転がり軸受
【課題】、両抱きタイプの保持器を玉ガイド構成として保持器の外周面と外輪の内周面との間に潤滑オイルが流れることのできる隙間を確実に確保して、転がり軸受の攪拌損失の低減を図る。
【解決手段】両抱きタイプの保持器30を有する深溝玉軸受10において、内輪14と外輪20との間で前記保持器30を径方向に対して位置決めする構成を、前記保持器30の四角形状孔のポケット部32の軸方向内壁面のみに径方向外径側位置と内径側位置の両方に凸部形状40A,40Bを形成して、保持器30が玉24に対して径方向に相対移動できない係合とする玉ガイド形状構成として、保持器30の外周面30aと外輪20の内周面20Aとの間に隙間Sを形成する。
【解決手段】両抱きタイプの保持器30を有する深溝玉軸受10において、内輪14と外輪20との間で前記保持器30を径方向に対して位置決めする構成を、前記保持器30の四角形状孔のポケット部32の軸方向内壁面のみに径方向外径側位置と内径側位置の両方に凸部形状40A,40Bを形成して、保持器30が玉24に対して径方向に相対移動できない係合とする玉ガイド形状構成として、保持器30の外周面30aと外輪20の内周面20Aとの間に隙間Sを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受に関する。特に、深溝玉軸受に関し、その内輪と外輪との間に配設される玉を保持する樹脂製の保持器の内輪と外輪との間における径方向の配置位置を決めるガイド構成に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、転がり軸受としての深溝玉軸受50の一般的構成は、外周面60Aに深溝の内輪軌道60aを有する内輪60と、内周面70Aに深溝の外輪軌道70aを有する外輪70と、該内輪60の内輪軌道60aと外輪70の外輪軌道70aとの間の円周上に配設される複数個の玉80と、内輪60と外輪70との間にあって前記玉80を保持する保持器84とから成っている。
保持器84は、図8に示すように、樹脂製で形成されており、通常は、玉80を片抱きタイプの構成で保持している。この片抱きタイプの保持器84は、玉80を片抱きしている構成であることと、樹脂製で形成されていること等が相俟って剛性が低いため、高速回転での使用時には遠心力の影響により、保持器84における玉80を保持するポケット形状の先端部84aが変形しやすく、このため、玉80と保持器84とが干渉し、トルク増や、焼付き等が発生する懸念があるという問題がある。
この問題の対応のため、図9から図11に示される両抱きタイプの保持器86が用いられることがある。この両抱きタイプの保持器86は、軸方向に分割して形成された分割部材86A、86Bを組み合わせることにより構成される。このため、両抱きタイプの保持器86では、玉80を保持するポケット形状の変形が防止され、片抱きタイプにおける問題を解消することができる。なお、両抱きタイプの保持器86においては、図10に良く示されるように、玉80が介在されるポケット部82の形状は、通常、略四角形状孔とされている。
【特許文献1】特開2006−292097号公報
【特許文献2】特開2007−113592号公報
【特許文献3】特開平7−4439号公報
【特許文献4】特開平8−277842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した両抱きタイプの保持器86は、玉80を保持する四角形状孔のポケット部87の内部空間が大きく形成され、また、保持器86の径方向に対する位置決めが外輪ガイドとなる構成であるため、保持器86のポケット部内部に潤滑オイルが溜まり易く、このため、攪拌損失が大きくなるという問題がある。
なお、保持器86の径方向に対する位置決めが外輪ガイドとなる構成とは、保持器86の外周面が外輪70の内周面70Aに接触して径方向への移動が外輪70によってガイド規制されて位置決めされる構成をいう。この外輪ガイド構成であると、図9に示されるように、保持器86の外周面と外輪70の内周面70Aとの間のガイド部88の隙間が少なく、このため、玉80を保持するポケット部内の潤滑オイルの流れが悪くなり、攪拌損失が大きくなるという問題を生じるものである。
【0004】
このため、保持器の外周面と外輪の内周面との間に隙間を確保することができる保持器の位置決めがいわゆる玉ガイドとなる構成のものも既に提案されている(上掲特許文献3,4参照)。しかし、これらの構成のものは、保持器が一体的に形成されたタイプのものであり、かつ、断面円形のポケット部内壁面の全周にガイド用凸部が構成されているものである。このため、これらの構成のものにおいては、ポケット部内壁面の全周に形成されたガイド用凸部と玉との接触部位で潤滑油切れの問題が生じる懸念があり、又、内径側からポケット部への潤滑オイルの供給がしにくいと言う問題も懸念される。従って、最近では、両抱きタイプの保持器でいわゆる玉ガイド構成とする場合であっても、ポケット部での潤滑オイル流れを良好なものとすることが実用上の観点から重要な課題とされている。
【0005】
