説明

車輪回転角度検出装置

【課題】ABS信号を用いて、車輪回転角度を高精度で検出する。
【解決手段】車輪一回転につきN周期の正弦波状の波形を有するABS信号を用いて、車輪回転角度を検出する。車輪回転角度検出装置は、角度信号生成部を有する演算器を具え、該角度信号生成部は、ABS信号を時間について微分したABS微分信号を生成するステップと、ABS信号を振幅中心を閾値として2値化し、その2値化信号のエッジパルスである角度信号P1、P2を生成するステップと、前記ABS微分信号を振幅中心を閾値として2値化し、その2値化信号のエッジパルスである角度信号P3、P4を生成するステップとを行うことにより、一周期の波形毎に前記4つの角度信号P1〜P4を含む角度信号Pを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ABS(アンチロックブレーキシステム)を有する車両において、そのABS信号を利用して車輪回転角度を高精度で検出しうる車輪回転角度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タイヤのサイドウォール部に複数の歪センサをタイヤ周方向の異なる位置に取り付け、所定の車輪回転角度位置にてタイヤ歪を同時に測定することにより、それによって得たセンサ出力からタイヤに作用する前後力、横力、上下力等を推定する技術が、例えば下記の特許文献1、2などに提案されている。この技術では、車輪回転角度位置毎に推定式が異なるため、車輪回転角度を高精度で検出することが必要であり、そのためロータリエンコーダ等を別途車軸側に取り付けている。
【0003】
しかしロータリエンコーダ等を用いる場合、その取り付けのために専用治具を作成する必要があり又検出装置も大がかりになるため、コストや作業性に不利を招くとともに取り付けスペースなどに制約を受けるなど設計の自由度を低下させるという問題も生じる。
【0004】
そのため、ABSを有する車両において使用されているABS制御用のABS信号を利用して車輪回転角度を検出することが望まれる。
【0005】
ここでABS信号は、車輪の回転速度を検出する車輪速センサから出力される電圧信号であって、車輪一回転につきN周期の正弦波状の波形をなす。
【0006】
具体的には、前記車輪速センサには、一般に、車軸と一体回転可能に取り付くロータと、このロータに対向して取り付く磁気センサとが用いられている。前記ロータは、その外周に複数の歯部を形成したギヤー状、或いは外周面にN極、S極の複数の磁極部を交互に順次着磁させた円盤状をなす。又前記磁気センサは、前記ロータの回転により各前記歯部または磁極部が通過する際の磁束変化を検出し、正弦波状の電圧信号として出力する。
【0007】
従ってABS信号では、車輪一回転当たりの波形の周期Nは、前記ロータにおける歯部の形成数、または磁極部の対(N極、S極を一対とする。)の形成数と位置している。しかし前記ロータは小型小径であるため、前記歯部等の形成数には限界があり、従来においては48個程度に設定されている。即ち、ABS信号の波形の周期Nも48個程度である。従って、このABS信号を、そのまま車輪回転角度検出用の角度信号として用いた場合には、7.5度(=360度/48)毎の角度信号しか得ることができず、例えば2度以下、さらには1度以下の高精度で車輪回転角度を検出することが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−215180号公報
【特許文献2】特開2010−215178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、ABS信号を利用しながら、例えば2度以下、さらには1度以下の高精度で車輪回転角度を検出しうる車輪回転角度検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、車輪の回転速度を検出する車輪速センサから出力され、かつ車輪一回転につきN周期の正弦波状の波形をなすABS(アンチロックブレーキシステム)信号を用いて、車輪回転角度を検出する車輪回転角度検出装置であって、
(1)前記ABS信号を受け取る受信部、
(2)受け取ったABS信号を時間について微分することにより、前記ABS信号の波形よりも1/4周期の位相をずらした位相ずれ波形をなすABS微分信号を生成する微分信号生成ステップと、
前記ABS信号をその振幅中心を閾値として2値化し、該ABS信号の一周期の波形毎に前記2値化のエッジパルスの角度信号P1、P2を生成する第1の角度信号生成ステップと、
