説明

軽質オレフィン製造用炭化水素接触分解触媒およびその製造方法

高温多湿の苛酷な環境でナフサの接触分解によって軽質オレフィンを製造するための分子篩い触媒およびその製造方法が開示される。詳しくは、前記触媒は、0.01〜5.0wt%のMnO2および1〜15wt%のP25がゼオライト、クレイおよび無機酸化物からなる触媒に同時に担持されている混合スラリーを噴霧乾燥および焼成することで製造される。本発明によれば、マンガンとリンがゼオライトおよび無機複合体に同時に担持される方法が、得られた球形触媒の熱安定性を向上させ、ゼオライトの酸性部位を保護することにより、ナフサのような炭化水素の接触分解の際の軽質オレフィンを向上させるために用いられる。求められる触媒を製造するために、重要な手順は、Mn、P、ゼオライト、および無機複合体の混合比および混合順である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱水的に安定な多孔性分子篩触媒、およびその製造方法、より詳しくは、高温多湿の雰囲気下であっても比較的安定な構造を有し、その触媒活性を維持できる、熱水的に安定な多孔性分子篩触媒、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
−Si−OH−Al−骨格を持つ多孔性無機材料は豊かな気孔構造および大きな比表面積を持ち、活性座と酸性部位が多いので、多孔性分子篩触媒の分野で広く利用されてきた。
【0003】
このような多孔性分子篩触媒は、接触分解反応、異性化反応、エステル化反応を含む多様な酸化/還元反応などの不均一触媒反応、特に高温多湿の苛酷な雰囲気下で熱安定性が要求される不均一触媒反応に使用される。しかし、この場合、水蒸気が存在する500℃以上の雰囲気に置かれれば、四面体骨格に位置するアルミニウムが離脱して(dealumination)構造が崩壊されるとともに触媒の酸性部位が減少して触媒活性度が急激に減少する問題点を持っていた。 また、このようなマイクロ多孔性分子篩触媒がナフサ接触分解のような大規模流動触媒石油化学工程に使用されるためには高い機械的強度が必要とされるため、この分野の球形触媒を製造するように無機錯体およびマトリックス(クレイ)が用いられている。
【0004】
以上のように、マイクロ多孔性分子篩触媒は結合剤、マトリックス成分などのような多様な成分を含んでいるため、耐久性あるマイクロ多孔性分子篩触媒を製造するためには、これらそれぞれの成分の熱安定性を維持することが重要である。一例として、マイクロ多孔性分子篩触媒に用いられるマトリックスの構造が崩壊する場合には、ナフサ接触分解の際、分解率が急激に減少することになる。
一方、ナフサを接触分解してエチレンとプロピレンのような軽質オレフィンを高収率で得るためには、多孔性分子篩ゼオライトの酸性部位特性を適切に調節しなければならない。ゼオライトの酸性部位の量あるいは酸性部位の強度が大きくなれば、脱水素反応が過度に進んでメタンのような飽和炭化水素またはベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族化合物の収率が増加することになる。一方、ゼオライトの酸性部位の量あるいは酸性部位の強度が小さければ、炭化水素転換率が減少して軽質オレフィン収率が減少することになる。
【0005】
以上のように、触媒を使用した接触分解によってナフサのような炭化水素から軽質オレフィンを効率的に製造するために、多様な種類の触媒的性質が要求されている。特に、接触分解用触媒は高温多湿の条件で扱われるため、触媒の熱安定性が最も重要な因子であると考えられている。熱安定性を向上させるための多様な研究が提示されてきた。
【0006】
これらの方法に関連し、アメリカ特許第5,039,644号では、高温でも安定な触媒の製造においてリン酸塩を使用した方法を開示しており、この方法は、TiO2、ZrO2、TiO2−ZrO2混合物、TiO2−Al23混合物、またはZrO2−Al23混合物のような多孔性金属酸化物に担持された0.5〜15wt%のP25を含む。しかし、この特許では、ゼオライトを使用した炭化水素の接触分解によってどのように軽質オレフィンの高収率を達成したかについては説明されていない。
【0007】
アメリカ特許第4,977,122号は、(a)結晶性ゼオライト、(b)無機酸化物マトリックス(シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、ジルコニア、タイタニア、ボリア、クロミア、クレイなど)、(c)前記マトリックスに分散もされたリン含有アルミナの分離粒子であって、アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba)のリン酸塩(alkaline earth metal salt of phosphoric salt)または亜リン酸塩(alkaline earth metal salt of phosphorous salt)、およびそれらの混合物からなる群より選択されるリン化合物にアルミナを接触させて製造された分離粒子、を含む水熱的に安定な触媒について開示している。
【0008】
