説明

転圧装置及びこの転圧装置を用いる締固め方法

【課題】車体に片持ち支持されたロールの幅が長くても、ロールから車体に伝達される振動を抑制することが可能な転圧装置及びその転圧装置を用いた締固め方法を提供する。
【解決手段】転圧装置1は、人が乗用可能な車体2と、車体2の前部及び後部にそれぞれ設けられた前ロール3、後ロール4とを備える。前ロール3は、片側端部3aを車体2の側面から延設されているロール支持装置7にて、回転可能に片持ち支持されているとともに、片側端部3aと反対側の他端部3bが車体2よりも側方に突出するように又は車体2の側面と面一になるように設けられている。前ロール3の上下方向への振動を吸収するための振動吸収手段22が、車体2の前部の下面2aと前ロール3との間に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盛土等の締固めや転圧・整形に用いられる転圧装置及び締固め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
盛土等の締固め対象箇所を締固める転圧ローラー等の転圧装置は、ロールの両端部をそれぞれ支持する支持部材が車体の側方に突出するように設けられているため、締固め対象箇所の側部に設けられている塀や壁等の側面のすぐ際までロールを寄せることができずに、締固め対象箇所の隅部を転圧できなかった。このため、このような未転圧の隅部は、転圧装置での締固め作業終了後に、人がダンパ等の締固め機で締固めなければならなかった。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、ロールの片側端部を車体で片持ち支持する構造の転圧装置が開示されている。その転圧装置は、ロールの片側端部を車体で片持ち支持し、その片側端部と反対側のロールの他端部を壁際に寄せて、締固め対象箇所の隅部を締固めるものである。
【特許文献1】特開2001−248109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の片持ち支持構造において、ロールの幅を長くすると、支持されていない側のロール端部の振動幅が大きくなるとともに、ロールの振動が車体に伝達されて転圧装置を安定して走行させることが困難になるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、車体に片持ち支持されたロールの幅が長くても、ロールから車体に伝達される振動を抑制することが可能な転圧装置及びその転圧装置を用いた締固め方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の転圧装置は、ロールの軸方向の片側端部を車体で片持ち支持し、当該ロールで締固め対象箇所を締固める転圧装置であって、前記ロールを振動させるための起振手段と、前記ロールと前記車体との間に設けられ、前記ロールから前記車体に伝達される上下方向の振動を吸収するための振動吸収手段とを備えることを特徴とする(第1の発明)。
【0007】
本発明の転圧装置によれば、ロールを振動させるための起振手段と、ロールと車体との間に設けられ、ロールの振動を吸収するための振動吸収手段とを備えているので、ロールの上下方向の振動を吸収して車体に振動が伝達することを防止できる。したがって、転圧装置を安定して走行させることができる。
【0008】
本発明において、前記ロールの前記片側端部と反対側の他端部が、前記車体の側方へ水平に突出するように又は前記車体の側面と面一になるように設けられることとしてもよい。
本発明の転圧装置によれば、ロールの軸方向の片側端部を車体で片持ち支持され、かつ、その片側端部と反対側のロールの他端部が車体の側方へ突出するように又は車体の側面と面一になるように設けられているので、塀や壁等の側面にロールを近接させて、締固め対象箇所の塀や壁等のすぐ際の隅部を締固めることができる。したがって、転圧装置での締固め作業終了後に、人が締固め対象箇所の隅部を締固める作業を省くことができる。
【0009】
本発明において、前記ロールの前記他端部の側面には、摩擦低減手段が設けられていることとしてもよい。
