説明

農業用フィルム

【課題】 優れた耐候性と防曇持続性を示し、保温性を維持しながら光学性が改良された農業用フィルムを提供すること。
【解決手段】 熱可塑性樹脂(A)と、ハイドロタルサイト類(B)と、Li、Si、Mg、Al、Ca、KおよびNaから選ばれる少なくとも3種の金属を含有し、平均粒子径が0.1〜10.0μmである複合無機化合物(C)、光安定剤および/または紫外線吸収剤(D)および防曇剤(E)を含む熱可塑性樹脂組成物のフィルムまたはそれを含む多層フィルムであって、熱可塑性樹脂組成物が(A)を60〜99.8重量%、(B)と(C)の合計量を0.1〜30重量%、(D)を0.01〜5重量%及び(E)を0.1〜5重量%の割合で含有し、かつ(B)と(C)の含量比が99/1〜1/99(重量比)である農業用フィルム

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物からなる農業用フィルムに関する。さらに詳しくは、熱可塑性樹脂組成物からなり、保温性にすぐれかつ光学性が改善された単層又は多層の農業用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
農業用ハウスやトンネルハウスなどを使用する温室栽培においては、保温及び風防などのために透明な熱可塑性樹脂製農業用フィルムが被覆材として使用されている。これら熱可塑性樹脂として塩化ビニル樹脂やポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂が主として使用されている。この内、塩化ビニル樹脂は、強靭で保温性、透明性等が優れているが、可塑剤のブリードにより表面が汚れ易く、経時的に光線透過率が低下することや低温耐衝撃性に劣るため寒冷地では使用できないという問題点を有している。加えて使用後の廃棄処理において、焼却すると腐食性ガスを発生するという問題点も抱えている。このため、これらの問題点を有せず、防汚性、透明持続性、低温耐衝撃性等に優れたポリオレフィン系樹脂が多用されるようになってきた。
【0003】
ポリオレフィン系樹脂を使用する場合には、農業用フィルムとして充分な保温性と防曇性を付与するために添加剤を配合することが必要であり、従来種々の添加剤処方が提案されてきた。さらにポリオレフィン系樹脂や塩化ビニル樹脂は紫外線により劣化しそのままでは長期使用に耐えないため、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤を配合することにより、その欠点を補ってきた。しかしながら従来使用されてきたヒンダードアミン系光安定剤は、酸性雨あるいは農薬散布や硫黄燻蒸などにより影響を受けて性能が不活性化するため、このような環境下においても有効な光安定化処方が求められていた。農業用フィルムにおいては、この外、使用箇所によっては種々の物性改良のために、酸化防止剤、防霧剤、融着防止剤その他諸々の添加剤を配合することがあった。
【0004】
これら多種の添加剤を配合するに当たっては、添加剤相互の作用によって添加剤本来の効果を充分発揮できなかったり、フィルムの透明性を損なったりする場合があり、添加剤相互の選択においてこのような負効果を極力減少させることが必要であった。また透明性、保温性、防曇性、耐候性などにおいて、バランスのとれた物性を示すものが求められていた。
【0005】
農業用フィルムに求められる物性を満たすために、本出願人は農業用フィルムの改良を提案してきた(例えば特開2002−179812号公報、2004−24185号公報など)。最近栽培植物への影響等の観点から、保温性を維持しながら光学性をさらに改良した農業用フィルムが求められるようになってきたので、この要求に応えられる農業用フィルムの開発を行なった結果本発明に到達した。
【0006】
【特許文献1】特開2002−179812号公報
【特許文献2】特開2004−24185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れた耐候性と防曇持続性を示し、保温性を維持しながら光学性が改良された農業用フィルムを提供する。
本発明また、ポリオレフィン系樹脂を基材とする場合においても、優れた耐候性と防曇持続性を示し、保温性を維持しながら光学性が改良された農業用フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、熱可塑性樹脂(A)と、ハイドロタルサイト類(B)と、Li、Si、Mg、Al、Ca、KおよびNaから選ばれる少なくとも3種の金属を含有し、平均粒子径が0.1〜10.0μmである複合無機化合物(C)、光安定剤および/または紫外線吸収剤(D)および防曇剤(E)を含む熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムまたは該フィルム層を含む多層フィルムであって、熱可塑性樹脂組成物が熱可塑性樹脂(A)を60〜99.8重量%、(B)と(C)の合計量を0.1〜30重量%、光安定剤および/または紫外線吸収剤(D)を0.01〜5重量%及び防曇剤(E)を0.1〜5重量%の割合で含有し、かつ(B)と(C)の含量比が99/1〜1/99(重量比)である農業用フィルムを提供する。
【0009】
熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である前記農業用フィルムは本発明の好ましい態様である。
【0010】
前記熱可塑性樹脂組成物が、さらに酸化防止剤、防霧剤、融着防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、保温材および分散向上剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤を含有する前記農業用フィルムは本発明の好ましい態様である。
【0011】
本発明はまた、熱可塑性樹脂を基材とする2層以上の多層構成からなり、その少なくとも1つの層が、前記したフィルムの層である農業用フィルムを提供する。
前記フィルムの層が、最内層である農業用フィルムは本発明の好ましい態様である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、酸性環境下においても優れた耐候性と防曇持続性を示し、保温性を維持しながら光学性が改良された農業用フィルムが提供される。