アメリカ特許第6,835,863号には、5〜75質量%のZSM−5および/またはZSM−11,25〜95質量%のシリカまたはカオリン(Kaolin)、および0.5〜10質量%のリンを含む成形触媒を用いたナフサ(沸点:27〜221℃)の接触分解により軽質オレフィンを製造する方法が開示されている。しかし、リン出発物質および成形触媒の水熱安定性については具体的な言及がない。
【0009】
一方、アメリカ特許第6,211,104号には、10〜70wt%のクレイ(clay)、5〜85wt%の無機酸化物、1〜50wt%のゼオライトを含む熱分解用触媒が開示されている。前記触媒中のゼオライトは、0〜25wt%のY(またはREY)−ゼオライトおよび75〜100wt%のペンタシル(pentasil)型ゼオライト(SiO2/Al23=15〜60、2〜8wt%のP25および0.3〜3wt%のAl23、またはMgO、またはCaOを含むZSM−5、ZSM−8、およびZSM−11から選択される)でなり、前記のアルミニウムまたはマグネシウムまたはカルシウム化合物の出発物質が、硝酸塩、塩化水素塩、または硫酸塩の形態の水溶液から選択されることが開示されている。特に、前記方法で製造した触媒は、800℃、100%水蒸気雰囲気下で4〜27時間、前処理した場合でさえ、優れたオレフィン製造を示すと記載されている。しかし、前記特許には、Pの具体的化学種の調整/選択、および負荷のための技術は開示されておらず、添加された金属の種類もAl、Mg、およびCaに限られており、従来から使用されている水溶性金属塩が使用され、Al、Mg、またはCaなどのようなカチオンは、触媒製造の過程で生じるものであるが、ゼオライトのプロトン(H+)と容易にイオン交換されて酸性部位を失うことになりうる。この理由により、特定の製造条件において前記特許で提案された触媒を製造することは容易ではないと考えられる。
【0010】
アメリカ公開特許第2005/0020867号では、軽質オレフィン製造用触媒として、1〜10wt%のP25、0.7〜15wt%の遷移金属(Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Mn)酸化物で処理されたZSM−5を乾燥および焼成過程によって完成し、クレイおよび無機結合剤(シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ)とともに混合した後、噴霧乾燥することで製造される触媒について開示している。前記特許に使用されたZSM−5は芳香族化反応および水素伝達反応(hydrogen transfer reaction)を減らすことができる、シリカに富んでいる(Si/Alのモル比が高い)という特徴を持っている。しかし、シリカに富んでいるZSM−5は合成方法が複雑なため経済的ではなく、高温水蒸気雰囲気で安定でない無機結合剤とクレイ(clay)での苛酷熱処理によりマトリックス(matrix)としての性能と構造的安定性が弱い。これによりゼオライトの接触分解活性の低下をもたらす場合がある。
【0011】
アメリカ特許第6,613,710号では、40〜80wt%のP−修飾されたクレイ、1〜20wt%の半−塩基性アルミナおよび0.5〜15wt%のZSM−5が接触分解用触媒に使用されている。触媒を製造するに際して、P−修飾されたクレイは、クレイとリン酸を15〜40℃で1〜16時間処理して製造し、半−塩基性アルミナはナトリウムアルミネート(sodium aluminate)とアルミニウム硫酸塩(aluminum sulfate)のpH7.5〜9のスラリーから製造する。前記のような方法で製造された触媒は沸点315〜528℃領域の残渣油分解中により多くにLPGを生じさせる。前記特許は、ホスト触媒(host catalyst)についてのものではなく、LPGブースター(booster)用添加触媒(additive catalyst)についてのもので、触媒の水熱安定性の向上または軽質オレフィン製造については開示がない。
【0012】
アメリカ特許第5,670,037号では、軽質オレフィンの収率を高めることができる炭化水素接触分解のために、希土類金属で修飾されアルミニウムリン酸塩ゾル(aluminum phosphate sol)で焼結したZSM−5を提案している。それは、アルミニウムリン酸塩溶液中でP25およびゼオライト(質量比が1:5〜99)を混合し、乾燥、焼成の後、スチーミング(steaming)して製造される。この際、成形触媒は、10〜35wt%のゼオライト、5〜90wt%の無機酸化物(Al23、SiO2、Al23−SiO2)、0〜70wt%のクレイ(clay)でなる組成を持つ。ゼオライトを処理するためにアルミニウムリン酸塩溶液が使用されており、希土類金属を使用せずに軽質オレフィンの収率を高めることについては説明がない。
【0013】
アメリカ特許第6,080,698号では、炭化水素の接触分解により軽質オレフィンを製造するためのペンタシル型(pentasil−type)ゼオライトが、1〜10wt%のP25、0.3〜5wt%のアルカリ土金属酸化物、0.3〜5wt%の遷移金属酸化物で処理されたSiO2/Al23=15〜60のZSM−5により製造されている。ゼオライトの処理のための、Mg、Ni、Zn、Cu、およびCaについての結果が報告されており、マンガン酸化物での結果は説明されていない。リンは遷移金属とともにゼオライトの修飾にだけ限定的に使用されている。
【0014】
