタル放送の視聴機能などを利用する際に、ＤＶＤやＳＤカードなどを抜き差しする場合にも行われる。前述のような照合方法を採る場合には、ＥＴＣカードを抜き取る意図がないにもかかわらず、パネルオープン操作の都度照合コードの入力が必須になってしまう。
【００７０】
そこで、本発明の実施例におけるナビゲーション装置１０においては、パネルオープン操作があった際に、ＥＴＣカードの抜き取りか否かを確認する確認問い合わせと照合コード入力画面を表示し、ＥＴＣカードの抜き取りである場合にのみ、照合コードの入力を要求し、照合が取れた場合に前面パネルを開くことができるように構成する。ＥＴＣカードの抜き取りでない場合には、前面パネルが無条件で開かれることになるので、この場合は、ＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードをロックするロック機構を作動させＥＴＣカードの抜き取りができないようにする。
【００７１】
図５は、パネルオープン操作があった際に、ＥＴＣカードの抜き取りか否かを確認する確認問い合わせと照合コード入力画面の一例を示す図である。図５の画面例では、ＥＴＣカードの抜き取りであるか否かを利用者にチェックさせる確認画面と、照合コード入力欄とを同じ表示画面に表示する構成であるが、先ずＥＴＣカードの抜き取りか否かを問い合わせる画面を表示し、ＥＴＣカードの抜き取りが選択された場合に、照合コード入力画面に画面遷移する構成であってもよい。
【００７２】
利用者は図５の表示に従って、ＥＴＣカードの抜き取りであれば、「ＹＥＳ」を選択し、照合コードを入力する。照合コードは利用者が設定した暗証コードであってもよく、ＥＴＣカードのＩＤコードであってもよい。ナビゲーション装置１０は入力された照合コードに基づいて照合を行い、照合が取れた場合には前面パネルをオープンする。照合がとれなければ、警告画面やエラー画面を表示したり、照合コードを再度入力させたりする。
【００７３】
ＥＴＣカードの抜き取りでなければ、「ＮＯ」を選択する。「ＮＯ」が選択されると、ナビゲーション装置１０はＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードのロック機構を作動させ、ＥＴＣカードの抜き取りができないようにした上で、前面パネルをオープンする。このような構成とすることにより、利用者に煩雑な操作を要求することなく、不正にＥＴＣカードが抜き取られないようにすることができる。
【００７４】
なお、ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０が装着されているか否かを検出する構成とし、ＥＴＣ車載器２０が装着されていない場合には、パネルオープン操作が行われた際に、前述した確認問い合わせ、照合コード入力画面を表示することなく、前面パネルを開くように構成することが好ましい。
【００７５】
また、ＥＴＣ車載器２０が装着された際には、ＥＴＣ車載器２０のセットアップ情報記憶部２４に記憶された車両区分情報とナビゲーション装置１０に登録された車両区分とを比較し、それら車両区分が一致していないときにはその旨がナビゲーション装置１０のモニター画面やスピーカー等を通じてユーザに通知することができる。これにより、ユーザに対して、使用する車両の車両区分と、ＥＴＣ車載器２０に登録された車両区分との整合の確認を促すことができるようになる。従って、ＥＴＣ車載器２０に登録された車両区分と異なる車両に搭載した場合には、高速道路料金の算出に不都合を生じるなどの注意を喚起することができるようになる。
【００７６】
図６は、以上説明したナビゲーション装置１０の動作手順を示すフローチャートである。ナビゲーション装置１０にはＥＴＣ車載器２０が装着されているものとして以下の説明を行う。利用者が前面パネルをオープンしたい場合には、操作部２（操作ボタン群１２のうち、前面パネルをオープンするためのボタン）を操作し、前面パネルオープンを要求する（ステップＳ１０１）。
【００７７】
前面パネルオープンの要求があると、制御部１はＥＴＣ車載器２０におけるＥＴＣカードの装着状態を検出し（ステップＳ１０２）、ステップＳ１０３でＥＴＣカードが装着された状態か否かを判別する。
【００７８】
ここで、ステップＳ１０２におけるＥＴＣカードの装着状態の検出は、ＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードの装着状態を問い合わせる構成でもよく、ＥＴＣ車載器２０から直接ＥＴＣカードの装着信号を取得する構成でもよい。
【００７９】
ＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードが装着されていない場合（ステップＳ１０３のＮＯ）は、ＥＴＣカードが盗難にあうことはないので、制御部１は、スライド部材を駆動して前面パネルをオープンする（ステップＳ１０８）。ＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードが装着されている場合（ステップＳ１０３のＹＥＳ）は、表示部３（液晶ディスプレイ１１）にＥＴＣカードを抜き取りであるか否かを確認する画面を表示して問い合わせを行う（ステップＳ１０４）。
【００８０】
ＥＴＣカードの抜き取りでない旨の選択（問い合わせ回答）があると（ステップＳ１０４のＮＯ）、制御部１は、ＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードのロック機能の作動を指示してＥＴＣカードが抜き出せない状態とし（ステップＳ１０６）、スライド部材を駆動して前面パネルをオープンする（ステップＳ１０８）。
【００８１】
なお、ロック機能の作動および前面パネルのオープンは、前面パネルがＥＴＣカードの抜き取りが可能な位置にオープンされるまでに、ロック機能が作動可能な範囲で、同時に行なってもよい。
【００８２】
ＥＴＣカードの抜き取りである旨の選択（問い合わせ回答）があると（ステップＳ１０４のＹＥＳ）、制御部１は、表示部３（液晶ディスプレイ１１）に照合コード入力画面を表示し、利用者に照合コードの入力を要求する（ステップＳ１０５）。照合コードが入力されると、制御部１はステップＳ１０７で、予め定められた照合コードと比較し、入力された照合コードが正しいか否かを判別する。
【００８３】
照合の結果、正しい照合コードが入力されたと判別する（ステップＳ１０７のＹＥＳ）と、制御部１は、スライド部材を駆動して前面パネルをオープンする（ステップＳ１０８）。一方、正しい照合コードが入力されなかったと判別する（ステップＳ１０７のＮＯ）と、ステップＳ１０５の照合コード入力画面の表示に戻り、入力のリトライを要求する。
【００８４】
なお、この場合、所定回数、照合コードのリトライをさせても正しい照合コードが入力されない場合は、警告を表示して前面パネルオープンの処理（本フローチャートの処理）を終了させるように構成するとよい。また、ＥＴＣ車載器２０が装着されていない場合には、本フローチャートの処理をスキップするように構成することが好ましい。
【００８５】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置によれば、ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を任意に装着することができ、ＥＴＣ車載器２０が装着された際に、ナビゲーション装置１０の前面パネルをオープンする操作があった際、ＥＴＣカードの抜き出しの場合にのみ、照合コード入力を要求するから、ＥＴＣカードの盗難を防止することができ、また、他の目的で前面パネルをオープンする時の操作を煩雑にすることがなくなる。
【００８６】