本発明により、ポリオレフィン系樹脂を基材とする場合においても、優れた耐候性と防曇持続性を示し、保温性を維持しながら光学性が改良された農業用フィルムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、熱可塑性樹脂(A)と、ハイドロタルサイト類(B)と、Li、Si、Mg、Al、Ca、KおよびNaから選ばれる少なくとも3種の金属を含有し、平均粒子径が0.1〜10.0μmである複合無機化合物(C)、光安定剤および/または紫外線吸収剤(D)および防曇剤(E)を含む熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムまたは該フィルム層を含む多層フィルムであって、熱可塑性樹脂組成物が熱可塑性樹脂(A)を60〜99.8重量%、(B)と(C)の合計量を0.1〜30重量%、光安定剤および/または紫外線吸収剤(D)を0.01〜5重量%及び防曇剤(E)を0.1〜5重量%の割合で含有し、かつ(B)と(C)の含量比が99/1〜1/99(重量比)である農業用フィルムを提供するものである。
【0014】
本発明の農業用フィルムに使用される熱可塑性樹脂(A)としては、オレフィンの単独重合体、オレフィン同士の共重合体、オレフィンと極性モノマーの共重合体などのポリオレフィン系樹脂がとくに好適であり、とりわけ好適なものは、エチレンの単独重合体、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと極性モノマーの共重合体などのエチレン(共)重合体である。より具体的には高・中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンとして知られているエチレンとα−オレフィンの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸又はその塩、(メタ)アクリル酸エステルなどの極性モノマーとの共重合体などを挙げることができる。
【0015】
高圧法低密度ポリエチレン及び直鎖低密度ポリエチレンにおいては、透明性、フィルム強度、加工性、耐擦れ性などを考慮すると、密度が900〜935kg/m、好ましくは910〜930kg/m、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜5.0g/10分のものを使用するのが望ましい。ここに直鎖低密度ポリエチレンにおいてエチレンと共重合させるαーオレフィンとしては、透明性やフィルム強度などを考慮すると、炭素数4〜10のもの、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどから選ばれるものが好ましい。直鎖低密度ポリエチレンにおいてはまた、いかなる触媒系を使用して製造されたものであってもよく、例えば高活性チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物触媒成分からなる触媒を代表例とするマルチサイト触媒やメタロセン触媒成分とアルミノオキサン触媒成分からなる触媒を代表例とするシングルサイト触媒を用いて製造されたものなどを使用することができる。
【0016】
エチレン・極性モノマー共重合体としては、透明性、柔軟性、フィルム強度、防曇剤のような各種添加剤との親和性、加工性などを考慮すると、酢酸ビニル含量が3〜20重量%、好ましくは5〜20重量%、190℃、2160g荷重のMFRが0.5〜10g/10分、好ましくは0.5〜5g/10分のエチレン・酢酸ビニル共重合体を使用するのが望ましい。
【0017】
エチレン・極性モノマー共重合体の他の好ましい例として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル含量が3〜33重量%、好ましくは5〜20重量%、190℃、2160g荷重のMFRが0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜5.0g/10分のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体を挙げることができる。
【0018】
上記熱可塑性樹脂の他の例としてはまた、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、スチレン系重合体などを例示することができる。
熱可塑性樹脂としては、中でもエチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0019】
本発明に使用されるハイドロタルサイト類(B)は、下記式(I)で示される層状化合物である。
2+(1−x)3+(OH)n−x/n・mHO (I)
2+は、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+などの2価金属カチオンであり、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、In3+などの3価金属カチオンである。Xn−は、OH、F、Cl、Br、NO3−、CO2−、SO2−、Fe(CN)3−、CHCOO、シュウ酸イオン、サリチン酸イオンなどのn価のアニオンである。
【0020】
ハイドロタルサイト類は、天然鉱物であっても、合成品であってもよい。
ハイドロタルサイト類の好ましい化合物は、M2+がMg2+であり、M3+がAl3+である下記式(II)のような化合物である。
Mg(1−x)Al(OH)x/n・mHO (II)
また、Mgの一部がZn2+で置き換わった化合物もハイドロタルサイト類の好ましい例である。
ハイドロタルサイト類の具体的な市販品としては、協和化学工業(株)のアルカマイザー2、アルカマイザー3、DHT−4A、DHT−4A−2、アルカマイザー4、アルカマイザー4−2及びアルカマイザー7等を挙げることができる。
【0021】
本発明において使用される複合無機化合物(C)は、Li、Si、Mg、Al、Ca、KおよびNaから選ばれる少なくとも3種の金属を含有し、平均粒子径が0.1〜2.0μmのものである。このような複合無機化合物を適量使用することにより、保温性を維持するとともに、光学性を改善することができる。
