説明

輪郭補正装置、輪郭補正方法及び輪郭補正プログラム

【課題】オーバーシュート、アンダーシュートを抑えた輪郭補正の特長を損なうことなく、ジャギーエッジの発生を抑える。
【解決手段】ゼロクロス判定部51は、注目画素とその左右に隣接する各1画素の計3画素の高域信号から割合Ra1及びRa2を示すゼロクロス判定信号を置換信号生成部52へ出力する。割合Ra1は、注目画素の左半分の画素値を注目画素の左側に隣接する隣接画素1の輪郭補正候補値で置換する割合を示す。割合Ra2は、注目画素の右半分の画素値を注目画素の右側に隣接する隣接画素2の輪郭補正候補値で置換する割合を示す。置換信号生成部52は、注目画素の領域の左側端部からゼロクロスポイントまでの領域の画素値は隣接画素1の輪郭補正候補値で代表し、ゼロクロスポイントから注目画素の右側端部までの領域の画素値は隣接画素2の輪郭補正候補値で代表する置換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は輪郭補正装置、輪郭補正方法及び輪郭補正プログラムに係り、特にビデオ撮像装置、カラーテレビジョン受像機、モニタ、ビデオプロジェクタなどの映像機器にて表示される画像の輪郭部分を補正する輪郭補正装置、輪郭補正方法及び輪郭補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオ撮像装置、カラーテレビジョン受像機、モニタ、ビデオプロジェクタなどの映像機器において表示される画像のぼけを改善し、あるいは更なる鮮鋭度を得るための技術として、映像信号の2次微分信号をつくり、それを原信号に加えることにより輪郭補正を行う技術が知られている。しかし、この従来の輪郭補正技術では、比較的不鮮明な輪郭を補正するように構成を最適化した場合、比較的鮮明な輪郭に対しては過補正となり、オーバーシュートやアンダーシュートが目立って、画質が劣化してしまう。
【0003】
そこで、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制するための技術として、注目画素の近傍画素から最大値と最小値あるいはそれらに準ずる値を取り出し、輪郭強調した信号の振幅を前記最大値と最小値あるいはそれらに準ずる値の範囲内に制限する、という輪郭補正装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に記載の輪郭補正装置は、入力されたデジタル映像信号における注目画素を中心として少なくとも5画素以上の領域より、中央レベルより大きいレベルの画素を上限値として検出する上限検出手段と、注目画素を中心として少なくとも5画素以上の領域より、中央レベルより小さいレベルの画素を下限値として検出する下限検出手段と、注目画素に対する高域周波数信号成分を生成する高域周波数信号成分生成手段と、注目画素に高域周波数信号成分を付加する付加手段と、付加手段の出力の信号レベルを、上限値と下限値との間で振幅制限する振幅制限手段とを設けた構成であり、これにより、シュート成分が付加することなく輪郭を補正することができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−322573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の輪郭補正装置では、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制する効果が大きいが、デジタル信号に応用した場合、高域周波数信号成分のレベルを大きくすることで強調量を大きくすると、輪郭の多くの部分の位置が画像のサンプリング点に一致してしまうため、一般の画像において斜めの直線的な物体の輪郭がギザギザ状になる(ジャギーエッジ)欠点が避けられない。
【0007】
このことについて、図9と共に説明する。図9(A)、(B)はそれぞれ入力信号#1、入力信号#2を示し、これらの入力信号#1及び#2は、元のアナログ信号において、1サンプル期間以下の位相ずれを持つ台形波状の信号である。上記の特許文献1に記載の輪郭補正装置では、上記の入力信号#1が入力されたときは図9(C)に示す出力信号#1を出力し、上記の入力信号#2が入力されたときは図9(D)に示す出力信号#2を出力する。
【0008】
ここで、図9(C)、(D)に示すように、出力信号#1及び#2においては、立ち上がりは同じタイミングになり、立下りは1サンプル期間ずれたものになっている。従って、上記の特許文献1に記載の輪郭補正装置では、出力信号のエッジの位置が離散的なタイミングをとりやすいことで、ジャギーエッジが発生しやすい、という課題が残っていた。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、オーバーシュート、アンダーシュートを抑えた輪郭補正の特長を損なうことなく、ジャギーエッジの発生を抑えることが可能な輪郭補正装置、輪郭補正方法及び輪郭補正プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の輪郭補正装置は、供給されるデジタル画像信号の画像の水平方向及び垂直方向のどちらか一方向又は両方向に隣接する5画素以上の領域の各画素信号から領域の中心画素の高域信号を生成する手段であって、中心画素を注目画素として生成した第1の高域信号と、注目画素の両側に隣接する、上下左右斜め方向の4方向のうち少なくともいずれか一方向の2つの隣接画素のそれぞれを中心画素として生成した複数の第2の高域信号とを生成する高域信号生成手段と、注目画素の画素信号に第1の高域信号を付加した信号を振幅制限して、注目画素の領域における第1の輪郭補正候補値を生成する第1の輪郭補正候補値生成手段と、2つの隣接画素の各画素信号のそれぞれに、2つの隣接画素をそれぞれ中心画素として生成した2つの第2の高域信号を別々に付加した信号を振幅制限して、少なくとも2つの隣接画素の各領域における複数の第2の輪郭補正候補値を生成する第2の輪郭補正候補値生成手段と、第1及び第2の高域信号に基づいて、注目画素のサンプリング点が代表する範囲である注目画素領域内に第1の高域信号の値がゼロを示すゼロクロスポイントが存在するか否かを判定し、ゼロクロスポイントが存在する時は、注目画素領域におけるゼロクロスポイントの位置に応じた第1及び第2の輪郭補正候補値の置換の割合を示し、ゼロクロスポイントが存在しない時は第1の輪郭補正候補値で置換することを示すゼロクロス判定信号を生成するゼロクロス判定手段と、第1及び第2の輪郭補正候補値とゼロクロス判定信号とに基づいて、2つの隣接画素のうち一方の隣接画素の領域と注目画素領域との第1の境界からゼロクロスポイントの位置までは第1の輪郭補正候補値が出力され、かつ、ゼロクロスポイントの位置から2つの隣接画素のうち他方の隣接画素の領域と注目画素領域との第2の境界までは他方の隣接画素を中心画素として生成した第2の高域信号に基づく第2の輪郭補正候補値が出力されるべきものとみなした代表値を、注目画素の輪郭補正信号として置換して出力する置換信号生成手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、本発明の輪郭補正装置は、上記の高域信号生成手段は、注目画素の両側に隣接する2つの隣接画素を一組としたとき、上下左右斜めの4方向の4組の2つの隣接画素のそれぞれを中心画素とする8つの第2の高域信号を生成し、上記の第2の輪郭補正候補値生成手段は、4組の2つの隣接画素の各画素信号のそれぞれに、2つの隣接画素をそれぞれ中心画素として生成した8つの第2の高域信号を別々に付加した信号をそれぞれ振幅制限して、4組の2つの隣接画素の各領域における8つの第2の輪郭補正候補値を生成し、上記のゼロクロス判定手段は、第1の高域信号及び8つの第2の高域信号に基づいて、4方向の各方向について注目画素領域内に第1の高域信号の値がゼロを示すゼロクロスポイントが存在するか否かを判定し、4方向の各方向についてゼロクロスポイントが存在する時は、注目画素領域におけるゼロクロスポイントの位置に応じた第1及び第2の輪郭補正候補値の置換の割合を示し、ゼロクロスポイントが存在しない時は第1の輪郭補正候補値で置換することを示す4方向ゼロクロス判定信号を生成し、上記の置換信号生成手段は、第1及び第2の輪郭補正候補値と4方向ゼロクロス判定信号とに基づいて、4方向の各方向について2つの隣接画素のうち一方の隣接画素の領域と注目画素領域との第1の境界からゼロクロスポイントの位置までは第1の輪郭補正候補値が出力され、かつ、ゼロクロスポイントの位置から2つの隣接画素のうち他方の隣接画素の領域と注目画素領域との第2の境界までは他方の隣接画素を中心画素として生成した第2の高域信号に基づく第2の輪郭補正候補値が出力されるべきものとみなした代表値を、注目画素の輪郭補正信号として置換して出力する構成であってもよい。