説明

転写装置及びこれを使用する画像形成装置

【課題】2次転写搬送ベルト上に残留したトナーを中間転写側に戻して、2次転写搬送ベルト上に残留したトナーをクリーニングする転写装置及びこの転写装置を使用する画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】トナー像が形成される像担持体1から1次転写されるトナー像を記録シートPに2次転写させる2次転写部8まで搬送する中間転写体11と、前記2次転写部8で少なくとも当接し、該2次転写部8を通過する前記記録シートPを搬送するために複数のローラ9、12、13、14に張架されて回転する無端状の2次転写搬送ベルト18と、を備える転写装置において、前記2次転写搬送ベルト18上に残留したトナーを、該2次転写搬送ベルト18上から除去して一時的に保持するトナー保持手段23と、前記トナーを前記中間転写体11に戻すトナー戻し手段25と、を有する転写装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写体及び2次転写搬送装置を備える転写装置、及びこの転写装置を使用する複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における中間転写型の画像形成装置としては、例えば、静電潜像に応じたトナー像が形成される感光体ドラムと、この感光体ドラム上のトナー像が中間的に転写される中間転写ベルトと、この中間転写ベルトに対して感光体ドラム上のトナー像を転写させる1次転写装置と、中間転写ベルト上に転写されたトナー像を用紙(記録シート)に一括して2次転写させる2次転写装置とを備えたものが知られている。
この中間転写ベルトは多層構造となっており、ベース層を、例えば、伸びの少ないフッ素樹脂やPVDFシート、ポリイミド系樹脂で作り、表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被ってなる。
上述した中間転写型の画像形成装置では、像担持体に形成されるトナー像は中間転写ベルトに1次転写された後、記録シート上に2次転写され、カラー画像が形成され、2次転写後、中間転写ベルトに残留したトナー像はクリーニング手段によってクリーニングされることが知られている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
2次転写装置として、用紙対応性や搬送性に有利、転写部ニップ確保が容易等の理由から2次転写搬送ベルトが広く使用されている。2次転写搬送ベルトとしては、安価で、寄り制御が容易、搬送性能が良い等の理由から弾性層のあるゴムベルトが一般的に用いられている。2次転写時、記録シートに転写されるトナーの他に地汚れトナー等の画像領域外のトナーが転写されてしまうため、2次転写搬送ベルト上の残留トナーの除去が不可欠である。
【0003】
一方、近年の高画質化等の要求から、トナーの小粒経化や重合トナーによる球形化が進み、ベルト上に残留したトナーをクリーニングすることが益々難しくなってきている。とくに、2次搬送ベルトは、搬送性の機能から表面粗さが粗かったり、弾性層を有する場合、クリーニングブレードを強く当てられない等の制約があるため、クリーニングに対して不利な点がある。
また、ジャム処理のために2次転写部が両面ユニットと一緒に本体から可動できる構成になっている場合は、クリーニングしたトナーを回収する容積を2次転写部に確保したり、本体に設置された回収ボトルまで回収したトナー搬送させるような構成にすることが容易ではない。
さらに、2次転写搬送ベルト上でトナー濃度制御のためのパターン読み取りを実行する場合、弾性のあるベルトに対してブレードを当接させると、ベルトの緩み又は張り部ができてしまい、正確な検知ができなくなる。
従来、2次転写にクリーニング手段を設けない方式では、例えば、特許文献2のように、現像ACバイアスを制御して非画像部へのトナー書き込みを防ぐ方法等が開示されている。また、特許文献3では、2次転写搬送ベルトとして用いられる弾性ベルトによって、クリーニング性を確保する材質が開示されている。
【特許文献1】特開平5−323704号公報
【特許文献2】特開2006−163347公報
【特許文献3】特開平08−160766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2の技術では、紙サイズ(紙幅)が小サイズの場合や、ジャムで2次転写が汚れた時には対応することができない。また、特許文献2の技術は、円形度が高いトナーに対して対応できるとは限らない。