車載装置及び中継装置
【課題】 交差点のように多数の車両が往来する場所での車両同士の衝突事故を防止する衝突防止システムを得る。
【解決手段】交差点近傍の道路の道路構造情報が格納された道路構造情報データベースと、通信エリア内の車両と無線通信を行う中継装置通信部と、前記交差点の信号機と接続され前記信号機の信号情報を取得し、前記車両に向けて前記道路構造情報と、前記信号情報と前記通信エリア内の車両から受信した受信情報を周期的に集計してまとめた情報を、前記中継装置通信部を介して送信する処理部とを備えた中継装置から、前記道路構造情報と前記信号情報と前記車両からの受信情報を周期的に受信する通信部と、受信した前記道路構造情報と前記信号情報と前記受信情報に基いて事故の危険性の判定を行い、危険性がある場合に警告を発する判定処理部とを備える。
【解決手段】交差点近傍の道路の道路構造情報が格納された道路構造情報データベースと、通信エリア内の車両と無線通信を行う中継装置通信部と、前記交差点の信号機と接続され前記信号機の信号情報を取得し、前記車両に向けて前記道路構造情報と、前記信号情報と前記通信エリア内の車両から受信した受信情報を周期的に集計してまとめた情報を、前記中継装置通信部を介して送信する処理部とを備えた中継装置から、前記道路構造情報と前記信号情報と前記車両からの受信情報を周期的に受信する通信部と、受信した前記道路構造情報と前記信号情報と前記受信情報に基いて事故の危険性の判定を行い、危険性がある場合に警告を発する判定処理部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両同士や車両と歩行者間の衝突事故を防止する車載装置及び中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近接した車両同士の衝突防止装置としては、ミリ波レーダを用いた前方車両との衝突防止装置がある。車両の側方での衝突防止装置としては、近距離ミリ波センサを用いた衝突防止装置がある。
また、位置検出手段によって検出された車両位置情報を車両間で双方向通信し、自車両と他車両との相対的な位置関係を把握することにより、衝突を防止する衝突防止装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−79100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ミリ波レーダを用いた前方車両との衝突防止装置の効果は、他車両が自車両の前方を近接して走行している場合に限られるという課題があった。
また、従来技術では、衝突防止の対象となる他車両は1台を想定しており、交差点のように多数の車両が往来するような場所での多数の車両を対象とした衝突防止は想定していない。従来技術により複数の車両を想定した車両衝突防止システムを構成すると、これら複数の車両と個別に双方向通信を行い、自車両と他車両との相対的な位置関係や車両速度を把握することにより衝突事故を防止する構成となる。しかしながらこのような構成では、双方向通信を行う車両数に依存して多数の無線通信回線を確保しなければならないという課題があった。また通信回線が確保できた場合であっても、ポーリング手順により各車両にアクセスし順次データの授受を行う方式では情報のリアルタイム性が損なわれるという課題があった。
また、従来技術では、車両の測位精度が十分でないことにより、車両後方から車両側方をすり抜けようとしているバイクや蛇行して走行しているような車両の検出は出来ず、また、走行している車線の判別ができないことから車線を逸脱して走行してくるような車両の検出は出来ないという課題があった。
また、車両が走行可能なエリアと進入できないエリアを区別する情報であり、例えば進行方向前方の道路幅、車線数、車線減少の有無、歩道の有無、道路工事の有無、進入禁止となる道路工事エリア、建物情報などの道路構造情報をも勘案した衝突事故防止システムは無かった。
【0005】
この発明は係る課題を解決するためになされたものであり、交差点近傍の道路の道路構造情報や信号機の情報を得て、衝突事故の危険判定の精度を向上させた車載装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の車載装置は、車両に搭載され、交差点近傍の道路の道路構造情報が格納された書き換え可能な道路構造情報データベースと、通信エリア内の車両と無線通信を行う中継装置通信部と、前記交差点の信号機と接続され前記信号機の信号情報を取得し、前記車両に向けて、前記道路構造情報と、前記信号情報と前記通信エリア内の車両から受信した受信情報を周期的に集計してまとめた情報を、前記中継装置通信部を介して送信する処理部とを備えた中継装置から、前記道路構造情報と前記信号情報と前記受信情報を周期的に受信する通信部と、受信した前記道路構造情報と前記信号情報と前記受信情報に基いて事故の危険性の判定を行い、事故の危険性がある場合に前記車両のドライバーに警告を発する判定処理部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、車両は、交差点近傍の道路の道路構造情報や信号機の情報を得て、事故発生の危険判定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は本実施の形態1における交差点での衝突防止システムの概念図である。
図1において、十字路の交差点1には四方の車道から車両が進入し通過する。車両3、4,5,6は交差点1に進入しようとする車両であり、各車両3,4,5,6は車載装置13を搭載している。交差点1中央付近には中継装置7が設置され、また信号機74が設置されている。上空には複数のGPS(Global Positioning System)衛星8が位置し、車載装置13はGPS衛星8からGPS信号9(GPS衛星8が発信する測位信号で、C/Aコードなどが含まれる)を受信する。
【0009】
電子基準局が得た疑似距離などのGPS観測データを複数の電子基準局から受信し、受信したGPS観測データに基いて補正位置情報を演算し、求めた補正位置情報を送信するセンタを補正位置情報センタと呼ぶ。
疑似距離とはGPS衛星とGPS測位端末との測定距離であり、真の距離と誤差距離との和である。GPS測位端末側では、補正位置情報センタから受信した補正位置情報により自己端末で受信したGPS観測データを補正することで疑似距離から誤差距離を除き、高精度な測位結果を得ることが出来る。
図1のPAS(Positioning Augmentation Services;国土位置情報サービス)センタ11は、この補正位置情報センタの1つの名称であり、位置座標が正確に分かっている複数の電子基準局(図示せず)と接続されている。
中継装置7はPASセンタ11とインターネット、衛星回線、無線回線等の通信回線で接続されており、PASセンタ11が送信する補正位置情報14を受信し、受信した補正位置情報14を交差点近傍の車両に対して送信する。
【0010】
図2の本実施の形態1における衝突防止システムの構成図を用いて、このシステムの概略を説明する。
中継装置7はPASセンタ11と通信回線を介して接続されており、PASセンタから送信される補正位置情報14を受信する。
中継装置7は、受信した補正位置情報14を交差点近傍の車両に対し送信し、車両に搭載された車載装置13は、前記補正位置情報14を受信する。
また、車載装置13は上空に位置する複数のGPS衛星8が発信する測位信号であるGPS信号9を受信する。車載装置13は、受信したGPS信号による単独測位として得られたGPS衛星と車載装置との疑似距離を含むGPS観測データを補正位置情報14を用いて補正し、補正されたGPS観測データを用いて測位演算を行うことで、高精度な車両測位データを獲得する。
一方、車載装置13は獲得した自車両の車両測位データを中継装置7に対し送信する。また、車載装置13は前記車両測位データと共に車両速度などの車両走行情報を中継装置7に対し送信する。図2においてデータ30は車両測位データと車両走行情報を示している。
【0011】
一方、中継装置7は、交差点近傍の通信エリア内を走行する各車両からデータ30を受信し、通信エリア内を走行する車両に対しデータ31を送信する。ここで通信エリアは、車載装置13と中継装置7とが双方向通信可能なエリアのことである。また、データ31は、交差点近傍の道路構造情報や、補正位置情報や、通信エリア内を走行する車両の車両測位データや、車両速度などの車両走行情報や、交差点の信号機情報を示している。
道路構造情報とは、車両が走行可能なエリアと進入できないエリアを区別できる道路情報であり、例えば交差点近傍の道路幅、車線数、車線減少の有無、歩道の有無、道路工事の有無、進入禁止となる道路工事エリアおよび建物情報など交差点近傍の道路情報を指し、中継装置7の道路構造情報データベースに格納されている。
車載装置13は、自車両の車両測位データと中継装置7から送信された交差点近傍の道路構造情報と車両測位データと車両走行情報と信号機情報に基づいて衝突事故の危険判定をし、危険であると判定すれば音声などによりドライバーに対し警告を発する。
【0012】
図3に、車載装置13のブロック構成を示す。
車載装置13は、アンテナ部34と送受信・計算部35と警告判定処理部36から構成される。
アンテナ部34は、送受信部37に接続されたアンテナ341とGPS受信機39に接続されたアンテナ342から構成される。
アンテナ341は、中継装置7から送信された補正位置情報、交差点近傍の道路構造情報、車両測位データ、車両走行情報、信号機情報などの情報を受信する。また、パイロット信号や、自車両の車両測位データや車両走行情報などの情報を送信する。アンテナ342は、GPS衛星8からのGPS信号9を受信する。
【0013】
送受信・計算部35は、送受信部37と測位処理部38とGPS受信機39とで構成される。
送受信部37はアンテナ341を経由して補正位置情報、交差点近傍の道路構造情報、車両測位データ、車両走行情報、信号機情報を受信する。送受信部37は受信した補正位置情報を測位処理部38に出力し、道路構造情報、車両測位データ、車両走行情報、信号機情報を警告判定処理部36に出力する。警告判定処理部36は道路構造情報、車両測位データ、車両走行情報、信号機情報を記憶エリア40に格納する。記憶エリア40は書き換え可能で読み取り可能である。
GPS受信機39は、GPS観測データを測位処理部38に出力する。
測位処理部38は、GPS観測データと送受信部37が出力した補正位置情報に基いて測位演算することで、1m以下の高精度な自車両の車両測位データを得ることができる。ここで得た自車両の車両測位データは送受信部37とアンテナ341を経由して中継装置7に対して送信すると共に、警告判定処理部36に出力する。
警告判定処理部36は記憶エリア40に格納された道路構造情報、他車両の車両測位データと車両走行情報、信号機情報、自車両の車両測位データと車両走行情報に基いて衝突事項の危険判定を行い、衝突事故の危険があると判断すればドライバーに警告を発する。
【0014】
図4に、中継装置7のブロック構成を示す。
