軸受用回転精度測定装置及び測定方法
【課題】軸受のラジアル方向の振れに加えて、工作機械の回転テーブルに必要な、軸受の面振れ精度を効果的に測定することができる軸受用回転精度測定装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】回転テーブルを支持する軸受1の回転精度を測定する軸受用回転精度測定装置10は、軸受1によって支持される回転体15の中心軸上に配置された基準球21と、基準球21のラジアル方向の振れを測定する変位計41,42と、を備える。変位計41,42は、軸受1と基準球21との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置L1,L2,L3で、ラジアル方向の振れを測定する。
【解決手段】回転テーブルを支持する軸受1の回転精度を測定する軸受用回転精度測定装置10は、軸受1によって支持される回転体15の中心軸上に配置された基準球21と、基準球21のラジアル方向の振れを測定する変位計41,42と、を備える。変位計41,42は、軸受1と基準球21との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置L1,L2,L3で、ラジアル方向の振れを測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受用回転精度測定装置及び測定方法に関し、より詳細には、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に使用される軸受の回転精度を測定する軸受用回転精度測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玉軸受、ころ軸受、テーパころ軸受等の転がり軸受には、玉、ころ、テーパころ等の転動体の形状誤差や寸法差、内外輪各軌道面の形状誤差等に起因して、回転非同期振れ(Non Repeatable Run-out=NRRO)と呼ばれる、1回転毎に繰り返されないラジアル方向及びアキシアル方向の微小変位が発生する事が知られている。工作機械の割り出し軸や割り出し台等に組み込まれる軸受の場合には、この様な微小変位が性能に大きな影響を及ぼす。従って、転がり軸受の回転精度を測定し、上記回転非同期振れが存在した場合に、これをなくすべく対応する事が、各種機器の性能向上を図る上で重要である。
【0003】
このような目的で、軸受の回転精度を測定する装置が種々考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の測定装置100は、図11に示すように、表面に球面座103が形成された治具本体101と、表面に基準球115を背面に球面座103に合致する球面部114をそれぞれ備えた真球取付台102とからなる。真球取付台102は、球面部114が球面座103に案内されて変位可能に、且つ固定可能に治具本体101に装着される。真球の中心点C2は、球面部・球面座の中心点C1に対して僅かに位置ずれしており、治具本体101は真球取付台102を球面座103に沿って調整変位可能としている。これにより、測定対象が回転した状態で、非接触式の変位センサで基準球115のラジアル方向変位を測定することにより、回転精度を測定する。
【特許文献1】実公平6−5075号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に使用される軸受は、使用される工作機械の構造上、長さ方向に制限があり、複数の軸受を組み合わせて使用する場合にも短いスパンで回転テーブルを支持する必要がある。
【0005】
一方、回転テーブルにセットされる加工物は、軸受の近傍ではなく、むしろ軸受から離れた位置で加工されることが多い。主軸旋回ユニット等の旋回軸においても、旋回軸用軸受から工具先端位置までの距離が遠くなるのが一般的である。このため、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に使用される軸受では、ラジアル方向の振れだけでなく、テーブル上面の面振れとなって現れるような動きの振れ(以下、「面振れ」という)が加工精度上重要である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の測定装置100は、ラジアル方向の振れのみを測定するため、工作機械の主軸装置や該主軸装置の軸受を測定する場合には効果的であるが、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に使用される軸受を測定する場合には、上記した面振れを捉えることができないという課題がある。このため、軸受近傍で、ラジアル方向の振れを測定して、振れ量が小さかったとしても、回転テーブルに組み込んだ場合、テーブル上面から離れた位置での振れが小さいとは限らない。同様に、主軸旋回ユニットに組み込んだ場合、工具先端位置の振れが小さいとは限らない。
【0007】
また、JIS B6336−3には、テーブル上面の面振れを測定する検査方法が規定されており、図12に示すように、回転するテーブルTの中心から所定距離R離れた、少なくとも90°ごとの4箇所で、ブロックゲージとダイヤルゲージGを使用して、テーブルの振れを検査している。
【0008】
この検査方法を用いて面振れを測定するには、平面度がゼロに近い基準板を製作し、対象とする軸受で基準板を回転させて、基準板の上面の振れを測定すれば、軸受だけに含まれる面振れ成分が抽出できるが、平面度がゼロに近い基準板を製作するのは困難であり、事実上不可能である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、軸受のラジアル方向の振れに加えて、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に必要な、軸受の面振れ精度を効果的に測定することができる軸受用回転精度測定装置及び測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記構成によって達成される。
