説明

軟質回路用の耐応力性マイクロ・ビア構造

【課題】信頼性の高い金属インタコネクト接続を提供する。
【解決手段】複数のビア(24)が、ポリイミド軟質層(22)及び接着剤層(23)を通過して、各ダイ・パッド(14)に対応して形成されている。複数の金属インタコネクト(28)がポリイミド軟質層(22)の上に形成されており、各々の金属インタコネクト(28)が、ポリイミド軟質層(22)の上面(30)の一部を被覆する被覆パッド(31)と、被覆パッド(31)から下方にビア(24)の周辺に沿ってビア(24)を通過して延在する側壁(36)と、側壁(36)に接続されて、それぞれのダイ・パッド(14)との電気的接続を形成する底面(34)とを有している。底面(34)及び側壁(36)の各々が、接着剤層(23)の厚みに等しい又はこれよりも大きい厚みを有するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の各実施形態は一般的には、チップ・パッケージに関し、さらに具体的には、誘電層及び接着剤層を通過して電子チップのダイ・パッドまで下降するように形成されたビアであって、増大した厚みを有する耐応力性金属インタコネクトが内部に形成されたビアを有するチップ・パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)チップのパッケージング技術の進歩は、よりよい性能、さらなる小型化、及びさらに高い信頼性を達成することに対する増大し続ける必要性によって推進されている。ベア・チップのような殆どの半導体デバイスは、入出力(I/O)接続を設けるようにデバイスの上面又は作用面に配置された電気接点パッド又は「ダイ・パッド」を有する。埋め込みチップ構築法(ECBU)のようなICチップの第一のパッケージング技術は一般的には、第一の誘電層(例えばポリイミドフィルム)をチップ上面に施工し、チップ表面のダイ・パッドに当接するようなビアを誘電層に形成し、次いで、ビアに沿ってダイ・パッドまで金属インタコネクトを形成すると共に誘電層の上面のビア開口の周辺に金属被覆パッドを形成する。歩留まり及び信頼性の問題のため、金属化被覆パッドは一般的には、ビアの開口を超えて延在している。インタコネクトにこのレベルを加えることにより各々のチップの周辺ボンディング・パッドを再分配して、チップの表面全体にわたって均等に配置された金属パッドの面アレイとする。続いて、デバイスを応用回路基板に接続するのに用いられるはんだ球又ははんだバンプが、これらの金属パッドの上に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6239482号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IC/チップ・パッケージに対する作用目的が拡大し続けるにつれて、チップ表面のダイ・パッドの数が増大し、またパッドのピッチ(すなわち隣り合うダイ・パッドの中心間距離)が小さくなって50マイクロメートル以下等になっている。これにより、デバイスへのビア・インタコネクトに利用することのできる空間が小さくなり、相対的に小さいビア(すなわち相対的に小径のビア)を用いざるを得ない。しばしば、高周波層同士の間のインピーダンス要件又はパターン・オーバレイの整列に必要とされる寸法厳密性の何れかのため、チップに施工される誘電層の厚みを小さくすることはできない。すると、ビアの径は小さくなるが、誘電層を通過して延在するビアの高さ/厚みはある程度一定に留まり、これにより、アスペクト比(すなわち高さ対径の比)が増大したビアが得られる。しかしながら、小径のビアほど電気めっき時に金属を充填するのが困難であり、またかかるビアの内部に存在する金属の合計容積は、所与の厚みについては相対的に大きいビアに比較して小さくなり得る。すなわち、誘電層の上面のビア開口の周りの金属被覆パッドは所与の厚みを有し得るが、小径のビアの内部に存在する金属の厚みが、相対的な小径及び増大したアスペクト比に基づいてこの所与の厚みよりも小さくなる場合があり、従って、ビアにおける金属容積が望ましい容積よりも少なくなる。
【0005】
