説明

軸受保持器用金型、軸受保持器、および軸受保持器の製造方法

【課題】樹脂製の軸受保持器を多数個取り可能な射出成形金型であって、構造が複雑でなくコンパクトな軸受保持器用金型、および該金型を用いて製造された潤滑油流動性や保持器強度に優れる軸受保持器、並びに該金型を用いた軸受保持器の製造方法を提供する。
【解決手段】ラジアル軸受の軸受保持器9を樹脂組成物の射出成形で多数個取りするための軸受保持器用金型1であり、固定型2と可動型3とスライドコア4とを有し、固定型2と可動型3とのパーティングラインが1ヶ所であり、該金型における成形キャビティが、可動型3の可動方向に直列にスライドコア4により分けられて複数形成され、保持器9の内径側中空部を形成するコアピン5を有し、それぞれの成形キャビティに樹脂を充填するためのサブマリンゲートが該コアピン5に形成されており、スライドコア4の可動方向内側に、保持器9のポケット部を形成するためのポケット形成用凸部4cが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受保持器を射出成形する際に多数個取りできる軸受保持器用金型(射出成形金型)、軸受保持器、および軸受保持器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂からなる製品を製造する手段として、射出成形による製造方法が一般的に行なわれている。射出成形は複雑な形状の製品を製造する場合にも、射出成形金型によって容易に大量生産が可能である。一般的に、射出成形金型は、固定型(固定側の金型)と、固定型に対して型締め、型開き可能な可動型(可動側の金型)と、から構成される。型締めされた固定型と可動型とによって形成された成形キャビティに溶融樹脂を射出充填して固化させることにより、成形キャビティの形状に対応する成形品を成形する。
【0003】
射出成形金型では、一つの射出成形金型に複数の成形キャビティを設けることによって、一回の成形工程で複数の成形品を同時に製造することが可能である。そのような多数個取りの射出成形金型は、通常、固定型と可動型の合わせ面(パーティングライン(以下、PLと記す))に成形キャビティが並列に並べられている。
【0004】
従来、ボールベアリングやニードルベアリングの合成樹脂製の保持器を、射出成形で製造することが知られている。例えば、ボールベアリングの保持器を製造する技術(金型)として、固定金型と、固定金型の軸方向に直列に配設された複数の可動金型とを備えた射出成形金型であって、この可動金型が、上記固定金型に対して半径方向に離接可能なように上記固定金型の外周側に配設された複数のスライドコアと、上記固定金型に対して半径方向に離接可能とされると共に成形樹脂を射出するためのランナが設けられたランナ用スライドコアとを備えているものも知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、ニードルベアリングの保持器を製造する技術としては、保持器のポケットを形成するスライドコアの合わせ部が、柱部に位置させて射出成形することで形成されることが知られている(特許文献2参照)。
【0006】
一方、自動車用トランスミッションや遊星減速機でニードルベアリングを使用する場合には、潤滑油が軸受内に入りにくい。このため、軸受が短時間で破損したり、焼付いたりすることがある。また、軸受内に入った鉄粉などのコンタミが排出されにくく、コンタミを噛み込んで軸受に圧痕が付き、その圧痕を起点とした破損が発生することがある。その対策として、各環状部の軸方向端面に複数の凹陥部を設けて、該凹陥部に潤滑油を保持させ、さらに摩耗粉などを補足させるニードルベアリングの保持器が知られている(特許文献3参照)。
【0007】
また、保持器の端部に、内径面から外径面に貫通した油路を、円周方向の複数箇所に設けたニードルベアリングの保持器が知られている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−225032号公報
【特許文献2】特開2005−201457号公報
【特許文献3】特開平08−200375号公報
【特許文献4】特開2006−002904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された保持器の製造技術は、ランナが設けられたランナ用スライドコアが設けられているため、溶融樹脂の流路が複雑な構造になり、製造コストが高くなる。また、金型構造が複雑になるため、金型自体が大きくなり、使用できる射出成形機が限られる。また、特許文献2に開示された保持器の製造技術は、成形品の多数個取りが困難であり、保持器の生産性を高くすることが困難である。
【0010】
また、特許文献3に開示された保持器は、潤滑油の通路がないため、潤滑油の流動性が十分でなく、潤滑油を供給しようとしている他部品への潤滑油量が不足し、潤滑不良や摩耗などの問題が発生する場合がある。一方、特許文献4に開示された保持器は、潤滑油の流動性は十分に確保できるが、鍔のポケットに対向する位置に内径面から外径面に貫通した油路があるので、保持器の強度が低下するという問題がある。
