説明

農産物用コンテナ及びその内容器

【課題】使用状態においては簡易な断熱性を保有し、氷詰めした場合にも水漏れのおそれがなく、しかも組み立て及び折り畳み操作が容易で、返送のための輸送コストを低減できる農産物用コンテナを提供する。
【解決手段】四方の側板12,13が底板11上に折り畳み可能なコンテナ本体10と、組み立てたコンテナ本体10内に装入セットする内容器20とからなり、内容器20は、合成樹脂発泡シートにより一体に成形し、下方に凹設された収納凹部21を有する容器状をなしコンテナ本体10の底板11上に載置される成形底部22と、成形底部の四方各辺にそれぞれヒンジ部23,24を介して起立自在に連接した側板部25,26とを有し、側板部が起立した状態でコンテナ本体10内に装入セットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として野菜や果物等の農産物の出荷、輸送に使用される農産物用コンテナ及びその内容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種物品の物流用のコンテナとして、使用後のコンテナの返送に際して、該コンテナの占める容積を小さくするために、折り畳み式のコンテナが使用されることが多くなっている。この種の折り畳み式のコンテナとしては、組み立て及び折り畳みの操作が簡単であること、耐久性、耐圧荷重性等といった要求を満たすことが求められており、その一つとして、下記の特許文献1に示される合成樹脂製の折り畳み式のコンテナが知られている。
【0003】
かかる折り畳み式のコンテナは、図22のように、四方の側板112,112及び113,113のうちの一方の相対向する側板、例えば長辺側の側板112は、高さ方向の略中央で内側に中折れ可能に連結構成され、これと直交する方向の他方の相対向する側板113は、上部枠114に軸支された上端部を支点にして内側上方にはね上がる方向に回動可能に支持されており、該他方の側板113が上方に回動した状態において前記一方の側板112が底板111上に中折れして重ねられることにより、嵩低く折り畳めるようになっている。
【0004】
近年は、前記形態の折り畳み式のコンテナを野菜や果物、根菜類、キノコ類等の各種農産物の出荷、輸送等に使用されることも多く、このような農産物の産地から消費地への輸送においては、断熱性が要求されることから、特許文献1のように底板や側板等の構成部材を合成樹脂発泡体等による断熱性を有する材料により構成することも提案されている。
【0005】
ところで、ブロッコリー等の農産物の出荷、輸送等においては、コンテナに農産物を収納した状態で予冷を行った後、氷詰めして出荷、輸送に供する場合がある。この場合、前記の折り畳み方式のコンテナでは、氷が解けることによって生じる水が漏れ出ることになり、輸送車両や工場の床面を濡らす等の問題が生じる。そのため、前記一方の相対向する側板が中折れする形態の折り畳みコンテナを農産物の出荷、輸送に使用する場合には、組み立て及び折り畳みが容易であること、保冷のための断熱性を有することに加えて、前記の水漏れを防止できることが望まれる。
【0006】
下記の特許文献2には、使用時の組み立て及び返送時の折り畳みを容易にして、かつ水漏れが生じない構造を備えた折り畳みコンテナが提案されている。この提案のコンテナにおいては、水漏れを生じさせないように、下部側板を底板と一体に容器状に形成しておき、下部側板にヒンジ部を介して連設した上部側板を外側に倒して下部側板に沿わせる構造になっている。
【0007】
しかしながら、下部側板が底板と一体形成されているために、折り畳み状態においても、コンテナ高さの略1/2程度が折り畳まれるだけであるため、図22に示す側板が中折れする形態の折り畳みコンテナに比して、折り畳み時状態のサイズがかなり大きく嵩高になり、取り扱いにくく、保管、輸送に効率も悪く、また返送時の輸送コストも高くつく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−96031号公報