アメリカ特許第6,080,303号では、炭化水素接触分解により軽質オレフィンを製造するためのゼオライト触媒が、アルミニウムリン酸塩(AlPO4)で処理することにより製造されている。前記触媒は、1)リンで修飾されたZSM−5を製造および焼成する。2)Al(NO33とNH4(H2PO4)をpHを7〜9で混合し、AlPO4を製造する。3)リンで修飾されたZSM−5をAlPO4で処理した後、焼成することにより製造される。この際、AlPO4をもって処理する方法は、乾燥状態のAlPO4または湿潤ゲル状態のAlPO4のいずれも可能である。この方法によって製造された触媒の組成は0.5〜10wt%P、1〜50wt%AlPO4、5〜60wt%ゼオライト、バインダーまたはクレイを含む。本特許では、ゼオライトの水熱安定特性向上のために、PとAlPO4が用いられ、n−ヘキサンの水熱処理の結果の利点が説明されている。しかし、水熱処理前の反応結果がなく、PとAlPO4はゼオライトの処理にだけ使用され、バインダーとクレイの安定化技術に対しては説明がない。
【0015】
アメリカ公開特許第2006/0011513号では、FCC工程添加触媒として、アルミニウムリン酸塩と金属リン酸塩の混合バインダーを使用して処理される、ZSM−5、ベータ、モルデナイト、フェリエライトおよびシリカ/アルミナのモル比が12以上のゼオライトからなる触媒を提案している。ここで、バインダーとして使用された金属リン酸塩はIIA族、ランタン族、Sc、Y、La、Fe、La、Caから選択され、リン酸塩の含量は5wt%より多い、そして、典型的な例では4〜50wt%が含まれる。前記特許では、リン酸塩の化学的構造について示されておらず、それは活性部位のためのものではなく、バインダーのためのものである。また、マンガンにより形成されたゼオライトを用いてオレフィン収率を向上させることについても開示されていない。
【0016】
アメリカ特許第5,380,690号では、クレイ0〜70%、Al23、SiO2、Al23−SiO2などのような無機酸化物5〜99%、ゼオライト1〜50%を含む触媒について開示しており、前記触媒は、0〜25%のYゼオライト、75〜100%のP25のペンタシルゼオライト触媒である。前記触媒は、1〜30%のRe23で修飾されたZSM−5をアルミニウムリン酸塩溶液(Al23:P25=1:1〜3、質量比)と均一に混合した後(P25:ゼオライト:1:5〜99)、焼成し、スチーミングすることで、製造される。
【0017】
アメリカ公開特許第2006/0116544号では、希土類金属およびマンガンまたはジルコニウム中のペンタシル型ゼオライトをリンとともに使用して処理することで、水熱安定性および軽質オレフィンの収率が向上することを報告している。軽質オレフィン収率向上のためには、ゼオライト中に、希土類金属およびリンとともにマンガンあるいはジルコニウムが含まれている必要がある。また、処理方法としては、ゼオライトに直接、希土類金属、およびマンガンまたはジルコニウム、およびリンを注入する方法を用いている。この技術は、これまで説明したもののように構造の改善を目的とするものであって、無機結合剤やマトリックス成分の安定化については記載されていない。
【0018】
アメリカ特許第4,956,075号では、オクタン価の高いガソリンを炭化水素接触分解するために、マンガンと希土類金属で処理されたYゼオライト触媒を提案している。しかし、前記触媒はペンタシル型触媒と比較して、軽質オレフィン収率および水熱安全性が低い。
【0019】
“表面科学と触媒作用の研究(Studies in Surface Science and Catalysis)",V105,1549(1996)で報告されることには、ZSM−5にマンガンを添加すると、水熱安全性が向上するとされている。しかし、ZSM−5の水熱安全性の面のみを説明しており、炭化水素接触分解による軽質オレフィン製造については説明がない。
【0020】
アメリカ特許第6,447,741号では、マンガンで処理されたアルミノリン酸塩(aluminophosphate)を接触分解用触媒に使用しているが、触媒の合成および炭化水素分解への適用の結果がない。加えて、本特許においては、ゼオライト、クレイ、およびバインダーの水熱安定性と触媒特性に関して考察されていない。
【0021】
以上説明したように、触媒の熱安定性および炭化水素の接触分解による軽質オレフィン製造収率を向上させるために、マンガンを含む遷移金属、リン、希土類金属が提案されてきた。しかし、高い熱安定性および高い軽質オレフィン収率のための触媒をどのように製造するかについて体系的に説明する報告はこれまで見られない。すなわち、本発明で提案されたような、マンガンによりゼオライトの酸性部位を埋め込み、触媒活性を長い間維持し、軽質オレフィン収率を上げるためにリンとマンガンで無機複合体とマトリックスを安定化させることを記載した報告はこれまで見られない。本発明はまた、複雑な埋め込む工程と複雑な球形触媒製造を不要として触媒製造としてコスト効率のよい方法を示す。
【0022】
以上の比較特許で説明したように、リン酸塩は、ゼオライト触媒の熱安定性を増加させる高い能力を示す。リン酸塩はブレンステッド酸性部位の役目をするゼオライトの−Si−OH−Al−骨格部分にリン酸イオン([PO43-)として作用してアルミニウム(Al)を安定化させることで熱安定性を向上させ、水蒸気によって脱アルミニウム化される。
