車載装置、失効管理装置および失効管理システム
【課題】CRLに相当する失効制御情報を、ネットワークに接続していない機器においても一定の最新性を保ちつつ、かつユーザの利便性を害さずに更新する。
【解決手段】失効制御情報を定期的に更新させるために、CD等を介して失効制御情報を更新した時点から起算する走行距離や走行時間を有効条件として扱い、この有効条件を満たさない場合には、コンテンツの利用を拒絶する。このために、車載装置は、失効制御情報を記録する失効制御情報記録部と、車両の運転履歴を記録する運転履歴記録部と、失効制御情報の有効性を判断する有効性判断部を備える。
【解決手段】失効制御情報を定期的に更新させるために、CD等を介して失効制御情報を更新した時点から起算する走行距離や走行時間を有効条件として扱い、この有効条件を満たさない場合には、コンテンツの利用を拒絶する。このために、車載装置は、失効制御情報を記録する失効制御情報記録部と、車両の運転履歴を記録する運転履歴記録部と、失効制御情報の有効性を判断する有効性判断部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、著作権保護されたコンテンツの違法利用を防止するための装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステム(以下、カーナビとする)は、カーナビ内部に記録している地図データを加工してドライバーに交通情報を提示するものである。この地図データを記録しておく手段として、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、以下HDD)を採用する製品が主流となりつつある。こうしたHDD搭載型のカーナビにおいては、地図データを始めとするコンテンツの著作権を保護するために、ユーザによるコンテンツの違法な複製を防止できることが重要である。
【0003】
例えば、カーナビの機種交換時においては、カーナビの新機種を購入した際には、旧機種で利用していたコンテンツを新機種へ移動できることがユーザにとって望ましい。この際の違法な複製を防止する技術として、特許文献1に記載の技術がある。これらの技術は、著作権者がコンテンツの複製を禁止している場合、新機種へコンテンツを複製した後に旧機種の記録領域に記録されているコンテンツを削除するというものである。
【0004】
こうした機種交換時の他に、機器が滅失した際にも購入済みコンテンツを復旧できることが望ましい。非特許文献1によると我が国における車両の物損事故数は年間数百万件にのぼり、またカーナビはHDDにアクセスしながら道路上を高速で移動する装置であるため、常に破損の危険がある。こうした破損が起きた場合、バックアップデータをもとに、滅失したコンテンツを他の機器で利用可能とすることがユーザにとって望ましい。そこで特許文献2では、滅失した旧機種でのコンテンツ利用を困難にすることによって新機種におけるコンテンツの利用を可能にする技術が開示されている。
【0005】
以上の技術は、コンテンツの複製を制限する機能を各機器が確実に実行することを前提とするものであり、この前提に従わない機器がある場合は有効ではない。そこで、信頼できる証明機関が各機器にデジタル証明書を発行し、不正な機器が発見された場合には当該機器に対して交付されている証明書を無効にするという手法が用いられる。この無効化された証明書はCRL(CRL:Certificate Revocation List)と呼ばれるメッセージとしてネットワーク経由で各機器へ配信される。これによって不正な機器はシステムから排除され、違法複製を削減できると考えられている。
【0006】
しかし、一般的に全てのカーナビがネットワーク(インターネット等)に接続しているわけではないため、CRLに相当する情報をカーナビに配信するためには人間による作業が必要となる。例えば、CRLが記録されているCDをカーナビに挿入する、あるいはパケット通信機能付きの携帯電話を接続してCRLをダウンロードする等の手動の作業が必要である。このように人間の作業が介在すると、違法複製を意図する不正なユーザがあえてCRLの更新を行わないという問題が発生する。
【0007】
この改善策として、CRLに有効期限を付与し、定期的にCRLを更新しないとコンテンツを利用不可にするという手法が考えられる。しかしこの方法をネットワーク未接続のカーナビで用いると不便が生じる。例えば有効期限が2005年12月であるCRLが書き込まれたCDをディーラへ送付し、このCDを用いてカーナビ内のCRLを更新する運用とした場合、2005年11月にディーラでCRLを更新したユーザは、およそ1ヵ月後に、CRLを更新するためだけにディーラへ行く必要がある。
【0008】
他の改善策として特許文献3では、記録メディアにコンテンツとCRLを両方記録しておき、コンテンツを利用するために機器に記録媒体を挿入するとCRLも強制的に読み込まれ更新されるという手法が開示されている。しかしこの方法では、コンテンツをプレス(印刷・大量生産)する時点のCRLを配信することしかできず、最新の無効化情報を配信できないという問題がある。
【0009】
【特許文献1】特開2003−272285号公報
【特許文献2】特開2003−234728号公報
【特許文献3】特開2005−45641号公報
【非特許文献1】日本損害保険協会:「自動車保険データにみる交通事故の実態 2003年4月〜2004年3月」、pp.141―148、(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする課題は、ネットワークに接続していない機器において、CRL相当の情報に一定の最新性を保ちつつ、かつユーザの利便性を害さずに更新することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、機器を無効化あるいは有効化する情報(以下、失効制御情報とする)を定期的に更新させるために、CD等によって失効制御情報を更新した時点から起算する走行距離、走行時間などの運転履歴を有効条件として扱い、この有効条件を満たさない場合には、コンテンツを利用拒絶することを最も主要な特徴とする。
【0012】
この処理を行うために、本発明の車載装置は、失効制御情報を記録する失効制御情報記録部と、車両の運転履歴を記録する運転履歴記録部と、失効制御情報の有効性を判断する有効性判断部を備えている。
【0013】
ここで失効制御情報には、無効化あるいは有効化された車載装置の一覧を示す情報が含まれている。これは例えば、前述のCRLのように無効な機器のデジタル証明書を列挙したものを意味する。あるいは、車載装置の動作に不可欠な何らかの暗号鍵を全車分まとめた鍵束情報において、特定の車載装置用の暗号鍵を無効化したものであっても構わない。また、この失効制御情報には情報の有効期限が記載されており、古い失効制御情報を利用し続けることはできない。また、この失効制御情報には情報の有効性を判断するための有効条件が記載されており、これは例えば車両の走行距離や走行時間など、特定の時刻から起算する相対的な期限情報を意味する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車載装置を利用することにより、ネットワークに接続していない機器においても失効制御情報の更新をユーザに強制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
