説明

輝度調整装置および輝度調整方法

【課題】暖機時間や外気温の変動がある場合においても、それぞれの表示装置の輝度を目標値に輝度調整可能とする輝度調整装置および輝度調整方法を提供する。
【解決手段】輝度調整装置が、外部温度検出手段が検出した外部温度と、内部温度検出手段が検出した内部温度との温度差を算出し、算出した温度差に対応する暖機時間を推定暖機時間として製品内部温度テーブル記憶手段に記憶されている製品内部温度テーブルから読み出して決定する暖機時間決定手段と、暖機時間推定手段が読み出して決定した推定暖機時間に対応する目標輝度値を、目標輝度値テーブル記憶手段に記憶されている目標輝度値テーブルから読み出して決定する目標輝度値決定手段と、表示装置の輝度値を目標輝度値算出手段が読み出して決定した目標輝度値に合わせて表示装置の輝度値を設定する輝度値設定手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関わり、特に表示装置の輝度を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場で製造される表示装置は、製造工程における輝度の調整工程において、その輝度が調整されている。特に表示装置が液晶表示装置の場合においては、この輝度とは、液晶表示装置が有するバックライト装置の出力光により決定されるものであり、この出力が調整されている。
この輝度の調整は、表示装置の製品毎に予め目標値が定められており、例えば、ある製品については、外気温が25℃の場合に、輝度の値が400±10カンデラである、などとして予め決められているものである。
【0003】
このような輝度の調整工程において用いられる輝度調整装置は、表示装置の輝度を測定し、測定した輝度を上記のような目標値と比較し、表示装置の輝度が目標値となるように、表示装置の輝度を調整している。表示装置は、このような輝度調整装置により、その輝度が調整された後、製品毎に予め目標値を満たした上で製品として出荷される。
【0004】
このような従来の輝度調整は、目標値である輝度値を保証するため、決められた暖機時間が経過した後に、その輝度の調整が行われていた。
例えば、表示装置に電源を投入してから暖機時間として30分経過後に、その輝度を測定し、表示装置の輝度が調整されていた。
【0005】
また、表示装置は暖機時間のみでなく、外気温により、その輝度が変化する。そのため、外気温の変化を検出し、検出した外気温に基づいて表示装置の輝度を自動調整する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−2801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、表示装置の暖機時間は、例えば30分で行われたものとみなして輝度調整しているが、実際には工場での表示装置の製造または検査の作業工程に依存して、表示装置の製品毎に異なる。例えば、表示装置の輝度調整の工程の、直前になされている工程により、表示装置の暖機時間は異なる。これは、直前になされている工程において、表示装置に通電されることなどにより、表示装置の内部温度が変化しているなどの理由による。また、工場での外気温は一定ではない場合もある。
そのため、表示装置の輝度を調整する場合において、暖機時間のみでなく、外気温も考慮して、表示装置の輝度を調整する必要があるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、暖機時間や外気温の変動がある場合においても、それぞれの表示装置の輝度を目標値に輝度調整可能とする輝度調整装置および輝度調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、表示装置の輝度を調整する輝度調整装置であり、前記表示装置の外部温度を前記表示装置の外部にある外部温度センサ装置で検出する外部温度検出手段と、前記表示装置の内部温度を前記表示装置の内部にある内部温度センサ装置で検出する内部温度検出手段と、前記外部温度と前記内部温度との温度差と、暖機時間とが予め関連付けて製品内部温度テーブルとして記憶されている製品内部温度テーブル記憶手段と、前記暖機時間と前記暖機時間における前記表示装置の製品としての目標となる輝度値である目標輝度値とが予め関連付けて目標輝度値テーブルとして記憶されている目標輝度値テーブル記憶手段