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、2次転写搬送ベルト上に残留したトナーを中間転写側に戻して、2次転写搬送ベルト上に残留したトナーをクリーニングする転写装置及びこの転写装置を使用する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、トナー像が形成される像担持体から1次転写されるトナー像を記録シートに2次転写させる2次転写部まで前記トナー像を搬送する中間転写体と、前記2次転写部で少なくとも当接し、該2次転写部を通過する前記記録シートを搬送するために複数のローラに張架されて回転する無端状の2次転写搬送ベルトと、を備える転写装置において、前記2次転写搬送ベルト上に残留したトナーを、該2次転写搬送ベルト上から除去して一時的に保持するトナー保持手段と、前記トナーを前記中間転写体に戻すトナー戻し手段と、を有することを特徴とする転写装置を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記2次転写搬送ベルトが弾性層を有する請求項1記載の転写装置を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記中間転写体が少なくとも2つ以上の支持回転体に掛け回された中間転写ベルトである請求項1記載の転写装置を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記2次転写搬送ベルトの表面のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段を有する請求項2記載の転写装置を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記トナー保持手段が、ブラシ状の部材又はスポンジ状のローラ部材である請求項1記載の転写装置を特徴とする。
【0006】
また、請求項6に記載の発明は、前記2次転写搬送ベルト上に残留したトナーにバイアスを印加するバイアス印加手段を有する請求項5記載の転写装置を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記2次転写搬送ベルトがトナー像を作成する作像線速より速い線速を持ち、非作像時、前記作像線速より速い線速にて残留トナーを前記中間転写体に戻す方式である請求項6記載の転写装置を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記トナー保持手段が、前記2次転写搬送ベルトに対して、作像時より速い回転数で回転可能であり、非作像時、作像時より速い回転数にて前記トナー保持手段に保持したトナーを前記2次転写搬送ベルトに戻す方式である請求項1乃至7のいずれか1項記載の転写装置を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記2次転写ベルトの表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備える請求項6記載の転写装置を特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、像担持体上に形成された静電潜像をトナーで現像して可視化し、前記トナー像を記録シート上に転写し、該記録シート上の前記トナー像を熱及び圧力により前記記録シート上に定着させる画像形成装置において、前記記録シート上へのトナー像の転写に、請求項1乃至9のいずれか1項記載の転写装置を使用する画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2次転写搬送ベルト上に残留したクリーニングが難しい円形度が高い(0.94以上)のトナーを中間転写体に戻してクリーニングさせるため、2次転写搬送ベルト材質がクリーニング性の悪い場合でも、ベルト上の残留トナーを除去でき、裏汚れ等の発生を防止できる。また、一時的に残留トナーを保持する部材があるため、大量通紙中にも裏汚れが発生することは無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明によるタンデム型間接転写方式の電子写真装置である複写機の実施の形態を示す概略図である。
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。この複写機10の複写装置本体には、中央に、無端ベルト状の中間転写体11を設けている。中間転写体11は多層構造となっており、ベース層を、例えば、伸びの少ないフッ素樹脂やPVDFシート、ポリイミド系樹脂でつくり、表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被ってなる。
図1に示すとおり、図示の実施の形態では、中間転写体11は支持ローラ9、12、13、14に掛け回して、図中反時計回りに回転搬送可能としている。この実施の形態では、支持ローラ9の左に、画像転写後に中間転写体11上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置6を設けている。
また、支持ローラ12と支持ローラ14間に張り渡した中間転写体11上には、その搬送方向に沿って、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの4つの画像形成手段7を横に並べて配置してタンデム画像形成装置を構成する。
そのタンデム画像形成装置の下には、図1に示すように、さらに露光装置4を設ける。一方、中間転写体11の支持ローラ13の対向側には、2次転写装置8の2次転写ローラ15を備える。
【0009】
2次転写装置8は、図示の実施の形態では、2つのローラ16、17間に、無端ベルトである2次転写ベルト18を掛け渡して構成し、中間転写体11を介して支持ローラ13に押し当てて配置し、中間転写体11上の画像を記録シートPに転写する。