本発明の転圧装置によれば、ロールの他端部の側面に摩擦低減手段を備えているので、ロールの他端部の側面を塀や壁等の側面に接触させてもほとんど摩擦を生じない。すなわち、ロールを回転させながらロールの他端部の側面を塀や壁等の側面に接触させても、共に損傷しない。したがって、ロールを塀や壁の壁面に接触させながら、ロールを回転させて締固め対象箇所の塀や壁等の側面のすぐ際の隅部を確実に締固めることができる。
【0010】
本発明において、前記摩擦低減手段は、円盤状で、滑らかな表面を有する板状部材であることとしてもよい。
本発明の転圧装置によれば、摩擦低減手段は、円盤状で、滑らかな表面を有する板状部材なので、ロールの他端部の側面を塀や壁等の側面に接触させてもほとんど摩擦を生じない。
【0011】
本発明において、前記摩擦低減手段は、前記ロールの前記他端部の側面から一部が外方に突出し、かつ、回転可能となるように前記ロール内に埋め込まれた球体であることとしてもよい。
本発明の転圧装置によれば、摩擦低減手段は、前記ロールの前記他端部の側面から一部が外方に突出し、かつ、回転可能となるように前記ロール内に埋め込まれた球体なので、ロールの他端部の側面を塀や壁等の側面に接触させてもほとんど摩擦を生じない。
【0012】
本発明において、前記摩擦低減手段は、ベアリングであることとしてもよい。
本発明の転圧装置によれば、摩擦低減手段は、ベアリングなので、ロールの他端部の側面を塀や壁等の側面に接触させてもほとんど摩擦を生じない。
【0013】
本発明の締固め方法は、ロールの軸方向の片側端部を車体で片持ち支持する支持手段と、前記ロールを振動させるための起振手段と、前記ロールと前記車体との間に設けられ、前記ロールから前記車体に伝達される上下方向の振動を吸収するための振動吸収手段とを備えた転圧装置を用いて締固め対象箇所を締固める締固め方法において、前記締固め対象箇所の側部に立設された壁面に、前記ロールの前記他端部の側面を近接又は接触させて、前記締固め対象箇所の隅部を締固めることを特徴とする。
【0014】
本発明の締固め方法によれば、ロールの軸方向の片側端部を車体で片持ち支持する支持手段と、ロールを振動させるための起振手段と、ロールと車体との間に設けられ、ロールから車体に伝達される上下方向の振動を吸収するための振動吸収手段とを備えた転圧装置を用いるので、ロールから車体に伝達される上下方向の振動を吸収して転圧装置を走行させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の転圧装置及びこの転圧装置を用いた締固め方法によれば、車体に片持ち支持されたロールの幅が長くても、ロールから車体に伝達される振動を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態においては、転圧装置としてマカダム型振動ローラーを用いた場合について説明するが、これに限定されるものではなく、ロールを回転させて締固め対象箇所を締固める振動ローラーであればよく、いかなる型式の振動ローラーにも適用可能である。
【0017】
図1及び図2は、それぞれ本発明の第一実施形態に係る転圧装置1の側面図、及び正面図である。
図1及び図2に示すように、転圧装置1は、人が乗車可能な車体2と、車体2の前部及び後部にそれぞれ設けられた前ロール3及び後ロール4とを備え、転圧装置1を前進又は後進させることにより、締固め対象箇所5を締固めるものである。
【0018】
車体2には運転席6が設けられており、人が乗車して転圧装置1を操作することが可能である。また、車体2には、エンジン、このエンジンによって駆動される油圧ポンプ等の機器が積載されている(図示しない)。
車体2の前部の前ロール3は、片側端部3aを車体2の側面から延設されているロール支持装置7にて、回転可能に片持ち支持されているとともに、片側端部3aと反対側の他端部3bが車体2の側方に突出するように設けられている。
【0019】
ロール支持装置7は、車体2の片側側面にバネ11を介して下向きに延設される縦脚材8と、前ロール3内及び走行用モータ12(後述する)内を貫通し、一端9aが縦脚材8に支持される回転軸9とから構成されている。縦脚材8は、肉厚の鋼板材を用いて形成されている。
縦脚材8に接続されている回転軸9の一端9aは、縦脚材8に固定されている軸受け10aにより回転可能に支持されている。また、回転軸9の他端9bは、前ロール3の上記他端部3bの側面に軸受け10cを介して支持されている。さらに、回転軸9の中間部9cは、軸受け10bにより支持されている。