中継装置7は、アンテナ71と送受信部72と処理部73と道路構造情報データベース75と車両測位データや車両走行情報等を記憶する記憶エリア76から構成される。道路構造情報データベース75には道路構造情報が格納されている。 道路構造情報データベース75は書き換え可能であり、読み取り可能である。
送受信部72は、アンテナ71を経由して通信エリア内の車両から送信されるパイロット信号、車両測位データ、車両走行情報を受信し、通信エリア内の車両に対して補正位置情報、道路構造情報、車両測位データ、車両走行情報、信号機情報などを送信する。
【0015】
処理部73は、道路構造情報データベース75、記憶エリア76、PASセンタ11、交差点信号機74、送受信部72と接続されている。
処理部73は、車両が常時送信するパイロット信号をアンテナ71を経由して送受信部72が受信することで車両が通信エリア内に入ったことを判別すると、未使用状態の車両ID番号の中から車両ID番号を選択し、前記車両ID番号と道路構造情報データベース75から取出した交差点近傍の道路構造情報をアンテナ71を経由して車両に送信する。通信エリア内に入った車両は交差点近傍の道路構造情報とともに車両ID番号の送信を受信することで、通信エリア内における自車両の車両ID番号を獲得する。
また、処理部73は、車両が通信エリア外に出たことを判別するとその車両に付与していた車両ID番号を使用中の状態から未使用状態に変更する。車両が通信エリア外であることの判別は、判別すべき車両ID番号を含んだ情報の受信が無くなったことで判別してもよいし、あるいは、受信した車両測位データからわかる車両位置をもって通信エリア外であることを判別してもよい。
このように中継装置は、車載装置が発信するパイロット信号を受信することで、車両が通信エリアに入ったことを判別し、また、判別すべき車両が発信する車両ID番号を含んだ情報の受信が一定期間無くなったことにより、あるいは、判別すべき車両位置情報により、車両が通信エリア外に出たことを判別する。
【0016】
図5(a)〜(c)に、道路構造情報データベース75に格納されている交差点近傍の道路構造情報のデータ形式の一例を示す。図5(a)はノード情報テーブル、(b)はノード間を接続するリンク情報テーブル、(c)は建物情報テーブルである。
図5(a)において、ノードは例えば道路交差点位置や道路の屈曲点などに仮想的に付けられたポイントであり、ノードID番号はノードに付けられた番号である。ノード情報テーブルにはノードが位置するノード位置座標、隣接するノード数を表す隣接ノード数、接続する接続ノード番号、ノード間を接続するリンクID番号が格納される。
図5(b)はリンク情報テーブルであり、リンクID番号に付随する情報が格納される。例えば、道路幅、車線数、車線減少の有無、車道脇の歩道の有無、道路工事の有無、道路工事エリアである。道路工事エリアは、工事エリアの角4点の座標で示され地図上に車両進入禁止を示す表示がされる。
図5(c)は建物情報テーブルであり、座標位置に対する建物情報が格納される。例えば建物の名称、建物の寸法、階数などである。
道路構造情報データベースは書換え可能である。例えば道路工事が完了した時点で、図5(b)リンク情報テーブルの道路工事の有無の欄を有(1)から無(0)に変更することにより地図上の車両進入禁止の表示は消去される。
道路構造情報データベースの書換えは、データベース端末の入力により行う。
【0017】
図6は、中継装置内の処理部73が行う情報処理のタイムチャート図である。
処理部73は、記憶エリア76に格納した通信エリア内を走行する車両の車両測位データと車両走行情報および補正位置情報と交差点信号機情報などの受信情報を周期的に集計し、送受信部72に対してまとめて出力する。
図6の例では、通信エリア内の車両は車両測位データや車両走行情報を10Hz周期で発信しており、PASセンタ11は補正位置情報14を1Hz周期で発信している。処理部73はアンテナ71と送受信部72を経由してこれらの情報を受信し、車両ID番号と対応させる形式で記憶エリア76に格納する。
処理部73は10Hz周期で直前の1周期(100ms)の間に受信した情報(各車両のID番号、車両測位データ、車両走行情報、補正位置情報、交差点信号機情報など)を記憶エリア76から取出し、送受信部72に出力する。
送受信部72は処理部73から受信した受信情報を、通信エリア内の車両に対して10Hz周期で送信する。
車載装置は中継装置7から情報を受信することにより、1回線の通信回線で、1回線よりも多い数の他車両の車両測位データや車両走行情報や道路構造情報などの情報をリアルタイム性を損なうことなく獲得することができる
処理部73は、受信情報を一旦記憶エリアに格納し直前の1周期中に受信した情報をまとめ周期的に出力する構成をとっている。この構成をとることにより、受信情報の履歴を記憶エリアに残すことができるという効果がある。また、通信エリア内に車両が多数存在し、受信情報が中継装置7に一時に集中するような際においても、中継装置7が車両からの情報を受信したと同時にその受信情報を出力する構成と比較し、情報の送り損じや情報紛失の問題が発生せず、通信の信頼性が向上するという効果がある。
【0018】
図4で、中継装置7は通信回線を経由してPASセンタ11と接続されている。PASセンタ11は測定した電子基準局位置と関連付けて補正位置情報14を送信しており、処理部73は交差点に最も近い電子基準局における補正位置情報14を受信することができる。
【0019】
ここでPASセンタ11は、複数の電子基準局に設置されたGPS受信器とネットワークで接続されている。GPS受信器はGPS衛星からL1搬送波(1575.42MHz)とL2搬送波(1227.6MHz)の2周波からなる搬送波位相情報、衛星測位時間データ、エフェメリスデータ、アルマナックデータ、及び疑似距離などのGPS観測データを取得する。電子基準局はこれらのGPS観測データを電子基準局の識別コードとともにPASセンタ11に送信している。
PASセンタ11はネットワークで結ばれた各電子基準局のGPS観測データを受信し、これらのGPS観測データを用いることで、FKP方式の演算処理によりその電子基準局に対応した補正位置情報14を演算する(例えば、G.Wubbena,A.Bagge,M.Schmitz,”RTK Networks based on Geo++ GNSMART−Concept,Implementation,Results”,presented at the International Technical Meeting,ION GPS−01,September11.−14.,2001参照)。
ここで補正位置情報14とはDGPSにより得られる各電子基準局の補正値eとFKP方式により演算された面補正パラメータのことである。面補正パラメータは電子基準点がおかれた位置からの距離に対する補正量を面で表した補正パラメータである。
【0020】
PASセンタ11は得られた補正位置情報14を周期的に送信している。
【0021】
表1に、本実施の形態1における車載装置13と中継装置7との間の通信仕様と測位精度を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
車載装置13から中継装置7に送信する通信情報は、車両ID番号、測位時刻、車両測位データ(緯度、経度、高度)、車両進行方向、車両方向指示器、車両速度、車両外形の情報である。
また、中継装置7から車載装置13に送信する通信情報は、補正位置情報、道路構造情報、交差点信号機情報、通信エリア内を走行する各車両の車両ID番号、測位時刻、車両測位データ(緯度、経度、高度)、車両進行方向、車両方向指示器、車両速度、車両外形の情報である。
車両から中継装置への送信および中継装置から車両への送信の通信周期は、共に10Hzである。
【0024】
車両の測位精度は1m以下である。表1に記載したFKP−DGPS方式とは、DGPS(Differential Global Positioning System)の改良方式であり(例えば、特願2004−057380参照)、測定点に最も近い電子基準点における疑似距離と、その電子基準点に対応した面補正パラメータより与えられる補正値δeを受信し、これら受信情報に基き位置の補正演算を行う方式である。
従来のDGPSにおいては、それぞれの基準点における補正値eしか得られず、測定点が電子基準点から離れるに従って測定点での誤差が大きくなる。これに対し本改良方式のFKP−DGPS方式では、測定点が電子基準点かなり離れていても面補正パラメータより与えられる補正値δeにより、正確な誤差量が得られる。結果として測位精度が1m以下という高い測位精度が実現される。
本FKP−DGPS方式により、例えば通常4.5m〜5mある道路幅の車線で車両が走行している車線の区別をすることが可能となる。
【0025】
通信エリアは、中継装置7を中心とした半径100mの領域を規定している。これは、ドライバーが警告をうけてから安全確保に必要な時間を4秒と想定し、車両速度が90km/hの時で安全確保時間(4秒)の間に車両が走行する距離が100m(=90km/h×4秒)であることに基いている。
【0026】
中継装置が通信する対象車両数は最大60台で規定している。
前述の通りFKP−DGPS方式では移動体を1m以下の精度で測位することができ、走行している車線の区別が可能である。また、車頭間隔10mの車両を識別することも可能である。
車両の車頭間隔を10mとしたとき半径100mの通信エリアには1車線あたり10台の車両が通信対象となる。片側1車線の十時の交差点として、対象となる最大車両数は60台(=10×2×3)となる。
車両と中継装置間で授受されるデータの通信方式は、例えば、車両から中継装置に対してはCDMA方式であり、中継装置から車両に対しては同一周波数の放送方式を用いて授受される。
【0027】
次に、図7と図1〜図4を用いて、本実施の形態1における衝突防止システムの情報の流れについて説明する。
図7は、自車両3が交差点に進入し危険予知判定を行うまでの通信手順の一例を表したものである。
車両3(自車両)に搭載された車載装置13の送受信部37は、前方100mの半円(直近の側後方を含む)方向にパイロット信号を常時送信している(図7に示す(1))。パイロット信号を受信した中継装置7は道路構造情報データベース75から交差点1近傍の道路構造情報を取出し、この道路構造情報と車両に割り当てる車両ID番号を送信する(図7に示す(2))。中継装置7は最も近い電子基準局の補正位置情報14を車両に対し送信する(図7に示す(3))。車両3の車載装置13は受信した道路構造情報を警告判定処理部36に出力し、警告判定処理部36は道路構造情報を記憶エリア40に保存する。
【0028】
車載装置13は上空に位置する少なくとも4機以上の複数のGPS衛星からアンテナ343を経由してGPS信号を受信しGPS観測データを測位処理部38に出力する。測位処理部38は、GPS観測データを図7に示す(3)で得た補正位置情報14を用いて補正演算し、高精度な車両測位データを獲得する。獲得した車両測位データは送受信部37に出力され、送受信部37は車両測位データと車両走行情報を中継装置7に対して送信する(図7に示す(4))。
【0029】
通信エリア内を走行する他の車両4,5,6も個別に中継装置7との間で図7に示す(1)〜(3)の信号授受を行い(図示を省略)、各車両が車両測位データと車両走行情報を中継装置7に送信する(図7に示す(5)、(6)、(7))。