而して、本発明は上述した問題を解決するものとして創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、転がり軸受として軸方向に分割形成された両抱きタイプの保持器を用いる場合であっても、保持器を玉ガイド構成として保持器の外周面と外輪の内周面との間に潤滑オイルが流れることのできる隙間を確実に確保して、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明に係る転がり軸受は次の手段をとる。
本発明に係る転がり軸受は、先ず、外周面に内輪軌道を有する内輪と、内周面に外輪軌道を有する外輪と、該内輪の内輪軌道と外輪の外輪軌道との間の円周上に配設された複数個の玉と、前記内輪と外輪との間にあって前記玉を周方向に対して保持する保持器とからなり、該保持器は軸方向に分割して形成された分割部材を組み合わせることにより形成される四角形状孔のポケット部に玉を保持する両抱きタイプ構成とされている。そして、かかる構成において、前記内輪と外輪との間で前記保持器を径方向に対して位置決めする構成を、前記保持器の四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面のみで保持器が前記玉に対して径方向に相対移動できない係合とする玉ガイド形状構成として、保持器の外周面と外輪の内周面との間に隙間が形成されていることを特徴とする構成をとる。
【0007】
本発明は、上記のように転がり軸受として軸方向に分割形成された両抱きタイプの保持器を用いる場合であっても、保持器の径方向の位置決めを玉ガイド構成として保持器の外周面と外輪の内周面との間に潤滑オイルが流れることのできる隙間を確実に形成するものであるので、玉を保持するために保持器に形成されるポケット部内の潤滑オイルの排出の流れを良好なものとすることができて、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることができる。
特に、上記した本発明においては、保持器のポケット部の形状は四角形状孔とされており、この四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面でのみ玉との係合がされる玉ガイド構成とされているため、潤滑オイルの流れが良好なものとなる。すなわち、玉は保持器に対する周方向に自転しながら公転するが、その玉の自転方向のポケット部には潤滑オイルの流れの障害となる凸部等がなく、潤滑オイルが流れることができる空間が形成されることから、潤滑オイルの排出性が良く、良好な流れとなる。このため、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることができると共に、油膜切れも生じにくくなる。
【0008】
なお、前述した本発明の手段における保持器のポケット部の玉ガイド形状は、四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面のみの径方向の内径側及び外径側位置における少なくとも一方の位置に玉に向けて形成した凸部形状であり、該凸部形状が玉と径方向に対して当接することにより保持器が玉に対して径方向の相対移動ができない構成とするのが好ましい。凸部形状を四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面のみの径方向の内径側及び外径側位置の両方の位置に設ける場合には、ポケット部の空間容積を減らすことができて、潤滑オイルの連れまわりを低減することができる。なお、凸部形状は内径側及び外径側位置の一方の位置に設けるのみでも玉ガイドとしての機能を果たすことができ、この場合にはその構成を簡単とすることができる。
【0009】
また、前述した本発明の手段における外輪の内周面の軸方向の端部は外輪軌道から端面方向に向けて拡開するテーパ形状で形成されていることが好ましい。このように外輪の内周面をテーパ形状で形成すると、ポケット部の潤滑オイルの排出流れをより向上させることができ、転がり軸受の攪拌損失の一層の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の転がり軸受は上述した手段をとることにより次の効果を得ることができる。
先ず、転がり軸受として軸方向に分割形成された両抱きタイプの保持器を用いる場合であっても、保持器の径方向の位置決めを玉ガイド構成とすることにより、玉を保持するために保持器に形成されるポケット部内の潤滑オイルの排出の流れを良好なものとすることができて、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることができる。
特に、本発明の場合は、保持器のポケット部の形状は四角形状孔とされており、この四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面でのみ玉との係合がされる玉ガイド構成とされていることにより、玉は保持器に対する周方向に自転しながら公転するが、その玉の自転方向のポケット部内の潤滑オイルの流れは良好な流れとなり、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることができると共に、油膜切れも生じにくくなる。
【0011】
また、保持器のポケット部の玉ガイド形状を凸部形状として形成する場合には、その形成が容易である。そして、その凸部形状を内径側及び外径側位置の両方の位置に設ける場合には、ポケット部の空間容積を減らすことができて、潤滑オイルの連れまわりを低減することができきる。