実施例1は、ディーラにおいて車両の定期点検等を行う際に失効制御情報を更新するものである。これによって、不正な動作を行う車載装置をシステムから排除することができる。
【0017】
図1は、実施例1における車載装置100の構成図を示したものである。車載装置100は、走行時間等の車両情報を取得する車両情報取得部101と、CD・携帯電話・ディーラ保守端末等を経由して失効制御情報210を受信する失効制御情報受信部110と、アプリケーションプログラムの実行等を行う制御部102と、車載装置の有効性を判断する有効性判断部120と、車載HDDに対する入出力処理を行うコンテンツ管理部130と、走行時間等の運転履歴を記録する運転履歴記録部140と、失効制御情報を記録する失効制御情報記録部104と、コンテンツを格納するコンテンツ記録部105と、自らの端末IDを記録している端末ID記録部106と、CMOSクロック等による内蔵時計(タイマ)103を備えている。車両情報取得部101は、図示しない車両情報源と接続している。
【0018】
車載装置100のハードウェアは、CPU、メモリ、記憶装置、タイマ103などを備える計算機として構成される。失効制御情報記録部104、コンテンツ記録部105および端末ID記録部106は、記憶装置上に各々のデータを格納する。車両情報取得部101、制御部102、失効制御情報受信部110、有効性判断部120およびコンテンツ管理部130は、メモリに格納されCPUによって実行されるプログラムとして実現される。
【0019】
図2は、車載装置100の失効制御情報受信部110に入力される、失効制御情報210のデータ構成を示したものである。失効制御情報210には、無効な車載装置を特定する識別子一覧を示す無効機器リスト211、失効制御情報210の有効期限を示す有効期限212、および有効条件213が記載されている。「期間」は、この例では、車載装置100がこの失効制御情報210を受信してから6ヶ月が有効期間であることを示す。無効機器リスト211は、無効な車載装置に割り振られているデジタル証明書の集合であってもよい。
【0020】
図3は、車載装置100の運転履歴記録部140のデータ構成を示したものである。運転履歴記録部140は、項目141に示す項目毎に、記録開始時の値である初期値142、現在の値である現在値143、および現在値143と初期値142との差分144を記録している。なお、現在値143と差分144は説明の便宜上記載しているものであり、実運用上ではこれらの情報は記録されていなくても構わない。
【0021】
以下、失効制御情報を更新する処理の流れに沿って説明する。
【0022】
図4は、失効制御情報210を受信した際の、失効制御情報受信部110の処理を示すフローチャートである。失効制御情報受信部110は、まず、失効制御情報210に記載されている有効期限212の値と、タイマ103から取得する現在の日時とを比較して、受信した失効制御情報が有効期限内であるかどうかを判断する(ステップS111)。有効期限を過ぎていれば終了する。有効期限内であれば、有効条件213に記載されている「期間」「走行距離」「走行時間」等の項目名を運転履歴記録部140の項目141にセットし、各々の行の初期値142を、車両情報取得部101から取得する現在の値で初期化する(ステップS112)。ただし「期間」の初期値142は、この処理の現在日時である。最後に、失効制御情報を失効制御情報記録部104に記録する(ステップS113)。
【0023】
以上が失効制御情報を受信した際の処理である。このように失効制御情報を受信した上で、次に車載装置の有効性を判断する処理について説明する。車両情報取得部101は、定期的に車両情報源から最新の車両情報を取得し、運転履歴記録部140の現在値143を更新する。
【0024】
図5は、車載装置100において定期的に実行される、有効性判断部120の動作を示すフローチャートである。有効性判断部120は、失効制御情報記録部104に記載されている有効条件213と、運転履歴記録部140に記載されている運転履歴情報とを比較して、運転履歴が有効条件を満たしているか否かを判断する(ステップS121)。有効条件を満たしている場合は何もせずに終了する。ステップS121で有効条件を満たしていない場合、失効制御情報記録部104に記録している情報を消去する(ステップS122)。なお消去も含めて失効制御情報の記録を無効化するように記録を変更してもよい。
【0025】
以上が、定期的に実行される有効性判断部120の動作である。このように車載装置の有効性を判断した上で、次にコンテンツの利用制限処理について説明する。
【0026】
図6は、制御部102で実行されるアプリケーションプログラムが、コンテンツ記録部105に記録されているコンテンツへアクセスする際の、コンテンツ管理部130の動作を示すフローチャートである。コンテンツ管理部130は、制御部102からコンテンツへのアクセス要求を受けた場合、まず、失効制御情報記録部104に失効制御情報が有効な記録として記録されているかどうかを判断する(ステップS131)。失効制御情報が記録されている場合、失効制御情報内の無効機器リスト211に、端末ID記録部106に記録されている自らの端末IDが含まれているかどうかを判断する(ステップS132)。自らの端末IDが無効機器リストに含まれていない場合、制御部102からのアクセス要求等に従って、コンテンツ記録部105に記録されているコンテンツを制御部102に入力して終了する(ステップS133)。ステップS131およびステップS132において、失効制御情報が記録されていない場合、あるいは自らの端末IDが無効機器リストに含まれている場合、制御部102からのアクセス要求に対して入出力エラーを生成して終了する(ステップS134)。
【0027】
なおS132の判定を失効制御情報受信部110又は有効性判断部120が行い、自機が無効化されている場合に、失効制御情報を失効制御情報記録部104に記録しないか、記録を消去または無効化してもよい。
【0028】
以上が、制御部102からのコンテンツアクセス要求に対する、コンテンツ管理部130の動作である。
【0029】
以上の処理により、有効期限付きの失効制御情報が一定の走行距離や走行時間経過後に期限切れとなるため、情報に一定の最新性を保ちつつ、かつユーザの利便性を害さずに失効制御情報の更新を行わせることが可能となる。
【実施例2】
【0030】
実施例2は、ユーザがカーナビを機種変更する際に、旧機種でのコンテンツ利用を制限するとともに、新機種でのコンテンツ利用を許可するものである。
