説明

車載通信システム

【課題】車輌に搭載された電子機器間の通信を光通信化してリンギング及び外乱ノイズ等の影響を排除することができると共に、従来のCANプロトコルと同様の調停処理を行うことができる車載通信システムを提供する。
【解決手段】入力された光を分配する光カプラ3を中心に、光通信線4、5を介して複数の光通信装置1a、1bをスター型に接続し、各光通信装置1a、1bが光送信部15にて光カプラ3の光入力部31へ光信号を入力すると共に、光カプラ3の光出力部32から出力された光信号を光受信部14にて受信し、受信信号に応じて衝突検知を行う構成とする。各光通信装置1a、1bは、光送信部15にて光信号を送信した後、光受信部14にて光信号を受信し、送信信号と受信信号が一致するか否かに応じて衝突検知を行い、衝突を検知した場合には自らの光信号の送信処理を停止して受信処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌に搭載された複数の電子機器(通信装置)間で通信を行う車載通信システムに関し、詳しくは光通信を行う車載通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車輌には多数の電子機器が搭載されており、各電子機器が通信線を介して接続され、相互に情報交換を行いながら強調動作することによって、車輌の走行に係る制御及び車室内などの快適性に係る制御等を実現している。車輌に搭載された電子機器が通信を行う場合、通信規格としてCAN(Controller Area Network)が広く採用されている(非特許文献1、2参照)。
【0003】
また近年では、車輌に搭載する電子機器は増加する傾向にあるため、一の通信線(CANバス)により多くの電子機器を接続し、多くの電子機器間で相互に通信を行う必要が生じている。しかし、CANバスに多くの電子機器を接続するとリンギングなどが発生しやすくなり、通信障害の発生頻度が増加するという問題があるため、CANバスに接続可能な電子機器の数には限りがある。また車輌のエンジンルームなど、多数の電子機器及び通信線等が集中して配設される箇所においては、特に高電圧の信号を扱う電子機器及び通信線の近傍にて、CANバスに外乱のノイズが重畳されて通信障害が発生するという問題があった。
【0004】
上記のようなリンギング及び外乱ノイズ等の影響による通信障害の発生を防止する対策として、電子機器間の通信を光通信で行うことが考えられる。
【0005】
また、CANのプロトコルでは、差動信号を伝送するツイストペアケーブルにて構成されたCANバスに複数の電子機器が接続され、各電子機器は差動信号によって表されるデジタル信号を送受信する。また、CANはシリアル通信のプロトコルであり、CANバスに接続された複数の電子機器のうち、一の電子機器のみが送信処理を行うことができ、他の電子機器は一の電子機器の送信処理が終了するまで待機する必要がある。また、複数の電子機器が同時的に送信処理を行った場合(即ち、通信の衝突が発生した場合)には、各電子機器にて通信の調停処理(アービトレーション)が行われ、優先度の高い通信が実行される。
【0006】
通信の衝突に対する調停処理を行うために、各電子機器は、CANバスに送信信号の出力を行うと同時に、CANバスの信号レベルの検出を行う。各電子機器は、自らが出力した送信信号に対して、検出した信号の信号レベルが変化した場合(レセシブからドミナントに変化した場合)、通信の衝突が発生したと判断し、送信処理を停止する。CANバス上の信号はレセシブよりドミナントが優位であるため、通信の衝突が発生してもドミナントを出力した電子機器は送信処理を継続して行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ISO 11898−1:2003 Road vehicles--Controller area network(CAN)--Part1:Data link layer and physical signaling
【非特許文献2】ISO 11519−1:1994 Road vehicles--Low-speed serial data communication--Part1:General and definitions
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
リンギング及び外乱ノイズ等による通信障害を防止するために、車輌に搭載された電子機器間の通信を光通信化した場合、光通信では送信と受信とが異なる光通信線にて行われるため、各電子機器は送信信号の出力と同時に、自らが出力した送信信号の検出を行うことができない。よって、従来のCANのプロトコルに従った通信を行うことができないという問題がある。よって光通信を導入する場合には、各電子機器がCANとは異なる光通信に適したプロトコルに従って通信を行う必要があり、新たなプロトコルに対応した電子機器の開発を行う必要があるため、多大な開発コストを要するという問題がある。