説明

車載AV装置

【課題】手動運転走行及び自動運転走行のいずれの走行時にあっても、適切なAV機能についての動作が可能となる「車載AV装置」を提供することである。
【解決手段】乗員の運転操作により走行のなされる手動運転走行と、乗員の運転操作によらずに走行のなされる自動運転走行とが可能な車両に搭載され、オーディオに係る機能及び映像に係る機能を含むAV機能を有する車載AV装置であって、前記手動運転走行時に前記AV機能のうちの所定機能についての動作を規制する動作規制制御手段(10)と、当該車両が前記自動運転走行の状態になったか否かを判定する自動運転判定手段(10、S10)と、当該車両が前記自動運転走行の状態になったとの前記自動運転判定手段による判定に応答して、前記所定機能の動作についての規制を解除した状態で前記AV機能の動作を可能にする制御手段(10、S12)とを有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員の運転操作により走行のなされる手動運転走行と、乗員の運転操作によらずに走行のなされる自動運転走行とが可能な車両に搭載され、オーディオに係る機能及び映像に係る機構を含むAV機能を有する車載AV装置に関する。
【背景技術】
【0002】
安全な車両走行の観点から、従来の車載AV(Audio and Visual)装置では、乗員による運転操作中に、動画像(映像)の再生(動画再生機能)や、文字キーによる文字入力操作に基づいた機能(オーディオあるいは映像に関する情報入力機能)等の動作が規制されている。従って、乗員の運転操作により車両が走行している際には、乗員は、DVDの再生等による動画像を見ることができず、また、文字キーよって文字入力を行うこともできない。
【0003】
ところで、近年、乗員の運転操作によらずに走行のなされる自動運転走行が可能な車両が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。このような自動運転走行の可能な車両においても、オーディオに係る機能及び映像に係る機能を含むAV機能を有する車載AV装置が搭載され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−162285号公報
【特許文献2】特開2006−318446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記自動運転走行の可能な車両に搭載されるAV装置では、当該車両が自動運転走行の状態にあるときには、乗員が運転操作を行わないので、前述した動画像の再生等の規制を行わないということが考えられる。しかしながら、自動運転走行専用の車両ではなく、手動運転走行及び自動運転走行の双方が可能な車両においては、動画再生機能の規制を一律行わないことにすると、手動運転走行時に好ましくない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、手動運転走行及び自動運転走行のいずれの走行時にあっても、適切なAV機能についての動作が可能となる車載AV装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車載AV装置は、乗員の運転操作により走行のなされる手動運転走行と、乗員の運転操作によらずに走行のなされる自動運転走行とが可能な車両に搭載され、オーディオに係る機能及び映像に係る機能を含むAV機能を有する車載AV装置であって、前記手動運転走行時に前記AV機能のうちの所定機能についての動作を規制する動作規制制御手段と、当該車両が前記自動運転走行の状態になったか否かを判定する自動運転判定手段と、当該車両が前記自動運転走行の状態になったとの前記自動運転判定手段による判定に応答して、前記所定機能の動作についての規制を解除した状態で前記AV機能の動作を可能にする制御手段とを有する構成となる。
【0008】
このような構成により、車両が手動運転走行の状態にあっては、AV機能のうち所定機能についての動作が規制される一方、当該車両が自動運転走行の状態であるときには、前記所定機能の動作についての規制が解除された状態で前記AV機能の動作が可能になる。
【0009】
本発明に係る車載AV装置において、前記制御手段は、前記AV機能のメニューを表示部に表示させるメニュー表示制御手段を有し、前記所定機能についての動作を規制することなく、前記表示部に表示されたメニューから選択された機能についての動作を可能にするように構成することができる。
【0010】