【特許文献2】特開2000−62771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、農産物の出荷、輸送に好適に使用できる農産物用コンテナを得るためになしたものであり、折り畳み可能なコンテナ本体と使い捨ても可能な内容器との組合せにより、使用状態においては簡易な断熱性を保有して農産物の保護を良好になし、かつ氷詰めした場合にも水漏れのおそれがなく、しかも、組み立てや組み合わせ操作、及び折り畳み操作が容易で、かつ返送のための輸送コストを抑制できる農産物用コンテナを提供するものであり、さらには農産物用コンテナに好適に使用できる内容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する本発明は、平面長方形又は正方形の農産物用コンテナであって、四方の各側板が折り畳み可能に設けられているコンテナ本体と、組み立てられたコンテナ本体内に装入セットされる内容器とからなり、前記内容器は、合成樹脂発泡シートにより一体に成形され、下方に凹設された収納凹部を有する容器状をなしコンテナ本体の底板上に載置される成形底部と、該成形底部の四方各辺にそれぞれヒンジ部を介して起立自在に連接された側板部とを有してなり、前記側板部が起立した状態でコンテナ本体内に装入セットされることを特徴とする。
【0011】
この農産物用コンテナによれば、内容器が適度に断熱性を有することにより、収納される農産物を保冷状態に保持して保護でき、特に、容器状の成形底部を有するために、氷詰めした場合の氷が解けても水漏れするおそれがなく、コンテナ本体を網構造とすることも可能になる。また、使用までの保管や輸送においては、コンテナ本体は各側板を例えば底板上に折り畳んで、また内容器は展開状態で複数枚を重ねて嵩低くしておくことができる。しかも、使用に際してのコンテナ本体に対する内容器の組み込み操作、返送時の分離、折り畳み作業も容易に行える。
【0012】
前記の農産物用コンテナにおいて、内容器の縦横一方の相対向する側板部の両側端に、ヒンジ部を介して、起立状態において他方の相対向する側板部の内側に折り込まれる折り込み片が連設されてなるものとすることができる。これにより、側板部を起立させた組み立て状態においては、隣接する側板部間が前記折り込み片により遮断されて大きな隙間が生じないことになり、このため、内容器による断熱性が損なわれることがなく、また水漏れを良好に防止できることになる。
【0013】
前記の農産物用コンテナにおいて、内容器の縦横一方の相対向する側板部の側端部分と、他方の相対向する側板部の側端部分とに、起立状態において互いに係合して起立状態を保持するための係合手段が設けられてなるものとすることができる。これにより、内容器の側板部がコンテナ本体内で相互に係合連結されて内方へ倒れ込むおそれがなく、所定の起立状態に保持される。
【0014】
前記縦横一方の相対向する側板部に折り込み片が連設されている場合、該折り込み片と、他方の相対向する側板部の側端部分とに、起立状態において互いに係合する係合孔と係合凸部とを設けておくことができる。これにより、前記内容器の起立した隣接する側板部同士を係合連結した状態に簡単な止め操作で容易に係合連結でき、かつ係合連結状態を良好に保持できる。
【0015】
前記の農産物用コンテナにおいて、 内容器の少なくとも一つの側板部に、ヒンジ部を介して、起立状態の各側板部により囲まれた収納部の上面全体を覆う蓋板部が連設されてなるものとすることができる。例えば、内容器の縦横一方の相対向する側板部に、ヒンジ部を介して、起立状態の各側板部により囲まれた収納部の上面を覆う蓋板部が連設されてなるものとすることができる。これにより、別体の発泡樹脂製の別体の蓋板の使用を不要にでき、包装作業が容易になる上、コンテナ本体の蓋体の被着の有無に拘わらず、上面部を蓋板部により閉蓋状態に保持して断熱性を保ち、また水やホコリの侵入を防止できる。
【0016】
特に、前記蓋板部の両側端に、ヒンジ部を介して、縦横他方の相対向する側板部とコンテナ本体の側板との間に挿し込むことができる挿し込み片が連設されてなるものが好ましく、これにより、使用状態での蓋板部の浮き上がりを防止でき、閉蓋状態が良好に保持され、前記断熱性の保持やホコリの侵入防止の効果が良好なものになる。
【0017】