前記ABS微分信号をその振幅中心を閾値として2値化し、該ABS微分信号の一周期の波形毎に前記2値化のエッジパルスの角度信号P3、P4を生成する第2の角度信号生成ステップとを行い、これにより前記ABS信号の一周期の波形毎に、少なくとも前記4つの角度信号P1〜P4を含む角度信号Pを生成する角度信号生成部、および
(3)車輪一回転毎に前記角度信号Pをカウントすることにより車輪回転角度を検出する角度計算部
を有する演算器を具えることを特徴としている。
【0011】
また請求項2では、前記角度信号生成部は、
前記ABS微分信号の振幅中心を0として該ABS微分信号の絶対値からなる微分絶対値信号を作成する絶対値信号作成ステップと、
前記ABS微分値信号の波形頂点から1/8周期を位置ずれさせた位相位置における微分絶対値信号の値を閾値として微分絶対値信号を2値化し、該ABS微分信号の一周期の波形毎に前記2値化のエッジパルスの角度信号P5〜P8を生成する第3の角度信号生成ステップとを行い、
これにより前記角度信号生成部は、前記ABS信号の一周期の波形毎に、前記8つの角度信号P1〜P8からなる角度信号Pを生成することを特徴としている。
【0012】
また請求項3では、前記角度信号生成部は、前記ABS微分信号と、車輪の回転速度に応じた係数とを積算することにより、前記ABS微分信号を、車輪の回転速度によって変動しない一定振幅のABS微分信号に変換する定振幅演算ステップを含み、この一定振幅のABS微分信号を用いて、前記第2の角度信号生成ステップ、および第3の角度信号生成ステップが行われることを特徴としている。
【0013】
また請求項4では、タイヤ又はホイールに取り付き該タイヤ又はホイールと一体回転する反射板と、この反射板を検出することにより車輪一回転毎の回転基準位置を設定する光センサとからなる回転基準位置設定手段を具えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車輪回転角度検出装置は、叙上の如く構成しているため、ABS信号から、このABS信号の一周期の波形毎に、1/4周期ずつ位相を違えた4つの角度信号P1〜P4を含む角度信号Pを生成することができる。従って、ABS信号をそのまま車輪回転角度検出用の角度信号として用いた場合に比して、角度検出の分解能を4倍以上に高めることができる。即ち、ABS信号が、例えば車輪一回転当たり48周期の正弦波状波形をなす場合、車輪回転角度を少なくとも1.875度(=7.5度/4)以下の分解能にて高精度で検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の車輪回転角度検出装置を示す概念図である。
【図2】角度信号生成部における処理のフローチャートである。
【図3】ABS信号のグラフである。
【図4】ABS信号とABS微分信号との位相のズレを示すグラフである。
【図5】(A)は第1の角度信号生成ステップによる角度信号P1、P2の生成を示す説明図であり、(B)は第2の角度信号生成ステップによる角度信号P3、P4の生成を示す説明図である。
【図6】角度信号P1〜P8の位相を示すグラフである。
【図7】(A)はABS信号の振幅と車輪の回転角度との関係を示すグラフ、(B)は、ABS微分信号の振幅と車輪の回転角度との関係を示すグラフである。
【図8】第3の角度信号生成ステップによる角度信号P5〜P8の生成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の車輪回転角度検出装置1を示す概念図であり、前記車輪回転角度検出装置1は、ABS信号を受け取る受信部2と、受け取ったABS信号からその一周期の波形毎に角度信号P1〜P4を含む角度信号Pを生成する角度信号生成部3と、車輪一回転毎に前記角度信号Pをカウントすることにより車輪回転角度を検出する角度計算部4とを有する演算器5を具える。
【0017】
又前記車輪回転角度検出装置1には、車輪一回転毎の回転基準位置Qoを設定する回転基準位置設定手段9がさらに設けられるとともに、前記演算器5には、前記回転基準位置設定手段9からの信号から、車輪一回転毎の回転基準信号を生成して前記角度計算部4に送る回転基準位置信号生成部10が付設されている。
【0018】