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、車輌に搭載された電子機器(通信装置)間の通信を光通信化してリンギング及び外乱ノイズ等の影響を排除することができると共に、従来のCANプロトコルと同様の調停処理を行うことができる車載通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車載通信システムは、複数の光入力部及び複数の光出力部を有し、一の光入力部から入力された光を、複数の光出力部へ分配して出力する光分配器と、該光分配器を中心に光通信線を介してスター型に接続された複数の光通信装置とを備え、各光通信装置は、前記光分配器の一の光入力部へ光を入力することで光信号の送信を行う光送信部と、前記光分配器の一の光出力部から出力された光を受光することで光信号の受信を行う光受信部と、該光受信部が受信した光信号に応じて、他の通信装置との間で光信号の送信の衝突を検知する検知手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る車載通信システムは、前記検知手段が、前記光送信部が送信した光信号に対して、前記光受信部が受信した光信号が変化した場合に衝突を検知するようにしてあり、前記光通信装置は、前記検知手段が光信号の送信の衝突を検知した場合に、光信号の送信を停止し、他の光通信装置が送信した光信号の受信を行うようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る車載通信システムは、前記光通信装置が、電気信号の送受信を行う一又は複数の電気送信部及び電気受信部と、前記光受信部が受信した光信号を電気信号に変換すると共に、前記電気受信部が受信した電気信号を光信号に変換する光電変換部とを有し、他の光通信装置と電気信号の送受信を行う一又は複数の電気通信装置との間の通信を仲介するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る車載通信システムは、前記光送信部、前記光受信部及び前記検知手段と、電気信号の送受信を行う一又は複数の電気送信部及び電気受信部と、前記光受信部が受信した光信号を電気信号に変換すると共に、前記電気受信部が受信した電気信号を光信号に変換する光電変換部とを有し、一又は複数の前記光通信装置と、電気信号の送受信を行う一又は複数の装置との間の通信を仲介する光電変換装置を更に備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る車載通信システムは、前記光分配器を中心にスター型に接続された前記光通信装置及び前記光電変換装置を有する光通信網を複数備え、複数の前記光通信網の光電変換装置が、電気通信線を介して接続してあることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る車載通信システムは、一の光分配器の光入力部と前記光通信装置又は前記光電変換装置とを接続する複数の光通信線は、略同じ長さにしてあることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る車載通信システムは、前記光分配器が、2つの前記光入力部及び2つの前記光出力部を有する光カプラを一又は複数個用いて構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、複数の光入力部及び光出力部を有して、一の光入力部から入力された光を複数の光出力部へ分配して出力する光分配器を用い、この光分配器にそれぞれ光通信線を介して複数の光通信装置をスター型に接続することによって、車載通信システムを構成する。この光分配器では、複数の入力部から光信号が入力された場合、複数の光信号が合成されて全ての光出力部から出力されることとなる。
各光通信装置は、光分配器の一の光入力部及び一の光出力部にそれぞれ光通信線を介して接続される。光通信装置は、光分配器の一の光入力部へ光信号の送信を行うと共に、光分配器により分配されて出力された光信号の受信を行うことができ、送信した光信号と受信した光信号とを比較することによって、光信号の送信の衝突を検出することができる。
これにより、光通信装置は、光の有/無をCANプロトコルのドミナント/レセシブに対応させて、CANプロトコルと同様の通信の調停を行うことが可能となり、CANプロトコルに従った通信処理を行うことが可能となる。よって、従来の通信装置に対して、光通信線に接続するためのインタフェース回路などを搭載するのみで、本発明の光通信装置を構成することが可能であり、低コストで光通信装置を開発することができる。
【0018】
また本発明においては、光通信装置は、自らが送信した光信号に対して、光分配器を介して受信した光信号に変化が生じていた場合、他の光通信装置との光信号の送信衝突を検知する。衝突を検知した場合、光通信装置は光信号の送信を停止して、他の光通信装置が送信した光信号の受信を行う。これらの衝突検知及び送信停止等の処理は、CANプロトコルの調停と略同じ方法を光通信に適用したものである。よって本発明の光通信装置は、従来のCANプロトコルに応じた通信を行う通信装置に対して、比較的少ない回路の修正又は追加等を行うことで実現できる。
【0019】
また本発明においては、車載通信システムに含まれる一又は複数の光通信装置に、光信号の送受信を行う機能と共に電気信号の送受信を行う機能を搭載する。この光通信装置に、送受信する電気信号及び光信号の相互変換を行わせ、他の光通信装置と電気通信装置との間の通信を仲介させることによって、車載通信システムに電気通信及び光通信を混在させることが可能となる。
又は、車載通信システムが、光通信機能及び電気通信機能を搭載して電気信号及び光信号の相互変換を行う光電変換装置を備え、この光電変換装置が一又は複数の光通信装置と一又は複数の電気通信装置との間の通信を仲介する構成とする。同様に、車載通信システムに電気通信及び光通信を混在させることが可能となる。