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、本発明の輪郭補正方法は、供給されるデジタル画像信号の画像の水平方向及び垂直方向のどちらか一方向又は両方向に隣接する5画素以上の領域の各画素信号から領域の中心画素の高域信号を生成するステップであって、中心画素を注目画素として生成した第1の高域信号と、注目画素の両側に隣接する、上下左右斜め方向の4方向のうち少なくともいずれか一方向の2つの隣接画素のそれぞれを中心画素として生成した複数の第2の高域信号とを生成する高域信号生成ステップと、注目画素の画素信号に第1の高域信号を付加した信号を振幅制限して、注目画素の領域における第1の輪郭補正候補値を生成する第1の輪郭補正候補値生成ステップと、2つの隣接画素の各画素信号のそれぞれに、2つの隣接画素をそれぞれ中心画素として生成した2つの第2の高域信号を別々に付加した信号を振幅制限して、少なくとも2つの隣接画素の各領域における複数の第2の輪郭補正候補値を生成する第2の輪郭補正候補値生成ステップと、第1及び第2の高域信号に基づいて、注目画素のサンプリング点が代表する範囲である注目画素領域内に第1の高域信号の値がゼロを示すゼロクロスポイントが存在するか否かを判定し、ゼロクロスポイントが存在する時は、注目画素領域におけるゼロクロスポイントの位置に応じた第1及び第2の輪郭補正候補値の置換の割合を示し、ゼロクロスポイントが存在しない時は第1の輪郭補正候補値で置換することを示すゼロクロス判定信号を生成するゼロクロス判定ステップと、第1及び第2の輪郭補正候補値とゼロクロス判定信号とに基づいて、2つの隣接画素のうち一方の隣接画素の領域と注目画素領域との第1の境界からゼロクロスポイントの位置までは第1の輪郭補正候補値が出力され、かつ、ゼロクロスポイントの位置から2つの隣接画素のうち他方の隣接画素の領域と注目画素領域との第2の境界までは他方の隣接画素を中心画素として生成した第2の高域信号に基づく第2の輪郭補正候補値が出力されるべきものとみなした代表値を、注目画素の輪郭補正信号として置換して出力する置換信号生成ステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、本発明の輪郭補正プログラムは、コンピュータに、
供給されるデジタル画像信号の画像の水平方向及び垂直方向のどちらか一方向又は両方向に隣接する5画素以上の領域の各画素信号から領域の中心画素の高域信号を生成する機能であって、中心画素を注目画素として生成した第1の高域信号と、注目画素の両側に隣接する、上下左右斜め方向の4方向のうち少なくともいずれか一方向の2つの隣接画素のそれぞれを中心画素として生成した複数の第2の高域信号とを生成する高域信号生成機能と、注目画素の画素信号に第1の高域信号を付加した信号を振幅制限して、注目画素の領域における第1の輪郭補正候補値を生成する第1の輪郭補正候補値生成機能と、2つの隣接画素の各画素信号のそれぞれに、2つの隣接画素をそれぞれ中心画素として生成した2つの第2の高域信号を別々に付加した信号を振幅制限して、少なくとも2つの隣接画素の各領域における複数の第2の輪郭補正候補値を生成する第2の輪郭補正候補値生成機能と、第1及び第2の高域信号に基づいて、注目画素のサンプリング点が代表する範囲である注目画素領域内に第1の高域信号の値がゼロを示すゼロクロスポイントが存在するか否かを判定し、ゼロクロスポイントが存在する時は、注目画素領域におけるゼロクロスポイントの位置に応じた第1及び第2の輪郭補正候補値の置換の割合を示し、ゼロクロスポイントが存在しない時は第1の輪郭補正候補値で置換することを示すゼロクロス判定信号を生成するゼロクロス判定機能と、第1及び第2の輪郭補正候補値とゼロクロス判定信号とに基づいて、2つの隣接画素のうち一方の隣接画素の領域と注目画素領域との第1の境界からゼロクロスポイントの位置までは第1の輪郭補正候補値が出力され、かつ、ゼロクロスポイントの位置から2つの隣接画素のうち他方の隣接画素の領域と注目画素領域との第2の境界までは他方の隣接画素を中心画素として生成した第2の高域信号に基づく第2の輪郭補正候補値が出力されるべきものとみなした代表値を、注目画素の輪郭補正信号として置換して出力する置換信号生成機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、オーバーシュート、アンダーシュートを抑えた輪郭補正の特長を損なうことなく、ジャギーエッジの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の輪郭補正装置の第1の実施の形態のブロック図である。
【図2】図1中のゼロクロス判定部の一例のブロック図である。
【図3】図2の動作説明図である。
【図4】図1の装置の動作説明を説明するタイミングチャートである。
【図5】図1の装置の効果を説明するタイミングチャートである。
【図6】本発明の輪郭補正装置の第2の実施の形態のブロック図である。
【図7】本発明の輪郭補正装置の第3の実施の形態のブロック図である。
【図8】本発明の輪郭補正装置の第4の実施の形態のブロック図である。
【図9】従来の輪郭補正装置の課題を説明する信号波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明になる輪郭補正装置の第1の実施の形態のブロック図を示す。同図において、本実施の形態の輪郭補正装置120は、1次元の輪郭補正を行う装置で、デジタル画像信号の入力端子に対して直列に接続された6つの遅延素子11〜16と、上限検出部21、31及び41と、高域フィルタ(以下、HPF)22、32及び42と、下限検出部23、33及び43と、乗算器24、34及び44と、加算器25、35及び45と、最大値選択部(以下、MAX)26、36及び46と、最小値選択部(以下、MIN)27、37及び47と、ゼロクロス判定部51と、置換信号生成部52とを有する構成とされている。
【0018】
遅延素子11〜16の各々は、入力デジタル画像信号のサンプリング周期に等しい遅延時間τだけ、入力信号を遅延する回路で、例えばD型フリップフロップにより構成される。上限検出部21、31及び41は、入力される5つのデジタル信号(これは水平方向に隣接する5つの画素の画素値である)から上限値を検出する。下限検出部23、33及び43は、入力される5つのデジタル信号(これは水平方向に隣接する5つの画素の画素値である)から下限値を検出する。HPF22、32及び42は、入力される5つのデジタル信号(これは水平方向に隣接する5つの画素の画素値である)から高域成分を生成するデジタルフィルタである。
【0019】