中継装置7は、周期(T=100ms)期間中に受信した車両測位データと車両走行情報を集積し通信エリア内の車両に対し送信する(図7に示す(8))。
中継装置7は、信号機より交差点信号機情報を受信していれば通信エリア内の車両に対し送信する(図7に示す(9))。
【0030】
車載装置13は、送受信部37で受信した車両測位データと車両走行情報と信号機情報を警告判定処理部36に出力する。
警告判定処理部36は、受信した道路構造情報と、自車両の車両測位データと車両走行情報と、他車両の車両測位データと車両走行情報と、信号機情報により、自車両が交差点を走行する際に危険があるかを予知し(図7に示す(10))、危険であると判断すればドライバーに対し音声などによる手段で警告を発する。
これらの動作を繰り返し、通信エリア外に出た時点で、衝突の危険予知判定を終了する。
以上が、自車両3が交差点に進入し危険予知判定を行うまでの通信手順の一例である。
【0031】
次に、図8を用いて警告判定処理部36における判定処理フローの一例を説明する。
警告判定処理部36は中継装置7から、道路構造情報と車両ID番号を受信する(図8に示すステップS101)。
警告判定処理部36は中継装置7から、車両測位データと車両走行情報を受信する(図8に示すS102)。
次いで、警告判定処理部36は中継装置7から、交差点信号機情報を受信する(図8に示すS103)。
警告判定処理部36は、ステップS102で受信した車両測位データと車両走行情報から速度オーバーの車両の有無を判定する(図8に示すS104)。一例として、車両走行情報から得た車両4の車両速度がV4であり基準速度がVS105としたときにV4>VS105であるときに車両4は速度オーバーであると判定する。判定により速度オーバーの車両があれば警告処理を行う。
【0032】
警告判定処理部36はステップS101で受信した道路構造情報により、交差点の形状や交差点に接続されている道路の道路幅、歩道の有無、道路工事の有無、道路工事有りのときの車両進入禁止エリア、高層建物の有無、建物の寸法や階数などの地図情報を得る。
警告判定処理部36は自車両の車両測位データと車両走行情報に基き自車両の走行位置と進行方向を認識し地図情報上に自車両の位置をプロットする。警告判定処理部36は進行方向に道路工事による車両進入禁止エリアの有無を調べ、禁止エリアがあれば警告処理を行う(図8に示すS105)。
また、警告判定処理部36は、中継装置7から受信した他車両の車両測位データに基いて他車両の走行位置と進行方向を認識し地図情報上に他車両位置をプロットする。
次に、警告判定処理部36は地図情報に基いて、建物のために自車両位置からは死角ができ見通しが効かない見通し外エリアがあるかを判定する(図8に示すS106)。見通し外エリアの有無を判定するには、例えば地図情報上で自車両位置から建物の角位置に仮想直線を引き、建物の後方で仮想直線で囲まれたエリアは自車両位置からは見通しが効かないエリアとなる。このエリアを車線が通っているとき、見通し外エリアがあると判定し、判定フラグを立てる。
見通し外エリアの判定フラグが立つと、警告判定処理部36はその見通し外エリアを走行している車両があるかを判定する(図8に示すS107)。車両有無の判定は、前記S106での見通し外エリアと、S103での車両測位データから判定できる。地図情報上で他車両の車両位置が前記見通し外エリアにあれば、判定フラグを立てる。
見通し外エリアを走行する車両の判定フラグが立つと、次に車両の車両速度がある速度以上であるかを判定する(図8に示すS108)。例えば車両走行情報から得た車両4の車両速度がV4であり基準速度をVS108としたときに、V4>VS108であるときに車両4は速度オーバーであると判定する。このとき判定フラグを立て警告処理を行う。ここで、基準速度VS108は個別に設定することができ、書換え可能である。また、S105で設定した基準速度VS105と同一である必要はない。
【0033】
次に警告判定処理部36は、受信した他車両の車両測位データと車両走行情報から車両の走行軌道を計算し、車両の走行軌道が蛇行していないかを判定する(図8に示すS109)。蛇行の判定において、警告判定処理部36は中継装置から受信した車両測位データと車両走行情報を車両ID番号と関連付けて警告判定処理部36に備えられた記憶エリア40に格納している。警告判定処理部36は車両ID番号と対応付けられた車両測位データに基づき、地図情報上に車両の走行軌道をプロットする。ここで例えば走行車線中央位置からの車両位置のずれ量を計算し、そのずれ量の最大値と最小値の差Δdが規定値dmaxより大(Δd>Δdmax)であれば車両は蛇行していると判定し判定フラグを立てる。走行軌道が蛇行していると判断すれば車両が車線を外れて衝突してくる可能性があるとして、警告処理を行う。ここで、規定値dmaxは個別に設定することができ、書換え可能である。
【0034】
次に警告判定処理部36は、受信した交差点信号機情報から交差点での信号が赤の車線を走行する車両の有無を判定し(図8で示すS110)、該当する車両があればその車両の車両ID番号より車両走行情報を検索する。車両走行情報より車両速度を入手し減速しているか否かを判定する(図8で示すS111)。減速していない車両があれば、信号を見落として交差点に進入してくる可能性があるとして判定フラグを立て警告処理を行う。
【0035】
次に警告判定処理部36は、受信した車両走行情報より車両方向指示器の情報を得て交差点での右折車があるかを判定する(図8で示すS112)。右折車がある時にはその右折車の予測走行軌道を、地図情報上の車道の配置と、車両測位データと、車両走行情報からと推定し地図情報上にプロットする。同じく自車両の走行軌道を、地図情報上の車道の配置と、車両測位データと、車両走行情報から推定し地図情報上にプロットする。
地図情報上で車両の予測走行軌道が交差する場合には、車両衝突の可能性があるとして警告処理を行う。
警告判定処理部36は、車両測位データと車両走行情報から接近してくる車両の有無を判定し(図8で示すS114)、接近してくる車両があれば、判定フラグを立て、衝突してくる可能性があるとして警告処理を行う。
【0036】
ここで、自車両の車両測位データ等と他車両の車両測位データ等は周期的(例えば10Hz周期)に更新される。自車両が交差点を通過し終わるまで上記判定を繰り返し(図8のS115)、判定処理フローにより危険であると判断すれば警告処理を行う。自車両が交差点を走行中であれば前記S102の工程に戻り、衝突事故の危険判定を継続する。
【0037】
図9に、道路構造情報から得られる交差点近傍の地図情報と地図上にプロットされた車両の模式図を示す。
道路構造情報は図5で説明したように道路幅や車線数、車線減少の有無、横断歩道の有無、道路工事エリア、近傍の建物の形状等の情報を得る。
図9で、自車両3は青信号の交差点に進入しようとしており、また車道左側は建物により見通しが効かない。
交差点左側からは、赤信号にも関わらず速度を落とさない車両4が交差点に進入している。また、前方道路の坂の下からは走行軌道が蛇行している車両5が同じく交差点を通過しようとしている。
【0038】
図8で示した判定処理フローによれば、交差点左側から進入してくる車両4に対してはステップS108の判定によりドライバーに警告処置がなされ、また、車両5に対してはステップS109の判定により警告処置がなされる。
この例のようにドライバーは危険車両に対し衝突事故の危険判定を行うことができ、よって、交差点での衝突を防ぐことができる。
【0039】
以上のようにこの実施の形態1によれば中継装置7が交差点に設置されており、中継装置7が通信エリア内の多数の車両に対して、車両測位データや車両走行情報や道路構造情報などの情報を一括して送受信することから、各車両の車載装置は中継装置に対して1回線の双方向通信を行うのみで通信エリア内の多数の車両の車両測位データや車両走行情報や交差点近傍の道路構造情報などの情報をリアルタイム性を損なうことなく獲得することができるという効果がある。
またこの発明によれば、補正位置情報センタと中継装置を設けているので、中継装置が通信可能なエリア内で、車道を走行している車両の高精度な車両測位データを獲得できるという効果がある。
また、中継装置は道路構造情報を格納した道路構造情報データベースを備えており、この道路構造情報データベースは書換え可能であり、道路工事などの最新の道路構造情報を考慮した衝突事故の危険判定ができるという効果がある。
【0040】
図8で示した警告判定処理部の判定フローは一例であり、衝突事故の危険判定を目的とした他の判定フローであってもよいことは言うまでもない。
また、この実施の形態では警告判定処理部は車載装置に搭載されているが中継装置に搭載されていてもよく、この場合は中継装置が車載装置に対して警告信号を送信する。
車載装置での衝突事故の危険判定は通信エリア内全域で行ってもよいし、通信エリア内のある特定のエリアに限るようにしてもよい。
また、道路構造情報は中継装置7の通信エリア内をすべてをカバーしていることが望ましいが、その一領域のみをカバーすることであってもよい。このときは、精度の高い衝突事故の危険判定は道路構造情報を受信したエリアのみとなり、道路構造情報を受信できなかったエリアについては、危険判定の精度が落ちることになる。
【0041】
また、中継装置7の通信エリアは中継装置を中心とした半径100m、通信対象の最大数は60台としたがこれに限られるものではない。
また、ドライバーへの警告は音声によるもの、バイブレータによる振動によるもの、その他ドライバーが警告を認識できる方法であればよい。
【0042】
また、車載装置はパイロット信号を常時前方100mの半円(直近の側後方を含む)方向に送信しているが、中継装置7がパイロット信号を常時半径100mの通信エリアに送信する方式であってもよい。この場合は車載装置がパイロット信号を受信し、衝突事故の危険判定を行う動作を開始する。
【0043】
また、車両ID番号は中継装置が各車両に割り当てるようにしているが、車載装置が独自に保有している車両ID番号を中継装置に送信し、車両の識別番号として使用するようにしてもよい。
【0044】
また、位置補正方式としてFKP−DGPS方式を用いたがこれ以外の測位方式であってもよく、例えば基準点を交差点においたDGPS方式であってもよい。
【0045】
また、この実施の形態では車両と中継装置間の通信方式の一例として、上り(車載装置から中継装置に対する通信)はCDMA方式、下りは同一周波数の放送方式としたが、この方式に限られるものではない。
【0046】
また、補正位置情報を用いてGPS位置情報を補正する方式として同期方式と非同期方式がある。同期方式はGPS位置情報を得た時刻と同時刻の補正位置情報を用いて補正する方式であり、非同期方式とはGPS位置情報を得た時刻以前の補正位置情報を用いて補正する方式である。
この発明の実施においては同期方式が望ましいが、非同期方式であってもよい。GPS位置情報の測定周期は10Hzであり、測位間隔は100ミリセカンドである。一方、PASセンタ11から送信される補正位置情報は1ないし2秒毎に更新されるので、非同期方式としても精度はそれほど低下しない。
【0047】
実施の形態2.
