説明

農園芸用機械

【課題】容易に安定して保持することができる肩掛ベルトを具備する農園芸用機械を提供する。
【解決手段】動力部4、及び前記動力部4を基端として延伸する主軸部5を有する本体1と、本体1の主軸部5の先端に取り付けられ本体1の動力部4から動力の供給を受ける作業部材たる刈込部材2と、一端部側を本体1の第1のベルト取付部1aに、他端部を本体1の第1のベルト取付部1aとは異なる第2のベルト取付部1bに取着した肩掛ベルト3とを具備する農園芸用機械。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農園芸作業を行うときに作業者が携帯して使用する農園芸用機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、動力部、及び前記動力部を基端として延伸する主軸部を有する本体と、本体の主軸部の先端に取り付けられ本体の動力部から動力の供給を受ける作業部材と、本体に設けたベルト取付部に取着してなる肩掛ベルトとを具備し、本体の動力部から作業部材に動力を供給して刈込作業等の作業を行う農園芸用機械が知られている。この種の農園芸用機械のベルトは、従来、その重心近傍となる本体の1箇所に肩掛ベルトの両端を接続する構成が採用されていた。
【0003】
ところで、このように本体の1箇所に肩掛ベルトの両端を接続する構成では、農園芸用機械の使用時に本体の1箇所のみが支持された状態であるので、使用時にこの農園芸用機械を安定して保持することが容易でないという問題がある。
【0004】
また、本体の先端に相異なる複数種の作業部材のいずれかを選択的に取り付け可能な農園芸用機械においては、農園芸用機械の重心の位置は取り付けた作業部材によって異なる。しかして、本体の1箇所に肩掛ベルトの両端を接続する構成では、肩掛ベルトと本体との接続箇所であるベルト取付部が重心から離間した位置となることがある。この点からも、使用時にこの農園芸用機械を安定して保持することが困難になることがあるという問題も起こりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−240202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、本体に設けたベルト取付部に取着してなる肩掛ベルトを具備する農園芸用機械をより容易に安定して保持させるようにすることを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明の農園芸用機械は、動力部、及び前記動力部を基端として延伸する主軸部を有する本体と、前記本体の主軸部の先端に取り付けられ前記本体の動力部から動力の供給を受ける作業部材と、一端部側を前記本体の第1のベルト取付部に、他端部を前記本体の第1のベルト取付部とは異なる第2のベルト取付部に取着した肩掛ベルトとを具備することを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、ベルト取付部を本体の第1及び第2のベルト取付部に接続しているので、使用者の肩に掛けた状態で本体及び作業部材が複数箇所で支持される。従って、従来の本体の1箇所に肩掛ベルトの両端を接続する構成と比較して、使用時にこの農園芸用機械をより容易に安定して保持させることができる。
【0009】
本発明のより好適な使用態様として、前記主軸部の先端に相異なる複数種の作業部のいずれかを選択的に取り付け可能であるものが挙げられる。このような態様においては、取り付けた作業部に対応して農園芸用機械の重心の位置が変化するが、上述したように肩掛ベルトを本体の第1及び第2のベルト取付部に接続していることにより本体は第1及び第2のベルト取付部を介して支持されるので、このような農園芸用機械を重心の位置にかかわらず安定して保持できるからである。
【0010】
前記肩掛ベルトの少なくとも一端部が前記本体に対して着脱可能であるものであれば、緊急時に肩掛ベルトを取り外すことにより利用者を本体から離間させることができる。
【0011】
このような農園芸用機械の構成の好適な一例として、前記本体の主軸部が、動力部から延伸する駆動軸と、この駆動軸を内部に収納してなる管状の主杆とを具備するものが挙げられる。
【0012】
前記本体の前記第1及び第2のベルト取付部の間の部位に操作を行うべく把持するための把持部を設けているものであれば、取り付けた作業部に対応して把持部の把持位置を変更することにより、この農園芸用機械をさらに安定して保持させることができる。
【0013】
前記本体の動力部がバッテリモータを利用したものであれば、従来広く用いられている小型エンジンを利用して本体の動力部を構成したものと比較して、使用時の騒音の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、本体に設けたベルト取付部に取着してなる肩掛ベルトを具備する農園芸用機械において、ベルトを主軸部の複数箇所に接続しているので、使用者の肩に掛けた状態で主軸部が複数箇所で支持され、農園芸用機械をより容易に安定して保持させることができる。また、使用者が誤ってこの機械から手を離してしまった場合であっても、この機械が安定して保持されているので、使用者が危険にさらされることが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る農園芸用機械を示す全体斜視図。
【図2】同実施形態に係るチェーンソーアタッチメントを示す全体斜視図。