【0022】
このような複合無機化合物(C)としては、Siを含むものが好ましく、より好ましくはSiおよびAlを含有するものを挙げることができる。
Si,AlおよびLi、Na、Kのようなアルカリ金属を含有する複合無機化合物は、本発明の好ましい複合無機化合物(C)の例である。
【0023】
複合無機化合物(C)の好ましい具体例として、リチウムアルミノ珪酸塩、ナトリウムアルミノ珪酸塩、カリウムアルミノ珪酸塩などのアルミノ珪酸のアルカリ金属塩、珪酸アルカリ金属塩、珪酸アルカリ金属塩、二酸化珪素および酸化マグネシウムの複塩、

などを挙げることができる。
【0024】
本発明のハイドロタルサイト類(B)および複合無機化合物(C)は、高級脂肪酸、高級脂肪酸塩、高級アルコール、高級脂肪酸アミド、チタンカップリング剤、シランカップリング剤などで表面処理されたものであってもよい。
【0025】
本発明の熱可塑性樹脂組成物中のハイドロタルサイト類(B)および複合無機化合物(C)の含有量は、(B)と(C)の合計量として、熱可塑性樹脂組成物の0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜20重量%であることが望ましい。
【0026】
本発明において使用される光安定剤としては、光安定剤として知られている公知のものから適宜選択して使用することができるが、中でもヒンダードアミン系光安定剤が好適に使用される。ヒンダードアミン系光安定剤としては低分子量のものが好ましいが、高分子量のものでも使用することができる。またこれらは1種のみならず2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0027】
低分子量ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(o−クロロベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェノキシアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ニコチノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(2−フロイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(β−ナフトイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,3,8−トリアザ−7,7,9,9−テトラメチル−2,4−ジオキソ−3−n−オクチル−スピロ[4,5]デカン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサヒドロテレフタレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−アセトキシプロパン−1,2,3−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリアジン−2,4,6−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)ホスファイト、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3−トリカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロパン−1,1,2,3−テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)−4−スピロ−2'−(6',6'−ジメチルピペリジン)−4'−スピロ−5''−ヒンダントインなどを挙げることができる。より具体的には、サノールLS770、チヌビン144、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−67、グッドライトUV−3034などの商品名で市販されているものを使用することができる。
【0028】
ヒンダードアミンの好適な他の例として、特開2004−24185号公報に記載されているようなNOR型ヒンダードアミン系光安定剤化合物を挙げることができる。NOR型ヒンダードアミン系光安定剤化合物の具体的例としては、下記のような化合物が挙げられる。
(1)1−シクロヘキシルオキシ−4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
(2)コハク酸ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(3)アジピン酸ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(4)セバシン酸ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(5)1−ベンゾイルオキシ−4−(N−n−ブチル−N−ベンゾイルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
(6)1,4−ジ−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
(7)n−ブチル−(1−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート
(8)α、α’−(ジ−1−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルオキシ)−p−キシレン
(9)1−エトキシ−4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
(10)1,4−ジベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
【0029】
(11)1−(α−メチルベンジルオキシ)−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