また、上記実施例では、パネルオープン操作があった際に、ＥＴＣカードの抜き取りか否かを確認し、ＥＴＣカードの抜き取りでない旨の選択がされると、ＥＴＣカードのロック機能を作動させＥＴＣカードが抜き出せない状態とし、前面パネルをオープンする。すなわち、パネルオープン操作がなければ、ロック機能を作動させないが、これに限ることはなく、例えば、ＥＴＣカードリーダー２１によりＥＴＣカードの装着が検出されると、ＥＴＣカードのロック機能を作動させＥＴＣカードが抜き出せない状態とし、パネルオープン操作があった際に、ＥＴＣカードの抜き取りか否かを確認し、ＥＴＣカードの抜き取りでない旨の選択がされると、ロック機能を作動させたまま、前面パネルをオープンする。そして、ＥＴＣカードの抜き取りである旨の選択がされると、照合コードの入力を促し、正しい照合コードが入力されると、ロック機能を解除し、前面パネルをオープンする。すなわち、ＥＴＣカードのロック機能を常に作動させＥＴＣカードが抜き出せない状態とし、ＥＴＣカードの抜き取りの際に、正しい照合コードが入力されたときのみ、ロック機能を解除するようにしてもよい。
【００８７】
上記の実施例は、ＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、ＥＴＣ車載器を一体に備えたナビゲーション装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【００８８】
１ 制御部
２ 操作部
３ 表示部
４ 現在位置検出部
５ 地図記憶部
６ 経路探索部
７ 経路記憶部
８ 音声出力部
９ 車両区分特定部
１０ ナビゲーション装置
１００ ナビゲーション装置本体（筐体）
１１ 液晶ディスプレイ
１２ 操作ボタン群
１３ ＣＤ／ＤＶＤ挿入口
１４ ＣＤ／ＤＶＤイジェクトボタン
１５ ＳＤカード挿入口
１６ ＥＴＣ車載器装着用スロット
１７ ＥＴＣ車載器装着部
１７１ 接続コネクタ
１７２ ＥＴＣ車載器装着用ガイド部
１７３ 底面部材
１８ Ｂ−ＣＡＳカード挿入口
１９ ＥＴＣカード挿入口
２０ ＥＴＣ車載器
２１ ＥＴＣカードリーダー
２２ 送受信部
２３ 車載器識別情報記憶部
２４ セットアップ情報記憶部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車載用電子機器に関するものであり、特に、ＥＴＣ(Electronic Toll Collection)車載器などのカード読み取り装置に装着されるカードの盗難防止機能を設けた車載用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来からＥＴＣ車載器、ＤＳＲＣ車載器や免許証読み取り装置などのカード読み取り装置が知られている。
【０００３】
これらのカード読み取り装置は、ＥＴＣ車載器やＤＳＲＣ車載器に挿入されたＩＣカードからカードＩＤなどを読み取る、または、免許証読み取り装置に挿入された免許証から運転手の情報を画像認識により読み取ることが可能である。
【０００４】
そして、読み取った情報は、高速道路や駐車場での料金収受や、初心者運転手・高齢者運転手の判断などに用いられる。このようなカード読み取り装置を用いたシステムとして、例えば、ＥＴＣシステムが知られている。
【０００５】
ＥＴＣシステムは、ＥＴＣカードが挿入されるＥＴＣ車載器と、料金所のＥＴＣ専用レーンに設置される無線アンテナ装置（路上機）と、ＥＴＣシステムの統括管理団体であるＯＲＳＥ（財団法人道路システム高度化推進機構）のネットワーク上の情報処理装置とで構成される。ユーザがＥＴＣ専用レーンを通過する際には、ＥＴＣ車載器と路上機との間で認証処理を行ってゲートの開閉動作が行われる。ＯＲＳＥの情報処理装置では、ＥＴＣカードに対する課金処理やＥＴＣシステムの利用履歴等の管理が行われるように構成されている。
【０００６】
このようなＥＴＣシステムによると、料金所での料金収受作業が短縮化されることによる交通渋滞の緩和や、料金収受にかかる人件費等の経費削減等の効果が得られることから、ＥＴＣシステムの普及が推進されており、これを受けて、ＥＴＣ車載器を車両に設置するユーザが急増している。
【０００７】
昨今では、このＥＴＣ車載器を電気的に接続して、該ＥＴＣ車載器で取得乃至生成される情報を利用して、各種処理を実行するナビゲーション装置も提案されている。例えば、下記の特許文献１（特開２００７−２８５７５２号公報）に示されるナビゲーション装置は、ＥＴＣ車載器に記憶されている通過料金所情報を、接続手段を介して取得することができ、この通過料金所を経路探索の際の目的地として選択的に指定することができるように構成している。また、ＥＴＣ車載器から特定のデータを得ることがなくても、エンジン停止時にＥＴＣ車載器にＥＴＣカードが装着されたままになっている場合や、エンジン始動時に装着がなされていないときにはその旨の音声報知等を、ナビゲーション装置を介して行うために、ＥＴＣ車載器とナビゲーション装置が電気的に接続されるのが一般的となっている。
【０００８】
一方、ナビゲーション装置においても、設置された車両の種別（大型車・普通車・小型車など）を登録しておき、探索した経路に高速道路の利用区間が含まれる場合、高速道路の利用区間の料金等を案内する機能を付加したものも提供されている。
【０００９】
そこで、ナビゲーション装置とＥＴＣ車載器を一体構造にしたナビゲーション装置も下記の特許文献２（特開平１１−３３７３４８号公報）に開示されている。このナビゲーション装置は、人工衛星位置決定システム（ＧＰＳ）及び道路交通情報システム（ＶＩＣＳ）の各受信部と高速道路料金自動支払システム（ＥＴＣ）の送受信部とを一体的に構成した単一ユニットにし、ＧＰＳ、ＶＩＣＳ、ＥＴＣの各信号処理部をカーナビゲーション装置に内蔵させ、かつ、カーナビゲーション装置の表示部をＧＰＳ、ＶＩＣＳ、ＥＴＣで共用させるように構成されている。
【００１０】
これらのＥＴＣ車載器においては、ＥＴＣカードを抜き忘れた際に、盗難に遭い、正規のユーザでない第３者によってＥＴＣカードが不正に使用され、ユーザが損害を被るという問題点が懸念される。そこで、ＥＴＣカードの盗難を防止するための機能を備えたＥＴＣ車載器が提案され、例えば、下記の特許文献３（特開２００２−３２８０２号公報）に開示されている。
【００１１】
この特許文献３に開示されたＥＴＣ車載器は、カード装着部とＨＭＩ部とを備え、カード装着部には、ユーザに固有のＩＣカード（ＥＴＣカード）が装着されるようになっている。ＩＣカード（ＥＴＣカード）は、そのＩＤコードが一致していることを条件として、カード装着部から抜き取り可能に構成され、正規のユーザが正しいＩＤコードを入力しない限りＥＴＣカードの抜き取りができないように構成して盗難を防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１２】
【特許文献１】特開２００７−２８５７５２号公報
【特許文献２】特開平１１−３３７３４８号公報
【特許文献３】特開２００２−３２８０２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
一般的にナビゲーション装置とＥＴＣ車載器を連携させる場合、上記特許文献１のように、接続ケーブルを用いてそれぞれ個々に製造された機器を接続する構成、あるいは、上記特許文献２のようにナビゲーション装置とＥＴＣ車載器を同一の筐体内に一体に組み込む構成とがある。
【００１４】
通常、ナビゲーション装置やＥＴＣ車載器は、自動車メーカによって標準装備として車載されている場合もあり、オプションとしてユーザの選択によりディーラーがメーカに搭載を指示、またはディーラー自身が搭載する場合もある。自動車用品店（販売店）でユーザがこれらの装置を購入する場合には販売店によってユーザの車両に搭載される場合もある。特に、ＥＴＣ車載器の場合には、後述するように利用規則によって定められた所定の登録、セットアップ作業が必要であり、販売店がこの作業を代行してユーザの車両に搭載するのが一般的である。
【００１５】
