説明

軸状部品の挿入方法

【課題】供給ロッドの先端部に保持された軸状部品を、開口角部を有する受入孔に挿入する。
【解決手段】受入孔9の中心線Xに対して軸部3の中心線Yが傾斜した姿勢で供給ロッド36を進出させ、軸端角部5の一部が受入孔9内に進入したときに供給ロッド36の進出を停止するのと相前後して軸状部品1に対する供給ロッド36の保持力を消滅させ、この保持力消滅に伴って軸状部品1を回動起立させ、軸端角部5が開口角部11に擦れながら軸部3の中心線Yが受入孔9の中心線Xに合致して軸部3が受入孔9に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸状部品の挿入方法に関している。
【背景技術】
【0002】
特許第2519510号公報には、軸状部品を受入孔に挿入するのに際して、供給ロッドの先端部に磁石で保持した軸状部品を受入孔の直前まで進出させて停止し、その後、磁力を消滅させて軸状部品を回動起立させながら受入孔内に落下させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2519510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載されている軸状部品は、その先端部がテーパ形状とされているので、受入孔の上位から落下させてもテーパ部先端が受入孔から逸れにくくなっている。
【0005】
しかし、上記のようなテーパ部が形成されている場合であっても、テーパ部先端を受入孔の真上に到達させてから落下する必要があるので、軸状部品の供給軌跡を正確に維持しなければならない。一方、上記のようなテーパ部が形成されていない軸状部品、すなわち軸部端面の直径が軸部の直径とほぼ同じになっている部品の場合には、受入孔に入りにくいという問題がある。とくに、受入孔の内径と前記端面の直径との差が僅かな場合には、受入孔への挿入が困難となる。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、軸状部品が受入孔からずれた位置関係になっていても確実に挿入できる軸状部品の挿入方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、軸部が断面円形とされその端面の直径が前記軸部の直径とほぼ同じであるとともに、前記端面の外周部が円形の軸端角部とされた軸状部品を供給の対象とするものであり、進退動作をする供給ロッドの先端部に保持された軸状部品を、供給の目的箇所である円形の開口角部を有する受入孔に挿入するために、この受入孔の中心線に対して前記軸部の中心線が傾斜した姿勢で前記供給ロッドを進出させ、前記軸端角部の一部が前記開口角部から前記受入孔内に進入したときに供給ロッドの進出を停止するのと相前後して軸状部品に対する供給ロッドの保持力を消滅させ、この保持力消滅に伴って軸状部品を回動起立させ、この回動起立の過渡期に前記軸端角部が前記開口角部に擦れながら前記軸部の中心線が前記受入孔の中心線に合致して前記軸部が前記受入孔に挿入されることを特徴とする軸状部品の挿入方法である。
【発明の効果】
【0008】
受入孔の中心線に対して軸部の中心線が傾斜した姿勢で供給ロッドを進出させ、軸端角部の一部が開口角部から受入孔内に進入したときに供給ロッドの進出を停止するのと相前後して軸状部品に対する供給ロッドの保持力を消滅させ、この保持力消滅に伴って軸状部品を回動起立させ、この回動起立の過渡期に軸端角部が開口角部に擦れながら軸部の中心線が受入孔の中心線に合致して軸部が受入孔に挿入される。
【0009】
このように軸状部品が回動起立をして行くのにともなって軸端角部が開口角部に擦れながら擦れ箇所が移動してゆくものであるから、開口角部の円弧線に軸端角部の円弧線が交差した状態で擦れ、軸状部品の回動起立にともなって上記両円弧線の交差角が小さくなり、最終的には軸部の中心線が受入孔の中心線に合致して、挿入が完了する。このような両円弧線の交差した状態での擦れ現象が進行するので、受入孔に対して軸状部品の端面がずれた相対位置関係、つまり軸部の中心線が受入孔の中心線から大きくずれていても、軸部の中心線が受入孔の中心線に合致してゆき円滑な挿入がなされる。
【0010】
上記のように、軸端角部の一部が開口角部から受入孔の空間内に進入していれば、その後は軸状部品の回動起立にともなう上記両円弧線の擦れ現象が擦れ点を移動しながら遂行されるので、受入孔の円弧線によって軸部の中心位置が修正されて、軸部の中心線が受入孔の中心線に合致してゆき、受入孔の内径寸法と軸状部品の端面部の直径寸法の差がわずかであっても、円滑に挿入することが可能となる。
