説明

車載通信機および車載通信機の制御方法

【課題】アクセスポイントの電波が届く範囲から外れた場合にもチャネル利用情報を取得する。
【解決手段】本発明の車載機は、車両に搭載される車載通信機であって、種々のデータを前記車載通信機に提供する路側通信機、および、他の車両に搭載される他の車載通信機と通信を行う車載通信機において、前記車載通信機は、周波数帯が固定されたチャネルを介して通信する第1の通信部と、前記第1の通信部で使用するチャネルとは異なるチャネルを介して通信する第2の通信部と、前記路側通信機と前記車載通信機との間の通信が、他の車載通信機で中継されていない直接通信であるかどうか判定する判定部と、を有し、前記車載通信機が前記路側通信機と直接通信することができない場合には、前記第2の通信部は、前記路側通信機と通信している他の車載通信機を経由して前記路側通信機と通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車車間通信および路車間通信を行う車載通信機およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交通安全の促進などを目的として、車両に搭載された車載通信機が、他の車両に搭載された車載通信機、種々のサービスを提供するアクセスポイント(路側通信機など)と無線通信を行う高度交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)が検討されている(例えば、特許文献1(特開2009−147652号公報)参照)。
【0003】
上述したITSにおいては、車載通信機が、2つのチャネルを用いて無線通信を行うことが検討されている。一方のチャネルは、CCH(制御チャネル)と称され、安全に関する情報や重要な情報を送信するときに利用する、所定の周波数のチャネルである。他方のチャネルは、SCH(サービスチャネル)と称され、快適、利便、娯楽に関する情報などを送信するときに利用し、テレビ番組を観るように周波数の異なる複数のチャネル間を切り替え可能に構成されているチャネルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−147652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載通信機は、SCH(サービスチャネル)を介して、路側通信機が提供するサービスを利用するが、車両の移動に伴い路側通信機の電波が届く範囲から車載通信機が外れてしまう場合がある。この場合、車載通信機は路側通信機のチャネル利用情報を取得することができないため、どのチャネルで、どのようなサービスが提供されているのか分からないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、路側通信機の電波が届く範囲から車載通信機が外れている場合にも、チャネル利用情報を取得することができる車載通信機およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
マルチホップ機能は、CCH(制御チャネル)と称する、安全に関する情報や重要な情報を送受信するときに利用する第1のチャネルと、SCH(サービスチャネル)と称する、様々な情報の送受信やサービスの提供を受けるために利用する複数のチャネルの中からマルチホップに利用するために選択された第2のチャネルを利用して、複数の車載通信機を経由して情報を送信する仕組みであって、最初の情報送信時に前記第1のチャネルを利用した場合は、次の車載通信機が送信する時前記第2のチャネルを利用し、最初またはそれ以降の情報送信時に前記第2のチャネルを利用した場合は、次の車載通信機が送信する時前記第2のチャネルを利用する。
【0008】
上記目的を達成するために本発明の車載通信機は、
車両に搭載される車載通信機であって、種々のデータを前記車載通信機に提供する路側通信機、および、他の車両に搭載される他の車載通信機と通信を行う車載通信機において、
前記車載通信機は、
周波数帯が固定されたチャネルを介して通信する第1の通信部と、
前記第1の通信部で使用するチャネルとは異なるチャネルを介して通信する第2の通信部と、
前記路側通信機と前記車載通信機との間の通信が、他の車載通信機で中継されていない直接通信であるかどうか判定する判定部と、を有し、
前記車載通信機が前記路側通信機と直接通信することができない場合には、前記第2の通信部は、前記路側通信機と通信している他の車載通信機を経由して前記路側通信機と通信する。
【0009】
上記目的を達成するために本発明の車載通信機の制御方法は、
車両に搭載される車載通信機であって、種々のデータを車載通信機に提供する路側通信機、および、他の車両に搭載される他の車載通信機と通信を行う車載通信機の制御方法において、
周波数帯が固定されたチャネルを第1の通信部に設定し、第1の通信部で使用するチャネルとは異なるチャネルを第2の通信部に設定するステップと、