車載通信システムの通信線は、車輌中の限られたスペースに配設されるため、通信線を折り曲げて配設する必要が生じる虞があるが、光通信線として光ファイバを用いた場合、光ファイバは折り曲げて配設することが難しい、即ち光ファイバは配設の自由度が低いという問題がある。そこで、折り曲げに強い電気通信線との混在を可能とすることにより、車載通信システムの車輌中における配設の自由度を高めることができる。
【0020】
また本発明においては、光分配器を中心にスター型に光通信装置及び光電変換装置を接続して一つの光通信網を構成すると共に、電気通信線を介して複数の光通信網の光電変換装置を接続することにより車載通信システムを構成する。これにより、スター型の光通信網内においては光通信を行い、各光通信網の間では電気通信を行う車載通信システムが実現される。
例えば、車輌前部のエンジンルーム内など多数の機器が集中して配される箇所については光通信を行い、車輌前部及び車輌後部の間など比較的距離が長く通信線が折り曲げられる可能性の高い箇所については電気信号を行うなど、光通信及び電気通信の長所・短所に適した構成を実現できる。特に車輌においては、いくつかの特定箇所にそれぞれ多数の機器が配される場合が多いため、本発明の構成が好適である。
【0021】
また本発明においては、車載通信システムに含まれる一の光分配器について、光分配器の光入力部と光通信装置及び光電変換装置とをそれぞれ接続する光通信線の長さを略同じとする。これにより、光通信装置及び光電変換装置から光分配器へ入力される光信号のタイミングにズレが生じ難くなるため、通信の衝突検知及び調停等の処理を確実に行うことができる。
【0022】
また本発明においては、安価な2入力2出力の光カプラを一又は複数個用いて、光分配器を構成することにより、車載通信システムのコストを低減することができる。例えば、2つの光通信機器間で光通信を行う場合には1つの光カプラを用いればよく、4つの光通信機器間で光通信を行う場合には4つの光カプラを用いればよく、8つの光通信機器間で光通信を行う場合には12個の光カプラを用いればよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明による場合は、光分配器を中心に複数の光通信装置をスター型に接続し、各光通信装置が光分配器の一の光入力部へ光信号の送信を行うと共に、光分配器により出力された光信号の受信を行って、受信した光信号に基づいて衝突の検知を行う構成とすることにより、車載通信システムの通信を光通信化してリンギング及び外乱ノイズ等の影響を排除することができると共に、従来のCANプロトコルと同様の通信処理を行うことができるため、低コストで車載通信システムの光通信化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る車載通信システムの光通信装置が行う送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。
【図5】車載通信システムに用いられる光分配器の構成例を示す模式図である。
【図6】車載通信システムに用いられる光分配器の構成例を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態3に係る車載通信システムを車輌に搭載した例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。実施の形態1に係る車載通信システムは、複数(2つ)の光通信装置1a、1bを、光カプラ3にそれぞれ光通信線4、5を介して接続した構成であり、光カプラ3を中心としたスター型のネットワークシステムである。
【0026】
車載通信システムの光通信装置1a、1bは、車輌(図示は省略する)に搭載されたECU(Electronic Control Unit)などの電子機器に光通信の機能を搭載したものである。なお図1においては、一方の光通信装置1aのみ詳細な構成を図示し、他方の光通信装置1bについては同様の構成であるため詳細な構成の図示を省略してある。光通信装置1a、1bは、CPU(Central Processing Unit)11、CAN制御部12及び光通信部13をそれぞれ有している。
【0027】
光通信装置1a、1bのCPU11は、予めROM(Read Only Memory)などに記憶されたプログラムを実行することによって、装置内の各部の動作制御及び制御に必要な各種の演算等の処理を行うものである。またCPU11は、これらの処理過程において他の光通信装置1a、1bとの情報交換が必要となった場合には、CAN制御部12へ通信指示を与えることによって、他の光通信装置1a、1bとの通信を行うことができる。CPU11は、他の光通信装置1a、1bへデータを送信する場合、このデータをCAN制御部12へ与える。またCAN制御部12は、他の光通信装置1a、1bからのデータを受信した場合、このデータをCPU11へ与える。
【0028】
CAN制御部12は、CPU11から送信するデータが与えられた場合、このデータをCANプロトコルのデータ形式に従った送信用データに変換し、光通信部13の光送信部15へ与える。CANプロトコルにて送受信されるデータは、アービトレーションフィールド、コントロールフィールド、データフィールド、CRC(Cyclic Redundancy Check)フィールド及びACK(ACKnowledgement)フィールド等の複数のフィールドで構成されており、CPU11から与えられたデータはデータフィールドに格納される。またアービトレーションフィールドは通信の衝突を調停するためのデータであり、送信データの優先度に応じた値が格納され、データ”0(ドミナント)”の方がデータ”1(レセシブ)”より優先度が高い。
【0029】
