説明

車載空調制御装置および制御方法

【課題】排気が十分行われない停車環境でのエンジン起動を回避することのできる車載空調制御装置を提供する。
【解決手段】車両10のマフラー117の付近に障害物が存在するか否かを検出する障害物センサ109と、障害物センサ109の検出結果を判定する第2制御部113と、車両10の空気調和機111へ供給する電源を切替えるスイッチ110とを備え、第2制御部113がマフラー付近の障害物の有無に応じてスイッチ110を制御することで車両10のオルタネータ116から空気調和機111への電源供給と車両10のバッテリ108から車両10の空気調和機111への電源供給とを切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエンジンの動作状態と車室内の人の存在有無を検出し、この検出結果に応じて車両に搭載された空気調和機を制御する車載空調制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車載空調制御装置として、車内温度が高温になるのを防止するために、車内の人の存在を検出しその検出結果を通報する装置があり、車両の停止を検出する速度センサと、車内の人体を検出する質量センサと、車内の温度を検出する温度センサを用いて、車内の停止および車内の人を検出した際にエンジンを起動させると共に、車両空気調和制御部により、空気調和機を起動させ車内温度を調整するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−063668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の車載空調制御装置は、車内温度が高温になるのを防止する上でかなり有用であったが、さらに有用な装置の開発が望まれていた。本発明はこのような観点からされたもので、車両のマフラー付近の障害物を検知することにより、さらに有用な装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の車載空調制御装置は、車両が停止しているか否を検出する速度センサと、前記車両の車内に搭乗者が存在するか否かを検出する質量センサと、前記車両の車内の温度を検出する温度センサと、前記車両の車内が密閉されているか否かを検出する車内開閉センサと、前記車両の排気口の付近に障害物が存在するか否かを検出する障害物センサとを含む複数のセンサと、前記複数のセンサの各センサが検出した結果から前記車両の状態を判別する制御部と、前記車両の空気調和機へ供給する電源を切替えるスイッチとを備え、前記制御部は、前記制御部が判別した前記車両の状態に応じて前記スイッチを制御して、前記車両のオルタネータから前記車両の空気調和機への電源供給と前記車両のバッテリから前記車両の空気調和機への電源供給とを切替える構成を有している。
【0005】
この構成により、車両のエンジンを起動して電源供給を行うか否かを車両のマフラー付近に障害物があるか否かに応じて判断するため、排気が十分行われない停車環境でのエンジン起動を回避することができる。
【0006】
また、本発明の車載空調制御装置は、前記制御部が、前記速度センサが前記車両の停止を検出し、前記質量センサが前記車両の車内に搭乗者が存在することを検出し、前記温度センサが前記車両の車内の温度が所定の温度より高いことを検出し、前記車内開閉センサが前記車両の車内が密閉されていることを検出し、前記障害物センサが前記車両の排気口の付近に障害物が存在することを検出した場合に、前記車両のバッテリから前記車両の空気調和機へ電源を供給するように前記スイッチを制御する構成を有している。
【0007】
この構成により、障害物センサを用いてマフラー付近の障害物がないと判断した場合はエンジンを起動させてオルタネータが発電した電力を供給し、障害物があると判断した場合は、エンジンを起動せずバッテリーより供給することができるので、排気が十分行われない停車環境でのエンジン起動を回避し、不必要な排気ガスの排出を防止することができる。
【0008】
また、本発明の車載空調制御装置は、前記制御部が、前記複数のセンサのうち前記障害物センサを除く各センサが検出した結果から前記車両の状態を判別して判別結果を出力する第1制御部と、前記第1制御部から出力された判別結果と前記障害物センサの検出結果に応じて前記スイッチを制御する第2制御部とからなり、前記第1制御部は、前記速度センサが前記車両の停止を検出し、前記質量センサが前記車両の車内に搭乗者が存在することを検出し、前記温度センサが前記車両の車内の温度が所定の温度より高いことを検出し、前記車内開閉センサが前記車両の車内が密閉されていることを検出した場合に前記車両のバッテリから前記第2制御部へ電源電力を供給する構成を有している。