このような構成により、車両の自動運転走行時には、AV機能のメニューが表示部に表示され、所定機能についての動作を規制することなく、前記表示部に表示されたメニューから選択された機能についての動作が可能になるので、乗員は、自動運転走行時において、手動運転走行時に規制されるべき所定機能も含めたAV機能について動作させることができるようになる。
【0011】
本発明に係る車載用AV装置において、前記メニュー表示制御手段は、前記手動運転走行中にオーディオに係る機能の動作がなされている状態で当該車両が前記自動運転走行の状態になったとの判定が前記自動運転判定手段にてなされたときに、前記AV機能のメニューを前記表示部に表示させるように構成することができる。
【0012】
このような構成により、手動運転走行の状態から自動運転走行の状態に切換わったときに、手動運転走行の際に動作していたオーディオに係る機能を、表示部に表示されたAV機能メニューから選択される機能に切り換えて、手動運転走行時に規制されるべき所定機能も含めたAV機能について動作させることができるようになる。
【0013】
また、本発明に係る車載AV装置において、前記手動運転走行中にオーディオに係る機能の動作がなされている状態で当該車両が前記自動運転走行の状態になったとの判定が前記自動運転判定手段にてなされたときに、前記オーディオに係る機能の動作状態を記憶手段に記憶させる動作状態保存制御手段と、前記手動運転走行中に規制される映像に係る機能の動作がなされている状態で自動運転走行が終了したときに、前記記憶手段に記憶された前記オーディオに係る機能の前記動作状態に復帰させる機能復帰制御手段とを有する構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、オーディオに係る機能の動作がなされつつ手動運転走行から自動運転走行に切換えられ、映像に係る機能の動作がなされつつその自動運転走行から手動運転走行に復帰したときに、前記自動運転走行に切換えられる際の前記オーディオに係る機能の動作状態から、当該オーディオに係る機能能の動作を継続させることができるようになる。
【0015】
更に、本発明に係る車載AV装置において、当該車両が前記自動運転走行の状態になったとの判定が前記自動運転判定手段にてなされたときに、第1の情報を出力する第1情報出力手段と、当該車両が前記自動運転走行の状態から前記手動運転走行の状態に復帰するときに、第2の情報を出力する第2情報出力手段とを有するように構成することができる。
【0016】
このような構成により、車両が、AV機能のうち所定機能についての動作が規制される手動運転走行の状態から、自動運転走行の状態に切換わったときに、第1の情報が出力されるので、乗員は、その第1の情報に基づいて、車両が前記所定機能についての動作の規制が解除された状態でのAV機能の動作が可能となる自動運転走行の状態になることを知ることができる。また、車両が前記自動運転走行の状態から前記手動運転走行の状態に復帰するときに、第2の情報が出力されるので、乗員は、その第2の情報に基づいて、車両が前記所定機能についての動作が規制される手動運転走行の状態に戻ったことを知ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る車載AV装置によれば、車両が手動運転走行の状態にあっては、AV機能のうち所定機能についての動作が規制される一方、当該車両が自動運転走行の状態であるときには、前記所定機能の動作を規制することなく、前記AV機能を動作させることが可能になるので、手動運転走行時には安全性が考慮されたうえでのAV機能の動作が可能になるとともに、自動運転走行時には規制のないAV機能の動作が可能になる。よって、手動運転走行及び自動運転走行のいずれの走行時にあっても、適切なAV機能についての動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載AV装置の構成を示すブロック図である。
【図2A】図1に示す車載AV装置における処理ユニットが実行する処理の手順(その1)を示すフローチャートである。
【図2B】図1に示す車載AV装置における処理ユニットが実行する処理の手順(その2)を示すフローチャートである。
【図3】表示ユニットに表示される音楽再生画面の例を示す図である。
【図4】表示ユニットに表示される自動運転開始画面の例を示す図である。
【図5】表示ユニットに表示されるソースメニュー画面の例を示す図である。
【図6】TVチューナで受信した放送映像の表示例を示す図である。
【図7】表示ユニットに表示される自動運転終了画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る車載AV装置について図面を用いて説明する。
【0020】