本例の回転基準位置設定手段9は、タイヤTa又はホイールTbに取り付き該タイヤTa又はホイールTbと一体回転する反射板7と、この反射板7を検出することにより車輪一回転毎の回転基準位置Qoを設定する光センサ8とから構成される。前記反射板7としては、タイヤTa(又はホイールTb)に貼り付けるシール状体、及びタイヤTa(又はホイールTb)に直接塗布されるインク等の印刷体を含むことができる。又光センサ8は、例えば光反射型センサであって、前記反射板7が光センサ8下を通過するのを検出するとともに、その検出時を車輪一回転毎の回転基準位置Qoとして設定する。
【0019】
又前記ABS信号は、前述した如く、車輪Tの回転速度を検出する車輪速センサ6から出力される電圧信号であって、例えば図3に示すように、車輪一回転につきN周期、本例では48周期で振幅する正弦波状の波形として出力される。前記車輪速センサ6としては、従来のものが好適に使用できる。
【0020】
次に、前記演算器5は、演算処理プログラムが書き込まれた演算処理可能な集積回路、又は前記集積回路を組み込んだ電子回路基板、又は前記電子回路基板を組み込んだ演算処理装置などであって、前記受信部2と、角度信号生成部3と、角度計算部4と、回転基準位置信号生成部10とを含んで構成される。
【0021】
なお前記受信部2は、前記車輪速センサ6からのABS信号を受け取り、一時的に記憶する。
【0022】
又前記角度信号生成部3は、図2にそのフローチャートを示すように、
(ア)受け取ったABS信号を時間tについて微分することにより、前記ABS信号の波形よりも1/4周期の位相をずらした位相ずれ波形をなすABS微分信号を生成する微分信号生成ステップと、
(イ) 前記ABS信号をその振幅中心を閾値として2値化し、該ABS信号の一周期の波形毎に前記2値化のエッジパルスの角度信号P1、P2を生成する第1の角度信号生成ステップと、
(ウ) 前記ABS微分信号をその振幅中心を閾値として2値化し、該ABS微分信号の一周期の波形毎に前記2値化のエッジパルスの角度信号P3、P4を生成する第2の角度信号生成ステップとを行う。
【0023】
本例では、前記角度信号生成部3は、さらに、
(エ) 前記ABS微分信号の振幅中心を0として該ABS微分信号の絶対値からなる微分絶対値信号を作成する絶対値信号作成ステップと、
(オ) 前記ABS微分値信号の波形頂点から1/8周期を位置ずれさせた位相位置における微分絶対値信号の値を閾値として微分絶対値信号を2値化し、該ABS微分信号の一周期の波形毎に前記2値化のエッジパルスの角度信号P5〜P8を生成する第3の角度信号生成ステップとを行う。
【0024】
これにより本例の角度信号生成部3では、前記ABS信号の一周期の波形毎に、1/8周期ずつ位相を違えた8つの角度信号P1〜P8からなる角度信号Pを生成でき、ABS信号をそのまま角度信号として用いた場合に比して、角度検出の分解能を8倍に高めることができる。
【0025】
前記微分信号生成ステップでは、前記ABS信号を時間tについて微分することにより、ABS微分信号を生成する。
【0026】
ここで、前記ABS信号は、車輪一回転につきN周期で振幅する正弦波状の波形をなし、ABS信号Vabsは、下記式(1)にて近似できる。
abs=A×SIN(ωt+θ)+B −−−(1)
A:ABS信号の振幅
B:ABS信号のシフト値
ω:角速度(ω=2×π×f)
t:時間
θ:位相
f:周波数
なお前記図3では、ABS信号は、該ABS信号から前記シフト値Bを減算することによって振幅中心Voを0に補正した補正波形として示されており、簡略化のために、本明細書では、ABS信号の波形、ABS微分信号の波形、微分絶対値信号の波形は、それぞれ各波形の振幅中心Voを0に補正した補正波形にて図示されている。
【0027】
そして、前記式(1)に示すABS信号Vabsを時間tについて微分することにより、下記の微分式(2)で示されるABS微分信号(dVabs/dt)を得ることができる。
dVabs/dt=A×ω×COS(ωt+θ)
=A×ω×SIN(ωt+θ+π/2)−−−(2)
【0028】
図4にABS信号の波形と、ABS微分信号の波形とを略示するように、ABS微分信号の波形は、ABS信号の波形よりもπ/2、即ち1/4周期の位相をずらした位相ずれ波形をなすことがわかる。
【0029】
次に、第1の角度信号生成ステップでは、前記ABS信号から、その一周期の波形毎に角度信号P1、P2を生成する。具体的には、図5(A)に示すように、ABS信号を、その振幅中心Voを閾値として2値化し、方形波状の2値化信号をうる。そしてこの2値化信号から、その立ち上がり及び立ち下がりであるエッジの位置を夫々検出し、このエッジの位置に同期してパルス信号を発生させることにより、このパルス信号である2値化のエッジパルスを、角度信号P1、P2として生成させる。