【0009】
この構成により、必要以上に制御部の処理を実行させずにすむため、装置の省電力化を実現することができる。
【0010】
また、本発明の車載空調制御装置は、前記複数のセンサを間欠動作させるシステム動作スイッチを有した構成である。
【0011】
この構成により、必要以上に検出動作を実行させずにすむため、装置の省電力化を実現することができる。
【0012】
また、本発明の車載空調制御装置は、前記車両に緊急用の補助バッテリが設けられ、前記スイッチが前記車両のバッテリと前記車両のオルタネータと前記補助バッテリとのうちのいずれか1つに切り替えて前記車両の空気調和機への電源を供給する構成を有している。
【0013】
この構成により、バッテリー上がりによって制御が行えなくなることを回避することができる。
【0014】
また、本発明の制御方法は、車両に搭載された空気調和きを制御する車載空調制御装置の制御方法であって、前記車両が停止していることが検出され、前記車両の車内に搭乗者が存在することが検出され、前記車両の車内の温度が所定の温度より高いことが検出され、前記車両の車内が密閉されていることが検出され、前記車両の排気口の付近に障害物が存在することが検出された場合に、マイクロコンピュータを用いて前記車両のバッテリから前記車両の空気調和機への電源を供給するように制御させる構成を有している。
【0015】
この構成により、マフラー付近の障害物がないと判断した場合はエンジンを起動させてオルタネータが発電した電力を供給し、障害物があると判断した場合は、エンジンを起動せずバッテリーより供給することができるので、排気が十分行われない停車環境でのエンジン起動を回避し、不必要な排気ガスの排出を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車内の温度が高温になりすぎるのを回避するために起動させる空気調和機への電源供給の際に、車両のエンジンを起動して電源供給を行うか否かを車両のマフラー付近に障害物があるか否かに応じて判断するため、排気が十分行われない停車環境でのエンジン起動を回避する車載空調制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態にかかわる車載空調制御装置について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1に本発明の実施の形態に係る車載空調制御装置の概略構成図を示す。
【0019】
図1に示すとおり、本発明の実施の形態に係る車載空調制御装置100が搭載される車両10は一般的な車両であって、車両10を走行させるための内燃機関であるエンジン112と、ベルトを介してエンジン112によって駆動されて発電し、必要な電力を各種の電気負荷へ供給するためのオルタネータ116と、オルタネータ116で発電した電力を蓄え、必要に応じて適宜各種の電気負荷へ電力を供給するバッテリ108と、車内を適度な温度に保つための空気調和機111と、さらに、エンジン112の排気ガスが放出される排気口としてのマフラー117とを備えている。
【0020】
また、車載空調制御装置100は、複数のセンサが用いられる。すなわち、車載空調制御装置100は、車両10が停止しているか否かを検出する速度センサ101と、車両10の内部(車内)に人が存在しているか否かを検出する質量センサ102と、車内の温度を検出する温度センサ103と、車内開閉センサとしての、ドアの開閉状態を検出するドア開閉センサ104および窓の開閉状態を検出する窓開閉センサ105と、マフラー117の付近に障害物が存在するか否かを検出する障害物センサ109が用いられる。
【0021】
速度センサ101としては、自車両10のスピードメータなどに用いられる速度センサを流用することができる。ドア開閉センサ104としても、あらかじめ車両10に設けられ、半ドア状態を警告するためのセンサを流用することができる。質量センサ102は、測定点の質量を検出できるものが好ましいが、測定点における人あるいは物の存在有無を検出できれば充分であり、感圧素子などを用いた圧力センサなどを用いることができる。窓開閉センサ105は、車両10の窓を閉めた状態が検出できればよく、窓の閉時に窓に押圧されて作動するスイッチを用いたものを利用できる。