(12)セバシン酸ビス(1−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(13)フタル酸ビス(1−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(14)セバシン酸ビス(1−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(15)セバシン酸ビス(1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(16)コハク酸ビス(1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(17)(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート
(18)イソフタル酸ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(19)フタル酸ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
【0030】
(20)セバシン酸ビス(1−ヘプチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(21)テレフタル酸ビス(1−(α−メチルベンジルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(22)イソフタル酸ビス(1−(α−メチルベンジルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(23)セバシン酸ビス(1−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(24)セバシン酸ビス(1−クミルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(25)セバシン酸ビス(1−オクタデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(26)セバシン酸ビス[1−(ビシクロ−[4,4,0]−デシル−1−オキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル]
(27)セバシン酸ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(28)コハク酸ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(29)2,2−ジメチルマロン酸ビス(1−n−ブチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(30)2,4,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジカルバミン酸ビス(4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)
【0031】
(31)フタル酸ビス(1−n−ブチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(32)イソフタル酸ビス(1−n−ブチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(33)(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)n−ブチルマロン酸ビス(1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(34)(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)n−ブチルマロン酸ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)
(35)3,15−ジ−α−メチルベンジルオキシ−2,2,4,4,14,14,16,16−オクタメチルー7,11,18,21−テトラオキサ−3,15−ジアザトリスピロ[5,2,2,5,2,2]ヘンエイコサン
(36)3,15−ジ−ジシクロヘキシルオキシ−2,2,4,4,14,14,16,16−オクタメチルー7,11,18,21−テトラオキサ−3,15−ジアザトリスピロ[5,2,2,5,2,2]ヘンエイコサン
(37)ポリ−[6−{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−イミノ}−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][2−(1−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−イミノ)−ヘキサメチレン−[4−(1−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−イミノ]
(38)ポリ−[6−{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−イミノ}−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][2−(1−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−イミノ)−ヘキサメチレン−[4−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−イミノ]
より具体的には、サイアソーブUV3346、キマソーブ944LD、チヌビン622LDなどの商品名で市販されているものを使用することができる。
【0032】
高分子量ヒンダードアミン系光安定剤としては、分子量が1000を越え、好ましくは1200〜5000程度のものであって、例えば特開2002−179812号公報に例示されたような高分子型ヒンダードアミンを挙げることができる。
【0033】
本発明において使用されるまた紫外線吸収剤としては、紫外線吸収剤として知られている公知のものから適宜選択して使用することができるが、好適な例としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などを挙げることができる。
