説明

軽量蛍光灯

【課題】吊り下げ灯具をもっと軽くし、しかも電気的力率を向上させる。
【解決手段】蛍光管の外側に点弧誘引電極を取り付け高電圧を加えると、重い安定器や昇圧変圧器を、軽い白熱灯などによって代替しても点灯可能となり、灯具の重量を3分の1程度に軽量化できると同時に、高電圧発生回路の蓄電器の効果により、その灯具は進み力率になる。誘引電極なしに自己点弧可能な短小蛍光管は、複数を電気的に直列にした蛍光管列とし、点弧誘発回路により、一本ずつ順次起動すれば、軽量、コンパクトで、高効率の明るい灯具となる。
【効果】照明灯具が全て進み力率になれば、動力の遅れ力率が中和されて、送電ロスを最少にすることも可能で、全国的には莫大な省エネ効果となる。併せて、受電端の電圧変動率も改善される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
民生用照明灯
【背景技術】
【0002】
蛍光管を点灯させるには基本的に次の3つのことが必要であった。
▲1▼必要な高電圧を短時間加え、初期放電(点弧)を誘発する。
▲2▼初期の突入電流を抑制し、早急に定常電流に安定するように、点灯回路に「入力制限手段」を設けておく。
▲3▼点灯後、所定の定常点灯電圧を維持する。
【0003】
従来型蛍光灯に於いては、前項▲1▼▲2▼▲3▼を重量電磁部品である「安定器」や安定器兼用の「単巻昇圧変圧器」と、「点灯管」との組み合わせで行なっていたので、灯具の重量が重く、特に吊り下げ式灯具は3Kgもあり、大地震に際し、激しい揺れに同調した時、落下、短絡、引火など大変危険であった。
【0004】
わが国の電灯線電圧(100V.)は、一般照明に多用される32乃至40ワット型の蛍光管を点灯させるには低すぎ、前記▲3▼定常点灯電圧を確保出来ないため、灯具内に「単巻昇圧変圧器」を設てきた。また、FL10以下の短小蛍光管に対しては、過剰であるため安定器のコイルの巻数とオーム抵抗を増やして電圧を削減してきた。
【0005】
一定の方法に依り、100V.電灯線電圧に対応する従来型蛍光灯の、エネルギー効率と(力率)を測定した結果、20ワット型(FL20)が最高で80%以上(0.8)、次いで、15ワット、30ワット型(以後FL15,FL30などと書く。)が75%(0.75)、FL10以下,FL32以上が低く約70%(0.6,0.7)となった。即ち、供給電圧(電源電圧)に対し

なる。特に短小管は電圧を無益に削減してまで出力を抑えると言う矛盾があった。
【0006】
蛍光管の定常放電電圧は主として電極間長によって決まる放電抵抗と、定常電流の積であるから、当然短小蛍光管程低く、例えば、従来型FL10では平均46V.しか無いため、供給電圧が100V.であれば54V.を「入力制限手段」で低減する必要があった。その54V.分のエネルギーの内約17V.分は「入力制限手段」即ち安定器内で消費され、残37V.は誘導エネルギーとして貯えられる。この37V.分は灯具の損失ではないが不可分の無効電流という形で1サイクル毎に流入流出を繰り返す。その結果、延々と発電所までの送電線の電流を増加させ送電ロスを拡大させ一刻も休むことが無い。送電線に負担を掛けるだけのこの電圧は有効利用すべきである。
【0007】
「安定器」や「単巻変圧器」の電気的「力率」は、他の電気機器と略同じ遅相の0.7が一般的であり、実効電流(力率1の時の電流)の1.4倍もの電流が流

の時の約2倍になる。力率の悪化は、受電端の「電圧変動率」の悪化にも直結している。最近誘導加熱式の調理器が普及するに及んで、一般電灯線電力系の力率は悪化の傾向にあり、ラッシュ時には受電端の電圧が所定値を割りこむことも発生している。全照明灯の「力率」が1又は進相力率になれば、大幅に改善される。
【0008】