第1の通信部または第2の通信部を介して路側通信機と通信するステップと、
路側通信機と車載通信機との間の通信が、他の車載通信機で中継されていない直接通信であるかどうか判定するステップと、
車載通信機が路側通信機と直接通信していない場合には、第2の通信部は、路側通信機と通信している他の車載通信機を経由して路側通信機と通信するステップを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、路側通信機の電波が届く範囲から車載通信機が外れている場合でも、路側通信機の電波が届く範囲にある他の車載通信機を経由したマルチホップ通信を利用してチャネル利用情報を取得し、路側通信機のサービスを受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の車載通信機の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す車載通信機の動作について説明するための図である。
【図3】図1に示す車載通信機の他の動作について説明するための図である。
【図4】図1に示す車載通信機の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の車載通信機100の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示す車載通信機100は、第1の無線受信部111と、第2の無線受信部112と、第1の無線送信部121と、第2の無線送信部122と、受信処理部130と、マルチホップ設定部140と、アプリケーション部150と、チャネル設定部160と、送信処理部170と、を有する。
【0015】
第1の無線受信部111および第1の無線送信部121は、第1の通信部を構成し、第2の無線受信部112および第2の無線送信部122は、第2の通信部を構成する。また、アプリケーション部150は、判定部の一例である。
【0016】
第1の無線受信部111と第2の無線受信部112とはそれぞれ、互いに周波数の異なるチャネルが設定され、設定されたチャネルを介して送信されるパケットを受信し、受信したパケットを受信処理部130に出力する。
【0017】
ここで、第1の無線受信部111は、所定の周波数のチャネル(第1のチャネル)がCCHとして設定される。また、第2の無線受信部112は、状況に応じて複数のSCHの中から適切な一つのチャネルが設定される。たとえば、CCHと共に2ホップ目以降のマルチホップメッセージを送信するときに利用されるチャネル(第2のチャネル)や、路側通信機がサービスの提供に用いる、第1および第2のチャネルとは異なる第3のチャネル等がSCHとして設定される。
【0018】
第1の無線送信部121は、第1の無線受信部111と同じチャネルが設定され、設定されたチャネルを介してパケットを送信する。
【0019】
第2の無線送信部122は、第2の無線受信部112と同じチャネルが設定され、設定されたチャネルを介してパケットを送信する。
【0020】
受信処理部130は、第1および第2の無線受信部から出力されたパケットが車載通信機100宛てのパケットであればアプリケーション部150に出力し、他の車載通信機にパケットを転送するマルチホップ通信のための制御パケットであればマルチホップ設定部140に出力する。
【0021】
なお、第1および第2の無線受信部から出力されたパケットが全ての車載通信機が受信するブロードキャストパケットであり、かつマルチホップ通信のための制御パケットである場合は、アプリケーション部150とマルチホップ設定部140の両方に出力する。
【0022】
マルチホップ設定部140は、受信処理部130から出力されたパケットの宛先、ホップ数などを確認し、他の車載通信機へのさらなる送信が必要であれば、送信処理部170にパケットの送信を設定する。
【0023】
アプリケーション部150は、受信処理部130から出力されたパケットに応じた処理を行い、必要に応じて他の車載通信機などへのパケットの送信を送信処理部170に設定する。また、アプリケーション部150は、利用したいSCH(例えば第3のチャネル)を指定する旨が入力されると、その指定された第3のチャネルをチャネル設定部160に通知する。
【0024】
チャネル設定部160は、アプリケーション部150からの通知に応じて、第2の無線受信部112および第2の無線送信部122(第2の通信部)に設定するチャネルを切り替える。ここで、チャネル設定部160は、アプリケーション部150から第3のチャネルが指定された旨が通知されると、第3のチャネルを第2の通信部に設定する。
【0025】
送信処理部170は、マルチホップ設定部140およびアプリケーション部150の設定に従い、適切な第1または第2の無線送信部にパケットを送信する。
【0026】
次に、本実施形態の車載通信機100の動作について説明する。
【0027】