と、前記外部温度検出手段が検出した外部温度と、前記内部温度検出手段が検出した内部温度との温度差を算出し、前記算出した温度差に対応する暖機時間を推定暖機時間として前記製品内部温度テーブル記憶手段に記憶されている製品内部温度テーブルから読み出して決定する暖機時間決定手段と、前記暖機時間推定手段が読み出して決定した推定暖機時間に対応する目標輝度値を、前記目標輝度値テーブル記憶手段に記憶されている目標輝度値テーブルから読み出して決定する目標輝度値決定手段と、前記表示装置の輝度値を前記目標輝度値算出手段が読み出して決定した目標輝度値に合わせて前記表示装置の輝度値を設定する輝度値設定手段と、を有することを特徴とする輝度調整装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記目標輝度値テーブル記憶手段に、前記目標輝度値テーブルが外部温度毎に記憶されており、前記目標輝度値決定手段が、前記外部温度検出手段が検出した外部温度に該当する前記目標輝度値テーブルを前記目標輝度値テーブル記憶手段から選択し、前記選択した前記目標輝度値テーブルから前記推定暖機時間を読み出して決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の輝度調整装置である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記表示装置の輝度値を輝度センサ装置で検出する輝度値検出手段、を有し、前記輝度値設定手段が、前記輝度値検出手段が検出した輝度値と、前記目標輝度値決定手段が決定した目標輝度値とに基づいて前記表示装置の輝度値を設定する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輝度調整装置である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、表示装置の輝度を調整する輝度調整装置であり、前記表示装置の第1の部位の温度である第1の内部温度を前記表示装置の前記第1の部位にある第1の内部温度センサ装置で検出する第1の内部温度検出手段と、前記表示装置の第2の部位の温度である第1の内部温度を前記表示装置の前記第2の部位にある第2の内部温度センサ装置で検出する第2の内部温度検出手段と、前記第1の内部温度と前記第2の内部温度との温度差と、暖機時間とが予め関連付けて製品内部温度テーブルとして記憶されている製品内部温度テーブル記憶手段と、前記暖機時間と前記暖機時間における前記表示装置の製品としての目標となる輝度値である目標輝度値とが予め関連付けて目標輝度値テーブルとして記憶されている目標輝度値テーブル記憶手段と、前記外部温度検出手段が検出した外部温度と、前記内部温度検出手段が検出した内部温度との温度差を算出し、前記算出した温度差に対応する暖機時間を推定暖機時間として前記製品内部温度テーブル記憶手段に記憶されている製品内部温度テーブルから読み出して決定する暖機時間決定手段と、前記暖機時間推定手段が読み出して決定した推定暖機時間に対応する目標輝度値を、前記目標輝度値テーブル記憶手段に記憶されている目標輝度値テーブルから読み出して決定する目標輝度値決定手段と、前記表示装置の輝度値を前記目標輝度値算出手段が読み出した決定した目標輝度値に合わせて前記表示装置の輝度値を設定する輝度値設定手段と、を有することを特徴とする輝度調整装置である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、表示装置の輝度を調整する輝度調整装置において用いられる方法であり、前記輝度調整装置が、前記外部温度と前記内部温度との温度差と、暖機時間とが予め関連付けて製品内部温度テーブルとして記憶されている製品内部温度テーブル記憶手段と、前記暖機時間と前記暖機時間における前記表示装置の製品としての目標となる輝度値である目標輝度値とが予め関連付けて目標輝度値テーブルとして記憶されている目標輝度値テーブル記憶手段と、を有し、前記表示装置の外部温度を前記表示装置の外部にある外部温度センサ装置で検出し、前記表示装置の内部温度を前記表示装置の内部にある内部温度センサ装置で検出し、前記外部温度検出手段が検出した外部温度と、前記内部温度検出手段が検出した内部温度との温度差を算出し、前記算出した温度差に対応する暖機時間を推定暖機時間として前記製品内部温度テーブル記憶手段に記憶されている製品