【0030】
又前記第2の角度信号生成ステップでは、前記ABS微分信号から、その一周期の波形毎に角度信号P3、P4を生成する。具体的には、図5(B)に示すように、ABS微分信号を、その振幅中心Voを閾値として2値化して、方形波状の2値化信号をうる。そしてこの2値化信号から、その立ち上がり及び立ち下がりであるエッジ位置を夫々検出し、このエッジ位置に同期してパルス信号を発生させることにより、このパルス信号である2値化のエッジパルスを、角度信号P3、P4として生成させる。
【0031】
前述の如く、前記ABS微分信号とABS信号Vabsとは、互いに1/4周期位相がずれている。そのため、図6に概念的に示すように、前記角度信号P1〜P4も、互いに1/4周期ずつ位相がずれた、即ち一周期を均等に4分割するパルス信号として形成される。
【0032】
ここで、前記ABS信号は、図7(A)に示すように、車輪の回転速度Vwに依存してその振幅Aが変動する特性を有し、又同様に前記ABS微分信号も、図7(B)に示すように、前記回転速度Vwに依存してその振幅A×ωが変動する特性を有する。そのため、前記ABS微分信号を、車輪の回転速度Vwを考慮せずに後述する第3の角度信号生成ステップを行った場合には、車輪の回転速度毎に周期が変わる結果、角度信号の誤差が大きくなって精度が低下するという問題が生じる。
【0033】
そこで前記角度信号生成部3において定振幅演算ステップを行い、前記ABS微分信号を、車輪の回転速度Vwによって変動しない一定振幅のABS微分信号に変換する。そして、この一定振幅のABS微分信号を用いて、第3の角度信号生成ステップを行う。なお本例では、前記第2の角度信号生成ステップにおけるABS微分信号にも、前記一定振幅のABS微分信号を用いている。
【0034】
前記定振幅演算ステップは、前記ABS微分信号と、車輪の回転速度Vwに応じた係数Kとを積算することにより、ABS微分信号の振幅A×ωを一定化する。具体的には、前記振幅A×ωの逆数1/(A×ω)を求め、この逆数1/(A×ω)を前記係数Kとして前記ABS微分信号に積算する。前記振幅A×ωは、前記図7(B)に示すように、回転速度Vwに対して略線形の関係を有し、従って、前記振幅A×ωは、下記式(3)のように、回転速度Vwの一次式で近似させることができる。式中のa、bは定数であり、事前テストにより予め求めることができる。
A×ω=a×Vw+b −−−(3)
【0035】
従って、前記式(3)によって求まる振幅A×ωの逆数Kを、ABS微分信号の値に掛けることにより、回転速度Vwによって変動しない一定振幅のABS微分信号に変換することができる。
【0036】
次に、前記一定振幅のABS微分信号に対して、絶対値信号作成ステップの処理を行う。この絶対値信号作成ステップでは、図8に示すように、前記一定振幅のABS微分信号の振幅中心Voを0として該一定振幅のABS微分信号の絶対値からなる微分絶対値信号を作成する。
【0037】
又第3の角度信号生成ステップでは、同図に示すように、前記ABS微分値信号の波形頂点Jから1/8周期を位置ずれさせた位相位置における微分絶対値信号の値Mを閾値として前記微分絶対値信号を2値化し、これにより方形波状の2値化信号を求める。そしてこの2値化信号から、その立ち上がり及び立ち下がりであるエッジ位置を夫々検出し、このエッジ位置に同期してパルス信号を発生させることにより、このパルス信号である2値化のエッジパルスを、角度信号P5〜P8として生成させる。
【0038】
この角度信号P5〜P8は、前記図6に一点鎖線で示すように、前記角度信号P1〜P4に対して1/8周期ずつ位置ずれし、従って、前記角度信号P1〜P8は、互いに1/8周期ずつ位相ずれした、即ち、一周期を均等に8分割するパルス信号として形成される。
【0039】
次に、前記角度計算部4では、前記回転基準位置信号生成部10からの回転基準信号を受け、この回転基準信号から角度信号Pのカウントを開始する。即ち、車輪一回転毎に前記角度信号Pをカウントすることができ、前記回転基準位置Qoからの車輪回転角度を検出しうる。なお前記回転基準信号は、それまでカウントした角度信号Pのカウント数をリセットするリセット信号としても機能する。
【0040】