上限検出部21、HPF22及び下限検出部23からなる回路部は、遅延されていない入力デジタル画像信号と、遅延素子11〜14からそれぞれτ、2τ、3τ、及び4τ遅延されて出力される4つの遅延デジタル画像信号とからなる5つのデジタル信号(これは水平方向に隣接する計5つの画素の画素値である)が供給される。
【0020】
上限検出部21は、5つの入力デジタル信号の値のうち最大値を上限値として検出するが、ノイズ抑制を目的に、上限検出部21は、5つの入力デジタル信号の値のうち2番目に大きい値を上限値として出力する設定も可能である(他の上限検出部31、41も同様)。一方、下限検出部23は、5つの入力デジタル信号の値のうち最小値を下限値として検出するが、ノイズ抑制を目的に、下限検出部23は、5つの入力デジタル信号の値のうち2番目に小さい値を下限値として出力する設定も可能である(他の下限検出部33、43も同様)。HPF22は、5つの入力デジタル信号から高域信号を生成する5タップのデジタルフィルタである。すなわち、HPF22は、遅延素子12から出力されるデジタル信号の画素を注目画素としたとき、その注目画素を中心とする左右各2画素ずつの計5画素から高域信号を生成する。
【0021】
乗算器24は、HPF22から出力される高域信号と、外部から入力されるゲイン係数(例えば、「2」)とを乗算して乗算信号を生成する。加算器25は、上記の5つの入力デジタル信号の各画素のうち中心位置の注目画素を出力する遅延素子12からの遅延デジタル信号と乗算器24からの乗算信号とを加算して加算信号を生成する。MAX26は、下限検出部23により検出された下限値の信号と加算器25からの加算信号とのうち、値が大きい方の信号を選択してMIN27へ出力する。このMAX26によって、加算信号におけるアンダーシュートの部分が除去される。MIN27は、上限検出部21により検出された上限値の信号とMAX26からの信号とのうち、値が小さい方の信号を選択して出力する。このMIN27によって、MAX26からの信号におけるオーバーシュートの部分が除去される。
【0022】
従って、MAX26及びMIN27は、加算器25からの加算信号を、上限検出部21による上限値と下限検出部23による下限値との間で振幅制限する振幅制限手段として動作している。MIN27は、振幅制限信号を第1の輪郭補正候補値として置換信号生成部52へ出力する。この第1の輪郭補正候補値は、入力される5つの画素のデジタル信号のうち中心画素である遅延素子12から出力されるデジタル信号(画素信号)に比べて、傾斜の中心付近の傾きがゲイン係数に応じた急峻なエッジとなり、シュート部分が付加されることなく輪郭補正された信号である。
【0023】
上限検出部31、HPF32及び下限検出部33からなる回路部は、遅延素子11〜15からそれぞれτ、2τ、3τ、4τ及び5τ遅延されて出力される5つの遅延デジタル画像信号が供給される。上限検出部31、HPF32、下限検出部33、乗算器34、加算器35、MAX36及びMIN37からなる第2の回路部は、上記の上限検出部21、HPF22、下限検出部23、乗算器24、加算器25、MAX26及びMIN27からなる第1の回路部の上述した動作と同様の動作を、第1の回路部の5つの入力デジタル信号よりも1サンプリング周期遅延された5つの入力デジタル信号に対して行って生成した第2の輪郭補正候補値をMIN37から置換信号生成部52へ出力する。
【0024】
上限検出部41、HPF42及び下限検出部43からなる回路部は、遅延素子12〜16からそれぞれ2τ、3τ、4τ、5τ及び6τ遅延されて出力される5つの遅延デジタル画像信号が供給される。上限検出部41、HPF42、下限検出部43、乗算器44、加算器45、MAX46及びMIN47からなる第3の回路部は、上記の上限検出部21、HPF22、下限検出部23、乗算器24、加算器25、MAX26及びMIN27からなる第1の回路部の上述した動作と同様の動作を、第1の回路部の5つの入力デジタル信号よりも2サンプリング周期遅延された5つの入力デジタル信号に対して行って生成した第3の輪郭補正候補値をMIN47から置換信号生成部52へ出力する。
【0025】
ゼロクロス判定部51は、HPF22、HPF32及びHPF42からそれぞれ出力される、注目画素とその左右に隣接する各1画素の計3画素の高域信号から2つの隣接画素の各々で注目画素の半分を置換すべき第1の割合Ra1及び第2の割合Ra2を示すゼロクロス判定信号を置換信号生成部52へ出力する。ここで、上記の第1の割合Ra1は、注目画素の左半分の画素値を注目画素の左側に隣接する隣接画素1の輪郭補正候補値で置換する割合を示す。また、上記の第2の割合Ra2は、注目画素の右半分の画素値を注目画素の右側に隣接する隣接画素2の輪郭補正候補値で置換する割合を示す。なお、上記の第1の割合Ra1は、注目画素の領域の左半分の領域内にゼロクロスポイントが存在しないときは「0」とされ、注目画素の左半分の画素値を注目画素の輪郭補正候補値で置換させる。同様に、上記の第2の割合Ra2は、注目画素の領域の右半分の領域内にゼロクロスポイントが存在しないときは「0」とされ、注目画素の右半分の画素値を注目画素の輪郭補正候補値で置換させる。
【0026】
ここで、ゼロクロス判定部51の構成及び動作について更に詳細に説明する。
【0027】
図2は、ゼロクロス判定部51の一例のブロック図、図3は図2の動作説明図を示す。図2において、ゼロクロス判定部51には、注目画素の左側に隣接する隣接画素1の高域信号がHPF22から供給され、注目画素の右側に隣接する隣接画素2の高域信号がHPF42から供給され、注目画素の高域信号がHPF32から供給される。
【0028】
加算器511aは、注目画素の高域信号と注目画素の左側の隣接画素1の高域信号とを加算する。乗算器512aは、加算器511aから出力される加算信号と注目画素の高域信号とを乗算し、得られた乗算信号を正負判定部513aに供給する。正負判定部513aは、供給される乗算信号の値により注目画素の領域(サンプリング点が代表する範囲)の左半分の領域内に高域信号のゼロクロスポイントが存在するかどうかの正負判定を行い、入力乗算信号の値が「0」未満の負であるときはゼロクロスポイントが存在することを示す値「1」を出力し、「0」以上の0又は正であるときはゼロクロスポイントが存在しないことを示す「0」を出力する。
【0029】
一方、加算器511bは、注目画素の高域信号と注目画素の右側の隣接画素2の高域信号とを加算する。乗算器512bは、加算器511bから出力される加算信号と注目画素の高域信号とを乗算し、得られた乗算信号を正負判定部513bに供給する。正負判定部513bは、供給される乗算信号の値により注目画素の領域(サンプリング点が代表する範囲)の右半分の領域内に高域信号のゼロクロスポイントが存在するかどうかの正負判定を行い、入力乗算信号の値が「0」未満の負であるときはゼロクロスポイントが存在することを示す値「1」を出力し、「0」以上の0又は正であるときはゼロクロスポイントが存在しないことを示す「0」を出力する。
【0030】
例えば、図3に示すように、隣接画素1の高域信号の値がu、注目画素の高域信号の値がv、隣接画素2の高域信号の値がwであり、注目画素の領域の右半分の領域内に値「0」であるゼロクロスポイントzが存在する場合、値vと値wとを結ぶ線分と注目画素の領域の右側端部との交点の値は(v+w)/2となり、注目画素の高域信号の値vと符号が逆になる。従って、v×{(v+w)/2}の値は負となり、v×(v+w)の値も負となる。一方、注目画素の領域の左半分の領域内にはゼロクロスポイントが存在しておらず、v×(v+u)の値は正の値となる。
【0031】