内部温度テーブルから読み出して決定し、前記読み出して決定した推定暖機時間に対応する目標輝度値を、前記目標輝度値テーブル記憶手段に記憶されている目標輝度値テーブルから読み出して決定し、前記表示装置の輝度値を前記読み出して決定した目標輝度値に合わせて前記表示装置の輝度値を設定する、ことを特徴とする輝度調整方法である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、表示装置の輝度の調整時において、表示装置の製品としての調整目標である輝度に、暖機時間や外気温の変動がある場合においても、それぞれの表示装置の輝度を目標値に調整ができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(基本構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による輝度調整装置の構成を示す概略ブロック図である。
輝度調整の対象となる表示装置2と、表示装置2の輝度を調整する輝度調整装置1とが、制御線7で接続されている。
【0016】
輝度調整装置1には、表示装置2の内部の温度(以降、内部温度と称する)を計測する内部温度センサ4と、表示装置2の輝度(以降、輝度と称する)を計測するための輝度センサ5と、表示装置2の外気の温度(以降、外部温度と称する)を計測する外部温度センサ3と、が接続されている。この内部温度センサ4は、表示装置2に内蔵されている。
輝度調整装置1は、各センサにより計測した内部温度、輝度および外部温度に基づいて、表示装置2の目標輝度値を算出し、算出した輝度値になるように、制御線7を介して、表示装置2の輝度を調整する。
【0017】
表示装置2は、例えば、液晶方式の表示装置である。この表示装置2は、その内部に輝度の設定値を記憶するための輝度値設定記憶部6を有しており、表示装置2は、輝度値設定記憶部6に記憶されている設定値に基づいて、バックライトの電圧を調整することにより、輝度値を調整している。
【0018】
輝度調整装置1は、輝度値設定記憶部6の設定値を、制御線7を介して、変更することにより、表示装置2の輝度を調整する。
また、輝度調整装置1は、制御線7を介して内部温度センサ4に接続され、内部温度の情報を取得する。
【0019】
輝度センサ5は、表示装置2の表示部に、輝度センサ5の受光部を外部から近接させることにより表示装置2の表示部の輝度値を測定する。例えば、測定器である輝度センサ5は、表示装置2の表示部の前面に取り付けられて、表示装置2の輝度値を測定する。
【0020】
外部温度センサ3は、表示装置2が輝度調整のために設置されている部屋の室温を、計測する。この外部温度センサ3は、表示装置2または輝度調整装置1の発熱と関係なく室温を測定するために、表示装置2または輝度調整装置1と十分の距離が離されて設置されている。
【0021】
また、この輝度調整装置1には、周辺機器として入力装置(図示せず)、確認用の表示装置である確認用表示装置8、等が接続されるものとする。ここで、入力装置とはキーボード、マウス等の入力デバイスのことをいう。また、確認用表示装置8とは、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等のことをいう。
【0022】
(原理)
まず、図1の輝度調整装置1が表示装置2の輝度を調整する原理について、図2および図3を用いて説明する。
図2は、製品温度特性Aと目標輝度値特性Bとを、それぞれ暖機時間に対してグラフとして表示したものである。
【0023】
この製品温度特性関数Aとは、暖機時間の時間経過における、内部温度から外部温度を減算した温度差であり、図2に曲線Aとして示すように、暖機時間の経過とともに温度差が上昇する特性を有する。
製品温度特性関数Aは、表示装置2の電源投入からの経過時間を基準としている。ここで、電源投入前においては、表示装置2の内部温度は外部温度と同じであるため、電源投入時においては、製品温度特性関数Aの温度差は0である。
また、製品温度特性関数Aは、一定時間経過後には、表示装置2の発熱量と、表示装置2からの放熱量とが一致するため、その温度差の変化は小さくなる。例えば、十分な時間が経過した暖機時間Tcの前後においては、製品温度特性関数Aの温度差の値は、温度差Kcにほぼ一定である。例えば、このような暖機時間Tcが、従来の暖機時間の30分であり、予め決められた暖機時間Tc(=30分)の時間が経過したとみなして、表示装置2の輝度調整が行われていた。