【0031】
図7は、実施例2における失効管理システムの全体構成図である。本システムには、機種変更登録等の失効制御要求320を送信する業務端末500、失効制御要求320をもとに失効制御情報310を生成する失効管理装置400、および車載装置100が存在する。
【0032】
図8は、業務端末500から送信される失効制御要求320のデータ例である。失効制御要求320には、変更前の機種の端末ID(以下、旧機種IDとする)322および変更後の機種の端末ID(以下、新機種IDとする)321が記載されている。
【0033】
図9は、失効制御要求320を受信する失効管理装置400の構成図を示したものである。失効管理装置400は、失効制御要求320を受信する失効制御要求受信部401、後述する固有暗号鍵束を記録する固有暗号鍵束記録部403、失効制御要求320に従って固有暗号鍵束を更新する固有暗号鍵束更新部410、車載HDDの記録データを復号するためのディスク鍵を記録するディスク鍵記録部404、このディスク鍵を固有暗号鍵束で暗号化した情報(以下、復号鍵束とする)を作成する復号鍵束作成部420、および復号鍵束を含む失効制御情報310を車載装置100に配信する失効制御情報配信部405から構成される。なお固有暗号鍵束とは、車載機ごとに異なる暗号鍵を全車載機に関して記載した鍵束情報を意味する。
【0034】
失効管理装置400のハードウェアは、CPU、メモリ、記憶装置などを備える計算機として構成される。固有暗号鍵束記録部403およびディスク鍵記録部404は、記憶装置上に各々のデータを格納する。失効制御要求受信部401、失効制御情報配信部405、固有暗号鍵束更新部410および復号鍵束作成部420は、メモリに格納されCPUによって実行されるプログラムとして実現される。
【0035】
図10は、前記失効制御情報310に記載されるデータ例を示したものであり、復号鍵束311、有効期限312、および有効条件313を記載している。復号鍵束311は、有効な車載装置に割り振られたデジタル証明書のリストであってもよい。復号鍵束311については実施例2の説明の末尾において説明する。有効期限312および有効条件313については、本発明の実施例1と同様のものである。
【0036】
図11は、失効制御情報310を受信する車載装置100の構成図を示したものであり、実施例1の車載装置100と一部を除いて同様である。実施例1の車載装置100と異なる点は、端末ID記録部106が固有鍵記録部107に、コンテンツ管理部130がコンテンツ復号部150になっている点である。
【0037】
以下、失効制御要求に記載された機種変更登録を行う際の処理の流れに沿って実施例2を説明する。
【0038】
図12は、失効管理装置400が失効制御要求320を受信した際の、固有暗号鍵束更新部410の動作を示すフローチャートである。固有暗号鍵束更新部410は、まず、固有暗号鍵束記録部403に記録されている固有暗号鍵束を読み込む(ステップS411)。次に、読み込んだ固有暗号鍵束において、失効制御要求320において指定された旧機種IDに対応する鍵を無効化する(ステップS412)。すなわち固有暗号鍵束記録部403上の該当する鍵を削除などの処置をする。同様に、失効制御要求320において指定された新機種IDに対応する鍵を有効化する(ステップS413)。すなわち固有暗号鍵束記録部403上の該当する鍵を保存するための処理を行う。最後に、ステップS412およびステップS413において修正された固有暗号鍵束を、固有暗号鍵束記録部403に上書きして記録する(ステップS414)。
【0039】
以上が固有暗号鍵束更新部410の動作である。
【0040】
図13は、復号鍵束作成部420の動作を示すフローチャートである。復号鍵束作成部420は、まず、固有暗号鍵束記録部403に記録されている固有暗号鍵束を読み込む(ステップS421)。そして、車載機ごとに固有暗号鍵を用いてディスク鍵を暗号化する処理を繰り返し、復号鍵束を作成する(ステップS422からS425)。S424のNは車載機数である。
【0041】
以上が復号鍵束作成部420の動作である。失効制御情報配信部405は、このようにして作成された復号鍵束311に有効期限312および有効条件313を付与して失効制御情報310を作成し、これを車載装置100に配信する。なお、失効制御情報310を配信する手段は、CD等の記録媒体に書き込んでディーラへ配布する形態でも良いし、地上波等の電波を用いて配信する形態でも良い。
【0042】
このように作成・配信された失効制御情報310を受信する車載装置100の動作は、実施例1の車載装置100と次の点を除いて同様である。
【0043】
図14は、車載装置100におけるコンテンツ復号部150の動作を示したフローチャートである。実施例1のコンテンツ管理部106の動作と異なる点は、自機が無効化されているかどうかを判断する処理の代わりに、受信した失効制御情報310に記載されている復号鍵束311、すなわちディスク鍵を固有鍵記録部107に記録されている固有暗号鍵を用いて復号している点(ステップS152)である。
【0044】
以上が実施例2の失効管理システムの説明である。
【0045】
なお、図9に示す固有暗号鍵束は、単純に各車載装置の暗号鍵を列挙したもので良い。全車載装置の暗号鍵を列挙するとサイズに問題がある場合は、これを縮小するために例えば図15に示すような形式で暗号鍵を表現しても良い。図15はn×4個の異なる暗号鍵をn行4列の行列で示したものであり、DVDにおける著作権保護で用いられている公知の暗号鍵記録方法である。ここで各車載機用の固有鍵は、列ごとのインデックス情報(c1、c2、c3、c4)と、4個の暗号鍵K(c1、1)、K(c2、2)、K(c3、3)、K(c4、4)によって表される。この方式の場合、車載装置の無効化に若干の制限事項があるが、nの4乗の車載装置用の固有鍵を表すことができ、より多くの車載装置を管理することができる。
【0046】
以上の処理により、ユーザがカーナビを機種変更する際に、旧機種上のHDDをアクセス困難にし、かつ新機種上のHDDをアクセス可能とすることができる。これによってコンテンツの不正な複製を削減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
ネットワークに接続していない機器においても失効制御情報の更新をユーザに強制することができるため、車載機を始めとするコンテンツ取り扱い機器全般において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1の車載装置の構成図である。
【図2】実施例1の失効制御情報のデータ例を示す図である。
【図3】実施例1の運転履歴記録部のデータ構成図である。