本発明の実施の一形態に係る車載AV装置は、図1に示すように構成される。図1に示す車載AV装置100は、乗員の運転操作(ステアリング操作、アクセル操作、ブレーキ操作を含む)によって走行のなされる手動運転走行と、乗員の運転操作によらずに走行のなされる自動運転走行とが可能となる車両に搭載される。
【0021】
図1において、車載AV装置100は、コンピュータユニット(CPUを含む)にて構成される処理ユニット10、自動運転ECU11及び各種情報を記憶する記憶部12を有している。自動運転ECU11は、例えば、道路に埋設された磁器マーカを検出するための検出器からの情報や車速センサ、スロットル開度センサ、操舵角センサ等の各種センサからの検出信号等に基づいて、車速制御、操舵角制御等の自動運転に係る制御を行う。自動運転ECU11は、自動運転制御の開始時に自動運転開始信号を、自動運転制御の終了時に自動運転終了信号を処理ユニット10に出力する。
【0022】
車載AV装置100は、オーディオ(音声)に係る機能及び映像(静止画、動画)に係る機能(これらの機能を総称して以下AV機能という)を実現するAVソースとして、DVDやCDを再生するDVD・CDプレイヤ13、デジタルテレビ放送を受信するTVチューナ14、ラジオ放送を受信するラジオチューナ15、オーディオ情報や映像情報を記憶するSDカードを装着するためのSDカードスロット16及びオーディオ情報や映像情報を記憶するHDD17を有するとともに、音声出力回路18、スピーカ19、画像出力回路20及び表示ユニット21を有している。これらのAVソース、音声出力回路18及び画像出力回路20は処理ユニット10に接続されており、各AVソースからのオーディオ情報が処理ユニット10を介して音声出力回路18に、また、各AVソースからの映像情報(画像情報)が処理ユニット10を介して画像出力回路20に供給されるようになっている。音声出力回路18は、処理ユニット10からのオーディオ情報に基づいた音声信号を車室内に設けられたスピーカ19に出力し、スピーカ19から前記音声信号に基づいた楽曲等の音声が出力される。また、画像出力回路20は、処理ユニット10からの映像情報に基づいた画像信号を車室内に設けられた表示ユニット21に出力し、表示ユニット21に前記画像信号に基づいた静止画像や動画像が表示される。
【0023】
車載AV装置100における処理ユニット10は、図2A及び図2Bに示す手順に従って処理を実行する。
【0024】
図2Aにおいて、車載AV装置100が起動されると、処理ユニット10は、自動運転ECU11からの出力に基づいて車両が自動運転走行の状態になったか否かを判定する(S10)。車両が乗員の運転操作によって走行する手動運転走行の状態では、処理ユニット10は、前記判定(S10)を繰り返し実行している。
【0025】
車両の手動運転走行時には、AV機能のうち映像(動画像)出力機能の動作、例えば、DVD・CDプレイヤ13にセットされたDVDから再生される映像(動画像)やTVチューナ14で受信した放送映像等を表示ユニット21に表示させることが規制(禁止)される。このような状況において、乗員は、楽曲を聴くことができる。例えば、AVソースとしてHDD17が選択されると、HDD17に記憶された楽曲に関するオーディオ情報が処理ユニット10を介して音声出力回路18に供給され、この音声出力回路18から出力される音声信号に基づいてスピーカ19から前記楽曲の音声が出力される(第1の機能の動作)。このとき、HDD17に前記オーディオ情報に対応づけて記憶された前記楽曲に関する情報が処理ユニット10を介して画像出力回路20に供給され、この画像出力回路20から出力される画像信号に基づいて、例えば、図3に示すように、表示ユニット21に前記楽曲に関する情報(アルバム名、歌手名、曲名等)を含む音楽再生画面が表示される。なお、図3に示す音楽再生画面の例では、楽曲のプレイ時間も表示されている。
【0026】
車両は、例えば、高速道路に設けられた自動運転走行の専用レーンにおいて自動運転走行が可能である。そして、車両が前記自動運転走行の専用レーンに進入すると、自動運転ECU11は自動運転制御を開始し、自動運転開始信号を出力する。前述したように当該車両が自動運転走行の状態になったか否かの判定(S10)を繰り返し実行している処理ユニット10は、自動運転ECU11からの前記自動運転開始信号を入力すると、当該車両が自動運転走行の状態になったと判定し(S10でYES)、例えば、図4に示すように、表示ユニット21に自動運転開始メッセージ「これより自動運転モードを開始します。」及びソース選択を促すメッセージ「自動運転中は、好みのソースを選んでお楽しみください。」を含む自動運転開始画面(第1の情報)を表示させる(S11)。これにより、乗員は、当該車両が自動運転走行の状態になったことを知ることができ、また、車載AV装置100におけるソースの再選択が可能になったことを知ることができる。