図2に示した正負判定部513aには、乗算器512aから注目画素の高域信号の値vと、隣接画素1の高域信号の値u及び注目画素の高域信号の値vとの加算信号(v+u)との乗算信号であるv×(v+u)の値が供給されるが、上記のように図3の例ではその値は正であるため、正負判定部513aは注目画素の左半分の領域にはゼロクロスポイントが存在しないことを示す値「0」の第1の正負判定信号を出力する。
【0032】
これに対し、正負判定部513bには、乗算器512bから注目画素の高域信号の値vと、隣接画素2の高域信号の値w及び注目画素の高域信号の値vとの加算信号(v+w)との乗算信号であるv×(v+w)の値が供給されるが、上記のように図3の例ではその値は負であるため、正負判定部513bは注目画素の右半分の領域にゼロクロスポイントが存在することを示す値「1」の第2の正負判定信号を出力する。
【0033】
図2において、1/2乗算器514aは、加算器511aからの加算信号を1/2倍し、1/2乗算器514bは、加算器511aからの加算信号を1/2倍する。これにより、注目画素の高域信号の値と隣接画素1の高域信号の値とを直線で結んだ線分と注目画素の領域の左端部との交点の値が求められ、また注目画素の高域信号の値と隣接画素2の高域信号の値とを直線で結んだ線分と注目画素の領域の右端部との交点の値が求められる。図3の例で説明すると、1/2乗算器514bから図3に白丸で示す交点の値(v+w)/2が出力される。
【0034】
図2において、絶対値回路515aは、1/2乗算器514aから供給される乗算信号の絶対値をとり、得られた絶対値信号を乗算器516aに供給する。乗算器516aは、正負判定部513aからの第1の正負判定信号と、絶対値回路515aからの絶対値信号とを乗算し、得られた乗算信号を加算器517aに供給する一方、除算器518aの第1の入力端子Aに供給する。加算器517aは、乗算器516aからの乗算信号と絶対値回路510からの注目画素の高域信号の絶対値信号とを加算し、その加算信号を除算器518aの第2の入力端子Bに供給する。除算器518aは、第1の入力端子Aに供給される乗算器516aからの乗算信号を、第2の入力端子Bに供給される加算器517aからの加算信号で除算した信号を第1の割合Ra1を示す信号として出力する。
【0035】
一方、1/2乗算器514bは、加算器511bからの加算信号を1/2倍する。絶対値回路515bは、1/2乗算器514bから供給される乗算信号の絶対値をとり、得られた絶対値信号を乗算器516bに供給する。乗算器516bは、正負判定部513bからの第2の正負判定信号と、絶対値回路515bからの絶対値信号とを乗算し、得られた乗算信号を加算器517bに供給する一方、除算器518bの第1の入力端子Aに供給する。加算器517bは、乗算器516bからの乗算信号と絶対値回路510からの注目画素の高域信号の絶対値信号とを加算し、その加算信号を除算器518bの第2の入力端子Bに供給する。除算器518bは、第1の入力端子Aに供給される乗算器516bからの乗算信号を、第2の入力端子Bに供給される加算器517bからの加算信号で除算した信号を第2の割合Ra2を示す信号として出力する。
【0036】
ここで、上記の割合Ra1及びRa2について更に説明する。図3の例の場合、注目画素の高域信号の値の絶対値|v|と、白丸で示した交点の値の絶対値|(v+w)/2|との比率は、注目画素の右半分の領域における、ゼロクロスポイントzの左右の期間T1、T2の比率を示している。本実施の形態では、注目画素の右半分の領域のうち、注目画素の領域の中心からゼロクロスポイントzまでの領域T1の画素値は注目画素の輪郭補正候補値で代表し、ゼロクロスポイントzから注目画素の右側端部(注目画素の領域と隣接画素2の領域との境界)までの領域T2の画素値は隣接画素2の輪郭補正候補値で代表するようにするため、上記の割合Ra2を算出する。ここでは、図3において三角形の相似から分かるように、上記の割合Ra2は
Ra2=|(v+w)/2|/{|v|+|(v+w)/2|} (1)
で表わされる。除算器518bは、乗算器516bから供給される|(v+w)/2|で表わされる乗算信号を、加算器517bから供給される{|v|+|(v+w)/2|}で表わされる加算信号で除算して、(1)式で表わされる割合Ra2を出力する。なお、除算器518aは、図3の例の場合、正負判定部513aから出力される正負判定信号の値が「0」であるので、第1の入力端子Aに供給される乗算信号が「0」であり、よって値「0」の割合Ra1を出力する。
【0037】
図1に戻って説明する。置換信号生成部52は、ゼロクロス判定部51からの割合Ra1及び割合Ra2を示すゼロクロス判定信号と、MIN27、MIN37及びMIN47からそれぞれ出力される計3つの輪郭補正候補値とに基づいて以下の処理を行う。
【0038】
まず、ゼロクロスポイントが存在するときは、注目画素の領域の左側端部(隣接画素1の領域と注目画素の領域との境界)からゼロクロスポイントまでの領域の画素値は隣接画素1の輪郭補正候補値で代表し、ゼロクロスポイントから注目画素の右側端部(注目画素の領域と隣接画素2の領域との境界)までの領域の画素値は隣接画素2の輪郭補正候補値で代表する置換を行う。
【0039】
一方、ゼロクロスポイントが存在しない時は、注目画素の輪郭補正候補値で置換する。以上の処理によって画素の置換がなされた信号を、1次元の輪郭補正された画像信号として出力する。すなわち、置換信号生成部52は、注目画素の画素値が次式で表わされる置換による代表値を示す輪郭補正信号を出力する。
【0040】
置換による代表値={Ra1×MIN27の出力+(1−Ra1)×MIN37の出力
+Ra2×MIN47の出力+(1−Ra2)×MIN37の出力}/2 (2)
(2)式中、MIN27の出力、MIN37の出力、MIN47の出力は、第1、第2、第3の輪郭補正候補値である。また、MIN37から出力される第2の輪郭補正候補値は注目画素の輪郭補正候補値でもある。
【0041】
図4は、本実施の形態の輪郭補正装置120の動作を説明するタイミングチャートを示す。図4(A)は、輪郭補正装置120に供給されるデジタル画像信号の水平方向に連続する1次元配置された7つの画素の画素値を濃淡表示で示している。このデジタル画像信号は緩やかなエッジを示す画像信号である。図4(B)は、同図(A)のデジタル画像信号の水平方向に連続する7つの画素の画素値を棒グラフで表示した図である。
【0042】
この入力デジタル画像信号に対して従来の方法で輪郭補正した場合、その画像信号(MIN27、37又は47の出力信号に相当する)は、図4(C)のような棒グラフ表示となる。これに対し、本実施の形態の輪郭補正装置120によれば、HPF22、32又は42から出力される高域信号は図4(D)に模式的に示すようになる。ゼロクロス判定部51は、注目画素と左右に隣接する2つの画素との計3つの画素の各高域信号に基づいて、注目画素の領域内のゼロクロスポイントの位置を推定して、割合Ra1と割合Ra2とを出力する。
【0043】
図4(D)においては、ゼロクロスポイントが注目画素の領域内に存在している。このとき、図4(E)において、左から4番目の画素を注目画素としたとき、その注目画素の領域(p+q)の中心から(p−q)/2の位置にゼロクロスポイントがあるものとすると、注目画素の領域の左端部からゼロクロスポイントまでの大きさpの領域は注目画素自体の輪郭補正候補値aが出力され、ゼロクロスポイントから注目画素の領域の右端部までの大きさqの領域は注目画素の右側の隣接画素の輪郭補正候補値bが出力されるべきものとする(ただし、実際には注目画素の画素値はそれら2つの輪郭補正候補値を代表した一つの値に置換される。)。そのため、ゼロクロス判定部51は第1の割合Ra1の値が「0」、第2の割合Ra2の値が「q/{(p+q)/2}」であるゼロクロス判定信号を生成して置換信号生成部52へ出力する。