【図4】実施例1の失効制御情報受信部の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例1の有効性判断部の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施例1のコンテンツ管理部の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例2の失効管理システムの全体構成図である。
【図8】実施例2の失効制御要求の例である。
【図9】実施例2の失効管理装置の構成図である。
【図10】実施例2の失効制御情報のデータ構成を示す図である。
【図11】実施例2の車載装置の構成図である。
【図12】実施例2の固有暗号鍵束更新部の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】実施例2の復号鍵束作成部の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】実施例2のコンテンツ復号部の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】実施例2の固有暗号鍵束および復号鍵束のフォーマットの例である。
【符号の説明】
【0049】
100:車載装置、104,108:失効制御情報記録部、120:有効性判断部、130:コンテンツ管理部、140:運転履歴記録部、150:コンテンツ復号部、210,310:失効制御情報、320:失効制御要求、400:失効管理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、著作権保護されたコンテンツの違法利用を防止するための装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステム(以下、カーナビとする)は、カーナビ内部に記録している地図データを加工してドライバーに交通情報を提示するものである。この地図データを記録しておく手段として、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、以下HDD)を採用する製品が主流となりつつある。こうしたHDD搭載型のカーナビにおいては、地図データを始めとするコンテンツの著作権を保護するために、ユーザによるコンテンツの違法な複製を防止できることが重要である。
【0003】
例えば、カーナビの機種交換時においては、カーナビの新機種を購入した際には、旧機種で利用していたコンテンツを新機種へ移動できることがユーザにとって望ましい。この際の違法な複製を防止する技術として、特許文献1に記載の技術がある。これらの技術は、著作権者がコンテンツの複製を禁止している場合、新機種へコンテンツを複製した後に旧機種の記録領域に記録されているコンテンツを削除するというものである。
【0004】
こうした機種交換時の他に、機器が滅失した際にも購入済みコンテンツを復旧できることが望ましい。非特許文献1によると我が国における車両の物損事故数は年間数百万件にのぼり、またカーナビはHDDにアクセスしながら道路上を高速で移動する装置であるため、常に破損の危険がある。こうした破損が起きた場合、バックアップデータをもとに、滅失したコンテンツを他の機器で利用可能とすることがユーザにとって望ましい。そこで特許文献2では、滅失した旧機種でのコンテンツ利用を困難にすることによって新機種におけるコンテンツの利用を可能にする技術が開示されている。
【0005】
以上の技術は、コンテンツの複製を制限する機能を各機器が確実に実行することを前提とするものであり、この前提に従わない機器がある場合は有効ではない。そこで、信頼できる証明機関が各機器にデジタル証明書を発行し、不正な機器が発見された場合には当該機器に対して交付されている証明書を無効にするという手法が用いられる。この無効化された証明書はCRL(CRL:Certificate Revocation List)と呼ばれるメッセージとしてネットワーク経由で各機器へ配信される。これによって不正な機器はシステムから排除され、違法複製を削減できると考えられている。
【0006】
しかし、一般的に全てのカーナビがネットワーク(インターネット等)に接続しているわけではないため、CRLに相当する情報をカーナビに配信するためには人間による作業が必要となる。例えば、CRLが記録されているCDをカーナビに挿入する、あるいはパケット通信機能付きの携帯電話を接続してCRLをダウンロードする等の手動の作業が必要である。このように人間の作業が介在すると、違法複製を意図する不正なユーザがあえてCRLの更新を行わないという問題が発生する。
【0007】
この改善策として、CRLに有効期限を付与し、定期的にCRLを更新しないとコンテンツを利用不可にするという手法が考えられる。しかしこの方法をネットワーク未接続のカーナビで用いると不便が生じる。例えば有効期限が2005年12月であるCRLが書き込まれたCDをディーラへ送付し、このCDを用いてカーナビ内のCRLを更新する運用とした場合、2005年11月にディーラでCRLを更新したユーザは、およそ1ヵ月後に、CRLを更新するためだけにディーラへ行く必要がある。
【0008】
他の改善策として特許文献3では、記録メディアにコンテンツとCRLを両方記録しておき、コンテンツを利用するために機器に記録媒体を挿入するとCRLも強制的に読み込まれ更新されるという手法が開示されている。しかしこの方法では、コンテンツをプレス(印刷・大量生産)する時点のCRLを配信することしかできず、最新の無効化情報を配信できないという問題がある。
【0009】
【特許文献1】特開2003−272285号公報
【特許文献2】特開2003−234728号公報
【特許文献3】特開2005−45641号公報
【非特許文献1】日本損害保険協会:「自動車保険データにみる交通事故の実態 2003年4月〜2004年3月」、pp.141―148、(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする課題は、ネットワークに接続していない機器において、CRL相当の情報に一定の最新性を保ちつつ、かつユーザの利便性を害さずに更新することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、機器を無効化あるいは有効化する情報(以下、失効制御情報とする)を定期的に更新させるために、CD等によって失効制御情報を更新した時点から起算する走行距離、走行時間などの運転履歴を有効条件として扱い、この有効条件を満たさない場合には、コンテンツを利用拒絶することを最も主要な特徴とする。
【0012】
この処理を行うために、本発明の車載装置は、失効制御情報を記録する失効制御情報記録部と、車両の運転履歴を記録する運転履歴記録部と、失効制御情報の有効性を判断する有効性判断部を備えている。
【0013】