【0022】
これらの各センサのうち障害物センサ109を除く他のセンサは、第1制御部106に電気的に接続される。第1制御部106には、入力された信号の演算処理を行うCPUや演算に必要なプログラムを格納したROMやRAMを備えたマイクロプロセッサが用いられ、各センサが出力した検出信号を受信して、車両10および車内の状態を判断する。
【0023】
そして、第1制御部106と障害物センサ109とが電気的に第2制御部113に接続されている。詳細は後述するが、第1制御部106が第1制御部106に接続されている各センサから出力される検出結果を基に車内の状態を判別し、特定の判別結果となった場合にのみバッテリ108から第1制御部106を介して第2制御部113を動作させるための電源電力が第2制御部113へ供給される。
【0024】
第1制御部106から第2制御部113へ車内の状態を示す信号が送信され、障害物センサ109から第2制御部113へ車両10排気環境を示す信号としての、マフラー117付近の障害物の有無を示す信号が送信される。第2制御部113は、第1制御部106から送信された信号と障害物センサ109から送信された信号をもとに、空気調和機111への電力供給元をオルタネータ116とするかバッテリ108とするかの判定を行い、判定結果に応じてスイッチ110を切替える制御を行う。
【0025】
すなわち、第1制御部106と第2制御部113が判別した車両10の状態に応じてスイッチ110を制御して、車両10のオルタネータ116から空気調和機111への電源供給と車両10のバッテリ108から空気調和機111への電源供給とを切替えている。
【0026】
さらに、車載空調制御装置100は、所定時間間隔で各センサへの給電を行い監視処理を行うシステム動作スイッチ114を有する。システム動作スイッチ114はマイクロプロセッサを用いて構成されており、バッテリ108から電源電力が供給されている。
【0027】
速度センサ101、質量センサ102、温度センサ103、ドア開閉センサ104、窓開閉センサ105のそれぞれは、システム動作スイッチ114を用いて所定時間の間隔にて間欠動作するよう制御されている。すなわち、システム動作スイッチ114は、その内部に設けられているタイマ機能を用いて、上記各センサに対する電源電力の供給の開始と電源電力供給開始一定時間後の電源電力供給終了を繰り返す制御を行っている。換言すると、システム動作スイッチ114が所定時間をカウントすることにより車内の車載空調制御装置100の全体を継続的に間欠運転して電力の節電を図っている。このように間欠動作を行うことによりバッテリ108のバッテリ上がりが防止される。
【0028】
また、第1制御部106は、受信したデータを演算することで速度センサ101から読み込んだ車両10の速度がゼロのときに車両10が走行を停止したと判断する機能と、ドア開閉センサ104から読み込んだ検出結果がドア閉状態であり、かつ窓開閉センサ105から読み込んだ検出結果が車両10全ての窓が閉状態である、すなわち車内が密閉されていると判断する機能と、車両10の座席上に複数敷設された複数の質量センサ102から読み込んだ座席上の質量分布により人や物の有無を検出し、その質量分布の時間的変化により人や物の動きを検出する機能と、温度センサ103により検出された車内の温度が所定温度以上であることを検出する機能を備えている。
【0029】
さらに、第1制御部106は、これら複数のセンサ101〜105の検出結果をふまえて、車内の状態を示す通報信号を第2制御部113に出力する。すなわち、速度センサ101が車両10の停止を検出し、質量センサ102が前記車両10の車内に搭乗者が存在することを検出し、温度センサ103は車両10の車内の温度が所定の温度より高いことを検出し、ドア開閉センサ104および窓開閉センサ105が車両10の車内が密閉されていることを検出した場合、第1制御部から第2制御部へ特定の通報信号が送出される。
【0030】
第2制御部113は、例えばマイクロプロセッサー等からなるもので、マフラー付近の障害物の有無を検出する障害物センサ109と、車内温度を調整する空気調和機111と、空気調和機111に電源供給可能にもうけられたオルタネータ116障害物センサ109によるマフラー付近の障害物の検出結果により空気調和機111への電圧供給源を切り替えるスイッチ110と電気信号ラインにより接続されていて、第1制御部106から受信した通報信号と障害物センサ109から受信した障害物の有無を示す信号とを演算することで空気調和機111に電源供給する手段を判定する機能を備えている。