【図3】同実施形態に係る作業部材の取付態様を示す分解斜視図。
【図4】同実施形態に係る農園芸用機械の要部を示す拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係る農園芸用機械である動力刈込機は、図1に示すように、動力部4、及び動力部4を基端として延伸する主軸部5を有する本体1と、前記本体1の主軸部5の先端に取り付けられ前記本体1の動力部4から動力の供給を受ける作業部材たる刈込部材2と、一端部側を本体1の第1のベルト取付部に、他端部を本体1の第1のベルト取付部とは異なる第2のベルト取付部に取着した肩掛ベルト3とを具備する。なお、モータ11は本発明の動力源である。
【0018】
具体的には、本体1は、動力源であるモータ41、このモータ41に電力を供給するバッテリ42、及びモータ41を収納するカバー43を具備する動力部4と、当該動力部4のカバー43を基端として延伸する主軸部5と、前記主軸部5の中間部に設けてなるハンドル6と、このハンドルよりも基端側に設けてなる把持部たるグリップ7とを具備する両手ハンドル型のものである。
【0019】
動力部4は、上述したように、また、前記図1に示すように、前記動力源であるモータ41と、このモータ41に電力を供給するバッテリ42と、前記モータ41を収納するカバー43とを有する。前記モータ41は、後述する駆動軸52に回転駆動力を出力する。そして、前記カバー43を基端として主軸部5を延伸させて設けている。
【0020】
前記本体1の主軸部5は、上述したように、また、前記図1、及び図3に示すように、基端部を前記動力部4のカバー43に接続している管状の主杆51と、この主杆51の内部に収納してなり前記モータ41から延伸する駆動軸52とを収納してなる。また、この主軸部5の先端部には刈込部材2を設けている。さらに、これも上述したように、この主軸部5の中間部から左右両側にハンドル6を延伸させて設けている。
【0021】
前記ハンドル6は、ループ状の部材であり、前記図1に示すように、前記主軸部5の中間部から該主軸部5の延伸方向に対して垂直に延伸するハンドル基部61と、このハンドル基部61の両端部間を接続するハンドル把持部62とを有する。この動力刈込機の使用時には、作業者は一方の手でこのハンドル6のハンドル把持部62を把持し、他方の手でグリップ7を把持するようにしている。
【0022】
前記グリップ7には、前記モータ41の電源スイッチとして機能する主電源スイッチ71及びスイッチレバー72を設けている。前記主電源スイッチ71は、ON及びOFFの2つの状態を選択的にとることができる。一方、前記スイッチレバー72は、使用者が刈込動作を行うべくグリップ7を把持した際に操作力を受け、前記主電源スイッチ71がONである状態でこのスイッチレバー72が操作力を受けた状態ではモータ41を通電状態とし、その他の状態ではモータ41を非通電状態とする。ここで、この動力刈込機の使用時には、一方の手でこのグリップ7、他方の手で上述したハンドル6を把持するようにしている。
【0023】
刈込部材2は、図1に示すように、前記駆動軸52を介して付与された動力によって相対的に往復直線運動することによって被切断物を切断する第1の刃と第2の刃とを組み合わせてなる刃部21と、前記主軸部5の先端に位置し前記刃部21を着脱可能に支持する取付部22とを有するヘッジトリマーの刃として周知のものと同様の構成を有する。より具体的には、第1の刃は本体に対して突没方向に相対移動可能であり、回転運動を往復直線運動に変換する図示しない動作変換機構を介して前記駆動軸52の回転駆動力を受ける。一方、第2の刃は本体1に対して固定している。そして、第1の刃が往復運動することによりこの第1の刃と第2の刃との間に位置する被切断物を切断するようにしている。なお、この刈込部材2に替えて、作業部材として種々の構成のものを採用することができる。例えば、回転刃を利用する刈払機の刃として周知の構成を有するものや、ナイロン製紐状体等、回転動作により刈払作業を行うことが可能なものを採用することができる。さらに、本実施形態では、他の作業部材である図2に示すようなチェーンソーアタッチメント9を主軸部5に取り付けることも可能である。このチェーンソーアタッチメント9の質量は、刈込部材2の質量と異なる。
【0024】
しかして本実施形態では、肩掛ベルト3は、図1及び図4に示すように、一端部を本体1のグリップ7より基端側に位置する第1のベルト取付部1aに接続しているとともに、他端部を本体1のグリップ7より先端側に位置する第2のベルト取付部1bに接続している。また、この肩掛ベルト3の中間部には、作業者の肩に当接させてなるパッド31を設けている。
【0025】
前記第1のベルト取付部1aは、本体1に回転不能に取り付けられる基部1a1と、一端部をこの基部1a1に掛け回してなる補助ベルト1a2と、この補助ベルト1a2の他端部に接続され肩掛ベルト3の一端部に設けた第1の係止部3aと係り合う被係止部1a3とを備えている。
【0026】
一方、前記第2のベルト取付部1bは、本体1の軸回りに回転可能に取り付けられる基部1b1と、一端部をこの基部1b1に掛け回してなる補助ベルト1b2と、この補助ベルト1b2の他端部に接続され肩掛ベルト3の他端部に設けた第2の係止部3bと係り合う被係止部1b3とを備えている。
【0027】
