説明

車載装置

【課題】ユーザが車両に乗車している際に、未再生の音声データが存在することを音声によって報知することによって、ユーザに未再生メッセージの再生を促すことを可能とする車載装置を提供することを目的とする。
【解決手段】音声入力手段(128)と、音声入力手段によって入力された音声データを記録する記録部(105)と、記録部に記録された音声データを音声出力する音声発生部(140)と、車両に対する操作を検出する検出部(123)と、記録部に記憶された音声データの内、未再生の音声データが存在する場合には、検出部による前記操作の検出に応じて、未再生の音声データが存在することを報知するように制御する制御部(100)を有することを特徴とする車載装置(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関し、特にユーザが発生した音声を音声データとして記録し、後で再生することが可能な車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイスメモを取ることが可能な腕時計において、未再生の音声データが存在していることをユーザに対して注意喚起させるために、音声データの記憶日時から所定の経過時間が過ぎている場合に、腕時計の表示部にリマインダーマークを表示させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
車両に装備されたボイスメモリ装置において、エンジン始動時のイグニッションスイッチON操作によって、登録されたメッセージの再生が自動的に行われ、再生したメッセージが自動的に消去されることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−189618号公報(図5)
【特許文献2】特開平3−251792号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザの音声を記録する装置では、ユーザが閃いたことや考えたことを音声データとして記録し、後で再生して、振り返って再度思考を継続させることを目的としているが、ある程度時間を置くと再生することを失念してしまう可能性がある。特に、車載用のユーザの音声を記録する装置では、ユーザが車両に乗車している時にしか再生を行うことができないので、せっかく記録した音声データを再生しないまま情報を古いものとしてしまい、記録した音声データの有効活用が図れないといった問題があった。
【0006】
これに対して、上記の特許文献1に記載の腕時計のように、未再生の音声データが存在することをリマインダーマークによって報知するような表示のみによる注意喚起の技術を車載用の装置に適用するのは安全運転を考慮し適切ではない。
【0007】
また、上記の特許文献2に記載のボイスメモリ装置のように、イグニッションスイッチON操作に応じて、未再生メッセージを強制的に再生しても、ユーザが忙しい場合や急いでいる場合には、ユーザが閃いたことや考えていたことを振り返えろうという本来の効果を十分に得ることはできない。
【0008】
そこで、本発明は、上記の不具合を解決することを可能とした車載装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、ユーザが車両に乗車している際に、未再生の音声データが存在することを音声によって報知することによって、ユーザに未再生メッセージの再生を促すことを可能とする車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車載装置では、音声入力手段と、音声入力手段によって入力された音声データを記録する記録部と、記録部に記録された音声データを音声出力する音声発生部と、車両に対する操作を検出する検出部と、記録部に記憶された音声データの内、未再生の音声データが存在する場合には、検出部による操作の検出に応じて、未再生の音声データが存在することを報知するように制御する制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
車載装置では、ユーザが車両に乗車している場合にしか記録した音声データの再生を行うことができないため、再生がタイミング良く行われないと情報が陳腐化してしまいがちであるが、本発明に係る車両装置によれば、ユーザが車両に乗車しているタイミングで、未再生のメッセージの存在を音声によって報知するので、ユーザに対して未再生メッセージの再生を促し、記録された音声データの有効活用を図ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】車載装置10の概略構成図である。
【図2】車載装置10の車両1への配置例を示す図である。