図2は、路側通信機200と車載通信機100によるチャネル利用情報の転送時の動作を示す図である。
【0028】
チャネルCH0にCCHとして第1のチャネルが割り当てられ、チャネルCH1にSCHとして第2のチャネルが割り当てられている。
【0029】
なお、以下は、第1のチャネル(CH0)で送信されたマルチホップメッセージが次のホップ時には第2のチャネル(CH1)で送信される時の説明を記載してあるが、第2のチャネル(CH1)だけを利用してマルチホップメッセージを送信してもよい。
【0030】
路側通信機200は、第1から第4のチャネルで通信可能に構成されている。
【0031】
路側通信機200が利用する複数のチャネルにおいて、チャネルCH2に路側通信機200を経由したネットワーク(インターネット)と車載通信機100との通信に用いられる第3のチャネルが割り当てられ、チャネルCH3にストリーミングにより近隣動画のデータを提供する第4のチャネルが割り当てられているものとする。
【0032】
第2のチャネル(CH1)は、マルチホップメッセージを送受信するだけではなく、路側通信機200がサービスを提供するチャネルとして利用してもよい。
【0033】
図2に示すように、車載通信機100−1は、路側通信機200の通信可能範囲A0内に存在し、路側通信機200と通信する。
【0034】
ここで、車載通信機100−2は、路側通信機200の通信可能範囲A0内には存在しないため、路側通信機200と直接、通信することはできない。なお、車載通信機100−2は、車載通信機100−1の通信可能範囲A1内に存在する。
【0035】
路側通信機200は、チャネル利用情報を示すパケットを、第1のチャネル(CH0)または、第2のチャネル(CH1)を介してブロードキャスト送信する。このとき、サービス内容に応じてホップ数を指定して送信する。
【0036】
例えば、路側通信機の電波が届かない範囲にある車載通信機へ情報を提供する場合は、路側送信機から送信するパケットのホップ数を1以上に指定し、車載通信機を経由したマルチホップ通信でパケットを転送することで電波範囲外にある車載通信機まで情報を転送する。
【0037】
それに対して、路側通信機の電波が届かない範囲にある車載通信機へ情報を提供する必要がない場合は、路側送信機から送信するパケットのホップ数を0に指定し、転送しないように制限する。
【0038】
以上のように、マルチホップ通信のホップ数を任意に設定することで、路側通信機の電波範囲外で通信する車載通信機のパケット転送機能を制御することが可能になる。
【0039】
路側通信機200から第1のチャネル(CH0)を利用してチャネル利用情報を示すパケットが送信された場合は、車載通信機100−1では第1の無線受信部111がパケットを受信し、受信処理部130に出力する。
【0040】
路側通信機200がから2のチャネル(CH1)を利用してチャネル利用情報を示すパケットが送信された場合は、車載通信機100−1では第2の無線受信部112がパケットを受信し、受信処理部130に出力する。
【0041】
受信処理部130は、第1の無線受信部111または第2の無線受信部112から出力されたパケットがチャネル利用情報を含むブロードキャストパケットの場合には、そのパケットをアプリケーション部150に出力する。また、このパケットがマルチホップ通信のための制御パケットであれば、マルチホップ設定部140にも同時に出力する。
【0042】
アプリケーション部150は、受信処理部130から出力されたパケットに示されるチャネル利用情報を取得する。
【0043】
このチャネル利用情報には、路側通信機200が提供する複数のサービスに対する各々のチャネル情報が含まれており、そのチャネル情報からアプリケーション部150は、希望のチャネルを選択することが可能な構成になっている。
【0044】
たとえばチャネルCH3を選択したとき、チャネル設定部160に第4のチャネル(CH3)の設定が通知され、チャネル設定部160はその設定に従い、第2の無線受信部112と第2の無線送信部122(第2の通信部)にその第4のチャネル(CH3)を設定する。
【0045】
マルチホップ設定部140は、設定されているパケットのホップ数から一つ減らした値が0になっていない場合、チャネル利用情報が含まれたパケットを送信処理部170に送信し、チャネルCH1を介して第2の無線送信部122に送信する。
【0046】
なお、チャネル設定部160により第2の無線送信部122がマルチホップメッセージを送信するSCHである第2のチャネル(CH1)以外のチャネルに設定されている場合は、このメッセージを送信しない。
【0047】
車載通信機100−2においては、第1の無線受信部111は、路側通信機200から直接電波を受信してチャネル利用情報を受信することができない。従って、車載通信機100−1からマルチホップメッセージによって、チャネル利用情報を受け取る。
【0048】