【0044】
置換信号生成部52は、このゼロクロス判定信号とMIN27、37及び47からの3つの輪郭補正候補値とに基づいて、前記(2)式の演算により置換を行い、図4(F)に示すように、注目画素の画素値として「2(a×p+b×q)/(p+q)」に置換された輪郭補正信号を出力する。図4(G)は、図4(F)に示した輪郭補正信号を濃淡表示して示す。
【0045】
次に、このような本実施の形態の輪郭補正処理がジャギーエッジを抑制するものであることについて、図5のタイミングチャートと共に説明する。
【0046】
図5(A)に示す台形状の入力信号は、図1の遅延素子13から出力される遅延デジタル信号であり、図9(A)に示した入力信号#1と同じ信号である。本実施形態の輪郭補正装置120では、この入力信号(遅延デジタル信号)の画素を中心とする左右各2画素計5画素のデジタル信号(遅延素子11〜15の各出力デジタル信号)に基づいてHPF32により図5(B)に示す高域信号が出力される。また、MIN37からは図5(C)に示す第2の輪郭補正候補値が出力される。
【0047】
ゼロクロス判定部51は、図5(B)に示す注目画素の高域信号と、HPF22、42からそれぞれ出力される隣接画素の高域信号とに基づいて、図5(B)にd1、d2で示すゼロクロスポイントの位置を推定する。そして、置換信号生成部52は、図5(C)に示すように第2の輪郭補正候補値中のゼロクロス推定位置d1、d2を領域内に有する注目画素(サンプルポイントの値)e1、e2の値を、割合Ra1及びRa2と3つの輪郭補正候補値とに基づき、図5(D)に示す値f1、f2に置換し、それを輪郭補正信号として出力する。
【0048】
同様に、本実施形態の輪郭補正装置120は、図9(B)に示した入力信号#2が入力された場合、置換信号生成部52は、図5(E)に示す第2の輪郭補正候補値中のゼロクロス推定位置を領域内に有する注目画素(サンプルポイントの値)e3、e4の値を、割合Ra1及びRa2と3つの輪郭補正候補値とに基づき、図5(F)に示す値f3、f4に置換し、それを輪郭補正信号として出力する。
【0049】
図5(D)、(F)に示すように、本実施の形態の輪郭補正装置120から出力される2つの輪郭補正信号の位相差は、入力信号の位相差と概略等しいことが分かる。従って、画像のジャギーエッジは抑制される。
【0050】
このように、本実施の形態の輪郭補正装置120によれば、輪郭強調のプロセスで用いる抽出された高域信号のゼロクロスポイントに着目して、ゼロクロスポイントの最近傍の出力信号の値を補正することで、1サンプリング期間内のエッジの位置を再現することにより、オーバーシュート、アンダーシュートを抑えた輪郭補正の特長を損なうことなく、ジャギーエッジの発生を抑えることができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は、本発明になる輪郭補正装置の第2の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
図1に示した第1の実施の形態の輪郭補正装置120は、構成は分かり易いが、機能の重複部分が多く回路規模は大きくなる。そこで、本実施の形態の輪郭補正装置150は、HPF22の出力側とMIN27の出力側とに遅延素子を用いた構成をとることで、小さな回路規模で1次元の輪郭補正を行うものである。
【0053】
すなわち、図6において、第2の実施の形態の輪郭補正装置150は、HPF22の出力端子に対して直列に接続された2つの遅延素子61及び62と、MIN27の出力端子に対して直列に接続された2つの遅延素子63及び64とを設ける。そして、ゼロクロス判定部51にはHPF22、遅延素子61及び62の各出力信号を供給し、置換信号生成部52にはMIN27、遅延素子63及び64の各出力信号を供給する構成とする。これにより、図1の遅延素子15及び16と、上限検出部31及び41と、HPF32及び42と、下限検出部33及び43とを不要としたものである。なお、遅延素子61〜64の各々は、入力デジタル画像信号のサンプリング周期に等しい遅延時間τだけ、入力信号を遅延する回路で、例えばD型フリップフロップにより構成される。
【0054】
本実施の形態の輪郭補正装置150では、遅延素子61は、HPF22から出力される第1の高域信号を遅延時間τ遅延した第2の高域信号を出力し、遅延素子62は第2の高域信号を遅延時間τ遅延した第3の高域信号を出力し、それぞれゼロクロス判定部51に供給する。従って、第2の高域信号は、図1に示したHPF32から出力される高域信号と同等の信号である。第3の高域信号も、図1に示したHPF42から出力される高域信号と同等の信号である。従って、ゼロクロス判定部51は、図1と同様のゼロクロス判定信号を出力することができる。
【0055】
一方、遅延素子63は、MIN27から出力される第1の輪郭補正候補値を遅延時間τ、すなわち、1サンプリング周期遅延した信号を出力するが、この出力信号は図1に示したMIN37から出力される第2の輪郭補正候補値と同等の信号である。同様に、遅延素子64は、遅延素子63から出力される第2の輪郭補正候補値を遅延時間τ、すなわち、1サンプリング周期遅延した信号を出力するが、この出力信号は図1に示したMIN47から出力される第3の輪郭補正候補値と同等の信号である。従って、置換信号生成部52は第1の実施の形態と同様の置換動作を行い、画像のジャギーエッジが抑制された輪郭補正信号を出力することができる。
【0056】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図7は、本発明になる輪郭補正装置の第3の実施の形態のブロック図を示す。同図において、本実施の形態の輪郭補正装置200は、2次元の輪郭補正を行う装置で、メモリブロック70と、9つの輪郭補正候補値生成回路部71〜79と、4方向ゼロクロス判定部91と、置換信号生成部92とより構成される。
【0057】
メモリブロック70は、入力端子を介して供給されるデジタル画像信号の注目画素P(0.0)と、その注目画素の上下左右斜めにそれぞれ位置する各3画素ずつ計48個の周囲の画素P(−3,−3)〜P(−1,0)及びP(1,0)〜P(3,3)とからなる、計49個の2次元配置されている画素の画素値を保持する。
【0058】
輪郭補正候補値生成回路部71〜79は、メモリブロック70から供給される25個の画素信号の組み合わせが異なるだけで、回路構成は同一であるので、代表して輪郭補正候補値生成回路部71について説明する。輪郭補正候補値生成回路部71は、メモリブロック70から注目画素P(0,0)を含む5行5列に2次元配置されている画素P(−3,−3)〜P(1,1)の計25個の画素の信号が供給される、上限検出部81、HPF82及び下限検出部83からなる回路部と、乗算部84と、加算部85と、最大値選択部(以下、MAX)86と、最小値選択部(以下、MIN)87とを有する構成とされている。
【0059】
上限検出部81は、入力された25個の画素の値のうち、値の小さい順又は大きい順に1〜25に順位付けし、その中から最大値の画素を除き中央の値より大きい値の画素(例えば、4番目に大きい値の画素)を上限値として検出してMIN87へ出力する。なお、上限検出部81は、2番目に値が大きい画素、3番目に値が大きい画素、あるいは5番目に値が大きい画素を上限値として検出するようにしてもよく、要はノイズの除去効果と輪郭補正の効果との関係で最適なものを選択すればよい。
【0060】