ここで失効制御情報には、無効化あるいは有効化された車載装置の一覧を示す情報が含まれている。これは例えば、前述のCRLのように無効な機器のデジタル証明書を列挙したものを意味する。あるいは、車載装置の動作に不可欠な何らかの暗号鍵を全車分まとめた鍵束情報において、特定の車載装置用の暗号鍵を無効化したものであっても構わない。また、この失効制御情報には情報の有効期限が記載されており、古い失効制御情報を利用し続けることはできない。また、この失効制御情報には情報の有効性を判断するための有効条件が記載されており、これは例えば車両の走行距離や走行時間など、特定の時刻から起算する相対的な期限情報を意味する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車載装置を利用することにより、ネットワークに接続していない機器においても失効制御情報の更新をユーザに強制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
実施例1は、ディーラにおいて車両の定期点検等を行う際に失効制御情報を更新するものである。これによって、不正な動作を行う車載装置をシステムから排除することができる。
【0017】
図1は、実施例1における車載装置100の構成図を示したものである。車載装置100は、走行時間等の車両情報を取得する車両情報取得部101と、CD・携帯電話・ディーラ保守端末等を経由して失効制御情報210を受信する失効制御情報受信部110と、アプリケーションプログラムの実行等を行う制御部102と、車載装置の有効性を判断する有効性判断部120と、車載HDDに対する入出力処理を行うコンテンツ管理部130と、走行時間等の運転履歴を記録する運転履歴記録部140と、失効制御情報を記録する失効制御情報記録部104と、コンテンツを格納するコンテンツ記録部105と、自らの端末IDを記録している端末ID記録部106と、CMOSクロック等による内蔵時計(タイマ)103を備えている。車両情報取得部101は、図示しない車両情報源と接続している。
【0018】
車載装置100のハードウェアは、CPU、メモリ、記憶装置、タイマ103などを備える計算機として構成される。失効制御情報記録部104、コンテンツ記録部105および端末ID記録部106は、記憶装置上に各々のデータを格納する。車両情報取得部101、制御部102、失効制御情報受信部110、有効性判断部120およびコンテンツ管理部130は、メモリに格納されCPUによって実行されるプログラムとして実現される。
【0019】
図2は、車載装置100の失効制御情報受信部110に入力される、失効制御情報210のデータ構成を示したものである。失効制御情報210には、無効な車載装置を特定する識別子一覧を示す無効機器リスト211、失効制御情報210の有効期限を示す有効期限212、および有効条件213が記載されている。「期間」は、この例では、車載装置100がこの失効制御情報210を受信してから6ヶ月が有効期間であることを示す。無効機器リスト211は、無効な車載装置に割り振られているデジタル証明書の集合であってもよい。
【0020】
図3は、車載装置100の運転履歴記録部140のデータ構成を示したものである。運転履歴記録部140は、項目141に示す項目毎に、記録開始時の値である初期値142、現在の値である現在値143、および現在値143と初期値142との差分144を記録している。なお、現在値143と差分144は説明の便宜上記載しているものであり、実運用上ではこれらの情報は記録されていなくても構わない。
【0021】
以下、失効制御情報を更新する処理の流れに沿って説明する。
【0022】
図4は、失効制御情報210を受信した際の、失効制御情報受信部110の処理を示すフローチャートである。失効制御情報受信部110は、まず、失効制御情報210に記載されている有効期限212の値と、タイマ103から取得する現在の日時とを比較して、受信した失効制御情報が有効期限内であるかどうかを判断する(ステップS111)。有効期限を過ぎていれば終了する。有効期限内であれば、有効条件213に記載されている「期間」「走行距離」「走行時間」等の項目名を運転履歴記録部140の項目141にセットし、各々の行の初期値142を、車両情報取得部101から取得する現在の値で初期化する(ステップS112)。ただし「期間」の初期値142は、この処理の現在日時である。最後に、失効制御情報を失効制御情報記録部104に記録する(ステップS113)。
【0023】
以上が失効制御情報を受信した際の処理である。このように失効制御情報を受信した上で、次に車載装置の有効性を判断する処理について説明する。車両情報取得部101は、定期的に車両情報源から最新の車両情報を取得し、運転履歴記録部140の現在値143を更新する。
【0024】
図5は、車載装置100において定期的に実行される、有効性判断部120の動作を示すフローチャートである。有効性判断部120は、失効制御情報記録部104に記載されている有効条件213と、運転履歴記録部140に記載されている運転履歴情報とを比較して、運転履歴が有効条件を満たしているか否かを判断する(ステップS121)。有効条件を満たしている場合は何もせずに終了する。ステップS121で有効条件を満たしていない場合、失効制御情報記録部104に記録している情報を消去する(ステップS122)。なお消去も含めて失効制御情報の記録を無効化するように記録を変更してもよい。
【0025】
以上が、定期的に実行される有効性判断部120の動作である。このように車載装置の有効性を判断した上で、次にコンテンツの利用制限処理について説明する。
【0026】
図6は、制御部102で実行されるアプリケーションプログラムが、コンテンツ記録部105に記録されているコンテンツへアクセスする際の、コンテンツ管理部130の動作を示すフローチャートである。コンテンツ管理部130は、制御部102からコンテンツへのアクセス要求を受けた場合、まず、失効制御情報記録部104に失効制御情報が有効な記録として記録されているかどうかを判断する(ステップS131)。失効制御情報が記録されている場合、失効制御情報内の無効機器リスト211に、端末ID記録部106に記録されている自らの端末IDが含まれているかどうかを判断する(ステップS132)。自らの端末IDが無効機器リストに含まれていない場合、制御部102からのアクセス要求等に従って、コンテンツ記録部105に記録されているコンテンツを制御部102に入力して終了する(ステップS133)。ステップS131およびステップS132において、失効制御情報が記録されていない場合、あるいは自らの端末IDが無効機器リストに含まれている場合、制御部102からのアクセス要求に対して入出力エラーを生成して終了する(ステップS134)。
【0027】
なおS132の判定を失効制御情報受信部110又は有効性判断部120が行い、自機が無効化されている場合に、失効制御情報を失効制御情報記録部104に記録しないか、記録を消去または無効化してもよい。
【0028】
以上が、制御部102からのコンテンツアクセス要求に対する、コンテンツ管理部130の動作である。
【0029】