ある電力会社の実績では、一般向け電灯線電力は常時500万KW.と言われる。力率0.7で720万KVA.となる。別の資料から、送電線ロスは数%と言われるから、時々刻々35万KVA.のロスが発生していることになる。上記に依れば、力率を0.3改善すれば、17.5万KVA.、0.15の改善でも、8.8万KVA.の節約で、全国的には恐らくこの約10倍であり、原発1乃至2基分の発電量に相当すると思う。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
▲1▼一般低圧電灯線(100V.)で用いられる蛍光灯具を対象として、「安定器」や

▲2▼重い電磁部品を用いなくとも電源電圧だけで点弧する、「自己点弧性」を有する短小蛍光管は、複数を電気的に直列にし、一本ずつ順次全数点灯させる方法。
▲3▼「入力制限手段」として重い電磁部品の代りに、軽い白熱灯や交流蓄電器を用いることにより、灯具の重量を3分の1程度を目標に軽量化する。
▲4▼灯具の電気的「力率」を1.0乃至1.0を通り越して若干の進み力率にする。
【0010】
課題▲1▼の、対象範囲には、従来「単巻昇圧変圧器」を用いて、電源電圧を1.5倍にして給電したFL32や、2倍にしたFL40も入る。しかし、後述の通り脈直流を適用し点灯出来るFL32は別とし、FL40は、電磁部品を一切用いないで200V.の定常点灯電圧を得ることは不可能であるから、除外する。元来FL40以上は200V.系でエネルギー効率(以下単に効率と言う。)良く点灯すべきである。
結論的に、電源電圧100V.では、電磁部品を一切用いないで交流のまま点灯可能な蛍光管はFL30迄であり、脈直流にすると、FL32迄が可能となる。
【0011】
「入力制限手段」は主として白熱灯を用い、回路の力率は普通1.0となる。然し力率が1.0の場合、電圧変動に対する受容性に乏しく、点滅やチラツキを発生し易いので、本願では、なるべく若干の進み力率にすることを目標にした。
交流蓄電器は、これを主回路に用いると進み力率となるが、過剰になれば、蛍光管の輝度が低下する。(主回路では電磁コイルと共に用いた方が良い。)
点灯管に直列にして用いると、点弧中の過渡的突入電流が抑制される。
力率は上記理由に依り−0.86(−は進み力率を示す。)が限界と思われる。
【0012】
「点弧」を発生させるのに、何も直接的に高電圧を印加しなくとも、電源電圧を懸けたままの蛍光管に、間接的に高電圧の電界を作用させて、「点弧」を誘い出すことが出来るのではないかと考え、「倍電圧整流回路」として公知である電気回路によって得られた半波脈直流高電圧を、定常点灯電圧を懸けたFL30蛍光管の外側え巻き付けた銅線に加えて実験したところ、点弧が発生した。
【0013】
FL15,FL20に於いては、電源側からいずれか1本の導線を分岐延長して蛍光管の外側に巻き付けるだけでも、有意の点弧誘引効果が認められた。
このように蛍光管の外側に導体を巻き付けて高電圧を加え、発生する電界によって絶縁体を介して点弧を誘うような電極を以後「点弧誘引電極」と呼ぶことにし、高電気抵抗などを経由して直接電圧を懸けて行なう「点弧誘発作用」と区別する。
【0014】
「点呼誘引電極」には、極性が発生する。電源側で接地(アース)されている方と、高電圧発生回路即ち「倍電圧整流回路」などの電位の低い方を一致させるべきである。実用上は、蛍光灯の電源プラグを差し替えて見て、点灯性の良い方に固定的にして使用する。また、「点弧誘引電極」で発生する電界は、過渡的に変化している方が良く、静的電界では誘引効果が弱い。その為、誘引電極と灯具の

【0015】
点弧用高電圧発生回路は、点灯回路から独立した併設回路とすることが出来るので、点灯回路は「入力制限手段」と蛍光管と点灯管から成る簡素なものである。
そして、定常放電電圧と「入力制限手段」の電圧降下分を合計した「定常点灯電圧」が確保されていれば点灯可能となる。
現行の電源電圧は、この「定常点灯電圧」を確保、維持するには、FL20以下の蛍光管に対しては十分であるが、FL30では余裕が無く、電圧低下に対応出来ないので、「点弧誘引電極」の装着は勿論、その効果を確実にする工夫をしておけば、点灯性も良くなり、通常の電圧降下には十分対応出来るようになる。