【0034】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
【0035】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2−n−オクタデシルオキシ−3、5−ジメチルフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5,6−ジクロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−5−ブトキシカルボニルベンゾトリアゾール、2−(2−アセトキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2Hベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらは例えば、シーソーブ706、チヌビン328、チヌビンP、サイアソーブUV5411などの商品名で市販されている。
【0036】
またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。これらは例えば、サイアソーブUV1164、チヌビン1577FFなどの商品名で市販されている。
【0037】
光安定剤および/または紫外線吸収剤(D)は、熱可塑性樹脂組成物中、0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%の割合で含有されていることが望ましい。
【0038】
本発明において使用される防曇剤(E)としては、防曇剤として知られている公知のものから適宜選択して使用することができるが、好適な例として、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミンモノ脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステルポリオキシアルキレンエーテル、高級アルコール硫酸エステルアルカリ金属塩、アルキルアリールスルホネート、四級アンモニウム塩などを挙げることができる。これらは2種以上混合して使用することができる。例えばアルキルジエタノールアミンとアルキルジエタノールアミンモノ脂肪酸エステルの重量比で5/95〜50/50、好ましくは10/90〜30/70の混合物、あるいはアルキルジエタノールアミドと多価アルコール脂肪酸エステルの重量比で5/95〜50/50、好ましくは5/95〜25/75の混合物などを挙げることができる。
【0039】
上記アルキルジエタノールアミンのアルキル基(アルケニル基を含む意で用いられる)としては、炭素数が8〜22程度のもの、とくに12〜18程度のものが好ましい。具体的には、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、オレイルジエタノールアミン、あるいはこれらの混合物などを例示することができる。これらの中ではとくにオレイルジエタノールアミンあるいはオレイルジエタノールアミンを50重量%以上含有するアルキルジエタノールアミン混合物を使用するのが最も好ましい。
【0040】
上記アルキルジエタノールアミンモノ脂肪酸エステルのアルキル基(アルケニル基を含む)としては、炭素数が8〜22程度、好ましくは12〜18のものであって、脂肪酸エステルにおける脂肪酸成分としては、炭素数8〜22程度、好ましくは12〜22程度の飽和又は不飽和の脂肪酸が好ましい。具体的にはラウリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、ミリスチルジエタノールアミンモノオレイン酸エステル、パルミリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、ステアリルジエタノールアミンモノパルミチン酸エステル、ステアリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、オレイルジエタノールアミンモノパルミチン酸エステル、オレイルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、あるいはこれらの混合物などを例示することができる。
【0041】
上記アルキルジエタノールアミドのアルキル基としては炭素数8〜22程度、とくに炭素数10〜16程度のものが好ましい。具体的には、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノ−ルアミド、パルミチルジエタノールアミド、ステアリルジエタノールアミド、オレイルジエタノールアミド、あるいはこれらの混合物などを例示することができる。
【0042】
また多価アルコール脂肪酸エステルにおける多価アルコール成分としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ソルビトール、ソルビタンなどの1種又は2種以上から選ばれる。また脂肪酸エステルにおける脂肪酸成分としては炭素数8〜22程度、好ましくは炭素数12〜18程度の飽和又は不飽和の脂肪酸、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、あるいはこれらの混合物などが好ましい。これらの中ではとくにソルビタンエステルの使用が好ましい。ソルビタンエステルは、トールタイプ、バイドタイプ、タンタイプの異性体の混合体であって、通常トールタイプの含有率は10〜15重量%であるが、とりわけソルビトール含有量を20〜60重量%、とくに30〜50重量%に高めたソルビタンエステルを使用するのが好ましい。
【0043】
このような防曇剤(E)は、フィルム層を構成する熱可塑性樹脂組成物中に0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%の割合で含有されているのが効果的である。