2次転写装置8の上には、記録シートP上の転写画像を定着する定着装置30を設ける。定着装置30は、定着ローラ33に加圧ローラ34を押し当てて構成する。上述した2次転写装置8には、画像転写後の記録シートPをこの定着装置30へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。
もちろん、2次転写装置8として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
また、図示してないスタートスイッチを押すと、同じく図示してない駆動モータで支持ローラ9、12、13、14のうちの1つを駆動ローラとして回転駆動し、他の3つの支持ローラを従動回転し、中間転写体11を回転搬送する。
同時に、個々の画像形成手段7でその感光体1を回転して各感光体1上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体11の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体11上に合成カラー画像を形成する。
【0010】
一方、図示してないスタートスイッチを押すと、給紙ユニットの給紙ローラ27の1つを選択回転し、ペーパーバンクに多段に備える給紙カセット26−1及び26−2の1つから記録シートPを繰り出し、分離ローラ(図示せず)で1枚ずつ分離して給紙路29に入れ、搬送ローラ(図示せず)で搬送して複写機本体内の給紙路29に導き、レジストローラ28に突き当てて止める。
そして、中間転写体11上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ28を回転し、中間転写体11と2次転写装置8との間に記録シートPを送り込み、2次転写装置8で転写して記録シートP上にカラー画像を記録する。画像転写後の記録シートPは、2次転写装置8で搬送して定着装置30へと送り込み、定着装置30で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、搬送路31を通して排出ローラ32でA方向に排出し、排紙トレイ40上にスタックする。
一方、画像転写後の中間転写体11は、中間転写体クリーニング装置6で、画像転写後に中間転写体11上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置による再度の画像形成に備える。
【0011】
図2は本発明による転写装置の構成を示す概略図である。以下に本発明の構成を説明する。中間転写体である無端ベルト状の中間転写ベルト11が支持ローラ9、12、13、14に掛け回して図中反時計回りに回転搬送可能とする。これらの支持ローラのうち、ローラ13は駆動ローラで、符号15で示す2次転写ローラの2次転写対向ローラも兼ねている。
支持ローラ9はクリーニング対向ローラで、左に画像2次転写後に中間転写ベルト11上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置6を設けている。支持ローラ12、14は従動ローラで、1次転写ニップを安定化する機能がある。
クリーニング対向ローラ9は本構成ではテンションローラも兼ねており、弾性部材35によって付勢され、中間転写ベルト11に一定の張力を付与する働きをしている。ローラ20は1次転写ローラで、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの画像形成手段7に対応して4本設置されている。
2次転写装置8は支持ローラ13に対向配置されている。図示の実施の形態では、2つのローラ16、17間に、無端ベルトである2次転写ベルト18を掛け渡して構成し、中間転写ベルト11を介して支持ローラ13に押し当てて配置し、中間転写ベルト11上の画像を、レジストローラ28を通って搬送される記録シートPに転写する。
【0012】
図2には、さらに、一時的に残留トナーを保持する保持手段として、ブラシ状の部材又はスポンジ状のローラ部材からなるトナー保持部材23、このトナー保持部材23にバイアスを印加するバイアス印加手段23a、2次転写ベルト18上の表面トナー濃度を検知するトナー濃度検知手段24、2次転写搬送ベルト18上に残留したトナーにバイアスを印加するバイアス印加手段25、2次転写搬送ベルト18への接触部をブラシローラ26aとしている潤滑剤塗布手段26が示されている。
本発明による転写装置は、円形度が0.94以上のトナーを使用して、トナー像が形成される画像形成手段7の像担持体である感光体1(図1)から、1次転写されるトナー像を記録シートPに2次転写させる2次転写部まで搬送する中間転写体である中間転写ベルト11と、この中間転写ベルト11の2次転写部で少なくとも当接するとともにその2次転写部を通過する記録シートPを搬送するように複数のローラ16、17に張架されて回転する無端状の2次転写搬送ベルト18とを備えている。
転写装置は、さらに、2次転写搬送ベルト18上に残留したトナーを、この2次転写搬送ベルト18上から除去し一時的に保持するトナー保持部材23と、中間転写ベルト11にトナーを戻すトナー戻し手段(バイアス印加手段)25とを有している。
2次転写装置8がベルト搬送であるため、2次転写部の巻き付けニップ幅を確保することが容易であるため、中間転写ベルト11が掛け回されたローラを2軸にし、構成を簡略化することもできる。
【0013】