【0024】
また、図2からわかるように、製品温度特性関数Aは、暖機時間に対して、温度差が単調に増加している。そのため、製品温度特性関数Aを用いて、温度差から暖機時間を推定することが可能となる。
例えば、図2から、温度差がKaの場合には、製品温度特性関数Aから、暖機時間がTaとして推定することが可能である。また、図2から、例えば、温度差がKbの場合には、製品温度特性関数Aから、暖機時間がTbとして推定することが可能である。
このように、温度差から、製品温度特性関数Aを用いて、推定した暖機時間が、推定暖機時間である。
【0025】
この製品温度特性関数Aは、製品毎に実験をすることにより、または、シミュレーションにより、予め求めることができる関数である。
【0026】
ここで、製品温度特性関数Aは、表示装置2の発熱量と、表示装置2からの放熱量とに依存するため、その特性は、同一構造を有する製品については一様である。従って、製品毎に1つの製品温度特性関数Aがあればよい。
なお、製品温度特性関数Aは、外気温度には、ほぼ依存しないため、製品毎に1つの製品温度特性関数Aがあればよい。
【0027】
また、目標輝度値特性Bとは、暖機時間と、目標となる輝度値を対応付けた関数であり、図2に曲線Bとして示すように、暖機時間の経過とともに輝度値が上昇し、その後、暖機時間Tcを経過し、製品温度特性関数Aの温度差が一定になるに従い、目標となる輝度値がほぼ一定となる曲線である。
この目標輝度値特性Bは、製品毎に一様である。なお、この目標輝度値特性Bは、製品毎に実験をすることにより、または、シミュレーションにより、予め求めることができる関数である。
【0028】
図2に示すように、この目標輝度値特性Bは、例えば、暖機時間Taのときに、輝度値がLaであった場合、その後、表示装置2の輝度は、目標輝度値特性Bに従って、暖機時間Tbの時には輝度値Lbとなり、更にその後、暖機時間Tcの時には輝度値Lcとなることを示している。
従って、暖機時間Taのときに、表示装置2の輝度値が、目標輝度値特性Bの値である輝度値Laより低い輝度値Lxである場合には、表示装置2の輝度値を輝度値Laとなるように調整すればよい。
また逆に、暖機時間Taのときに、表示装置2の輝度値が、目標輝度値特性Bの値である輝度値Laより高い輝度値Lyである場合には、表示装置2の輝度値を輝度値Laとなるように調整すればよい。
このようにして、暖機時間Taのときの表示装置2の輝度値を、暖機時間Taのときの目標輝度値特性Bの値である輝度値Laに調整することにより、暖機時間が経過した後の、暖機時間Tcにおいての輝度値が、目標輝度値特性Bにより輝度値Lcであることが保障することが可能となる。
【0029】
図2では、目標輝度値特性Bが、外気温度が例えば25℃の場合のみについて説明したが、次に図3を用いて、外気温が10℃と35℃の場合について説明する。
図3においては、外気温が10℃、25℃および35℃のそれぞれの場合の目標輝度値特性Bが、目標輝度値特性B10、目標輝度値特性B25および目標輝度値特性B35として、図示されている。
【0030】
外気温に該当する目標輝度値特性Bを選択することにより、選択した目標輝度値特性Bを用いて輝度目標値を決定することにより、それぞれの外気温毎の、輝度目標値を決定することが可能である、この決定した輝度目標値に表示装置2の輝度を調整することにより、表示装置2の製品としての調整をすることが可能となる。
【0031】
(第1の実施形態)
次に、図4を用いて、輝度調整装置1の詳細な構成を説明する。なお、同図において図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
外部温度検出部103は、表示装置2の外部温度を、表示装置2の外部にある外部温度センサ3で検出する。内部温度検出部104は、表示装置2の内部温度を、表示装置2の内部にある内部温度センサ4で検出する。輝度値検出部105は、表示装置2の輝度値を、輝度センサ5で検出する。
【0032】
製品内部温度特性関数記憶部101(製品内部温度テーブル記憶部101)には、外部温度と内部温度との温度差と、暖機時間とが予め関連付けられ、表示装置の製品毎に、製品内部温度特性関数として記憶されている。例えば、製品内部温度特性関数記憶部101には、図2または図3の製品内部温度特性関数が、製品内部温度テーブルとして予め記憶されている。