このように本発明の車輪回転角度検出装置1は、角度信号生成部3による第1、第2の角度信号生成ステップにより、ABS信号の一周期当たり1/4周期ずつ均等に位相を違えた4つの角度信号P1〜P4を生成することができる。従って、ABS信号をそのまま車輪回転角度検出用の角度信号として用いた場合に比して、角度検出の分解能を4倍に高めることができる。即ち、ABS信号が、例えば車輪一回転当たり48周期の正弦波状波形をなす場合、分解能を1.875度に高めることができる。
【0041】
又本例のように、角度信号生成部3により第1〜第3の角度信号生成ステップをさらに行う場合には、ABS信号の一周期当たり1/8周期ずつ均等に位相を違えた8つの角度信号P1〜P8を生成することができる。従って、ABS信号をそのまま車輪回転角度検出用の角度信号として用いた場合に比して、角度検出の分解能を8倍に高めることができる。即ち、ABS信号が、例えば車輪一回転当たり48周期の正弦波状波形をなす場合、分解能を約0.94度に高めることができる。
【0042】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0043】
1 車輪回転角度検出装置
2 受信部
3 角度信号生成部
4 角度計算部
5 演算器
6 車輪速センサ
7 反射板
8 光センサ
9 回転基準位置設定手段
T 車輪
Ta タイヤ
Tb ホイール
Vw 回転速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の回転速度を検出する車輪速センサから出力され、かつ車輪一回転につきN周期の正弦波状の波形をなすABS(アンチロックブレーキシステム)信号を用いて、車輪回転角度を検出する車輪回転角度検出装置であって、
(1)前記ABS信号を受け取る受信部、
(2)受け取ったABS信号を時間について微分することにより、前記ABS信号の波形よりも1/4周期の位相をずらした位相ずれ波形をなすABS微分信号を生成する微分信号生成ステップと、
前記ABS信号をその振幅中心を閾値として2値化し、該ABS信号の一周期の波形毎に前記2値化のエッジパルスの角度信号P1、P2を生成する第1の角度信号生成ステップと、
前記ABS微分信号をその振幅中心を閾値として2値化し、該ABS微分信号の一周期の波形毎に前記2値化のエッジパルスの角度信号P3、P4を生成する第2の角度信号生成ステップとを行い、これにより前記ABS信号の一周期の波形毎に、少なくとも前記4つの角度信号P1〜P4を含む角度信号Pを生成する角度信号生成部、および
(3)車輪一回転毎に前記角度信号Pをカウントすることにより車輪回転角度を検出する角度計算部
を有する演算器を具えることを特徴とする車輪回転角度検出装置。
【請求項2】
前記角度信号生成部は、
前記ABS微分信号の振幅中心を0として該ABS微分信号の絶対値からなる微分絶対値信号を作成する絶対値信号作成ステップと、
前記ABS微分値信号の波形頂点から1/8周期を位置ずれさせた位相位置における微分絶対値信号の値を閾値として微分絶対値信号を2値化し、該ABS微分信号の一周期の波形毎に前記2値化のエッジパルスの角度信号P5〜P8を生成する第3の角度信号生成ステップとを行い、
これにより前記角度信号生成部は、前記ABS信号の一周期の波形毎に、前記8つの角度信号P1〜P8からなる角度信号Pを生成することを特徴とする請求項1記載の車輪回転角度検出装置。
【請求項3】
前記角度信号生成部は、前記ABS微分信号と、車輪の回転速度に応じた係数とを積算することにより、前記ABS微分信号を、車輪の回転速度によって変動しない一定振幅のABS微分信号に変換する定振幅演算ステップを含み、この一定振幅のABS微分信号を用いて、前記第2の角度信号生成ステップ、および第3の角度信号生成ステップが行われることを特徴とする請求項2記載の車輪回転角度検出装置。
【請求項4】
タイヤ又はホイールに取り付き該タイヤ又はホイールと一体回転する反射板と、この反射板を検出することにより車輪一回転毎の回転基準位置を設定する光センサとからなる回転基準位置設定手段を具えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車輪回転角度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−108901(P2013−108901A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255312(P2011−255312)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】