【0011】
さらに、軸端角部の一部が開口角部から受入孔の空間内に進入するということは、換言すると、大きな受入孔に小さな軸端角部が進入することであるから、軸端角部が受入孔から外れることがなく、挿入の初期動作が確実に実行される。上記空間内への進入が受入孔の片側にずれていても、上記擦れ現象で位置修正がなされて、確実な挿入がなされる。
【0012】
本願発明は、上述のような装置発明であるが、以下に記載する実施例から明らかなように、特定の挿入挙動をなし得る装置発明として存在させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】装置全体の側面図と要部の断面図である。
【図2】軸部が受入孔に進入する過渡状態を示す図である。
【図3】軸状部品の軸部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の軸状部品の挿入方法を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0015】
図1〜図3は、本発明の実施例1を示す。
【0016】
最初に、軸状部品について説明する。
【0017】
本発明によって挿入される軸状部品は、断面円形の真っ直ぐな軸部品、頭部付きのボルトなど種々なものがある。この実施例においては、図1に示すような頭部付きのボルトである。ボルト1は、六角形の頭部2と断面円形の軸部3によって構成され、その端部は図3(A)に示されている。軸部3の端面4は円形であり、その直径が軸部3の直径とほぼ同じとされている。そして、前記端面4の外周部が円形の軸端角部5とされている。ボルト1の各部寸法は、頭部2の角部間寸法は14mm、軸部3の直径と長さがそれぞれ9mmと45mmである。そして、軸端角部の直径は8.9mmである。また、後述の受入孔の内径は9.5mmである。
【0018】
軸部3の端部形状としては色々なものがあり、その一例として図3(B)に示すものがある。この例は、雄ねじの端部に短い円筒状の延長部6が形成されているものであり、延長部6の外径は雄ねじ部分とほぼ同じであり、したがって同図(A)に示す軸端角部5が形成されている。
【0019】
一方、本発明においては上記のような直径の軸端角部5を有するものを挿入の対象としているので、同図(C)に示すような小径の延長部7を有するものや、軸部先端にテーパ部を有するものは対象外である。
【0020】
つぎに、挿入過程について説明する。
【0021】
供給の目的箇所である受入孔9は円形の孔であり、固定治具などで静止状態とされた部品10に、鉛直方向に開けられている。符号11は受入孔9の開口角部であり、円形である。この開口角部9の内径寸法も9.5mmとされている。
【0022】
後述の進退動作をする供給ロッド36の先端部に、ボルト1が保持されて前記受入孔9に挿入される。受入孔9の中心線Xは鉛直方向であり、これに対して軸部3の中心線Yを傾斜させて前記供給ロッド36が進出するようになっている。受入孔9の中心線Xに対する軸部3の中心線Yの傾斜角は、角度θ1で示され、それは25度である。
【0023】
軸部3が受入孔9の方へ移行されてくると、軸端角部5の一部が開口角部11から受入孔9の空間内に進入し、この時点で供給ロッド36の進出を停止する。この停止と同時にボルト1に対する供給ロッド36の保持力を消滅させ、この保持力消滅に伴ってボルト1を回動起立させる。
【0024】
この回動起立の過渡期に軸端角部5が開口角部11に擦れながら軸部3の中心線Yが受入孔9の中心線Xに合致して軸部3が受入孔9に挿入される。
【0025】
図2のA1〜A3は、受入孔9に軸部3に進入して停止した状態を示す図であり、厳密にはA2における軸端角部5は楕円形であるが、理解しやすくするために、円形で図示してある。A1は斜視図、A2は平面図、A3は断面図である。
【0026】
この進入停止状態では、A3に示すように、軸端角部5の最下点13が受入孔9の空間内に進入している。つまり、最下点13が、開口角部11を含む仮想平面を通過して受入孔9の空間内に位置している。そして、ここではA2に示すように、受入孔9の中心線Xに対して軸部3の中心線Yがずれており、このずれ量は上下オフセット長さL1と左右オフセット長さL2として示されている。