【0011】
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、樹脂製の軸受保持器を多数個取り可能な射出成形金型であって、構造が複雑でなくコンパクトな軸受保持器用金型、および該金型を用いて製造された潤滑油流動性や保持器強度に優れる軸受保持器、並びに該金型を用いた軸受保持器の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の軸受保持器用金型は、ラジアル軸受の軸受保持器を樹脂組成物の射出成形で多数個取りするための金型であって、可動型と固定型とスライドコアとを有し、上記固定型と上記可動型とのPLが1ヶ所であり、該金型における成形キャビティが、上記可動型の可動方向に直列に上記スライドコアにより分けられて複数形成され、上記保持器の内径側中空部を形成するコアピンを有し、それぞれの上記成形キャビティに樹脂を充填するためのサブマリンゲートが該コアピンに形成されており、上記スライドコアの可動方向内側に、上記保持器のポケット部を形成するためのポケット形成用凸部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記スライドコアの可動方向内側に設けられた、上記コアピンと接触するキャビティ分割用凸部によって、上記成形キャビティが上記可動型の可動方向に直列に分けられて複数形成されていることを特徴とする。
【0014】
上記スライドコアが、上記固定型と上記可動型とのPLをキャビティ正面から見たとき、上記成形キャビティを中心にして放射状に可動することを特徴とする。また、上記スライドコアが、1セットであることを特徴とする。
【0015】
本発明の軸受保持器は、ラジアル軸受の保持器であり、上記本発明の金型を用いて樹脂組成物の射出成形によって製造されることを特徴とする。特に、ボールベアリング、または、ニードルベアリングの保持器であることを特徴とする。
【0016】
上記軸受保持器は、保持器鍔に内径から外径に向かう油溝が設けられていることを特徴とする。また、鍔幅をW、油溝深さをAとすると、0<A<0.3Wであることを特徴とする。また、柱幅をV、油溝幅をBとすると、0.5V<B≦1.0Vであることを特徴とする。
【0017】
上記油溝が、上記ポケット部の間に形成される軸方向の柱を挟んで、軸方向で対向する位置に形成されていることを特徴とする。また、隣り合う上記スライドコアの合わせ目に形成されるスライドコアパーティングライン(以下、SPLと記す)痕が、上記油溝および上記柱に形成されることを特徴とする。
【0018】
上記軸受保持器が、転動体案内方式、または、内径案内方式であることを特徴とする。また、上記サブマリンゲートのゲート痕が、保持器内径面に形成されることを特徴とする。
【0019】
上記軸受保持器を形成する樹脂組成物が、ポリアミド樹脂に、ガラス繊維または炭素繊維を配合してなる樹脂組成物であることを特徴とする。
【0020】
本発明の軸受保持器の製造方法は、上記本発明の金型を用いた樹脂組成物の射出成形によってラジアル軸受の軸受保持器を複数個同時に製造する製造方法であって、上記固定型と上記可動型とを衝合した状態で上記スライドコアにより分けられた複数の上記成形キャビティに上記サブマリンゲートを介して樹脂を射出充填する工程と、該樹脂が固化後、上記可動型を開き、かつ、上記スライドコアを可動させて、上記コアピンの部分が内径側中空部であり、上記ポケット形成用凸部の部分がポケット部である上記成形キャビティの形状の複数の軸受保持器を取り出す工程とを備えてなることを特徴とする。
【0021】
上記取り出す工程は、1つの軸受保持器の鍔幅面を突き出しピンにより突き出すことで、複数の軸受保持器のすべてを取り出す工程であることを特徴とする。また、上記取り出し後の軸受保持器について、後加工しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の軸受保持器用金型は、射出成形金型であり、可動型と固定型とスライドコアとを有し、固定型と可動型とのPLが1ヶ所であり、該金型における成形キャビティが、可動型の可動方向に直列にスライドコアにより分けられて複数形成され、保持器の内径側中空部を形成するコアピンを有し、それぞれの成形キャビティに樹脂を充填するためのサブマリンゲートが該コアピンに形成されており、スライドコアの可動方向内側に、保持器のポケット部を形成するためのポケット形成用凸部が設けられているので、従来、多数個取りが困難であったラジアル軸受の保持器を容易に多数個取りで製造できる。
【0023】
また、多数個取りの金型でありながら、成形キャビティを並列に形成することなく、射出成形金型の大きさ(縦横寸法)を1個取りの射出成形金型と同じにすることができる。また、PLが1ヶ所であるので、金型の型開き構造が単純化できる。さらに、ゲートが軸受保持器の内径側中空部を形成するコアピンに形成されたサブマリンゲートであるので、溶融樹脂の流路を単純な構造にすることができ、ゲートをスライドコアに形成する場合と比較して、射出成形金型の単純化が可能であり、金型の大型化を避けられる。