車両や機器の購入形態が様々である他、ユーザによってナビゲーション装置とＥＴＣ車載器を同時に車載する場合もあれば、当初はとどちらか一方を車載して、後に他の一方を車載する場合もある。上記特許文献１のようにケーブルで両機器を接続する構成であればどのような形態にも対応可能であるが、接続ケーブル、接続作業が必要になり、手間とコストがかかるという問題点がある。
【００１６】
一方、ナビゲーション装置とＥＴＣ車載器を同一の筐体内に一体に組み込む構成であれば、接続ケーブル、接続作業は不用になるが、別の不具合が生じる。例えば、一体型の場合、一方を先に車載し、他方を後から車載したいというユーザの要求には応じられないことになり、自動車用品の販売業者にとって販売のフレキシビリティーが阻害されるという問題点が生じる。また、ナビゲーション装置とＥＴＣ車載器の何れもが同じ製造事業者の製品であれば、両者を一体に組み込むことも容易であるが、何れか一方のみを製造する事業者にとっては、両者を一体に組み込んだ製品として販売するには一方を外部から調達しなければならず、コスト増を伴うという問題点がある。
【００１７】
そこで、ナビゲーション装置本体に、任意にＥＴＣ車載器を装着し得るＥＴＣ車載器装着用ガイド部と、ナビゲーション装置との間を接続する接続コネクタと、を備えたＥＴＣ車載器装着用スロットを設ければ、上記のような問題点を解消することができる。一般的な車載用のナビゲーション装置は、ナビゲーション装置本体の前面にスライドレールによって支持された液晶表示ユニットを有する表示パネルが設けられ、表示パネルをスライドして開き、ナビゲーション装置の前面に設けられたＣＤ／ＤＶＤ挿入口やＣＤ／ＤＶＤイジェクトボタン、ＳＤカード挿入口、地上波デジタル放送受信用のＢ−ＣＡＳカード挿入口などの各部を用いて所望の機能を利用するように構成される。
【００１８】
このようなＥＴＣ車載器装着用スロットを設けたナビゲーション装置に、上記特許文献３に開示されたようなＥＴＣカードの盗難防止機能を適用する場合、ナビゲーション装置本体の前面に設けられた表示パネルをスライドして開く際に、ユーザに暗証コードの入力を要求し、暗証コードが正しい場合に表示パネルをスライドさせて、ナビゲーション装置本体の前面に設けられたＥＴＣ車載器を操作（ＥＴＣカードの抜き差し）可能に構成すればよい。
【００１９】
しかしながら、ナビゲーション装置本体の前面には、ＥＴＣ車載器装着用スロットの他に、ＣＤ／ＤＶＤ挿入口やＣＤ／ＤＶＤイジェクトボタン、ＳＤカード挿入口、地上波デジタル放送受信用のＢ−ＣＡＳカード挿入口などが設けられており、それらの各部を用いる場合にも、その都度ユーザに暗証コードの入力が要求されることになり、煩わしい操作を必要とするという問題点がある。
【００２０】
一方、表示パネルを開く際には暗証コード等の入力を不用とし、ＥＴＣ車載器自体に上記特許文献３に開示されたような盗難防止のためのコード照合を行わせるように構成することも考慮されるが、その場合、表示パネルはスライドされて開いた状態になるから、この表示パネルを用いて照合用の暗証コードを入力できるようにするためには、表示パネルの支持構造の変更を要するという問題点が生じる。このため、ＥＴＣ車載器に照合用のコード入力手段を設けるようにすると、ＥＴＣ車載器装着用スロットの設置スペースが大きくなり、コスト増を生じるという問題点も生じる。このような問題は、ＥＴＣ車載器を一体に組み込んだナビゲーション装置においても同様に生じる。
【００２１】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、カード読み取り装置を装着し得る車載用電子機器において、前面の表示パネルをスライドさせる操作があった場合に、カード読み取り装置からカードの抜き取り操作か否かをユーザに問い合わせ、カードの抜き取り操作である場合にのみ、暗証コードの照合を行うようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【００２２】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、カード読み取り装置を装着し得る車載用電子機器において、カードを抜き取る場合にのみ暗証コード等の照合を行うことにより、煩雑な操作を要することなくカードの盗難を防止できるようにした車載用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２３】
前記課題を解決するために、本願の請求項１にかかる発明は、表示部と操作部を含む前面パネルが車載用電子機器本体の操作面の前面に設けられ、前記操作部を操作して前記前面パネルを移動させて前記車載用電子機器本体の操作面を露出させるように構成された車載用電子機器であって、前記車載用電子機器は、制御部を備え、前記操作部の操作により前記前面パネルの移動が要求された際、前記制御部は、前記操作面に位置するカード挿入部にカードが挿入されているか否かを検出し、カードが挿入されている場合、前記表示部にカードの抜き取りをするか否かを選択する確認画面と、カードの抜き取りをする場合に照合コードの入力を要求する入力画面を、同時または順に表示し、カードの抜き取りが選択された時には、前記操作部の操作により入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、前記前面パネルを移動して前記車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする。
【００２４】
また、本願の請求項２にかかる発明は、請求項１にかかる車載用電子機器において、前記車載用電子機器は、さらに、前記カード挿入部に挿入されたカードをロックするロック手段を備え、前記制御部は、前記カードの抜き取りが選択されなかった時には、前記ロック手段の作動と前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする。
【００２５】
また、本願の請求項３にかかる発明は、請求項１にかかる車載用電子機器において、前記車載用電子機器は、さらに、前記カード挿入部に挿入されたカードをロックするロック手段を備え、前記制御部は、前記カード挿入部にカードが挿入されている場合、前記ロック手段を作動させ、前記カードの抜き取りが選択されなかった時には、前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させ、前記カードの抜き取りが選択された時には、前記操作部の操作により入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、前記ロック手段の解除と前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする。
【００２６】
また、本願の請求項４にかかる発明は、請求項１乃至請求項３のいずれかにかかる車載用電子機器において、前記車載用電子機器本体の操作面に、カード読み取り装置装着部を設け、前記カード読み取り装置装着部に、少なくとも前記カード挿入部と、前記ロック手段と、を備えたカード読み取り装置を装着することを特徴とする。
【００２７】
また、本願の請求項５にかかる発明は、請求項１乃至請求項４のいずれかにかかる車載用電子機器において、前記カード読み取り装置装着部にカード読み取り装置が装着されていない場合、または、前記カード挿入部にカードが挿入されていない場合に、前記操作部の操作により前面パネルの移動が要求された際には、前記前面パネルを移動して車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【００２８】