(1) 軸受の回転精度を測定する軸受用回転精度測定装置であって、
前記軸受によって支持される回転体の中心軸上に配置された測定基準体と、
該測定基準体のラジアル方向の振れを測定する変位計測手段と、
を備え、
前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置で、前記ラジアル方向の振れを測定することを特徴とする軸受用回転精度測定装置。
(2) 前記測定基準体は、基準球であることを特徴とする(1)に記載の軸受用回転精度測定装置。
(3) 前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置で、前記測定基準体の周囲に、前記回転体の円周方向に90度位相をずらした状態で配置される2つの変位計を備えることを特徴とする(1)又は(2)に記載の軸受用回転精度測定装置。
(4) 前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置には、前記変位計測手段が前記測定基準体の周囲に配置されると共に、前記測定基準体の回転角度を検出する角度情報計がさらに設けられることを特徴とする(1)又は(2)に記載の軸受用回転精度測定装置。
(5) 軸受の回転精度を測定する軸受用回転精度測定方法であって、
前記軸受によって支持される回転体の中心軸上に測定基準体を配置する工程と、
前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置で、変位計測手段によって前記測定基準体のラジアル方向の振れを測定する工程と、
を備えることを特徴とする軸受用回転精度測定方法。
(6) 前記測定基準体は、基準球であることを特徴とする(5)に記載の軸受用回転精度方法。
(7) 前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置で、前記測定基準体の周囲に、前記回転体の円周方向に90度位相をずらした状態で配置される2つの変位計を備えることを特徴とする(5)又は(6)に記載の軸受用回転精度測定方法。
(8) 前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置には、前記変位計測手段が前記測定基準体の周囲に配置されると共に、前記測定基準体の回転角度を検出する角度情報計がさらに設けられることを特徴とする(5)又は(6)に記載の軸受用回転精度測定方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の軸受用回転精度測定装置及び測定方法によれば、測定基準体のラジアル方向の振れを測定する変位計測手段が、軸受と測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置で、ラジアル方向の振れを測定するので、軸受のラジアル方向の振れに加えて、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に必要な、軸受の面振れ精度を効果的に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る軸受用回転精度測定装置及び測定方法について図1〜図5を参照して詳細に説明する。
【0013】
本実施形態の軸受用回転精度測定装置10は、該装置10に組み込まれた測定軸受1のラジアル方向の振れに加えて、この測定軸受1によって支持される回転体15の面振れ精度を測定する。なお、この実施形態では、測定軸受1として、工作機械の回転テーブルを支持するために適用可能な組合せアンギュラ玉軸受が使用されており、内輪2、外輪3、玉4、保持器5、及び、シール部材6を備えた各玉軸受が背面組合せで配置されている。
【0014】
図1に示すように、軸受用回転精度測定装置10は、測定台11に締結固定され、測定軸受1の内輪2を挟持した状態で外嵌する固定部12と、外周面に駆動手段としての平ベルト13が巻回され、測定軸受1の外輪3を挟持した状態で内嵌する筒状の回転部14と、回転部14上に配置され、測定基準体である基準球21を回転部14を含む回転体15の中心軸上に配置するための振れ調整機構20と、基準球21のラジアル方向の振れを測定する変位計測手段40とを備える。
【0015】
また、回転部14は、軸方向端面をそれぞれ有する回転部品14a,14bを締結することで、2つの外輪3を軸方向に固定している。また、固定部12は、軸方向端面をそれぞれ有する2つの固定部品12a,12bを締結することで、2つの内輪2を軸方向に締め付け、軸受1の予圧を付与すると共に、2つの内輪2を軸方向に固定している。
【0016】
振れ調整機構20は、筒状の回転部14の上部側面に締結固定される略円板上の基準板22と、基準球21が固着される振れ調整部品23と、基準板22の上面中央部に形成された円錐穴22a、及び振れ調整部品23の下面中央部に形成された円錐穴23aとの間に配置され、これら円錐穴22a,23aと共に球関節を構成する振れ調整用ボール24と、を備える。また、振れ調整機構20は、この振れ調整部品23の周縁部に、基準板22の上面に当接する突っ張り用ボルト25と基準板22のねじ孔22bに螺合する引張り用ボルト26が円周方向に等間隔で交互に設けられている。なお、本実施形態の回転体15は、回転部14と基準板22によって構成されている。また、振れ調整機構20は、突っ張り用ボルト25無しで、引張り用ボルト26だけで構成されてもよい。
【0017】