【図3】車載装置10における録音動作を示す処理フローの一例である。
【図4】車載装置10における再生動作を示す処理フローの一例である。
【図5】画面例を示す図である。
【図6】メニュー画面を表示した表示部及び操作部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照して、本発明の一実施形態に係る車載装置について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、車載装置10の概略構成図である。
【0015】
図1において、100は制御部、101はCD/MD再生部、102はラジオ受信部、103はTV受信部、104はDVD再生部、105はHD(Hard Disk)再生部、106はナビゲーション部、107は分配回路、108は画像調整回路、110は音声調整回路、111は画像出力部、112はVICS情報受信部、113はGPS情報受信部、114はセレクタ、115は操作部、116はリモコン送受信部、117はリモコン、118はメモリ、119は外部音声/映像入力部、120はカメラ、121は明るさ検知手段、122は乗員検知手段、123はイグニッション(IG)スイッチ、124はETC車載器、125は通信ユニット、126は音声発生回路、127は録音スイッチ、128はマイク、129はシフトレバーセンサである。
【0016】
制御部100は、車載装置内の各部や各回路を統括的に制御しているCPUを備え、車載装置の動作に必要な各種のプログラムを保持するROMからなるプログラム記憶部と、各種のデータを保持するRAMからなるデータ記憶部とを、有している。なお、ROM及びRAM等は、CPUに内蔵されたものでも、外部に設けたものでも使用することが可能であり(外部メモリ118)、ROMはフラッシュメモリの様に電気的に書き換え可能な不揮発性メモリでもよい。
【0017】
制御部100は、分配回路107を介して、各種ソース(CD/MD再生部101、ラジオ受信部102、TV受信部103、DVD再生部104、HD再生部105及びナビゲーション部106)からの画像データを画像調整部108へ、各種ソースからの音声データを音声調整部110へそれぞれ分配する。画像調整回路108では、輝度や色調、コントラストなどが調整され、調整された各画像データを画像出力部111にて、表示部130に表示させる。また音声調整回路110では各スピーカへの分配や音量、音声が調整され、調整された音声が、スピーカ140から出力される。
【0018】
TV受信部103は、アンテナからセレクタ114を介して、アナログTV放送波及びデジタルTV放送波を受信する。
【0019】
HD再生部105が含むハードディスク(HD)には、MP3ファイル等の音楽データやJPEGファイル等の画像データ、ナビゲーション用の地図データ等や、各種データを選択するためのメニュー画面例等を記録することが可能に構成されている。また、HDには、マイク128から入力された音声データをMP3ファイル等の所定のデータ形式で記録する。HD再生部105は、HDに記録された各種データを分配回路107へ出力するように構成されている。
【0020】
ナビゲーション部106は、ナビゲーションの為に利用される地図情報を記憶した地図情報記憶部を備え、VICS(登録商標)情報受信部112、GPS情報受信部113から情報を入手し、ナビゲーション動作の為の画像を作成し、表示部130に表示させることができる。
【0021】
ユーザは、上記各種ソースのコントロール及び音声入力/再生等を、表示部130の表面に取り付けられているタッチパネル133や表示部130の周囲に設けられた操作部115、もしくはマイク128を介した音声認識等の入力操作によって行うことができる。また、ユーザは、リモコン送受信部116を介して、リモコン117により入力もしくは選択操作をしてもよい。
【0022】
制御部100は、外部音声/画像入力部119に接続された、例えば、前方及び/又は後方監視用のカメラ120からの画像を表示部130に表示するように構成されている。なお、監視用カメラ120以外に、ビデオカメラ及びゲーム機等を外部音声/画像入力部119に接続し、表示部130で各種画像を表示するようにしても良い。
【0023】
制御部100は、明るさ検知手段121(例えば、車両のライトスイッチや光センサ)や乗員検知手段122(例えば、運転席や助手席に設けられる感圧センサ)により検知された情報を元に、音声メッセージの再生制御を行う。
【0024】
