説明

車載部品の搭載性検証装置及び方法

【課題】車両の車体に設けられた開口部を通して該車両に搭載される車載部品の該車両への搭載性を検証する場合に、その検証時間を出来る限り短縮する。
【解決手段】車体の少なくとも上記開口部を含む部分の画像データに基づく画像と、車載部品の画像データに基づく画像とを表示部に表示するとともに、これら両画像の画像データ量を比較し(ステップS3)、上記表示部において、上記両画像のうち画像データ量の多い方の画像を静止させた状態で、画像データ量の少ない方の画像を移動又は回転させることによって、車載部品が上記開口部を通過可能であるか否かを検証する(ステップS4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体に設けられた開口部を通して該車両に搭載される車載部品の該車両への搭載性を検証する、車載部品の搭載性検証装置及び方法に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両を初め、装置や機器等の部品設計においては、三次元CADを用いた設計手法が用いられている。このような三次元CADを用いた設計においては、実際に試作を行なう前に、コンピュータ上で部品間の干渉チェックが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、車両の設計においては、車両の組立て時に例えば車体のドア開口部を通して車両に搭載されるインストルメントパネルやシート等の車載部品が存在するため、そのような車載部品が上記開口部を通過可能であるか否かを、車載部品及び車体の開口部を含む部分の画像データを用いて検証するようにしている。すなわち、特許文献1と同様に、車載部品及び車体の開口部を含む部分の画像データに基づく画像を表示する表示部において、車載部品の画像を移動させながら、車載部品と開口部周縁部分との干渉をチェックする。
【特許文献1】特開平11−272721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の検証方法では、検証時間が長くかかるという問題がある。すなわち、車載部品は、通常、多数の部品単体がアセンブリされてなるものであり、このため、車載部品の画像データ量がかなり多くなり、この車載部品の画像を移動させるための処理時間が長くなってしまう。しかも、車載部品を自動搭載する場合には、その自動搭載用の治具の画像データも追加する必要があり、処理時間がより一層長くなってしまう。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の車体に設けられた開口部を通して該車両に搭載される車載部品の該車両への搭載性を検証する場合に、その検証時間を出来る限り短縮できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、画像データ量の多い方の画像を静止させた状態で、画像データ量の少ない方の画像を移動又は回転させることによって、車載部品が開口部を通過可能であるか否かを検証するようにした。
【0007】
具体的には、請求項1の発明では、車両の車体に設けられた開口部を通して該車両に搭載される車載部品の該車両への搭載性を検証する、車載部品の搭載性検証装置を対象とする。
【0008】
そして、上記車体の少なくとも上記開口部を含む部分の画像データを記憶する開口部データ記憶手段と、上記車載部品の画像データを記憶する車載部品データ記憶手段と、上記開口部データ記憶手段に記憶された画像データ又は該画像データから抽出された、上記車体の少なくとも上記開口部を含む部分の画像データに基づく画像と、上記車載部品データ記憶手段に記憶された上記車載部品の画像データに基づく画像とを表示する表示部と、上記両画像の画像データ量を比較するデータ量比較手段と、上記表示部において、上記両画像のうち上記データ量比較手段の比較結果による画像データ量の多い方の画像を静止させた状態で、画像データ量の少ない方の画像を移動又は回転させることによって、上記車載部品が上記開口部を通過可能であるか否かを検証する検証手段とを備えているものとする。
【0009】