【0023】
しかし、リン酸塩をゼオライトに導入する方法によって熱安定性が大きく影響を受ける。熱安定性を高めるためにゼオライトにリン酸塩を導入するために、従来法法ではリン酸を直接ゼオライトに注入することを試みた。しかし、このような方法によると大量の酸性部位が失われる。水熱安全性向上のためのさらに他の方法として、リン酸とLaなどの希土類金属とを一緒に使用する方法がある。この方法では、大きいLa3+またはリン酸が、ゼオライトの気孔入口に位置して反応活性を低下させる。さらに、これらの既存方法は、ゼオライト自体のみを熱的に安定化させようとするため、ゼオライトにより作製されたマイクロ多孔性分子篩触媒が十分な熱的安定性を有していないという問題点がある。
【0024】
したがって、本発明は、(1)高温多湿の条件でも長期間触媒を安定化する方法、(2)埋め込まれた後も触媒の酸性部位を維持して軽質オレフィンの収率を最大化する方法について開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、熱安定性のある接触分解用触媒を製造するために、核心触媒成分であるゼオライトの骨格構造が高温多湿の雰囲気下でもよく維持されるようにするとともに、機械的強度の確保のために添加される無機酸化物結合剤およびマトリックス成分までも安定化することができる成分を利用した分解用触媒を提供する。
本発明のある観点からは、既存の触媒製法とは異なり、合成手順が簡単であるため大量生産が容易であり、かつ経済的である触媒の製造方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0026】
4以上の炭化水素から軽質オレフィンを製造するための炭化水素接触分解触媒であって、触媒成分に0.01〜5.0wt%のMnO2および1〜15wt%のP25が同時に担持され、前記触媒成分が、1〜50wt%のゼオライト、21〜70wt%のクレイ、および1〜40wt%の無機酸化物を含むことを特徴とする触媒。
4以上の炭化水素から軽質オレフィンを製造するための接触分解触媒を製造する方法であって、前記方法は(a)ゼオライト、クレイおよび無機酸化物前駆体にリン前駆体およびマンガン前駆体を撹拌して混合し、混合スラリーを製造する段階;および(b)前記混合スラリーを噴霧乾燥した後、焼成する段階を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、ゼオライト、無機酸化物、およびクレイを同時に含む触媒にマンガンとリンを埋め込むことにより触媒の熱安定性を向上させるだけでなく、ゼオライトの酸性部位を保護することによりナフサのようなC4以上の炭化水素接触分解の際、軽質オレフィンを高収率で得ることを可能にする。触媒の製造方法が簡単であるため、大量生産が容易であり、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は本発明の触媒製造の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
先行の発明に比べ、本発明は、炭化水素から接触分解によって軽質オレフィンを製造するための分野において、簡便な製造過程、優れた熱安定性、軽質オレフィンの高収率を達成する新しい方法を開示する。
【0030】
本発明の触媒製造方法は以下のようである。
1)マイクロ多孔性の分子篩触媒を製造することにおいて、マイクロ多孔性の分子篩触媒のスラリーでの処理段階でマンガン塩をゼオライトに埋め込むことにより、そして、スラリーの処理段階の前にマンガンにより埋め込まれたゼオライトを使用しないことにより、ゼオライトの酸性部位が最大に保護される。
2)マイクロ多孔性の分子篩触媒の機械的強度を高めるために、本発明は無機複合体のスラリー製造の段階で、適当な量のリンとマンガン成分を注入することで、無機複合体を安定化させる。
3)最終に、ゼオライトスラリー、無機複合体スラリー、およびクレイを混合することで、マンガンおよびリン成分がクレイ、ゼオライトおよび無機酸化物のいずれにも同時に埋め込まれ、安定性および分解活性が最大化しうる。
【0031】
前述したように、ゼオライトにリン酸塩または遷移金属を注入すると触媒の構造が安定化することはよく知られているが、本発明は、C4以上の炭化水素から接触分解によって高収率で軽質オレフィンを安定的に得るために、スラリー製造段階であってゼオライトを直接処理する前の段階ではない段階で、マンガンとリン、ゼオライトに同時に埋め込むことにより、ゼオライトの酸性部位を最大限に維持し無機複合体とクレイ成分を安定化させる効果的な方法を、初めて開示した。
【0032】
4以上の炭化水素から軽質オレフィンを製造するための本発明の触媒は、1〜50wt%のゼオライト、21〜70wt%のクレイ、および1〜40wt%の無機酸化物でなる触媒成分に0.01〜5.0wt%のMnO2と1〜15wt%のP25を同時に埋め込んで製造される。
【0033】
前記のような接触分解触媒は、(a)ゼオライト、クレイおよび無機酸化物前駆体にリン酸塩前駆体およびマンガン前駆体を混合して混合スラリーを作製する段階;および(b)前記混合スラリーを噴霧乾燥した後、焼成する段階によって製造される。
【0034】