【0027】
処理ユニット10は、前記自動運転開始メッセージを表示ユニット21に表示させた後に、AV装置100の出力状態が、映像非表示の音声出力状態であるか否か、例えば、TVチューナ14の放送映像を規制(禁止)して音声だけを出力させている状態、あるいは、DVDの再生に際して映像を規制(禁止)して音声だけを出力させている状態であるか否かを判定する(S12)。AV装置100が前述したようオーディオ情報に基づいた楽曲の音声を出力している状態であって、前記映像非表示の音声出力状態ではないとの判定を行うと(S12でNO)、処理ユニット10は、乗員による例えばメニューボタンの操作に応答して、図5に示すように、DVD/CD(DVD・CDプレイヤ13)、TVチューナ14、SDカード(SDカードスロット16)、HDD17等のAVソースに係るソースメニューを表示ユニット21に表示させる(S13)。このソースメニューは、AV装置100において選択可能なAV機能に対応する各情報ソースのメニューである。そして、処理ユニット10は、前記ソースメニューを表示ユニット21に表示させた状態で、AVソースの選択操作がなされたか否かを判定する(S14)。乗員が表示ユニット21に表示された前記ソースメニューからAVソースの選択操作を行うと、それに応答して(S14でYES)、処理ユニット10は、そのAVソースの選択により、音声ソース(ラジオ、音楽CD、HDDオーディオ)から映像系ソース(TVチューナ、DVD、HDDビデオ等)への変更がなされたか否かを判定する(S15)。音声ソースから映像系ソースへの変更がなされたとの判定を行うと(S15でYES)、処理ユニット10は、音声ソースの現時点での動作状態を表す情報を記憶部12に記憶する(S16)。例えば、前述したようにHDD17に記憶されたオーディオ情報に基づいて楽曲の音声出力がなされている状態で、ソースメニューからTVチューナが選択された場合、処理ユニット10は、音声ソースから映像系ソースへの変更がなされたとの判定を行って、そのオーディオ出力機能のその時点での動作状態(第1の機能の動作状態)を表す情報、具体的には、その音声出力に対応するオーディオ情報の再生位置を特定する情報及びそのオーディオ情報に対応づけられた前記楽曲に関する情報の保存場所を特定する情報(例えば、HDD17のアドレス)を記憶部12に記憶する。
【0028】
処理ユニット10は、このようにオーディオ出力機能の動作状態を表す情報等、今まで動作していた音声ソースの動作状態を記憶部12に記憶(S15YES、S16)すると、前記選択された映像系のAVソースを起動させる(S17)。例えば、TVチューナ14が映像系のAVソースとして選択されると、処理ユニット10は、TVチューナ14を起動させ、映像(動画像)出力機能の動作を規制することなく、TVチューナ14にて受信された放送番組の映像情報を画像出力回路20に供給するとともに前記放送番組の音声情報を音声出力回路18に供給する。これにより、画像出力回路20からの画像信号に基づいて表示ユニット21に、例えば、図6に示すように、放送番組(例えば、クイズ番組)の映像(動画像)が表示される(第2の機能の動作)とともに、音声出力回路18からの音声信号に基づいてスピーカ19から当該放送番組の音声が出力される。これにより、乗員は、自動運転走行の状態にある車両において、TV放送番組を視聴することが可能になる。
【0029】
一方、自動運転走行に切替わったときに(S10でYES)、TVチューナ14の放送映像を規制(禁止)して音声だけを出力させている状態等、映像非表示の音声出力の状態であると(S12でYES)、処理ユニット10は、その映像出力機能についての動作の規制を解除して、音声出力とともに、表示ユニット21に対応する映像を出力させる(S18)。例えば、TVチューナ14の音声だけが出力されている場合には、その音声ともに対応する映像(図6参照)が表示ユニット21に表示される。
【0030】
また、表示ユニット21に表示された前記ソースメニュー(図5参照)から選択されたソースが映像系ソースではなく、音声ソース(例えば、CD、HDDオーディオ、ラジオ)等であった場合(S15でNO)、処理ユニット10は、その選択された音声ソースを起動させる。これにより、乗員は、自動運転走行の状態にある車両において、ソースメニュー(図5参照)から選択した音声ソースからのオーディオ情報に基づいた音声を聴くことができるようになる。
【0031】