前記の農産物用コンテナにおいて、前記内容器の成形底部の周縁部における四隅部に、内方に向かって傾斜して収納凹部に至る傾斜凹部が設けられてなるものが好ましい。これにより、起立した側板部同士がつき合わされることになるコーナー部の隅部において、側板部の側端および折り込み片を伝う水が、成形底部の前記周縁部の傾斜凹部に入り、そのまま収納凹部に流れ込むことになり、外部への水漏れを防止できることになる。
【0018】
前記の農産物用コンテナにおいて、前記内容器の成形底部における収納凹部の側面部がテーパ状をなし、前記側板部が展開した状態においてスタッキング可能に形成されてなるものとすることができる。これにより、前記内容器を展開状態で複数重ねておくことができるので、使用までの保管及び輸送を容易にする。
【0019】
前記の農産物用簡易コンテナにおいて、前記内容器の成形底部の底面部には、収納物を受ける凸部を有し、収納物により生じる水分を前記凸部以外の凹部で貯留できるように形成されてなるものとすることができる。これにより、収納された農産物が溜まった水に濡れた状態になるのを防ぐことができる。
【0020】
前記の農産物用コンテナにおいて、前記内容器の成形底部は、横断面半円形で長溝状をなし、かつ長手方向の所定間隔毎に凹部内方に膨出する同心半円状の凸条リブが形成されることにより長手方向に蛇腹状をなして収納凹部が複数並列して設けられてなるものとすることができる。これにより、長芋等の根菜類を水に濡らさないように収納できる。
【0021】
前記の農産物用コンテナにおいて、前記コンテナ本体は、平面長方形又は正方形の底板と四方の側板とを有し、縦横一方の相対向する側板は、前記底板の対向辺部にヒンジ構造部を介して内側に折曲可能に連接されるとともに、高さ方向の中央部で中折れ可能に形成され、これと直交する他方の相対向する側板は、上端部を支軸にして内側上方に回動可能に支持されてなり、該他方の両側板が内側上方に回動した状態において、前記一方の側板が中央部で中折れして前記底板上に折り畳まれるとともに、該側板の上に前記他方の側板が重ねられることを特徴とする。これにより、コンテナ本体の組み立て及び折り畳みが容易になる。
【0022】
また本発明は、農産物用コンテナの内容器であって、合成樹脂発泡シートにより一体に成形され、下方に凹設された収納凹部を有する容器状をなす平面矩形又は正方形の成形底部と、該成形底部の四方各辺にそれぞれヒンジ部を介して起立自在に連接された側板部とを有してなる内容器を特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の農産物用コンテナは、各側板が折り畳み可能に設けられたコンテナ本体と、該コンテナ本体に対し装入セットされる合成樹脂発泡シートから成形された内容器とを組合せてなるものであり、前記内容器が適度に断熱性を有することにより、収納される農産物を保冷状態に保持してその保護を良好になし、特に、内容器が容器状の成形底部を有するために、氷詰めした場合の氷が解けても水漏れするおそれがなく、収納状態での保管場所や輸送車両の床面を濡らすことがない。
【0024】
しかも、本発明の農産物用コンテナは、使用までの保管や輸送においては、前記コンテナ本体は各側板を例えば底板上に折り畳んで、また内容器は展開状態で複数枚を重ねて嵩低くしておくことができるので、取り扱い易くかつ保管及び輸送のためのスペースを減少できる。また、使用の際の組み立て及び組み合わせ、並びに返送時の分離及び折り畳みが容易で、返送のための輸送コストの低減も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の農産物用コンテナの第1の実施例のコンテナ本体と内容器の組合せ前の斜視図である。
【図2】同上の内容器の一部の拡大斜視図である。
【図3】内容器の展開状態の平面図である。
【図4】前図のB−B線の断面図である。
【図5】図3のC−C線の断面図である。
【図6】内容器をコンテナ本体に装入セットする途中の斜視説明図である。
【図7】内容器をコンテナ本体に装入セットした状態の斜視図である。
【図8】同上の一部の拡大斜視図である。
【図9】同上の蓋体を被着した状態の断面図である。
【図10】コンテナ本体の折り畳み操作状態の説明図である。