上記の構成により、画像データ量の多い方の画像(通常、車載部品の画像)を静止させた状態で、画像データ量の少ない方の画像(通常、車体の開口部を含む部分の画像)を移動又は回転させるので、その処理時間が短くなり、この結果、車載部品の搭載性の検証時間を短縮することができる。よって、車載部品の設計の効率化を図ることができる。尚、車載部品は、部品単体に加えて、複数の部品がアセンブリされたものも含む。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記検証手段は、上記車載部品が上記開口部の内周面に対して所定量以上の隙間があいた状態で該開口部を通過可能であるか否かを検証するように構成されているものとする。
【0011】
すなわち、上記隙間がない状態で車載部品が開口部を通過可能であっても、車載部品を実際に搭載する際には、各部品の製造誤差等の影響により通過できなくなる可能性がある。しかし、本発明では、車載部品が上記開口部の内周面に対して所定量以上の隙間(各部品の製造誤差等を考慮した量の隙間)があいた状態で該開口部を通過可能であるか否かを検証するので、各部品の製造誤差等があっても、車載部品を実際に搭載する際に開口部を通過できなくなるようなことはなくなり、実際に則した検証を行うことができる。
【0012】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、上記開口部は、フロントガラス開口部、ドア開口部及びリヤゲート開口部のうちの少なくとも1つであるものとする。
【0013】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、上記開口部は、ドア開口部であり、上記車載部品は、上記ドア開口部を通して上記車両に搭載されるインストルメントパネル又はシートであるものとする。
【0014】
請求項5の発明では、請求項3の発明において、上記開口部は、リヤゲート開口部であり、上記車載部品は、上記リヤゲート開口部を通して上記車両に搭載される、該車両の車室天井面を形成するトップシーリングであるものとする。
【0015】
請求項6の発明は、コンピュータを用いて、車両の車体に設けられた開口部を通して該車両に搭載される車載部品の該車両への搭載性を検証する、車載部品の搭載性検証方法の発明であり、この発明では、上記コンピュータは、上記車体の少なくとも上記開口部を含む部分の画像データを記憶する開口部データ記憶手段と、上記車載部品の画像データを記憶する車載部品データ記憶手段と、上記車両部品データ記憶手段に記憶された画像データ又は該画像データから抽出された、上記車体の少なくとも上記開口部を含む部分の画像データに基づく画像と、上記車載部品データ記憶手段に記憶された上記車載部品の画像データに基づく画像とを表示する表示部と、を有しており、上記コンピュータが、上記表示部に上記両画像を表示するとともに、該両画像の画像データ量を比較するステップと、上記コンピュータが、上記表示部において、上記両画像のうち上記データ量比較手段の比較結果による画像データ量の多い方の画像を静止させた状態で、画像データ量の少ない方の画像を移動又は回転させることによって、上記車載部品が上記開口部を通過するか否かを検証するステップとを含むものとする。
【0016】
この発明により、請求項1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の車載部品の搭載性検証装置及び方法によると、画像データ量の多い方の画像を静止させた状態で、画像データ量の少ない方の画像を移動又は回転させることによって、車載部品が開口部を通過可能であるか否かを検証するようにしたことにより、車載部品の搭載性の検証時間を短縮することができ、車載部品の設計の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る車載部品の搭載性検証装置の概略構成を示す。この搭載性検証装置はコンピュータからなっていて、車両の車体に設けられた開口部を通して該車両に搭載される車載部品の該車両への搭載性を検証するものである。本実施形態では、上記車載部品は、インストルメントパネル(パネル本体に複数の部品をアセンブリしたもの)、車両の乗員が着座する運転席シート、助手席シート及び後部シート、並びに、車両の車室天井面を形成するトップシーリングである。インストルメントパネル並びに運転席シート及び助手席シートは、車体のフロントドア開口部を通して搭載されるものであり、後部シートは、車体のリヤドア開口部を通して搭載されるものであり、トップシーリングは、車体のリヤゲート開口部を通して搭載されるものとしている。