第2の無線受信部112に第2のチャネル(CH1)が設定されている場合、車載通信機100−1からパケットを受信し、受信処理部130に出力する。
【0049】
受信処理部130は、第2の無線受信部112から出力されたパケットがチャネル利用情報を含むブロードキャストパケットの場合には、そのパケットをアプリケーション部150に出力する。また、このパケットがマルチホップ通信のための制御パケットであれば、マルチホップ設定部140にも同時に出力する。
【0050】
アプリケーション部150は、受信処理部130から出力されたパケットに示されるチャネル利用情報を取得する。このチャネル利用情報には、路側通信機200が提供するサービスのチャネル情報が含まれており、そのチャネル情報からアプリケーション部150は、希望のチャネルを選択することが可能な構成になっている。たとえばチャネルCH3を選択したときは、チャネル設定部160にチャネルCH3の設定を通知し、チャネル設定部160はその設定に従い、第2の無線受信部112と第2の無線送信部122(第2の通信部)にそのチャネルCH3を設定する。
【0051】
マルチホップ設定部140は、設定されているパケットのホップ数から一つ減らした値が0になっていない場合、チャネル利用情報が含まれたパケットを、送信処理部170に送信する。送信処理部170は、チャネルCH1を介して第2の無線送信部122に送信する。なお、チャネル設定部160により第2の無線送信部122がマルチホップメッセージを送信するSCHの第2のチャネル(CH1)以外のチャネルが設定されている場合は、このメッセージを送信しない。
【0052】
このように、車載通信機100−1が、チャネルCH0またはチャネルCH1を介して受信したチャネル利用情報を、チャネルCH1を介してマルチホップ通信することで、路側通信機200の通信可能範囲A0内に存在しない車載通信機100−2が、チャネル利用情報を取得することができる。
【0053】
図3は、車載通信機100による路側通信機200から提供されるサービス提供時の動作を示す図である。
【0054】
図3に示すように、車載通信機100−1は、路側通信機200の通信可能範囲A0内に存在し、チャネルCH0またはチャネルCH1を介して路側通信機200から取得したチャネル利用情報を、チャネルCH1を介してマルチホップ送信する。
【0055】
車載通信機100−2は路側通信機200の通信可能範囲A0内には存在しないため、路側通信機200と直接通信することはできない。しかし、車載通信機100−2は車載通信機100−1の通信可能範囲A1内に存在しているので、図2に示したように、車載通信機100−1からチャネルCH1を介してチャネル利用情報を取得している。
【0056】
車載通信機100−3は、路側通信機200の通信可能範囲A0内に存在し、チャネルCH0またはチャネルCH1を介して路側通信機200からチャネル利用情報を取得するとともに、チャネルCH3を介して路側通信機200を経由してインターネットに接続している。なお、車載通信機100−3は、車載通信機100−2の通信可能範囲A2に存在する。
【0057】
車載通信機100−4は、路側通信機200の通信可能範囲A0内に存在し、チャネルCH0またはチャネルCH1を介して路側通信機200からチャネル利用情報を取得するとともに、チャネルCH2を介して路側通信機200から近隣動画のデータの受信している。
【0058】
ここで、車載通信機100−2に、チャネルCH3を指定する旨が入力されたものとする。
【0059】
車載通信機100−2においては、アプリケーション部150が、チャネルCH3が指定された旨をチャネル設定部160に通知する。チャネル設定部160は、その通知を受けて、第2の通信部にチャネルCH3を設定する。
【0060】
車載通信機100−2は路側通信機200の通信可能範囲A0内に存在しないため、路側通信機200と直接通信することができない。そこで、第2の通信部は、チャネルCH3を介して他の車載通信機が有するマルチホップ機能を利用して路側通信機と通信を行う。
【0061】
ここで、車載通信機100−2の通信可能範囲A2内にはチャネルCH3を介して路側通信機200と通信を行う車載通信機100−3が存在する。
【0062】
第2の通信部は、車載通信機100−3とチャネルCH3を介して通信を行い、車載通信機100−3を経由して路側通信機200と通信する。
【0063】
つまり、第2の通信部は、車載通信機100−2の通信可能範囲A2内に存在し、第2の通信部に設定されたチャネルと同じチャネルを用いる他の車載通信機が行うマルチホップ通信により、路側通信機200と通信する。なお、SCHとして同じチャネルを用いる他の車載通信機を経由して路側通信機200まで到達するルートは、例えば、OLSR(Optimized Link State Routing)などのプロトコルに従い探索することができる。
【0064】