【0033】
目標輝度値特性関数記憶部102(目標輝度値テーブル記憶部102)には、暖機時間と暖機時間における表示装置2の製品としての目標となる輝度値である目標輝度値とが予め関連付けられて、表示装置の製品毎に、目標輝度値特性関数として記憶されている。例えば、目標輝度値特性関数記憶部102には、図2または図3の目標輝度値特性関数が、目標輝度値テーブルとして予め記憶されている。
また、目標輝度値特性関数記憶部102には、該目標輝度値特性関数が、外部温度毎に記憶されている。例えば、目標輝度値特性関数記憶部102には、図3に示したような目標輝度値特性関数B10、B25、B35のように、目標輝度値特性関数が外部温度毎に記憶されている。
【0034】
暖機時間決定部106は、外部温度検出部103が検出した外部温度と、内部温度検出部104が検出した内部温度との温度差を算出し、該算出した温度差に対応する暖機時間を、製品内部温度特性関数記憶部101に記憶されている製品内部温度特性関数から読み出して推定暖機時間として決定する。
【0035】
目標輝度値決定部107は、暖機時間決定部106が決定した推定暖機時間に対応する目標輝度値を、目標輝度値特性関数記憶部102に記憶されている目標輝度値特性関数から読み出して決定する。
また、目標輝度値決定部107は、外部温度検出部103が検出した外部温度に該当する目標輝度値特性関数を目標輝度値特性関数記憶部102から選択し、該選択した目標輝度値特性関数から推定暖機時間を読み出して決定する。
【0036】
輝度値設定部108は、表示装置2の輝度値を目標輝度値決定部107が読み出して決定した目標輝度値に合わせて、表示装置2を調整(制御または設定)する。例えば、輝度値設定部108は、目標輝度値決定部107が読み出して決定した目標輝度値に合わせて、表示装置2の輝度値設定記憶部6に、輝度値を設定する。
【0037】
また、輝度値設定部108は、輝度値検出部105が検出した表示装置2の輝度値と、目標輝度値決定部107が決定した目標輝度値とに基づいて表示装置2の輝度値を設定する。
【0038】
例えば、輝度値設定部108は、輝度値検出部105が検出した表示装置2の輝度値と、目標輝度値決定部107が決定した目標輝度値との差を算出し、算出した輝度値の差(輝度差)に基づいて、その輝度差を0にするように表示装置2の輝度値を設定する。
例えば、輝度値設定部108は、算出した輝度差を、予め設定された一定の値である製品の輝度の許容誤差の値と比較し、算出した輝度差が製品の輝度の許容誤差以下であるならば、輝度の調整を終了する。
【0039】
一方、算出した輝度差が製品の輝度の許容誤差以下でない場合には、輝度値設定部108は、表示装置2の輝度値設定記憶部6に輝度値を設定し、輝度の調整を繰り返す。なお、輝度値設定部108は、輝度の調整を繰り返す前に、輝度値設定記憶部6への設定が反映される予め定められた一定時間である待機時間の経過後に、表示装置2の輝度の調整を繰り返す。
【0040】
次に、図5を用いて、輝度調整装置1の動作について説明する。なお、ここでは、目標輝度値特性関数記憶部102に、該目標輝度値特性関数が、外部温度毎に記憶されている場合について説明する。
なお、予め、輝度調整装置1を用いるユーザが、輝度調整装置1に接続されている入力装置を用いて、表示装置の製品を輝度調整装置1に対して選択しているものとする。そのため、輝度調整装置1は、ユーザにより選択された表示装置の製品の情報に基づいて、製品内部温度特性関数記憶部101から製品内部温度特性関数を選択し、目標輝度値特性関数記憶部102から目標輝度値特性関数を選択している。
【0041】
まず、外部温度検出部103が、表示装置2の外部温度を、表示装置2の外部にある外部温度センサ3で検出する(ステップS101)。
次に、内部温度検出部104が、表示装置2の内部温度を、表示装置2の内部にある内部温度センサ4で検出する(ステップS102)。
【0042】
次に、暖機時間決定部106が、外部温度検出部103が検出した外部温度と、内部温度検出部104が検出した内部温度との温度差を算出し(ステップS103)、該算出した温度差に対応する暖機時間を推定暖機時間として製品内部温度特性関数記憶部101に記憶されている製品内部温度特性関数から読み出して決定する(ステップS104)。
【0043】