また、振れ調整機構20としては、図1に示す略平坦円板状の基準板22を備えるものの代わりに、図3(a)及び(b)に示すように、略平坦円板部27a,28aから振れ調整部品23の下面と対向する上面を上方に突出させたそれぞれ高さの異なる円柱部27b,28bを有する2つの基準板27,28を備える、他の2つの振れ調整機構30,31が設けられている。なお、他の2つの振れ調整機構30,31は、図4に示すように、振れ調整機構20の基準板22とスペーサsとを締結することで、円柱部27b,28bと略平坦円板部27a,28aとを形成するようにしてもよい。
【0018】
このように構成された振れ調整機構20,30,31では、適宜円周位置の突っ張り用ボルト25と引張り用ボルト26とを調節回転して、振れ調整部品23を球関節を支点に揺動変位させ、基準球21の中心点Oを回転体15の中心軸線Lから極僅か(数μm程度)位置ずれさせた位置に調節している。なお、振れ調整機構20,30,31は、基準球21の中心点を回転体15の中心軸線L上近傍に位置させるものであれば他の構成であってもよく、図9に示した従来の構成であってもよい。
【0019】
図2に示すように、変位計測手段40は、測定軸受1と基準球21との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上(本実施形態では、3箇所)の各高さ位置L1,L2,L3で、基準球21の周囲に、回転体15の円周方向に90度位相をずらした状態で配置される2つの変位計41,42を備える。なお、変位計41,42は、各高さ位置L1,L2,L3毎にそれぞれ配置されてもよく、或いは、各高さ位置L1,L2、L3へ移動調整可能に配置されてもよいが、変位計が高価な場合は、移動調整式の方が低コストで済む。
【0020】
変位計41,42としては、被測定物である基準球21に接触することなく、この外周面の微小変位を測定自在な、レーザードップラー振動計や静電容量形変位センサ等、非接触式のものが使用される。但し、測定圧が微小で、回転非同期振れに影響を及ぼさないものであれば、電気マイクロメータ等の、接触式のものを使用することもできる。また、本実施形態のように、各高さ位置に位相を90度ずらした2つの変位計41,42を設けることにより、リサージュ波形を得ることができ、基準球21のラジアル方向の振れ(変位)が求められ、回転非同期振れの最大値等が確実に検出自在となる。
【0021】
上記のように構成される回転精度測定装置10では、まず、測定軸受1を固定部12と回転部14との間に固定配置し、さらに、基準球21から測定軸受1の中間位置までの距離がL1となる振れ調整機構20を回転部14に固定して、該機構20を調節することで、回転体15の中心軸線L上近傍に基準球21を配置する。そして、平ベルト13によって回転部14を回転駆動させ、一体に回転する基準球21のラジアル方向の振れを、2つの変位計41,42によって検出する。
【0022】
さらに、基準球21から測定軸受1の中間位置までの距離がそれぞれ、L2、L3となる振れ調整機構30,31を回転部14に付け替えながら、上記と同様の方法で、基準球21のラジアル方向の振れを検出する。これにより、測定軸受1の面振れ精度を測定することができる。
【0023】
例えば、図5(a)に示すように、軸受1aがラジアル方向にだけ振れている場合には、この軸受1aを工作機械の回転テーブルに組み込んだ際、面振れは小さくなることが期待できる。一方、図6(a)に示すように、斜めに回転するような振れを持っている軸受1bの場合には、工作機械に組み込んだ後に面振れが大きくなってしまう。
【0024】
しかしながら、これを軸受単体で事前に評価するためには、従来のように、軸受の近傍1箇所で基準球21の振れを測定しただけでは両者に大きな違いがでず、評価しづらい。一方、図5(b)及び図6(b)に示すように、少なくとも2箇所以上の位置で基準球21の振れを測定することにより、軸受単体での面振れ精度を測定することができる。
【0025】
以上、説明したように、本実施形態の軸受用回転精度測定装置10及び測定方法によれば、基準球21のラジアル方向の振れを測定する変位計測手段40が、軸受1と基準球21との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置L1,L2,L3で、ラジアル方向の振れを測定するので、軸受1のラジアル方向の振れに加えて、工作機械の回転テーブルに必要な、軸受1の面振れ精度を効果的に測定することができる。
【0026】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形、改良等が可能である。
例えば、本実施形態では、測定軸受1と基準球21との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置に、変位測定手段40として、2つの変位計41,42が使用されているが、図7に示すように、基準球21の周囲に変位計41を1つ配置するとともに、基準球21の回転角度を検出する、歯車51及び検出ヘッド52を備えた角度情報計50をさらに設け、変位計41と角度情報計50とを用いてラジアル方向の振れを検出するようにしてもよい。この場合、測定結果は、ラジアル方向の振れ成分が含まれた正弦波からの誤差として与えられる。角度情報計50は、図6のような歯車式の他、磁気式エンコーダでもよい。また、測定回転速度が一定であれば、一回転信号だけを取り出して角度情報としてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、測定基準体として、真球度が得られやすい基準球21が使用されているが、面振れ成分(ラジアル方向の振れ成分)を正確に抽出可能なものであれば、任意の構成であってもよい。
【0028】
さらに、本実施形態では、測定軸受として、組合せアンギュラ玉軸受が使用されているが、クロスローラ軸受、複列アンギュラ玉軸受、複合ローラ軸受等、工作機械の回転テーブルを支持する軸受として適用可能なものであれば、いずれの軸受であってもよい。
【0029】