本発明による一実施例において、ゼオライト、クレイおよび無機酸化物前駆体にリン酸塩前駆体およびマンガン前駆体が混合された混合スラリーは、図1に示すように、(i)ゼオライトをマンガン前駆体と混合した後、前記クレイを添加して混合してゼオライトおよびクレイのスラリーを製造する段階;(ii)無機酸化物前駆体にリン酸塩前駆体およびマンガン前駆体を混合して無機酸化物スラリーを製造する段階;および(iii)前記ゼオライト/クレイスラリーと前記無機酸化物スラリーを均一に混合する段階によって製造される。
【0035】
本発明による他の具体例において、ゼオライト、クレイおよび無機酸化物前駆体にリン酸塩前駆体およびマンガン前駆体が混合された混合スラリーは、(i)ゼオライトおよびマンガン前駆体を混合してゼオライトスラリーを製造する段階;(ii)無機酸化物前駆体にリン酸塩前駆体およびマンガン前駆体を混合して無機酸化物スラリーを製造する段階;および(iii)前記ゼオライトスラリー、クレイスラリー、および無機酸化物スラリーを均一に混合する段階によって製造される。
【0036】
本発明による他の実施例において、ゼオライト、クレイおよび無機酸化物前駆体にリン酸塩前駆体およびマンガン前駆体が混合された混合スラリーは、ゼオライト、クレイ、無機酸化物前駆体、リン酸塩前駆体およびマンガン前駆体を同時に混合することで製造される。
【0037】
最終に、前記の混合スラリーを噴霧乾燥した後、500〜700℃で5〜10時間焼成することで、本発明による接触分解用触媒が製造される。
【0038】
このような方法で製造された触媒は、水熱安定性が向上するだけでなく、ゼオライトの酸性部位が保護されるので、炭化水素の接触分解の際、軽質オレフィンを高収率で得ることができる。噴霧乾燥のためのスラリー製造の際、マンガン、リン、ゼオライトおよび無機酸化物間の配合比および混合手順が適切でない場合には活性は保証できない。
【0039】
ゼオライトは、Si/Al<200(モルベース)のZSM−5、ZSM−11、フェリエライト(Ferrierite)、モルデナイト(Mordenite)、MCM−22、SUZ−4、X、Y、L型ゼオライトからなる群より選択することができる。Si/Al>200のゼオライトは、酸性部位の数が少なくて活性が減少する場合があり、さらにこのようなゼオライト合成は経済的でない。本発明による方法において、ゼオライトの量は触媒の総質量を基準として1〜50wt%が使用される。
【0040】
本発明に使用されるマンガン前駆体としては、マンガンの硫酸塩、硝酸塩、塩化物、またはアセテート化合物を使用することができ、好ましいマンガン前駆体は、マンガンの塩化物およびアセテート化合物である。
【0041】
ゼオライト、クレイおよび無機酸化物の混合スラリー製造段階、またはゼオライトのスラリー製造段階において、マンガン前駆体を一緒に入れて撹拌してゼオライトの酸性部位を最大に保護することで、軽質オレフィンの収率を改善することができる。
【0042】
マンガン前駆体の使用量は、最終触媒に含有されるマンガン酸化物(MnO2)の量が触媒の総質量を基準として0.01〜5.0wt%となるようにすることが好ましい。MnO2が0.01wt%より少ない場合には、酸性部位保護および水熱安定性が減少する。MnO2が5.0wt%より多い場合には、酸性部位が急激に減少して触媒活性が減少する。
【0043】
本発明による接触分解触媒において、クレイは触媒の最終質量を基準として21〜70wt%の範囲で使用可能である。クレイの量が21wt%より少ない場合には、摩耗強度および触媒比重のような物理的特性の調節に多くの問題がある。クレイの量が70wt%より多い場合には、触媒活性が減少するおそれがある。
【0044】
本発明には無機酸化物の結合剤として、Al23、SiO2、またはAl23−SiO2を使用しうる。本発明による接触分解触媒の製造方法に使用される無機酸化物前駆体は、Al23、SiO2、またはAl23−SiO2を含むゾル、ゲルまたは溶液の形態を持つ。無機酸化物の好ましい使用量は、最終触媒を基準として1〜40wt%の範囲である。無機酸化物の使用量が1wt%より少ない場合には、マイクロ球形触媒の摩耗強度が足りないおそれがあり、無機酸化物の使用量が40wt%より多い場合には、接触分解活性が減少する。
【0045】
本発明による接触分解触媒の製造に使用されるリン前駆体としては、H3PO4、(NH43PO4、H(NH42(PO4)およびH2(NH4)PO4からなる群から選択される水性化合物を使用でき、その使用量は、最終触媒内に存在するP25の含量が1〜15wt%となるようにすることが好ましい。最終触媒に対するP25の含量が1wt%より少ない場合にはゼオライトの水熱安定性が減少し、最終触媒内に存在するP25の含量が15wt%より多い場合には、過度な酸性部位の減少によって接触分解活性が減少する。
【0046】
混合されたスラリーに含まれるリン成分とマンガン成分はスラリーに溶解された状態でゼオライト、クレイおよび無機酸化物の全てに埋め込まれる。これらの成分はゼオライトの酸性部位を保護するとともに、ゼオライト、クレイおよび無機酸化物の水熱的安定性を向上させることで、触媒の安定性および分解活性を最大化する。
【0047】
最終に、前記スラリーを噴霧乾燥した後、500〜700℃で5〜10時間焼成することで、本発明による接触分解用触媒が製造される。
【0048】