また、外輪の内周面の軸方向の端部を外輪軌道から端面方向に向けて拡開するテーパ形状で形成する場合には、ポケット部の潤滑オイルを排出する流れがより向上して、転がり軸受の攪拌損失の一層の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例を、図面を用いて説明する。この実施例の転がり軸受は深溝玉軸受の場合である。
【0013】
先ず、図1から図3に示す第1実施例の深溝玉軸受について説明する。図1は深溝玉軸受の上半分を示す断面図、図2は両抱きタイプの保持器の部分斜視図、図3は保持器の一方の分割部材を示す斜視図である。
図1で示すように、深溝玉軸受10は、内輪14と、外輪20と、玉24と、保持器30とから構成される。玉24は内輪14と外輪20との間の円周上に等間隔で複数個配設されている。玉24は内輪14の外周面14Aに深溝で形成された内輪軌道14aと、外輪20の内周面20Aに深溝で形成された外輪軌道20aに嵌合して配設され、内輪軌道14aと外輪軌道20aとの間を転動移動するようになっている。
図2に示すように、保持器30は軸方向に分割して形成された分割部材30A、30Bを組合わせて形成する両抱きタイプ構成として形成されている。分割部材30A、30Bを軸方向に組合わせて構成された保持器30には玉24を周方向に対して保持するポケット部32が等間隔に配置されて形成されている。なお、この実施例における保持器30の2つの分割部材30A、30Bは樹脂製とされている。また、2つの分割部材30A、30Bが組合わされて形成されるポケット部32は四角形状孔として形成されており、対向して形成される軸方向内壁面32A、32Aと、同様に対向して形成される周方向内壁面32B、32Bとで形成されている。四角形状孔のポケット部32はその四角形の各辺が軸方向と周方向の位置となるように配置されている。
【0014】
図3は保持器30の一方の分割部材30Aの一部の斜視図を示すものであるが、他方の分割部材30Bも同じ構造で構成されるものであり、同じ構造のものが向かい合わされて組合わされて組立てられる。分割部材30Aには組合わされる他の分割部材30Bと相互に係合するための係合爪34と係合孔36とが周方向に隣接して一組の係合部38として設けられている。この係合部38は一方の分割部材の係合爪34が他方の分割部材の係合孔36に挿入係合されて係合される構成となっている。そして、この係合部38は玉24の配置数に応じて周方向の複数箇所に等間隔に配置形成されている。
図2に良く示されるように、分割部材30A、30Bが係合部38を組合わせて保持器30を構成する際に、係合部38と係合部38との間に四角形状孔のポケット部32が形成される。このポケット部32を形成する保持器30の軸方向内壁面32Aには、図3に良く示されるように、その径方向の内径側及び外径側位置にポケット部32の軸方向内方に向けて突出形成する凸部40が形成されている。この実施例では、径方向の外径側位置に形成される凸部40を凸部形状40Aとして示し、径方向の内径側位置に形成される凸部40を凸部形状40Bとして示している。なお、凸部40が設けられるのは四角形状孔のポケット部32の軸方向内壁面32Aのみであって、周方向内壁面32Bには設けられていない。
【0015】
この凸部形状40A、40Bは、図1の保持器30の断面形状からも良く分かるように、玉24と接する内面形状は玉形状に沿ったR形状(曲面形状)とされている。従って、両抱きタイプ構成として形成されたこの実施例の保持器30は、その分割部材30A、30Bが組合わされて玉24を両抱きされた状態では、その凸部形状40A、40Bが玉24を径方向の外径側と内径側の上下方向から当接保持した状態となって、玉24に対して径方向にガイド規制された状態となる。このため、保持器30の外輪20と内輪14間における径方向の配置位置の位置決めは玉24により位置決めされた玉ガイド構成となり、図1に良く示されるように、保持器30の外周面30aと外輪20の内周面20Aとの間に隙間Sが形成される。この隙間Sが積極的に形成されることにより、ポケット部32内に流入した潤滑オイルは、この隙間Sから容易に流出する排出が行われるため、攪拌損失の低減を図ることができる。
上記した実施例においては、保持器30のポケット部32の形状は四角形状孔とされており、この四角形状孔のポケット部32の軸方向内壁面32Aのみに凸部40が形成されて玉ガイド構成とされているのみであり、保持器30に保持される玉の自転方向のポケット部には潤滑オイルの流れの障害となる凸部等がなく、潤滑オイルが流れることができる空間が形成されることから、潤滑オイルの排出性が良く、良好な流れとなる。このため、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることができると共に、油膜切れも生じにくくなる。
【0016】
なお、この実施例においては、外輪20の内周面20Aは、図1で見て、深溝の外輪軌道20aの両側位置から外輪20の両側端方向に向けて拡開するテーパ形状として形成されている。このため、前述した保持器30の外周面30aと外輪20の内周面20Aとの間の隙間Sからの潤滑オイルの流出をより良好なものとすることができて、攪拌損失の一層の低減を図ることができる。