また、本実施形態の測定装置は、測定軸受の内輪を外嵌する部材を固定部、外輪を内嵌する部材を回転部としているが、内輪を外嵌する部材を、ベルトによって回転駆動することで回転部、外輪を内嵌する部材を固定部として、この回転部に振れ調整機構を取り付けるようにしてもよい。
【0030】
加えて、本発明の軸受用回転精度測定装置及び測定方法の測定対象は、上記実施形態のような回転テーブルを支持する軸受に限定されるものでなく、図8に示すような旋回軸用の軸受1cを対象としてもよい。
【0031】
即ち、この軸受1cは、ダイレクトドライブモータ60によって駆動される旋回軸61を一対の支持アーム62に対して旋回可能に支持するものであり、組合せアンギュラ玉軸受が使用されている。そして、旋回軸61が旋回駆動することで、工具Tが取り付けられた主軸部63も矢印Aに示すように旋回駆動される。なお、この一対の支持アーム62を有する主軸ヘッド64は、矢印Bに示すように、回転割出し駆動可能に設けられている。
【0032】
このような旋回軸用の軸受1cや矢印Bの動きを支持する軸受においても、軸受1cの回転振れ精度が工具Tによる加工精度に影響するため、上記測定装置及び測定方法を適用することが有効である。
【実施例】
【0033】
ここで、二つの測定軸受a,bを使用して、図1に示す上記実施形態の回転精度測定装置による振れ測定を行った。図9,10は、各高さ位置L1,L2,L3で、非接触式の変位計41,42から得られる値をX軸、Y軸としてプロットしたリサージュ波形である。
【0034】
図9,10の測定結果から、測定軸受bは、測定軸受aよりも軸受から遠ざかるにつれて回転精度がより大きく劣化しているのがわかる。この結果、測定軸受aの方がより回転テーブル用軸受として高精度な軸受であることが分かるとともに、本発明の測定方法を行うことで、軸受の精度を効果的に測定できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る軸受用回転精度測定装置の断面図である。
【図2】図1に示す軸受用回転精度測定装置の上面図である。
【図3】(a)は、第2の位置に使用される振れ調整機構の断面図であり、(b)は、第3の位置に使用される振れ調整機構の断面図である。
【図4】(a)は、第2の位置に使用される振れ調整機構の変形例の断面図であり、(b)は、第3の位置に使用される振れ調整機構の変形例の断面図である。
【図5】(a)は、面振れが小さい場合のテーブルと軸受を示す模式図であり、(b)は、本発明の面振れが小さい場合の測定方法を示す模式図である。
【図6】(a)は、面振れが大きい場合のテーブルと軸受を示す模式図であり、(b)は、本発明の面振れが大きい場合の測定方法を示す模式図である。
【図7】軸受用回転精度測定装置の変形例を示す上面図である。
【図8】(a)は、測定対象として旋回軸用の軸受が適用される主軸ヘッドを示す斜視図であり、(b)はその断面図である。
【図9】試験軸受aを使用した場合の各軸方向位置での2つの変位計の測定結果を示す図である。
【図10】試験軸受bを使用した場合の各軸方向位置での2つの変位計の測定結果を示す図である。
【図11】従来の回転精度測定装置を示す断面図である。
【図12】JIS B6336−3の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0036】
1,1a 測定軸受
10 軸受用回転精度測定装置
15 回転体
20 振れ調整機構
21 基準球(測定基準体)
22 基準板
23 振れ調整部品
24 振れ調整用ボール
40 変位計測手段
41,42 変位計
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受用回転精度測定装置及び測定方法に関し、より詳細には、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に使用される軸受の回転精度を測定する軸受用回転精度測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玉軸受、ころ軸受、テーパころ軸受等の転がり軸受には、玉、ころ、テーパころ等の転動体の形状誤差や寸法差、内外輪各軌道面の形状誤差等に起因して、回転非同期振れ(Non Repeatable Run-out=NRRO)と呼ばれる、1回転毎に繰り返されないラジアル方向及びアキシアル方向の微小変位が発生する事が知られている。工作機械の割り出し軸や割り出し台等に組み込まれる軸受の場合には、この様な微小変位が性能に大きな影響を及ぼす。従って、転がり軸受の回転精度を測定し、上記回転非同期振れが存在した場合に、これをなくすべく対応する事が、各種機器の性能向上を図る上で重要である。
【0003】
このような目的で、軸受の回転精度を測定する装置が種々考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の測定装置100は、図11に示すように、表面に球面座103が形成された治具本体101と、表面に基準球115を背面に球面座103に合致する球面部114をそれぞれ備えた真球取付台102とからなる。真球取付台102は、球面部114が球面座103に案内されて変位可能に、且つ固定可能に治具本体101に装着される。真球の中心点C2は、球面部・球面座の中心点C1に対して僅かに位置ずれしており、治具本体101は真球取付台102を球面座103に沿って調整変位可能としている。これにより、測定対象が回転した状態で、非接触式の変位センサで基準球115のラジアル方向変位を測定することにより、回転精度を測定する。
【特許文献1】実公平6−5075号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に使用される軸受は、使用される工作機械の構造上、長さ方向に制限があり、複数の軸受を組み合わせて使用する場合にも短いスパンで回転テーブルを支持する必要がある。
【0005】