請求項１にかかる発明においては、カードが装着されているか否かを検出し、カードが装着されている場合、表示部に、カードの抜き取りをするか否かを選択する確認画面と、カードの抜き取りをする場合に照合コードの入力を要求する入力画面を、同時または順に表示し、カードの抜き取りが選択された時には、操作部の操作によって入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、制御手段は前面パネルを移動して車載用電子機器本体の操作面を露出させる。従って、照合コードが一致しない限り前面パネルが開くことがなく、カードの盗難を防止することができるようになる。
【００２９】
請求項２にかかる発明においては、請求項１にかかる車載用電子機器において、カードの抜き取りが選択されなかった時には、制御部は、カードをロックするロック手段の作動と前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させる。従って、カードの抜き取りでない場合には照合コードの入力が不用であり、操作が簡便になるとともに、前面パネルが移動して操作面が露出してもカードがロックされているためカードの盗難を防止することができるようになる。
【００３０】
請求項３にかかる発明においては、請求項１にかかる車載用電子機器において、制御部は、カードがカード挿入部に挿入されている場合、ロック手段を作動させ、カードの抜き取りが選択されなかった時には、前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させ、カードの抜き取りが選択された時には、前記操作部の操作により入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、前記ロック手段の解除と前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させる。従って、カードの抜き取りの場合のみ、カードのロックが解除されるため、カードの抜き取りでない場合には、照合コードの入力が不用であり、操作が簡便になるとともに、前面パネルが移動して操作面が露出してもカードがロックされているためカードの盗難を防止することができるようになる。
【００３１】
請求項４にかかる発明においては、請求項１乃至請求項３のいずれかにかかる車載用電子機器において、前記車載用電子機器本体の操作面にカード読み取り装置装着部を設け、カード読み取り装置装着部に、少なくとも前記カード挿入部と、前記ロック手段と、を備えたカード読み取り装置を装着するものであるから、利用者は車載用電子機器に任意にカード読み取り装置を装着することができ、また、カードの抜き取りでない場合には照合コードの入力が不用であり、操作が簡便になるとともに、前面パネルが移動して操作面が露出されてもカードがロックされるからカードの盗難を防止することができるようになる。
【００３２】
請求項５にかかる発明においては、請求項１乃至請求項４のいずれかにかかる車載用電子機器において、前記カード読み取り装置装着部にカード読み取り装置が装着されていない場合、または、前記カード挿入部にカードが挿入されていない場合に、前記操作部の操作により前面パネルの移動が要求された際には、前記前面パネルを移動して車載用電子機器本体の操作面を露出させる。従って、車載用電子機器にカード読み取り装置が装着されていな場合、または、前記カード挿入部にカードが挿入されていないには、自由に前面パネルを開く（移動させる）ことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の外観図である。
【図２】本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置にＥＴＣ車載器が装着された状態を示す斜視図である。
【図３】本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の分解斜視図である。
【図４】本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図５】表示パネルを操作する際に表示される確認画面の一例を示す図である。
【図６】本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００３４】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化するためのＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこの実施例のＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載用電子機器にも等しく適用し得るものである。
【００３５】
例えば、車載用電子機器は、ナビゲーション機能を有していないその他の車載用電子機器にも適用できるものである。
【００３６】
また、本願発明では、カード読み取り装置の一例として、ＥＴＣ車載器を例示するが、ＥＴＣ車載器のように高速道路料金の料金収受に用いられる送受信器に限られず、例えば、他車両に搭載された送受信器との間でデータの送受信を行うもの（車車間通信用送受信器）や、道路上に設置された路上機との間でデータの送受信を行うもの（路車間通信用送受信器）であってもよく、このような送受信器の一例として、ＦＭ放送や、道路上（一般道又は高速道）に設置された路上機から交通情報を取得できるＶＩＣＳ受信機や、双方の車両内に搭載され車車間通信を行うため、又は、道路上や駐車場に設置された路上機との間で料金収受を行うためなどに用いられるＤＳＲＣ車載器などがある。なお、本発明においては、データの送受信を行う送受信器に限らず、挿入されたカードの情報を読み取る装置であれば本願発明の効果を奏する。
【００３７】
そして、これらを活用したシステムとしてＩＴＳシステム（高度道路交通システム：Intelligent Transport Systems）がある。ＩＴＳシステムとは、他車両に搭載された送受信器や道路上に設置された路上機との間で交通情報の送受信を行うことで自車両周辺の交通状態（自車両に接近してくる緊急車両の存在や、前方に位置する道路の渋滞情報等）をリアルタイムに取得し報知できるものであり、このシステムの普及により交通渋滞の緩和や交通事故の低減が期待されている。
【００３８】
さらに、本願発明では、カードの一例としてＥＴＣカードを例示するが、ＥＴＣ車載器と同様に、高速道路料金の料金収受に用いられるＩＣカードに限られず、例えば、上記のＤＳＲＣ車載器を用いた駐車場での料金収受の際に用いられるＩＣカードであってもよく、また、ＩＣカードや、料金収受を行うカードに限られず、運転免許証など個人情報を含むようなカードであってもよく、運転免許証の情報は、例えば、特開平７−２１０６２８に開示されているような免許証読み取り装置を用いることで、免許証の情報を読み取ることが可能である。
【実施例】
【００３９】
まず、図面を参照して本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の構造を説明する。図１は、本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の外観図、図２は、本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置にＥＴＣ車載器が装着された状態を示す斜視図であり、図３は、本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置の分解斜視図である。
【００４０】
本発明にかかるナビゲーション装置１０は図１の外観図に示すように、ナビゲーション装置本体（筐体）１００の内部に各構成部材が納められ、液晶ディスプレイ１１及び液晶ディスプレイ１１の下部に配置された操作ボタン群１２が、ナビゲーション装置本体１００からスライド部材により引き出されるように構成される（図２斜視図参照）。なお、以下の説明においては、液晶ディスプレイ１１及び液晶ディスプレイ１１の下部に配置された操作ボタン群１２をあわせて前面パネルという。操作ボタン群１２のうちの１つのボタンにパネルオープンボタンが設けられ、このボタンを操作することによりスライド部材（不図示）を駆動して前面パネルをスライド（移動）させて開き、ナビゲーション装置本体１００側の操作面を露出させることができる。