特に、この第1実施例のように、凸部形状40A、40Bをポケット部32の径方向の内径側及び外径側位置の両方の位置に設けると、保持器30のポケット部32の空間容積を減らすことができて、潤滑オイルの連れまわりを低減することができる。
【0017】
次に、第2実施例について説明する。第2実施例は、図4から図6に示されている。これらの図4から図6は上述の第1実施例の図1から図3に対応させて図示したものである。そして、この第2実施例において、上述の第1実施例と同じ構成箇所については同じ符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
第2実施例は、保持器30のポケット部32の軸方向内壁面32Aに形成する凸部40を、上述の第1実施例においてはその径方向の内径側及び外径側の両位置に凸部形状40A、40Bとして形成していたのを、内径側位置の凸部形状40Bのみとして形成したものである。このため、この第2実施例では、図4に良く示されるように、径方向の外径側位置は凸部形状が形成されていなく、ストレート形状として形成されている。この様に凸部形状を径方向の内径側及び外径側位置の一方の位置にのみ設ける場合でも、保持器30を玉ガイド構成とする機能を持たせることができて、上述の第1実施例と同様に機能させることができるものである。なお、この第2実施例のように、径方向外径側位置をストレート形状とすることによりポケット部32の潤滑オイルの排出をより良好なものとすることができると共に、その構成をより簡単な構成とすることができるものである。
【0018】
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明はその他各種の実施形態が考えられるものである。
例えば、上記各実施例は、転がり軸受が深溝玉軸受の場合について説明したが、斜接玉軸受にも適用することができるものである。
また、上記各実施例は、外輪20の内周面20Aにテーパ形状を形成した場合について説明したが、必ずしもこのテーパ形状は必要とする構成のものではない。しかし、かかる構成を設ける場合には、ポケット部32内の潤滑オイルの流出がより良好に行われ、攪拌損失の一層の低減を図ることができるものである。
また、上記実施例では、ポケット部32の軸方向内壁面に形成する凸部形状は径方向の内径側及び外径側位置の両方の位置に設ける場合と、内径側位置のみに設ける場合について説明したが、外径側位置のみに設ける場合であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施例の深溝玉軸受の上半分を示す断面図である。
【図2】第1実施例の両抱きタイプの保持器を示す部分斜視図である。
【図3】第1実施例の両抱きタイプの保持器の一方の分割部材を示す部分斜視図である。
【図4】第2実施例の深溝玉軸受の上半分を示す断面図である。
【図5】第2実施例の両抱きタイプの保持器を示す部分斜視図である。
【図6】第2実施例の両抱きタイプの保持器の一方の分割部材を示す部分斜視図である。
【図7】従来の片抱きタイプ保持器の場合の深溝玉軸受の上半分を示す断面図である。
【図8】従来の片抱きタイプ保持器を示す部分斜視図である。
【図9】従来の両抱きタイプ保持器の場合の深溝玉軸受の上半分を示す断面図である。
【図10】従来の両抱きタイプ保持器を示す斜視図である。
【図11】従来の両抱きタイプ保持器の一部分の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
10 深溝玉軸受(転がり軸受)
14 内輪
14A 内輪の外周面
14a 内輪軌道
20 外輪
20A 外輪の内周面
20a 外輪軌道
24 玉
30 保持器
30a 保持器の外周面
30A 保持器の一方の分割部材
30B 保持器の他方の分割部材
32 ポケット部
32A 軸方向内壁面
32B 周方向内壁面
34 係合爪
36 係合孔
38 係合部
40 凸部
40A 外径側位置の凸部形状
40B 内径側位置の凸部形状
S 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受に関する。特に、深溝玉軸受に関し、その内輪と外輪との間に配設される玉を保持する樹脂製の保持器の内輪と外輪との間における径方向の配置位置を決めるガイド構成に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、転がり軸受としての深溝玉軸受50の一般的構成は、外周面60Aに深溝の内輪軌道60aを有する内輪60と、内周面70Aに深溝の外輪軌道70aを有する外輪70と、該内輪60の内輪軌道60aと外輪70の外輪軌道70aとの間の円周上に配設される複数個の玉80と、内輪60と外輪70との間にあって前記玉80を保持する保持器84とから成っている。
保持器84は、図8に示すように、樹脂製で形成されており、通常は、玉80を片抱きタイプの構成で保持している。この片抱きタイプの保持器84は、玉80を片抱きしている構成であることと、樹脂製で形成されていること等が相俟って剛性が低いため、高速回転での使用時には遠心力の影響により、保持器84における玉80を保持するポケット形状の先端部84aが変形しやすく、このため、玉80と保持器84とが干渉し、トルク増や、焼付き等が発生する懸念があるという問題がある。