縮小径を有するビアに存在する金属の容積がこのように減少すると、金属インタコネクトに耐久性の問題が起こり得る。すなわち、熱サイクル信頼性試験時に、ビアの金属と周囲の誘電材料との間の熱膨張率(CTE)の不一致による応力のため、遂には金属疲労及び亀裂が生じ、金属インタコネクトの損失/故障を招く。このことは、疲労を最低限にするために存在する合計金属が少なければさらに速やかに生ずる。
【0006】
従って、チップ表面のダイ・パッドへの信頼性の高い金属インタコネクト接続を提供するチップ・パッケージングのシステム及び方法が必要とされている。さらに、特に径が縮小しアスペクト比が増大したビアを含む高密度インタコネクト(HDI)ICパッケージにおいて、かかる金属インタコネクトが熱応力に起因する疲労に耐えるようにする必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の各実施形態は、チップ・パッケージ製造のシステム及び方法を提供することにより上述の欠点を克服し、これらのシステム及び方法では、ビアが誘電層及び接着剤層を通過して電子チップのダイ・パッドまで下降するように形成されており、ビアには、増大した厚みを有する耐応力性金属インタコネクトが内部に形成されている。
【0008】
本発明の一観点によれば、チップ・パッケージが、複数のダイ・パッドを上面に形成した電子チップと、電子チップの上に配置されたポリイミド軟質層とを含んでおり、ポリイミド軟質層は、各々がそれぞれのダイ・パッドに対応するような複数のビアを内部に形成している。このチップ・パッケージはまた、電子チップとポリイミド軟質層との間に付着させられた接着剤層と、ポリイミド軟質層の上に形成された複数の金属インタコネクトとを含んでおり、複数の金属インタコネクトの各々がさらに、ポリイミド軟質層の上面の一部を被覆する被覆パッドと、この被覆パッドから下方にビアの周辺に沿ってビアを通過して延在する側壁と、この側壁に接続されて、それぞれのダイ・パッドとの電気的接続を形成する底面とを含んでおり、底面及び側壁の各々の厚みは、接着剤層の厚みに等しいか又はこれよりも大きい。
【0009】
本発明のもう一つの観点によれば、チップ・パッケージを形成する方法が、集積回路(IC)を搭載すると共に複数のダイ・パッドを上面に形成したシリコン・ウェーハを提供するステップと、シリコン・ウェーハの上面に接着剤層を施工するステップと、接着剤層を介してシリコン・ウェーハを自立型ポリイミド軟質層に接着させるステップと、自立型ポリイミド軟質層及び接着剤層を通過する複数のビアであって、各々が複数のダイ・パッドのそれぞれまで延在しているような複数のビアを形成するステップとを含んでいる。この方法はまた、自立型ポリイミド軟質層の上に、複数の金属インタコネクトであって、各々がそれぞれのビアを通過して延在してそれぞれのダイ・パッドに電気的に接続しているような複数の金属インタコネクトを形成するステップを含んでおり、この複数の金属インタコネクトを形成するステップはさらに、接着剤層の厚みに基づいて望ましい金属インタコネクト厚みを決定するステップと、自立型ポリイミド軟質層の上で複数のビアの内部に、望ましい金属インタコネクト厚みを有する金属材料を付着させるステップと、望ましい厚みを有する複数の金属インタコネクトを形成するように金属材料にパターニング及びエッチングを施すステップとを含んでいる。
【0010】
本発明のさらにもう一つの観点によれば、チップ・パッケージが、複数のダイ・パッドを上面に形成したシリコン・ウェーハと、シリコン・ウェーハの上に付着させられた接着剤層と、接着剤層に固着された自立型誘電層とを含んでおり、自立型誘電層には、各々が接着剤層を通過して複数のダイ・パッドのそれぞれまで延在している複数のビアが当該自立型誘電層を通過して形成されている。このチップ・パッケージはまた、自立型ポリイミド軟質フィルムの上に形成された複数の金属インタコネクトを含んでおり、複数の金属インタコネクトの各々が、それぞれのビアを通過して延在してそれぞれのダイ・パッドとの電気的接続を形成している。複数の金属インタコネクトの各々はさらに、自立型ポリイミド軟質フィルムの上面の一部を被覆する被覆パッドと、それぞれのダイ・パッドとの電気的接続を形成する底面と、ビアの周辺に沿って被覆パッドと底面との間に延在する側壁とを含んでおり、底面及び側壁の各々が、接着剤層の厚みに等しい又はこれよりも大きい厚みを有するように構築されている。
【0011】