【００４１】
図２は、前面パネルがナビゲーション装置本体１００からスライドして移動された状態を示す斜視図である。ナビゲーション装置の本体１００の操作面には、ＣＤ／ＤＶＤ挿入口１３やＣＤ／ＤＶＤイジェクトボタン１４、ＳＤカード挿入口１５の他に、別途購入等したＥＴＣ車載器２０をナビゲーション装置１０に接続するためのＥＴＣ車載器装着用スロット１６が設けられている。参照符号１９はＥＴＣ車載器２０に設けられたＥＴＣカード挿入口である。
【００４２】
ここで、図２において、ＥＴＣ車載器２０がＥＴＣ車載器装着用スロット１６に装着されている場合、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置している。
【００４３】
なお、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置するとは、図２のように、ＥＴＣカード挿入口１９が設けられたＥＴＣ車載器２０をＥＴＣ車載器装着用スロット１６に装着することにより、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置する場合に限られず、予めＥＴＣ車載器２０を一体に備えたナビゲーション装置１０であれば、常にナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置することになる。すなわち、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置するとは、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が固定されているか、或いは、ＥＴＣカード挿入口１９が設けられたＥＴＣ車載器２０が着脱できるかに関わらないものである。
【００４４】
なお、以下の説明では、ＥＴＣカード挿入口１９が設けられたＥＴＣ車載器２０をＥＴＣ車載器装着用スロット１６に装着することにより、ナビゲーション装置の本体１００の操作面にＥＴＣカード挿入口１９が位置する場合を例にして説明を行う。
【００４５】
図３の分解斜視図に示すように、ＥＴＣ車載器装着用スロット１６は、側面をなすＥＴＣ車載器装着用ガイド部１７２と、ＥＴＣ車載器装着用スロット１６の開口に対向して奥に設けられたＥＴＣ車載器２０とナビゲーション装置１０とを接続するための接続コネクタ１７１と、底面部材１７３とから構成されるＥＴＣ車載器装着部１７で形成される。
【００４６】
ＥＴＣ車載器２０をナビゲーション装置１０に接続する際には、ＥＴＣ車載器装着用スロット１６に、ＥＴＣ車載器２０を挿入し、接続コネクタ１７１とＥＴＣ車載器２０側の接続用コネクタ（不図示）とを接続して装着する。それにより、ナビゲーション装置１０とＥＴＣ車載器２０との接続が完了される。
【００４７】
ＥＴＣ車載器２０の前面にはＥＴＣカード挿入口１９が設けられている。ＥＴＣ車載器２０を用いて高速道路などにおける料金収受を行う場合には、ＥＴＣカードをＥＴＣカード挿入口１９に差し込んで、ＥＴＣ料金収受システムを利用することになる。ＥＴＣカード挿入口１９の近傍には図示しないＥＴＣカードロック機構が設けられ、ＥＴＣカードをロックできるようになっている。なお、図３において、参照符号１８は、地上波デジタル放送を受信するためのＢ−ＣＡＳカードの挿入口である。
【００４８】
ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０が装着されない場合には、ＥＴＣ車載器装着用スロット１６の開口部を蓋体等で覆っておく。蓋体はネジ止めする構成であってもよく、弾性を有する爪部材によって装着するような構成であってもよい。このようにすれば、ＥＴＣ車載器２０が装着されない状態でユーザが誤って他の機器をＥＴＣ車載器装着用スロット１６に装着するようなことがなくなる。
【００４９】
このように、ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を任意に装着できるようにしておけば、ナビゲーション装置１０の製造事業者とＥＴＣ車載器２０の製造事業者とが異なる場合であっても、カー用品の販売事業者等によってナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を装着することができるようになる。
【００５０】
また、このようにナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を任意に装着することができるＥＴＣ車載器装着用スロット１６を設ければ、先ず、第１に、ナビゲーション装置１０とＥＴＣ車載器２０が一体に組み込まれている場合、例えば、ナビゲーション装置１０が故障した場合に再度ＥＴＣ登録（セットアップ）を行わなくてはならなくなるが、任意に装着可能であれば、ナビゲーション装置１０が故障してもＥＴＣ車載器２０を他のナビゲーション装置１０に載せ替えればよく、再セットアップの必要がない。また、逆にＥＴＣ車載器２０が故障した場合は、ＥＴＣ車載器２０のみを取り外して修理することもできる。第２にナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を接続するための専用の配線が必要なくなり、外観がきれいになる。第３に、カー用品の販売店としても配線作業が必要なくなる。第４にユーザがナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を後付けする場合にも配線の作業や費用が必要なくなるなどの利点が得られる。
【００５１】
次に、本発明の実施例にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置１０の構成を説明する。図４は、ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０が装着された場合の構成を示すブロック図である。
【００５２】
ＥＴＣ車載器２０には、ユーザが購入する際にセットアップと呼ばれる作業が行われる。セットアップは、取付け対象となる車両の車両区分（特大・大型・中型・普通・小型等の有料道路の利用料金の区分）及び車両ナンバーといったセットアップ情報をＥＴＣ車載器２０に記憶（登録）させるものである。このセットアップが行われることにより、ＥＴＣ専用レーンの通過時には、料金所の路上機とＥＴＣ車載器２０との間の無線通信によって車両区分が特定されるから、ユーザが車両区分を都度指定しなくても自動的に車両区分に応じた利用料金が徴収される仕組みとなっている。
【００５３】
セットアップ作業は登録認可を受けた専門業者により行われるが、その作業に先立ってＯＲＳＥの側でセットアップ情報の暗号化が行われるようになっている。したがって、ユーザが勝手にセットアップ情報を書き換えることはできない。すなわち、車両区分情報とナンバー情報が登録されたＥＴＣ車載器２０と車両とは、取り付けられているか否かに拘わらず常に一体不可分の関係とされており、ＥＴＣ車載器２０を他の車両に載せ替えて使用することは原則としてできない。別の車両に載せ替えたいときには、再度のセットアップ作業を行わなければならない。なお、このような制限は、なりすまし防止等を理由としたＯＲＳＥの運用規則によるものである。
【００５４】