この問題の対応のため、図9から図11に示される両抱きタイプの保持器86が用いられることがある。この両抱きタイプの保持器86は、軸方向に分割して形成された分割部材86A、86Bを組み合わせることにより構成される。このため、両抱きタイプの保持器86では、玉80を保持するポケット形状の変形が防止され、片抱きタイプにおける問題を解消することができる。なお、両抱きタイプの保持器86においては、図10に良く示されるように、玉80が介在されるポケット部82の形状は、通常、略四角形状孔とされている。
【特許文献1】特開2006−292097号公報
【特許文献2】特開2007−113592号公報
【特許文献3】特開平7−4439号公報
【特許文献4】特開平8−277842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した両抱きタイプの保持器86は、玉80を保持する四角形状孔のポケット部87の内部空間が大きく形成され、また、保持器86の径方向に対する位置決めが外輪ガイドとなる構成であるため、保持器86のポケット部内部に潤滑オイルが溜まり易く、このため、攪拌損失が大きくなるという問題がある。
なお、保持器86の径方向に対する位置決めが外輪ガイドとなる構成とは、保持器86の外周面が外輪70の内周面70Aに接触して径方向への移動が外輪70によってガイド規制されて位置決めされる構成をいう。この外輪ガイド構成であると、図9に示されるように、保持器86の外周面と外輪70の内周面70Aとの間のガイド部88の隙間が少なく、このため、玉80を保持するポケット部内の潤滑オイルの流れが悪くなり、攪拌損失が大きくなるという問題を生じるものである。
【0004】
このため、保持器の外周面と外輪の内周面との間に隙間を確保することができる保持器の位置決めがいわゆる玉ガイドとなる構成のものも既に提案されている(上掲特許文献3,4参照)。しかし、これらの構成のものは、保持器が一体的に形成されたタイプのものであり、かつ、断面円形のポケット部内壁面の全周にガイド用凸部が構成されているものである。このため、これらの構成のものにおいては、ポケット部内壁面の全周に形成されたガイド用凸部と玉との接触部位で潤滑油切れの問題が生じる懸念があり、又、内径側からポケット部への潤滑オイルの供給がしにくいと言う問題も懸念される。従って、最近では、両抱きタイプの保持器でいわゆる玉ガイド構成とする場合であっても、ポケット部での潤滑オイル流れを良好なものとすることが実用上の観点から重要な課題とされている。
【0005】
而して、本発明は上述した問題を解決するものとして創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、転がり軸受として軸方向に分割形成された両抱きタイプの保持器を用いる場合であっても、保持器を玉ガイド構成として保持器の外周面と外輪の内周面との間に潤滑オイルが流れることのできる隙間を確実に確保して、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明に係る転がり軸受は次の手段をとる。
本発明に係る転がり軸受は、先ず、外周面に内輪軌道を有する内輪と、内周面に外輪軌道を有する外輪と、該内輪の内輪軌道と外輪の外輪軌道との間の円周上に配設された複数個の玉と、前記内輪と外輪との間にあって前記玉を周方向に対して保持する保持器とからなり、該保持器は軸方向に分割して形成された分割部材を組み合わせることにより形成される四角形状孔のポケット部に玉を保持する両抱きタイプ構成とされている。そして、かかる構成において、前記内輪と外輪との間で前記保持器を径方向に対して位置決めする構成を、前記保持器の四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面のみで保持器が前記玉に対して径方向に相対移動できない係合とする玉ガイド形状構成として、保持器の外周面と外輪の内周面との間に隙間が形成されていることを特徴とする構成をとる。
【0007】
本発明は、上記のように転がり軸受として軸方向に分割形成された両抱きタイプの保持器を用いる場合であっても、保持器の径方向の位置決めを玉ガイド構成として保持器の外周面と外輪の内周面との間に潤滑オイルが流れることのできる隙間を確実に形成するものであるので、玉を保持するために保持器に形成されるポケット部内の潤滑オイルの排出の流れを良好なものとすることができて、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることができる。
特に、上記した本発明においては、保持器のポケット部の形状は四角形状孔とされており、この四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面でのみ玉との係合がされる玉ガイド構成とされているため、潤滑オイルの流れが良好なものとなる。すなわち、玉は保持器に対する周方向に自転しながら公転するが、その玉の自転方向のポケット部には潤滑オイルの流れの障害となる凸部等がなく、潤滑オイルが流れることができる空間が形成されることから、潤滑オイルの排出性が良く、良好な流れとなる。このため、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることができると共に、油膜切れも生じにくくなる。