前ロール3内には、回転軸9を中心にして前ロール3を回転させるための回転手段である走行用モータ12と、この前ロール3を振動させるための起振手段13とが設けられている。
【0020】
走行用モータ12は、前ロール3を回転させて転圧装置1を走行させるためのモータである。この走行用モータ12は、その貫通孔14が回転軸9と同軸になるように配置され、出力部15が前ロール3の片側端部3aの側面に固定され、固定部16が縦脚材8から延設された固定板17に固定されている。
走行用モータ12は、上記油圧ポンプに接続されていて、その油圧ポンプから供給される油圧によって駆動する。走行用モータ12を駆動させると、固定部16に対して出力部15が回転することにより、この出力部15に固定された前ロール3が回転し、転圧装置1が走行する。
【0021】
起振手段13は、回転軸9に取り付けられた偏心錘18と、回転軸9を回転させるための振動用モータ19と、振動用モータ19の出力部15に取り付けられた出力ギア20とから構成され、その出力ギア20が回転軸9に取り付けられた入力ギア21と噛み合って回転することによって、回転軸9を回転させる。
【0022】
振動用モータ19は、上記油圧ポンプに接続されていて、その油圧ポンプから供給される油圧によって駆動する。振動用モータ19を駆動させると、出力ギア20が回転することによって入力ギア21が回転するとともに、回転軸9及び偏心錘18も回転する。これら回転軸9及び偏心錘18を高速回転させることにより前ロール3の振動を発生させる。
【0023】
図3は、図2のA−A断面であり、振動吸収手段22及び前ロール3の鉛直断面図である。
図3に示すように、車体2に伝達する前ロール3の上下方向への振動を吸収するための振動吸収手段22が、車体2の前部の下面2aと前ロール3との間に設けられている。
【0024】
振動吸収手段22は、回転可能なローラー23と、そのローラー23を支持するブラケット24と、一端がブラケット24に接続され、他端が車体2の前部の下面2aに接続された複数のバネ25とから構成される。
ローラー23は、前ロール3の回転軸9よりも前側及び後側にそれぞれ1台ずつ設けられ、これらは1つのブラケット24で並列に連結されている。
ブラケット24で連結された一組のローラー23は、本実施形態においては、前ロール3の上方の2箇所(図2参照)に設けたが、この数及びこの位置に限定されるものではなく、前ロール3の振幅等に基づいて設計等により適宜決定される。
ローラー23の材質は、本実施形態においては、例えば、硬質のプラスチックを用いたが、これに限定されるものではない。
【0025】
前ロール3が上下方向へ振動すると、前ロール3がローラー23に当接し、そのローラー23も上下に振動する。このローラー23の上下方向への振動をバネ25が伸縮して吸収する。前ロール3が回転しながらローラー23に当接しても、ローラー23は回転可能なので、前ロール3の回転を阻害しない。
【0026】
図4は、前ロール3の他端部3bを示す側面図であり、図5は、図4のB−B断面図である。
図4及び図5に示すように、車体2の側方へ突出している前ロール3の他端部3bの側面には、前ロール3の側面が壁30に接触しても前ロール3が回転できるように摩擦低減手段26が設けられている。
【0027】
摩擦低減手段26は、前ロール3の側面に形成された溝27内に埋め込まれ、回転可能な球体28と、この球体28に作用する衝撃を吸収するための防振ゴム29とから構成される。
球体28は、前ロール3の側面の周方向に所定の間隔で、複数個埋設されていて、球体28の一部がこの側面から外方に突出するように設けられている。
防振ゴム29は、球体28が前ロール3に接触しないように、溝27内のすべての面を覆うように接着剤等により取り付けられている。
球体28と防振ゴム29との間には潤滑剤が塗布されており、球体28は滑らかに回転可能である。
前ロール3を回転させながら、前ロール3の他端部3bの側面を壁30に近付けると、まず、球体28の一部が壁30に接触する。球体28が壁30に接触しても、球体28が滑らかに回転するので前ロール3の回転を阻害しない。
【0028】
なお、本実施形態においては、摩擦低減手段26として、球体28と防振ゴム29とを用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図6及び図7に示すように、ベアリングを用いてよく、例えば、前ロール3の径よりも小さい径のスラスト玉軸受け31を前ロール3の側面に取り付けてもよい。