またCAN制御部12は、光通信部13の光受信部14にて受信されたデータが与えられている。この受信データはCANプロトコルのデータ形式であるため、CAN制御部12は受信データのデータフィールドから必要なデータを抽出してCPU11へ与える。これによりCPU11は、他の光通信装置1a、1bからの受信データに応じた処理を行うことができる。
【0030】
光通信部13は、光受信部14及び光送信部15を有しており、CAN制御部12との間で授受する電気信号と、他の光通信装置1a、1bとの間で授受する光信号との相互変換を行うものである。光通信部13の光送信部15は、例えば発光ダイオードなどの光源及びこの光源の点灯/消灯を行う駆動回路等を有して構成され、CAN制御部12から電気信号として与えられた送信データを光信号に変換し、この光信号を送信用の光通信線4へ出力する。
【0031】
光通信部13の光受信部14は、例えばフォトダイオードなどの受光素子を有して構成され、受信用の光通信線5から出射される光を検出する。光受信部14は、受光素子にて検出した光に応じた電気信号を出力することができ、これにより他の光通信装置1a、1bが送信した光信号を受信して電気信号に変換し、CAN制御部12へ与えることができる。
【0032】
また、車載通信システムの光カプラ3は、一側に2つの光入力部31が設けられ、他側に2つの光出力部32が設けられた構成であり、光入力部31から入力された光を2分配して2つの光出力部32へ出力する光分配器である。光カプラ3の第1の光入力部31は光通信装置1aの光送信部15に光通信線4を介して接続され、第2の光入力部31は光通信装置1bの光送信部15に光通信線4を介して接続されている。また光カプラ3の第1の光出力部32は光通信装置1aの光受信部14に光通信線5を介して接続され、第2の光出力部32は光通信装置1bの光受信部14に光通信線5を介して接続されている。
【0033】
これにより、光通信装置1aの光送信部15が光通信線4を介して送信した光信号は、光カプラ3の入力部31へ入力され、光カプラ3にて分配されて2つの光出力部32から出力され、光通信装置1a、1bの両方にて受信される。同様に光通信装置1bが送信した光信号は、光カプラ3にて分配されて、光通信装置1a、1bの両方にて受信される。また、光通信装置1a、1bが共に光信号を送信した場合には、2つの光信号は光カプラ3にて合成されて分配され、合成された光信号が2つの光出力部32からそれぞれ出力されて、光通信装置1a、1bの両方にて受信される。
【0034】
光通信装置1a、1bが送信する光信号は、デジタルデータを光の有/無に対応付けたものである。光カプラ3は、2つの光入力部31のいずれか一方に光が入力された場合に2つの光出力部32の両方へ光を出力するものであるため、光信号における光の有/無をCANプロトコルのデータ形式におけるドミナント/レセシブに対応付けることによって、CANプロトコルと同様の調停を行うことができる。
【0035】
なお、光通信装置1aの光送信部15及び光カプラ3の光入力部31を接続する光通信線4と、光通信装置1bの光送信部15及び光カプラ3の光入力部31を接続する光通信線4とは、略同じ長さであることが好ましい。これは、光通信装置1aから送信された光信号と、光通信装置1bから送信された光信号とが光カプラ3へ入力されるタイミングに差異が生じることを抑制するためである。ただし、光通信の通信速度などに応じて、両光通信線4の長さにはある程度の差異が生じていてもよい。
【0036】
車載通信システムの各光通信装置1a、1bは、他の光通信装置1a、1bへデータを送信する場合、CAN制御部12にて所定のデータ形式に変換した送信データを光通信部13の光送信部15にて光信号に変換して送信する。光通信装置1a、1bは、光信号の送信後(直後)に光通信部13の光受信部14にて受信された光信号を電気信号の受信データに変換し、この受信データが送信したデータと一致するか否かをCAN制御部12にて判定することによって、他の光通信装置1a、1bとの光信号の送信の衝突発生を検知する。
【0037】
送信データ及び受信データが一致し、送信に衝突が発生していない場合、光通信装置1a、1bは送信処理を継続して行うことができる。送信データ及び受信データが一致せず、送信に衝突が発生している場合、衝突を検知した光通信装置1a、1bは送信処理を停止して、他の光通信装置1a、1bが送信したデータの受信処理を行う。なお、実際には光信号の衝突が発生している場合であっても、優先度の高いデータを送信している光通信装置1a、1bでは衝突が検知されず、送信処理を継続することができる。
【0038】
図2は、本発明に係る車載通信システムの光通信装置1a、1bが行う送信処理の手順を示すフローチャートである。光通信装置1a、1bのCPU11は、他の光通信装置1a、1bへのデータ送信を行う場合、まず送信するデータをCAN制御部12へ与え、CAN制御部12にてデータ形式を変換し、光送信部15にて送信データを光信号に変換して出力することにより、光信号の送信を行う(ステップS1)。光信号の送信後、光通信装置1a、1bは、光受信部14にて光信号の受信を行い(ステップS2)、受信した光信号を電気信号の受信データに変換してCAN制御部12へ与える。
【0039】
次いで、光通信装置1a、1bは、ステップS1にて送信した光信号(送信信号)とステップS2にて受信した光信号(受信信号)が一致するか否かをCAN制御部12にて判定する(ステップS3)。送信信号と受信信号とが一致しない場合(S3:NO)、他の光通信装置1a、1bとの光信号の送信の衝突が検知され、光通信装置1a、1bは送信処理を停止して、他の光通信装置1a、1bから送信された光信号の受信処理をCAN制御部12にて行い(ステップS4)、受信処理が終了したか否かを判定する(ステップS5)。受信処理が終了していない場合(S5:NO)、光通信装置1a、1bは、ステップS4へ処理を戻して受信処理を継続する。受信処理が終了した場合(S5:YES)、光通信装置1a、1bは、ステップS1へ処理を戻し、送信処理を再度行う。