【0024】
これらの結果、軸受保持器を製造する際に、射出成形機の選択自由度が高くなる。また、軸受保持器を安価に大量生産でき、製造コストが低く抑えられた価格競争力のある軸受保持器を得ることができる。
【0025】
上記スライドコアの可動方向内側に設けられた、上記コアピンと接触するキャビティ分割用凸部によって、上記成形キャビティが上記可動型の可動方向に直列に分けられて複数形成されているので、1セットのスライドコアを用いる簡易な構造で複数個の軸受保持器を成形できる。
【0026】
上記成形キャビティが上記可動型の可動方向に直列に分けられて複数形成されているので、上記スライドコアが、上記固定型と上記可動型とのPLをキャビティ正面から見たとき、成形キャビティを中心にして放射状に可動する構造とする場合でも、金型構造が複雑になることが無い。
【0027】
上記スライドコアは、1セットのみ使用するので、金型構造が複雑にならず、複数の軸受保持器が製造可能になる。また、金型の大型化も避けられる。
【0028】
本発明の軸受保持器は、上記金型を用いて樹脂組成物の射出成形によって製造されるので、複数個を同時に得られ、製造コストを低く抑えることができる。また、本発明の軸受保持器は、ボールベアリングおよびニードルベアリングの保持器として好適に使用できる。
【0029】
上記軸受保持器は、保持器鍔に内径から外径に向かう油溝が設けられているので、使用時において潤滑油の流動性が確保できる。
【0030】
上記油溝が、ポケット部の間に形成される軸方向の柱を挟んで、軸方向で対向する位置に形成されているので、保持器強度の低下を防止できる。
【0031】
鍔と油溝の関係について、鍔幅をW、油溝深さをAとした場合に、0<A<0.3Wとすることで、さらに保持器強度の低下を防止できる。
【0032】
柱と油溝の関係について、柱幅をV、油溝幅をBとした場合に、0.5V<B≦1.0Vとすることで、潤滑油の流動性が高くなる。また、金型の製造が容易になる。
【0033】
隣り合う上記スライドコアの合わせ目に形成されるSPL痕が、上記油溝および上記柱に形成されるので、鍔幅面にはSPL痕ができない。そのため、軸受回転中に、保持器が相手材ハウジングの幅面と接触し油膜切れを発生させる可能性を極力小さくすることができる。
【0034】
上記軸受保持器が、転動体案内方式、または、内径案内方式であるので、柱外径のSPL痕が外輪内径に接触しない。そのため、軸受転走面に金型の合わせラインが接触することはなく、油切れ等の発生がなくなり、軸受の信頼性が高まる。
【0035】
上記軸受保持器は、上記サブマリンゲートのゲート痕が保持器内径面に形成されているので、ゲート処理を省略することができる。
【0036】
上記保持器を形成する樹脂組成物が、ポリアミド樹脂に、ガラス繊維または炭素繊維を配合してなる樹脂組成物であるので、成形性に優れるとともに、保持器強度に優れ、さらに、軽量であり転動体の回転抵抗が小さくなる。
【0037】
本発明の軸受保持器の製造方法は、上記金型を用いた樹脂組成物の射出成形によってラジアル軸受の軸受保持器を複数個同時に製造する製造方法であって、固定型と可動型とを衝合した状態でスライドコアにより分けられた複数の成形キャビティにサブマリンゲートを介して樹脂を射出充填する工程と、該樹脂が固化後、可動型を開き、かつ、スライドコアを可動させて、コアピンの部分が内径側中空部であり、ポケット形成用凸部の部分がポケット部である成形キャビティの形状の複数の軸受保持器を取り出す工程とを備えてなるので、1セットのスライドコアによって同時に複数の軸受保持器が得られる。また、複雑な構造の射出成形金型を使用することなく、かつ、小さな射出成形金型によって製造でき、製造コストを低く抑えることができる。
【0038】
また、取り出す工程は、1つの軸受保持器の鍔幅面を突き出しピンにより突き出すことで、複数の軸受保持器のすべてを取り出す工程であるので、軸受保持器の取り出しが容易であり、突き出し構造も単純化できる。
【0039】
また、射出成形でゲートカットおよび軸受保持器の分割が行なわれるので、成形された軸受保持器の後加工を不要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の射出成形金型の一例を示す図であり、成形後にスライドコアが放射状に開いて軸受保持器が現れた状態を示す軸方向側面図である。
【図2】本発明の射出成形金型の一例を示す図であり、軸受保持器を突き出しピンにより突き出した状態を示す斜視図である。
【図3】図1および図2におけるスライドコアの単体斜視図である。
【図4】図1におけるコアピン周辺の拡大斜視図である。
【図5】本発明の軸受保持器の一例であるラジアル軸受のニードルベアリングの保持器を示す斜視図である。
【図6】図5における軸受保持器の一部拡大図である。