下限検出部83は、入力された25個の画素の値のうち、値の小さい順又は大きい順に1〜25に順位付けし、その中から最小値の画素を除き中央の値より小さい値の画素(例えば、4番目に小さい値の画素)を下限値として検出してMAX86へ出力する。なお、下限検出部83は、2番目に値が小さい画素、3番目に値が小さい画素、あるいは5番目に値が小さい画素を下限値として検出するようにしてもよく、要はノイズの除去効果と輪郭補正の効果との関係で最適なものを選択すればよい。
【0061】
HPF82は、25個の画素の値から高域信号を生成するデジタルフィルタである。すなわち、HPF82は、メモリブロック70から入力される、画素P(−1,−1)を中心とする水平方向5画素、垂直方向5画素の計25個の画素信号から中心画素P(−1,−1)の画素信号のエッジ部分の高域信号を生成する25タップの2次元デジタルフィルタである。HPF82は、周波数選択した高域信号を乗算部84と4方向ゼロクロス判定部91とに出力する。
【0062】
乗算部84は、HPF82から出力される高域信号と、外部から入力されるゲイン係数(例えば、「2」)とを乗算して乗算信号を生成する。加算部85は、上記の25個の画素信号のうち、中心画素P(−1,−1)の画素信号と乗算部84からの乗算信号とを加算し、中心画素P(−1,−1)の画素信号に高域信号が付加された信号を生成する。MAX86は、加算部85からの中心画素P(−1,−1)の画素信号に高域信号が付加された信号と、下限検出部83からの下限値とのうち、値が大きい方の信号を選択してMIN87へ出力する。このMAX86によって、加算部85からの中心画素P(−1,−1)の画素信号に高域信号が付加された信号のアンダーシュートの部分が除去される。MIN87は、MAX86からの選択信号と、上限検出部81からの上限値とのうち、値が小さい方の信号を選択して置換信号生成部92へ出力する。このMIN87によって、MAX86からの選択信号中のオーバーシュートの部分が除去される。
【0063】
従って、MAX86とMIN87とは、加算部85からの中心画素P(−1,−1)の画素信号に高域信号が付加された信号を、上限検出部81による上限値と下限検出部83による下限値との間で振幅制限する振幅制限手段として動作している。
【0064】
これにより、MIN87からは中心画素P(−1,−1)の画素信号に比べて傾斜の中心付近の傾斜が急峻となり、シュート部分が付加されることなく輪郭補正された第1の輪郭補正候補値が出力される。なお、この第1の輪郭補正候補値の傾斜の中心付近の傾きは乗算器84のゲイン係数によって任意に設定することができる。
【0065】
輪郭補正候補値生成回路部72は、メモリブロック70から注目画素P(0,0)を含み、かつ、画素(0,−1)を中心とする5行5列に2次元配置されている画素P(−2,−3)〜P(2,1)の計25個の画素の信号が供給されて、輪郭補正候補値生成回路部71と同様の動作を行い、第2の輪郭補正候補値を生成する。また、輪郭補正候補値生成回路部73は、メモリブロック70から注目画素P(0,0)を含み、かつ、画素P(1,−1)を中心とする5行5列に2次元配置されている画素P(−1,−3)〜P(3,1)の計25個の画素の信号が供給されて、輪郭補正候補値生成回路部71と同様の動作を行い、第3の輪郭補正候補値を生成する。
【0066】
以下、同様に、輪郭補正候補値生成回路部74には、メモリブロック70から画素P(−1,0)を中心とする5行5列に2次元配置されている画素P(−3,−2)〜P(1,2)の計25個の画素の信号が供給され、輪郭補正候補値生成回路部75には、メモリブロック70から注目画素P(0,0)を中心とする5行5列に2次元配置されている画素P(−2,−2)〜P(2,2)の計25個の画素の信号が供給され、輪郭補正候補値生成回路部76には、メモリブロック70から画素P(1,0)を中心とする5行5列に2次元配置されている画素P(−1,−2)〜P(3,2)の計25個の画素の信号が供給され、それぞれ第4、第5、第6の輪郭補正候補値が生成される。
【0067】
また、輪郭補正候補値生成回路部77には、メモリブロック70から画素P(−1,1)を中心とする5行5列に2次元配置されている画素P(−3,−1)〜P(1,3)の計25個の画素の信号が供給され、輪郭補正候補値生成回路部78には、メモリブロック70から画素P(0,1)を中心とする5行5列に2次元配置されている画素P(−2,−1)〜P(2,3)の計25個の画素の信号が供給され、輪郭補正候補値生成回路部79には、メモリブロック70から画素P(1,1)を中心とする5行5列に2次元配置されている画素P(−1,−1)〜P(3,3)の計25個の画素の信号が供給され、それぞれ第7、第8、第9の輪郭補正候補値が生成される。
【0068】
4方向ゼロクロス判定部91は、輪郭補正候補値生成回路部71〜79内の各HPF84から供給される計9つの高域信号(すなわち、注目画素P(0,0)の高域信号と、注目画素の上下左右斜めに隣接する8つの隣接画素の高域信号)のうち、注目画素P(0,0)を含む画素P(0,−1)及び画素P(0,1)の縦方向の3画素の各画素信号のエッジ部分の3つの高域信号と、注目画素P(0,0)を含む画素P(−1,0)及び画素P(1,0)の横方向の3画素の各画素信号のエッジ部分の3つの高域信号と、注目画素P(0,0)を含む画素P(−1,−1)及び画素P(1,1)の第1の斜め方向の3画素の各画素信号のエッジ部分の3つの高域信号と、注目画素P(0,0)を含む画素P(1,−1)及び画素P(−1,1)の第2の斜め方向の3画素の各画素信号のエッジ部分の3つの高域信号とから、縦方向、横方向、第1の斜め方向及び第2の斜め方向の計4方向のサンプリング期間内のゼロクロスポイントをそれぞれ推定し、その4方向のゼロクロスポイント推定位置情報(各方向毎に前記2つの割合Ra1及びRa2を示す情報)を置換信号生成部92へ出力する。
【0069】
置換信号生成部92は、4方向ゼロクロス判定部91から供給される4方向のゼロクロスポイント推定位置情報に基づいて、輪郭補正候補値生成回路部71〜79から供給される第1〜第9の輪郭補正候補値のうち各方向別の3つの輪郭補正候補値から各方向の出力値である輪郭補正信号を生成する。すなわち、置換信号生成部92は、4方向ゼロクロス判定部91から供給される4方向のゼロクロスポイント推定位置情報のうち縦方向のゼロクロスポイント推定位置情報に基づいて、輪郭補正候補値生成回路部72、75、78から出力される縦方向の3つの輪郭補正候補値から縦方向の輪郭補正信号を生成する。
【0070】
同様に、置換信号生成部92は、横方向のゼロクロスポイント推定位置情報に基づいて、輪郭補正候補値生成回路部74、75、76から出力される横方向の3つの輪郭補正候補値から横方向の輪郭補正信号を生成し、第1の斜め方向のゼロクロスポイント推定位置情報に基づいて、輪郭補正候補値生成回路部71、75、79から出力される第1の斜め方向の3つの輪郭補正候補値から第1の斜め方向の輪郭補正信号を生成し、第2の斜め方向のゼロクロスポイント推定位置情報に基づいて、輪郭補正候補値生成回路部73、75、77から出力される第2の斜め方向の3つの輪郭補正候補値から第2の斜め方向の輪郭補正信号を生成する。
【0071】
そして、更に置換信号生成部92は、上記のように求めた4方向の輪郭補正信号を平均又は加重平均等の代表値計算手段により計算した代表値を最終の輪郭補正信号として決定し、出力する。本実施の形態の輪郭補正装置200によれば、1サンプリング期間以下の位相ずれのある2つの入力デジタル信号に対しても、それらに基づいて生成した2つの輪郭補正信号の位相差が第1の実施の形態と同様に、入力デジタル信号の位相差とほぼ等しくなるので、2次元画像のジャギーエッジを抑制することができる。また、上限検出部81、下限検出部83により入力デジタル信号に混入するノイズを除去することができる。