以上の処理により、有効期限付きの失効制御情報が一定の走行距離や走行時間経過後に期限切れとなるため、情報に一定の最新性を保ちつつ、かつユーザの利便性を害さずに失効制御情報の更新を行わせることが可能となる。
【実施例2】
【0030】
実施例2は、ユーザがカーナビを機種変更する際に、旧機種でのコンテンツ利用を制限するとともに、新機種でのコンテンツ利用を許可するものである。
【0031】
図7は、実施例2における失効管理システムの全体構成図である。本システムには、機種変更登録等の失効制御要求320を送信する業務端末500、失効制御要求320をもとに失効制御情報310を生成する失効管理装置400、および車載装置100が存在する。
【0032】
図8は、業務端末500から送信される失効制御要求320のデータ例である。失効制御要求320には、変更前の機種の端末ID(以下、旧機種IDとする)322および変更後の機種の端末ID(以下、新機種IDとする)321が記載されている。
【0033】
図9は、失効制御要求320を受信する失効管理装置400の構成図を示したものである。失効管理装置400は、失効制御要求320を受信する失効制御要求受信部401、後述する固有暗号鍵束を記録する固有暗号鍵束記録部403、失効制御要求320に従って固有暗号鍵束を更新する固有暗号鍵束更新部410、車載HDDの記録データを復号するためのディスク鍵を記録するディスク鍵記録部404、このディスク鍵を固有暗号鍵束で暗号化した情報(以下、復号鍵束とする)を作成する復号鍵束作成部420、および復号鍵束を含む失効制御情報310を車載装置100に配信する失効制御情報配信部405から構成される。なお固有暗号鍵束とは、車載機ごとに異なる暗号鍵を全車載機に関して記載した鍵束情報を意味する。
【0034】
失効管理装置400のハードウェアは、CPU、メモリ、記憶装置などを備える計算機として構成される。固有暗号鍵束記録部403およびディスク鍵記録部404は、記憶装置上に各々のデータを格納する。失効制御要求受信部401、失効制御情報配信部405、固有暗号鍵束更新部410および復号鍵束作成部420は、メモリに格納されCPUによって実行されるプログラムとして実現される。
【0035】
図10は、前記失効制御情報310に記載されるデータ例を示したものであり、復号鍵束311、有効期限312、および有効条件313を記載している。復号鍵束311は、有効な車載装置に割り振られたデジタル証明書のリストであってもよい。復号鍵束311については実施例2の説明の末尾において説明する。有効期限312および有効条件313については、本発明の実施例1と同様のものである。
【0036】
図11は、失効制御情報310を受信する車載装置100の構成図を示したものであり、実施例1の車載装置100と一部を除いて同様である。実施例1の車載装置100と異なる点は、端末ID記録部106が固有鍵記録部107に、コンテンツ管理部130がコンテンツ復号部150になっている点である。
【0037】
以下、失効制御要求に記載された機種変更登録を行う際の処理の流れに沿って実施例2を説明する。
【0038】
図12は、失効管理装置400が失効制御要求320を受信した際の、固有暗号鍵束更新部410の動作を示すフローチャートである。固有暗号鍵束更新部410は、まず、固有暗号鍵束記録部403に記録されている固有暗号鍵束を読み込む(ステップS411)。次に、読み込んだ固有暗号鍵束において、失効制御要求320において指定された旧機種IDに対応する鍵を無効化する(ステップS412)。すなわち固有暗号鍵束記録部403上の該当する鍵を削除などの処置をする。同様に、失効制御要求320において指定された新機種IDに対応する鍵を有効化する(ステップS413)。すなわち固有暗号鍵束記録部403上の該当する鍵を保存するための処理を行う。最後に、ステップS412およびステップS413において修正された固有暗号鍵束を、固有暗号鍵束記録部403に上書きして記録する(ステップS414)。
【0039】
以上が固有暗号鍵束更新部410の動作である。
【0040】
図13は、復号鍵束作成部420の動作を示すフローチャートである。復号鍵束作成部420は、まず、固有暗号鍵束記録部403に記録されている固有暗号鍵束を読み込む(ステップS421)。そして、車載機ごとに固有暗号鍵を用いてディスク鍵を暗号化する処理を繰り返し、復号鍵束を作成する(ステップS422からS425)。S424のNは車載機数である。
【0041】
以上が復号鍵束作成部420の動作である。失効制御情報配信部405は、このようにして作成された復号鍵束311に有効期限312および有効条件313を付与して失効制御情報310を作成し、これを車載装置100に配信する。なお、失効制御情報310を配信する手段は、CD等の記録媒体に書き込んでディーラへ配布する形態でも良いし、地上波等の電波を用いて配信する形態でも良い。
【0042】
このように作成・配信された失効制御情報310を受信する車載装置100の動作は、実施例1の車載装置100と次の点を除いて同様である。
【0043】
図14は、車載装置100におけるコンテンツ復号部150の動作を示したフローチャートである。実施例1のコンテンツ管理部106の動作と異なる点は、自機が無効化されているかどうかを判断する処理の代わりに、受信した失効制御情報310に記載されている復号鍵束311、すなわちディスク鍵を固有鍵記録部107に記録されている固有暗号鍵を用いて復号している点(ステップS152)である。
【0044】
以上が実施例2の失効管理システムの説明である。
【0045】
なお、図9に示す固有暗号鍵束は、単純に各車載装置の暗号鍵を列挙したもので良い。全車載装置の暗号鍵を列挙するとサイズに問題がある場合は、これを縮小するために例えば図15に示すような形式で暗号鍵を表現しても良い。図15はn×4個の異なる暗号鍵をn行4列の行列で示したものであり、DVDにおける著作権保護で用いられている公知の暗号鍵記録方法である。ここで各車載機用の固有鍵は、列ごとのインデックス情報(c1、c2、c3、c4)と、4個の暗号鍵K(c1、1)、K(c2、2)、K(c3、3)、K(c4、4)によって表される。この方式の場合、車載装置の無効化に若干の制限事項があるが、nの4乗の車載装置用の固有鍵を表すことができ、より多くの車載装置を管理することができる。
【0046】
以上の処理により、ユーザがカーナビを機種変更する際に、旧機種上のHDDをアクセス困難にし、かつ新機種上のHDDをアクセス可能とすることができる。これによってコンテンツの不正な複製を削減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
ネットワークに接続していない機器においても失効制御情報の更新をユーザに強制することができるため、車載機を始めとするコンテンツ取り扱い機器全般において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1の車載装置の構成図である。