車載通信機100−2の通信可能範囲A2内に、チャネルCH3を用いる車載通信機が存在しない場合には、車載通信機100−2は、路側通信機200と通信することができない。図3においては、車載通信機100−2の通信可能範囲A2内に、路側通信機200と通信する車載通信機100−4も存在するが、車載通信機100−4は、チャネルCH2を用いているため、チャネルCH3を介したマルチホップ通信を行うことができない。そのため、車載通信機100−2は、車載通信機100−4を経由して路側通信機200と通信することはできない。
【0065】
車載通信機100−2でチャネルCH3の利用を終了する旨が入力されると、アプリケーション部150は、その旨をチャネル設定部160に通知する。チャネル設定部160は、その通知を受けて、第2の通信部をチャネルCH1に戻す。
【0066】
図4は、本実施形態の車載通信機100の動作を示すフローチャートである。
【0067】
第1の無線受信部111および第1の無線送信部121(第1の通信部)は、チャネルCH0が設定され、チャネルCH0を用いて通信する。また、チャネル設定部160は、チャネルCH1を第2の通信部に設定する。第2の通信部は、チャネルCH1を用いて通信する(ステップS401)。
【0068】
アプリケーション部150は、チャネルCH0を介してチャネル利用情報を取得したか否かを判定する(ステップS402)。
【0069】
チャネルCH0を介してチャネル利用情報を取得した場合(ステップS402:Yes)、アプリケーション部150は、車載通信機100が路側通信機200に直接接続していると判定する(ステップS412)。
【0070】
チャネルCH0を介してチャネル利用情報を取得していない場合(ステップS402:No)、アプリケーション部150は、チャネルCH1を介してチャネル利用情報を取得したか否かを判定する(ステップS403)。
【0071】
チャネルCH1を介してチャネル利用情報を取得していない場合(ステップS403:No)、アプリケーション部150は、ステップS401の処理に戻る。
【0072】
チャネルCH1を介してチャネル利用情報を取得した場合(ステップS403:Yes)、アプリケーション部150は、そのチャネル利用情報を含むパケットの送信元が路側通信機200であるか否かを確認し(ステップS404)、送信元が路側通信機200である場合(ステップS404:Yes)は直接接続していると判定する(ステップS412)。送信元が他の車載通信機である場合(ステップS404:No)は他の車載通信機を経由し、マルチホップ通信により路側通信機200に接続していると判定する(ステップS405)。
【0073】
次に、チャネル利用情報の中で指定された複数のチャネルの中から、チャネルCH3を指定する旨が入力されたとする(ステップS406)。特にチャネル選択がされない場合は、ステップS401の処理に戻る。
【0074】
アプリケーション部150は、チャネルCH3が指定された旨をチャネル設定部160に通知し、チャネル設定部160は、その通知を受けて、第2の通信部に設定するチャネルを、チャネルCH1からチャネルCH3に切り替える(ステップS407)。
【0075】
このとき、路側通信機200とはマルチホップ接続になるため、経路が確保されていない可能性がある。そのため、アプリケーション部150は、チャネルCH3を利用して路側通信機200へパス確認メッセージを送信する(ステップS408)。路側通信機200までの間に、同じCH3を利用する他の車載機が存在する場合は、マルチホップメッセージの転送が行われ、路側通信機200はパス確認応答メッセージを送信する。
【0076】
チャネルCH3を介した路側通信機200までの経路が存在する場合、パス確認応答メッセージを受信し(ステップS409:Yes)、アプリケーション部150は、チャネルCH3の利用を開始する(ステップ415)。チャネルCH3を介した路側通信機200までの経路が存在しない場合、パス確認応答メッセージが受信できず(ステップS409:No)、チャネルCH3が利用不可(ステップS410)なので、チャネルを元のチャネルCH1に切り替えて(ステップS411)、ステップS401の処理に戻る。
【0077】
路側通信機に直接接続している(ステップS412)と判断されたとき、チャネル利用情報の中で指定された複数のチャネルの中から、チャネルCH3を指定する旨が入力されたとする(ステップS413)。特にチャネル選択がされない場合は、ステップS401の処理に戻る。
【0078】
アプリケーション部150は、チャネルCH3が指定された旨をチャネル設定部160に通知し、チャネル設定部160は、その通知を受けて、第2の通信部に設定するチャネルを、チャネルCH1からチャネルCH3に切り替える(ステップS414)。
【0079】
チャネルの切り替えの結果、第2の通信部は、チャネルCH3を用いて通信する。なお、第1の通信部は、引き続き、チャネルCH0を用いて通信する(ステップS415)。この結果、チャネルCH3を利用して、路側通信機200のサービスの提供を受けることができる。