図10に、本実施の形態2における交差点での衝突防止システムのブロック構成を示す。
実施の形態2では、補正位置情報はPASセンタから通信回線を介して無線基地局65に送信され、無線基地局65から車両に送信する構成をとる。
【0048】
この実施の形態2では、車両は常に補正位置情報を受信しており、高精度測位を行っている。実施の形態2では、実施の形態1示した車両が交差点近傍に来てから補正位置情報を受信し高精度測位を開始する構成と比較し、図7で示した通信手段で(3)の補正位置情報の送信が不要となり、車載装置と中継装置との間でやり取りする通信時間が短縮される効果がある。通信時間の短縮により、危険予知の精度が向上する。
【0049】
補正位置情報の送信方法としては、補正位置情報を衛星から送信する構成であってもよい。
【0050】
実施の形態3.
図11に、本実施の形態3における見通しの悪い車道での衝突防止システムの実施例を示す。
図11において、自車両3は高層建物60によって見通しが効かないカーブを曲がろうとしており、対向車線からは車両4が規定以上の速度で走行している。中継装置7は車道外側のカーブ地点に設置されている。
車両4はカーブを曲がる際に車線を外れて衝突してくる危険がある。図8で示した判定処理フローによれば、ステップS108の判定により警告処置がなされ、ドライバーは危険を予知して減速するなどの対応をとることができる。
【0051】
本実施の形態4で示したように、この発明は交差点近傍での実施のみならず一般車道においても車両の衝突事故の防止に効果をもつ。
【0052】
実施の形態4.
図12に、本実施の形態4における交差点での衝突防止システムの実施例を示す。
図において自車両3は交差点を走行しており、交差点には横断歩道70が設置され歩行者71が交差点を渡ろうとしている。車両3には車載装置13が搭載されている。また、歩行者71は歩行者用位置送信装置72を携帯している。交差点には中継装置7が設置されており、自車両3の左側には高層建物60が建てられており、横断歩道の方向に対して見通しが悪い。
【0053】
図13に、歩行者が携帯している歩行者用位置送信装置72のブロック構成を示す。
歩行者用位置送信装置72はアンテナ部34と、送受信・計算部35と、警告判定処理部36で構成される。
アンテナ部34は、歩行者の自己測位データを送信し、車両測位データや車両走行情報などの情報を受信するアンテナ341と、GPS信号9を受信するGPSアンテナ342から構成される。
送受信・計算部35は、送受信部37と測位処理部38とGPS受信機39と方位計81と歩測計82で構成される。
GPS受信機39はGPSアンテナ342と接続されGPS信号を受信する。GPS受信機39は受信したGPS信号をGPS観測データとして測位処理部38に出力する。
測位処理部38は送受信部37と接続され、補正位置情報を受信する。また、測位処理部38は方位計81と歩測計82と接続されており、歩行者の歩行方位と歩測数から計算される歩行速度を演算する。
測位処理部38は、GPS観測データを補正位置情報14と歩行方位と歩行速度を用いて補正演算し、自己位置を示す歩行者測位データと歩行者歩行情報を警告判定処理部36と送受信部37に出力する。
【0054】
次に、本実施の形態4における動作を説明する。
歩行者用位置送信装置72の送受信部37は、自己の歩行者測位データ(歩行位置)と歩行者歩行情報(方向、速度など)を中継装置7に対し、例えば周期100msの周期で送信する。
車両3は中継装置7を経由して歩行者の位置情報を受信する。車両3は警告判定処理部36にて、中継装置7から受信した歩行者の位置情報と道路構造情報と、自車両の車両測位データと車両走行情報に基いて衝突事故の危険判定を行い、、危険であると判断すればドライバーに対し警告を発する。衝突事故の危険判定については、例えば図8で示した判定フローに歩行者の位置情報を追加したものとなる。
ここでは、車両の車載装置側が衝突事故の危険判定を行う例を示したが、歩行者が携行する歩行者用位置送信装置側が衝突事故の危険判定を行ってもよい。
【0055】
以上のように本実施の形態4によれば、歩行者が歩行者用位置送信装置72を携帯することにより、歩行者および車両のドライバーの双方が衝突事故の危険判定を精度よく行うことができる。
【0056】
実施の形態5.
図14に、本実施の形態5における衝突防止システムの実施例を示す。
中継装置7は車道脇に設置されている。自車両である車両3は片側2車線の道路の右側追い越し車線を走行しており、車両4は車両3後方で左側車線を走行している。車両3と車両4は各々車載装置13を搭載しており、車両測位データや車両走行情報を中継装置7に対し定期的に送信している。
ここで、車載装置13は実施の形態1で記載したように、中継装置7から補正位置情報を得ることにより1m以下の測定精度を得ることができる。この高精度位置情報を得ることにより、地図情報上では車両が走行している車線の区別も可能となる。車線の区別ができることにより、車両3が車線変更をするときの衝突事故の危険判定を行うことができるようになる。図14の例では、図8で示した判定フローのS114のステップにより車両3のドライバーに警告処置がなされる。
【0057】
以上のように本実施の形態5によれば、異なる車線を走行する車両が車線変更する際に接近して衝突事故を起こす危険判定を精度よく行うことができる。
【0058】
実施の形態6.
本実施の形態6では、実施の形態1において車載装置13の測位処理部38に車両の角速度を検出するジャイロと、車両速度計を接続する。
本実施の形態により、車載装置がGPS信号が受信できない状況においても自車両位置を高精度に計測できる。よって、GPS信号が受信できない状況であっても、衝突事故の危険判定を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施の形態1における交差点での衝突防止システムの概念を示した図である。
【図2】本実施の形態1における衝突防止システムの構成を示した図である。
【図3】本実施の形態1における車載装置のブロック構成を示した図である。
【図4】本実施の形態1における中継装置のブロック構成を示した図である。
【図5】本実施の形態1における道路構造情報のデータ形式の一例である。
【図6】本実施の形態1における処理部の情報処理タイムチャートの一例である。
【図7】本実施の形態1における通信手順の一例である。
【図8】本実施の形態1における警告判定処理部の判定フローの一例である。
【図9】本実施の形態1における地図情報と地図上の車両位置を表した摸式図である。
【図10】本実施の形態2における交差点での衝突防止システムのブロック構成図である。
【図11】本実施の形態3における衝突防止システムの説明図である。
【図12】本実施の形態4における交差点での衝突防止システムの説明図である。
【図13】本実施の形態4における歩行者用位置送信装置のブロック構成図である。
【図14】本実施の形態5における衝突防止システムの説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 交差点、3,4,5,6 車両、7 中継装置、8 GPS衛星、9 GPS信号、11 PASセンタ、13 車載装置、14 補正位置情報、30 車両が中継装置に対し送信する送信データ、31 中継装置が車両に対し送信する送信データ、34 アンテナ部、35 送受信・計算部、36 警告判定処理部、37 送受信部、38 測位処理部、39GPS受信機、40 記憶エリア、72 送受信部、73 処理部、75 道路構造情報データベース。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両同士や車両と歩行者間の衝突事故を防止する車載装置及び中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近接した車両同士の衝突防止装置としては、ミリ波レーダを用いた前方車両との衝突防止装置がある。車両の側方での衝突防止装置としては、近距離ミリ波センサを用いた衝突防止装置がある。
また、位置検出手段によって検出された車両位置情報を車両間で双方向通信し、自車両と他車両との相対的な位置関係を把握することにより、衝突を防止する衝突防止装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−79100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ミリ波レーダを用いた前方車両との衝突防止装置の効果は、他車両が自車両の前方を近接して走行している場合に限られるという課題があった。
また、従来技術では、衝突防止の対象となる他車両は1台を想定しており、交差点のように多数の車両が往来するような場所での多数の車両を対象とした衝突防止は想定していない。従来技術により複数の車両を想定した車両衝突防止システムを構成すると、これら複数の車両と個別に双方向通信を行い、自車両と他車両との相対的な位置関係や車両速度を把握することにより衝突事故を防止する構成となる。しかしながらこのような構成では、双方向通信を行う車両数に依存して多数の無線通信回線を確保しなければならないという課題があった。また通信回線が確保できた場合であっても、ポーリング手順により各車両にアクセスし順次データの授受を行う方式では情報のリアルタイム性が損なわれるという課題があった。
また、従来技術では、車両の測位精度が十分でないことにより、車両後方から車両側方をすり抜けようとしているバイクや蛇行して走行しているような車両の検出は出来ず、また、走行している車線の判別ができないことから車線を逸脱して走行してくるような車両の検出は出来ないという課題があった。
また、車両が走行可能なエリアと進入できないエリアを区別する情報であり、例えば進行方向前方の道路幅、車線数、車線減少の有無、歩道の有無、道路工事の有無、進入禁止となる道路工事エリア、建物情報などの道路構造情報をも勘案した衝突事故防止システムは無かった。
【0005】