ここで、第1及び第2のベルト取付部1a、1bには、肩掛ベルト3を本体1から取り外すための緊急離脱機構8を設けている。この緊急離脱機構8は、肩掛ベルト3を本体1から取り外すための操作を受け付ける操作部81を有し、この操作部81に操作が加えられた際に肩掛ベルト3の一端の係止部3aと第1のベルト取付部1aの被係止部1a3との係り合い、又は肩掛ベルト3の他端の係止部3bと第2のベルト取付部1bの被係止部1b3との係り合いが解除される。
【0028】
この農園芸用機械を使用する際には、使用者は、肩掛ベルト3を肩に掛け本体1のグリップ7を把持する。刈込部材2の使用時には主軸部5が前下方に延びるような姿勢をとるように支持する。一方、チェーンソーアタッチメント9の使用時には主軸部5が前方に延びるような姿勢をとるように支持する。このどちらの場合も、主軸部5は第1及び第2のベルト取付部1a、1bを介してベルト3により支持される。
【0029】
以上に述べたように、本実施形態に係る農園芸用機械の構成によれば、肩掛ベルト3の両端部をそれぞれ本体1の第1及び第2のベルト取付部1a、1bに接続しているので、使用者の肩に掛けた状態で本体1が複数箇所で支持される。従って、従来の本体の1箇所に肩掛ベルトの両端を接続する構成と比較して、使用時にこの農園芸用機械をより容易に安定して保持させることができる。また、使用者が誤ってこの機械から手を離してしまった場合であっても、この機械が安定して保持されているので、使用者が危険にさらされることが少なくなる。
【0030】
また、前記本体1の先端に作業部たる刈込部材2又はチェーンソーアタッチメント9のいずれかを選択的に取り付け可能であり、取り付けた作業部に対応して農園芸用機械の重心の位置が変化するが、ベルト3を本体1の第1及び第2のベルト取付部1a、1bに接続しているので、農園芸用機械の重心の位置にかかわらず安定して保持できる。
【0031】
前記肩掛ベルト3が前記本体1に対して着脱可能であるので、緊急時に肩掛ベルト3を取り外すことにより利用者を本体1から離間させることができる。
【0032】
そして、前記本体1の前記第1及び第2のベルト取付部1a、1bの間の部位にこの農園芸用機械を把持するための把持部たるグリップ7を設けているので、取り付けた作業部材に対応してグリップ7の把持位置を変更することにより、この農園芸用機械をさらに安定して保持させることができる。
【0033】
なお。本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では肩掛ベルトを本体の2箇所に接続しているが、本体の3箇所以上に接続するようにしてもよい。
【0035】
また、作業部材を本体に着脱不能に固定した構成の農園芸用機械に本発明を適用してもよい。
【0036】
さらに、肩掛ベルトを本体に着脱不能に固定したものであってもよい。
【0037】
加えて、本体の第1及び第2のベルト取付部のうち少なくとも一方を複数箇所に設け、肩掛ベルトの一端部を複数設けた第1又は第2のベルト取付部のうちいずれか1つに選択的に取り付けるようにしてもよい。
【0038】
操作を行うべく把持するためのグリップ等の把持部は、前記第1及び第2のベルト取付部の間の部位に限らず、場合によっては、第1又は第2のベルト取付部の双方よりも基端側、又は第1又は第2のベルト取付部の双方よりも先端側に設けるようにしてもよい。
【0039】
第1及び第2のベルト取付部の双方を本体の軸回りに回転可能に取り付けるようにしてもよく、逆に、第1及び第2のベルト取付部の双方を本体の軸回りに回転不能に取り付けるようにしてもよい。
【0040】
そして、小型エンジン等、バッテリモータ以外の動力源を利用して構成した動力部を用いてもよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0042】
1…本体
1a…第1のベルト取付部
1b…第2のベルト取付部
2…刈込部材(作業部材)
3…肩掛ベルト
4…動力部
5…主軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力部、及び前記動力部を基端として延伸する主軸部を有する本体と、
前記本体の主軸部の先端に取り付けられ前記本体の動力部から動力の供給を受ける作業部材と、
一端部側を前記本体の第1のベルト取付部に、他端部を前記本体の第1のベルト取付部とは異なる第2のベルト取付部に取着した肩掛ベルトと
を具備することを特徴とする農園芸用機械。
【請求項2】
前記主軸部の先端に相異なる複数種の作業部のいずれかを選択的に取り付け可能である請求項1記載の農園芸用機械。
【請求項3】
前記肩掛ベルトの少なくとも一端部が前記本体に対して着脱可能である請求項1又は2記載の農園芸用機械。
【請求項4】
前記本体の主軸部が、動力部から延伸する駆動軸と、この駆動軸を内部に収納してなる管状の主杆とを具備する請求項1、2又は3記載の農園芸用機械。
【請求項5】
前記本体の前記第1及び第2のベルト取付部の間の部位に操作を行うべく把持するための把持部を設けている請求項1、2、3又は4記載の農園芸用機械。
【請求項6】
前記本体の動力部がバッテリモータを利用したものである請求項1、2、3、4又は5記載の農園芸用機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−239699(P2011−239699A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112559(P2010−112559)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(304065879)株式会社 マルナカ (12)
【Fターム(参考)】