次に、目標輝度値決定部107は、外部温度検出部103が検出した外部温度に該当する目標輝度値特性関数を目標輝度値特性関数記憶部102から選択し、該選択した目標輝度値特性関数から、暖機時間決定部106が決定した推定暖機時間に対応する目標輝度値を読み出して決定する(ステップS105)。
【0044】
次に、輝度値検出部105が、表示装置2の輝度値を、輝度センサ5で検出する(ステップS106)。次に、輝度値設定部108は、輝度値検出部105が検出した表示装置2の輝度値と、目標輝度値決定部107が決定した目標輝度値との差を輝度差として算出する(ステップS107)。
次に、輝度値設定部108は、算出した輝度差が予め定められた一定値以下であるか否かを検出する(ステップS108)。
【0045】
ステップS108の検出結果が、算出した輝度差が予め定められた一定値以下でない場合には、輝度値設定部108は、輝度差に基づいて輝度値設定記憶部6の輝度値を設定することにより、表示装置2の輝度値を調整する(ステップS109)。
次に、輝度値設定部108は、予め定められた一定時間待機し、その後、ステップS101からの処理を繰り返し、表示装置2の輝度値を調整する。
【0046】
一方、ステップS108の検出結果が、算出した輝度差が予め定められた一定値以下である場合には、輝度値設定部108は、例えば、確認用表示装置8に、表示装置2の輝度調整が終了したメッセージを表示することにより、表示装置2の輝度値の調整の処理を終了する(ステップS110)。
【0047】
以上の輝度調整装置1の動作により、輝度調整装置1は、外部温度または表示装置2の暖機時間に依存せずに、表示装置2の輝度値が調整することが可能となる。
また、輝度調整装置1は、暖機時間を推定し、推定した暖機時間での目標輝度値に合わせて輝度調整するため、従来のように暖機時間の間待機しなくても、短い時間で輝度調整が可能となる効果を奏する。
【0048】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、内部温度センサと外部温度センサとを用いたが、第2の実施形態として、2つの内部温度センサを用いる場合について説明する。以下に、第2の実施形態として、第1の実施形態と異なる点のみについて説明する。
【0049】
ここでは、2つの内部温度センサの一方を第1内部温度センサとし、他方を第2内部温度センサとして説明する。
第1内部温度センサと第2内部温度センサとは、表示装置2内部において、同一の場所ではなく、異なる場所、例えば、表示装置内部の上端付近と下端付近など、その間の距離を離して設置されている。これは、第1内部温度センサと第2内部温度センサとを用いて、表示装置内部の温度差を検出するためである。
【0050】
まず、第1の実施形態においては、外部温度センサと内部温度センサとを用いて、表示装置の内部温度と外気温との差から推定暖機時間を算出したが、第2の実施形態においては、表示装置内部の上端付近と下端付近などに設置されている第1内部温度センサと第2内部温度センサとを用いて、表示装置内部の温度差から推定暖機時間を算出する点が異なる。
【0051】
また、製品内部温度特性関数記憶部101に記憶されている製品内部温度特性関数は、第1の実施形態においては、外部温度センサと内部温度センサとが測定した温度差に対して記憶されていたが、第2の実施形態においては、第1内部温度センサと第2内部温度センサとが測定した温度差に対して記憶されている点が異なる。
【0052】
この第2の実施形態のように、表示装置2が2つの内部温度センサを有する場合には、輝度調整装置1は、外部温度センサ3を用いることなく表示装置2の輝度調整が可能となる効果を奏する。
【0053】
なお、上記の実施形態の説明においては、製品内部温度特性関数記憶部101には、製品内部温度特性関数が、製品内部温度テーブルとして予め記憶されているとして説明したが、これに限られるものではなく、製品内部温度特性関数記憶部101は、製品内部温度特性関数を関数として記憶しておき、この関数により、温度差に対する推定暖機時間を算出するようにしてもよい。
【0054】
また、目標輝度値特性関数記憶部102には、目標輝度値特性関数が、目標輝度値テーブルとして予め記憶されているとして説明したが、これに限られるものではなく、目標輝度値特性関数記憶部102は、外部温度に基づいて目標輝度値特性関数である関数を生成し、生成した目標輝度値特性関数である関数に基づいて、外部温度に対する目標輝度値テーブルを生成するようにしてもよい。または、目標輝度値特性関数記憶部102は、外部温度と推定暖機時間とに基づいて、目標輝度値特性関数である関数に基づいて、目標輝度値を算出するようにしてもよい。