図3は図2の転写装置の構成の変形例を示す概略図である。図3の変形例はその構成において、図2の転写装置の構成と基本的には同じであるので、同一部分には同一符号を付して、ここで必要となる以外の説明は省略する。
この変形例では、上述したように、中間転写ベルト11が掛け回されたローラを2軸にしている。すなわち、図2の転写装置では中間転写ベルト11が支持ローラ9、12、13、14に掛け回わされているのに比して、この変形例では、支持ローラ9、13の2軸のみに掛け回している。
中間転写体11が少なくとも2つ以上の支持回転体(支持ローラ)に掛け回された中間転写ベルトである場合で、しかも2次転写装置8がベルト搬送であるため、中間転写体ベルト11が掛け回されたローラが最低2軸であっても2次転写部のニップ幅を確保することが容易である。
近年の高画質化等の要求から、トナーの小粒経化や重合トナーによる球形化が進み、ベルト上に残留したトナーをクリーニングすることが益々難しくなってきている。とくに2次搬送ベルト18は、搬送性の機能から表面粗さが粗かったり、弾性層を有する場合、クリーニングブレード(図示せず)を強く当てられない等の制約があるため、クリーニングに対して不利な点がある。
【0014】
図4はトナーの円形度とクリーニング性の関係をグラフで示す図である。図4から、トナーの円形度が高くなるほどクリーニングブレード(図示せず)の線圧が必要になっていることが分かる。
しかし、一方で0.25N/cm以上のブレード線圧では、2次転写ベルトが一般的に用いられる弾性層のあるベルトである場合には、クリーニングブレードの捲れの懸念があり、クリーニング性との両立域が得られない。
とくに、2次転写搬送ベルト18(図2)の表面のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段24(図2)を有する転写装置は、2回の転写後に濃度を検知するため、より正確なトナー濃度制御を目的としているが、弾性のある2次転写搬送ベルト18に対してクリーニングブレードを大きな線圧にて当接させると、2次転写搬送ベルト18の緩み又は張り部ができてしまい、正確な検知ができなくなる。
【0015】
そこで、本発明では、残留したトナーにバイアスを印加するバイアス印加手段25を使用して、2次転写搬送ベルト18に残留したトナーを中間転写ベルト11(図2)に戻す方式により、2次転写搬送ベルト18の材質がクリーニング性の悪い場合でも、2次転写搬送ベルト18上の残留トナーを除去でき、裏汚れ等の発生を防止する。
2次転写搬送ベルト18の表面のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段24を有する場合、弾性層を有する2次転写搬送ベルト18にクリーニングブレードを強く当接させると、2次転写搬送ベルト18に緩み又は張り部分ができてしまい、トナー濃度検知手段24は正確な検知ができなくなる。このため、中間転写ベルト11に残留トナーを戻すことが有効である。
また、2次転写搬送ベルト18が弾性層を有する場合、クリーニング手段であるクリーニングブレード(図示せず)の当接圧を円形度の高いトナー除去に必要なだけ充分に大きくすることができないため、円形度の高いトナーを中間転写ベルト11に戻すことが有効である。
【0016】
さらに、2次転写搬送ベルト18をクリーニングレスにするにあたって、バッファとして一時的に2次転写搬送ベルト18上の残留トナーを清掃(除去)し、トナーを保持する部材が無いと、大量に通紙された場合、紙(記録シート)の裏汚れになる可能性がある。このため、2次転写搬送ベルト18にスポンジ状のローラか又はブラシローラをバイアス印加の上接触させ、このスポンジ状のローラか又はブラシローラを、一時的に残留トナーを清掃及び保持するトナー保持部材23とした。
一時的に残留トナーを保持するトナー保持部材23が、ブラシ状の部材又はスポンジ状のローラ部材であり、トナーを内包できるような空隙のある構造をしているため、トナー保持手段として適している。
【0017】
図5は本発明による転写装置の動作を説明する概略図である。図5の転写装置はその構成において、図2の転写装置の構成と基本的には同じであるので、同一部分には同一符号を付して、ここで必要となる以外の説明は省略する。図5には、非作像時に一時的にトナー保持部材23に保持した残留トナーを、トナー保持部材23から吐き出して、中間転写ベルト11までトナーを戻す工程を示している。
トナー保持部材23に付着している残留トナーは極性が一定でないため、非作像時にバイアス印加手段23aによって正負のバイアスが印加されて2次転写搬送ベルト18に戻される。
次に、2次転写搬送ベルト18上に戻ったトナーは、2次転写搬送ベルト18から、トナー戻し手段であるバイアス印加手段25からの正負のバイアス印加によって中間転写ベルト11に戻す操作が必要になってくる。
【0018】
本発明によれば、2次転写搬送ベルト18上に残留したトナーにバイアスを印加するバイアス印加手段25を有するため、トナー保持部材23から吐き出された2次転写搬送ベルト18上のトナーの極性を揃えて、1つの極性のバイアス印加で中間転写ベルト11にトナーを戻すことにより時間短縮できる。
このように、時間短縮のためには、2次転写搬送ベルト18上に戻された残留トナーにバイアスを印加して極性を一定にすれば、1つの極性のバイアス印加で中間転写ベルト11にトナーを戻すことができる。