本発明によって製造された前記触媒はC4以上の炭化水素からエチレンおよびプロピレンを高収率および高選択性で製造するための流動層接触分解反応のためのマイクロ球形(microspheroidal)成形触媒として使用される。ここで、C4以上の炭化水素は30〜200℃の沸点を有する炭化水素を意味する。
【0049】
また、本発明による触媒は、高温多湿の条件であっても、高い分解活性および安定性を有する。このような特性により、本発明の触媒は、接触分解反応の外にも、異性化反応、アルキル化反応、エステル化反応および酸化/還元反応などのように高い水熱安定性が必要とされる触媒反応にも使用することができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。しかし、これら実施例は本発明の範囲を限定するものとは解釈されない。
【0051】
比較例1:P−La−Mn/ZSM−5の製造
40.5gのMnCl2・4H2Oを3,000mlの蒸留水に溶解した。この溶液に200gのZSM−5を、室温で約3時間攪拌しながらゆっくり加えた。次に、真空乾燥により溶液を乾燥させ、焼成(650℃、6時間)を行った。89gのLa(NO336H2Oを3,000mlの蒸留水に溶解し、焼成して得られた試料200gをこの溶液に加え、室温で3時間撹拌した。次に、真空乾燥により溶液を乾燥させ、焼成(650℃、6時間)を行った。25.5gの85%H3PO4を3,000mlの蒸留水に溶解し、焼成して得られた試料200gを前記溶液に加え、室温で3時間撹拌した。次に、真空乾燥により溶液を乾燥させ、焼成(650℃、6時間)を行った。
【0052】
比較例2:P−Mn/ZSM−5の製造
40.5gのMnCl2・4H2Oを3,000mlの蒸留水に溶解し、200gのZSM−5をこの溶液に加え、室温で3時間撹拌した。つぎに真空乾燥により溶液を乾燥させ、焼成(650℃、6時間)を行った。25.5gの85%H3PO4を3,000mlの蒸留水に溶解し、焼成して得られた試料200gをこの溶液に加え、室温で3時間撹拌した。次に、真空乾燥により溶液を乾燥させ、焼成(650℃、6時間)を行った。
【0053】
比較例3:P/ZSM−5の製造
25.5gの85%H3PO4を3,000mlの蒸留水に溶解し、200gのZSM−5をこの溶液に加え、室温で3時間撹拌した。次に、真空乾燥により溶液を乾燥させ、焼成(650℃、6時間)を行った。
【0054】
比較例4〜6
比較例1〜3の試料を使用して接触分解反応実験のためのマイクロ球形触媒を次のように製造した。
比較例1の試料120gを蒸留水200gに加え、撹拌してゼオライトスラリーを準備した。クレイ144gを蒸留水176gに加え、撹拌してクレイスラリーを準備した。ゼオライトとクレイを結合してマイクロ球形触媒を作るためにアルミナゾル(固形分含量8.4%、pH2〜3)439gを使用した。ゼオライトスラリー、クレイスラリーおよびアルミナゾルを撹拌して均一に混合し、噴霧乾燥した。調整した材料を650℃で6時間焼成して、比較例4の成形触媒を製造した。以下、同様な手順と方法で比較例2および3のゼオライトを使用して比較例5および6の成形触媒を製造した。
【0055】
比較例7
比較例1の試料120gを蒸留水200gに徐々に加え撹拌してゼオライトスラリーを準備した。クレイ144gを蒸留水176gに加え撹拌してクレイスラリーを準備した。マイクロ球形触媒を作る無機酸化物結合剤を形成するために、アルミナゾル(固形分含量8.4%、pH2〜3)439gおよび85%H3PO433.1gを均一に混合した。ゼオライトスラリー、クレイスラリー、およびアルミナゾル−H3PO4混合物を均一に撹拌し、噴霧乾燥した。650℃で6時間焼成して比較例7の成形触媒を製造した。
【0056】
下記表1に比較例4〜7触媒の化学組成を整理した。
【0057】
【表1】

【0058】
実施例1〜2
4.5gのMnCl2・4H2Oを376mlの蒸留水に溶解し、120gのZSM−5をこの溶液に加え、60℃で6時間撹拌した。その後、高粘度スラリー混合器を用いて、クレイ144gを少量ずつこの溶液に加え、3時間撹拌した。アルミナゾル(固形分8.4%、pH2〜3)439g、85%H3PO430.5gおよび1.8gのMnCl2・4H2Oを35℃で8時間混合して無機結合剤を準備した。前記ゼオライト−クレイスラリーと無機結合剤を均一に混合し、噴霧乾燥した。次に、650℃で6時間焼成することで、実施例1の触媒を製造した。
11.2gのMnCl2・4H2OをZSM−5の形成に使用し、3.1gのMnCl2・4H2O、および43.8gのH3PO4を無機結合剤に使用したことを除き、実施例1と同じ方法を行って実施例2の触媒を製造した。
【0059】
実施例3〜4
4.5gのMnCl2・4H2Oを376mlの蒸留水に溶解し、120gのZSM−5をこの溶液に加え、60℃で6時間撹拌した。その後、高粘度スラリー混合器を使用して、クレイ144gを少量ずつ3時間添加した。Pseudo Boehmite(Al23含量72%)56.7gを498gの水に分散させた。この分散Pseudo Boehmite溶液、85%H3PO430.5g、および1.8gのMnCl2・4H2Oを35℃で8時間混合し、無機前駆体を準備した。5.32gの蟻酸をこの混合物に加え、安定化するまで撹拌することで、前記無機前駆体を準備した。前記ゼオライト−クレイスラリーと無機結合剤を均一に混合し、噴霧乾燥した。次に650℃で6時間焼成することで、実施例3の触媒を製造した。