FL32では約40V.不足するので、解決手段として脈直流電圧を給電する。交流100V.を全波整流した、脈直流電圧の波高値は141V.で周波数は2倍になり、加えて、「点弧誘引電極」用高電圧の一部をそのまま直接利用出来るからである。
【0016】
課題▲2▼に対し、従来型FL10の定常放電電圧は約46V.で、定常電流は0.2A.効率70%力率0.6位いであった。いま、この安定器を取りはずし、「入力制限手段」として市販の100V.40W.の白熱電球を取り付けた実験では、定常放電電圧40V.、定常電流0.25A.、白熱灯の電圧降下58V.、必要な定常電圧は98V.となり「0002」の条件を満して、点灯した。効率68%、力率1.0となった。
FL10一本だけを点灯するには、特別な「点弧誘引電極」さえ不要であることが判明した。このような蛍光管を「自己点弧性を有する」と言うことにする。
【0017】
今、FL10を2本直列にすれば、従来の「入力制限手段」即ち安定器の電圧降下は10V.以内でなければならない。しかし、「0006」に依れば、FL10の点灯維持の為には蛍光管一本で、17V.必要であったから、従来の安定器による方法では、少なくとも、7V.不足となり、点灯不可能である。
白熱電球などの力率の良い方法では、放電電圧は40V.(2本で80V.)以下に下がるのて、「入力制限手段」の電圧降下は20V.以上となり、点灯可能となる。
【0018】
此の様に、FL10以下の蛍光管は点弧し易いにも関わらず、従来例えばFL10ではインダクタンス1ヘンリー位で捲線抵抗60Ω位の安定器1個を用いて点灯していたので、10W.の出力(実際には9W.程)を得るのに銅損と、鉄損その他計4W.程の損失が出ていた。また、灯具の力率も悪くインダクタンス1ヘンリーとすれば、0.63位になる。「直列にした複数の蛍光管を順次点灯させる方法」の事例として、2本直列にすれば、定常放電電圧は80V.となるから「入力制限手段」の電圧降下は20V.とすればよいことになり、0.25A.の定常電流を流す抵抗体は5W.80Ωとなる。市販の電球なら、24V.7W.の電球1個又は12V.3.5W.の電球2個を直列にすればよい。(然しこれら市販の豆電球は熱容量に乏しく切れ易いので、電圧補正、フイラメントの温度補正を考慮して、100V.60W.のクリプトン球を用いた。)
この場合白熱灯の出力5W.は丸々損失ではないから仮に多めに4W.の損失としても、損失の割合は従前の半分になりエネルギー効率は80%となる。これはFL20一本の効率に匹敵する。このように、複数の管を直列にすると、効率は大幅に向上し、出力は本数倍、力率は1.0、長さ方向寸法はFL10と同じとなる。
【0019】
課題▲3▼に対し、従来の安定器ないし単巻昇圧変圧器は、単に「入力制限手段」に留まらず、コイル内に蓄積された誘導エネルギーを点灯管のスイッチング作用によって一気に放出し、過渡的高電圧を誘発する機能をも持っていた。本願では、この機能を間接的に行なう「点呼誘引電極」又は直接電圧を加えて行なう「点弧誘発作用」によって代行させているので、ここでは軽量で、入力制限のみを理想的なパターンに従って行なう部品を用いればよい。「入力制限の理想的パターン」とは、点灯性を良くする為に、起動直後はある程度の突入電流を許し、蛍光管のフイラメントが加熱されるに従って抵抗値が増えて、定常点灯電流まで、早急に減少するようなパターンである。このようなパターンは白熱灯、それも蛍光管のフイラメントと同程度の熱容量を有するものが良いと思われる。
【0020】
「入力制限手段」としての交流用蓄電器は、入力に一定の制限をするだけで理想的パターンに従うことは出来ない。主回路に用いると灯具を進相力率にするが、余り容量性が過ぎると輝度低下を招く。蓄電器内滞留電荷が増え、蛍光管に十分にエネルギーを与えられない為と思われる。