【0031】
障害物センサ109は、図2のように車両10が後退する際の運転支援等のために設置されているセンサを用いることができ、たとえば、超音波や無線電波、光線などを放射して反射が有るか無いかによってマフラー117付近の障害物の有無を検出する。ここで、マフラー117の「付近」とは、「付近」に何らかの障害物が存在することによって、マフラー117から排出された排気ガスの大気中への拡散が妨げられてしまう「マフラー117との距離」であって、「付近」に障害物があることで排気ガスが空中に広く拡散せずに滞留してしまうような「マフラー117との距離」であり、実験を行ったり排気ガスの気流をシミュレーションすることなどによって適宜設定される「マフラー117との距離」である。
【0032】
また、第2制御部113は、第1制御部106からの通報信号を受信したときに、第1制御部106の給電制御手段によりバッテリー108から第1制御部106の内部を通じて電源が給電されて起動する。
【0033】
また、第2制御部113は、障害物センサ109を用いてマフラー付近の障害物の有無を検出する機能と、車内温度が車内の人体に対して危険状態となることを回避するために用いられる空気調和機111への電源供給手段であるエンジン112を起動する機能と、
車内温度が所定の温度よりも高くなることを回避するための空気調和機111を制御する機能とを備えている。ここで「所定の温度」とは、搭乗者にとって健康上問題にならない程度の温度であって、温度センサ103が設置される位置によって異なるため、搭乗者が車内のどの位置に居ても搭乗者にとって健康上問題にならない程度の温度を車両10の車種ごとに実験結果やシミュレーション結果に応じて設定される温度である。
【0034】
また、第2制御部113は、マフラー付近の障害物の有無を検出する障害物センサ109の検出結果により車両10の排気環境を判定し、空気調和機111への電源供給方法をオルタネータ116もしくはバッテリー108に切り替えるスイッチ110を制御する機能を備えている。障害物センサ109によりマフラー付近に障害物がないことを検出し十分排気することができる環境である場合は、エンジン112を起動し空気調和機111の電源として供給する。障害物センサ109によりマフラー付近に障害物があることを検出し十分に排気することができない環境である場合は、バッテリー108を空気調和機111の電源として供給する。
【0035】
以上のように構成された車載空調制御装置100について、その動作を説明する。
【0036】
図3は、本実施の形態の車載空調装置の制御フローを示すフロー図である。
【0037】
まず、システム動作スイッチ114が作動して、速度センサ101、質量センサ102、温度センサ103、ドア開閉センサ104、窓開閉センサ105のそれぞれに対して電源電力の供給が開始されると各センサが検出動作を開始し、第1制御部106が、車両10の状態をチェックする(S1)。
【0038】
すなわち、第1制御部106は、速度センサ101、ドア開閉センサ104、窓開閉センサ105、各温度センサ103、各質量センサ102から各々の検出結果を読み込み、その次に、車両10が走行を停止し、かつ車内が密室状態で所定の温度以上の状態にあるか否かを判断する(S2)。
【0039】
このとき、第1制御部106は、速度センサ101により検出された車両10の速度がゼロであれば、車両10が停止状態にあると判断している。また、ドア開閉センサ104により検出された全ドアが閉扉状態であり、かつ窓開閉センサ105により検出された全窓が閉状態であれば車両10が密室状態にあると判断している。さらに、各温度センサ103により検出された車内の温度が所定の温度以上であるか否かを判断している。
【0040】
そして、「車両が停止している」、「車両が密閉されている」、「車内が所定の温度以上の高温である」の3条件のうちのいずれかを欠くとき、すなわち、車両が走行中である、または、車両の窓あるいはドアが開いていて車室内から室外へあるいは車室外から車室内への空気の流れがある、または、車内が所定の温度より低い、という条件のうち少なくとも1つを満たす状態にある場合は、エンドへ進んで車載空調制御装置100の制御処理が終了する。
【0041】