【図2】実施例1の失効制御情報のデータ例を示す図である。
【図3】実施例1の運転履歴記録部のデータ構成図である。
【図4】実施例1の失効制御情報受信部の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例1の有効性判断部の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施例1のコンテンツ管理部の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例2の失効管理システムの全体構成図である。
【図8】実施例2の失効制御要求の例である。
【図9】実施例2の失効管理装置の構成図である。
【図10】実施例2の失効制御情報のデータ構成を示す図である。
【図11】実施例2の車載装置の構成図である。
【図12】実施例2の固有暗号鍵束更新部の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】実施例2の復号鍵束作成部の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】実施例2のコンテンツ復号部の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】実施例2の固有暗号鍵束および復号鍵束のフォーマットの例である。
【符号の説明】
【0049】
100:車載装置、104,108:失効制御情報記録部、120:有効性判断部、130:コンテンツ管理部、140:運転履歴記録部、150:コンテンツ復号部、210,310:失効制御情報、320:失効制御要求、400:失効管理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に設置される車載装置であって、
失効した車載装置を特定する識別子リストと運転履歴に関する有効条件とを示す情報が失効制御情報として格納される失効制御情報記録部と、
前記失効制御情報が前記失効制御情報記録部に記録された時点の運転履歴の数値に対して現在の運転履歴の数値を格納する運転履歴記録部と、
コンテンツを記録するコンテンツ記録部と、
前記現在の運転履歴が前記失効制御情報の有効条件を満たすか否か判定し、前記有効条件を満たさない場合には、前記失効制御情報の記録を無効化する有効性判断部と、
前記コンテンツへのアクセス要求に応答し、前記失効制御情報が有効な場合に、前記コンテンツへのアクセスを許可するコンテンツ管理部とを有することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記失効制御情報は、さらに当該情報の有効期限に関する情報を含み、前記車載装置は、さらに前記有効期限を外れた前記失効制御情報を無効化する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記識別子リストは、失効した車載装置に割り振られているデジタル証明書の集合であることを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記有効条件は、車両に関する走行距離と走行時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
車両内に設置される車載装置であって、
固有暗号鍵によって暗号化された有効なディスク鍵のリストと運転履歴に関する有効条件とを示す情報が失効制御情報として格納される失効制御情報記録部と、
前記失効制御情報が前記失効制御情報記録部に記録された時点の運転履歴の数値に対して現在の運転履歴の数値を格納する運転履歴記録部と、
前記ディスク鍵によって暗号化されたコンテンツを記録するコンテンツ記録部と、
前記現在の運転履歴が前記失効制御情報の有効条件を満たすか否か判定し、前記有効条件を満たさない場合には、前記失効制御情報の記録を無効化する有効性判断部と、
前記コンテンツへのアクセス要求に応答し、前記失効制御情報が有効な場合に、保持する固有暗号鍵によって該当する前記暗号化されたディスク鍵を復号し、前記コンテンツへのアクセスを許可するコンテンツ復号部とを有することを特徴とする車載装置。
【請求項6】
前記失効制御情報は、さらに当該情報の有効期限に関する情報を含み、前記車載装置は、さらに前記有効期限を外れた前記失効制御情報を無効化する手段を有することを特徴とする請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記リストは、有効な車載装置に割り振られたデジタル証明書の集合であることを特徴とする請求項5に記載の車載装置。
【請求項8】
前記有効条件は、車両に関する走行距離と走行時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項5に記載の車載装置。
【請求項9】
失効した車載装置に関する情報を配信する失効管理装置であって、
無効な車載装置を示す情報と、有効な車載装置を示す情報とを含む失効制御要求を受信する失効制御要求受信部と、
前記車載装置の各々に固有の固有暗号鍵を格納する固有暗号鍵束記録部と、
前記失効制御要求に含まれる情報に従って、前記固有暗号鍵の有効化と無効化の処理を行って前記固有暗号鍵束記録部を更新する固有暗号鍵束更新部と、
コンテンツを暗号化するために必要なディスク鍵を有効な固有暗号鍵によって暗号化して復号鍵束を作成する復号鍵束作成部と、
前記復号鍵束を含む失効制御情報を前記車載装置の各々に配信する失効制御情報配信部とを有することを特徴とする失効管理装置。
【請求項10】
失効車載装置に関する情報を配信する失効管理装置と、車両内に設置される車載装置とを有する失効管理システムであって、
前記失効管理装置は、
無効な車載装置を示す情報と、有効な車載装置を示す情報とを含む失効制御要求を受信する手段と、
前記車載装置の各々に固有の固有暗号鍵を格納する記憶手段と、
前記失効制御要求に含まれる情報に従って、前記記憶手段中の固有暗号鍵のうち有効な固有暗号鍵を抽出する手段と、
コンテンツを暗号化するために必要なディスク鍵を有効な前記固有暗号鍵によって暗号化して暗号化されたディスク鍵のリストを作成する手段と、
前記暗号化されたディスク鍵のリストと運転履歴に関する有効条件とを示す情報を含む失効制御情報を前記車載装置の各々に配信する手段とを有し、
前記車載装置は、
前記失効制御情報が格納される失効制御情報記録部と、
前記失効制御情報が前記失効制御情報記録部に記録された時点の運転履歴の数値に対して現在の運転履歴の数値を格納する運転履歴記録部と、
前記ディスク鍵によって暗号化されたコンテンツを記録するコンテンツ記録部と、
前記現在の運転履歴が前記失効制御情報の有効条件を満たすか否か判定し、前記有効条件を満たさない場合には、前記失効制御情報の記録を無効化する有効性判断部と、