【0040】
送信信号と受信信号が一致した場合(S3:YES)、光通信装置1a、1bは、光信号の衝突が検知されないため、送信処理を継続することができる。そこで光通信装置1a、1bは、送信データに係る光信号の送信を終了したか否かを判定し(ステップS6)、送信を終了していない場合には(S6:NO)、ステップS1へ処理を戻し、送信処理を継続して行う。また、送信データに係る光信号の送信を終了した場合(S6:YES)、光通信装置1a、1bは送信処理を終了する。
【0041】
以上の構成の実施の形態1に係る車載通信システムにおいては、入力された光を分配する光カプラ3を中心に、光通信線4、5を介して複数の光通信装置1a、1bをスター型に接続し、各光通信装置1a、1bが光送信部15にて光カプラ3の光入力部31へ光信号を入力すると共に、光カプラ3の光出力部32から出力された光信号を光受信部14にて受信し、受信信号に応じて衝突検知を行う構成とすることにより、リンギング及び外乱ノイズ等の影響がない光通信を実現することができる。また電気通信におけるCANプロトコルと同様の方式で光通信を行うことができるため、各光通信装置1a、1bに備えられるCAN制御部12は、電気通信を行う通信装置に設けられるものと同様のものであってよく、電気通信を行う従来の通信装置に光通信部13を設けることで光通信装置1a、1bを実現できるため、低コストで光通信装置1a、1bの開発を行うことができる。
【0042】
また、各光通信装置1a、1bは、光送信部15にて光信号を送信した後、光受信部14にて光信号を受信し、送信信号と受信信号が一致するか否かに応じて衝突検知を行い、衝突を検知した場合には自らの光信号の送信処理を停止して受信処理を行う構成とすることにより、CANプロトコルと同じ方法で光通信の調停を行うことができる。また、光通信装置1aの光送信部15及び光カプラ3の光入力部31を接続する光通信線4と、光通信装置1bの光送信部15及び光カプラ3の光入力部31を接続する光通信線4とを、略同じ長さとすることにより、光通信装置1aから送信された光信号と、光通信装置1bから送信された光信号とが光カプラ3へ入力されるタイミングに差異が生じることを抑制することができ、光通信の衝突検知及び調停等の処理を確実に行うことができる。
【0043】
なお、本実施の形態においては、車載通信システムが2入力2出力の光カプラ3を用いて2つの光通信装置1a、1bが光通信を行う構成としたが、これに限るものではなく、より多くの入出力を有する光カプラを用いて3つ以上の光通信装置が光通信を行う構成としてもよい。3つ以上の光通信装置が光通信を行う構成であっても、各光通信装置は光カプラを中心としたスター型に光通信線を介して接続し、上述の光通信の衝突検知及び調停等の処理を各光通信装置が行えばよい。
【0044】
(実施の形態2)
図3及び図4は、本発明の実施の形態2に係る車載通信システムの構成を示すブロック図であり、図3には車載通信システム全体の構成を示し、図4には車載通信システムの各装置の詳細構成を示してある。上述の実施の形態1に係る車載通信システムは2つの光通信装置1a、1bが光通信のみを行う構成である。これに対して実施の形態2に係る車載通信システムは、光通信と電気通信とを混在させたシステムである。実施の形態2に係る車載通信システムは、実施の形態1と同様に2つの光通信装置7a、7bと1つの光カプラ3とを備えると共に、4つの電気通信装置9a〜9dを備えている。ただし、実施の形態2に係る車載通信システムの光通信装置7a、7bは、光通信線4、5を介して光通信を行う光通信機能と、CANバス6を介して電気通信を行う電気通信機能を有する構成である。
【0045】
実施の形態2に係る車載通信システムの光通信装置7aは、光送信部15が光通信線4を介して光カプラ3の第1の光入力部31に接続され、光受信部14が光通信線5を介して光カプラ3の第1の光出力部31に接続されている。同様に、光通信装置7bは、光送信部15が光通信線4を介して光カプラ3の第2の光入力部31に接続され、光受信部14が光通信線5を介して光カプラ3の第2の光出力部31に接続されている。即ち、2つの光通信装置7a、7bは、光カプラ3を中心に光通信線4、5を介してスター型に接続されている。
【0046】
光通信装置7a、7bは、実施の形態1の光通信装置1a、1bと同様のCPU11、CAN制御部12及び光通信部13を有していると共に、CAN制御部71及び電気通信部72を更に有している。CAN制御部71は、CAN制御部12と同様の処理を行うものであり、CPU11から与えられたデータをCANプロトコルのデータ形式に従った送信データに変換して電気通信部72へ与えることによりデータ送信を行うと共に、電気通信部72にて受信した受信データから必要なデータを抽出してCPU11へ与える。よって、CPU11は、光通信を行う場合にはCAN制御部12を利用し、電気通信を行う場合にはCAN制御部71を利用することができる。またCAN制御部71は、CANプロトコルによる通信の衝突検知及び調停等の処理を行う。
【0047】