一方、ステップS2においてYesのとき、すなわち「車両が停止している」、「車両が密閉されている」、「車内が所定の温度以上の高温である」の3条件が同時に満たされた場合は、質量センサ102の検出結果を読み込む(S3)。
【0042】
この後、座席上の質量分布から車内に人または物の存在有無を判断する(S4)。ステップS4にて、Noのとき、すなわち「人または物は存在しない」場合はエンドへ進んで車載空調制御装置100の制御処理が終了する。
【0043】
一方、ステップS4においてYesのとき、すなわち、第1制御部106が「車内に人が居る、または、物がある」と判断したときは、次ステップへ進み、複数の質量センサ102の各質量センサ102による検出結果である質量分布を一定時間記憶して質量分布の時間的変化を第1制御部106にて観測し(S5)、車内にある対象が人であるか物であるかの識別を行って判断する(S6)。ステップS6における判断結果が、Noのとき、すなわち車内にある対象が物であるときはエンドへ進み車載空調制御装置100の制御処理が終了する。
【0044】
ステップS6における判断結果がYesのとき、すなわち車内にある対象が人であると判断された場合、第2制御部113を介して障害物センサ109を起動して、マフラー117付近の障害物を検出を行う(S7)。
【0045】
ステップS7においてYesのとき、すなわち障害物センサ109がマフラー117付近に障害物があると判断したときは、第1制御部が第2制御部113を介して、あるいは第2制御部113がスイッチ110を制御して、バッテリー108から空気調和機111へ電源供給を行い、さらに第2制御部113が制御信号を出力して空気調和機111の動作を制御する(S9)。
【0046】
ステップS7においてNoのとき、すなわち障害物センサ109がマフラー117付近に障害物は無いと判断したときは、第1制御部が第2制御部113を介して、あるいは第2制御部113がスイッチ110を制御してオルタネータ116から空気調和機111へ電源供給を行うよう切替え制御を行うとともに、第2制御部113がエンジン112を起動させたうえで第2制御部113が空気調和機111の動作を制御する(S10)。
【0047】
なお、ステップS9においてスイッチ110を切替えて空気調和機111の電源供給源として用いるバッテリ108は、エンジン112の始動時にセルを回したり車両10に搭載される多くの電装品を動作させるためのものであるので、緊急時(ステップS9に該当するタイミング)においては空気調和機111の電源供給源として、図4に示す構成のように、あらかじめ車両10にバッテリ108とは別に設置された緊急用バッテリー115を用いることにより、不用意なバッテリー上がりを回避することが可能である。
【0048】
以上説明したとおり、本実施の形態の車載空調制御装置100によれば、車内の温度が高温になった場合に車両10の空気調和機111を起動して車内の温度を下げる制御を行うときに、排気ガスを排出するマフラー117の付近に排気ガスの拡散を妨げる障害物の有無を検出して排気環境を確認し、空気調和機111への電源供給方法を決定することにより、車内の搭乗者に対する排気ガスの悪影響を防止した上で車内の温度を下げることができるというより有用な車載空調制御装置を実現することができる。
【0049】
なお、以上の説明において、車両10の窓が閉じていてなおかつ車両10のドアも閉じている状態を「車内が密閉」あるいは「車内が密室」なる文言を用いて説明したが、厳密には車内が完全な密閉状態になることはなく、多少の通気が生じる。したがって、排気ガスの排出口(上記実施例におけるマフラー117)の付近に障害物が存在する環境においてエンジンが作動して排気ガスが車外に放出された場合、その後排気ガスが滞留して排気ガスを含む外気が車内に流れ込む可能性がある。上述した本実施の形態の車載空調装置は、このような状況において特に従来のものと比較してより有用なものであり、排気が十分行われない停車環境でのエンジン起動を回避する車載空調制御装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明にかかる車載空調制御装置は、排気が十分行われない停車環境
でのエンジン起動を回避することができるという効果を有し、車両に搭載された空気調和機を制御する車載空調制御装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態における車載空調制御装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態における車載空調制御装置の障害物センサの設置を示す図