この発明は係る課題を解決するためになされたものであり、交差点近傍の道路の道路構造情報や信号機の情報を得て、衝突事故の危険判定の精度を向上させた車載装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の車載装置は、車両に搭載され、交差点近傍の道路の道路構造情報が格納された書き換え可能な道路構造情報データベースと、通信エリア内の車両と無線通信を行う中継装置通信部と、前記交差点の信号機と接続され前記信号機の信号情報を取得し、前記車両に向けて、前記道路構造情報と、前記信号情報と前記通信エリア内の車両から受信した受信情報を周期的に集計してまとめた情報を、前記中継装置通信部を介して送信する処理部とを備えた中継装置から、前記道路構造情報と前記信号情報と前記受信情報を周期的に受信する通信部と、受信した前記道路構造情報と前記信号情報と前記受信情報に基いて事故の危険性の判定を行い、事故の危険性がある場合に前記車両のドライバーに警告を発する判定処理部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、車両は、交差点近傍の道路の道路構造情報や信号機の情報を得て、事故発生の危険判定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は本実施の形態1における交差点での衝突防止システムの概念図である。
図1において、十字路の交差点1には四方の車道から車両が進入し通過する。車両3、4,5,6は交差点1に進入しようとする車両であり、各車両3,4,5,6は車載装置13を搭載している。交差点1中央付近には中継装置7が設置され、また信号機74が設置されている。上空には複数のGPS(Global Positioning System)衛星8が位置し、車載装置13はGPS衛星8からGPS信号9(GPS衛星8が発信する測位信号で、C/Aコードなどが含まれる)を受信する。
【0009】
電子基準局が得た疑似距離などのGPS観測データを複数の電子基準局から受信し、受信したGPS観測データに基いて補正位置情報を演算し、求めた補正位置情報を送信するセンタを補正位置情報センタと呼ぶ。
疑似距離とはGPS衛星とGPS測位端末との測定距離であり、真の距離と誤差距離との和である。GPS測位端末側では、補正位置情報センタから受信した補正位置情報により自己端末で受信したGPS観測データを補正することで疑似距離から誤差距離を除き、高精度な測位結果を得ることが出来る。
図1のPAS(Positioning Augmentation Services;国土位置情報サービス)センタ11は、この補正位置情報センタの1つの名称であり、位置座標が正確に分かっている複数の電子基準局(図示せず)と接続されている。
中継装置7はPASセンタ11とインターネット、衛星回線、無線回線等の通信回線で接続されており、PASセンタ11が送信する補正位置情報14を受信し、受信した補正位置情報14を交差点近傍の車両に対して送信する。
【0010】
図2の本実施の形態1における衝突防止システムの構成図を用いて、このシステムの概略を説明する。
中継装置7はPASセンタ11と通信回線を介して接続されており、PASセンタから送信される補正位置情報14を受信する。
中継装置7は、受信した補正位置情報14を交差点近傍の車両に対し送信し、車両に搭載された車載装置13は、前記補正位置情報14を受信する。
また、車載装置13は上空に位置する複数のGPS衛星8が発信する測位信号であるGPS信号9を受信する。車載装置13は、受信したGPS信号による単独測位として得られたGPS衛星と車載装置との疑似距離を含むGPS観測データを補正位置情報14を用いて補正し、補正されたGPS観測データを用いて測位演算を行うことで、高精度な車両測位データを獲得する。
一方、車載装置13は獲得した自車両の車両測位データを中継装置7に対し送信する。また、車載装置13は前記車両測位データと共に車両速度などの車両走行情報を中継装置7に対し送信する。図2においてデータ30は車両測位データと車両走行情報を示している。
【0011】
一方、中継装置7は、交差点近傍の通信エリア内を走行する各車両からデータ30を受信し、通信エリア内を走行する車両に対しデータ31を送信する。ここで通信エリアは、車載装置13と中継装置7とが双方向通信可能なエリアのことである。また、データ31は、交差点近傍の道路構造情報や、補正位置情報や、通信エリア内を走行する車両の車両測位データや、車両速度などの車両走行情報や、交差点の信号機情報を示している。
道路構造情報とは、車両が走行可能なエリアと進入できないエリアを区別できる道路情報であり、例えば交差点近傍の道路幅、車線数、車線減少の有無、歩道の有無、道路工事の有無、進入禁止となる道路工事エリアおよび建物情報など交差点近傍の道路情報を指し、中継装置7の道路構造情報データベースに格納されている。
車載装置13は、自車両の車両測位データと中継装置7から送信された交差点近傍の道路構造情報と車両測位データと車両走行情報と信号機情報に基づいて衝突事故の危険判定をし、危険であると判定すれば音声などによりドライバーに対し警告を発する。
【0012】
図3に、車載装置13のブロック構成を示す。
車載装置13は、アンテナ部34と送受信・計算部35と警告判定処理部36から構成される。
アンテナ部34は、送受信部37に接続されたアンテナ341とGPS受信機39に接続されたアンテナ342から構成される。
アンテナ341は、中継装置7から送信された補正位置情報、交差点近傍の道路構造情報、車両測位データ、車両走行情報、信号機情報などの情報を受信する。また、パイロット信号や、自車両の車両測位データや車両走行情報などの情報を送信する。アンテナ342は、GPS衛星8からのGPS信号9を受信する。
【0013】
送受信・計算部35は、送受信部37と測位処理部38とGPS受信機39とで構成される。
送受信部37はアンテナ341を経由して補正位置情報、交差点近傍の道路構造情報、車両測位データ、車両走行情報、信号機情報を受信する。送受信部37は受信した補正位置情報を測位処理部38に出力し、道路構造情報、車両測位データ、車両走行情報、信号機情報を警告判定処理部36に出力する。警告判定処理部36は道路構造情報、車両測位データ、車両走行情報、信号機情報を記憶エリア40に格納する。記憶エリア40は書き換え可能で読み取り可能である。
GPS受信機39は、GPS観測データを測位処理部38に出力する。
測位処理部38は、GPS観測データと送受信部37が出力した補正位置情報に基いて測位演算することで、1m以下の高精度な自車両の車両測位データを得ることができる。ここで得た自車両の車両測位データは送受信部37とアンテナ341を経由して中継装置7に対して送信すると共に、警告判定処理部36に出力する。
警告判定処理部36は記憶エリア40に格納された道路構造情報、他車両の車両測位データと車両走行情報、信号機情報、自車両の車両測位データと車両走行情報に基いて衝突事項の危険判定を行い、衝突事故の危険があると判断すればドライバーに警告を発する。
【0014】
図4に、中継装置7のブロック構成を示す。
中継装置7は、アンテナ71と送受信部72と処理部73と道路構造情報データベース75と車両測位データや車両走行情報等を記憶する記憶エリア76から構成される。道路構造情報データベース75には道路構造情報が格納されている。 道路構造情報データベース75は書き換え可能であり、読み取り可能である。
送受信部72は、アンテナ71を経由して通信エリア内の車両から送信されるパイロット信号、車両測位データ、車両走行情報を受信し、通信エリア内の車両に対して補正位置情報、道路構造情報、車両測位データ、車両走行情報、信号機情報などを送信する。
【0015】
処理部73は、道路構造情報データベース75、記憶エリア76、PASセンタ11、交差点信号機74、送受信部72と接続されている。
処理部73は、車両が常時送信するパイロット信号をアンテナ71を経由して送受信部72が受信することで車両が通信エリア内に入ったことを判別すると、未使用状態の車両ID番号の中から車両ID番号を選択し、前記車両ID番号と道路構造情報データベース75から取出した交差点近傍の道路構造情報をアンテナ71を経由して車両に送信する。通信エリア内に入った車両は交差点近傍の道路構造情報とともに車両ID番号の送信を受信することで、通信エリア内における自車両の車両ID番号を獲得する。
また、処理部73は、車両が通信エリア外に出たことを判別するとその車両に付与していた車両ID番号を使用中の状態から未使用状態に変更する。車両が通信エリア外であることの判別は、判別すべき車両ID番号を含んだ情報の受信が無くなったことで判別してもよいし、あるいは、受信した車両測位データからわかる車両位置をもって通信エリア外であることを判別してもよい。
このように中継装置は、車載装置が発信するパイロット信号を受信することで、車両が通信エリアに入ったことを判別し、また、判別すべき車両が発信する車両ID番号を含んだ情報の受信が一定期間無くなったことにより、あるいは、判別すべき車両位置情報により、車両が通信エリア外に出たことを判別する。
【0016】
図5(a)〜(c)に、道路構造情報データベース75に格納されている交差点近傍の道路構造情報のデータ形式の一例を示す。図5(a)はノード情報テーブル、(b)はノード間を接続するリンク情報テーブル、(c)は建物情報テーブルである。
図5(a)において、ノードは例えば道路交差点位置や道路の屈曲点などに仮想的に付けられたポイントであり、ノードID番号はノードに付けられた番号である。ノード情報テーブルにはノードが位置するノード位置座標、隣接するノード数を表す隣接ノード数、接続する接続ノード番号、ノード間を接続するリンクID番号が格納される。
図5(b)はリンク情報テーブルであり、リンクID番号に付随する情報が格納される。例えば、道路幅、車線数、車線減少の有無、車道脇の歩道の有無、道路工事の有無、道路工事エリアである。道路工事エリアは、工事エリアの角4点の座標で示され地図上に車両進入禁止を示す表示がされる。
図5(c)は建物情報テーブルであり、座標位置に対する建物情報が格納される。例えば建物の名称、建物の寸法、階数などである。
道路構造情報データベースは書換え可能である。例えば道路工事が完了した時点で、図5(b)リンク情報テーブルの道路工事の有無の欄を有(1)から無(0)に変更することにより地図上の車両進入禁止の表示は消去される。
道路構造情報データベースの書換えは、データベース端末の入力により行う。
【0017】
図6は、中継装置内の処理部73が行う情報処理のタイムチャート図である。