光通信装置7a、7bの電気通信部72は、CANバス6に接続されており、CAN制御部71から与えられた送信データを電気信号としてCANバス6へ出力することにより、電気通信装置9a〜9dへの電気信号の送信を行う。また電気通信部72は、CANバス6の電位を検出することによって電気信号の受信を行い、これにより得られた受信データをCAN制御部71へ与える。CAN制御部71は、送信したデータと受信したデータとが一致するか否かに応じて通信の衝突を検知できる。
【0048】
実施の形態2に係る車載通信システムでは、光通信装置7aと電気通信装置9a、9bとが共通のCANバス6に接続され、CANプロトコルに従った電気通信を相互に行うことができ、光通信装置7bと電気通信装置9c、9dとが共通のCANバス6に接続され、CANプロトコルに従った電気通信を相互に行うことができる。
【0049】
電気通信装置9a〜9dは、CPU91、CAN制御部92及び電気通信部93等を備えて構成されている。なお、電気通信装置9a〜9dが備えるCPU91、CAN制御部92及び電気通信部93は、光通信装置7a、7bが備えるCPU11、CAN制御部71及び電気通信部72と略同じ構成である。よって、電気通信装置9a〜9dは、CANバス6を介した電気信号の送受信を行うことができ、CANプロトコルによる通信の衝突検知及び調停等の処理を行うことができる。
【0050】
以上の構成の実施の形態2に係る車載通信システムにおいては、光通信装置7a、7bが光通信機能のみでなく電気通信機能をも備える構成とすることによって、車載通信システムに光通信及び電気通信を混在させることができ、車載通信システムの汎用性を向上することができる。また光通信装置7a、7bは、光通信及び電気通信を共にCANプロトコルによる通信方式で行うことができるため、光通信装置7a、7bの開発コスト増大を抑制できる。また、例えば一方のCANバス6に接続された電気通信装置9a、9bが、光通信装置7a、7b及び光カプラ3を介して、他方のCANバス6に接続された電気通信装置9c、9dと通信を行う構成とすることもでき、これにより車載通信システムの汎用性をより向上することができる。
【0051】
なお、本実施の形態においては、各光通信装置7a、7bにCANバス6を介して2つの電気通信装置9a〜9dを接続する構成としたが、これに限るものではなく、各CANバス6に接続する電気通信装置9a〜9dの数は任意である。
【0052】
なお、実施の形態2に係る車載通信システムのその他の構成は、実施の形態1に係る車載通信システムの構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
(実施の形態3)
上述の実施の形態1、2に係る車載通信システムは、2入力2出力の光カプラ3を1つ用いて、2つの光通信装置1a、1b又は7a、7bが光通信を行う構成である。これに対して実施の形態3に係る車載通信システムは、より多くの光通信装置が光通信を行うことを可能としたものである。
【0054】
図5及び図6は、車載通信システムに用いられる光分配器の構成例を示す模式図である。図5(a)には、実施の形態1、2に係る車載通信システムにて用いた2入力2出力の光カプラ3が示してある(ただし、本図においては光入力部31及び光出力部32の図示を省略し、光信号の入出力を矢印で示してある)。この光カプラ3を1つ用いることによって、実施の形態1、2にて示したように、2つの光通信装置が光通信を行うことができる。
【0055】
また図5(b)には、4つの光カプラ3a〜3dを用いて、4入力4出力の光分配器を構成する例が示してある。この光分配器は、2つの2入力2出力の光カプラ3a、3bを前段(入力側)とし、4つの光通信器が出力する4つの光信号を光カプラ3a、3bの光入力部31へそれぞれ入力することができる。また、2つの光カプラ3c、3dを後段(出力側)とし、前段の光カプラ3aの2つの光出力部32が後段の2つの光カプラ3c、3dそれぞれの光入力部31に接続され、前段の光カプラ3bの2つの光出力部32が後段の2つの光カプラ3c、3dそれぞれの光入力部31に接続されている。これにより、前段の光カプラ3a、3bの光入力部31のいずれかに入力された光信号は、後段の光カプラ3c、3dの全ての光出力部32から出力される。また前段の光カプラ3a、3bに複数の光信号が入力された場合には、これらの光信号が合成されて、後段の光カプラ3c、3dの全ての光出力部32から出力される。
【0056】
また図6(c)には、12個の光カプラ3a〜3lを用いて、8入力8出力の光分配器30を構成する例が示してある。この光分配器30は、前段に4つの光カプラ3a〜3dを配し、中段に4つの光カプラ3e〜3hを配し、後段に4つの光カプラ3i〜3lを配したものである。前段の2つの光カプラ3a、3bのから出力される光信号は、それぞれ中段の2つの光カプラ3e、3fに入力され、また、前段の2つの光カプラ3c、3dから出力される光信号は、それぞれ中段の2つの光カプラ3g、3hに入力されている。換言すれば、光カプラ3a、3b、3e、3fにて図5(b)と同様の4入力4出力の光分配器が構成され、光カプラ3c、3d、3g、3hにて図5(b)と同様の4入力4出力の光分配器が構成されている。
【0057】
また光分配器30の中段の2つの光カプラ3e、3gから出力される光信号は、それぞれ後段の2つの光カプラ3i、3jに入力され、中段の2つの光カプラ3f、3hから出力される光信号は、それぞれ後段の2つの光カプラ3k、3lに入力されている。これにより、前段の4つの光カプラ3a〜3dの光入力部31のいずれかに入力された光信号は、後段の4つの光カプラ3i〜3lの全ての光出力部32から出力される。また、前段の光カプラ3a〜3dに複数の光信号が入力された場合には、これらの光信号が合成されて、後段の光カプラ3i〜3lの全ての光出力部32から出力される。