【0029】
後ロール4は、車体2の後部の両側側面にそれぞれ溶接等により固着され、下向きに延設される一対の縦脚材8で回転可能に支持されている。
後ロール4は、駆動手段を備えていないので、前ロール3によって転圧装置1が走行するときに、この転圧装置1の走行に追従して回転する。
【0030】
以上の構成からなる転圧装置1により、壁30のすぐ際の締固め対象箇所5の隅部を締固める場合には、図8に示すように、前ロール3の他端部3bの側面を壁30に近接又は接触させて、転圧装置1を壁30に沿って走行させる。
【0031】
上述したように、本実施形態の転圧装置1によれば、前ロール3を振動させるための起振手段13と、前ロール3と車体2との間に、前ロール3の上下方向の振動を吸収するための振動吸収手段22とを備えているので、前ロール3の上下方向の振動を吸収して車体2に振動が伝達することを防止できる。したがって、転圧装置1を安定して走行させることができる。
【0032】
また、前ロール3の片側端部3aを車体2で片持ち支持し、かつ、その片側端部3aと反対側のロールの他端部3bが車体2の側方へ突出するように設けられているので、壁30に前ロール3を近接又は接触させて、締固め対象箇所5の壁30のすぐ際の隅部を締固めることができる。したがって、転圧装置1での締固め作業終了後に、人が締固め対象箇所5の隅部を締固める作業を省くことができる。
【0033】
また、前ロール3の他端部3bの側面に、滑らかに回転可能な球体28を備えているので、側面を壁30に接触させてもほとんど摩擦抵抗を生じない。したがって、前ロール3の他端部3bの側面を壁30に接触させながら前ロール3を回転させて、締固め対象箇所5を締固めることができる。
【0034】
なお、本実施形態においては、起振手段13として、1本の回転軸9を中心に偏心錘18を回転させて上下振動を発生させる一軸偏心式について説明したが、これに限定されるものではなく、二つの偏心錘18でそれぞれ2本の回転軸9を等速対向に回転させ上下振動を発生させる二軸偏心式(後述する)や回転軸9に対して可動となる可動偏心錘18にて起振させる可変振幅式も適用可能である。
【0035】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。以下の説明において、第一実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
第二実施形態は、第一実施形態とは異なる回転手段32、起振手段33、振動吸収手段34、摩擦低減手段43を用いたものである。
【0036】
図9は、本発明の第二実施形態に係る転圧装置35の正面図である。
図9に示すように、転圧装置35の前ロール3は、第一実施形態と同様に、ロール支持装置7にて片持ち支持されているとともに、他端部3bが車体2の側方へ突出するように設けられている。
【0037】
前ロール3を回転させるための回転手段32は、走行用モータ36と、走行用モータ36の出力部15に接続された内側ギア37とから構成され、その内側ギア37が前ロール3の内周面に設けられた外側ギア38と噛み合って回転することによって、前ロール3を回転させる。
前ロール3を振動させるための起振手段33は、前ロール3の回転軸9に対して平行に設置された2本の起振軸39と、各起振軸39にそれぞれ取り付けられた偏心錘18と、各起振軸39をそれぞれ回転させるための振動用モータ19とから構成される。
【0038】
2本の起振軸39は、回転軸9を挟んで180°正対する位置に設けられている。そして、各起振軸39の一端39aは、前ロール3の他端部3bの側面に軸受け10dを介して接続され、他端39bは、前ロール3の片側端部3aの側面に設けられた軸受け10e内を挿通し、振動用モータ19の出力部15に接続されている。
各振動用モータ19の固定部16は、前ロール3の片側端部3aの側面に取り付けられた門形のブラケット40に固定されている。
振動用モータ19を駆動させると、固定部16に対して出力部15が回転することにより、この出力部15に接続された起振軸39及び偏心錘18が回転する。これら起振軸39及び偏心錘18を高速回転させることにより前ロール3の振動を発生させる。また、この両起振軸39を等速対向に回転させることにより、前ロール3には上下振動のみが発生する。