【0020】
上記搭載性検証装置は、種々の情報処理を行う制御部1と、該搭載性検証装置を操作するオペレータ(車載部品の設計者等)が該制御部1に対し情報を入力するためのキーボードやマウス等からなる入力部2と、制御部1から出力された情報を表示するディスプレイ等からなる表示部3と、各種データや、制御部1が後述の搭載性検証処理を実行するためのプログラムを記憶する記憶部4とを備えている。
【0021】
上記制御部1には、搭載性検証処理中にデータ等を一時的に記憶するメモリ1aが設けられている。また、上記記憶部4には、車体の開口部を含む部分の画像データである車体開口部データと、車載部品の画像データである車載部品データとが記憶されている。このことで、記憶部4は、本発明の開口部データ記憶手段及び車載部品データ記憶手段を構成することになる。
【0022】
本実施形態では、上記開口部は、車体前側に設けられるフロントガラス開口部、車体両サイドに設けられるフロントドア開口部及びリヤドア開口部、並びに、車体後側に設けられるリヤゲート開口部であり、記憶部4には、これら各開口部の周縁部分のみの画像データがそれぞれ記憶されている。
【0023】
上記車載部品データは、車載部品を自動搭載する際に用いられる組立て治具の画像データである組立て治具データを併合したものであって、組立て治具に支持された状態の車載部品の画像データである。尚、車載部品の搭載に際して組立て治具を用いない場合(組立て作業者が直接搭載する場合)には、組立て治具データは不要である。
【0024】
上記車体開口部データ及び車載部品データは、本実施形態では、3次元CADデータであって、三次元CADを用いて設計が完了したものである。尚、車体開口部データは、3次元CADにより設計が完了したものでなくてもよく、車体基本形状を決めるフレームラインから求めたものであってもよい。こうすれば、車体の設計が完了していない場合であっても、車載部品の搭載性を検証することができ、車両の開発初期段階から車載部品を設計することができる。
【0025】
上記オペレータは、上記入力部2を介して、搭載性を検証しようとする車載部品と、該車載部品が搭載時に通過する開口部とを選択入力する。オペレータは、インストルメントパネル、運転席シート又は助手席シートの搭載性を検証する場合には、インストルメントパネル、運転席シート又は助手席シートとフロントドア開口部とを選択入力し、後部シートの搭載性を検証する場合には、後部シートとリヤドア開口部とを選択入力し、トップシーリングの搭載性を検証する場合には、トップシーリングとリヤゲート開口部とを選択入力することになる。このような選択入力により、上記制御部1が、当該車載部品の搭載性を検証するための搭載性検証処理を実行する。
【0026】
ここで、上記制御部1が実行する搭載性検証処理動作について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0027】
最初のステップS1では、オペレータの所定操作に応じて、上記選択入力のための選択画面を上記表示部3に表示させ、次のステップS2では、オペレータの選択入力に応じて、その選択された車載部品及び開口部についての車載部品データ及び車体開口部データを記憶部4から読み込む。
【0028】
次のステップS3では、上記ステップS2で読み込んだ車載部品データに基づく画像と、上記ステップS2で読み込んだ車体開口部データに基づく画像とを上記表示部3に表示させるとともに、車載部品データ及び車体開口部データのデータ量(画像データ量)を比較する。本実施形態では、車体開口部データは、開口部の周縁部分のみの画像データ(画像としては枠状に見える)であるため、そのデータ量は車載部品データよりも遥かに少ない。
【0029】
次のステップS4では、上記表示部3において、上記両画像のうちデータ量の多い方の画像(車載部品データに基づく車載部品の画像)を静止させた状態で、データ量の少ない方の画像(車体開口部データに基づく開口部周縁部分の画像)を移動又は回転させることによって、車載部品が開口部を通過可能であるか否かを検証する。このとき、車載部品が開口部の内周面に対して所定量以上の隙間があいた状態で該開口部を通過可能であるか否かを検証することが望ましい。すなわち、上記隙間がない状態で車載部品が開口部を通過可能であっても、車載部品を実際に搭載する際には、各部品の製造誤差等の影響により通過できなくなる可能性があるが、そのような製造誤差等を考慮した量の隙間があいた状態で開口部を通過可能であるか否かを検証すれば、車載部品を実際に搭載する際に開口部を通過できなくなるようなことはなくなる。