これらの利点及び特徴、並びに他の利点及び特徴は、添付図面に関連して掲げられている以下の本発明の好適実施形態の詳細な説明からさらに容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、本発明を実施するのに現状で思量される実施形態を示す。
【図1】本発明の各実施形態と共に用いるためのベア電子チップの上面平面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるベア電子チップに装着された貼り合わせ層を組み入れた電子チップ・パッケージの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による付加的な貼り合わせ層を組み入れた電子チップ・パッケージの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるビア径及び金属インタコネクト厚みを示す部分的な電子チップ・パッケージの断面図である。
【図5】本発明のもう一つの実施形態によるビア径及び金属インタコネクト厚みを示す部分的な電子チップ・パッケージの断面図である。
【図6A】金属インタコネクト故障率と、金属インタコネクト底面及び側壁厚みとの間の関係を示すグラフ図である。
【図6B】金属インタコネクト故障率と、金属インタコネクト底面及び側壁厚みとの間の関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の各実施形態は、チップ・パッケージを形成するシステム及び方法を提供する。このチップ・パッケージは、誘電層を通過して電子チップのダイ・パッドまで下降するように形成されたビアを含んでおり、ビアには、増大した厚みを有する耐応力性金属インタコネクトが内部に形成されている。
【0014】
図1には、本発明の各実施形態と共に用いられ得るベア電子チップ又はパッケージング前の電子チップ10の上面平面図が示されている。図示のように、ベア電子チップ10は、基材12(例えばシリコン・ウェーハ)と、基材12の上の複数のダイ・パッド14とを含んでいる。ダイ・パッド14は、多様な手法によって基材12の上に配置され得る。例えば、金属化法等を具現化してダイ・パッド14を基材12に付着させることができる。エッチング又はフォトリソグラフィのような代替的な手法を具現化してもよい。ダイ・パッド14は、例えばアルミニウム、銅、金、銀及びニッケル、又はこれらの組み合わせのような多様な材料を含む組成を有し得る。図1に示すように、ダイ・パッド14は互いに対して隔設されるようにして基材12の上に配列されている。このようなものとして、各々の連続したダイ・パッド14は間にピッチ16を有する。
【0015】
本発明の各実施形態は、図1に示すものとは異なる態様でダイ・パッドを配列したベア電子チップを用いてもよい。例えば、他のベア電子チップは、図1に示す単一のダイ・パッド14列ではなく多数の周辺ダイ・パッド列を有し得る。加えて、ダイ・パッドのアレイが基材の任意の領域に配置されているような半導体デバイスを用いてもよいし、1又は複数のダイ・パッド列が基材の中心領域にわたって全体的に配列されているような半導体デバイスを用いてもよい。さらに他の実施形態は、基材の周辺の全4辺よりも少ない辺に沿って配列されているダイ・パッドを有していてもよい。さらにまた、電子チップの実施形態は、ダイ・パッド同士の間の間隔が様々に配列されたダイ・パッドを含み得る。
【0016】
図2には、ベア電子チップ10を組み入れたチップ・パッケージ20(すなわち集積回路(IC)パッケージ)の側面図が示されている。チップ・パッケージ20を製造するときには、ポリイミド軟質層又は回路基板22のような自立型誘電層が、間に施工された接着剤層23を介してベア電子チップ10の上面に施工され、ベア電子チップ10が伏せた配向で、ダイ・アタッチ機構(図示されていない)又は何らかの類似手順を用いて接着剤層23に取り付けられる。ポリイミド軟質層22は、ベア電子チップ10の上に配置され得る貼り合わせシート又はフィルムの予備成形物の形態にある。例えば、ポリイミド軟質層22は、Kapton(登録商標)、Ultem(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又は液晶ポリマー(LCP)のような他のポリマー・フィルムで形成され得る。実施形態の一例によれば、接着剤層23は、エポキシ系誘電材料、エポキシ樹脂、光酸発生剤、酸化防止剤、及び光酸発生剤に対応する常温触媒で構成されており、製品の信頼性及び歩留まりを増進させる接着剤を提供している。接着剤層は、ポリイミド軟質層22と電子チップ10との間に適当な接着を提供する厚みを有するように形成され、例えば12マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲にある厚み等を有する。