【0039】
図10は、図9のD−D断面であり、振動吸収手段34及び前ロール3の鉛直断面図である。
図10に示すように、車体2に伝達する前ロール3の上下方向への振動を吸収するための振動吸収手段34は、滑らかな表面を有する円弧状の板状部材41と、一端が板状部材41に接続され、他端が車体2の前部の下面2aに接続された複数のショックアブソーバー42とから構成される。
【0040】
円弧状の板状部材41は、前ロール3と同一径を有し、その表面は滑らかなので、前ロール3に当接しても前ロール3の回転を阻害しない。
前ロール3が上下方向へ振動すると、前ロール3が板状部材41に当接し、その板状部材41も上下に振動する。この板状部材41の上下方向への振動をショックアブソーバー42が伸縮して吸収する。
【0041】
図11、図12は、摩擦低減手段を前ロール3の他端部3bの側面に取り付けた状態を示す側面図及び平面図である。
図11及び図12に示すように、摩擦低減手段は、平滑な表面を有する円盤状の板状部材44で、前ロール3の他端部3bの側面を覆うように取り付けられている。
前ロール3の他端部3bの側面を壁30に近接させると、まず、板状部材44が壁30に接触する。板状部材44が壁30に接触してもその表面が滑らかなので、前ロール3の回転を阻害しない。
【0042】
上述したように、本実施形態の転圧装置35によれば、前ロール3を振動させるための起振手段33と、前ロール3と車体2との間に、前ロール3の上下方向の振動を吸収するための振動吸収手段34とを備えているので、前ロール3の上下方向の振動を吸収して車体2に振動が伝達することを防止できる。したがって、転圧装置25を安定して走行させることができる。
【0043】
また、前ロール3の他端部3bの側面に、表面が滑らかな板状部材44を備えているので、側面を壁30に接触させてもほとんど摩擦抵抗を生じない。したがって、前ロール3の他端部3bの側面を壁30に接触させながら前ロール3を回転させて、締固め対象箇所5を締固めることができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、二つの偏心錘18でそれぞれ2本の起振軸39を等速対向に回転させ上下振動を発生させる二軸偏心式について説明したが、これに限定されるものではなく、第一実施形態で示した一軸偏心式や起振軸39に対して可動となる可動偏心錘18にて起振させる可変振幅式も適用可能である。
【0045】
また、上述した各実施形態で用いた回転手段12、32、起振手段13、33、振動吸収手段22、34、摩擦低減手段26、44は、それぞれ他方の実施形態でも適用可能である。
【0046】
また、上述した各実施形態において、振動吸収手段22、34は、ローラー23とブラケット24とバネ25とから構成される場合及び板状部材41とショックアブソーバー42とから構成される場合のそれぞれについて説明したが、これらの構成に限定されるものではなく、前ロール3の上下方向への振動を吸収することができるものであれば良い。
【0047】
また、上述した各実施形態において、転圧装置1、35の前ロール3のみを車体2よりも側方に突出するように設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、後ロール4のみ、前後ロール3、4共に側方に突出するように設けても良い。
【0048】
また、上述した各実施形態において、人が乗用して運転するタイプの転圧装置1、35について説明したが、これに限定されるものではなく、人力にて振動ローラーの方向性を操作する転圧装置にも適用可能である。
【0049】
また、上述した各実施形態において、走行用モータ12、32と起振手段13、33とを同一のロール内に設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、両手段をそれぞれ別のロールに設けてもよい。
【0050】
さらに、上述した各実施形態において、前ロール3の他端部3bを車体2の側方に突出するように設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前ロール3をその他端部3bの端面が車体2の側面と面一になるように設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第一実施形態に係る転圧装置の側面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る転圧装置の正面図である。