これを点灯管に直列にして用いると、点弧中の突入電流を完全に制限するので、点灯に失敗し、半点灯状態のまま大電流が流れ、端子電圧が極端に低下し、立ち往生したまま点滅を繰り返すと言うことがなく、蛍光管のフィラメントが保護され、耐用時間が延びる。フィラメントの加熱時間、即点弧を経て点灯に至る時間は、この蓄電器の容量に反比例的である。容量を適正に選定し、必要にして十分な電流に制限すれば、極端な電圧低下を招くことが無いので、外部要因などで、たとえ30秒間以上点滅していても蛍光管の損耗は少なく、やがて点灯に成功する。点灯完了すればこの点灯管回路に電流は流れないので、この場合この蓄電器は、灯具の力率には関係しない。 また、この場合の蓄電器は点灯管回路専用であり、点灯すれば切り離されるから、主回路の「入力制限手段亅である白熱灯は省略出来ない。
【0021】
「図2」はFL30を上下2段に並列にした60ワット型ペンダント灯の電気回路図である。このように並列に2セットを設ける場合、各セットは同じ回路構成で、同じ回路定数とするのが普通であるが、「0011」でふれたように、力率1の回路は電源電圧の変動等の受容性に乏しく、特に並列回路では各回路に等分に電流を流すことは難しい。その上、放電管の特性として、電流が減った方の電圧が上がり、増えた方の電圧は下がるという現象があるため、電流が減り電圧の上がった方の点灯管が作動を始めることとなり、その結果、一旦点灯した蛍光管の一方が突如点滅を始め、止まらないと言う不具合が発生することがある。
この不具合の対策として、点灯完了を光や熱で検出し、即時、点灯管回路に設けたスイッチで点灯管回路を切り離す方法もある。しかし「図2(a)」の事例では、上段のセットのみ点灯管に直列に前項の、交流用蓄電器(C5;15μF.)を挿入した。
又、「図3」(a)の事例では、上記蓄電器の代わりに小型軽量低抵抗のフエライトコアインダクター(L;50μH.)を挿入した。
これら蓄電器やインダクターは並列にした上下の蛍光管の点弧に至るタイミングを少しだけずらすことに依ってこの不具合、即ち相互干渉を回避したものである。
【作用】
【0022】
「図2」の事例で、点灯操作をすれば、先ず下段用の白熱灯が1、2回点滅した後、「点弧誘引電極」の助けを借りて下段の蛍光管が即点灯し、遅れて上段用の白熱灯がゆっくりと点灯を始め次第に明るさを増し定常の明るさに近付いた時点で、上段の蛍光管も(約5秒遅れで)点灯する。1サイクル毎次第に勢力を増し、最後に「すぅー」と点灯し、遅く即時点灯性はないが確実性がある。利点は蛍光管の寿命を延ばすので取り替えが面倒な上段用に好適である。
「図3」の事例では、上下段共相前後して点灯するが、どちらかと言えば上段のインダクターを挿入した方が即時点灯性に優れている。即時点灯性の評価基準は点灯に至る時間(秒)とし、1,2を「優」、3,4を「良」、5以上を「可」とする。
【0023】
「入力制限手段」としての、白熱灯の温度が整定した後、その蛍光灯を消灯し、すぐに再点灯を試みても、白熱灯の温度がある程度降下するまでは点灯出来ない。
冷却に要する時間は2乃至5分間である。再点灯性の評価基準も時間(分)とし、同様に、1,2を「優」、3,4を「良」、5以上を「可」とする。
【0024】
「図7」(a)は既述のFL10 2本を用いた、「直列にした複数の蛍光管を順次点灯させる方法」の実施例の電気回路図である。図中の蓄電器(C6)と高抵抗(R)を直列にして電源側から引かれている回路が「点弧誘発バイパス回路」である。
もしこのバイパス回路が無ければ、「順次起動」は出来ないから2本同時に、即ちFL20として、点弧するに必要な電圧は、120V.位になり、電源電圧(100V.)だけでは不可能である。 このバイパス回路を設けることにより、先ず蛍光管FL10−2に電圧が懸るので、自己点弧性により点弧し、点弧すればその蛍光管は短絡状態であるから、残る蛍光管FL10−1にも電圧が懸り点弧が誘発され、そのまま点灯する。続いてFL10−2が点灯する。
「図7」(b)はFL10を3本用いて電源電圧120V.に対応したものである。
FL10を5本にすれば、電源電圧200V.に対応する面光源風の灯具が出来る。
【0025】