【0017】
接着剤層23を介してベア電子チップ10にポリイミド軟質層22を施工したら、貼り合わせ層に複数のビア24が形成される。ビア24はレーザ焼灼法又はレーザ孔あけ法によって形成され、基材12に配置されたダイ・パッド14に対応する位置に形成される。このように、ポリイミド軟質層22でのビア24のレーザ孔あけによってダイ・パッド14が露出する。
【0018】
ビア24を形成したら、例えばスパッタリング法、電気めっき法、又はこれら二つの組み合わせを介して金属層/材料26がポリイミド軟質層22に付着させられる。次いで、付着した金属層/材料26を金属インタコネクト28として形成する。手法の一例では、ポリイミド軟質層22の上面30からビア24を通過して下方に延在する金属インタコネクト28が形成されるように、金属層/材料26にパターニング及びエッチングを施す。金属インタコネクト28はこのようにしてダイ・パッド14との電気的接続を形成する。この態様で、ポリイミド軟質層22は、ダイ・パッド14の配列を再分配するように作用する再分配層を形成し、この層は、電子チップ・パッケージ20の表面に分配されたインタコネクトの面アレイとなるように各々のベア電子チップ10の周辺の周りに配列され得る(図1に示すように)。
【0019】
図3に示すように、本発明の一実施形態によれば、チップ・パッケージ20の構築時には、1又は複数の付加的なポリイミド軟質層32が、関連する接着剤層23を介してポリイミド軟質層22に施工される。上述のステップと同様に、例えばレーザ焼灼法又はレーザ孔あけ法を介して複数のビア24が付加的なポリイミド軟質層32に形成される。付加的なポリイミド軟質層32の各々のビア24は、金属インタコネクト28のさらなる再分配を考慮に入れて、直下に配置されたポリイミド軟質層(例えばポリイミド軟質層22)に取り付けられた金属インタコネクト28に対応する位置に形成される。後にあらためて説明するように、次いで、金属インタコネクトが堆積(例えばスパッタリング又は電気めっき)工程、並びに引き続き行なわれるパターニング及びエッチング工程を介して付加的なポリイミド軟質層32の上に再び形成され、ビア24を通過して下方に延在して、直下に配置されたポリイミド軟質層22、32の上の金属インタコネクト28と電気的に接触するように、金属インタコネクト28を変形させる。
【0020】
図4及び図5には、本発明の各実施形態によるチップ・パッケージ20の一部の詳細図が示されている。図4及び図5に図示され記載されるチップ・パッケージ20の実施形態の各々では、金属インタコネクト28の厚みは、基材12とポリイミド軟質層22との間に施工される接着剤層23の厚みに依存している。すなわち、ビア24に形成される金属インタコネクト28と層23を形成する接着材料との間に熱膨張率(CTE)の大きい不一致が存在することが認められる。このCTEの大きい不一致は、金属インタコネクト28に応力を誘発し、遂には金属疲労及び亀裂を起こして金属インタコネクトの損失/故障を招き得る。従って、相対的に大きい百分率容積のビア24を充填する(又は完全にビアを充填する)増大した厚みを有する金属インタコネクト28を提供して、相対的に薄い金属インタコネクトに比較して高められた金属疲労及び亀裂に対する耐久性を提供することが望ましい。
【0021】
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるチップ・パッケージ20が掲げられており、このチップ・パッケージ20は、電子チップ10を固着させ得る自立型フィルムとして構築されるように25マイクロメートルの厚みtを有して形成されるポリイミド軟質層22を含んでいる。電子チップ10とポリイミド軟質層22との間に配置された接着剤層23は、ポリイミド軟質層22及び電子チップ10との間に適当な接着を提供するように、厚みtが約14マイクロメートルとなっている。従って、ポリイミド軟質層22及び接着剤層23を通過して形成されるビア24は、約39マイクロメートルの高さhを有する。