前記コンテンツへのアクセス要求に応答し、前記失効制御情報が有効な場合に、保持する固有暗号鍵によって該当する前記暗号化されたディスク鍵を復号し、前記コンテンツへのアクセスを許可するコンテンツ復号部とを有することを特徴とする失効管理システム。
【請求項11】
前記失効制御情報は、さらに当該情報の有効期限に関する情報を含み、前記車載装置は、さらに前記有効期限を外れた前記失効制御情報を無効化する手段を有することを特徴とする請求項10に記載の失効管理システム。
【請求項12】
前記有効条件は、車両に関する走行距離と走行時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の失効管理システム。
【請求項1】
車両内に設置される車載装置であって、
失効した車載装置を特定する識別子リストと運転履歴に関する有効条件とを示す情報が失効制御情報として格納される失効制御情報記録部と、
前記失効制御情報が前記失効制御情報記録部に記録された時点の運転履歴の数値に対して現在の運転履歴の数値を格納する運転履歴記録部と、
コンテンツを記録するコンテンツ記録部と、
前記現在の運転履歴が前記失効制御情報の有効条件を満たすか否か判定し、前記有効条件を満たさない場合には、前記失効制御情報の記録を無効化する有効性判断部と、
前記コンテンツへのアクセス要求に応答し、前記失効制御情報が有効な場合に、前記コンテンツへのアクセスを許可するコンテンツ管理部とを有することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記失効制御情報は、さらに当該情報の有効期限に関する情報を含み、前記車載装置は、さらに前記有効期限を外れた前記失効制御情報を無効化する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記識別子リストは、失効した車載装置に割り振られているデジタル証明書の集合であることを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記有効条件は、車両に関する走行距離と走行時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
車両内に設置される車載装置であって、
固有暗号鍵によって暗号化された有効なディスク鍵のリストと運転履歴に関する有効条件とを示す情報が失効制御情報として格納される失効制御情報記録部と、
前記失効制御情報が前記失効制御情報記録部に記録された時点の運転履歴の数値に対して現在の運転履歴の数値を格納する運転履歴記録部と、
前記ディスク鍵によって暗号化されたコンテンツを記録するコンテンツ記録部と、
前記現在の運転履歴が前記失効制御情報の有効条件を満たすか否か判定し、前記有効条件を満たさない場合には、前記失効制御情報の記録を無効化する有効性判断部と、
前記コンテンツへのアクセス要求に応答し、前記失効制御情報が有効な場合に、保持する固有暗号鍵によって該当する前記暗号化されたディスク鍵を復号し、前記コンテンツへのアクセスを許可するコンテンツ復号部とを有することを特徴とする車載装置。
【請求項6】
前記失効制御情報は、さらに当該情報の有効期限に関する情報を含み、前記車載装置は、さらに前記有効期限を外れた前記失効制御情報を無効化する手段を有することを特徴とする請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記リストは、有効な車載装置に割り振られたデジタル証明書の集合であることを特徴とする請求項5に記載の車載装置。
【請求項8】
前記有効条件は、車両に関する走行距離と走行時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項5に記載の車載装置。
【請求項9】
失効した車載装置に関する情報を配信する失効管理装置であって、
無効な車載装置を示す情報と、有効な車載装置を示す情報とを含む失効制御要求を受信する失効制御要求受信部と、
前記車載装置の各々に固有の固有暗号鍵を格納する固有暗号鍵束記録部と、
前記失効制御要求に含まれる情報に従って、前記固有暗号鍵の有効化と無効化の処理を行って前記固有暗号鍵束記録部を更新する固有暗号鍵束更新部と、
コンテンツを暗号化するために必要なディスク鍵を有効な固有暗号鍵によって暗号化して復号鍵束を作成する復号鍵束作成部と、
前記復号鍵束を含む失効制御情報を前記車載装置の各々に配信する失効制御情報配信部とを有することを特徴とする失効管理装置。
【請求項10】
失効車載装置に関する情報を配信する失効管理装置と、車両内に設置される車載装置とを有する失効管理システムであって、
前記失効管理装置は、
無効な車載装置を示す情報と、有効な車載装置を示す情報とを含む失効制御要求を受信する手段と、
前記車載装置の各々に固有の固有暗号鍵を格納する記憶手段と、
前記失効制御要求に含まれる情報に従って、前記記憶手段中の固有暗号鍵のうち有効な固有暗号鍵を抽出する手段と、
コンテンツを暗号化するために必要なディスク鍵を有効な前記固有暗号鍵によって暗号化して暗号化されたディスク鍵のリストを作成する手段と、
前記暗号化されたディスク鍵のリストと運転履歴に関する有効条件とを示す情報を含む失効制御情報を前記車載装置の各々に配信する手段とを有し、
前記車載装置は、
前記失効制御情報が格納される失効制御情報記録部と、
前記失効制御情報が前記失効制御情報記録部に記録された時点の運転履歴の数値に対して現在の運転履歴の数値を格納する運転履歴記録部と、
前記ディスク鍵によって暗号化されたコンテンツを記録するコンテンツ記録部と、
前記現在の運転履歴が前記失効制御情報の有効条件を満たすか否か判定し、前記有効条件を満たさない場合には、前記失効制御情報の記録を無効化する有効性判断部と、
前記コンテンツへのアクセス要求に応答し、前記失効制御情報が有効な場合に、保持する固有暗号鍵によって該当する前記暗号化されたディスク鍵を復号し、前記コンテンツへのアクセスを許可するコンテンツ復号部とを有することを特徴とする失効管理システム。
【請求項11】
前記失効制御情報は、さらに当該情報の有効期限に関する情報を含み、前記車載装置は、さらに前記有効期限を外れた前記失効制御情報を無効化する手段を有することを特徴とする請求項10に記載の失効管理システム。
【請求項12】
前記有効条件は、車両に関する走行距離と走行時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の失効管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−194878(P2007−194878A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10689(P2006−10689)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
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