処理部73は、記憶エリア76に格納した通信エリア内を走行する車両の車両測位データと車両走行情報および補正位置情報と交差点信号機情報などの受信情報を周期的に集計し、送受信部72に対してまとめて出力する。
図6の例では、通信エリア内の車両は車両測位データや車両走行情報を10Hz周期で発信しており、PASセンタ11は補正位置情報14を1Hz周期で発信している。処理部73はアンテナ71と送受信部72を経由してこれらの情報を受信し、車両ID番号と対応させる形式で記憶エリア76に格納する。
処理部73は10Hz周期で直前の1周期(100ms)の間に受信した情報(各車両のID番号、車両測位データ、車両走行情報、補正位置情報、交差点信号機情報など)を記憶エリア76から取出し、送受信部72に出力する。
送受信部72は処理部73から受信した受信情報を、通信エリア内の車両に対して10Hz周期で送信する。
車載装置は中継装置7から情報を受信することにより、1回線の通信回線で、1回線よりも多い数の他車両の車両測位データや車両走行情報や道路構造情報などの情報をリアルタイム性を損なうことなく獲得することができる
処理部73は、受信情報を一旦記憶エリアに格納し直前の1周期中に受信した情報をまとめ周期的に出力する構成をとっている。この構成をとることにより、受信情報の履歴を記憶エリアに残すことができるという効果がある。また、通信エリア内に車両が多数存在し、受信情報が中継装置7に一時に集中するような際においても、中継装置7が車両からの情報を受信したと同時にその受信情報を出力する構成と比較し、情報の送り損じや情報紛失の問題が発生せず、通信の信頼性が向上するという効果がある。
【0018】
図4で、中継装置7は通信回線を経由してPASセンタ11と接続されている。PASセンタ11は測定した電子基準局位置と関連付けて補正位置情報14を送信しており、処理部73は交差点に最も近い電子基準局における補正位置情報14を受信することができる。
【0019】
ここでPASセンタ11は、複数の電子基準局に設置されたGPS受信器とネットワークで接続されている。GPS受信器はGPS衛星からL1搬送波(1575.42MHz)とL2搬送波(1227.6MHz)の2周波からなる搬送波位相情報、衛星測位時間データ、エフェメリスデータ、アルマナックデータ、及び疑似距離などのGPS観測データを取得する。電子基準局はこれらのGPS観測データを電子基準局の識別コードとともにPASセンタ11に送信している。
PASセンタ11はネットワークで結ばれた各電子基準局のGPS観測データを受信し、これらのGPS観測データを用いることで、FKP方式の演算処理によりその電子基準局に対応した補正位置情報14を演算する(例えば、G.Wubbena,A.Bagge,M.Schmitz,”RTK Networks based on Geo++ GNSMART−Concept,Implementation,Results”,presented at the International Technical Meeting,ION GPS−01,September11.−14.,2001参照)。
ここで補正位置情報14とはDGPSにより得られる各電子基準局の補正値eとFKP方式により演算された面補正パラメータのことである。面補正パラメータは電子基準点がおかれた位置からの距離に対する補正量を面で表した補正パラメータである。
【0020】
PASセンタ11は得られた補正位置情報14を周期的に送信している。
【0021】
表1に、本実施の形態1における車載装置13と中継装置7との間の通信仕様と測位精度を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
車載装置13から中継装置7に送信する通信情報は、車両ID番号、測位時刻、車両測位データ(緯度、経度、高度)、車両進行方向、車両方向指示器、車両速度、車両外形の情報である。
また、中継装置7から車載装置13に送信する通信情報は、補正位置情報、道路構造情報、交差点信号機情報、通信エリア内を走行する各車両の車両ID番号、測位時刻、車両測位データ(緯度、経度、高度)、車両進行方向、車両方向指示器、車両速度、車両外形の情報である。
車両から中継装置への送信および中継装置から車両への送信の通信周期は、共に10Hzである。
【0024】
車両の測位精度は1m以下である。表1に記載したFKP−DGPS方式とは、DGPS(Differential Global Positioning System)の改良方式であり(例えば、特願2004−057380参照)、測定点に最も近い電子基準点における疑似距離と、その電子基準点に対応した面補正パラメータより与えられる補正値δeを受信し、これら受信情報に基き位置の補正演算を行う方式である。
従来のDGPSにおいては、それぞれの基準点における補正値eしか得られず、測定点が電子基準点から離れるに従って測定点での誤差が大きくなる。これに対し本改良方式のFKP−DGPS方式では、測定点が電子基準点かなり離れていても面補正パラメータより与えられる補正値δeにより、正確な誤差量が得られる。結果として測位精度が1m以下という高い測位精度が実現される。
本FKP−DGPS方式により、例えば通常4.5m〜5mある道路幅の車線で車両が走行している車線の区別をすることが可能となる。
【0025】
通信エリアは、中継装置7を中心とした半径100mの領域を規定している。これは、ドライバーが警告をうけてから安全確保に必要な時間を4秒と想定し、車両速度が90km/hの時で安全確保時間(4秒)の間に車両が走行する距離が100m(=90km/h×4秒)であることに基いている。
【0026】
中継装置が通信する対象車両数は最大60台で規定している。
前述の通りFKP−DGPS方式では移動体を1m以下の精度で測位することができ、走行している車線の区別が可能である。また、車頭間隔10mの車両を識別することも可能である。
車両の車頭間隔を10mとしたとき半径100mの通信エリアには1車線あたり10台の車両が通信対象となる。片側1車線の十時の交差点として、対象となる最大車両数は60台(=10×2×3)となる。
車両と中継装置間で授受されるデータの通信方式は、例えば、車両から中継装置に対してはCDMA方式であり、中継装置から車両に対しては同一周波数の放送方式を用いて授受される。
【0027】
次に、図7と図1〜図4を用いて、本実施の形態1における衝突防止システムの情報の流れについて説明する。
図7は、自車両3が交差点に進入し危険予知判定を行うまでの通信手順の一例を表したものである。
車両3(自車両)に搭載された車載装置13の送受信部37は、前方100mの半円(直近の側後方を含む)方向にパイロット信号を常時送信している(図7に示す(1))。パイロット信号を受信した中継装置7は道路構造情報データベース75から交差点1近傍の道路構造情報を取出し、この道路構造情報と車両に割り当てる車両ID番号を送信する(図7に示す(2))。中継装置7は最も近い電子基準局の補正位置情報14を車両に対し送信する(図7に示す(3))。車両3の車載装置13は受信した道路構造情報を警告判定処理部36に出力し、警告判定処理部36は道路構造情報を記憶エリア40に保存する。
【0028】
車載装置13は上空に位置する少なくとも4機以上の複数のGPS衛星からアンテナ343を経由してGPS信号を受信しGPS観測データを測位処理部38に出力する。測位処理部38は、GPS観測データを図7に示す(3)で得た補正位置情報14を用いて補正演算し、高精度な車両測位データを獲得する。獲得した車両測位データは送受信部37に出力され、送受信部37は車両測位データと車両走行情報を中継装置7に対して送信する(図7に示す(4))。
【0029】
通信エリア内を走行する他の車両4,5,6も個別に中継装置7との間で図7に示す(1)〜(3)の信号授受を行い(図示を省略)、各車両が車両測位データと車両走行情報を中継装置7に送信する(図7に示す(5)、(6)、(7))。
中継装置7は、周期(T=100ms)期間中に受信した車両測位データと車両走行情報を集積し通信エリア内の車両に対し送信する(図7に示す(8))。
中継装置7は、信号機より交差点信号機情報を受信していれば通信エリア内の車両に対し送信する(図7に示す(9))。
【0030】
車載装置13は、送受信部37で受信した車両測位データと車両走行情報と信号機情報を警告判定処理部36に出力する。
警告判定処理部36は、受信した道路構造情報と、自車両の車両測位データと車両走行情報と、他車両の車両測位データと車両走行情報と、信号機情報により、自車両が交差点を走行する際に危険があるかを予知し(図7に示す(10))、危険であると判断すればドライバーに対し音声などによる手段で警告を発する。
これらの動作を繰り返し、通信エリア外に出た時点で、衝突の危険予知判定を終了する。
以上が、自車両3が交差点に進入し危険予知判定を行うまでの通信手順の一例である。
【0031】
次に、図8を用いて警告判定処理部36における判定処理フローの一例を説明する。
警告判定処理部36は中継装置7から、道路構造情報と車両ID番号を受信する(図8に示すステップS101)。
警告判定処理部36は中継装置7から、車両測位データと車両走行情報を受信する(図8に示すS102)。
次いで、警告判定処理部36は中継装置7から、交差点信号機情報を受信する(図8に示すS103)。
警告判定処理部36は、ステップS102で受信した車両測位データと車両走行情報から速度オーバーの車両の有無を判定する(図8に示すS104)。一例として、車両走行情報から得た車両4の車両速度がV4であり基準速度がVS105としたときにV4>VS105であるときに車両4は速度オーバーであると判定する。判定により速度オーバーの車両があれば警告処理を行う。
【0032】
警告判定処理部36はステップS101で受信した道路構造情報により、交差点の形状や交差点に接続されている道路の道路幅、歩道の有無、道路工事の有無、道路工事有りのときの車両進入禁止エリア、高層建物の有無、建物の寸法や階数などの地図情報を得る。
警告判定処理部36は自車両の車両測位データと車両走行情報に基き自車両の走行位置と進行方向を認識し地図情報上に自車両の位置をプロットする。警告判定処理部36は進行方向に道路工事による車両進入禁止エリアの有無を調べ、禁止エリアがあれば警告処理を行う(図8に示すS105)。