IGスイッチ123は、車両1に設けられたエンジン始動用のキーシリンダ等と電気的に一体的に構成されている。ユーザが、IGスイッチのON操作を行うと、エンジンが始動され、IG−ON信号が制御部100へ送信される。同様に、ユーザが、IGスイッチのOFF操作を行うと、エンジンが停止され、IG−OFF信号が制御部100へ送信される。なお、IGスイッチ123の代わりに、ACC(アクセサリー)スイッチからの信号を利用するようにしても良い。
【0025】
制御部100は、ETC車載器124からの料金表示等を表示部130に表示させることが可能である。
【0026】
通信ユニット125は、例えば、Bluetooth(登録商標)用の接続ユニットであって、携帯電話と無線接続する為に利用される。事前の設定により、携帯電話のハンズフリー機能(直接、携帯電話を操作することなく、電話をかける及び電話を受ける動作)を実行することが可能となる。この場合、制御部100は、ユーザによる音声入力をマイク128を介して行い、発呼者からの音声をスピーカ140から出力するように制御する。
【0027】
音声発生回路126は、制御部100から送信される内蔵メモリ、HD及び/又はメモリ118等に予め記録されている音声データに応じた音声を発生し、音声調整回路110を介して、スピーカ140から出力するように構成されており、WAVファイル等の音声データのデコーダ、デジタル/アナログ変換器等により構成されている。制御データに応じた音声には、例えば、記録された未再生の音声データの再生を促すための音声、ナビゲーション部106によるナビゲーション動作に必要な音声、ETC車載器117が料金所を追加する前後に出力する警告音声等が含まれる。
【0028】
シフトレバーセンサ129は、シフトレバーがP(パーク)ポジションに切替えられると、パークポジション信号を制御部100へ送信する。なお、パーキングブレーキの操作が行われたことを検出するパーキングブレーキセンサを、シフトレバーセンサ129の代わりに利用しても良い。
【0029】
表示部130は、バックライト131、液晶パネル132及びタッチパネル133から構成される。液晶パネル132上に表示される各種制御ボタンとタッチパネル133が連動することによって、タッチパネル133を利用して様々な制御入力を行うことが可能であるように構成されている。また、表示部130はリトラクタブルに設計されており、表示部130を倒して、その背後の部分を露出させ、背後の部分に配置されているスリットを利用して、CD、MD又はDVD等の挿脱を行えるように構成されている。なお、液晶パネル132の代わりに、液晶パネル以外のフラットパネルディスレイ、例えば有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることもできる。
【0030】
制御部100は、録音スイッチ127の操作に応じて、マイク128を介して入力された音声を所定形式の音声データ(例えば、WAVフォーマット(RIFF waveform Audio Format)等)に変換して、例えば、HD再生部105のHD又はメモリ118に記録する。また、制御部100は、操作部115、リモコン116、スイッチ127又はタッチパネル133の操作に応じて、記録された音声データの再生をスピーカ140を利用して行う。
【0031】
図1に示した音声データの記録及び再生を行う車載装置10は一例であって、これに限定されるものではない。音声データの記録及び再生を行うための車載装置10としては、少なくとも、制御部100、メモリ118、録音スイッチ127、マイク128、表示部130及びスピーカ140に対応する要素を有していれば良く、他の構成は必ずしも必要ではない。また、同様の機能を持つ車載装置は、一般のナビゲーション装置に録音スイッチ127及びマイク128を後付けで装着することにより実施できる場合も考えられる。
【0032】
図2は、車載装置10の車両1への配置例を示す図である。
【0033】
車両1のセンターコンソール付近に、表示部130が配置され、表示部130の下部に各種スイッチから構成される操作部115が配置されている。表示部130の下方には、録音スイッチ141が配置され、運転席シートには運転席に乗員がいるか否かを判断するための乗員検知センサ122−1、助手席シートには助手席に乗員がいるか否かを判断するための乗員検知センサ122−2が配置されている。また、シフトレバーには、シフトレバーセンサ129が取り付けられている。さらに、運転席側のドアには第1のスピーカ140−1が配置され、助手席側のドアには第2のスピーカ140−2が配置されている。また、マイク142が、運転席側のサンバイザー付近に配置されている。上記の各種センサ、スイッチ、マイク、スピーカは、表示部130の後方で、センターコンソールの後ろ側に配置された車載装置の本体と接続されている。また、車載装置10は、車両1のバッテリ(不図示)から、電力の供給を受けている。
【0034】