【図7】図5の軸受保持器の製造に用いる金型のスライドコアの単体斜視図である。
【図8】図5における軸受保持器の一部拡大図(SPL痕部分)である。
【図9】本発明の軸受保持器の製造方法における各工程を示す断面図である。
【図10】図9の製造工程において、キャビティ正面から見たスライドコアの可動の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の軸受保持器用金型の一実施例を図1および図2に基づいて説明する。図1は、成形後にスライドコアが放射状に開いて軸受保持器が現れた状態を示す軸方向側面図であり、図2は、軸受保持器を突き出しピンにより突き出した状態を示す斜視図である。図1および図2に示すように、本発明の軸受保持器用金型1は、ラジアル軸受である軸受保持器9を多数個取り(該図では2個)するための射出成形金型である。この軸受保持器9は、ニードルベアリングの保持器である。軸受保持器用金型1は、固定型2と可動型3と複数のスライドコア4とを有する。可動型3側にコアピン5を有し、該コアピン5の内部に成形キャビティに樹脂を充填するためのサブマリンゲート6が設けられている。コアピン5は、軸受保持器の内径側中空部を形成するものである。コアピン5は、可動型3の可動方向(図1中矢印)を軸方向とする円柱形状であり、成形キャビティの軸方向の中心に形成されている。固定型2と可動型3との衝合面となるPL8は1ヶ所である。PLが1ヶ所であるので、金型の型開き構造が単純化できる。また、複数の突き出しピン7が、可動型3側でコアピン5の周囲に設けられている。
【0042】
軸受保持器用金型1において、成形キャビティは、可動型3の可動方向に直列に複数(2個)形成される。この複数の成形キャビティは、固定型2と可動型3とが衝合された状態で、スライドコア4により可動型3の可動方向に直列に分けられることで形成されている。また、複数の成形キャビティは、すべて可動型3側に形成されている。この複数の成形キャビティにより、軸受保持器9を同時に複数個成形でき、多数個取りができる。成形キャビティを可動型3の可動方向に直列に形成することで、射出成形金型の大きさ(キャビティ正面から見た縦横寸法)を1個取りの射出成形金型と同じにできる。
【0043】
スライドコア4は、可動型3と固定型2とのPL8をキャビティ正面(コアピン軸方向)から見たとき、該成形キャビティを中心にして放射状に可動するものである。ここで、スライドコア4が放射状に可動するとは、可動型3と固定型2とのPL8をキャビティ正面から見たとき、複数個で構成されるスライドコア4のそれぞれが、成形キャビティを中心にして任意の円周角方向に可動し、スライドコア4全体として全周(360°)方向に放射状(同心円状)に広がるように可動することをいう(図10参照)。また、図1および図2では、説明のために簡略してスライドコア4は2個のみ表示しているが、実際の態様では、スライドコア4は、可動型3のすべての凹部3aに配置され、型締め時においてはコアピン5に衝合してその全周を隙間なく覆う形状となる。なお、隣り合うスライドコア4の合わせ目が、SPLとなる。
【0044】
図3にスライドコア4の単体斜視図を示す。スライドコア4は、可動方向内側の端面に設けられた、コアピンと接触するキャビティ分割用凸部4aを有する。ここで、可動方向内側とは、それぞれのスライドコア4において、該スライドコア4が可動する円周角方向の反対側をいう。凸部4aは、それぞれのスライドコア4の可動方向内側の端面4bにおいて、該スライドコアの周方向の全幅Wにわたり形成されている。なお、凸部4aの軸方向長さLは任意の長さに設定され、この長さLが成形キャビティ間の距離となる。スライドコア4は、複数個(1セット)で周方向を隙間なく覆う形状であるので、それぞれのスライドコア4の可動方向内側の端面において、凸部4aを該スライドコア4の周方向の全幅Wにわたり形成することで、型締め時において、スライドコア4の該凸部4aが周方向に連結された形で、コアピン5の軸方向の一部の全周を接触して覆う形状となる。この周方向に連結された形の凸部4aにより、成形キャビティが、可動型3の可動方向(コアピン軸方向)に直列に2つに分けて形成される。
【0045】
スライドコア4は、可動方向内側の端面に上記凸部4aの他に、軸受保持器9のポケット部を形成するためのポケット形成用凸部4cが設けられている。この凸部4c1つで、軸受保持器9に1つポケット部が形成されるので、1つの軸受保持器全体にはスライドコア4の個数分のポケット部が形成される。軸受保持器において、突き出し方向に対して垂直方向に形成されるポケット部(穴部)は、アンダーカット部となるが、本発明の軸受保持器用金型では、この部分を上記のスライドコア4で容易に形成できる。
【0046】