【0022】
金属インタコネクト28が、電気めっき法、並びに引き続き行なわれるパターニング及びエッチング等による金属層/材料の施工によって、ポリイミド軟質層22の上でビア24の内部に形成される。金属インタコネクト28は、ポリイミド軟質層22の上面30に形成される被覆パッド31と、ダイ・パッド14との電気的接続を形成する底面部34と、底面34から上方にビア24の周辺に沿ってポリイミド軟質層22の上面30まで延在する側壁36とを含むように形成される。図4の実施形態によれば、金属インタコネクト28の底面34及び側壁36は、金属インタコネクト28を形成する金属とポリイミド軟質層22及び接着剤23を形成する周囲材料との間のCTEの不一致から金属インタコネクトに加わる応力に基づいて生じ得る金属疲労及び亀裂に対して耐久性のある金属インタコネクト28を提供するように、14マイクロメートルの範囲の厚みtを有して形成される。すなわち、接着剤層23の厚みtが14マイクロメートルである場合に約39マイクロメートルの高さhを有するように形成されるビア24について、底面34及び側壁36の厚みtが14マイクロメートルである金属インタコネクト28は、熱サイクルに起因する故障に対する耐久性を高めて信頼性を高めた金属インタコネクトを提供する。
【0023】
図4に関し、基材12とポリイミド軟質層22との間に14マイクロメートルよりも大きい又は小さい厚みtを有する接着剤層23が設けられ得ることが認められる。一般的には、金属インタコネクト28の底面34及び側壁36の厚みtは、接着剤層23の厚みtに等しいか又はこれよりも大きいことが認められる。従って、例えば厚みtが16マイクロメートルの接着剤層23について、本発明の一実施形態によれば、厚みtが少なくとも16マイクロメートルである底面34及び側壁36を有する金属インタコネクト28が設けられる。厚みtが接着剤層23の厚みtに等しい又はこれよりも大きい底面34及び側壁36を有する金属インタコネクト28を設けると、信頼性が高く耐応力性の金属インタコネクト28が得られる。
【0024】
図5を参照すると、本発明のもう一つの実施形態によるチップ・パッケージ20が掲げられており、このチップ・パッケージ20は、電子チップ10を固着させ得る自立型フィルムとして構築されるように25マイクロメートルの厚みtを有するポリイミド軟質層22を含んでいる。電子チップ10とポリイミド軟質層22との間に配置された接着剤層23は、ポリイミド軟質層22と電子チップ10との間に適当な接着を提供するように、厚みtが約14マイクロメートルとなっている。従って、ポリイミド軟質層22及び接着剤層23を通過して形成されるビア24は、約39マイクロメートルの高さhを有する。
【0025】
図5の実施形態によれば、ポリイミド軟質層22の上面30に形成された被覆パッド31を「底面部」及び「側壁」と共に有する金属インタコネクト28が、ビア24を充填する(又は実質的に充填する)柱状インタコネクト38の形態で設けられている。多様な「中実ビアめっき」金属化手法を具現化して柱状インタコネクト38を作製することができ、この作製は、ビア金属の選択的パターンめっきを具現化することによりビア24に中実金属を形成することにより行なうこともできるし、差分的なエッチング速度及びめっき速度の機構を介して、金属のめっき及びエッチングを交互に行なうパルス式めっきを具現化して行なうこともできる。このように、柱状インタコネクト38は、ビア24が実質的に又は完全に充填され、これにより柱状インタコネクトを形成するのに十分な大きい厚みを有する「底面部」及び「側壁」を有する金属インタコネクト28と記述され得る。柱状インタコネクト38はビア24を充填しているので、「厚み」が接着剤層23の厚みtよりも大きく、従って、熱サイクルに起因する故障に対する耐久性を高めて信頼性を高めた金属インタコネクトを提供する。
【0026】