図3は、車載装置10における録音動作を示す処理フローの一例である。
【0035】
図3に示す処理フローは、制御部100の内部メモリ等に予め記憶されたプログラムにしたがって、制御部100によって実行され、この処理により車載装置10の各種構成要素及び各種回路に出力される制御信号によりこれらの動作が制御される。尚、この処理は車載装置10の動作中(イグニッションスイッチオン状態)に、他の処理と共に繰り返し実行される。
【0036】
最初に、制御部100は、録音の開始操作が行われたか否かの判断を行い、開始操作が行なわれていればS11の処理に移り、行なわれていなければ処理を終える(S10)。即ち、制御部100は、録音開始操作が行われたか否かを、常時監視していることとなる。録音の開始操作を、録音スイッチ127を長押し(3秒以上)した場合と設定することができる。なお、他の操作、例えば、録音スイッチ127の通常の押圧動作を、録音開始操作に設定しても良い。
【0037】
S10において録音の開始操作が行われた場合、次に、録音開始不可条件が成立しているか否かの判断を行う(S11)。録音開始不可条件が成立している場合は、録音開始不可条件が成立している旨の音声案内を行い(S18)、処理を終える。録音開始不可条件が成立していない場合は、ステップS12に移る。録音開始不可条件とは、例えば、以下の4つの場合を言う。なお、以下の4つの場合は一例であって、他の場合を録音開始不可条件に加えても良いし、以下の4つの場合の全てを録音開始不可条件に設定しなくても良い。
【0038】
1.音声データの保存件数が上限(例えば、10件)に達している場合。なお、この場合、制御部100は、音声発生回路126を用いて、「保存件数が一杯のため利用することができません。」との音声をスピーカ140から出力することが好ましい。
2.通信ユニット125を用いて、携帯電話のハンズフリー機能を利用している場合。
3.ナビゲーション部106におけるナビゲーション動作を、マイク128を用いた音声認識を利用して行っている場合。
4.CD、MD又はDVD等の挿脱等の為に、表示部130が倒れた状態にある場合。
【0039】
S11において録音開始不可条件が成立していない場合、スピーカ14(スピーカが複数装備されている場合はその全て)の出力をミュート(無音)とするように制御を行う(S12)。なお、運転席付近のスピーカ(例えば、図2のスピーカ122−1)のみをミュートとするように制御しても良い。
【0040】
例えば、CDのデータをHD再生部105のHDへ記録を行っている場合は、録音開始不可条件に含まれていないので、音声データを録音する際にも、CDのデータをHD再生部105のHDへ記録可能に構成できる。なお、CDのデータをHD再生部105のHDへ記録を行っている最中に、録音スイッチ127が長押しされた場合には、一旦記録を中止し、音声データの記録終了後に、再開するようにしても良い。ここで、CDのデータをHD再生部105のHDへ記録を行う処理は、録音開始不可条件が成立していない場合として記載したが、録音開始不可条件が成立した場合に含まれるようにして、例外的に、CDのデータをHD再生部105のHDへ強制的に記録を行うような構成にしても良い。
【0041】
次に、ボイスメモ画面を表示部130に表示させ(S13)、録音動作を開始する(S14)。ボイスメモ画面とは、音声データの録音が開始されたことを視覚的に表すものであり、例えば図5(a)に示すような画面を言う。図5(a)において、進捗バー表示50は、録音時間を視覚的に表すものであり、網掛け部分が進捗バー表示50の図中の右端まで達するまでの時間(例えば、30秒)が1件分の最大録音時間に対応している。また、停止ボタン51は、録音動作を停止させるものである。なお、ボイスメモ画面の表示(S13)と共に、音声発生回路126を用いて、「ピッと鳴ったらお話ください。」との音声をスピーカ140から出力し、録音開始(S14)と共に、音声発生回路126を用いて、「ピッ」というビープ音をスピーカ140から出力することが好ましい。
【0042】
次に、録音終了条件が成立しているか否かの判断を行う(S15)。録音終了条件とは、例えば、以下の8つの場合等を言う。なお、以下の8つの場合は一例であって、他の場合を録音終了条件に加えても良いし、以下の8つの場合を全て録音終了条件に設定しなくても良い。
【0043】
1.停止ボタン51(図5(a)参照)の押圧動作があった場合。
2.録音スイッチ127の長押し(3秒以上)があった場合。なお、録音スイッチ127の通常の押圧動作を、録音終了条件に設定しても良い。
3.カメラ120からの割込み映像が入力された場合。例えば、ギアをバックギアに変更した場合に後方監視用のカメラからの映像が優先的に表示部130に表示されるような場合を言う。