スライドコア4は、型締め時においてコアピンに衝合してその全周を隙間なく覆い、軸受保持器を成形できる形状であれば、他の部位の形状や個数は任意にすることができる。スライドコア4は、同時に可動、または、連動して可動する複数個で構成される1セットからなる。スライドコア4は、この実施態様で示すように、すべてのスライドコア4を同一形状とする他、各スライドコアを相互に異なる形状としてもよい。本発明の軸受保持器用金型1は、キャビティ分割用凸部4aを設けること等により、成形キャビティを複数としながら1セットのスライドコア4で軸受保持器を同時に複数個成形でき、成形キャビティの数のスライドコアセットは不要となる。スライドコア4を1セットとすることで、金型構造が複雑にならない。
【0047】
図4にコアピン周辺の拡大斜視図を示す。図4では、スライドコアの一部を省略している。図4に示すように、コアピン5は、その内部に成形キャビティに樹脂を充填するためのサブマリンゲート6が形成されている。サブマリンゲート6は、少なくとも成形キャビティの数だけ形成する。この実施態様では、成形キャビティが2つであるので、2つのサブマリンゲート6がコアピン5に形成されている。各成形キャビティに対するゲートを1つにすることで、軸受保持器の軸受内径面に形成されるゲート痕が1ヶ所のみとなり、内径案内方式に有利となる。なお、必要に応じて、1つの成形キャビティに対して複数のゲートを設けてもよい。
【0048】
本発明の軸受保持器用金型1では、コアピン5に沿って軸方向に直列に成形キャビティが形成されるので、コアピン5の内部にサブマリンゲート6の形成が可能となる。軸受保持器の内径側中空部を形成するコアピン5の内部に、サブマリンゲート6を形成することで、溶融樹脂の流路を単純な構造にでき、ゲートをスライドコアに形成する場合と比較して、射出成形金型が単純化でき、金型の大型化を避けられる。さらに、軸受保持器におけるゲート痕が、軸受内径面に形成されるため、ゲート処理が不要となる。また、サブマリンゲート6のため、ゲート痕が内径側に突出することが無いため内径案内方式に有利となる。
【0049】
各サブマリンゲート6の形状は、特に限定されないが、該ゲートが繋がるそれぞれの成形キャビティにおいて、各成形キャビティで樹脂が同時に充填されるよう充填バランスに優れた形状とすることが好ましい。例えば、溶融樹脂の流路長差(ゲート長さの差)を可能な限り小さくするために、PLから見て遠い成形キャビティに設けるゲートは該成形キャビティのPLに近い位置に形成し、PLから見て近い成形キャビティに設けるゲートは該成形キャビティのPLに遠い位置に形成できる。また、ゲート長さが異なる場合は、その断面積を調整することで充填バランスの改善を図ることができる。サブマリンゲートを成形キャビティ間での樹脂の充填バランスに優れた形状とすることで、各成形キャビティで同時に成形される軸受保持器間の品質のばらつきをなくすことができる。
【0050】
各図に基づき、成形キャビティを2個とする場合を説明したが、軸受保持器のサイズ、樹脂の種類等によっては、より多数に分割することもできる。より多数に分割する場合は、スライドコア4において、可動方向内側の端面に設けるキャビティ分割用凸部4aの数を増やし、サブマリンゲート6を各成形キャビティに設けることで可能となる。
【0051】
本発明の軸受保持器用金型は、ラジアル軸受の保持器の製造に用いることができ、図1に示すニードルベアリング(針状転がり軸受)の保持器の他、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、ボールベアリング(転がり玉軸受)などの保持器の製造にも好適に利用できる。
【0052】
本発明の軸受保持器の一実施例を図5に基づいて説明する。図5は、ラジアル軸受のニードルベアリングの保持器を示す斜視図である。この軸受保持器11は、上記金型を用いて樹脂組成物の射出成形によって製造されるものである。軸受保持器11は、内径側に中空部を有する円環状である。また、軸受保持器11は、針状ころを保持するポケット部12と、各ポケット部12の間に形成される軸方向の柱13と、この柱13を軸方向両側で固定する円環状の鍔14とを有する。
【0053】
この実施態様の軸受保持器11では、鍔14に内径から外径に向かう油溝15が設けられている。該油溝15を設けることで、軸受使用時において、該油溝を通り潤滑油が保持器内径側と外径側とに相互に流れて移動でき、潤滑油の流動性が確保できる。
【0054】
油溝、鍔、柱の関係について、図6に基づいて説明する。図6は図5における軸受保持器の一部拡大図である。鍔14と油溝15との関係について、鍔幅をW、油溝深さをAとした場合に、0<A<0.3Wとすることが好ましい。より好ましくは、0<A<0.2Wである。油溝15の深さAが、大きすぎると、保持器強度の低下のおそれがある。油溝15の深さAを、鍔14の幅Wの30%未満(A<0.3W)とすることで、この保持器強度の低下を防止できる。
【0055】
柱13と油溝15との関係について、柱幅をV、油溝幅をBとした場合に、0.5V<B≦1.0Vとすることが好ましい。より好ましくは、0.5V<B<0.8Vである。油溝15の幅Bを、柱13の幅Vの50%をこえて、100%以下(0.5V<B≦1.0V)とすることで、潤滑油の流動性が高くなり、また、金型の製造が容易になる。特に、上記鍔14と油溝15との関係(0<A<0.3W)を満たしつつ、柱13と油溝15との関係をこの範囲(0.5V<B≦1.0V)とすることで、潤滑油の流動性を確保しながら、保持器強度の低下を防止できる。