【0008】
なお、前述した本発明の手段における保持器のポケット部の玉ガイド形状は、四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面のみの径方向の内径側及び外径側位置における少なくとも一方の位置に玉に向けて形成した凸部形状であり、該凸部形状が玉と径方向に対して当接することにより保持器が玉に対して径方向の相対移動ができない構成とするのが好ましい。凸部形状を四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面のみの径方向の内径側及び外径側位置の両方の位置に設ける場合には、ポケット部の空間容積を減らすことができて、潤滑オイルの連れまわりを低減することができる。なお、凸部形状は内径側及び外径側位置の一方の位置に設けるのみでも玉ガイドとしての機能を果たすことができ、この場合にはその構成を簡単とすることができる。
【0009】
また、前述した本発明の手段における外輪の内周面の軸方向の端部は外輪軌道から端面方向に向けて拡開するテーパ形状で形成されていることが好ましい。このように外輪の内周面をテーパ形状で形成すると、ポケット部の潤滑オイルの排出流れをより向上させることができ、転がり軸受の攪拌損失の一層の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の転がり軸受は上述した手段をとることにより次の効果を得ることができる。
先ず、転がり軸受として軸方向に分割形成された両抱きタイプの保持器を用いる場合であっても、保持器の径方向の位置決めを玉ガイド構成とすることにより、玉を保持するために保持器に形成されるポケット部内の潤滑オイルの排出の流れを良好なものとすることができて、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることができる。
特に、本発明の場合は、保持器のポケット部の形状は四角形状孔とされており、この四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面でのみ玉との係合がされる玉ガイド構成とされていることにより、玉は保持器に対する周方向に自転しながら公転するが、その玉の自転方向のポケット部内の潤滑オイルの流れは良好な流れとなり、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることができると共に、油膜切れも生じにくくなる。
【0011】
また、保持器のポケット部の玉ガイド形状を凸部形状として形成する場合には、その形成が容易である。そして、その凸部形状を内径側及び外径側位置の両方の位置に設ける場合には、ポケット部の空間容積を減らすことができて、潤滑オイルの連れまわりを低減することができきる。
また、外輪の内周面の軸方向の端部を外輪軌道から端面方向に向けて拡開するテーパ形状で形成する場合には、ポケット部の潤滑オイルを排出する流れがより向上して、転がり軸受の攪拌損失の一層の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例を、図面を用いて説明する。この実施例の転がり軸受は深溝玉軸受の場合である。
【0013】
先ず、図1から図3に示す第1実施例の深溝玉軸受について説明する。図1は深溝玉軸受の上半分を示す断面図、図2は両抱きタイプの保持器の部分斜視図、図3は保持器の一方の分割部材を示す斜視図である。
図1で示すように、深溝玉軸受10は、内輪14と、外輪20と、玉24と、保持器30とから構成される。玉24は内輪14と外輪20との間の円周上に等間隔で複数個配設されている。玉24は内輪14の外周面14Aに深溝で形成された内輪軌道14aと、外輪20の内周面20Aに深溝で形成された外輪軌道20aに嵌合して配設され、内輪軌道14aと外輪軌道20aとの間を転動移動するようになっている。
図2に示すように、保持器30は軸方向に分割して形成された分割部材30A、30Bを組合わせて形成する両抱きタイプ構成として形成されている。分割部材30A、30Bを軸方向に組合わせて構成された保持器30には玉24を周方向に対して保持するポケット部32が等間隔に配置されて形成されている。なお、この実施例における保持器30の2つの分割部材30A、30Bは樹脂製とされている。また、2つの分割部材30A、30Bが組合わされて形成されるポケット部32は四角形状孔として形成されており、対向して形成される軸方向内壁面32A、32Aと、同様に対向して形成される周方向内壁面32B、32Bとで形成されている。四角形状孔のポケット部32はその四角形の各辺が軸方向と周方向の位置となるように配置されている。
【0014】
図3は保持器30の一方の分割部材30Aの一部の斜視図を示すものであるが、他方の分割部材30Bも同じ構造で構成されるものであり、同じ構造のものが向かい合わされて組合わされて組立てられる。分割部材30Aには組合わされる他の分割部材30Bと相互に係合するための係合爪34と係合孔36とが周方向に隣接して一組の係合部38として設けられている。この係合部38は一方の分割部材の係合爪34が他方の分割部材の係合孔36に挿入係合されて係合される構成となっている。そして、この係合部38は玉24の配置数に応じて周方向の複数箇所に等間隔に配置形成されている。