【図3】図2のA−A断面であり、振動吸収手段及び前ロールの鉛直断面図である。
【図4】前ロールの他端部を示す側面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】摩擦低減手段の他の実施例を示す図である。
【図7】図6のC−C矢視図である。
【図8】転圧装置で締固め対象箇所を締固めている状態を示す図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係る転圧装置の正面図である。
【図10】図9のD−D断面であり、振動吸収手段及び前ロールの鉛直断面図である。
【図11】摩擦低減手段を前ロールの他端部の側面に取り付けた状態を示す側面図である。
【図12】摩擦低減手段を前ロールの他端部の側面に取り付けた状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 転圧装置 2 車体
2a 下面 3 前ロール
3a 片側端部 3b 他端部
4 後ロール 5 締固め対象箇所
6 運転席 7 ロール支持装置
8 縦脚材 9 回転軸
9a 一端 9b 他端
9c 中間部 10 軸受け
11 バネ 12 走行用モータ
13、33 起振手段 14 貫通孔
15 出力部 16 固定部
17 固定板 18 偏心錘
19 振動用モータ 20 出力ギア
21 入力ギア 22、34 振動吸収手段
23 ローラー 24 ブラケット
25 バネ 26 摩擦低減手段
27 溝 28 球体
29 防振ゴム 30 壁
31 スラスト玉軸受け 32 回転手段
35 転圧装置 36 走行用モータ
37 内側ギア 38 外側ギア
39 起振軸 39a 一端
39b 他端 40 門形のブラケット
41 板状部材 42 ショックアブソーバー
44 板状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールの軸方向の片側端部を車体で片持ち支持し、当該ロールで締固め対象箇所を締固める転圧装置であって、
前記ロールを振動させるための起振手段と、
前記ロールと前記車体との間に設けられ、前記ロールから前記車体に伝達される上下方向の振動を吸収するための振動吸収手段とを備えることを特徴とする転圧装置。
【請求項2】
前記ロールの前記片側端部と反対側の他端部が、前記車体の側方へ水平に突出するように又は前記車体の側面と面一になるように設けられることを特徴とする請求項1に記載の転圧装置。
【請求項3】
前記ロールの前記他端部の側面には、摩擦低減手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の転圧装置。
【請求項4】
前記摩擦低減手段は、円盤状で、滑らかな表面を有する板状部材であることを特徴とする請求項3に記載の転圧装置。
【請求項5】
前記摩擦低減手段は、前記ロールの前記他端部の側面から一部が外方に突出し、かつ、回転可能となるように前記ロール内に埋め込まれた球体であることを特徴とする請求項3に記載の転圧装置。
【請求項6】
前記摩擦低減手段は、ベアリングであることを特徴とする請求項3に記載の転圧装置。
【請求項7】
ロールの軸方向の片側端部を車体で片持ち支持する支持手段と、前記ロールを振動させるための起振手段と、前記ロールと前記車体との間に設けられ、前記ロールから前記車体に伝達される上下方向の振動を吸収するための振動吸収手段とを備えた転圧装置を用いて締固め対象箇所を締固める締固め方法において、
前記締固め対象箇所の側部に立設された壁面に、前記ロールの前記他端部の側面を近接又は接触させて、前記締固め対象箇所の隅部を締固めることを特徴とする締固め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−106507(P2010−106507A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278681(P2008−278681)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】