【0058】
図7は、本発明の実施の形態3に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。実施の形態3に係る車載通信システムは、図6(c)に示した8入力8出力の光分配器30を3つ備えている。各光分配器30には、7つの光通信装置1と、1つの光電変換装置7とが光通信線4、5を介してスター型に接続されており、それぞれスター型ネットワーク8a〜8cを構成している。なお、図7においては、8入力8出力の光分配器30を八角形のシンボルで示し、光通信装置1を円形のシンボルで示し、光電変換装置7を正方形のシンボルで示してある。また、スター型ネットワーク8b、8cには光通信装置1の図示を省略してあるが、それぞれ7つの光通信装置1が光分配器30に接続されている。
【0059】
光通信装置1は、実施の形態1に示した光通信装置1a、1bと同様の構成であり、光送信部15が光分配器30を構成する光カプラ3a〜3dの光入力部31のいずれかに光通信線4を介して接続されると共に、光受信部14が光分配器30を構成する光カプラ3i〜3lの光出力部32のいずれかに光通信線5を介して接続されている。これにより光通信装置1は、同じスター型ネットワーク8a〜8c内の(即ち、同じ光分配器30に接続された)他の光通信装置1及び光電変換装置7との間でCANプロトコルによる光通信を行うことができる。
【0060】
光電変換装置7は、実施の形態2に示した光通信装置7a、7bと同様の構成であり、光通信機能と電気通信機能とを備えている。光電変換装置7は、光送信部15が光分配器30の光入力部31のいずれかに光通信線4を介して接続され、光受信部14が光分配器30の光出力部32のいずれかに光通信線5を介して接続されると共に、CANバス6を介して他のスター型ネットワーク8a〜8cの光電変換装置7に接続されている。これにより光電変換装置7は、同じスター型ネットワーク8a〜8c内の光通信装置1との間で光通信を行うことができ、CANバス6を介して他の光電変換装置7との間で電気通信を行うことができる。
【0061】
更に、光電変換装置7は、光通信により同じスター型ネットワーク8a〜8c内の光通信装置1から光信号を受信した場合、受信した光信号を光通信部13にて電気信号に変換し、変換した電気信号を電気通信部72からCANバス6へ出力することによって、他のスター型ネットワーク8a〜8cの光電変換装置7へ送信することができる。また光電変換装置7は、他の光電変換装置7から電気信号を受信した場合、受信した電気信号を光通信部13にて光信号に変換して光通信線4へ出力することにより、同じスター型ネットワーク8a〜8c内の光通信装置1へ送信することができる。即ち光電変換装置7は、電気通信と光通信とを仲介している。
【0062】
これにより、例えばスター型ネットワーク8aの一の光通信装置1が送信した光信号は、同じスター型ネットワーク8a内の他の光通信装置1及び光電変換装置7にて受信されると共に、光電変換装置7にて電気信号に変換されて他のスター型ネットワーク8b、8cの光電変換装置7へ送信され、この電気信号を受信した他のスター型ネットワーク8b、8cの光電変換装置7にて光信号に変換されてスター型ネットワーク8b、8c内の光通信装置1へ送信される。即ち、各光通信装置1は、車載通信システムに含まれる他の全ての光通信装置1に対してデータの送受信を行うことができる。
【0063】
図8は、実施の形態3に係る車載通信システムを車輌100に搭載した例を示す模式図である。図示の例では、車輌100の前部にスター型ネットワーク8aを配し、車輌100の中央にスター型ネットワーク8bを配し、車輌100の後部にスター型ネットワーク8cを配してある。また、3つのスター型ネットワーク8a〜8cは車輌100の車体などに沿って配設されたCANバス6を介して光電変換装置7がそれぞれ接続されており、相互に電気信号の送受信を行うことができる。
【0064】
例えば車輌100の前部のエンジンルーム内には、狭いスペースに多数の電子機器を集中して搭載する必要があるため、これらの電子機器に光通信機能を設けて光通信装置1とし、光分配器30を中心に光通信線4、5を介して複数の光通信装置1を接続してスター型ネットワーク8aを構成することができる。これにより、スター型ネットワーク8a内で行われる光通信装置1間の光通信は、リンギング及び外乱ノイズ等の影響を受けることがなく、精度のよい通信を行うことができる。車輌100の中央及び後部に配されたスター型ネットワーク8b、8c内の光通信についても同様である。
【0065】
また、車輌100内においても比較的に離れた箇所に配される電子機器間の通信は、電子機器間を接続する通信線が折り曲げられて配される可能性が高いため電気通信線を用いて行うことが好ましい。よって、車輌100の前部、中央及び後部のそれぞれ離れた箇所に配されたスター型ネットワーク8a〜8cはCANバス6を用いて接続し、光電変換装置7による電気通信を行うことにより、車輌100における通信線の配設を容易化できる。
【0066】
このように、実施の形態3に係る車載通信システムは、車輌100内における電子機器間の距離が短い箇所については光分配器30を中心とした光通信を行うスター型ネットワーク8a〜8cを構成し、電子機器間の距離が長い箇所についてはCANバス6を介した電気通信を行う構成とすることが好ましい。
【0067】