【0027】
このような進入停止状態となっているときに、ボルト1に対する供給ロッド36の保持力を解除すると、図2のB1〜B3に示すように、角度θ1の傾斜をなしている軸部3は起立方向へ回動すなわち揺動しながら落下してゆく。この回動起立の初期の段階で、軸端角部5の円弧線が開口角部11の円弧線に接触点14において接触し、ここが擦れ箇所となる。軸部3が受入孔9に対して角度θ1の傾斜をなしているので、真横から見ると図2A3やB3に示すように、軸端角部5の円弧線が開口角部11の円弧線に交差した状態で接触点14において接触している。
【0028】
この状態で回動起立が進行すると、軸端角部5が開口角部11に擦れながら接触点14が移動する。この移動によって、前記上下オフセット長さL1と左右オフセット長さL2が縮小され、中心線Yが中心線Xに沿うように移動し両中心線がほぼ合致して軸部3が受入孔9に挿入される。この状態がB2であり、理解しやすくするために、軸部3の直径と受入孔9の内径の差を誇張して図示してある。なお、図1(C)に示されている角度θ1は、同図(B)に示されている角度θ1よりも小さくなっている。
【0029】
上記のように、軸部3の起立回動の際に、接触点14が開口角部11の円弧線に沿って移動するので、上下オフセット長さL1と左右オフセット長さL2を縮小しながら、受入孔9の開口部(開口角部)に対する軸部3のずれが矯正される。
【0030】
ボルト1に対する供給ロッド36の保持力消滅の時期は、上述のように、軸端角部5の一部が開口角部11から受入孔9内に進入したときとされている。一方、この時期を、軸端角部5の一部が開口角部11から受入孔9内に進入したときよりもやや早めたり、遅めたりすることができる。つまり、供給ロッド36の進出停止時点に相前後させるのである。このような時間幅を付与しても、上述のように、上下オフセット長さL1と左右オフセット長さL2を縮小しながら、受入孔9の開口部(開口角部11)に対する軸部3のずれの矯正が円滑になされる。ただし、保持力消滅の時期は、前記最下点13が開口角部11を通過した後でなければならない。これは、最下点13が受入孔9内に進入する前に前記保持力を解除すると、何等かの外力で最下点13が受入孔9の開口部から逸れる虞があるからである。
【0031】
なお、開口角部11、軸端角部5は角張っているが、通常の面取り加工を施すことによって、上記擦れ現象をより滑らかにすることができる。
【0032】
つぎに、供給ロッドについて説明する。
【0033】
供給ロッドは、部品供給ユニットに含まれる機構である。供給ロッドを進退させるための機構や、供給ロッドの先端部にボルトを保持する機構としては、色々なものがある。ここでは、供給ロッドの進退駆動手段としてエアシリンダが採用され、ボルトを保持する手段として永久磁石が採用されている。
【0034】
部品供給ユニット100は、部品の種類、供給の目的箇所の形状などによって、供給ロッドが斜め下方へ延びた形式のものや水平方向に延びた形式のものなど種々なタイプが採用される。ここでは、斜め下方に延びたタイプである。
【0035】
図1(A)は、部品供給ユニット100の断面図である。パーツフィーダ32から送出されたボルト1は供給管33の端部に設けたストッパ片34に当たって停止する。この停止したボルト1は出口開口35から横方向に出て、供給ロッド36の先端部に保持される。供給ロッド36が斜め下方に進出してボルト1が受入孔3に挿入されるようになっている。この挿入は、ボルト1を供給ロッド36の先端部に保持する力が消去されることによって行われる。
【0036】
ボルト1を供給ロッド36の先端部に保持する力は、永久磁石37の吸引力を活用している。この吸引磁力を消滅させるために、永久磁石37をボルト1から離隔させるような構造が採用されている。供給ロッド36は内外二重構造とされ、中空のアウター軸38内に摺動可能な状態でインナー軸39が挿入してある。インナー軸39の先端に永久磁石37が固定され、永久磁石37とアウター軸38が供給ロッド36の端部において一平面上に整列して、頭部4の密着面30を形成している。
【0037】
この密着面30は、供給ロッド36の中心線Zに対して傾斜している。この傾斜面(密着面30)に吸引されているボルト1が受入孔9の中心線Xに対して角度θ1の傾斜をするように、中心線Zに対する密着面30の傾斜角度が設定されている。
【0038】