図4及び図5において記載される実施形態の各々について、ビア24の径d及びアスペクト比(高さ対径の比)が電気めっき法の際の金属インタコネクト28の形成に影響を与え得ることが認められる。ダイ・パッド14の間のピッチ16(図1)を減少させた高密度インタコネクト・チップ・パッケージでは、ダイ・パッド14に対応するビアの形成及びビアの間のピッチの最小化を考慮に入れるために、各々のビア24の径dも縮小されることが認められる。しかしながら、電子チップ10のダイ・パッド14への電気的接続を提供するためにビア24の径dを縮小することはできるが、高周波層同士の間のインピーダンス要件又はパターン・オーバレイの整列に必要とされる寸法厳密性の何れかのため、ポリイミド軟質層22の厚みtの縮小に関する限界が存在する(例えば最小のポリイミド軟質層の厚みが25マイクロメートル等)。従って、各々のビア24の径dを縮小すると、ビアのアスペクト比(すなわち高さ対径の比)が増大したビアが得られる。
【0027】
ビア24の径dの縮小及び高さ対径のアスペクト比の増大によって、電気めっきの際にビア24を金属で充填することがさらに困難になり、これにより金属インタコネクト28の各部分の厚みに不整合が生ずる。さらに明確に述べると、ビア24の径dの縮小及び高さ対径のアスペクト比の増大によって、被覆パッド31の厚みtが底面34及び側壁36の厚みtよりも大きくなり得る。例えば、図4に示すもののように、底面の径dを25マイクロメートルとし、高さが39マイクロメートルとして形成されたビア24について、電気めっきの際にビア24を金属で充填することの本質的な困難に基づいて、被覆パッド31の厚みtは8マイクロメートルとなり得るが、底面34及び側壁36の厚みtが約5.5マイクロメートルとなる場合がある。
【0028】
図4及び図5を続けて参照しながら図6(A)及び図6(B)を参照して述べると、金属インタコネクトの信頼性と底面34及び側壁36の厚みtとの間の関係が図示されており、同図ではビア・ストリング故障率軸40が底面/側壁厚み軸42に対してプロットされている。例として、図6(A)には、ビア・ストリング故障率が、25マイクロメートル径のビア、35マイクロメートル径のビア、及び45マイクロメートル径のビアを含めた複数のビア寸法での8マイクロメートル上面金属インタコネクトめっき(すなわち金属インタコネクトの被覆パッド31の厚み)について示されており、またビア・ストリング故障率は750サイクル、1000サイクル、及び1250サイクルの熱サイクルについて示されている。図6(A)に示すように、8マイクロメートル上面めっきによって形成される底面/側壁34、36の実際の厚みtはビア径に基づいて変化し、25マイクロメートルのビアの底面/側壁厚みは約5.6マイクロメートルとなり、35マイクロメートルのビアの底面/側壁厚みは約6.8マイクロメートルとなり、45マイクロメートルのビアの底面/側壁厚みは約7.7マイクロメートルとなる。
【0029】
図6(B)には、750サイクルの熱サイクルについてのビア・ストリング故障率が、25マイクロメートル径のビア、35マイクロメートル径のビア、及び45マイクロメートル径のビアを含めた複数のビア寸法での8マイクロメートル上面金属インタコネクトめっきについて、750サイクルの熱サイクルについて示されている。加えて、750サイクルの熱サイクルについてのビア・ストリング故障率が、25マイクロメートル径のビアの4マイクロメートル上面金属インタコネクトめっきについて示されている。図6(B)に示すように、8マイクロメートルめっきによって形成される底面/側壁34、36の実際の厚みtはビア径に基づいて変化し、25マイクロメートルのビアの底面/側壁厚みは約5.6マイクロメートルとなり、35マイクロメートルのビアの底面/側壁厚みは約6.8マイクロメートルとなり、45マイクロメートルのビアの底面/側壁厚みは約7.7マイクロメートルとなる。25マイクロメートルのビアの4マイクロメートルめっきについては、底面/側壁厚みは約2.9マイクロメートルとなる。
【0030】
図6(A)及び図6(B)に基づいて、ビア・ストリング故障率(すなわち金属インタコネクトの信頼性)は、金属インタコネクトの底面/側壁34/36の厚みtの関数であり、金属インタコネクトめっき厚み(すなわち被覆パッド31の厚みt)及びビア径とは独立であることが分かる。すなわち、金属インタコネクト28の被覆パッド31の厚みt及びビア24の径dは、金属インタコネクトの信頼性に影響を与えない。寧ろ、金属インタコネクト28の信頼性及び熱サイクルに起因する故障に対する耐久性を決定するのは、ビア24の内部での金属インタコネクト底面及び側壁34、36の厚みtであり、厚みtの望ましい値は接着剤層23の厚みtに基づいて決定される。