【0072】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図8は、本発明になる輪郭補正装置の第4の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図7と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
図7に示した第3の実施の形態の輪郭補正装置200は、構成は分かり易いが、機能の重複部分が多く回路規模は大きくなる。そこで、本実施の形態の輪郭補正装置250は、HPF82の出力側とMIN87の出力側とにそれぞれメモリブロック102、103を用いた構成をとることで、小さな回路規模で2次元の輪郭補正を行うものである。
【0074】
すなわち、図8に示す第4の実施の形態の輪郭補正装置250は、HPF82から出力される高域信号のうち3行3列の計9個の画素の高域信号を記憶するメモリブロック102と、MIN87から出力される輪郭補正候補値のうち3行3列の計9個の画素に対応する9個の輪郭補正候補値を記憶するメモリブロック103とを設けることにより、図7に示した輪郭補正候補値生成回路部72〜79を不要とすると共に、入力デジタル画像信号が供給されるメモリブロック101を図1のメモリブロック70より小規模な5行5列の計25個の画素信号を記憶する構成としたものである。
【0075】
本実施の形態の輪郭補正装置250において、メモリブロック101は、入力デジタル画像信号の5行5列の計25個の画素の画素信号を記憶するメモリであり、その25個の画素の画素信号は中心画素が、例えばP(−1,−1)、P(0,−1)、P(1,−1)、P(−1,0)、P(0,0)、P(1,0)、P(−1,1)、P(0,1)、P(1,1)のように、注目画素(0,0)を中心とする3行3列の各画素に順次に変更されるように更新される。
【0076】
HPF82は、メモリブロック101から入力される、計25個の画素信号から中心の画素の画素信号のエッジ部分の高域信号を生成する25タップの2次元デジタルフィルタである。HPF82は、周波数選択した高域信号を乗算部84とメモリブロック102とに出力する。
【0077】
メモリブロック102は、HPF82から出力される高域信号のうち注目画素P(0,0)を中心とする3行3列の計9個の画素の高域信号を記憶する。4方向ゼロクロス判定部91は、メモリブロック102から供給される計9つの高域信号のうち、注目画素を含む縦方向の3画素の各画素信号のエッジ部分の3つの高域信号と、注目画素を含む横方向の3画素の各画素信号のエッジ部分の3つの高域信号と、注目画素を含む第1の斜め方向の3画素の各画素信号のエッジ部分の3つの高域信号と、注目画素を含む第2の斜め方向の3画素の各画素信号のエッジ部分の3つの高域信号とから、縦方向、横方向、第1の斜め方向及び第2の斜め方向の計4方向のサンプリング期間内のゼロクロスポイントをそれぞれ推定し、その4方向のゼロクロスポイント推定位置情報(各方向毎に前記2つの割合Ra1及びRa2を示す情報)を置換信号生成部92へ出力する。
【0078】
メモリブロック103は、MIN87から出力される、メモリブロック101に記憶されている25個の画素信号のうち中心画素の画素信号に比べて傾斜の中心付近の傾斜が急峻となり、シュート部分が付加されることなく輪郭補正された輪郭補正候補値を記憶する。このメモリブロック103に記憶される輪郭補正候補値は、メモリブロック101に記憶されている25個の画素信号の中心画素が順次に更新される毎に生成されて、MIN87から順次に出力される全部で9つの輪郭補正候補値である。
【0079】
置換信号生成部92は、4方向ゼロクロス判定部91から供給される4方向のゼロクロスポイント推定位置情報と、メモリブロック103から供給される4方向の輪郭補正候補値とが供給され、同じ方向同士のゼロクロスポイント推定位置情報と輪郭補正候補値とに基づいて第3の実施の形態と同様にして輪郭補正信号を生成する。その後、生成した4方向の輪郭補正信号を平均又は加重平均等の代表値計算手段により計算した代表値を最終の輪郭補正信号として決定し、出力する。本実施の形態の輪郭補正装置250によれば、輪郭補正装置200と同様の特長を有することができる。
【0080】
なお、第1及び第2の実施の形態の輪郭補正装置120及び150では、画像の水平方向に隣接する5画素より上限値と下限値とを検出しているが、画像の垂直方向に隣接する5画素より上限値と下限値とを検出することも可能である。また、第3及び第4の実施の形態の輪郭補正装置200及び250では、水平方向及び垂直方向各5画素ずつの計25画素より上限値と下限値を検出している。本発明は、注目画素を中心として画像の水平方向及び垂直方向のどちらか一方向又は両方向の5画素以上の画素の領域より、上限値と下限値とを検出するように構成すればよい。
【0081】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態で説明した輪郭補正装置120、150、200あるいは250の動作を実行させる輪郭補正方法や、輪郭補正装置120、150、200あるいは250の構成をコンピュータのソフトウェアにより実行させる輪郭補正プログラムも本発明に包含されるものである。この場合、輪郭補正プログラムは、記録媒体からコンピュータに取り込まれるようにしてもよいし、ネットワークを介して配信されてコンピュータにダウンロードされるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の輪郭補正装置は、ビデオ撮像装置、カラーテレビジョン受像機、モニタ、ビデオプロジェクタなどにおける映像信号の輪郭部分を補正する映像信号処理に適用できる。
【符号の説明】
【0083】
11〜16、61〜64 遅延素子
21、31、41、81 上限検出部
22、32、42、82 高域フィルタ(HPF)
23、33、43、83 下限検出部
24、34、44、84、512a、512b、514a、514b、516a、516b 乗算器
25、35、45、85、511a、511b、517a、517b 加算器
26、36、46、86 最大値選択部(MAX)
27、37、47、87 最小値選択部(MIN)
51 ゼロクロス判定部
52、92 置換信号生成部
70、101〜103 メモリブロック
71〜79 輪郭補正候補値生成回路部
91 4方向ゼロクロス判定部
120、150、200、250 輪郭補正装置
510、515a、515b 絶対値回路
513a、513b 正負判定部
518a、518b 除算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給されるデジタル画像信号の画像の水平方向及び垂直方向のどちらか一方向又は両方向に隣接する5画素以上の領域の各画素信号から前記領域の中心画素の高域信号を生成する手段であって、前記中心画素を注目画素として生成した第1の高域信号と、前記注目画素の両側に隣接する、上下左右斜め方向の4方向のうち少なくともいずれか一方向の2つの隣接画素のそれぞれを前記中心画素として生成した複数の第2の高域信号とを生成する高域信号生成手段と、
前記注目画素の画素信号に前記第1の高域信号を付加した信号を振幅制限して、前記注目画素の領域における第1の輪郭補正候補値を生成する第1の輪郭補正候補値生成手段と、
前記2つの隣接画素の各画素信号のそれぞれに、前記2つの隣接画素をそれぞれ中心画素として生成した2つの前記第2の高域信号を別々に付加した信号を振幅制限して、少なくとも前記2つの隣接画素の各領域における複数の第2の輪郭補正候補値を生成する第2の輪郭補正候補値生成手段と、