【図3】本発明の実施の形態における車載空調制御装置の動作説明のためのフロー図
【図4】本発明の実施の形態における車載空調制御装置の別の例を示す構成図
【符号の説明】
【0052】
10 車両
101 速度センサ
102 質量センサ
103 温度センサ
104 ドア開閉センサ
105 窓開閉センサ
106 第1制御部
108 バッテリー
109 障害物センサ
110 スイッチ
111 空気調和機
112 エンジン
113 第2制御部
114 システム動作スイッチ
115 緊急用バッテリー
116 オルタネータ
117 マフラー(排気口)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が停止しているか否を検出する速度センサと、前記車両の車内に搭乗者が存在するか否かを検出する質量センサと、前記車両の車内の温度を検出する温度センサと、前記車両の車内が密閉されているか否かを検出する車内開閉センサと、前記車両の排気口の付近に障害物が存在するか否かを検出する障害物センサとを含む複数のセンサと、
前記複数のセンサの各センサが検出した結果から前記車両の状態を判別する制御部と、
前記車両の空気調和機へ供給する電源を切替えるスイッチとを備え、
前記制御部は、前記制御部が判別した前記車両の状態に応じて前記スイッチを制御して、前記車両のオルタネータから前記車両の空気調和機への電源供給と前記車両のバッテリから前記車両の空気調和機への電源供給とを切替えることを特徴とする車載空調制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記速度センサが前記車両の停止を検出し、前記質量センサが前記車両の車内に搭乗者が存在することを検出し、前記温度センサが前記車両の車内の温度が所定の温度より高いことを検出し、前記車内開閉センサが前記車両の車内が密閉されていることを検出し、前記障害物センサが前記車両の排気口の付近に障害物が存在することを検出した場合に、前記車両のバッテリから前記車両の空気調和機へ電源を供給するように前記スイッチを制御することを特徴とする請求項1記載の車載空調制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数のセンサのうち前記障害物センサを除く各センサが検出した結果から前記車両の状態を判別して判別結果を出力する第1制御部と、前記第1制御部から出力された判別結果と前記障害物センサの検出結果に応じて前記スイッチを制御する第2制御部とからなり、
前記第1制御部は、前記速度センサが前記車両の停止を検出し、前記質量センサが前記車両の車内に搭乗者が存在することを検出し、前記温度センサが前記車両の車内の温度が所定の温度より高いことを検出し、前記車内開閉センサが前記車両の車内が密閉されていることを検出した場合に前記車両のバッテリから前記第2制御部へ電源電力を供給することを特徴とする請求項2記載の車載空調制御装置。
【請求項4】
前記複数のセンサを間欠動作させるシステム動作スイッチを有した請求項1記載の車載空調制御装置。
【請求項5】
前記車両に緊急用の補助バッテリが設けられ、前記スイッチが前記車両のバッテリと前記車両のオルタネータと前記補助バッテリとのうちのいずれか1つに切り替えて前記車両の空気調和機への電源を供給することを特徴とする請求項1記載の車載空調制御装置。
【請求項6】
車両に搭載された空気調和きを制御する車載空調制御装置の制御方法であって、前記車両が停止していることが検出され、前記車両の車内に搭乗者が存在することが検出され、前記車両の車内の温度が所定の温度より高いことが検出され、前記車両の車内が密閉されていることが検出され、前記車両の排気口の付近に障害物が存在することが検出された場合に、マイクロコンピュータを用いて前記車両のバッテリから前記車両の空気調和機への電源を供給するように制御させることを特徴とする車載空調制御装置の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−208568(P2010−208568A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59121(P2009−59121)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】