図2に良く示されるように、分割部材30A、30Bが係合部38を組合わせて保持器30を構成する際に、係合部38と係合部38との間に四角形状孔のポケット部32が形成される。このポケット部32を形成する保持器30の軸方向内壁面32Aには、図3に良く示されるように、その径方向の内径側及び外径側位置にポケット部32の軸方向内方に向けて突出形成する凸部40が形成されている。この実施例では、径方向の外径側位置に形成される凸部40を凸部形状40Aとして示し、径方向の内径側位置に形成される凸部40を凸部形状40Bとして示している。なお、凸部40が設けられるのは四角形状孔のポケット部32の軸方向内壁面32Aのみであって、周方向内壁面32Bには設けられていない。
【0015】
この凸部形状40A、40Bは、図1の保持器30の断面形状からも良く分かるように、玉24と接する内面形状は玉形状に沿ったR形状(曲面形状)とされている。従って、両抱きタイプ構成として形成されたこの実施例の保持器30は、その分割部材30A、30Bが組合わされて玉24を両抱きされた状態では、その凸部形状40A、40Bが玉24を径方向の外径側と内径側の上下方向から当接保持した状態となって、玉24に対して径方向にガイド規制された状態となる。このため、保持器30の外輪20と内輪14間における径方向の配置位置の位置決めは玉24により位置決めされた玉ガイド構成となり、図1に良く示されるように、保持器30の外周面30aと外輪20の内周面20Aとの間に隙間Sが形成される。この隙間Sが積極的に形成されることにより、ポケット部32内に流入した潤滑オイルは、この隙間Sから容易に流出する排出が行われるため、攪拌損失の低減を図ることができる。
上記した実施例においては、保持器30のポケット部32の形状は四角形状孔とされており、この四角形状孔のポケット部32の軸方向内壁面32Aのみに凸部40が形成されて玉ガイド構成とされているのみであり、保持器30に保持される玉の自転方向のポケット部には潤滑オイルの流れの障害となる凸部等がなく、潤滑オイルが流れることができる空間が形成されることから、潤滑オイルの排出性が良く、良好な流れとなる。このため、転がり軸受の攪拌損失の低減を図ることができると共に、油膜切れも生じにくくなる。
【0016】
なお、この実施例においては、外輪20の内周面20Aは、図1で見て、深溝の外輪軌道20aの両側位置から外輪20の両側端方向に向けて拡開するテーパ形状として形成されている。このため、前述した保持器30の外周面30aと外輪20の内周面20Aとの間の隙間Sからの潤滑オイルの流出をより良好なものとすることができて、攪拌損失の一層の低減を図ることができる。
特に、この第1実施例のように、凸部形状40A、40Bをポケット部32の径方向の内径側及び外径側位置の両方の位置に設けると、保持器30のポケット部32の空間容積を減らすことができて、潤滑オイルの連れまわりを低減することができる。
【0017】
次に、第2実施例について説明する。第2実施例は、図4から図6に示されている。これらの図4から図6は上述の第1実施例の図1から図3に対応させて図示したものである。そして、この第2実施例において、上述の第1実施例と同じ構成箇所については同じ符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
第2実施例は、保持器30のポケット部32の軸方向内壁面32Aに形成する凸部40を、上述の第1実施例においてはその径方向の内径側及び外径側の両位置に凸部形状40A、40Bとして形成していたのを、内径側位置の凸部形状40Bのみとして形成したものである。このため、この第2実施例では、図4に良く示されるように、径方向の外径側位置は凸部形状が形成されていなく、ストレート形状として形成されている。この様に凸部形状を径方向の内径側及び外径側位置の一方の位置にのみ設ける場合でも、保持器30を玉ガイド構成とする機能を持たせることができて、上述の第1実施例と同様に機能させることができるものである。なお、この第2実施例のように、径方向外径側位置をストレート形状とすることによりポケット部32の潤滑オイルの排出をより良好なものとすることができると共に、その構成をより簡単な構成とすることができるものである。
【0018】
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明はその他各種の実施形態が考えられるものである。
例えば、上記各実施例は、転がり軸受が深溝玉軸受の場合について説明したが、斜接玉軸受にも適用することができるものである。
また、上記各実施例は、外輪20の内周面20Aにテーパ形状を形成した場合について説明したが、必ずしもこのテーパ形状は必要とする構成のものではない。しかし、かかる構成を設ける場合には、ポケット部32内の潤滑オイルの流出がより良好に行われ、攪拌損失の一層の低減を図ることができるものである。
また、上記実施例では、ポケット部32の軸方向内壁面に形成する凸部形状は径方向の内径側及び外径側位置の両方の位置に設ける場合と、内径側位置のみに設ける場合について説明したが、外径側位置のみに設ける場合であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施例の深溝玉軸受の上半分を示す断面図である。