一方、回転テーブルにセットされる加工物は、軸受の近傍ではなく、むしろ軸受から離れた位置で加工されることが多い。主軸旋回ユニット等の旋回軸においても、旋回軸用軸受から工具先端位置までの距離が遠くなるのが一般的である。このため、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に使用される軸受では、ラジアル方向の振れだけでなく、テーブル上面の面振れとなって現れるような動きの振れ(以下、「面振れ」という)が加工精度上重要である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の測定装置100は、ラジアル方向の振れのみを測定するため、工作機械の主軸装置や該主軸装置の軸受を測定する場合には効果的であるが、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に使用される軸受を測定する場合には、上記した面振れを捉えることができないという課題がある。このため、軸受近傍で、ラジアル方向の振れを測定して、振れ量が小さかったとしても、回転テーブルに組み込んだ場合、テーブル上面から離れた位置での振れが小さいとは限らない。同様に、主軸旋回ユニットに組み込んだ場合、工具先端位置の振れが小さいとは限らない。
【0007】
また、JIS B6336−3には、テーブル上面の面振れを測定する検査方法が規定されており、図12に示すように、回転するテーブルTの中心から所定距離R離れた、少なくとも90°ごとの4箇所で、ブロックゲージとダイヤルゲージGを使用して、テーブルの振れを検査している。
【0008】
この検査方法を用いて面振れを測定するには、平面度がゼロに近い基準板を製作し、対象とする軸受で基準板を回転させて、基準板の上面の振れを測定すれば、軸受だけに含まれる面振れ成分が抽出できるが、平面度がゼロに近い基準板を製作するのは困難であり、事実上不可能である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、軸受のラジアル方向の振れに加えて、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に必要な、軸受の面振れ精度を効果的に測定することができる軸受用回転精度測定装置及び測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記構成によって達成される。
(1) 軸受の回転精度を測定する軸受用回転精度測定装置であって、
前記軸受によって支持される回転体の中心軸上に配置された測定基準体と、
該測定基準体のラジアル方向の振れを測定する変位計測手段と、
を備え、
前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置で、前記ラジアル方向の振れを測定することを特徴とする軸受用回転精度測定装置。
(2) 前記測定基準体は、基準球であることを特徴とする(1)に記載の軸受用回転精度測定装置。
(3) 前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置で、前記測定基準体の周囲に、前記回転体の円周方向に90度位相をずらした状態で配置される2つの変位計を備えることを特徴とする(1)又は(2)に記載の軸受用回転精度測定装置。
(4) 前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置には、前記変位計測手段が前記測定基準体の周囲に配置されると共に、前記測定基準体の回転角度を検出する角度情報計がさらに設けられることを特徴とする(1)又は(2)に記載の軸受用回転精度測定装置。
(5) 軸受の回転精度を測定する軸受用回転精度測定方法であって、
前記軸受によって支持される回転体の中心軸上に測定基準体を配置する工程と、
前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置で、変位計測手段によって前記測定基準体のラジアル方向の振れを測定する工程と、
を備えることを特徴とする軸受用回転精度測定方法。
(6) 前記測定基準体は、基準球であることを特徴とする(5)に記載の軸受用回転精度方法。
(7) 前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置で、前記測定基準体の周囲に、前記回転体の円周方向に90度位相をずらした状態で配置される2つの変位計を備えることを特徴とする(5)又は(6)に記載の軸受用回転精度測定方法。
(8) 前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置には、前記変位計測手段が前記測定基準体の周囲に配置されると共に、前記測定基準体の回転角度を検出する角度情報計がさらに設けられることを特徴とする(5)又は(6)に記載の軸受用回転精度測定方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の軸受用回転精度測定装置及び測定方法によれば、測定基準体のラジアル方向の振れを測定する変位計測手段が、軸受と測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置で、ラジアル方向の振れを測定するので、軸受のラジアル方向の振れに加えて、工作機械の回転テーブルや主軸旋回ユニット等の旋回軸に必要な、軸受の面振れ精度を効果的に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る軸受用回転精度測定装置及び測定方法について図1〜図5を参照して詳細に説明する。
【0013】