「図4」は、「脈直流」を用いたFL32蛍光灯点灯回路用の結線図である。
電源側で2系統に分かれ、1つはブリッジダイオード(D4)によって「脈直流」に変換された後、「入力制限手段」であるクリプトン球を経て蛍光管に至る主点灯回路であり、もう1つは3倍電圧整流回路▲10▼を経て「点弧誘引電極」▲9▼に至る回路である。3倍電圧整流回路よりブリッジダイオードの+端子側へフューズ(F)を介して結ばれた回路は、点灯前の点弧動作中は一端をブリッジダイオードに阻止されもう一端は蛍光管の+電極に半波の3倍電圧を加え、直接「点弧誘発作用」を行なう。点灯後は定常点灯電圧を微弱ながら補ない、同時に「点弧誘引電極」を無効にする。
前項の方式に用いる蛍光管の両端の電極は通電加熱式フィラメントである必要はないので、各フィラメントの端子間を短絡しておくと即時点灯性が微妙に向上し、フィラメント内に於ける電圧降下が2分の1になるので、エネルギー効率も向上する。
【0026】
白熱灯のフィラメントは冷態時に於いては、白熱状態に於ける抵抗値の10分の1位の抵抗値しか示さず、しかも白熱するまでに電源周波数の数サイクルを要するので、その間に点弧に必要な十分な電気エネルギーを供給することが出来、点弧し点灯完了時点では、既に白熱しているので、今度は保安抵抗としての役割を果たすと共に、一部(本願では2分の1とした。)は、光エネルギーとなって目的的に利用される。
【0027】
「点弧誘引電極」の電界は過渡的に変化している方が効果があるので、倍電圧回路の高電圧を加え、更にこれを灯具の筐体などに極少容量の蓄電器で接地して微小電流を流すことは前述の通りであるが、灯具の筐体などはそれ自身が接地されてはいないので、極微少電流といえどもいずれ満杯になり、「点弧誘引電極」の効果が阻害されてくる。一般に満杯になった筐体の電荷は、消灯中に自然に消滅するのであるが、極少容量といえども蓄電器中には残存電荷が有り、次の点灯時に点弧しない場合があるので、蓄電器の容量リアクタンスの10倍以上の高抵抗で蓄電器バイパス抵抗(R4)を設けて置く。「誘引電極の効果を確実にする。」為である。
【0028】
倍電圧整流回路▲10▼から前項の接地コンデンサー(C4)、同バイパス抵抗(R4)に至る迄の「点弧誘引電極システム」は、「0025」記載の、一部を分岐して直接「点弧誘発作用」を行なわせる場合を除き、電力を消費しない。従ってこのシステムが灯具のエネルギー効率を左右することはない。「0025」の場合も消費電力は僅少である。
第1段の蓄電器(C1)の充放電電流は無効電流として灯具を若干の進み力率とする。 第1段の蓄電器(C1)は交流用フイルムコンデンサーなどでなくてはならないが、第2,3段(C2,C3)及び接地コンデンサー(C4)は電解コンデンサーを用いることが出来る。
【0029】
FL10は、自己点弧性有り「点弧誘引電極」は不要。FL15は、システムとしては不要であるが、「点弧誘引電極」を設け、電源側へ結線しておくだけでもよいが、点弧中のエネルギーを救済し、点灯を確実にするため、1mH.位のインダクターを主回路に挿入する。FL20は、それに2倍電圧を懸けておくと更に確実になる。FL30以上は「点弧誘引電極システム」として3倍電圧のものを装備した方がよい。
【0030】
「点弧誘引電極」の取付位置は管端から略15cm又は45cm、原則管央とした。
【実施例】
【0031】
並列2連「ハイブリット方式」ペンダント灯:「図1」、「図2」、「図3」参照。
仕様:蛍光管(FCL30EX−D)×2 :点灯管(FG−1E)×2
入力制限手段:100V.95W.クリプトン球各1計2、15μFフィルムコンデンサー×1
(又は、50μH.インダクター×1)
点弧誘引電極システム:−
点弧誘引電極;銅線巻付式各1計2
高電圧発生回路;半波3倍電圧整流回路(初段交流蓄電器3.3μF)×1
接地コンデンサー;0.1μF、同バイパス抵抗;920KΩ、接地抵抗;2MΩ
補助照明灯;2Cナツメ球×1
性能:入力; 100V.60Hz.0.95A.(95V.A.)