インナー軸39にはその直径方向に延びている規制ピン40が固定され、アウター軸38のストローク方向に開けた長孔41から外部に突出している。インナー軸39とアウター軸38の間に圧縮コイルばね42が介装され、これによってインナー軸39に押出し方向の張力が付与され、この張力は規制ピン40が長孔41の下端に当たっていることによって、図1(A)に示す位置関係が設定されている。
【0039】
アウター軸38の先端部の片側にストッパ部材43が突出した状態で形成されており、ストッパ片34に受け止められたボルト1が永久磁石37に吸引され、出口開口35を経て供給ロッド36の先端部に移動する。このときに頭部4がストッパ部材43で受け止められて、供給ロッド36に対するボルト1の相対位置が決定される。
【0040】
供給ロッド36全体は断面円形の外筒45内に収容され、外筒45に取り付けたエアシリンダ46のピストンロッド47が供給ロッド36に結合されている。外筒45の外側面にエアシリンダ48が固定され、そのピストンロッド49に係合片50が結合してある。この係合片50は、外筒45のストローク方向に開けた長孔51を貫通して外筒45の内部に突出している。この係合片50と規制ピン40は供給ロッド36の進出後に衝合できるように、両者の相対位置が設定されている。
【0041】
インナー軸39が後退して永久磁石37がボルト1から離れると、ボルト1に対する吸引力が消滅するので、ボルト1は落下しながら回動(揺動)し起立してゆく。このような回動起立を実行するために、前述のストッパ部材43がアウター軸38の先端部に形成されている。このストッパ部材43は、供給ロッド36の下側の位置に形成されており、その内面は頭部2を受け止める停止面26とそれに連なる傾斜した制御面27によって形成されている。制御面27は、その形状が平面または樋型の円弧面とされ、永久磁石37の吸引力が消滅してボルト1が落下するときに、頭部2がその表面上を滑動しながら下降し、そのときに軸部3が回動起立の挙動軌跡をなすように、その傾斜角度が設定されている。つまり、制御面27はその先端角部28がボルト1の中心線Yに接近する方向に傾斜しているので、ボルト1に回動起立の落下軌跡が付与される。
【0042】
上記の角度θ1は25度であるが、この角度は15度〜40度の範囲に設定される。角度が15度未満であると、ボルト1が鉛直方向に近づき過ぎて、前述の回動起立が緩慢となり、接触点14における擦れ作用が十分に確保できないこととなる。また、角度が40度を超えると、ボルト1が傾きすぎているために、落下に伴う回動起立の回動角度が十分に確保できなくなる。
【0043】
つぎに、部品供給ユニットの動作を説明する。
【0044】
図1(A)は、ボルト1が供給ロッド36の先端部に永久磁石37によって保持されている状態を示している。エアシリンダ46によって供給ロッド36が進出し、ボルト1の軸端角部5が受入孔3の空間内に進入した箇所で供給ロッド36の進出が停止される。すなわち、図1(B)および図2A1〜A3の状態で供給ロッド36の進出が停止される。この停止に引き続いて、エアシリンダ48の動作で係合片50が引き戻されると、係合片50が規制ピン40に衝合して圧縮コイルばね42を縮めながらインナー軸39が引き上げられる。このようなインナー軸39の変位によって永久磁石37がボルト1から遠ざかるので、ボルト1に対する吸引保持力が実質的に消滅し、ボルト1は供給ロッド36の密着面30から離れて落下してゆく。この落下の途上で前述のようなB1〜B3に示した過程を経て、軸部3が受入孔9内に挿入される。挿入される過渡状態は、図1(C)に示されている。
【0045】
なお、上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。また、上記永久磁石を電磁石や空気吸引式の保持手段に置き換えることも可能である。
【0046】
上述の動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行わせることが可能である。制御装置またはシーケンス回路からの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
【0047】
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
【0048】