15.5gのMnCl2・4H2OをZSM−5の形成に用い、無機結合剤に4.8gのMnCl2・4H2Oおよび51.3gのH3PO4を用いたことを除き、実施例3と同じ方法を行って実施例4の触媒を製造した。
【0060】
実施例5〜6
4.5gのMnCl2・4H2Oを376mlの蒸留水に溶解し、120gのZSM−5をこの溶液に加え、60℃で6時間撹拌した。その後、高粘度スラリー混合器を使用して、クレイ144gをこの溶液に3時間少量ずつ加えた。Al23基準8%硫酸アルミニウム溶液199gにSiO2基準29%水ガラス23.6gを加え、混合した。この溶液、85%H3PO415.95gおよび1.8gのMnCl2・4H2Oを35℃で8時間混合して、無機結合剤を準備した。前記ゼオライト−クレイスラリーと無機結合剤を均一に混合し、噴霧乾燥した。次に、650℃で6時間焼成することで、実施例5の触媒を製造した。
ZSM−5の形成に11.4gのMnCl2・4H2Oを用い、5.8gのMnCl2・4H2Oおよび71.2gのH3PO4を無機前駆体に用いたことを除き、実施例5と同じ方法を行って実施例6の触媒を製造した。
下記表2に実施例1〜6触媒の化学組成を整理した。
【0061】
【表2】

【0062】
実施例7〜8
4.5gのMnCl2・4H2Oを376mlの蒸留水に溶解し、90gのZSM−5をこの溶液に加え、60℃で6時間撹拌した。次に、高粘度スラリー混合器を使用して、クレイ144gをこの溶液に少量ずつ3時間添加した。Al(NO33・9H2O62.4gを220mLの蒸留水に加え、85%H3PO421.5gおよび1.3gのMnCl2・4H2Oと35℃で8時間混合した。前記ゼオライト−クレイスラリーおよびこの溶液を均一に混合し、噴霧乾燥した。次に、650℃で6時間焼成することで、実施例7の触媒を製造した。
120gのZSM−5を使用し、11.4gのMnCl2・4H2OをZSM−5形成に用い、5.8gのMnCl2・4H2Oおよび61.2gのH3PO4を無機前駆体に用いたことを除き、実施例7と同じ方法を行って実施例8の触媒を製造した。
【0063】
比較例8
120gのZSM−5を376mlの蒸留水とともに室温で6時間撹拌した。その後、高粘度スラリー混合器を使用して、クレイ144gをこの溶液に少量ずつ3時間加えた。Al(NO33・9H2O62.4gを220mLの蒸留水に加え、85%H3PO421.5gと混合した。前記ゼオライト−クレイスラリーおよびこの溶液を均一に混合し、噴霧乾燥した。650℃で6時間焼成することで、比較例8の触媒を製造した。
【0064】
比較例9
22.8gのMnCl2・4H2OおよびAlCl3・6H2O222.6gがとけている576ml水溶液に、85%H3PO413.2gを加えて3時間撹拌した。その後、アンモニア水を徐々に滴下してpH11に調節した。沈殿物を除去した後、100℃で乾燥し、650℃で5時間焼成することで、MnAlPOxを製造した。MnAlPOx32.6gと120gのZSM−5を蒸留水200gに加えて混合し、MnAlPOx/ZSM−5スラリーを製造した。クレイ111.4gおよび蒸留水176gを上記と同様な手順で用い、クレイスラリーを準備した。アルミナゾル(固形分含量8.4%、pH2〜3)439g、ゼオライトスラリー、クレイスラリーおよびアルミナゾルを均一に混合し、噴霧乾燥した後、650℃で6時間焼成することで、比較例9の成形触媒を製造した。
【0065】
下記表3に実施例7および8および比較例8および9の触媒の化学組成を整理した。
【0066】
【表3】

【0067】
触媒活性の評価
触媒活性を評価するために、比較例4〜9および実施例1〜8の触媒14種を760、100%水蒸気雰囲気下で24時間、水熱処理した。評価のための試験条件は、1)反応温度675℃、2)WHSV=8/h、3)触媒量6gであり、ナフサ(沸点30〜135℃)を反応物として使用した。下記表4〜6に結果を整理した。
【0068】
結果から分かるように、本発明のマイクロ球形の成形触媒をつくるためにMnおよびPを導入することにより、高い反応転換率と軽質オレフィン収率を得ることができることが明らかである。MnおよびPはゼオライト、無機結合剤およびクレイを安定化させるのに効果的である。また、ゼオライトの酸性部位を保護することにより、軽質オレフィンを高収率で得ることができる。
【0069】
【表4】

【0070】
【表5】

【0071】
【表6】

【0072】
上述のように、本発明の触媒は、軽質オレフィンの収率向上のために、ゼオライト酸性部位をマンガンで処理し、このように処理されたゼオライトが触媒構造において高活性特性を達成するように、リンとマンガンが無機酸化物結合剤とマトリックス成分を安定化させるために、使用されることを特徴とする。一般的に複雑なゼオライト埋め込み段階を含む従来技術に比べ、本発明の触媒製造方法は、費用の点において利点を持つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒成分に0.01〜5.0wt%のMnO2と1〜15wt%のP25が同時に担持されていることを特徴とする、C4以上の炭化水素から軽質オレフィンを製造するための接触分解触媒であって、前記接触分解触媒が1〜50wt%のゼオライト、21〜70wt%のクレイ、および1〜40wt%の無機酸化物を含む触媒。