【0031】
このように、金属インタコネクト28を形成する際に、金属材料をポリイミド軟質層22の上でビア24の内部まで電気めっきするときに考慮されるのは、底面34及び側壁36の厚みtであることが認められる。熱サイクル時の金属インタコネクト28の信頼性は、ビア24の内部に存在する金属の合計容積(すなわち底面34及び側壁36厚みt)に依存するため、考慮されるのはポリイミド軟質層22の上面30に形成される被覆パッド31の厚みtではなく、接着剤層23の厚みtに対する底面34及び側壁36の厚みtである。従って、電気めっきの際には、望ましい厚みt(すなわち接着剤層23の厚みtに等しい又はこれよりも大きい厚みt)を有する金属インタコネクト28の底面34及び側壁36又は完全充填ビア24(すなわち柱状インタコネクト38)を形成するのに十分な量の金属材料26が施工され、また被覆パッド31の厚みtは底面34及び側壁36の厚みよりも大きくなり得ることが認められる。
【0032】
従って、本発明の一実施形態によれば、チップ・パッケージが、複数のダイ・パッドを上面に形成した電子チップと、電子チップの上に配置されたポリイミド軟質層とを含んでおり、ポリイミド軟質層は、各々がそれぞれのダイ・パッドに対応するような複数のビアを内部に形成している。このチップ・パッケージはまた、電子チップとポリイミド軟質層との間に付着させられた接着剤層と、ポリイミド軟質層の上に形成された複数の金属インタコネクトとを含んでおり、複数の金属インタコネクトの各々がさらに、ポリイミド軟質層の上面の一部を被覆する被覆パッドと、この被覆パッドから下方にビアの周辺に沿ってビアを通過して延在する側壁と、この側壁に接続されて、それぞれのダイ・パッドとの電気的接続を形成する底面とを含んでおり、底面及び側壁の各々の厚みは、接着剤層の厚みに等しいか又はこれよりも大きい。
【0033】
本発明のもう一つの実施形態によれば、チップ・パッケージを形成する方法が、集積回路(IC)を搭載すると共に複数のダイ・パッドを上面に形成したシリコン・ウェーハを提供するステップと、シリコン・ウェーハの上面に接着剤層を施工するステップと、接着剤層を介してシリコン・ウェーハを自立型ポリイミド軟質層に接着させるステップと、自立型ポリイミド軟質層及び接着剤層を通過する複数のビアであって、各々が複数のダイ・パッドのそれぞれまで延在しているような複数のビアを形成するステップとを含んでいる。この方法はまた、自立型ポリイミド軟質層の上に、複数の金属インタコネクトであって、各々がそれぞれのビアを通過して延在してそれぞれのダイ・パッドに電気的に接続しているような複数の金属インタコネクトを形成するステップを含んでおり、この複数の金属インタコネクトを形成するステップはさらに、接着剤層の厚みに基づいて望ましい金属インタコネクト厚みを決定するステップと、自立型ポリイミド軟質層の上で複数のビアの内部に、望ましい金属インタコネクト厚みを有する金属材料を付着させるステップと、望ましい厚みを有する複数の金属インタコネクトを形成するように金属材料にパターニング及びエッチングを施すステップとを含んでいる。
【0034】
本発明のさらにもう一つの実施形態によれば、チップ・パッケージが、複数のダイ・パッドを上面に形成したシリコン・ウェーハと、シリコン・ウェーハの上に付着させられた接着剤層と、接着剤層に固着された自立型誘電層とを含んでおり、自立型誘電層には、各々が接着剤層を通過して複数のダイ・パッドのそれぞれまで延在している複数のビアが当該自立型誘電層を通過して形成されている。このチップ・パッケージはまた、自立型ポリイミド軟質フィルムの上に形成された複数の金属インタコネクトを含んでおり、複数の金属インタコネクトの各々が、それぞれのビアを通過して延在してそれぞれのダイ・パッドとの電気的接続を形成している。複数の金属インタコネクトの各々はさらに、自立型ポリイミド軟質フィルムの上面の一部を被覆する被覆パッドと、それぞれのダイ・パッドとの電気的接続を形成する底面と、ビアの周辺に沿って被覆パッドと底面との間に延在する側壁とを含んでおり、底面及び側壁の各々が、接着剤層の厚みに等しい又はこれよりも大きい厚みを有するように構築されている。
【0035】