その後、処理ユニット10は、図2Bに示すように、当該車両が自動運転走行の状態から手動運転走行の状態に復帰したか否かを判定する(S20)。前記自動運転走行の状態において、処理ユニット10は、この判定(S20)を繰り返し実行している。
【0032】
例えば、前記TV放送番組の音声とともに映像が出力された状態(第2の機能の動作がなされている状態)で高速道路の前記専用レーンを自動運転走行している車両の乗員が運転操作の態勢を整えつつ自動運転走行の終了操作を行うと、自動運転ECU11が自動運転制御を終了して、車両は自動運転走行の状態から手動運転走行の状態に移行する。これにより、車両は乗員の運転操作に従って走行を続ける。このとき、自動運転ECU11から自動運転終了信号が出力され、その自動運転終了信号により、処理ユニット10は、車両が自動運転走行の状態から手動運転走行の状態に復帰したと判定する(S20でYES)。
【0033】
すると、処理ユニット10は、表示ユニット21の表示内容をTV番組の映像(図6参照)から、例えば、図7に示すような自動運転終了画面(第2の情報)に切替える(S21)。この自動運転終了画面では、自動運転走行の終了メッセージ「これで自動運転モードを終了します。」及び自動運転走行前のAVソースへの切替えメッセージ「自動運転前のソースに切り替えます。」が表示される。このとき、TV放送番組の音声のスピーカ19からの出力は継続される。なお、当該音声出力を停止させることもできる。このような自動運転終了画面により、乗員は、手動運転走行の状態であることを確認するとともに、車載AV装置100におけるAVソースが、自動運転走行中に動作していたTVチューナ14から、自動運転前の手動運転走行時に選択されていたソースに切替えられ得ることを知ることができる。
【0034】
処理ユニット10は、前記自動運転終了画面(図7参照)を表示ユニット21に表示させると、記憶部12に前述した音声ソースの前記自動運転開始時点での動作状態を表す情報、即ち、オーディオ出力機能の前記自動運転開始時点での動作状態を表す情報(S15の処理参照)が記憶されているか否かを判定する(S22)。そして、記憶部12にその情報が記憶されていれば(S22でYES)、処理ユニット10は、記憶部12に記憶されたその情報に基づいて、オーディオ出力機能の前記自動運転開始時点での動作状態に復帰させ、その動作状態からオーディオ出力を続行させる(S23)。具体的には、処理ユニット10は、記憶部12に記憶された前記自動運転開始時点における音声出力に対応するオーディオ情報の再生位置を特定する情報及びそのオーディオ情報に対応づけられた前記楽曲に関する情報の保存場所を特定する情報(例えば、HDD17のアドレス)に基づいて、前記自動運転開始時点における前記楽曲の再生及び音楽再生画面(図3参照)の出力状態に復帰させる。そして、その状態からHDD17に記憶されたオーディオ情報に基づいた楽曲の音声出力及び前記楽曲に関する情報に基づいた音楽再生画面の表示が続行される。これにより、乗員は、特に操作を行うことなく、自動運転走行に切替わる前の手動運転走行時に出力されていた楽曲を継続して聴くことができるようになる。
【0035】
その後、処理ユニット10は、記憶部12に記憶されたオーディオ出力機能の前記自動運転開始時点での動作状態を表す情報を削除し(S21)、以後、自動運転ECU11からの出力に基づいて車両が自動運転走行の状態になったか否かを繰り返し判定する(図2AにおけるS10)。一方、記憶部12にオーディオ出力機能の前記自動運転開始時点での動作状態を表す情報が記憶されていなければ(S22でNO)、処理ユニット10は、更に、音声出力と映像表示とがなされている状態であるか否か、例えば、TVチューナ14が選択されてその放送番組の映像が表示ユニット21に表示されるとともに放送番組の音声がスピーカ19から出力されている状態であるか否かを判定する(S25)。そして、音声出力と映像表示とがなされている場合には(S25でYES)、処理ユニット10は、映像出力機能の動作を規制(禁止)する(S26)。その結果、例えば、TVチューナ14が動作している場合、放送番組の映像の表示がなされなくなり、放送番組の音声だけが出力される状態となる。
【0036】
一方、音声出力と映像表示とがなされている状態でなければ(S25でNO)、具体的には、選択されたAVソースからのオーディオ情報に基づいた音声出力がなされていると、処理ユニット10は、現在選択されているAVソースである音声ソースをそのまま動作させつつ、自動運転ECU11からの出力に基づいて車両が自動運転走行の状態になったか否かを繰り返し判定する(図2AにおけるS10)状態に移行する。
【0037】