【請求項2】
前記ゼオライトが、Si/Alのモル比が200以下であり、ZSM−5、ZSM−11、フェリエライト(Ferrierite)、モルデナイト(Mordenite)、MCM−22、SUZ−4、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、L型ゼオライトからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記無機酸化物が、Al23、SiO2、またはAl23−SiO2であることを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
前記C4以上の炭化水素が30〜200℃の沸点を有することを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
4以上の炭化水素から軽質オレフィンを製造するための接触分解触媒の製造方法において、
(a)ゼオライト、クレイおよび無機酸化物前駆体にリン前駆体およびマンガン前駆体を混合撹拌して混合スラリーを製造する段階;および
(b)前記混合スラリーを噴霧乾燥した後、焼成する段階を含むことを特徴とする、接触分解触媒の製造方法。
【請求項6】
前記(a)混合スラリー製造段階が:
(i)前記ゼオライトを前記マンガン前駆体と混合した後、前記クレイを添加して、混合物を撹拌してゼオライト/クレイスラリーを製造する段階;
(ii)前記無機酸化物前駆体を前記リン前駆体および前記マンガン前駆体を混合撹拌して無機酸化物スラリーを製造する段階;および
(iii)前記ゼオライト/クレイスラリーと前記無機酸化物スラリーを均一に混合する段階を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記(a)段階が:
(i)前記ゼオライトを前記マンガン前駆体と混合してゼオライトスラリーを製造する段階;
(ii)前記無機酸化物前駆体に前記リン前駆体および前記マンガン前駆体を混合撹拌して無機酸化物スラリーを製造する段階;および
(iii)前記ゼオライトスラリー、前記無機酸化物スラリーおよびクレイを均一に混合する段階を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記(a)段階が、前記ゼオライト、クレイ、無機酸化物前駆体、リン前駆体およびマンガン前駆体を同時に混合して撹拌することにより行われることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ゼオライトが、Si/Alのモル比が200以下であって、ZSM−5、ZSM−11、フェリエライト(Ferrierite)、モルデナイト(Mordenite)、MCM−22、SUZ−4、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、およびL型ゼオライトでなる群から選ばれることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記無機酸化物前駆体が、Al23、SiO2、またはAl23−SiO2を含み、ゾル、ゲルまたは溶液の形態であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記C4以上の炭化水素が30〜200℃の沸点を有することを特徴とする、請求項5に記載の接触分解触媒の方法。
【請求項12】
前記マンガン前駆体が、マンガンの硫酸塩、硝酸塩、塩化物、またはアセテート化合物であることを特徴とする、請求項5に記載の接触分解触媒の製造方法。
【請求項13】
前記リン前駆体が、H3PO4、(NH43PO4、H(NH42(PO4)およびH2(NH4)PO4からなる群から選ばれた水溶性リン化合物であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記接触分解触媒が、1〜50wt%のゼオライト、21〜70wt%のクレイ、および1〜40wt%の無機酸化物を含む触媒成分を有し、前記触媒成分は0.01〜5.0wt%のMnO2および1〜15wt%のP25の両方を同時に担持していることを特徴とする、請求項5に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−523584(P2011−523584A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545809(P2010−545809)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際出願番号】PCT/KR2009/000573
【国際公開番号】WO2009/099309
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(507268341)エスケー イノベーション カンパニー リミテッド (57)
【出願人】(398043850)コリア リサーチ インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー (21)
【Fターム(参考)】