【0080】
次に、チャネルCH3の利用を終了する旨が入力されると、アプリケーション部150は、その旨をチャネル設定部160に通知し、ステップS401の処理に戻る。チャネル設定部160は、その通知を受けて、第2の通信部に設定するチャネルを、チャネルCH3からチャネルCH1に切り替える(ステップS416)。
【0081】
このように本実施形態によれば、車載通信機100は、路側通信機200のチャネル利用情報を、直接またはマルチホップにより他の車載通信機を経由して取得し、そのチャネルに切り替える事で、路側通信機の電波が届く範囲から車載通信機が外れている場合でも、路側通信機の提供するサービスを受けることができる。
【符号の説明】
【0082】
100,100−1,100−2,100−3,100−4 車載通信機
111 第1の無線受信部
112 第2の無線受信部
121 第1の無線送信部
122 第2の無線送信部
130 受信処理部
140 マルチホップ設定部
150 アプリケーション部
160 チャネル設定部
170 送信処理部
200 路側通信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載通信機であって、種々のデータを前記車載通信機に提供する路側通信機、および、他の車両に搭載される他の車載通信機と通信を行う車載通信機において、
前記車載通信機は、
周波数帯が固定されたチャネルを介して通信する第1の通信部と、
前記第1の通信部で使用するチャネルとは異なるチャネルを介して通信する第2の通信部と、
前記路側通信機と前記車載通信機との間の通信が、他の車載通信機で中継されていない直接通信であるかどうか判定する判定部と、を有し、
前記車載通信機が前記路側通信機と直接通信することができない場合には、前記第2の通信部は、前記路側通信機と通信している他の車載通信機を経由して前記路側通信機と通信することを特徴とする車載通信機。
【請求項2】
前記第2の通信部は、周波数帯の異なる複数のチャネルの中から選択した1つのチャネルを介して通信することを特徴とする請求項1記載の車載通信機。
【請求項3】
前記車載通信機は、前記第1の通信部または前記第2の通信部で受信したパケットについて、マルチホップ転送が必要か否かを確認し、他の車載通信機へさらなる送信が必要な場合は、前記第2の通信部からデータの送信を設定することを特徴とする請求項1または2記載の車載通信機。
【請求項4】
前記車載通信機は、前記路側通信機により提供されるデータの内容を示すチャネル利用情報を、前記第1の通信部または前記第2の通信部を介して受信することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の車載通信機。
【請求項5】
車両に搭載される車載通信機であって、種々のデータを前記車載通信機に提供する路側通信機、および、他の車両に搭載される他の車載通信機と通信を行う車載通信機の制御方法において、
周波数帯が固定されたチャネルを第1の通信部に設定し、前記第1の通信部で使用するチャネルとは異なるチャネルを第2の通信部に設定するステップと、
第1の通信部または第2の通信部を介して前記路側通信機と通信するステップと、
前記路側通信機と前記車載通信機との間の通信が、他の車載通信機で中継されていない直接通信であるかどうか判定するステップと、
前記車載通信機が前記路側通信機と直接通信していない場合には、前記第2の通信部は、前記路側通信機と通信している他の車載通信機を経由して前記路側通信機と通信するステップを含むことを特徴とする車載通信機の制御方法。
【請求項6】
前記第2の通信部は、周波数帯の異なる複数のチャネルの中から選択した1つのチャネルを介して通信することを特徴とする請求項5記載の車載通信機の制御方法。
【請求項7】
前記車載通信機は、前記第1の通信部または前記第2の通信部で受信したパケットについて、マルチホップ転送が必要か否かを確認し、他の車載通信機へさらなる送信が必要な場合は、前記第2の通信部からデータの送信を設定することを特徴とする請求項5または6に記載の車載通信機の制御方法。
【請求項8】
前記車載通信機は、前記路側通信機により提供されるデータの内容を示すチャネル利用情報を、前記第1の通信部または前記第2の通信部を介して受信することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の車載通信機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−70340(P2013−70340A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209066(P2011−209066)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】