ナビゲーション装置１０の制御部１は、情報処理手段に相当し、ＣＰＵとＲＯＭやＲＡＭ等の内部メモリ（不図示）を備えてナビゲーション装置１０の制御を統括する。また、ユーザにより車両区分が別途入力されたときには、車両区分情報を内部メモリに登録する。なお、この車両区分は、経路探索部６が車両区分による道路の通行可否を考慮して経路探索処理等を行う際に利用され、あるいは高速道路利用区間の料金算出などに利用されるものであり、利用者がナビゲーション装置１０を搭載する車両に従って任意に登録するものである。
【００５５】
操作部２は、ナビゲーション装置１０における目的地の入力やその他各種の入力を行うための各種キー、スイッチなどから構成され、前述の操作ボタン群１２やＣＤ／ＤＶＤイジェクトボタン１４なども操作部２に含まれる。前述のナビゲーション装置１０への車両区分の入力もこの操作部２により行われる。
【００５６】
表示部３は、地図画像や最適経路画像、誘導案内画像を表示してユーザが視認できるようにするためのマンマシンインターフェースとしての役割を担うものであり、例えば液晶ディスプレイで構成され、前述の液晶ディスプレイ１１も表示部３に含まれる。なお、この表示部３は、タッチセンサーを具備させて操作部２の一部を担うように構成することもできる。この場合は画面上に表示されるアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われるようにする。
【００５７】
現在位置検出部４は、ＧＰＳ信号、速度センサ、方位センサ等により車両の現在位置を検出する。
【００５８】
地図記憶部５は、道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータとを含む地図データが記憶されている。より詳細には地図データの道路（経路）をその結節点、屈曲点の位置を道路ノードとし、各道路ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報（距離や所要時間）をデータベースとして備えている。
【００５９】
経路探索部６は、現在位置検出部４により検出された現在位置から、操作部２を介して指定された目的地までの最適な経路を探索する。より具体的には、地図記憶部５に蓄積された地図データを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るまでのリンクを順次探索し、コスト情報が最小となるノード、リンクを探索して最適経路を決定する。なお、このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。
【００６０】
経路記憶部７には、上述のようにして経路探索部６で探索された最適経路が記憶される。
【００６１】
制御部１は、経路案内時において、経路記憶部７に記憶された最適経路のうち、現在位置検出部４により検出された現在位置を中心とした所定範囲の地図データを抽出して表示部３に表示するとともに、最適経路に記憶された案内報知ポイントに到達したときは、後述する音声出力部８を介して案内報知を行う。このように時々刻々変化する現在位置に応じて都度地図データの表示を切り替えながら目的地までの誘導案内を行う。
【００６２】
音声出力部８は、スピーカー等で構成され、最適経路を経由する誘導案内時の案内報知、キー操作音、その他ナビゲーション装置１０に関する種々の音声報知を行う。また、エンジン停止時にＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードが装着されたままになっている場合や、エンジン始動時に装着がなされていないときには、その旨を音声報知する際にも利用される。
【００６３】
車両区分特定部９は、ワンチップＩＣとして構成され、デコーダとして機能させるための復号化プログラムが格納されている。詳細には、ＥＴＣ車載器２０に格納された暗号化されたセットアップ情報を復号化し、その中に含まれる車両区分情報のみを制御部１に出力するように構成されている。なお、セットアップ情報は、秘密性の高い高度な暗号化処理が施されているため、ナビゲーション装置１０の製造者に復号化プログラムが提供されることが前提になる。
【００６４】
次に、ＥＴＣ車載器２０について説明する。ＥＴＣ車載器２０は、ＥＴＣカードリーダー２１と、送受信部２２と、車載器識別情報記憶部２３と、セットアップ情報記憶部２４からなる。ＥＴＣカードリーダー２１は、ＥＴＣカードの装着有無を検知するとともに、ＥＴＣカードを受け入れてＥＴＣカードのＩＤ情報を読み取る。さらに、ＥＴＣカードリーダー２１には、ロック機構（不図示）が設けられ、制御部１の指示により、ロック機構を作動させるとＥＴＣカードの抜き取りができないようになる。
【００６５】
送受信部２２は、無線アンテナ機能を有し、車両が有料道路の入口あるいは出口を通過する際に、入口、出口に設置された路上機との間で無線通信を行い、路上機へカードＩＤ情報やＥＴＣ車載器２０の識別情報等を送信し、路上機からは通過した料金所データ等を受信する処理を担う。
【００６６】
識別情報記憶部２３には、ＥＴＣ車載器２０に固有の車載器識別情報が格納されている。この車載器識別情報は、上述のように料金所の路上機との無線通信の際に利用される。
【００６７】
セットアップ情報記憶部２４には、セットアップ情報が格納されている。セットアップ情報はＯＲＳＥの側で暗号化されたものであり、セットアップ作業の際にＥＴＣ車載器２０に対応づけられた車両のナンバー情報と、車両区分情報とを含むものである。
【００６８】
ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０が接続されたときには、当然に利用者によってＥＴＣカードの抜き差しが行われる。このため利用者によって前面パネルをスライドさせて開く操作（パネルオープン操作という）が行われる。パネルオープン操作により前面パネルが開かれると、ＥＴＣ車載器２０に装着されたＥＴＣカードを抜き取ることができるため、盗難を防止することが必要になる。このためには、パネルオープン操作が行われた際に、暗証コードやＥＴＣカードのＩＤ番号などの照合コードを入力して照合を行い、正規の利用者であることを確認した後に、前面パネルを開くように構成すればよい。
【００６９】
しかしながら、このパネルオープン操作は、ナビゲーション装置１０の他の機能、音楽や画像の再生機能や地上波デジタル放送の視聴機能などを利用する際に、ＤＶＤやＳＤカードなどを抜き差しする場合にも行われる。前述のような照合方法を採る場合には、ＥＴＣカードを抜き取る意図がないにもかかわらず、パネルオープン操作の都度照合コードの入力が必須になってしまう。
【００７０】
そこで、本発明の実施例におけるナビゲーション装置１０においては、パネルオープン操作があった際に、ＥＴＣカードの抜き取りか否かを確認する確認問い合わせと照合コード入力画面を表示し、ＥＴＣカードの抜き取りである場合にのみ、照合コードの入力を要求し、照合が取れた場合に前面パネルを開くことができるように構成する。ＥＴＣカードの抜き取りでない場合には、前面パネルが無条件で開かれることになるので、この場合は、ＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードをロックするロック機構を作動させＥＴＣカードの抜き取りができないようにする。
【００７１】
図５は、パネルオープン操作があった際に、ＥＴＣカードの抜き取りか否かを確認する確認問い合わせと照合コード入力画面の一例を示す図である。図５の画面例では、ＥＴＣカードの抜き取りであるか否かを利用者にチェックさせる確認画面と、照合コード入力欄とを同じ表示画面に表示する構成であるが、先ずＥＴＣカードの抜き取りか否かを問い合わせる画面を表示し、ＥＴＣカードの抜き取りが選択された場合に、照合コード入力画面に画面遷移する構成であってもよい。
【００７２】
利用者は図５の表示に従って、ＥＴＣカードの抜き取りであれば、「ＹＥＳ」を選択し、照合コードを入力する。照合コードは利用者が設定した暗証コードであってもよく、ＥＴＣカードのＩＤコードであってもよい。ナビゲーション装置１０は入力された照合コードに基づいて照合を行い、照合が取れた場合には前面パネルをオープンする。照合がとれなければ、警告画面やエラー画面を表示したり、照合コードを再度入力させたりする。