出力;蛍光管出力;(上)27W.+(下)26W.=計53.0W.
電球出力 ;10W.+8.5W.=計18.5W.出力計=71.5W.
損失;蛍光管フィラメント;0.8W.+0.7W.=計=1.5W.
電球損失 ;10W.+9.0W.=計19.0W.損失計=20.5W.
有効電力;92W.: 無効電力;√(95−92)=24V.A.(3.3μF蓄電器他)
力率;(有効電力)÷(入力)=92/95=−0.97(進み)
効率;(出力)÷(有効電力)=71.5/92=0.78(78%)
重量:800gr(傘なし重量) 1m 照度:250(露出計)
特徴:軽い、即時点灯性;良と優、再点灯性;可と可(いずれも上段良、下段可)、再点灯性を重視する用途には、「図2」と「図3」の上段の回路を組み合わせ、並列2連とすれば、再点灯性は「良」となる。
【0032】
「脈直流方式」32型ペンダント灯:「図4」参照
仕様:蛍光管(FCL32EX−D)×1 :点灯管 なし
脈直流発生回路;ブリッジダイオード(RS205L,600V.1.8A.)×1、
入力制限手段;100V.95W.クリプトン白熱球×1
点弧誘引電極システム:−
高電圧発生回路;半波3倍電圧整流回路(初段交流蓄電器容量15μF)
×1 : 点弧誘引電極;銅線巻付式×1 : 接地コンデンサー;0.1μF,400V.
×1 : 同バイパス抵抗;920KΩ
蛍光管電極の極性交換スイッチ;2極4接点式×1
性能:入力;100V.60Hz0.48A.(48V.A.)
出力;蛍光管出力;29.0W.
白熱灯出力;3.6W.出力計;32.6W.
損失;AC/DC変換損失;1.7W.
白熱灯損失;3.7W.損失計;5.4W.
有効電力;38W.:無効電力;√(48−38)=29.3V.A.(初段蓄電器)
力率;38/48=−0.79(脈直流給電方式の時にはこの程度でも問題ない。)
効率;32.6/38=0.86(86%)
重量:950gr(完成重量) 1m照度:200
特徴:軽い、明るい(33%アップ)、高効率、即時点灯性;優(但し極性条件あり。)
【0033】
「ハイブリッド方式」卓上蛍光灯スタンド:「図5」参照。
仕様:蛍光管(FL10EX−D)×1:点灯管(FG−1E)×1
入力制限手段;クリプトン白熱球(100V.60W.)×1
点弧誘発手段;なし(自己点弧性による。)
性能:入力;100V.60Hz.0.34A.(34V.A.)
出力;13.1W.(蛍光管)+9.9W.(白熱灯)=23.0W.
損失;1.1W.( 〃 )+9.9W.( 〃 )=11.0W.
力率;1.0、 効率;0.68(68%)
重量:450gr(灯具)+350gr(スタンド支柱)=800gr 50cm照度:350
特徴:超軽量につきスタンド高く基部薄く、卓上を広く使える。60W.の白熱球を用いた時の照度は、27W.型インバーター蛍光灯スタンドに遜色無い。「図」(b)の様に移動灯にもなる。(C)の様に回路簡潔、即時点灯性再点灯性共に優。
【0034】
「ハイブリッド方式」壁掛け灯:「図6」参照。
仕様:蛍光管(FL15EX−D)×1:点灯管(FG−1E)×1
入力制限手段;(110V.68W.クリプトン球×1)+(1 mH.フェライトインダクター×1)
点弧誘因手段;銅線巻付式電極×1(電源側端子の一方に接続するだけ。)
性能:入力;100V.60Hz.0.39A.(39V.A.)