【0055】
なお、製品内部温度特性関数記憶部101、目標輝度値特性関数記憶部102、また、輝度値設定記憶部6は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CR−ROM等の読み出しのみが可能な記憶媒体、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成されるものとする。
【0056】
なお、この輝度調整装置1は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この輝度調整装置1はメモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、輝度調整装置1の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0057】
また、図1における輝度調整装置1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより輝度調整を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0058】
なお、本発明の適応対象とする表示装置2として、液晶表示装置について説明したが、表示装置はこれに限られるものではなく、本発明は、CRT方式の表示装置、プラズマ方式の表示装置、また、他の任意の方式の表示装置などの、輝度が暖機時間と共に変化する表示装置に適応可能である。
【0059】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、表示装置の輝度調整をする輝度調整装置に用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の一実施形態による輝度調整装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の輝度調整装置の輝度調整の原理を説明する第1の説明図である。
【図3】図1の輝度調整装置の輝度調整の原理を説明する第2の説明図である。
【図4】図1の輝度調整装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図5】図4の輝度調整装置の動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0062】
1 輝度調整装置
2 表示装置
3 外部温度センサ
4 内部温度センサ
5 輝度センサ
6 輝度値設定記憶部
7 制御線
8 確認用表示装置
101 製品内部温度特性関数記憶部
102 目標輝度値特性関数記憶部
103 外部温度検出部
104 内部温度検出部
105 輝度値検出部
106 暖機時間決定部
107 目標輝度値決定部
108 輝度値設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の輝度を調整する輝度調整装置であり、
前記表示装置の外部温度を前記表示装置の外部にある外部温度センサ装置で検出する外部温度検出手段と、
前記表示装置の内部温度を前記表示装置の内部にある内部温度センサ装置で検出する内部温度検出手段と、
前記外部温度と前記内部温度との温度差と、暖機時間とが予め関連付けて製品内部温度テーブルとして記憶されている製品内部温度テーブル記憶手段と、
前記暖機時間と前記暖機時間における前記表示装置の製品としての目標となる輝度値である目標輝度値とが予め関連付けて目標輝度値テーブルとして記憶されている目標輝度値テーブル記憶手段と、
前記外部温度検出手段が検出した外部温度と、前記内部温度検出手段が検出した内部温度との温度差を算出し、前記算出した温度差に対応する暖機時間を推定暖機時間として前記製品内部温度テーブル記憶手段に記憶されている製品内部温度テーブルから読み出して決定する暖機時間決定手段と、
前記暖機時間推定手段が読み出して決定した推定暖機時間に対応する目標輝度値を、前記目標輝度値テーブル記憶手段に記憶されている目標輝度値テーブルから読み出して決定する目標輝度値決定手段と、