【００７３】
ＥＴＣカードの抜き取りでなければ、「ＮＯ」を選択する。「ＮＯ」が選択されると、ナビゲーション装置１０はＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードのロック機構を作動させ、ＥＴＣカードの抜き取りができないようにした上で、前面パネルをオープンする。このような構成とすることにより、利用者に煩雑な操作を要求することなく、不正にＥＴＣカードが抜き取られないようにすることができる。
【００７４】
なお、ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０が装着されているか否かを検出する構成とし、ＥＴＣ車載器２０が装着されていない場合には、パネルオープン操作が行われた際に、前述した確認問い合わせ、照合コード入力画面を表示することなく、前面パネルを開くように構成することが好ましい。
【００７５】
また、ＥＴＣ車載器２０が装着された際には、ＥＴＣ車載器２０のセットアップ情報記憶部２４に記憶された車両区分情報とナビゲーション装置１０に登録された車両区分とを比較し、それら車両区分が一致していないときにはその旨がナビゲーション装置１０のモニター画面やスピーカー等を通じてユーザに通知することができる。これにより、ユーザに対して、使用する車両の車両区分と、ＥＴＣ車載器２０に登録された車両区分との整合の確認を促すことができるようになる。従って、ＥＴＣ車載器２０に登録された車両区分と異なる車両に搭載した場合には、高速道路料金の算出に不都合を生じるなどの注意を喚起することができるようになる。
【００７６】
図６は、以上説明したナビゲーション装置１０の動作手順を示すフローチャートである。ナビゲーション装置１０にはＥＴＣ車載器２０が装着されているものとして以下の説明を行う。利用者が前面パネルをオープンしたい場合には、操作部２（操作ボタン群１２のうち、前面パネルをオープンするためのボタン）を操作し、前面パネルオープンを要求する（ステップＳ１０１）。
【００７７】
前面パネルオープンの要求があると、制御部１はＥＴＣ車載器２０におけるＥＴＣカードの装着状態を検出し（ステップＳ１０２）、ステップＳ１０３でＥＴＣカードが装着された状態か否かを判別する。
【００７８】
ここで、ステップＳ１０２におけるＥＴＣカードの装着状態の検出は、ＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードの装着状態を問い合わせる構成でもよく、ＥＴＣ車載器２０から直接ＥＴＣカードの装着信号を取得する構成でもよい。
【００７９】
ＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードが装着されていない場合（ステップＳ１０３のＮＯ）は、ＥＴＣカードが盗難にあうことはないので、制御部１は、スライド部材を駆動して前面パネルをオープンする（ステップＳ１０８）。ＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードが装着されている場合（ステップＳ１０３のＹＥＳ）は、表示部３（液晶ディスプレイ１１）にＥＴＣカードを抜き取りであるか否かを確認する画面を表示して問い合わせを行う（ステップＳ１０４）。
【００８０】
ＥＴＣカードの抜き取りでない旨の選択（問い合わせ回答）があると（ステップＳ１０４のＮＯ）、制御部１は、ＥＴＣ車載器２０にＥＴＣカードのロック機能の作動を指示してＥＴＣカードが抜き出せない状態とし（ステップＳ１０６）、スライド部材を駆動して前面パネルをオープンする（ステップＳ１０８）。
【００８１】
なお、ロック機能の作動および前面パネルのオープンは、前面パネルがＥＴＣカードの抜き取りが可能な位置にオープンされるまでに、ロック機能が作動可能な範囲で、同時に行なってもよい。
【００８２】
ＥＴＣカードの抜き取りである旨の選択（問い合わせ回答）があると（ステップＳ１０４のＹＥＳ）、制御部１は、表示部３（液晶ディスプレイ１１）に照合コード入力画面を表示し、利用者に照合コードの入力を要求する（ステップＳ１０５）。照合コードが入力されると、制御部１はステップＳ１０７で、予め定められた照合コードと比較し、入力された照合コードが正しいか否かを判別する。
【００８３】
照合の結果、正しい照合コードが入力されたと判別する（ステップＳ１０７のＹＥＳ）と、制御部１は、スライド部材を駆動して前面パネルをオープンする（ステップＳ１０８）。一方、正しい照合コードが入力されなかったと判別する（ステップＳ１０７のＮＯ）と、ステップＳ１０５の照合コード入力画面の表示に戻り、入力のリトライを要求する。
【００８４】
なお、この場合、所定回数、照合コードのリトライをさせても正しい照合コードが入力されない場合は、警告を表示して前面パネルオープンの処理（本フローチャートの処理）を終了させるように構成するとよい。また、ＥＴＣ車載器２０が装着されていない場合には、本フローチャートの処理をスキップするように構成することが好ましい。
【００８５】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかるＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置によれば、ナビゲーション装置１０にＥＴＣ車載器２０を任意に装着することができ、ＥＴＣ車載器２０が装着された際に、ナビゲーション装置１０の前面パネルをオープンする操作があった際、ＥＴＣカードの抜き出しの場合にのみ、照合コード入力を要求するから、ＥＴＣカードの盗難を防止することができ、また、他の目的で前面パネルをオープンする時の操作を煩雑にすることがなくなる。
【００８６】
また、上記実施例では、パネルオープン操作があった際に、ＥＴＣカードの抜き取りか否かを確認し、ＥＴＣカードの抜き取りでない旨の選択がされると、ＥＴＣカードのロック機能を作動させＥＴＣカードが抜き出せない状態とし、前面パネルをオープンする。すなわち、パネルオープン操作がなければ、ロック機能を作動させないが、これに限ることはなく、例えば、ＥＴＣカードリーダー２１によりＥＴＣカードの装着が検出されると、ＥＴＣカードのロック機能を作動させＥＴＣカードが抜き出せない状態とし、パネルオープン操作があった際に、ＥＴＣカードの抜き取りか否かを確認し、ＥＴＣカードの抜き取りでない旨の選択がされると、ロック機能を作動させたまま、前面パネルをオープンする。そして、ＥＴＣカードの抜き取りである旨の選択がされると、照合コードの入力を促し、正しい照合コードが入力されると、ロック機能を解除し、前面パネルをオープンする。すなわち、ＥＴＣカードのロック機能を常に作動させＥＴＣカードが抜き出せない状態とし、ＥＴＣカードの抜き取りの際に、正しい照合コードが入力されたときのみ、ロック機能を解除するようにしてもよい。
【００８７】
上記の実施例は、ＥＴＣ車載器着脱機構を有するナビゲーション装置を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、ＥＴＣ車載器を一体に備えたナビゲーション装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【００８８】
１ 制御部
２ 操作部
３ 表示部
４ 現在位置検出部
５ 地図記憶部
６ 経路探索部
７ 経路記憶部
８ 音声出力部
９ 車両区分特定部
１０ ナビゲーション装置
１００ ナビゲーション装置本体（筐体）
１１ 液晶ディスプレイ
１２ 操作ボタン群
１３ ＣＤ／ＤＶＤ挿入口
１４ ＣＤ／ＤＶＤイジェクトボタン
１５ ＳＤカード挿入口
１６ ＥＴＣ車載器装着用スロット
１７ ＥＴＣ車載器装着部