受入孔9の中心線Xに対して軸部3の中心線Yが傾斜した姿勢で供給ロッド36を進出させ、軸端角部5の一部が開口角部11から受入孔9内に進入したときに供給ロッド36の進出を停止するのと相前後してボルト1に対する供給ロッド36の保持力を消滅させ、この保持力消滅に伴ってボルト1を回動起立させ、この回動起立の過渡期に軸端角部5が開口角部11に接触点14において擦れながら軸部3の中心線Yが受入孔9の中心線Xに合致して軸部3が受入孔9に挿入される。
【0049】
このようにボルト1が回動起立をして行くのにともなって軸端角部5が開口角部11に擦れながら擦れ箇所(接触点14)が移動してゆくものであるから、開口角部5の円弧線に軸端角部11の円弧線が交差した状態で擦れ、ボルト1の回動起立にともなって上記両円弧線の交差角が小さくなり、最終的には軸部3の中心線Yが受入孔9の中心線Xに合致して、挿入が完了する。このような両円弧線の交差した状態での擦れ現象が進行するので、受入孔9に対してボルト1の端面がずれた相対位置関係、つまり軸部3の中心線Yが受入孔9の中心線Xから大きくずれていても、軸部3の中心線Yが受入孔9の中心線Xに合致してゆき円滑な挿入がなされる。
【0050】
上記のように、軸端角部5の一部が開口角部11から受入孔9の空間内に進入していれば、その後はボルト1の回動起立にともなう上記両円弧線の擦れ現象が擦れ点(接触点14)を移動しながら遂行されるので、受入孔9の円弧線によって軸部3の中心位置が修正されて、軸部3の中心線Yが受入孔9の中心線Xに合致してゆき、受入孔9の内径寸法と軸部3の端面4の直径寸法の差がわずかであっても、円滑に挿入することが可能となる。
【0051】
さらに、軸端角部5の一部が開口角部11から受入孔9の空間内に進入するということは、換言すると、大きな受入孔9に小さな軸端角部5の最下点13が進入することであるから、軸端角部5が受入孔9から外れることがなく、挿入の初期動作が確実に実行される。上記空間内への進入が受入孔9の片側にずれて上下オフセット長さL1や左右オフセット長さL2が存在していても、上記擦れ現象で位置修正がなされて、確実な挿入がなされる。
【0052】
前記ストッパ部材43の内面に制御面27が形成され、この制御面27は、その先端角部28が供給ロッド36の先端に保持されたボルト1の中心線Yに接近する側に傾斜している。したがって、ボルト1が落下してゆくときには、軸部3の挙動軌跡が回動起立の状態になり、前述の接触点14の擦れ移動が確実に達成される。このため、ボルト1の中心線Yの受入孔9の中心線Xに対する上下オフセット長さL1や左右オフセット長さL2の矯正・消滅が果たされる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
上述のように、本発明の装置によれば、軸状部品が受入孔からずれた位置関係になっていても確実に受入孔に挿入できる。したがって、自動車の車体組立工程や、家庭電化製品の板金組立工程などの広い産業分野で利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 ボルト
2 頭部
3 軸部
4 端面
5 軸端角部
9 受入孔
11 開口角部
13 最下点
14 接触点
36 供給ロッド
37 永久磁石
43 ストッパ部材
L1 上下オフセット長さ
L2 左右オフセット長さ
100 部品供給ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部が断面円形とされその端面の直径が前記軸部の直径とほぼ同じであるとともに、前記端面の外周部が円形の軸端角部とされた軸状部品を供給の対象とするものであり、
進退動作をする供給ロッドの先端部に保持された軸状部品を、供給の目的箇所である円形の開口角部を有する受入孔に挿入するために、この受入孔の中心線に対して前記軸部の中心線が傾斜した姿勢で前記供給ロッドを進出させ、前記軸端角部の一部が前記開口角部から前記受入孔内に進入したときに供給ロッドの進出を停止するのと相前後して軸状部品に対する供給ロッドの保持力を消滅させ、この保持力消滅に伴って軸状部品を回動起立させ、この回動起立の過渡期に前記軸端角部が前記開口角部に擦れながら前記軸部の中心線が前記受入孔の中心線に合致して前記軸部が前記受入孔に挿入されることを特徴とする軸状部品の挿入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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