【0056】
油溝15は、鍔14の任意の位置に形成できる。ただし、保持器強度の低下を防止できることから、図5および図6に示すように、肉抜き部分であるポケット部12の軸方向両側を避けて、柱13を挟んで軸方向で対向する位置に形成することが好ましい。
【0057】
以上のような油溝を有する軸受保持器を製造するための、軸受保持器用金型におけるスライドコアを図7に示す。図7はスライドコアの単体斜視図である。スライドコア4は、上述のキャビティ分割用凸部4aとポケット形成用凸部4cに加えて、キャビティ分割用凸部4aの上下両側(4e)と、スライドコア4の上下端部(4d)とに油溝形成用凸部4d、4eを有する。この実施態様では、キャビティ分割用凸部4aにより成形キャビティが分けられて軸受保持器を2個成形でき、上下2つのポケット形成用凸部4cによりそれぞれの軸受保持器にポケット部を形成でき、かつ、油溝形成用凸部4d、4eによりそれぞれの軸受保持器の軸方向両端の鍔に油溝を形成できる。
【0058】
各油溝は、隣り合うスライドコア4の油溝形成用凸部4d、4eが連結された形で形成される。この構造により、図8に示すように、隣り合うスライドコア4の合わせ目に形成されるSPL痕16が、油溝15および柱13に形成される。このため、鍔14の幅面14aにはSPL痕ができず、軸受回転中に、軸受保持器11が相手材ハウジングの幅面と接触し油膜切れを発生させる可能性を極力小さくすることができる。なお、隣り合うスライドコア4の油溝形成用凸部4dを設けず、固定型および可動型の端面から油溝15が形成できる凸部を突出させても良い。こうすることによって金型破損が防止できるので好ましい。
【0059】
また、軸受保持器11は、転動体案内方式、または、内径案内方式とすることが好ましい。これらの方式とすることで、柱13の外径のSPL痕16が外輪内径に接触しない。そのため、軸受転走面に金型の合わせラインが接触することがなく、油切れ等の発生がなくなり、軸受の信頼性が高まる。
【0060】
本発明の軸受保持器の材料として用いる樹脂組成物は、上記金型での射出成形が可能であり、保持器材料として十分な耐熱性や機械的強度を有するものであれば、任意のものを使用できる。この樹脂組成物のベース樹脂となる合成樹脂としては、例えば、ポリアミド6(PA6)樹脂、ポリアミド6−6(PA66)樹脂、ポリアミド6−10(PA610)樹脂、ポリアミド6−12(PA612)樹脂、ポリアミド4−6(PA46)樹脂、ポリアミド9−T(PA9T)樹脂、ポリアミド6−T(PA6T)樹脂、ポリメタキシレンアジパミド(ポリアミドMXD−6)樹脂などのポリアミド(PA)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂などの射出成形可能なフッ素樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン(PE)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、射出成形可能なポリイミド(PI)樹脂などが挙げられる。なお、各ポリアミド樹脂において、数字はアミド結合間の炭素数を表し、Tはテレフタル酸残基を表す。これらの各合成樹脂は単独で使用してもよく、2種類以上混合したポリマーアロイであってもよい。
【0061】
これらの合成樹脂の中でも、耐熱性や射出成形性に優れ、上記した形状のサブマリンゲートであっても容易に成形可能であることから、PA樹脂を用いることが好ましい。さらに、PA樹脂の中でも、軸受保持器の弾性率、低吸水性および寸法安定性に優れることから、PA9T樹脂、PA6T樹脂、ポリアミドMXD−6樹脂などの芳香族PA樹脂を単独か、芳香族PA樹脂と脂肪族PA樹脂とのポリマーアロイを用いることが好ましい。芳香族ポリアミド樹脂は、分子主鎖に芳香族環を持ち、脂肪族PA樹脂に比較して吸水性が非常に低く、高温時の分子運動が制限されるためガラス転移温度が上がり、高温時に軸受保持器の機械的特性の低下を抑制できる。
【0062】
また、軸受保持器の弾性率などの機械的強度を向上させるため、これらの樹脂組成物に、射出成形性を阻害しない範囲で、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、各種鉱物性繊維(ウィスカー)などの繊維状補強材を配合することが好ましい。特に、補強効果や入手性に優れることから、ガラス繊維または炭素繊維を配合することが好ましい。
【0063】
ガラス繊維または炭素繊維の配合量は、樹脂組成物全体に対して15〜40重量%とすることが好ましい。これらの配合量が40重量%をこえる場合では、流動性が著しく低下して、上記金型での射出成形が困難となるおそれがある。また、これらの配合量が15重量%未満では、軸受保持器の弾性率などの機械的強度の向上が十分図れず、高速回転での使用などにおいて適用できなくなるおそれがある。