再び、車両が手動運転走行の状態から自動運転走行の状態になると(S10でYES)、処理ユニット10は、前述した処理(図2AにおけるS11〜S18、図2BにおけるS20〜S26)を再度実行する。
【0038】
なお、処理ユニット10は、手動運転走行になって(図2BにおけるS20でYES)、自動運転走行の状態になったか否かの判定動作(S10)に移行すると、表示ユニット21に表示される前記自動運転終了画面(図7参照)を所定の画面に切替える。
【0039】
前述したような車載AV装置100によれば、車両が手動運転走行の状態にあっては、AV機能のうちの所定機能、例えば、映像(動画像)出力機能の動作が規制される一方、当該車両が自動運転走行の状態であるときには、前記映像出力機能の動作を規制することとなく、種々のAV機能を動作させることができるようになるので、手動運転走行時には安全性が考慮されたうえでのAV機能の動作が可能になるとともに、自動運転走行時には規制のないAV機能の動作が可能になる。よって、手動運転走行及び自動運転走行のいずれの走行時にあっても、適切なAV機能についての動作が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上、説明したように、本発明に係る車載AV装置は、手動運転走行及び自動運転走行のいずれの走行時にあっても、適切なAV機能についての動作が可能となるという効果を有し、手動運転走行と自動運転走行とが可能な車両に搭載され、オーディオに係る機能及び映像に係る機構を含むAV機能を有する車載AV装置として有用である。
【符号の説明】
【0041】
10 処理ユニット
11 自動運転ECU
12 記憶部
13 DVD・CDプレイヤ
14 TVチューナ
15 ラジオチューナ
16 SDスロット
17 HDD
18 音声出力回路
19 スピーカ
20 画像出力回路
21 表示ユニット
100 車載AV装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の運転操作により走行のなされる手動運転走行と、乗員の運転操作によらずに走行のなされる自動運転走行とが可能な車両に搭載され、オーディオに係る機能及び映像に係る機能を含むAV機能を有する車載AV装置であって、
前記手動運転走行時に前記AV機能のうちの所定機能についての動作を規制する動作規制制御手段と、
当該車両が前記自動運転走行の状態になったか否かを判定する自動運転判定手段と、
当該車両が前記自動運転走行の状態になったとの前記自動運転判定手段による判定に応答して、前記所定機能の動作についての規制を解除した状態で前記AV機能の動作を可能にする制御手段とを有する車載AV装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記AV機能のメニューを表示部に表示させるメニュー表示制御手段を有し、
前記所定機能についての動作を規制することなく、前記表示部に表示されたメニューから選択された機能についての動作を可能にする請求項1記載の車載AV装置。
【請求項3】
前記メニュー表示制御手段は、前記手動運転走行中にオーディオに係る機能の動作がなされている状態で当該車両が前記自動運転走行の状態になったとの判定が前記自動運転判定手段にてなされたときに、前記AV機能のメニューを前記表示部に表示させる請求項2記載の車載AV装置。
【請求項4】
前記手動運転走行中にオーディオに係る機能の動作がなされている状態で当該車両が前記自動運転走行の状態になったとの判定が前記自動運転判定手段にてなされたときに、前記オーディオに係る機能の動作状態を記憶手段に記憶させる動作状態保存制御手段と、
前記手動運転走行中に規制される映像に係る機能の動作がなされている状態で自動運転走行が終了したときに、前記記憶手段に記憶された前記オーディオに係る機能の前記動作状態に復帰させる機能復帰制御手段とを有する請求項1乃至3のいずれかに記載の車載AV装置。
【請求項5】
当該車両が前記自動運転走行の状態になったとの判定が前記自動運転判定手段にてなされたときに、第1の情報を出力する第1情報出力手段と、
当該車両が前記自動運転走行の状態から前記手動運転走行の状態に復帰するときに、第2の情報を出力する第2情報出力手段とを有する請求項1乃至4のいずれかに記載の車載AV装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−16385(P2011−16385A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160422(P2009−160422)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】