【0044】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、さらに酸化防止剤、防霧剤、融着防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、保温材および分散向上剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤の好ましい含有量は、それぞれが熱可塑性樹脂組成物中に0.01〜1重量%、好ましくは0.02〜1重量%程度含有されていることが好ましい。
【0045】
酸化防止剤としては、酸化防止剤として知られている公知のものから適宜選択して使用することができるが、具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、トコフェロール、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオ)−1,3,5−トリアジンなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤を好適例として挙げることができる。
【0046】
また防霧剤としては、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルケニル基を有するフッ素系界面活性剤を好適例として挙げることができる。これらは陰イオン型、陽イオン型、両性型、非イオン型のいずれのものであってもよい。
【0047】
融着防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、保温材および分散向上剤は、それぞれ公知のものから適宜選択して使用することができる。
【0048】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて防黴剤、防藻剤などの他の添加剤を配合することができる。
【0049】
上記本発明の農業用フィルムは、単層でも2層以上の多層積層体でもよく、その場合、上記成分を所定量含む熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層が少なくとも1層含まれていればよい。多層農業用 フィルムにおいては、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層が複数層形成された多層フィルムであっても、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層が1層又は複数層と他の熱可塑性フィルム層が1層又は複数層とからなる多層フィルムであってもよい。本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層を複数層有する多層フィルムにおいては、各層中の組成や熱可塑性樹脂が同一であっても異なるものであってもよい。多層農業用フィルムにおいては、最内層に該当する表面層には防曇剤(E)及び防霧剤が配合されていることが望ましい。
【0050】
本発明の単層又は多層農業用フィルムにおいては、総厚みが10〜300μm、とくに30〜200μmとなるようにするのが好ましい。また多層農業用フィルムの場合には、2層又は3層とするのが好ましく、各層の厚みが10〜150μm、とりわけ20〜100μm程度とするのが好ましい。
【0051】
また多層農業用フィルムにおいて、熱可塑性樹脂を基材とし、それに積層されたフィルム層からなる2層以上の多層構成を有し、その少なくとも1つの層が、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの層である農業用フィルムは本発明の好ましい態様である。このような多層農業用フィルムにおいて、基材である外層をポリエチレンとし、中間層及び内層をエチレン・酢酸ビニル共重合体として使用する態様が好ましい。とくに外層のポリエチレンが密度900〜930kg/m、メルトフローレート0.5〜5.0g/10分の直鎖低密度ポリエチレンであり、中間層がある場合はそのエチレン・酢酸ビニル共重合体が、酢酸ビニル含量が10〜20重量%、メルトフローレートが0.5〜5.0g/10分の共重合体であり、内層のエチレン・酢酸ビニル共重合体が、酢酸ビニル含量が3〜15重量%、メルトフローレートが0.5〜5.0g/10分の共重合体であることが好ましい。このような構成にすることにより、耐擦れ性、透明性、防曇性、防霧性、保温性等に優れ、光学性に優れた農業用 フィルムを得ることができる。このような好適態様においては、中間層及び内層を本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層とするのが好ましい。また、外層は防曇剤(C)を含まない層とするのが実用上好ましい。
【0052】
本発明の農業用フィルムは、熱可塑性樹脂に他の成分及び必要に応じ配合されるその他の添加剤を所定量秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、押出機など公知の混合機を用いて樹脂組成物を製造し、これをインフレーション加工、カレンダー加工、Tダイ加工などにより フィルム化することによって製造することができる。添加剤の配合にあたっては、マスターバッチを使用することができる。多層 フィルムを製造する場合は、共押出によるのが最も効率的である。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
なお、実施例等に用いた原料及び物性の評価方法は以下の通りである。
【0054】
[原料]
(1)EVA−1:エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量:14重量%、メルトフローレート(MFR):1.6g/10分)
(2)EVA−2:エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量:9重量%、メルトフローレート(MFR):1.7g/10分)
(3)ハイドロタルサイト:協和化学社製DHT−4A(平均粒子径:0.4μm、屈折率:1.51、比表面積:12m/g)
(4)無機化合物−1:シルトンAL−08(水澤化学工業株式会社社製、ナトリウムアルミノ珪酸塩、1.9-2.1SiO2・Al2O3・0.2-0.5Na2O・nH2O、屈折率:1.50、平均粒子径:0.90μm)
(5)無機化合物−2:ミックレイAsi(水澤化学工業株式会社製、平均粒子径:0.53μm、屈折率:1.49、比表面積:10m/g)