本実施形態の軸受用回転精度測定装置10は、該装置10に組み込まれた測定軸受1のラジアル方向の振れに加えて、この測定軸受1によって支持される回転体15の面振れ精度を測定する。なお、この実施形態では、測定軸受1として、工作機械の回転テーブルを支持するために適用可能な組合せアンギュラ玉軸受が使用されており、内輪2、外輪3、玉4、保持器5、及び、シール部材6を備えた各玉軸受が背面組合せで配置されている。
【0014】
図1に示すように、軸受用回転精度測定装置10は、測定台11に締結固定され、測定軸受1の内輪2を挟持した状態で外嵌する固定部12と、外周面に駆動手段としての平ベルト13が巻回され、測定軸受1の外輪3を挟持した状態で内嵌する筒状の回転部14と、回転部14上に配置され、測定基準体である基準球21を回転部14を含む回転体15の中心軸上に配置するための振れ調整機構20と、基準球21のラジアル方向の振れを測定する変位計測手段40とを備える。
【0015】
また、回転部14は、軸方向端面をそれぞれ有する回転部品14a,14bを締結することで、2つの外輪3を軸方向に固定している。また、固定部12は、軸方向端面をそれぞれ有する2つの固定部品12a,12bを締結することで、2つの内輪2を軸方向に締め付け、軸受1の予圧を付与すると共に、2つの内輪2を軸方向に固定している。
【0016】
振れ調整機構20は、筒状の回転部14の上部側面に締結固定される略円板上の基準板22と、基準球21が固着される振れ調整部品23と、基準板22の上面中央部に形成された円錐穴22a、及び振れ調整部品23の下面中央部に形成された円錐穴23aとの間に配置され、これら円錐穴22a,23aと共に球関節を構成する振れ調整用ボール24と、を備える。また、振れ調整機構20は、この振れ調整部品23の周縁部に、基準板22の上面に当接する突っ張り用ボルト25と基準板22のねじ孔22bに螺合する引張り用ボルト26が円周方向に等間隔で交互に設けられている。なお、本実施形態の回転体15は、回転部14と基準板22によって構成されている。また、振れ調整機構20は、突っ張り用ボルト25無しで、引張り用ボルト26だけで構成されてもよい。
【0017】
また、振れ調整機構20としては、図1に示す略平坦円板状の基準板22を備えるものの代わりに、図3(a)及び(b)に示すように、略平坦円板部27a,28aから振れ調整部品23の下面と対向する上面を上方に突出させたそれぞれ高さの異なる円柱部27b,28bを有する2つの基準板27,28を備える、他の2つの振れ調整機構30,31が設けられている。なお、他の2つの振れ調整機構30,31は、図4に示すように、振れ調整機構20の基準板22とスペーサsとを締結することで、円柱部27b,28bと略平坦円板部27a,28aとを形成するようにしてもよい。
【0018】
このように構成された振れ調整機構20,30,31では、適宜円周位置の突っ張り用ボルト25と引張り用ボルト26とを調節回転して、振れ調整部品23を球関節を支点に揺動変位させ、基準球21の中心点Oを回転体15の中心軸線Lから極僅か(数μm程度)位置ずれさせた位置に調節している。なお、振れ調整機構20,30,31は、基準球21の中心点を回転体15の中心軸線L上近傍に位置させるものであれば他の構成であってもよく、図9に示した従来の構成であってもよい。
【0019】
図2に示すように、変位計測手段40は、測定軸受1と基準球21との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上(本実施形態では、3箇所)の各高さ位置L1,L2,L3で、基準球21の周囲に、回転体15の円周方向に90度位相をずらした状態で配置される2つの変位計41,42を備える。なお、変位計41,42は、各高さ位置L1,L2,L3毎にそれぞれ配置されてもよく、或いは、各高さ位置L1,L2、L3へ移動調整可能に配置されてもよいが、変位計が高価な場合は、移動調整式の方が低コストで済む。
【0020】
変位計41,42としては、被測定物である基準球21に接触することなく、この外周面の微小変位を測定自在な、レーザードップラー振動計や静電容量形変位センサ等、非接触式のものが使用される。但し、測定圧が微小で、回転非同期振れに影響を及ぼさないものであれば、電気マイクロメータ等の、接触式のものを使用することもできる。また、本実施形態のように、各高さ位置に位相を90度ずらした2つの変位計41,42を設けることにより、リサージュ波形を得ることができ、基準球21のラジアル方向の振れ(変位)が求められ、回転非同期振れの最大値等が確実に検出自在となる。
【0021】
上記のように構成される回転精度測定装置10では、まず、測定軸受1を固定部12と回転部14との間に固定配置し、さらに、基準球21から測定軸受1の中間位置までの距離がL1となる振れ調整機構20を回転部14に固定して、該機構20を調節することで、回転体15の中心軸線L上近傍に基準球21を配置する。そして、平ベルト13によって回転部14を回転駆動させ、一体に回転する基準球21のラジアル方向の振れを、2つの変位計41,42によって検出する。
【0022】
さらに、基準球21から測定軸受1の中間位置までの距離がそれぞれ、L2、L3となる振れ調整機構30,31を回転部14に付け替えながら、上記と同様の方法で、基準球21のラジアル方向の振れを検出する。これにより、測定軸受1の面振れ精度を測定することができる。
【0023】
例えば、図5(a)に示すように、軸受1aがラジアル方向にだけ振れている場合には、この軸受1aを工作機械の回転テーブルに組み込んだ際、面振れは小さくなることが期待できる。一方、図6(a)に示すように、斜めに回転するような振れを持っている軸受1bの場合には、工作機械に組み込んだ後に面振れが大きくなってしまう。
【0024】
しかしながら、これを軸受単体で事前に評価するためには、従来のように、軸受の近傍1箇所で基準球21の振れを測定しただけでは両者に大きな違いがでず、評価しづらい。一方、図5(b)及び図6(b)に示すように、少なくとも2箇所以上の位置で基準球21の振れを測定することにより、軸受単体での面振れ精度を測定することができる。