発明を限定された数の実施形態にのみ関連して詳細に記載したが、本発明はかかる開示された実施形態に限定されないことが容易に理解されよう。寧ろ、本発明は、本書では記載されていないが発明の要旨及び範囲に沿った任意の数の変形、変更、置換又は均等構成を組み入れるように改変され得る。加えて、発明の様々な実施形態について記載したが、発明の各観点は所載の実施形態の幾つかのみを含み得ることを理解されたい。従って、本発明は、以上の記載によって制限されるのではなく、特許請求の範囲によってのみ制限されるものとする。
【符号の説明】
【0036】
10 ベア電子チップ又はパッケージング前の電子チップ
12 基材
14 複数のダイ・パッド
16 ピッチ
20 チップ・パッケージ
22 ポリイミド軟質層又は回路基板
23 接着剤層
24 複数のビア
26 金属層/材料
28 金属インタコネクト
30 上面
31 被覆パッド
32 付加的なポリイミド軟質層
34 底面部
36 側壁
38 柱状インタコネクト
40 ビア・ストリング故障率軸
42 底面/側壁厚み軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のダイ・パッド(14)を上面に形成した電子チップ(10)と、
該電子チップ(10)の上に配置されたポリイミド軟質層(22)であって、各々がそれぞれのダイ・パッド(14)に対応するような複数のビア(24)を内部に形成したポリイミド軟質層(22)と、
前記電子チップ(10)と前記ポリイミド軟質層(22)との間に付着させられた接着剤層(23)と、
前記ポリイミド軟質層(22)の上に形成された複数の金属インタコネクト(28)と
を備えたチップ・パッケージ(20)であって、前記複数の金属インタコネクト(28)の各々が、
前記ポリイミド軟質層(22)の上面(30)の一部を被覆する被覆パッド(31)と、
該被覆パッド(31)から下方に前記ビア(24)の周辺に沿って前記ビア(24)を通過して延在する側壁(36)と、
該側壁(36)に接続されて、それぞれのダイ・パッド(14)との電気的接続を形成する底面(34)と
を含んでおり、
前記底面及び前記側壁の各々の厚みが前記接着剤層(23)の厚みに等しいか又はこれよりも大きい、
チップ・パッケージ(20)。
【請求項2】
前記底面(34)及び前記側壁(36)の各々の厚みは、それぞれのビア(24)の容積が前記金属インタコネクト(28)により充填されるような厚みである、請求項1に記載のチップ・パッケージ(20)。
【請求項3】
前記金属インタコネクト(28)は柱状インタコネクト(38)を含んでいる、請求項2に記載のチップ・パッケージ(20)。
【請求項4】
前記ポリイミド軟質層(22)は、前記電子チップ(10)を支持するように構成されている自立型フィルムを含んでいる、請求項1に記載のチップ・パッケージ(20)。
【請求項5】
前記接着剤層(23)の組成は、エポキシ系誘電材料と、エポキシ樹脂と、光酸発生剤と、酸化防止剤と、前記光酸発生剤に対応する常温触媒とを含んでいる、請求項1に記載のチップ・パッケージ(20)。
【請求項6】
前記接着剤層(23)の前記厚みは12マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲にある、請求項1に記載のチップ・パッケージ(20)。
【請求項7】
前記複数のビア(24)の各々の径は45マイクロメートル未満である、請求項1に記載のチップ・パッケージ(20)。
【請求項8】
前記被覆パッド(31)の厚みは前記底面(34)及び前記側壁(36)の厚みよりも大きい、請求項7に記載のチップ・パッケージ(20)。
【請求項9】
前記複数の金属インタコネクト(28)は、電気めっき法により前記ポリイミド軟質層(22)の上に形成される、請求項1に記載のチップ・パッケージ(20)。
【請求項10】
前記電子チップ(10)は、伏せた配向で前記接着剤層(23)を介して前記ポリイミド軟質層(22)に接着される、請求項1に記載のチップ・パッケージ(20)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2011−181923(P2011−181923A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36498(P2011−36498)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】