以上の構成の実施の形態3に係る車載通信システムは、光分配器30を中心に光通信装置1及び光電変換装置7を接続してスター型ネットワーク8a〜8cを構成すると共に、各スター型ネットワーク8a〜8cの光電変換装置7をCANバス6にて接続する構成とすることにより、光通信及び電気通信が混在した車載通信システムを実現できるため、車載通信システムの汎用性を向上することができる。また、装置間の距離が短く密集した箇所にて光通信を行い、装置間の距離が長い箇所にて電気通信を行う構成とすることができるため、車輌100における通信線の配設容易性を向上することができると共に、装置が密集した個所でのリンギング及び外乱ノイズ等の影響を抑制することができる。また、2入力2出力の光カプラ3a〜3lを複数用いて8入力8出力の光分配器30を構成することにより、より多くの入出力を有する光分配器30を安価に実現でき、車載通信システムのコストの増加を抑制できる。
【0068】
なお、本実施の形態においては、車載通信システムが3つのスター型ネットワーク8a〜8cを備える構成としたが、これに限るものではなく、2つ以下又は4つ以上のスター型ネットワークを備える構成であってもよい。また、各スター型ネットワーク8a〜8cがそれぞれ7つの光通信装置1を備える構成としたが、これに限るものではなく、6つ以下の光通信装置1を備える構成であってもよく、更に多くの入出力を有する光分配器を用いて8つ以上の光通信装置1を備える構成であってもよい。
【0069】
なお、実施の形態3に係る車載通信システムのその他の構成は、実施の形態1、2に係る車載通信システムの構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0070】
1、1a、1b 光通信装置
3、3a〜3l 光カプラ(光分配器)
4、5 光通信線
6 CANバス(電気通信線)
7 光電変換装置
7a、7b 光通信装置(光電変換装置)
8a〜8c スター型ネットワーク(光通信網)
9a〜9d 電気通信装置
11 CPU
12 CAN制御部(検知手段)
13 光通信部(光電変換部)
14 光受信部
15 光送信部
30 光分配器
31 光入力部
32 光出力部
71 CAN制御部
72 電気通信部(電気送信部、電気受信部)
91 CPU
92 CAN制御部
93 電気通信部
100 車輌

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光入力部及び複数の光出力部を有し、一の光入力部から入力された光を、複数の光出力部へ分配して出力する光分配器と、
該光分配器を中心に光通信線を介してスター型に接続された複数の光通信装置と
を備え、
各光通信装置は、
前記光分配器の一の光入力部へ光を入力することで光信号の送信を行う光送信部と、
前記光分配器の一の光出力部から出力された光を受光することで光信号の受信を行う光受信部と、
該光受信部が受信した光信号に応じて、他の通信装置との間で光信号の送信の衝突を検知する検知手段と
を有すること
を特徴とする車載通信システム。
【請求項2】
前記検知手段は、前記光送信部が送信した光信号に対して、前記光受信部が受信した光信号が変化した場合に衝突を検知するようにしてあり、
前記光通信装置は、前記検知手段が光信号の送信の衝突を検知した場合に、光信号の送信を停止し、他の光通信装置が送信した光信号の受信を行うようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の車載通信システム。
【請求項3】
前記光通信装置は、
電気信号の送受信を行う一又は複数の電気送信部及び電気受信部と、
前記光受信部が受信した光信号を電気信号に変換すると共に、前記電気受信部が受信した電気信号を光信号に変換する光電変換部と
を有し、
他の光通信装置と電気信号の送受信を行う一又は複数の電気通信装置との間の通信を仲介するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載通信システム。
【請求項4】
前記光送信部、前記光受信部及び前記検知手段と、電気信号の送受信を行う一又は複数の電気送信部及び電気受信部と、前記光受信部が受信した光信号を電気信号に変換すると共に、前記電気受信部が受信した電気信号を光信号に変換する光電変換部とを有し、一又は複数の前記光通信装置と、電気信号の送受信を行う一又は複数の装置との間の通信を仲介する光電変換装置を更に備えること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載通信システム。
【請求項5】
前記光分配器を中心にスター型に接続された前記光通信装置及び前記光電変換装置を有する光通信網を複数備え、
複数の前記光通信網の光電変換装置が、電気通信線を介して接続してあること
を特徴とする請求項4に記載の車載通信システム。
【請求項6】
一の光分配器の光入力部と前記光通信装置又は前記光電変換装置とを接続する複数の光通信線は、略同じ長さにしてあること
を特徴とする請求項5に記載の車載通信システム。
【請求項7】
前記光分配器は、2つの前記光入力部及び2つの前記光出力部を有する光カプラを一又は複数個用いて構成してあること
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の車載通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−71638(P2011−71638A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219418(P2009−219418)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】