【0064】
この樹脂組成物には、軸受保持器の機能や射出成形性を損なわない範囲で、繊維状充填材以外の添加剤などを配合できる。例えば、必要に応じて、公知の充填材や添加剤として、珪酸カルシウム、クレー、タルク、マイカなどの無機充填材、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末などの固体潤滑剤、帯電防止剤、導電材、顔料、離型材などを配合してもよい。
【0065】
本発明の軸受保持器の製造方法を図9および図10に基づいて説明する。図9は、本発明の製造方法における各工程を示す断面図であり、図10はキャビティ正面から見たスライドコアの可動の様子を示す図である。本発明の製造方法は、上記金型を用いた樹脂組成物の射出成形によってラジアル軸受の軸受保持器を複数個同時に製造する製造方法である。
【0066】
まず、固定型2と可動型3とを衝合した状態でスライドコア4により分けられた複数の成形キャビティにサブマリンゲート6を介して樹脂を射出充填する工程を有する(図9(a)(b))。なお、サブマリンゲート6までは、固定型2に図示しない溶融樹脂材料の通路を形成する。
【0067】
次に、保圧工程、冷却工程を経て、成形キャビティ内の樹脂が固化後、可動型3を固定型2との衝合状態から固定型2の反対側に可動させて開き、かつ、スライドコア4を可動させて、成形キャビティの形状の複数(2個)の軸受保持器17を取り出す工程を有する(図9(c)(d))。この軸受保持器17は、コアピン5部分が内径側中空部であり、ポケット形成用凸部の部分がポケット部である形状を有する。なお、図7に示すスライドコア4を用いることで、軸受保持器17の鍔に上述の油溝を形成できる。
【0068】
図10に示すように、この工程において、スライドコア4は、固定型と可動型とのPLをキャビティ正面から見たとき、スライドコア4全体として放射状に広がるように可動して開く。なお、型、スライドコア、突き出しピンの移動は図示されていない油圧シリンダ等の駆動手段により行なう。
【0069】
軸受保持器17の取り出しは、可動型3側でコアピン5の周囲に設けられた突き出しピン7により成形キャビティから突き出すことで行なう(図9(d))。1つの軸受保持器の鍔幅面を突き出しピン7により突き出すことで、この軸受保持器が他の軸受保持器を押し出し、複数の軸受保持器17のすべてを取り出すことができる。このため、突き出しピン7と当接する軸受保持器以外は、突き出しピン痕が残らない。また、図示していないが、サブマリンゲート6内の樹脂は突き出しピン7と連動して動作する、コアピン5内部に設けられた突き出しピンによって取り出される。
【0070】
複数の軸受保持器17は、スライドコア4により分割された成形キャビティで独立に成形されるので、スライドコア4を可動させて型開きすれば、相互に分割された状態で得られる(図9(c))。また、軸受保持器17の突き出し時において、軸受保持器17とサブマリンゲート6とがその連結面(コアピン5の表面位置)で切断される。このように、本発明の軸受保持器用金型を用いた製造方法では、射出成形でゲートカットおよび軸受保持器の分割が行なわれるので、軸受保持器の分割やゲート処理等の軸受保持器の後加工を不要にすることができる。
【0071】
本発明の軸受保持器の製造方法では、上記のように1セットのスライドコアによって同時に複数の軸受保持器が得られる。また、複雑な構造の射出成形金型を使用することなく、かつ、小さな射出成形金型によって軸受保持器を製造でき、該保持器の製造コストを低く抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の軸受保持器用金型は、射出成形機の選択自由度が高く、軸受保持器を安価に大量生産でき、製造コストが低く抑えられた価格競争力のある軸受保持器を製造できるので、ニードルベアリング(針状転がり軸受)、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、ボールベアリング(転がり玉軸受)などに用いる樹脂製保持器の製造に好適に利用できる。また、本発明の軸受保持器は、潤滑油流動性や保持器強度に優れるので、自動車、産業機械などで用いる軸受の樹脂製保持器として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0073】
1 軸受保持器用金型
2 固定型
3 可動型
3a 凹部
4 スライドコア
4a キャビティ分割用凸部
4b 端面
4c ポケット形成用凸部
4d 油溝形成用凸部
5 コアピン
6 サブマリンゲート
7 突き出しピン
8 パーティングライン(PL)
9 軸受保持器
11 軸受保持器
12 ポケット部
13 柱
14 鍔
14a 鍔幅面
15 油溝
16 スライドコアパーティングライン(SPL)痕