また、警告判定処理部36は、中継装置7から受信した他車両の車両測位データに基いて他車両の走行位置と進行方向を認識し地図情報上に他車両位置をプロットする。
次に、警告判定処理部36は地図情報に基いて、建物のために自車両位置からは死角ができ見通しが効かない見通し外エリアがあるかを判定する(図8に示すS106)。見通し外エリアの有無を判定するには、例えば地図情報上で自車両位置から建物の角位置に仮想直線を引き、建物の後方で仮想直線で囲まれたエリアは自車両位置からは見通しが効かないエリアとなる。このエリアを車線が通っているとき、見通し外エリアがあると判定し、判定フラグを立てる。
見通し外エリアの判定フラグが立つと、警告判定処理部36はその見通し外エリアを走行している車両があるかを判定する(図8に示すS107)。車両有無の判定は、前記S106での見通し外エリアと、S103での車両測位データから判定できる。地図情報上で他車両の車両位置が前記見通し外エリアにあれば、判定フラグを立てる。
見通し外エリアを走行する車両の判定フラグが立つと、次に車両の車両速度がある速度以上であるかを判定する(図8に示すS108)。例えば車両走行情報から得た車両4の車両速度がV4であり基準速度をVS108としたときに、V4>VS108であるときに車両4は速度オーバーであると判定する。このとき判定フラグを立て警告処理を行う。ここで、基準速度VS108は個別に設定することができ、書換え可能である。また、S105で設定した基準速度VS105と同一である必要はない。
【0033】
次に警告判定処理部36は、受信した他車両の車両測位データと車両走行情報から車両の走行軌道を計算し、車両の走行軌道が蛇行していないかを判定する(図8に示すS109)。蛇行の判定において、警告判定処理部36は中継装置から受信した車両測位データと車両走行情報を車両ID番号と関連付けて警告判定処理部36に備えられた記憶エリア40に格納している。警告判定処理部36は車両ID番号と対応付けられた車両測位データに基づき、地図情報上に車両の走行軌道をプロットする。ここで例えば走行車線中央位置からの車両位置のずれ量を計算し、そのずれ量の最大値と最小値の差Δdが規定値dmaxより大(Δd>Δdmax)であれば車両は蛇行していると判定し判定フラグを立てる。走行軌道が蛇行していると判断すれば車両が車線を外れて衝突してくる可能性があるとして、警告処理を行う。ここで、規定値dmaxは個別に設定することができ、書換え可能である。
【0034】
次に警告判定処理部36は、受信した交差点信号機情報から交差点での信号が赤の車線を走行する車両の有無を判定し(図8で示すS110)、該当する車両があればその車両の車両ID番号より車両走行情報を検索する。車両走行情報より車両速度を入手し減速しているか否かを判定する(図8で示すS111)。減速していない車両があれば、信号を見落として交差点に進入してくる可能性があるとして判定フラグを立て警告処理を行う。
【0035】
次に警告判定処理部36は、受信した車両走行情報より車両方向指示器の情報を得て交差点での右折車があるかを判定する(図8で示すS112)。右折車がある時にはその右折車の予測走行軌道を、地図情報上の車道の配置と、車両測位データと、車両走行情報からと推定し地図情報上にプロットする。同じく自車両の走行軌道を、地図情報上の車道の配置と、車両測位データと、車両走行情報から推定し地図情報上にプロットする。
地図情報上で車両の予測走行軌道が交差する場合には、車両衝突の可能性があるとして警告処理を行う。
警告判定処理部36は、車両測位データと車両走行情報から接近してくる車両の有無を判定し(図8で示すS114)、接近してくる車両があれば、判定フラグを立て、衝突してくる可能性があるとして警告処理を行う。
【0036】
ここで、自車両の車両測位データ等と他車両の車両測位データ等は周期的(例えば10Hz周期)に更新される。自車両が交差点を通過し終わるまで上記判定を繰り返し(図8のS115)、判定処理フローにより危険であると判断すれば警告処理を行う。自車両が交差点を走行中であれば前記S102の工程に戻り、衝突事故の危険判定を継続する。
【0037】
図9に、道路構造情報から得られる交差点近傍の地図情報と地図上にプロットされた車両の模式図を示す。
道路構造情報は図5で説明したように道路幅や車線数、車線減少の有無、横断歩道の有無、道路工事エリア、近傍の建物の形状等の情報を得る。
図9で、自車両3は青信号の交差点に進入しようとしており、また車道左側は建物により見通しが効かない。
交差点左側からは、赤信号にも関わらず速度を落とさない車両4が交差点に進入している。また、前方道路の坂の下からは走行軌道が蛇行している車両5が同じく交差点を通過しようとしている。
【0038】
図8で示した判定処理フローによれば、交差点左側から進入してくる車両4に対してはステップS108の判定によりドライバーに警告処置がなされ、また、車両5に対してはステップS109の判定により警告処置がなされる。
この例のようにドライバーは危険車両に対し衝突事故の危険判定を行うことができ、よって、交差点での衝突を防ぐことができる。
【0039】
以上のようにこの実施の形態1によれば中継装置7が交差点に設置されており、中継装置7が通信エリア内の多数の車両に対して、車両測位データや車両走行情報や道路構造情報などの情報を一括して送受信することから、各車両の車載装置は中継装置に対して1回線の双方向通信を行うのみで通信エリア内の多数の車両の車両測位データや車両走行情報や交差点近傍の道路構造情報などの情報をリアルタイム性を損なうことなく獲得することができるという効果がある。
またこの発明によれば、補正位置情報センタと中継装置を設けているので、中継装置が通信可能なエリア内で、車道を走行している車両の高精度な車両測位データを獲得できるという効果がある。
また、中継装置は道路構造情報を格納した道路構造情報データベースを備えており、この道路構造情報データベースは書換え可能であり、道路工事などの最新の道路構造情報を考慮した衝突事故の危険判定ができるという効果がある。
【0040】
図8で示した警告判定処理部の判定フローは一例であり、衝突事故の危険判定を目的とした他の判定フローであってもよいことは言うまでもない。
また、この実施の形態では警告判定処理部は車載装置に搭載されているが中継装置に搭載されていてもよく、この場合は中継装置が車載装置に対して警告信号を送信する。
車載装置での衝突事故の危険判定は通信エリア内全域で行ってもよいし、通信エリア内のある特定のエリアに限るようにしてもよい。
また、道路構造情報は中継装置7の通信エリア内をすべてをカバーしていることが望ましいが、その一領域のみをカバーすることであってもよい。このときは、精度の高い衝突事故の危険判定は道路構造情報を受信したエリアのみとなり、道路構造情報を受信できなかったエリアについては、危険判定の精度が落ちることになる。
【0041】
また、中継装置7の通信エリアは中継装置を中心とした半径100m、通信対象の最大数は60台としたがこれに限られるものではない。
また、ドライバーへの警告は音声によるもの、バイブレータによる振動によるもの、その他ドライバーが警告を認識できる方法であればよい。
【0042】
また、車載装置はパイロット信号を常時前方100mの半円(直近の側後方を含む)方向に送信しているが、中継装置7がパイロット信号を常時半径100mの通信エリアに送信する方式であってもよい。この場合は車載装置がパイロット信号を受信し、衝突事故の危険判定を行う動作を開始する。
【0043】
また、車両ID番号は中継装置が各車両に割り当てるようにしているが、車載装置が独自に保有している車両ID番号を中継装置に送信し、車両の識別番号として使用するようにしてもよい。
【0044】
また、位置補正方式としてFKP−DGPS方式を用いたがこれ以外の測位方式であってもよく、例えば基準点を交差点においたDGPS方式であってもよい。
【0045】
また、この実施の形態では車両と中継装置間の通信方式の一例として、上り(車載装置から中継装置に対する通信)はCDMA方式、下りは同一周波数の放送方式としたが、この方式に限られるものではない。
【0046】
また、補正位置情報を用いてGPS位置情報を補正する方式として同期方式と非同期方式がある。同期方式はGPS位置情報を得た時刻と同時刻の補正位置情報を用いて補正する方式であり、非同期方式とはGPS位置情報を得た時刻以前の補正位置情報を用いて補正する方式である。
この発明の実施においては同期方式が望ましいが、非同期方式であってもよい。GPS位置情報の測定周期は10Hzであり、測位間隔は100ミリセカンドである。一方、PASセンタ11から送信される補正位置情報は1ないし2秒毎に更新されるので、非同期方式としても精度はそれほど低下しない。
【0047】
実施の形態2.
図10に、本実施の形態2における交差点での衝突防止システムのブロック構成を示す。
実施の形態2では、補正位置情報はPASセンタから通信回線を介して無線基地局65に送信され、無線基地局65から車両に送信する構成をとる。
【0048】
この実施の形態2では、車両は常に補正位置情報を受信しており、高精度測位を行っている。実施の形態2では、実施の形態1示した車両が交差点近傍に来てから補正位置情報を受信し高精度測位を開始する構成と比較し、図7で示した通信手段で(3)の補正位置情報の送信が不要となり、車載装置と中継装置との間でやり取りする通信時間が短縮される効果がある。通信時間の短縮により、危険予知の精度が向上する。
【0049】
補正位置情報の送信方法としては、補正位置情報を衛星から送信する構成であってもよい。
【0050】
実施の形態3.
図11に、本実施の形態3における見通しの悪い車道での衝突防止システムの実施例を示す。
図11において、自車両3は高層建物60によって見通しが効かないカーブを曲がろうとしており、対向車線からは車両4が規定以上の速度で走行している。中継装置7は車道外側のカーブ地点に設置されている。
車両4はカーブを曲がる際に車線を外れて衝突してくる危険がある。図8で示した判定処理フローによれば、ステップS108の判定により警告処置がなされ、ドライバーは危険を予知して減速するなどの対応をとることができる。
【0051】
本実施の形態4で示したように、この発明は交差点近傍での実施のみならず一般車道においても車両の衝突事故の防止に効果をもつ。
【0052】
実施の形態4.