4.通信ユニット125を用いた携帯電話のハンズフリー機能により、着信があった場合。
5.IGスイッチ123のOFF操作があった場合。なお、IGスイッチ123のOFF操作の代わりに、ACCスイッチのOFF操作があった場合を録音開始不可条件に設定しても良い。なお、IGスイッチ123のOFF操作又はACCスイッチのOFF操作があった場合にも、所定時間の間は、車両1のバッテリから電力が車載装置10に供給されていることから、以下の示すS16及びS17の実行を完了することが可能である。
6.車載装置10が電源スイッチを有している場合であって、電源スイッチがOFFされた場合。なお、電源スイッチがOFFされた場合、直ぐに車載装置10への電力の供給が遮断されると、以下の示すS16及びS17を行うことができなくなる可能性がある。そこで、少なくとも、S16の処理動作によって、それまでに記録した音声データを記録した上で、車載装置10への電力の供給を遮断するように制御することが好ましい。
7.録音開始から所定時間が経過(例えば、30秒;図5(a)参照)した場合。
8.表示部130の画面の遷移を伴うような操作部115の操作があった場合。例えば、図6に示す操作部115−5(現在地表示)の押圧動作があって、現在地を含む地図画像が表示されたような場合。
【0044】
そして、録音終了条件が成立した場合には、録音終了条件が成立するまでに、マイク128を介して入力された音声データを所定形式にてHD再生部105のHDに記録するようにして録音動作を終了する(S16)。なお、音声データを記録する記録部は、HD再生部105のHDではなく、車載装置10に含まれる他の記録部(制御部100の内部メモリ、メモリ118等)であっても良い。
【0045】
次に、ボイスメモ画面(図5(a))を解除して(S17)、一連の処理を終了する。ボイスメモ画面を解除することにより、ボイスメモ開始操作前の画面、例えば、メニュー画面(図6参照)が表示される。
【0046】
図4は、車載装置10における再生動作を示す処理フローの一例である。尚、この処理は車載装置10の動作中(イグニッションスイッチオン状態)に、他の処理と共に繰り返し実行される。
【0047】
図4に示す処理フローは、制御部100の内部メモリ等に予め記憶されたプログラムにしたがって、制御部100によって実行され、この処理により車載装置10の各種構成要素及び各種回路に出力される制御信号によりこれらの動作が制御される。
【0048】
最初に、車両1に対する操作があったがあったか否かの判断を行い、開始操作が行なわれていればS21の処理に移り、行なわれていなければ処理を終える(S20)。車両1に対する操作とは、以下の2つの操作の何れかを言う。なお、他の場合を、車両1に対する操作としても良いし、以下の2つの操作の全てを車両1に対する操作としなくとも良い。
【0049】
1.IGスイッチ123のOFF操作が行われた場合。なお、ACCスイッチのOFF操作を車両1に対する操作としても良い。尚、この場合、車載装置10の動作状態をバックアップ電源ラインを介して供給される電源により、処理が終了するまで維持(オン状態)する必要がある。
2.シフトレバーが操作されシフトレバーセンサ129がPポジションを検出した場合。なお、パーキングブレーキが操作された場合を車両1に対する操作としても良い。
また、ユーザによりボイスメモ再生の操作がなされた場合にも、ボイスメモ再生処理を開始する。この場合は、ステップS21から処理を開始する(図4の開始2)。具体的には、例えば、メニュー画面において、ボイスメモ再生ボタンが押圧された場合。図6にメニュー画面の一例を示す。図6に示すメニュー画面は、IGスイッチ123がON操作された後、車載装置10に電力が供給され、車載装置10が動作可能となった場合に最初に表示される画面である。また、ユーザによる所定のメニュー画面表示操作によってもメニュー画面は表示される。メニュー画面には、ナビゲーション選択ボタン61、TV選択ボタン62、CD視聴ボタン63、ハンズフリー機能を利用した電話利用ボタン64、ボイスメモ再生ボタン65、各種設定ボタン66を有している。なお、図6に示すメニュー画面は一例であって、これに限定されるものではない。また、図6において、表示部130の下部には、設定用操作部115−1、表示部リトラクタブル操作部115−2、選曲用操作部115−3、オーディオ画面表示用操作部115−4、現在位置表示用操作部115−5、目的地設定用操作部115−6、音量調整用操作部115−7、及びハンズフリー機能利用用操作部115−8が設けられている。なお、図6に示す操作部115−1〜115−8は一例であって、これに限定されるものではない。
【0050】