17 軸受保持器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジアル軸受の軸受保持器を樹脂組成物の射出成形で多数個取りするための軸受保持器用金型であって、
可動型と固定型とスライドコアとを有し、前記固定型と前記可動型とのパーティングラインが1ヶ所であり、該金型における成形キャビティが、前記可動型の可動方向に直列に前記スライドコアにより分けられて複数形成され、
前記保持器の内径側中空部を形成するコアピンを有し、それぞれの前記成形キャビティに樹脂を充填するためのサブマリンゲートが該コアピンに形成されており、
前記スライドコアの可動方向内側に、前記保持器のポケット部を形成するためのポケット形成用凸部が設けられていることを特徴とする軸受保持器用金型。
【請求項2】
前記スライドコアの可動方向内側に設けられた、前記コアピンと接触するキャビティ分割用凸部によって、前記成形キャビティが前記可動型の可動方向に直列に分けられて複数形成されていることを特徴とする請求項1記載の軸受保持器用金型。
【請求項3】
前記スライドコアが、前記固定型と前記可動型とのパーティングラインをキャビティ正面から見たとき、前記成形キャビティを中心にして放射状に可動することを特徴とする請求項1または請求項2記載の軸受保持器用金型。
【請求項4】
前記スライドコアが、1セットであることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の軸受保持器用金型。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の金型を用いて樹脂組成物の射出成形によって製造されることを特徴とするラジアル軸受の軸受保持器。
【請求項6】
前記軸受保持器が、ボールベアリングの保持器であることを特徴とする請求項5記載の軸受保持器。
【請求項7】
前記軸受保持器が、ニードルベアリングの保持器であることを特徴とする請求項5記載の軸受保持器。
【請求項8】
前記軸受保持器は、保持器鍔に内径から外径に向かう油溝が設けられていることを特徴とする請求項7記載の軸受保持器。
【請求項9】
前記軸受保持器は、鍔幅をW、油溝深さをAとすると、0<A<0.3Wであることを特徴とする請求項8記載の軸受保持器。
【請求項10】
前記軸受保持器は、柱幅をV、油溝幅をBとすると、0.5V<B≦1.0Vであることを特徴とする請求項8または請求項9記載の軸受保持器。
【請求項11】
前記油溝が、前記ポケット部の間に形成される軸方向の柱を挟んで、軸方向で対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項8、請求項9または請求項10記載の軸受保持器。
【請求項12】
隣り合う前記スライドコアの合わせ目に形成されるスライドコアパーティングライン痕が、前記油溝および前記柱に形成されることを特徴とする請求項11記載の軸受保持器。
【請求項13】
前記軸受保持器が、転動体案内方式、または、内径案内方式であることを特徴とする請求項7ないし請求項12のいずれか1項記載の軸受保持器。
【請求項14】
前記サブマリンゲートのゲート痕が、保持器内径面に形成されることを特徴とする請求項5ないし請求項13のいずれか1項記載の軸受保持器。
【請求項15】
前記樹脂組成物が、ポリアミド樹脂に、ガラス繊維または炭素繊維を配合してなる樹脂組成物であることを特徴とする請求項5ないし請求項14のいずれか1項記載の軸受保持器。
【請求項16】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の金型を用いた樹脂組成物の射出成形によってラジアル軸受の軸受保持器を複数個同時に製造する製造方法であって、
前記固定型と前記可動型とを衝合した状態で前記スライドコアにより分けられた複数の前記成形キャビティに前記サブマリンゲートを介して樹脂を射出充填する工程と、
該樹脂が固化後、前記可動型を開き、かつ、前記スライドコアを可動させて、前記コアピンの部分が内径側中空部であり、前記ポケット形成用凸部の部分がポケット部である前記成形キャビティの形状の複数の軸受保持器を取り出す工程とを備えてなることを特徴とする軸受保持器の製造方法。
【請求項17】
前記取り出す工程は、1つの軸受保持器の鍔幅面を突き出しピンにより突き出すことで、複数の軸受保持器のすべてを取り出す工程であることを特徴とする請求項16記載の軸受保持器の製造方法。
【請求項18】
前記取り出し後の軸受保持器について、後加工しないことを特徴とする請求項16または請求項17記載の軸受保持器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−210811(P2012−210811A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−67949(P2012−67949)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】