【0030】
次のステップS5では、上記検証結果を表示部3に表示させる。例えば車載部品の開口部と干渉する部分を、目立つような色に変更する。
【0031】
上記搭載性検証処理動作から分かるように、制御部1は、本発明のデータ量比較手段及び検証手段を構成することになる。
【0032】
上記の、車載部品が開口部の内周面に対して所定量以上の隙間があいた状態で該開口部を通過可能であるか否かの検証方法について、図3に基づいて、インストルメントパネル及びフロントドア開口部の例で説明する。尚、図3において、11はフロントドア開口部周縁部分(画像)であり、12は、アセンブリされたインストルメントパネル(画像)であり、13は組立て治具(画像)である。この組立て治具13の上部の上下に延びる部分13aは、組立て治具13を移動させる駆動源と接続する部分であって、駆動源によって前後方向、上下方向及び車幅方向(表示画面に垂直な方向)に移動するようになっている。この接続部分13aは、インストルメントパネル12の搭載時にフロントドア開口部を通過することはない。本例の検証では、3次元CADツール“I-deas”を用いる。
【0033】
図3(a)に示すように、フロントドア開口部周縁部分11を前後方向及び上下方向に移動させて、フロントドア開口部周縁部分11の前側部分とインストルメントパネル12(組立て治具13におけるフロントドア開口部を通過する部分を含む。以下、同じ。)の前端との間の最小隙間量が第1所定量(例えば40mm)となりかつフロントドア開口部周縁部分11の下側部分とインストルメントパネル12の下端との間の最小隙間量が上記第1所定量よりも小さい第2所定量(例えば35mm)となるように、フロントドア開口部周縁部分11の位置を決定する。
【0034】
続いて、図3(b)に示すように、フロントドア開口部周縁部分11を後側へ上記第1所定量だけ移動させて、フロントドア開口部周縁部分11の前側部分の一部をインストルメントパネル12の前端に接触させる。このときのフロントドア開口部周縁部分11の前側部分(図3(b)に太線で描いた部分)の位置を、制御部1に設けたメモリ1aに一時記憶する。尚、図3(b)に一点鎖線で示すものは、上記図3(a)の位置にあるフロントドア開口部周縁部分11である(図3(c)〜(f)においても同じ)。
【0035】
次いで、フロントドア開口部周縁部分11を、上記図3(a)の位置に戻した後、図3(c)に示すように、そこから前側へ上記第1所定量だけ移動させる。このときのフロントドア開口部周縁部分11の後側部分(図5に太線で描いた部分)の位置を、制御部1に設けたメモリ1aに一時記憶する。
【0036】
次に、フロントドア開口部周縁部分11を、上記図3(a)の位置に戻した後、図3(d)に示すように、そこから上側へ上記第2所定量だけ移動させて、フロントドア開口部周縁部分11の下側部分の一部をインストルメントパネル12の下端に接触させる。このときのフロントドア開口部周縁部分11の下側部分(図3(d)に太線で描いた部分)の位置を、制御部1に設けたメモリ1aに一時記憶する。
【0037】
続いて、フロントドア開口部周縁部分11を、上記図3(a)の位置に戻した後、図3(e)に示すように、そこから下側へ上記第2所定量だけ移動させる。このときのフロントドア開口部周縁部分11の上側部分(図3(e)に太線で描いた部分)の位置を、制御部1に設けたメモリ1aに一時記憶する。
【0038】
次いで、図3(f)に示すように、上記メモリ1aに一時記憶したフロントドア開口部周縁部分11の前側部分、後側部分、下側部分及び上側部分を繋げる。これにより、フロントドア開口部周縁部分11を第1所定量ないし第2所定量だけ内側に寄せてなる、フロントドア開口部の仮想周縁部分11′の画像データを作成する。尚、第1所定量が第2所定量よりも大きいのは、組立てラインで車体自体が前側へ移動しているときに、インストルメントパネルを搭載するために、その分だけ前後方向に大きな余裕代をとる必要があるからである。
【0039】