S20において車両1に対して所定操作が行われたと判断された場合、再生開始条件が成立したか否かの判断を行う(S21)。再生開始条件とは、未再生の音声データが存在する場合を言う。しかしながら、未再生の音声データが存在する場合に加えて、以下の3つの条件の何れかが成立している場合に、再生開始条件が成立したと判断するようにしても良い。なお、以下の3つの条件は一例であって、他の条件を再生開始条件に加えても良い。
【0051】
1.乗員検知手段122(例えば、図2に示す乗員検知手段122−2)によって、助手席の乗員が降車したと判断された場合。運転者のみとなった状態が、ボイスメモの再生に最適な時間の1つと考えられることによる。なお、タクシー等の場合、後部座席に乗員検知手段122を設け、顧客が降車したと判断された場合を、再生開始条件としても良い。また、逆に、乗員検知手段が、運転席に乗員が存在することを検知している場合を、再生開始条件としても良い。
2.GPS情報受信部113等の位置情報を利用したナビゲーション部106において、自宅(ホーム)に設定されている場所に車両1が位置した場合。なお、自宅だけではなく、会社、経由地又は目的地に到着した時点を、再生開始条件として設定することも可能である。
3.所定の時間になった場合。操作部115及び/又はタッチパネル133を利用して、所定の時間を設定し、設定時間になったことを再生開始条件とすることが可能である。例えば、昼食時(AM:12:30)に設定することができる。
【0052】
S21において再生開始条件が成立したと判断された場合、スピーカ14(スピーカが複数装備されている場合はその全て)の出力をミュート(無音)とするように制御を行う(S22)。なお、運転席付近のスピーカ(例えば、図2のスピーカ122−1)のみをミュートとするように制御しても良い。なお、S21において再生開始条件が成立していないと判断された場合は処理を終える。
【0053】
次に、音声発生回路126を用いて、「未再生のボイスメモが存在しています。」との音声をスピーカ140から出力する(S23)。なお、この際に、未再生の音声データの件数、未再生の音声データが記録されてからの経過時間、及び/又は未再生の音声データの記録日時等をユーザに報知するようにしても良い。例えば、「○件の未再生のボイスメモが存在しています。」との音声をスピーカ140から出力するようにしても良い。この様に、ユーザが車両に乗車している際に、未再生の音声データが存在することを音声によって報知することによって、ユーザに未再生音声データの再生を促すことが可能となる。
【0054】
次に、ボイスメモリリスト画面を表示部130に表示させる(S24)。図5(b)は、ボイスメモリリスト画面の一例である。ボイスメモリ画面には、記録された複数の音声データを示すタイトル表示52、各音声データが未再生の場合に表示される未再生タグ53、全ての音声データを消去させるための消去ボタン54、記録された複数の音声データを示すタイトル表示52を順次スクロール表示させるための表示制御キー55、メニュー画面(図6参照)に戻るボタン56等が表示される。
【0055】
ボイスメモリリスト画面では、新しく録音したタイトル表示52がリストの先頭に表示され、以下録音時間順(新しい順)に表示されるように構成されている。また、各音声データを示すタイトル表示52には、音声データの録音開始時間(年月日時分)及び録音時間(秒)が表示されている。さらに、未再生の音声データを示すタイトル表示52には、未再生タグ(「NEW」)53を対応して表示させている。一度でも、再生された場合には、未再生タグ53を消去させている。
【0056】
次に、ユーザがボイスメモリリスト画面(図5(b)参照)を利用して音声データを選択操作すると、当該音声データの再生画面を表示部130に表示させる(S25)。図5(c)は、再生画面の一例である。再生画面には、ボイスメモリリスト画面へ戻るボタン56、進捗バー57、再生ボタン58、停止ボタン59及び表示している音声データのみを消去さえるための消去ボタン60を含んでいる。なお、ボイスメモリリスト画面の表示後、所定時間以内に音声データの選択操作が行われない場合には、ボイスメモリの画面を消去して、ボイスメモリ画面の表示前の画面を表示し、本処理を終える。
【0057】
次に、再生画面(図5(c)参照)の再生ボタン58が押圧されると、音声データの再生を開始する(S26)。なお、進捗バー57によって、ユーザは、再生の状況を把握することができる。また、音声データの再生を行う場合に利用するスピーカを、運転席近傍に配置されたスピーカ(例えば、スピーカ140−1;図2参照)のみとするように設定しても良い。なお、再生画面の表示中、再生状態でない場合に所定時間継続して操作が行われない場合には、再生画面を消去してボイスメモリリスト画面を表示する。そして、ボイスメモリリスト画面の表示後、所定時間以内に音声データの選択操作が行われない場合には、ボイスメモリの画面を消去して、ボイスメモリ画面の表示前の画面を表示し、本処理を終える。