2次転写をベルトで行なうことにより、転写ローラに比べて外周が長いため、非作像時のクリーニングに時間が掛かってしまうという課題がある。そこで、2次転写搬送ベルト18が作像線速より速い線速を持ち、非作像時に、作像線速より速い線速で2次転写搬送ベルト18を回転してこの2次転写搬送ベルト18上の残留トナーを短時間に効率的に中間転写ベルト11に戻すことが可能である。
【0019】
また、非作像時、作像時より速い回転数にて残留トナー保持部材23が保持したトナーを2次転写搬送ベルト18に戻すため、時間短縮が可能である。さらに、2次転写搬送ベルト18に潤滑剤塗布手段26によって潤滑剤を塗布することにより表面の摩擦係数を小さくし、残留したトナーを中間転写ベルト11に戻り易くすることができる。
図5では、2次転写搬送ベルト18へ接触するバイアス印加手段25の接触部を潤滑剤塗布手段26の役割をするブラシローラ26aとしている。2次転写搬送ベルト18に潤滑剤を塗布することにより表面の摩擦係数を小さくし、残留したトナーを中間転写ベルトに戻り易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるタンデム型間接転写方式の電子写真装置である複写機の実施の形態を示す概略図である。
【図2】本発明による転写装置の構成を示す概略図である。
【図3】図2の転写装置の構成の変形例を示す概略図である。
【図4】トナーの円形度とクリーニング性の関係をグラフで示す図である。
【図5】本発明による転写装置の動作を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0021】
1 像担持体(感光体)、7 画像形成手段、8 2次転写部(2次転写装置)、9 支持回転体(ローラ)、10 画像形成装置(複写機)、11 中間転写体(中間転写ベルト)、12 支持回転体(ローラ)、13 支持回転体(ローラ)、14 支持回転体(ローラ)、15 2次転写ローラ、18 2次転写搬送ベルト、20 1次転写ローラ、23 トナー保持手段(トナー保持部材)、24 トナー濃度検知手段、25 バイアス印加手段(トナー戻し手段)、P 記録シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される像担持体から1次転写されるトナー像を記録シートに2次転写させる2次転写部まで前記トナー像を搬送する中間転写体と、前記2次転写部で少なくとも当接し、該2次転写部を通過する前記記録シートを搬送するために複数のローラに張架されて回転する無端状の2次転写搬送ベルトと、を備える転写装置において、前記2次転写搬送ベルト上に残留したトナーを、該2次転写搬送ベルト上から除去して一時的に保持するトナー保持手段と、前記トナーを前記中間転写体に戻すトナー戻し手段と、を有することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記2次転写搬送ベルトが弾性層を有することを特徴とする請求項1記載の転写装置。
【請求項3】
前記中間転写体が少なくとも2つ以上の支持回転体に掛け回された中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1記載の転写装置。
【請求項4】
前記2次転写搬送ベルトの表面のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段を有することを特徴とする請求項2記載の転写装置。
【請求項5】
前記トナー保持手段が、ブラシ状の部材又はスポンジ状のローラ部材であることを特徴とする請求項1記載の転写装置。
【請求項6】
前記2次転写搬送ベルト上に残留したトナーにバイアスを印加するバイアス印加手段を有することを特徴とする請求項5記載の転写装置。
【請求項7】
前記2次転写搬送ベルトがトナー像を作成する作像線速より速い線速を持ち、非作像時、前記作像線速より速い線速にて残留トナーを前記中間転写体に戻す方式であることを特徴とする請求項6記載の転写装置。
【請求項8】
前記トナー保持手段が、前記2次転写搬送ベルトに対して、作像時より速い回転数で回転可能であり、非作像時、作像時より速い回転数にて前記トナー保持手段に保持したトナーを前記2次転写搬送ベルトに戻す方式であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の転写装置。
【請求項9】
前記2次転写ベルトの表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備えることを特徴とする請求項6記載の転写装置。
【請求項10】
像担持体上に形成された静電潜像をトナーで現像して可視化し、前記トナー像を記録シート上に転写し、該記録シート上の前記トナー像を熱及び圧力により前記記録シート上に定着させる画像形成装置において、前記記録シート上へのトナー像の転写に、請求項1乃至9のいずれか1項記載の転写装置を使用することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−157098(P2009−157098A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335100(P2007−335100)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】