そして、上記インストルメントパネル12が上記仮想周縁部分11′から外側にはみ出さない場合には、インストルメントパネル12はフロントドア開口部を通過可能であるとする。この場合、インストルメントパネル12がフロントドア開口部の内周面に対して所定量(上記第2所定量)以上の隙間があいた状態でフロントドア開口部を通過できることとなる。したがって、実際にインストルメントパネルを搭載する際には、製造誤差や組立てラインでの車体移動があっても、インストルメントパネルをフロントドア開口部から確実に搭載できることになる。
【0040】
一方、インストルメントパネル12が仮想周縁部分11′から外側にはみ出す場合には、通過不能であるとする。この場合、インストルメントパネル12における仮想周縁部分11′よりも外側にはみ出す部分の色が変更される。したがって、インストルメントパネルの設計者は、そのはみ出す部分の形状を変更する等して設計変更を行う。
【0041】
尚、組立て治具が車幅方向に延びる軸回りに回転することが可能なものであれば、フロントドア開口部周縁部分11を、前後及び上下方向に移動させるだけでなく、組立て治具の回転に対応させて回転させるようにすることもできる。
【0042】
シートの搭載性(運転席シート及び助手席シートがフロントドア開口部を通過可能であるか否か、又は後部シートがリヤドア開口部を通過可能であるか否か)の検証、及び、トップシーリングの搭載性(トップシーリングがリヤゲート開口部を通過可能であるか否か)の検証も、上記インストルメントパネルと同様である。
【0043】
このように画像データ量が多い方の画像を静止させた状態で、画像データ量の少ない方の画像を移動又は回転させるようにしたので、その処理時間が短くなる。この結果、車載部品の搭載性の検証時間を短縮することができる。例えば上記インストルメントパネルの場合、開口部周縁部分を移動させれば、インストルメントパネルを移動させる場合に比べて、検証時間が数十分の一になる。よって、車載部品の設計の効率化を図ることができる。
【0044】
尚、上記実施形態では、オペレータが入力部2を介して、検証しようとする車載部品に対して、該車載部品が通過する、予め決められた開口部を選択入力するようにしたが、その車載部品をどの開口部から搭載するかが決まっていない場合には、1つの車載部品についてオペレータが複数の開口部を選択入力できるようにしたり、制御部1が全ての開口部を自動で選択したりするようにしてもよい。この場合は、制御部1が、各開口部について車載部品の搭載性を順次検証する。そして、各開口部についての検証結果を表示部3に、例えば図4に示す如く表示する。この図4の例は、トップシーリングの検証結果であり、A、B,C及びDは、トップシーリングにおけるAピラー、Bピラー、Cピラー及びDピラーにそれぞれ対応する部分であり、このトップシーリングは、Dピラーに対応する部分がリヤゲート開口部を通過可能であるが、Aピラー、Bピラー及びCピラーに対応する部分がリヤゲート開口部を通過不能であり、その結果、リヤゲート開口部から搭載することはできないことになる。同様に、フロントドア開口部及びリヤドア開口部からも搭載することはできない。一方、フロントガラス開口部についてはトップシーリング全体が通過可能である。したがって、トップシーリングをフロントガラス開口部から搭載することに決定すればよい。
【0045】
また、上記実施形態では、記憶部4に、車体の各開口部の周縁部分のみの画像データをそれぞれ記憶するようにしたが、記憶部4に例えば車体全体の画像データを記憶しておき、その画像データから、選択入力された開口部の周縁部分のみ、又は車体の少なくとも該開口部を含む部分の画像データを抽出して、その抽出した画像データに基づく画像を表示部3に表示させるようにしてもよい。車体において表示部3に表示される部分が多くなると、その画像データ量が車載部品の画像データ量よりも多くなる可能性があるが、そうなれば、車載部品の画像を移動又は回転させることになる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、車両の車体に設けられた開口部を通して該車両に搭載される車載部品の該車両への搭載性を検証する、車載部品の搭載性検証装置及び方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係る車載部品の搭載性検証装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】制御部が実行する搭載性検証処理動作を示すフローチャートである。