【0025】
以上、説明したように、本実施形態の軸受用回転精度測定装置10及び測定方法によれば、基準球21のラジアル方向の振れを測定する変位計測手段40が、軸受1と基準球21との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置L1,L2,L3で、ラジアル方向の振れを測定するので、軸受1のラジアル方向の振れに加えて、工作機械の回転テーブルに必要な、軸受1の面振れ精度を効果的に測定することができる。
【0026】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形、改良等が可能である。
例えば、本実施形態では、測定軸受1と基準球21との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置に、変位測定手段40として、2つの変位計41,42が使用されているが、図7に示すように、基準球21の周囲に変位計41を1つ配置するとともに、基準球21の回転角度を検出する、歯車51及び検出ヘッド52を備えた角度情報計50をさらに設け、変位計41と角度情報計50とを用いてラジアル方向の振れを検出するようにしてもよい。この場合、測定結果は、ラジアル方向の振れ成分が含まれた正弦波からの誤差として与えられる。角度情報計50は、図6のような歯車式の他、磁気式エンコーダでもよい。また、測定回転速度が一定であれば、一回転信号だけを取り出して角度情報としてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、測定基準体として、真球度が得られやすい基準球21が使用されているが、面振れ成分(ラジアル方向の振れ成分)を正確に抽出可能なものであれば、任意の構成であってもよい。
【0028】
さらに、本実施形態では、測定軸受として、組合せアンギュラ玉軸受が使用されているが、クロスローラ軸受、複列アンギュラ玉軸受、複合ローラ軸受等、工作機械の回転テーブルを支持する軸受として適用可能なものであれば、いずれの軸受であってもよい。
【0029】
また、本実施形態の測定装置は、測定軸受の内輪を外嵌する部材を固定部、外輪を内嵌する部材を回転部としているが、内輪を外嵌する部材を、ベルトによって回転駆動することで回転部、外輪を内嵌する部材を固定部として、この回転部に振れ調整機構を取り付けるようにしてもよい。
【0030】
加えて、本発明の軸受用回転精度測定装置及び測定方法の測定対象は、上記実施形態のような回転テーブルを支持する軸受に限定されるものでなく、図8に示すような旋回軸用の軸受1cを対象としてもよい。
【0031】
即ち、この軸受1cは、ダイレクトドライブモータ60によって駆動される旋回軸61を一対の支持アーム62に対して旋回可能に支持するものであり、組合せアンギュラ玉軸受が使用されている。そして、旋回軸61が旋回駆動することで、工具Tが取り付けられた主軸部63も矢印Aに示すように旋回駆動される。なお、この一対の支持アーム62を有する主軸ヘッド64は、矢印Bに示すように、回転割出し駆動可能に設けられている。
【0032】
このような旋回軸用の軸受1cや矢印Bの動きを支持する軸受においても、軸受1cの回転振れ精度が工具Tによる加工精度に影響するため、上記測定装置及び測定方法を適用することが有効である。
【実施例】
【0033】
ここで、二つの測定軸受a,bを使用して、図1に示す上記実施形態の回転精度測定装置による振れ測定を行った。図9,10は、各高さ位置L1,L2,L3で、非接触式の変位計41,42から得られる値をX軸、Y軸としてプロットしたリサージュ波形である。
【0034】
図9,10の測定結果から、測定軸受bは、測定軸受aよりも軸受から遠ざかるにつれて回転精度がより大きく劣化しているのがわかる。この結果、測定軸受aの方がより回転テーブル用軸受として高精度な軸受であることが分かるとともに、本発明の測定方法を行うことで、軸受の精度を効果的に測定できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る軸受用回転精度測定装置の断面図である。
【図2】図1に示す軸受用回転精度測定装置の上面図である。
【図3】(a)は、第2の位置に使用される振れ調整機構の断面図であり、(b)は、第3の位置に使用される振れ調整機構の断面図である。
【図4】(a)は、第2の位置に使用される振れ調整機構の変形例の断面図であり、(b)は、第3の位置に使用される振れ調整機構の変形例の断面図である。
【図5】(a)は、面振れが小さい場合のテーブルと軸受を示す模式図であり、(b)は、本発明の面振れが小さい場合の測定方法を示す模式図である。
【図6】(a)は、面振れが大きい場合のテーブルと軸受を示す模式図であり、(b)は、本発明の面振れが大きい場合の測定方法を示す模式図である。
【図7】軸受用回転精度測定装置の変形例を示す上面図である。
【図8】(a)は、測定対象として旋回軸用の軸受が適用される主軸ヘッドを示す斜視図であり、(b)はその断面図である。
【図9】試験軸受aを使用した場合の各軸方向位置での2つの変位計の測定結果を示す図である。
【図10】試験軸受bを使用した場合の各軸方向位置での2つの変位計の測定結果を示す図である。
【図11】従来の回転精度測定装置を示す断面図である。
【図12】JIS B6336−3の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0036】
1,1a 測定軸受
10 軸受用回転精度測定装置
15 回転体
20 振れ調整機構
21 基準球(測定基準体)
22 基準板
23 振れ調整部品
24 振れ調整用ボール
40 変位計測手段
41,42 変位計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受の回転精度を測定する軸受用回転精度測定装置であって、