１７１ 接続コネクタ
１７２ ＥＴＣ車載器装着用ガイド部
１７３ 底面部材
１８ Ｂ−ＣＡＳカード挿入口
１９ ＥＴＣカード挿入口
２０ ＥＴＣ車載器
２１ ＥＴＣカードリーダー
２２ 送受信部
２３ 車載器識別情報記憶部
２４ セットアップ情報記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
表示部と操作部を含む前面パネルが車載用電子機器本体の操作面の前面に設けられ、前記操作部を操作して前記前面パネルを移動させて前記車載用電子機器本体の操作面を露出させるように構成された車載用電子機器であって、
前記車載用電子機器は、制御部を備え、前記操作部の操作により前記前面パネルの移動が要求された際、
前記制御部は、前記操作面に位置するカード挿入部にカードが挿入されているか否かを検出し、カードが挿入されている場合、前記表示部にカードの抜き取りをするか否かを選択する確認画面と、カードの抜き取りをする場合に照合コードの入力を要求する入力画面を、同時または順に表示し、カードの抜き取りが選択された時には、前記操作部の操作により入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、前記前面パネルを移動して前記車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする車載用電子機器。
【請求項２】
前記車載用電子機器は、さらに、前記カード挿入部に挿入されたカードをロックするロック手段を備え、
前記制御部は、前記カードの抜き取りが選択されなかった時には、前記ロック手段の作動と前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする請求項１に記載の車載用電子機器。
【請求項３】
前記車載用電子機器は、さらに、前記カード挿入部に挿入されたカードをロックするロック手段を備え、
前記制御部は、前記カード挿入部にカードが挿入されている場合、前記ロック手段を作動させ、前記カードの抜き取りが選択されなかった時には、前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させ、前記カードの抜き取りが選択された時には、前記操作部の操作により入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、前記ロック手段の解除と前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする請求項１に記載の車載用電子機器。
【請求項４】
前記車載用電子機器本体の操作面に、カード読み取り装置装着部を設け、
前記カード読み取り装置装着部に、少なくとも前記カード挿入部と、前記ロック手段と、を備えたカード読み取り装置を装着することを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項５】
前記カード読み取り装置装着部にカード読み取り装置が装着されていない場合、または、前記カード挿入部にカードが挿入されていない場合に、前記操作部の操作により前面パネルの移動が要求された際には、前記前面パネルを移動して車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項１】
表示部と操作部を含む前面パネルが車載用電子機器本体の操作面の前面に設けられ、前記操作部を操作して前記前面パネルを移動させて前記車載用電子機器本体の操作面を露出させるように構成された車載用電子機器であって、
前記車載用電子機器は、制御部を備え、前記操作部の操作により前記前面パネルの移動が要求された際、
前記制御部は、前記操作面に位置するカード挿入部にカードが挿入されているか否かを検出し、カードが挿入されている場合、前記表示部にカードの抜き取りをするか否かを選択する確認画面と、カードの抜き取りをする場合に照合コードの入力を要求する入力画面を、同時または順に表示し、カードの抜き取りが選択された時には、前記操作部の操作により入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、前記前面パネルを移動して前記車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする車載用電子機器。
【請求項２】
前記車載用電子機器は、さらに、前記カード挿入部に挿入されたカードをロックするロック手段を備え、
前記制御部は、前記カードの抜き取りが選択されなかった時には、前記ロック手段の作動と前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする請求項１に記載の車載用電子機器。
【請求項３】
前記車載用電子機器は、さらに、前記カード挿入部に挿入されたカードをロックするロック手段を備え、
前記制御部は、前記カード挿入部にカードが挿入されている場合、前記ロック手段を作動させ、前記カードの抜き取りが選択されなかった時には、前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させ、前記カードの抜き取りが選択された時には、前記操作部の操作により入力された照合コードと予め設定された照合コードとを照合し、両者が一致した場合に、前記ロック手段の解除と前記前面パネルの移動を行い車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする請求項１に記載の車載用電子機器。
【請求項４】
前記車載用電子機器本体の操作面に、カード読み取り装置装着部を設け、
前記カード読み取り装置装着部に、少なくとも前記カード挿入部と、前記ロック手段と、を備えたカード読み取り装置を装着することを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項５】
前記カード読み取り装置装着部にカード読み取り装置が装着されていない場合、または、前記カード挿入部にカードが挿入されていない場合に、前記操作部の操作により前面パネルの移動が要求された際には、前記前面パネルを移動して車載用電子機器本体の操作面を露出させることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の車載用電子機器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１１−２８７３３（Ｐ２０１１−２８７３３Ａ）
【公開日】平成２３年２月１０日（２０１１．２．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１３９５４６（Ｐ２０１０−１３９５４６）
【出願日】平成２２年６月１８日（２０１０．６．１８）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．ＶＩＣＳ
【出願人】（０００００１８８９）三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】（０００２１４８９２）三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年２月１０日（２０１１．２．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年６月１８日（２０１０．６．１８）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．ＶＩＣＳ
【出願人】（０００００１８８９）三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】（０００２１４８９２）三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]