出力;18.7W.(蛍光管)+9.6W.(白熱球)=28.3W.
損失;1.2W.( 〃 )+9.5W.( 〃 )=10.7W.
力率;1.0 効率;0.734(73%)
重量:850gr(本体)+250gr(傘)=1.1Kg 1m照度:120
特徴:洗面所などに良く、白熱灯は周囲を照らしてアクセントになる。即時点灯性良、再点灯性良。
【0035】
直列2連「順次起動方式」ペンダント灯:「図7」(a)参照。
仕様:蛍光管(FL10EX−D)2、点灯管(FG−1E)2
入力制限手段;100V.68W.クリプトン球1
点弧誘発手段;0.68μFフイルムコンデンサーによる「点弧誘発バイパス回路」
性能:入力;100V.60Hz.0.225A.(22.5V.A.)
出力;蛍光管出力;(#1)8.6W.+(#2)8.3W.=16.9W.
電球出力 ; 2.1W.出力計=19W.
損失;蛍光管フィラメント;0.4W.+0.4W.=0.8W.
電球損失 ; 2.2W.損失計=3W.
有効電力計=22W.
力率;(有効電力)÷(入力)=−0.98(進み)
効率;(出力)÷(有効電力)=0.85(85%)
重量:800gr(完成重量) 1m照度:110
特徴:構造簡単、軽い(もっと軽く出来る)、即時点灯性;可、再点灯性;良
【0036】
直列3連「順次起動方式」ペンダント灯:「図7」(b)参照。
仕様:蛍光管(FL10N)×3、点灯管(FG−1E)×3 :入力電圧範囲;118〜122V.
入力制限手段;15μF蓄電器×1、(12V.5W.豆電球+13Ω2W.抵抗)×1
点弧誘発手段;(1.5KΩ+0.68μF蓄電器)による回路×1と、(110μHフェライトインダクター+2.7kΩ抵抗)×1の2系統の「点弧誘発バイパス回路」
性能:1次入力;100V.60Hz.0.35A.(35V.A.)
2次入力;118V.60Hz.0.28A.(33V.A.)
出力;28W.(3蛍光管の合計)+1.5W.(電球の出力)=29.5W.
損失;1.5W.(3蛍光管のフィラメントの抵抗損失の計)+1.5W.(電球の損失)+1W.(抵抗の損失)+0.5W(単巻昇圧変圧器の励磁損失他)=4.5W.
有効電力;34W.無効電力=√(35−34)=8.5V.A.
力率(Cosφ);35V.A.×Cosφ=34W.∴Cosφ=0.97(遅れ)
効率;1次側から見た効率=29.5/34=0.87(87%)
重量:900gr(完成重量) 1m照度:180
特徴:この事例は電源電圧が120V.であれば、3本の「直列横並蛍光管列」の「順次起動方式」の点灯が可能であることを検証したものである。
構造簡単、軽い、主たる入力制限手段に交流用蓄電器を用い別置きの単巻昇圧変圧器と弱い直列共振関係を持たせたため、力率、効率共に高い。即時点灯性;可、再点灯性;良、電圧の低下には弱く、即消灯するが、電圧が回復すればすぐ再点灯する。12V.の豆電球は、直列共振の減衰抵抗として、13Ωの抵抗と共に機能し、同時に天井を仄かに照らす。
【発明の効果】
【0037】
震災後の復興住宅では、ペンダント灯の採用を止めたケースが多いと聞くが、天井灯に比べ、光の利用効率の良いペンダント灯は、軽量化して残すべきである。灯具の重量が3分の1になったと言うことは、以前3灯に1灯が損壊した超大地震でない限り、今度は大丈夫と言ってよく、地震頻発の昨今早急な普及が望まれる。
【0038】
劇的に軽量化され、しかも性能面では従来型蛍光灯を凌ぐ程の効果を持つこの「誘因電極方式」は「照明灯革命」をもたらすかも知れない。この方式の普及は、消費者に何等の負担を強いることなく、用いられる交流用蓄電器による照明灯電力の「進み力率」が、動力の「遅れ力率」を中和して、送電系全体の「力率」を改善する。このことによる省エネ効果、地球温暖化防止効果は、前述の通り、非常に大なるものがあると考える。また付随効果である受電端に於ける「電圧変動率」の改善は、これからの電化電子化社会にとって欠くことが出来ないと思われる。