図12に、本実施の形態4における交差点での衝突防止システムの実施例を示す。
図において自車両3は交差点を走行しており、交差点には横断歩道70が設置され歩行者71が交差点を渡ろうとしている。車両3には車載装置13が搭載されている。また、歩行者71は歩行者用位置送信装置72を携帯している。交差点には中継装置7が設置されており、自車両3の左側には高層建物60が建てられており、横断歩道の方向に対して見通しが悪い。
【0053】
図13に、歩行者が携帯している歩行者用位置送信装置72のブロック構成を示す。
歩行者用位置送信装置72はアンテナ部34と、送受信・計算部35と、警告判定処理部36で構成される。
アンテナ部34は、歩行者の自己測位データを送信し、車両測位データや車両走行情報などの情報を受信するアンテナ341と、GPS信号9を受信するGPSアンテナ342から構成される。
送受信・計算部35は、送受信部37と測位処理部38とGPS受信機39と方位計81と歩測計82で構成される。
GPS受信機39はGPSアンテナ342と接続されGPS信号を受信する。GPS受信機39は受信したGPS信号をGPS観測データとして測位処理部38に出力する。
測位処理部38は送受信部37と接続され、補正位置情報を受信する。また、測位処理部38は方位計81と歩測計82と接続されており、歩行者の歩行方位と歩測数から計算される歩行速度を演算する。
測位処理部38は、GPS観測データを補正位置情報14と歩行方位と歩行速度を用いて補正演算し、自己位置を示す歩行者測位データと歩行者歩行情報を警告判定処理部36と送受信部37に出力する。
【0054】
次に、本実施の形態4における動作を説明する。
歩行者用位置送信装置72の送受信部37は、自己の歩行者測位データ(歩行位置)と歩行者歩行情報(方向、速度など)を中継装置7に対し、例えば周期100msの周期で送信する。
車両3は中継装置7を経由して歩行者の位置情報を受信する。車両3は警告判定処理部36にて、中継装置7から受信した歩行者の位置情報と道路構造情報と、自車両の車両測位データと車両走行情報に基いて衝突事故の危険判定を行い、、危険であると判断すればドライバーに対し警告を発する。衝突事故の危険判定については、例えば図8で示した判定フローに歩行者の位置情報を追加したものとなる。
ここでは、車両の車載装置側が衝突事故の危険判定を行う例を示したが、歩行者が携行する歩行者用位置送信装置側が衝突事故の危険判定を行ってもよい。
【0055】
以上のように本実施の形態4によれば、歩行者が歩行者用位置送信装置72を携帯することにより、歩行者および車両のドライバーの双方が衝突事故の危険判定を精度よく行うことができる。
【0056】
実施の形態5.
図14に、本実施の形態5における衝突防止システムの実施例を示す。
中継装置7は車道脇に設置されている。自車両である車両3は片側2車線の道路の右側追い越し車線を走行しており、車両4は車両3後方で左側車線を走行している。車両3と車両4は各々車載装置13を搭載しており、車両測位データや車両走行情報を中継装置7に対し定期的に送信している。
ここで、車載装置13は実施の形態1で記載したように、中継装置7から補正位置情報を得ることにより1m以下の測定精度を得ることができる。この高精度位置情報を得ることにより、地図情報上では車両が走行している車線の区別も可能となる。車線の区別ができることにより、車両3が車線変更をするときの衝突事故の危険判定を行うことができるようになる。図14の例では、図8で示した判定フローのS114のステップにより車両3のドライバーに警告処置がなされる。
【0057】
以上のように本実施の形態5によれば、異なる車線を走行する車両が車線変更する際に接近して衝突事故を起こす危険判定を精度よく行うことができる。
【0058】
実施の形態6.
本実施の形態6では、実施の形態1において車載装置13の測位処理部38に車両の角速度を検出するジャイロと、車両速度計を接続する。
本実施の形態により、車載装置がGPS信号が受信できない状況においても自車両位置を高精度に計測できる。よって、GPS信号が受信できない状況であっても、衝突事故の危険判定を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施の形態1における交差点での衝突防止システムの概念を示した図である。
【図2】本実施の形態1における衝突防止システムの構成を示した図である。
【図3】本実施の形態1における車載装置のブロック構成を示した図である。
【図4】本実施の形態1における中継装置のブロック構成を示した図である。
【図5】本実施の形態1における道路構造情報のデータ形式の一例である。
【図6】本実施の形態1における処理部の情報処理タイムチャートの一例である。
【図7】本実施の形態1における通信手順の一例である。
【図8】本実施の形態1における警告判定処理部の判定フローの一例である。
【図9】本実施の形態1における地図情報と地図上の車両位置を表した摸式図である。
【図10】本実施の形態2における交差点での衝突防止システムのブロック構成図である。
【図11】本実施の形態3における衝突防止システムの説明図である。
【図12】本実施の形態4における交差点での衝突防止システムの説明図である。
【図13】本実施の形態4における歩行者用位置送信装置のブロック構成図である。
【図14】本実施の形態5における衝突防止システムの説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 交差点、3,4,5,6 車両、7 中継装置、8 GPS衛星、9 GPS信号、11 PASセンタ、13 車載装置、14 補正位置情報、30 車両が中継装置に対し送信する送信データ、31 中継装置が車両に対し送信する送信データ、34 アンテナ部、35 送受信・計算部、36 警告判定処理部、37 送受信部、38 測位処理部、39GPS受信機、40 記憶エリア、72 送受信部、73 処理部、75 道路構造情報データベース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、
交差点近傍の道路の道路構造情報が格納された書き換え可能な道路構造情報データベースと、通信エリア内の車両と無線通信を行う中継装置通信部と、前記交差点の信号機と接続され前記信号機の信号情報を取得し、前記車両に向けて、前記道路構造情報と、前記信号情報と前記通信エリア内の車両から受信した受信情報を周期的に集計してまとめた情報を、前記中継装置通信部を介して送信する処理部とを備えた中継装置から、前記道路構造情報と前記信号情報と前記受信情報を周期的に受信する通信部と、
受信した前記道路構造情報と前記信号情報と前記受信情報に基いて事故の危険性の判定を行い、事故の危険性がある場合に前記車両のドライバーに警告を発する判定処理部と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記受信情報は車両のID番号、車両の位置情報、車両の進行方向、車両の方向指示器、車両速度、車両の外形情報のいずれかを含むこと特徴とする請求項1記載の車載装置。
【請求項3】
前記処理部は100(msec)の周期で、前記信号情報と前記受信情報を集計してまとめた情報を送信し、前記通信部は当該情報を100(msec)の周期で受信することを特徴とする請求項1、2いずれか記載の車載装置。
【請求項4】
前記通信エリア内の車両は複数台の車両であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の車載装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記交差点近傍の歩行者から歩行者情報を取得し、前記信号情報と前記通信エリア内の車両からの受信情報と前記歩行者情報を周期的に集計してまとめた情報を周期的に送信し、前記通信部は当該情報を周期的に受信することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の車載装置。
【請求項6】
前記交差点近傍の歩行者は複数人であることを特徴とする請求項5記載の車載装置。
【請求項7】
前記判定処理部は、進行方向の前方に右折車があるときに事故の危険性があると判断することを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の車載装置。
【請求項8】
前記判定処理部は、右折をする場合で、前方からの直進車があるときに事故の危険性があると判断することを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の車載装置。
【請求項9】
前記判定処理部は、進行方向の前方の信号が赤信号で、車両速度を減速していない車両があるときに事故の危険性があると判断することを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の車載装置。
【請求項10】
交差点近傍の道路の道路構造情報が格納された、書き換え可能な道路構造情報データベースと、
通信エリア内の車両と無線通信を行う中継装置通信部と、
前記交差点の信号機と接続され、前記道路構造情報と、前記信号機の信号情報と前記通信エリア内の車両から受信した受信情報を周期的に集計してまとめた情報を、前記中継装置通信部を介して出力する処理部と、
を備えた中継装置。
【請求項1】
車両に搭載され、
交差点近傍の道路の道路構造情報が格納された書き換え可能な道路構造情報データベースと、通信エリア内の車両と無線通信を行う中継装置通信部と、前記交差点の信号機と接続され前記信号機の信号情報を取得し、前記車両に向けて、前記道路構造情報と、前記信号情報と前記通信エリア内の車両から受信した受信情報を周期的に集計してまとめた情報を、前記中継装置通信部を介して送信する処理部とを備えた中継装置から、前記道路構造情報と前記信号情報と前記受信情報を周期的に受信する通信部と、
受信した前記道路構造情報と前記信号情報と前記受信情報に基いて事故の危険性の判定を行い、事故の危険性がある場合に前記車両のドライバーに警告を発する判定処理部と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記受信情報は車両のID番号、車両の位置情報、車両の進行方向、車両の方向指示器、車両速度、車両の外形情報のいずれかを含むこと特徴とする請求項1記載の車載装置。
【請求項3】
前記処理部は100(msec)の周期で、前記信号情報と前記受信情報を集計してまとめた情報を送信し、前記通信部は当該情報を100(msec)の周期で受信することを特徴とする請求項1、2いずれか記載の車載装置。
【請求項4】
前記通信エリア内の車両は複数台の車両であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の車載装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記交差点近傍の歩行者から歩行者情報を取得し、前記信号情報と前記通信エリア内の車両からの受信情報と前記歩行者情報を周期的に集計してまとめた情報を周期的に送信し、前記通信部は当該情報を周期的に受信することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の車載装置。
【請求項6】
前記交差点近傍の歩行者は複数人であることを特徴とする請求項5記載の車載装置。
【請求項7】
前記判定処理部は、進行方向の前方に右折車があるときに事故の危険性があると判断することを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の車載装置。
【請求項8】
前記判定処理部は、右折をする場合で、前方からの直進車があるときに事故の危険性があると判断することを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の車載装置。
【請求項9】
前記判定処理部は、進行方向の前方の信号が赤信号で、車両速度を減速していない車両があるときに事故の危険性があると判断することを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の車載装置。
【請求項10】
交差点近傍の道路の道路構造情報が格納された、書き換え可能な道路構造情報データベースと、
通信エリア内の車両と無線通信を行う中継装置通信部と、
前記交差点の信号機と接続され、前記道路構造情報と、前記信号機の信号情報と前記通信エリア内の車両から受信した受信情報を周期的に集計してまとめた情報を、前記中継装置通信部を介して出力する処理部と、
を備えた中継装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−33505(P2013−33505A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−240300(P2012−240300)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【分割の表示】特願2010−154763(P2010−154763)の分割
【原出願日】平成16年5月31日(2004.5.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【分割の表示】特願2010−154763(P2010−154763)の分割
【原出願日】平成16年5月31日(2004.5.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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