【図2】第1実施例の両抱きタイプの保持器を示す部分斜視図である。
【図3】第1実施例の両抱きタイプの保持器の一方の分割部材を示す部分斜視図である。
【図4】第2実施例の深溝玉軸受の上半分を示す断面図である。
【図5】第2実施例の両抱きタイプの保持器を示す部分斜視図である。
【図6】第2実施例の両抱きタイプの保持器の一方の分割部材を示す部分斜視図である。
【図7】従来の片抱きタイプ保持器の場合の深溝玉軸受の上半分を示す断面図である。
【図8】従来の片抱きタイプ保持器を示す部分斜視図である。
【図9】従来の両抱きタイプ保持器の場合の深溝玉軸受の上半分を示す断面図である。
【図10】従来の両抱きタイプ保持器を示す斜視図である。
【図11】従来の両抱きタイプ保持器の一部分の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
10 深溝玉軸受(転がり軸受)
14 内輪
14A 内輪の外周面
14a 内輪軌道
20 外輪
20A 外輪の内周面
20a 外輪軌道
24 玉
30 保持器
30a 保持器の外周面
30A 保持器の一方の分割部材
30B 保持器の他方の分割部材
32 ポケット部
32A 軸方向内壁面
32B 周方向内壁面
34 係合爪
36 係合孔
38 係合部
40 凸部
40A 外径側位置の凸部形状
40B 内径側位置の凸部形状
S 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に内輪軌道を有する内輪と、内周面に外輪軌道を有する外輪と、該内輪の内輪軌道と外輪の外輪軌道との間の円周上に配設された複数個の玉と、前記内輪と外輪との間にあって前記玉を周方向に対して保持する保持器とからなり、該保持器は軸方向に分割して形成された分割部材を組み合わせることにより形成される四角形状孔のポケット部に玉を保持する両抱きタイプ構成とされている転がり軸受であって、
前記内輪と外輪との間で前記保持器を径方向に対して位置決めする構成を、前記保持器の四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面のみで保持器が前記玉に対して径方向に相対移動できない係合とする玉ガイド形状構成として、保持器の外周面と外輪の内周面との間に隙間が形成されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項2】
請求項1に記載の転がり軸受であって、
前記保持器のポケット部の玉ガイド形状は、四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面のみの径方向の内径側及び外径側位置における少なくとも一方の位置に玉に向けて形成した凸部形状であり、該凸部形状が玉と径方向に対して当接することにより保持器が玉に対して径方向の相対移動ができない構成となっていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の転がり軸受であって、
前記外輪の内周面の軸方向の端部を前記外輪軌道から端面方向に向けて拡開するテーパ形状で形成されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項1】
外周面に内輪軌道を有する内輪と、内周面に外輪軌道を有する外輪と、該内輪の内輪軌道と外輪の外輪軌道との間の円周上に配設された複数個の玉と、前記内輪と外輪との間にあって前記玉を周方向に対して保持する保持器とからなり、該保持器は軸方向に分割して形成された分割部材を組み合わせることにより形成される四角形状孔のポケット部に玉を保持する両抱きタイプ構成とされている転がり軸受であって、
前記内輪と外輪との間で前記保持器を径方向に対して位置決めする構成を、前記保持器の四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面のみで保持器が前記玉に対して径方向に相対移動できない係合とする玉ガイド形状構成として、保持器の外周面と外輪の内周面との間に隙間が形成されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項2】
請求項1に記載の転がり軸受であって、
前記保持器のポケット部の玉ガイド形状は、四角形状孔のポケット部の軸方向内壁面のみの径方向の内径側及び外径側位置における少なくとも一方の位置に玉に向けて形成した凸部形状であり、該凸部形状が玉と径方向に対して当接することにより保持器が玉に対して径方向の相対移動ができない構成となっていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の転がり軸受であって、
前記外輪の内周面の軸方向の端部を前記外輪軌道から端面方向に向けて拡開するテーパ形状で形成されていることを特徴とする転がり軸受。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−168110(P2009−168110A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5866(P2008−5866)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]