【0039】
省資源の面でも貢献する。重要資源である鉄と銅を使わないのが良い。また、この方式に用いる部品や、製造設備、送配電系は、総て既存のものでよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 FL30蛍光管を上下2段にした60ワット型蛍光灯の一部取外中の外観図である。

【図4】 FL32蛍光管を用いる「脈直流給電方式」の蛍光灯の電気回路図である。
【図5】 FL10蛍光管を用いた卓上蛍光灯スタンドの外観図とその電気回路図である。
【図6】 FL15蛍光管を用いた壁掛け灯の外観図とその電気回路図である。
【図7】 「FL10複数直列横並蛍光管列」の「順次起動方式」の電気回路図である。
【符号の説明】
1 蛍光管
2 白熱電球(クリプトン球など)
3 点灯管
4 スイッチ(スナップスイッチ又はロータリースイッチ)
5 プラグ(差し込み式、又は引き掛け式)
6 補助灯(ナツメ球など)
7 単巻昇圧変圧器
9 点弧誘引電極
10 倍電圧発生回路又はその基盤
11 極性交換スイッチ
12 特殊差し込みソケット(蛍光管接続用)
13 天板兼反射板
14 小ケース(コンデンサーC4,同バイパス抵抗R4収納)
15 吊り下げコード
16 被覆電線(2芯又は4芯)
17 リード線(単芯)
18 バネ挾式接続部品(ジャック)
19 ゴム環(ブッシング)
20 傘(シェード)
21 蛍光管保持金物セット(ビス、ナットを含む)
22 ソケット
23 スイッチ操作用紐及び玉
25 部品収納兼防塵ケース(筐体)
C1,C5 交流用蓄電器(15〜20μF250WV.程度)
C2,C3,C4,C6 蓄電器(C4は極小容量高耐圧、C6は小容量のもの)
D1,D2,D3 ダイオード
D4 ブリッジダイオード(倍電圧回路の高電圧に耐えるもの)
R1 抵抗(主回路に用いる比較的高出力低抵抗値のもの)
R,R4 抵抗(低出力高抵抗値のもの)
L インダクター(強電用、軽量フェライトコア、小容量、低抵抗のもの)
E 接地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
併設した別の高電圧発生回路によって発生させた電圧を、定常点灯電圧に設定された蛍光管の外側に、当接させて設けた「点弧誘引電極」に同時に印加することによって間接的に蛍光管内の電場を刺激し、初期放電(以下点弧という。)を誘引して点灯させる方法。
【請求項2】
「請求項1」の方法で点灯する蛍光灯の「入力制限手段」として、従来の重い電磁部品である「安定器」や「昇圧変圧器」の代わりに、軽い白熱灯や交流用蓄電器を用いて軽量化した、「点弧誘引電極」を有する灯具。
【請求項3】
「点弧誘引電極」を必要としない短小蛍光管複数を電気的に直列に接続し、隣り合う2本の蛍光管の中点と電源側の間に、それぞれ、高電気抵抗を有する「点弧誘発バイパス回路」を設け、複数の蛍光管の内の1本が点弧することによって次の1本も追従し、「順次起動」するように構成した、直列にした複数の蛍光管の列を点灯させる方法。
【請求項4】
「請求項3」の方法で点灯する蛍光灯の「入力制限手段」として、従来の重い電磁部品である「安定器」の代わりに、軽い白熱灯や交流蓄電器をを用いて軽量化した複数蛍光管列の「順次起動」を特徴とする灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−173076(P2006−173076A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382676(P2004−382676)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(593177387)
【Fターム(参考)】