前記表示装置の輝度値を前記目標輝度値算出手段が読み出して決定した目標輝度値に合わせて前記表示装置の輝度値を設定する輝度値設定手段と、
を有することを特徴とする輝度調整装置。
【請求項2】
前記目標輝度値テーブル記憶手段に、前記目標輝度値テーブルが外部温度毎に記憶されており、
前記目標輝度値決定手段が、前記外部温度検出手段が検出した外部温度に該当する前記目標輝度値テーブルを前記目標輝度値テーブル記憶手段から選択し、前記選択した前記目標輝度値テーブルから前記推定暖機時間を読み出して決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の輝度調整装置。
【請求項3】
前記表示装置の輝度値を輝度センサ装置で検出する輝度値検出手段、
を有し、
前記輝度値設定手段が、前記輝度値検出手段が検出した輝度値と、前記目標輝度値決定手段が決定した目標輝度値とに基づいて前記表示装置の輝度値を設定する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輝度調整装置。
【請求項4】
表示装置の輝度を調整する輝度調整装置であり、
前記表示装置の第1の部位の温度である第1の内部温度を前記表示装置の前記第1の部位にある第1の内部温度センサ装置で検出する第1の内部温度検出手段と、
前記表示装置の第2の部位の温度である第1の内部温度を前記表示装置の前記第2の部位にある第2の内部温度センサ装置で検出する第2の内部温度検出手段と、
前記第1の内部温度と前記第2の内部温度との温度差と、暖機時間とが予め関連付けて製品内部温度テーブルとして記憶されている製品内部温度テーブル記憶手段と、
前記暖機時間と前記暖機時間における前記表示装置の製品としての目標となる輝度値である目標輝度値とが予め関連付けて目標輝度値テーブルとして記憶されている目標輝度値テーブル記憶手段と、
前記外部温度検出手段が検出した外部温度と、前記内部温度検出手段が検出した内部温度との温度差を算出し、前記算出した温度差に対応する暖機時間を推定暖機時間として前記製品内部温度テーブル記憶手段に記憶されている製品内部温度テーブルから読み出して決定する暖機時間決定手段と、
前記暖機時間推定手段が読み出して決定した推定暖機時間に対応する目標輝度値を、前記目標輝度値テーブル記憶手段に記憶されている目標輝度値テーブルから読み出して決定する目標輝度値決定手段と、
前記表示装置の輝度値を前記目標輝度値算出手段が読み出した決定した目標輝度値に合わせて前記表示装置の輝度値を設定する輝度値設定手段と、
を有することを特徴とする輝度調整装置。
【請求項5】
表示装置の輝度を調整する輝度調整装置において用いられる方法であり、
前記輝度調整装置が、
前記外部温度と前記内部温度との温度差と、暖機時間とが予め関連付けて製品内部温度テーブルとして記憶されている製品内部温度テーブル記憶手段と、
前記暖機時間と前記暖機時間における前記表示装置の製品としての目標となる輝度値である目標輝度値とが予め関連付けて目標輝度値テーブルとして記憶されている目標輝度値テーブル記憶手段と、
を有し、
前記表示装置の外部温度を前記表示装置の外部にある外部温度センサ装置で検出し、
前記表示装置の内部温度を前記表示装置の内部にある内部温度センサ装置で検出し、
前記外部温度検出手段が検出した外部温度と、前記内部温度検出手段が検出した内部温度との温度差を算出し、前記算出した温度差に対応する暖機時間を推定暖機時間として前記製品内部温度テーブル記憶手段に記憶されている製品内部温度テーブルから読み出して決定し、
前記読み出して決定した推定暖機時間に対応する目標輝度値を、前記目標輝度値テーブル記憶手段に記憶されている目標輝度値テーブルから読み出して決定し、
前記表示装置の輝度値を前記読み出して決定した目標輝度値に合わせて前記表示装置の輝度値を設定する、
ことを特徴とする輝度調整方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−116737(P2008−116737A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300398(P2006−300398)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(300016765)NECディスプレイソリューションズ株式会社 (289)
【Fターム(参考)】