【図3】インストルメントパネルがフロントドア開口部の内周面に対して所定量以上の隙間があいた状態で該フロントドア開口部を通過可能であるか否かの検証方法を説明するための図である。
【図4】トップシーリングの各開口部に対する搭載性の検証結果を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 制御部(データ量比較手段)(検証手段)
2 入力部
3 表示部
4 記憶部(開口部データ記憶手段)(車載部品データ記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体に設けられた開口部を通して該車両に搭載される車載部品の該車両への搭載性を検証する、車載部品の搭載性検証装置であって、
上記車体の少なくとも上記開口部を含む部分の画像データを記憶する開口部データ記憶手段と、
上記車載部品の画像データを記憶する車載部品データ記憶手段と、
上記開口部データ記憶手段に記憶された画像データ又は該画像データから抽出された、上記車体の少なくとも上記開口部を含む部分の画像データに基づく画像と、上記車載部品データ記憶手段に記憶された上記車載部品の画像データに基づく画像とを表示する表示部と、
上記両画像の画像データ量を比較するデータ量比較手段と、
上記表示部において、上記両画像のうち上記データ量比較手段の比較結果による画像データ量の多い方の画像を静止させた状態で、画像データ量の少ない方の画像を移動又は回転させることによって、上記車載部品が上記開口部を通過可能であるか否かを検証する検証手段とを備えていることを特徴とする車載部品の搭載性検証装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載部品の搭載性検証装置において、
上記検証手段は、上記車載部品が上記開口部の内周面に対して所定量以上の隙間があいた状態で該開口部を通過可能であるか否かを検証するように構成されていることを特徴とする車載部品の搭載性検証装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車載部品の搭載性検証装置において、
上記開口部は、フロントガラス開口部、ドア開口部及びリヤゲート開口部のうちの少なくとも1つであることを特徴とする車載部品の搭載性検証装置。
【請求項4】
請求項3記載の車載部品の搭載性検証装置において、
上記開口部は、ドア開口部であり、
上記車載部品は、上記ドア開口部を通して上記車両に搭載されるインストルメントパネル又はシートであることを特徴とする車載部品の搭載性検証装置。
【請求項5】
請求項3記載の車載部品の搭載性検証装置において、
上記開口部は、リヤゲート開口部であり、
上記車載部品は、上記リヤゲート開口部を通して上記車両に搭載される、該車両の車室天井面を形成するトップシーリングであることを特徴とする車載部品の搭載性検証装置。
【請求項6】
コンピュータを用いて、車両の車体に設けられた開口部を通して該車両に搭載される車載部品の該車両への搭載性を検証する、車載部品の搭載性検証方法であって、
上記コンピュータは、
上記車体の少なくとも上記開口部を含む部分の画像データを記憶する開口部データ記憶手段と、
上記車載部品の画像データを記憶する車載部品データ記憶手段と、
上記車両部品データ記憶手段に記憶された画像データ又は該画像データから抽出された、上記車体の少なくとも上記開口部を含む部分の画像データに基づく画像と、上記車載部品データ記憶手段に記憶された上記車載部品の画像データに基づく画像とを表示する表示部と、
を有しており、
上記コンピュータが、上記表示部に上記両画像を表示するとともに、該両画像の画像データ量を比較するステップと、
上記コンピュータが、上記表示部において、上記両画像のうち上記データ量比較手段の比較結果による画像データ量の多い方の画像を静止させた状態で、画像データ量の少ない方の画像を移動又は回転させることによって、上記車載部品が上記開口部を通過するか否かを検証するステップとを含むことを特徴とする車載部品の搭載性検証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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