前記第1及び第2の高域信号に基づいて、前記注目画素のサンプリング点が代表する範囲である注目画素領域内に前記第1の高域信号の値がゼロを示すゼロクロスポイントが存在するか否かを判定し、前記ゼロクロスポイントが存在する時は、前記注目画素領域における前記ゼロクロスポイントの位置に応じた前記第1及び第2の輪郭補正候補値の置換の割合を示し、前記ゼロクロスポイントが存在しない時は前記第1の輪郭補正候補値で置換することを示すゼロクロス判定信号を生成するゼロクロス判定手段と、
前記第1及び第2の輪郭補正候補値と前記ゼロクロス判定信号とに基づいて、前記2つの隣接画素のうち一方の隣接画素の領域と前記注目画素領域との第1の境界から前記ゼロクロスポイントの位置までは前記第1の輪郭補正候補値が出力され、かつ、前記ゼロクロスポイントの位置から前記2つの隣接画素のうち他方の隣接画素の領域と前記注目画素領域との第2の境界までは前記他方の隣接画素を前記中心画素として生成した前記第2の高域信号に基づく前記第2の輪郭補正候補値が出力されるべきものとみなした代表値を、前記注目画素の輪郭補正信号として置換して出力する置換信号生成手段と
を有することを特徴とする輪郭補正装置。
【請求項2】
前記高域信号生成手段は、前記注目画素の両側に隣接する2つの隣接画素を一組としたとき、上下左右斜めの4方向の4組の2つの隣接画素のそれぞれを前記中心画素とする8つの第2の高域信号を生成し、
前記第2の輪郭補正候補値生成手段は、前記4組の2つの隣接画素の各画素信号のそれぞれに、前記2つの隣接画素をそれぞれ中心画素として生成した8つの前記第2の高域信号を別々に付加した信号をそれぞれ振幅制限して、前記4組の2つの隣接画素の各領域における8つの第2の輪郭補正候補値を生成し、
前記ゼロクロス判定手段は、前記第1の高域信号及び8つの前記第2の高域信号に基づいて、前記4方向の各方向について前記注目画素領域内に前記第1の高域信号の値がゼロを示すゼロクロスポイントが存在するか否かを判定し、前記4方向の各方向について前記ゼロクロスポイントが存在する時は、前記注目画素領域における前記ゼロクロスポイントの位置に応じた前記第1及び第2の輪郭補正候補値の置換の割合を示し、前記ゼロクロスポイントが存在しない時は前記第1の輪郭補正候補値で置換することを示す4方向ゼロクロス判定信号を生成し、
前記置換信号生成手段は、前記第1及び第2の輪郭補正候補値と前記4方向ゼロクロス判定信号とに基づいて、前記4方向の各方向について前記2つの隣接画素のうち一方の隣接画素の領域と前記注目画素領域との第1の境界から前記ゼロクロスポイントの位置までは前記第1の輪郭補正候補値が出力され、かつ、前記ゼロクロスポイントの位置から前記2つの隣接画素のうち他方の隣接画素の領域と前記注目画素領域との第2の境界までは前記他方の隣接画素を前記中心画素として生成した前記第2の高域信号に基づく前記第2の輪郭補正候補値が出力されるべきものとみなした代表値を、前記注目画素の輪郭補正信号として置換して出力する
ことを特徴とする請求項1記載の輪郭補正装置。
【請求項3】
供給されるデジタル画像信号の画像の水平方向及び垂直方向のどちらか一方向又は両方向に隣接する5画素以上の領域の各画素信号から前記領域の中心画素の高域信号を生成するステップであって、前記中心画素を注目画素として生成した第1の高域信号と、前記注目画素の両側に隣接する、上下左右斜め方向の4方向のうち少なくともいずれか一方向の2つの隣接画素のそれぞれを前記中心画素として生成した複数の第2の高域信号とを生成する高域信号生成ステップと、
前記注目画素の画素信号に前記第1の高域信号を付加した信号を振幅制限して、前記注目画素の領域における第1の輪郭補正候補値を生成する第1の輪郭補正候補値生成ステップと、
前記2つの隣接画素の各画素信号のそれぞれに、前記2つの隣接画素をそれぞれ中心画素として生成した2つの前記第2の高域信号を別々に付加した信号を振幅制限して、少なくとも前記2つの隣接画素の各領域における複数の第2の輪郭補正候補値を生成する第2の輪郭補正候補値生成ステップと、
前記第1及び第2の高域信号に基づいて、前記注目画素のサンプリング点が代表する範囲である注目画素領域内に前記第1の高域信号の値がゼロを示すゼロクロスポイントが存在するか否かを判定し、前記ゼロクロスポイントが存在する時は、前記注目画素領域における前記ゼロクロスポイントの位置に応じた前記第1及び第2の輪郭補正候補値の置換の割合を示し、前記ゼロクロスポイントが存在しない時は前記第1の輪郭補正候補値で置換することを示すゼロクロス判定信号を生成するゼロクロス判定ステップと、
前記第1及び第2の輪郭補正候補値と前記ゼロクロス判定信号とに基づいて、前記2つの隣接画素のうち一方の隣接画素の領域と前記注目画素領域との第1の境界から前記ゼロクロスポイントの位置までは前記第1の輪郭補正候補値が出力され、かつ、前記ゼロクロスポイントの位置から前記2つの隣接画素のうち他方の隣接画素の領域と前記注目画素領域との第2の境界までは前記他方の隣接画素を前記中心画素として生成した前記第2の高域信号に基づく前記第2の輪郭補正候補値が出力されるべきものとみなした代表値を、前記注目画素の輪郭補正信号として置換して出力する置換信号生成ステップと
を含むことを特徴とする輪郭補正方法。
【請求項4】
コンピュータに、
供給されるデジタル画像信号の画像の水平方向及び垂直方向のどちらか一方向又は両方向に隣接する5画素以上の領域の各画素信号から前記領域の中心画素の高域信号を生成する機能であって、前記中心画素を注目画素として生成した第1の高域信号と、前記注目画素の両側に隣接する、上下左右斜め方向の4方向のうち少なくともいずれか一方向の2つの隣接画素のそれぞれを前記中心画素として生成した複数の第2の高域信号とを生成する高域信号生成機能と、
前記注目画素の画素信号に前記第1の高域信号を付加した信号を振幅制限して、前記注目画素の領域における第1の輪郭補正候補値を生成する第1の輪郭補正候補値生成機能と、
前記2つの隣接画素の各画素信号のそれぞれに、前記2つの隣接画素をそれぞれ中心画素として生成した2つの前記第2の高域信号を別々に付加した信号を振幅制限して、少なくとも前記2つの隣接画素の各領域における複数の第2の輪郭補正候補値を生成する第2の輪郭補正候補値生成機能と、
前記第1及び第2の高域信号に基づいて、前記注目画素のサンプリング点が代表する範囲である注目画素領域内に前記第1の高域信号の値がゼロを示すゼロクロスポイントが存在するか否かを判定し、前記ゼロクロスポイントが存在する時は、前記注目画素領域における前記ゼロクロスポイントの位置に応じた前記第1及び第2の輪郭補正候補値の置換の割合を示し、前記ゼロクロスポイントが存在しない時は前記第1の輪郭補正候補値で置換することを示すゼロクロス判定信号を生成するゼロクロス判定機能と、
前記第1及び第2の輪郭補正候補値と前記ゼロクロス判定信号とに基づいて、前記2つの隣接画素のうち一方の隣接画素の領域と前記注目画素領域との第1の境界から前記ゼロクロスポイントの位置までは前記第1の輪郭補正候補値が出力され、かつ、前記ゼロクロスポイントの位置から前記2つの隣接画素のうち他方の隣接画素の領域と前記注目画素領域との第2の境界までは前記他方の隣接画素を前記中心画素として生成した前記第2の高域信号に基づく前記第2の輪郭補正候補値が出力されるべきものとみなした代表値を、前記注目画素の輪郭補正信号として置換して出力する置換信号生成機能と
を実現させることを特徴とする輪郭補正プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−238983(P2012−238983A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105789(P2011−105789)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】