(6)無機化合物−3:Optima-LSA[戸田工業株式会社製、珪酸リチウム、水酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウムの複塩、LiSiO(15%〜20%)、Al(OH)3(57〜67%)、SiO2(11%〜26%)、MgO(0.5%〜2.5%)]、平均粒径0.8μm
(7)光安定剤:[ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]](商品名:キマソーブ944LD、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
【0055】
(8)防曇剤−1:ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート
(9)防曇剤−2:ソルビタン脂肪酸エステル
(10)防曇剤−3:10%ラウリルジエタノールアミド+90%ソルビタンステアレートの0.6molエチレンオキサイド付加物
(11)酸化防止剤−1:イルガフォス168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
(12)酸化防止剤−2:イルガノックス1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
(13)LLDPE:エボリューSP2320(株式会社プライムポリマー製、密度0.92g/cm、MFR:1.9g/10分)
(14)LDPE:ミラソンNEO023H(株式会社プライムポリマー製、密度:0.92g/cm、MFR:2.0g/10分)
【0056】
[物性評価方法]
(1)保温性: 赤外線(波長5〜25μm領域)の吸収率を測定した。
(2)全光線透過率: JIS K―7361に従い測定したフィルムへの全入射光に対する透過光の割合(%)
(3)ヘイズ:JIS K―7136に従い測定したフィルムへの全透過光に対する散乱光の割合(%)。
(4)グロス:JIS Z―8741に従い測定したフィルム面への入射角20°光線に対する反射光量の、標準板での反射光量に対する割合(%)。
(5)トランス:ASTM D1746に従い測定したフィルムへの全入射光に対する透過光の割合(%)。
(6)メルトフローレート(MFR):JIS K7210−1999に従い、190℃、2160g荷重で測定した。
【0057】
(実施例1〜3)
3層インフレダイスを装備した多層インフレーションフイルム成形装置を使用し、ダイスの外層、中間層、内層に、それぞれ外層用押出機、中間層用押出機、内層用押出機を通じて、表1に記載した成分を予め混練して得たペレットを溶融ゾーン170℃の条件で供給した。
【0058】
各層に供給した樹脂組成物は、180℃に予熱された前記ダイスの内部で貼合し、各層の厚みが表1に記載した厚みのフィルムを得た。このフィルムにつき物性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明により提供される農業用フィルムは、優れた耐候性と防曇持続性を示し、保温性を維持しながら、光学性が改良された農業用フィルムである。
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂を基材とする場合においても、優れた耐候性と防曇持続性を示し、保温性を維持しながら、光学性が改良された農業用フィルムが提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂(A)と、ハイドロタルサイト類(B)と、Li、Si、Mg、Al、Ca、KおよびNaから選ばれる少なくとも3種の金属を含有し、平均粒子径が0.1〜10.0μmである複合無機化合物(C)、光安定剤および/または紫外線吸収剤(D)および防曇剤(E)を含む熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムまたは該フィルム層を含む多層フィルムであって、熱可塑性樹脂組成物が熱可塑性樹脂(A)を60〜99.8重量%、(B)と(C)の合計量を0.1〜30重量%、光安定剤および/または紫外線吸収剤(D)を0.01〜5重量%及び防曇剤(E)を0.1〜5重量%の割合で含有し、かつ(B)と(C)の含量比が99/1〜1/99(重量比)である農業用フィルム。
【請求項2】
熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である請求項1に記載の農業用フィルム。
【請求項3】
ポリオレフィン系樹脂が、エチレンの重合体又は共重合体である請求項2に記載の農業用フィルム。
【請求項4】
前記エチレンの共重合体が、酢酸ビニル含量が3〜20重量%、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.5〜10g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体である請求項3に記載の農業用フィルム。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂組成物が、さらに酸化防止剤、防霧剤、融着防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、保温材および分散向上剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の農業用フィルム。
【請求項6】
熱可塑性樹脂を基材とする2層以上の多層構成からなり、その少なくとも1つの層が、請求項1〜4に記載されたフィルムの層である農業用フィルム。
【請求項7】
前記フィルムの層が、最内層であることを特徴とする請求項6に記載の農業用フィルム。


【公開番号】特開2007−314648(P2007−314648A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145129(P2006−145129)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000174862)三井・デュポンポリケミカル株式会社 (174)
【Fターム(参考)】