前記軸受によって支持される回転体の中心軸上に配置された測定基準体と、
該測定基準体のラジアル方向の振れを測定する変位計測手段と、
を備え、
前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置で、前記ラジアル方向の振れを測定することを特徴とする軸受用回転精度測定装置。
【請求項2】
前記測定基準体は、基準球であることを特徴とする請求項1に記載の軸受用回転精度測定装置。
【請求項3】
前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置で、前記測定基準体の周囲に、前記回転体の円周方向に90度位相をずらした状態で配置される2つの変位計を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受用回転精度測定装置。
【請求項4】
前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置には、前記変位計測手段が前記測定基準体の周囲に配置されると共に、前記測定基準体の回転角度を検出する角度情報計がさらに設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受用回転精度測定装置。
【請求項5】
軸受の回転精度を測定する軸受用回転精度測定方法であって、
前記軸受によって支持される回転体の中心軸上に測定基準体を配置する工程と、
前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置で、変位計測手段によって前記測定基準体のラジアル方向の振れを測定する工程と、
を備えることを特徴とする軸受用回転精度測定方法。
【請求項6】
前記測定基準体は、基準球であることを特徴とする請求項5に記載の軸受用回転精度方法。
【請求項7】
前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置で、前記測定基準体の周囲に、前記回転体の円周方向に90度位相をずらした状態で配置される2つの変位計を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の軸受用回転精度測定方法。
【請求項8】
前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置には、前記変位計測手段が前記測定基準体の周囲に配置されると共に、前記測定基準体の回転角度を検出する角度情報計がさらに設けられることを特徴とする請求項5又は6に記載の軸受用回転精度測定方法。
【請求項1】
軸受の回転精度を測定する軸受用回転精度測定装置であって、
前記軸受によって支持される回転体の中心軸上に配置された測定基準体と、
該測定基準体のラジアル方向の振れを測定する変位計測手段と、
を備え、
前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置で、前記ラジアル方向の振れを測定することを特徴とする軸受用回転精度測定装置。
【請求項2】
前記測定基準体は、基準球であることを特徴とする請求項1に記載の軸受用回転精度測定装置。
【請求項3】
前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置で、前記測定基準体の周囲に、前記回転体の円周方向に90度位相をずらした状態で配置される2つの変位計を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受用回転精度測定装置。
【請求項4】
前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置には、前記変位計測手段が前記測定基準体の周囲に配置されると共に、前記測定基準体の回転角度を検出する角度情報計がさらに設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受用回転精度測定装置。
【請求項5】
軸受の回転精度を測定する軸受用回転精度測定方法であって、
前記軸受によって支持される回転体の中心軸上に測定基準体を配置する工程と、
前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の位置で、変位計測手段によって前記測定基準体のラジアル方向の振れを測定する工程と、
を備えることを特徴とする軸受用回転精度測定方法。
【請求項6】
前記測定基準体は、基準球であることを特徴とする請求項5に記載の軸受用回転精度方法。
【請求項7】
前記変位計測手段は、前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置で、前記測定基準体の周囲に、前記回転体の円周方向に90度位相をずらした状態で配置される2つの変位計を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の軸受用回転精度測定方法。
【請求項8】
前記軸受と前記測定基準体との軸方向距離が異なる少なくとも2箇所以上の各位置には、前記変位計測手段が前記測定基準体の周囲に配置されると共に、前記測定基準体の回転角度を検出する角度情報計がさらに設けられることを特徴とする請求項5又は6に記載の軸受用回転精度測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−236571(P2009−236571A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80773(P2008−80773)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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