【0058】
次に、再生終了条件が成立しているか否かの判断を行う(S27)。再生終了条件とは、例えば、以下の7つの場合等を言う。なお、以下の7つの場合は一例であって、他の場合を再生終了条件に加えても良いし、以下の7つの場合を全て再生終了条件に設定しなくても良い。
【0059】
1.再生画面(図5(c)参照)において、戻るボタン56、停止ボタン59又は消去ボタンの押圧操作があった場合。
2.カメラ120からの割込み映像が入力された場合。例えば、ギアをバックギアに変更した場合に後方監視用のカメラからの映像が優先的に表示部130に表示されるような場合を言う。
3.通信ユニット125を用いた携帯電話のハンズフリー機能により、着信があった場合。
4.IGスイッチ123のON操作があった場合。なお、IGスイッチ123のON操作の代わりに、ACCスイッチのON操作があった場合としても良い。
5.車載装置10が電源スイッチを有している場合であって、電源スイッチがOFFされた場合。
6.再生が終了した場合。
7.表示部130の画面の遷移を伴うような操作部115の操作があった場合。例えば、図6に示す操作部115−5(現在地表示)の押圧動作があって、現在地を含む地図画像が表示されたような場合。
【0060】
そして、再生終了条件が成立した場合には、再生を終了して(S28)、再生画面を解除し(S29)、一連の処理を終了する。なお、再生画面を解除した場合、再生終了条件により表示される画面が異なる。再生画面において、戻るボタン56、又は消去ボタンの押圧操作があった場合と、再生が終了した場合は再度ボイスメモリリスト画面を表示するか、あるいはメニュー画面を表示するのが好ましく、再生画面において停止ボタン59の押圧操作があった場合は再生画面を維持するのが好ましい。また、カメラ120からの割込み映像の入力があった場合、携帯電話のハンズフリー機能による着信があった場合は、当該カメラ動作中、ハンズフリー動作中は当該機能の画面に遷移し、当該動作完了後に再生画面に復帰することが好ましい。また、IGスイッチ123あるいはACCスイッチのON操作の場合には、車載装置の起動画面を表示するのが好ましい。なお、車載装置10の電源スイッチOFF操作の場合は、車載装置10の停止により画像表示を行われないこととなる。
【符号の説明】
【0061】
100 制御部
101 CD/MD再生部
102 ラジオ受信部
103 TV受信部
104 DVD再生部
105 HD再生部
106 ナビゲーション部
107 分配回路
108 画像調整回路
110 音声調整回路
111 画像出力部
115 操作部
118 メモリ
119 外部音声/映像入力部
120 カメラ
122 乗員検知手段
123 ACCスイッチ
130 表示部
140 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声入力手段と、
前記音声入力手段によって入力された音声データを記録する記録部と、
前記記録部に記録された音声データを音声出力する音声発生部と、
車両に対する操作を検出する検出部と、
前記記録部に記憶された音声データの内、未再生の音声データが存在する場合には、前記検出部による前記操作の検出に応じて、未再生の音声データが存在することを報知するように制御する制御部と、
を有することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記検出部は、車両のイグニッションキー操作、ACCスイッチ操作、シフトレバー操作又はパーキングブレーキ操作を検出する検出部である、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記報知は、未再生の音声データの件数、記録されてから現在までの経過時間又は音声データの記録時期を含む、請求項1又は2に記載の車載装置。
【請求項4】
更に、GPS情報受信部を有し、
前記制御部は、GPS情報受信部からの情報に基づき、車両が予め定められた位置に存在する場合にのみ、未再生音声データの存在の報知を行うように制御する、請求項1〜4の何れか一項に記載の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−133209(P2012−133209A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286469(P2010−286469)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】