【図11】(a)(b)のそれぞれ内容器の底面部の凹凸形状を異にする他の例を示す一部の斜視図である。
【図12】内容器のさらに他の例を示す一部の斜視図である。
【図13】同上の一部の断面図である。
【図14】コンテナ本体の他の例を示す斜視図である。
【図15】本発明の農産物用コンテナの内容器の構造を変更した他の実施例を示す斜視図である。
【図16】同上の内容器の一部の拡大斜視図である。
【図17】内容器の展開状態の平面図である。
【図18】前図のD−D線の断面図である。
【図19】図17のE−E線の断面図である。
【図20】内容器をコンテナ本体に装入セットした状態の斜視図である。
【図21】内容器をコンテナ本体に装入セットした状態の断面図である。
【図22】従来の折り畳みコンテナの斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0027】
本発明の農産物用コンテナAは、平面長方形又は正方形のコンテナであって、主として縦横にそれぞれ相対向して対をなす四方の側板12,12;13,13が底板11上に折り畳み可能に設けられているコンテナ本体10と、組み立てられたコンテナ本体10内に装入セットされる内容器20とからなる。
【0028】
図1〜図10の第1の実施例において、コンテナ本体10は、一方の相対向する側板が中折れする形態の従来の折り畳みコンテナと基本的に同様の構成をなすものであり、平面長方形又は正方形の底板11、前記四方の各側板12,12;13,13、平面長方形又は正方形の上部枠14の各構成部材が、それぞれ合成樹脂材により個別に成形されて、次のように連結構成されている。
【0029】
前記四方の側板12,12;13,13のうち、縦横一方の相対向する側板、例えば平面長方形の場合、図のように長辺側の側板12は、前記底板11の対向辺部にヒンジ部15を介して内側に折曲可能に連接されるとともに、高さ方向の中央部で上部側板12aと下部側板12bとがヒンジ構造の連結部16を介して内方に向かって中折れ可能に連接形成されている。また前記両側板12の上端部は前記上部枠14に対しヒンジ部17を介して折曲可能に連結されている。
【0030】
また、四方の側板12,12;13,13のうち、前記側板12と直交する縦横他方の相対向する側板、例えば平面長方形の場合、図のように短辺側の側板13,13は、それぞれ上端部が前記上部枠14に軸支されて、組み立て状態においては下端部が底板11の端部の係止部19に係止して垂下状態に保持されるとともに、前記軸支部(図示せず)を中心として内方に跳ね上がる方向に回動可能に支持されている。これにより、前記両側板13,13が垂下した状態においては、前記一方の両側板12,12の中折れが規制されて組み立て状態を保持し、また、前記両側板13,13を内側上方に回動した状態にすることにより、前記一方の両側板12,12を中央部で中折れさせて前記底板11上に折り畳み、さらに該側板12、12の上に前記他方の側板13,13を重ねることができるようになっている。なお、前記の組み立て状態を保持するために、前記側板13の内方への回動を阻止するロック手段(図示せず)を設けておくこともできる。
【0031】
また、前記内容器20は、合成樹脂発泡シートより展開状態で一体に成形されており、下方に凹設された一つもしくは複数の収納凹部21を有する容器状をなしかつコンテナ本体10の底板11上に載置される平面長方形又は正方形の成形底部22と、該成形底部22の四方各辺にそれぞれヒンジ部23及び24を介して起立自在に連接された四方の側板部25,25及び26,26とを有してなり、前記各側板部25,26が起立した状態において、前記コンテナ本体10内に各側板12,13の内側に沿って装入セットされるように形成されている。
【0032】
すなわち、前記内容器20は、成形底部22の外形及び各側板部25,26の起立状態の外形の縦横の寸法が、前記コンテナ本体10の内側の縦横の寸法よりやや小さく設定され、各側板部25,26を起立させた状態で、前記コンテナ本体10の内側に装入セットできるようになっている。通常、前記成形底部22は、前記収納凹部21の開口縁を形成するフランジ状の周縁部22aを残して凹設されており、縦横各辺の該周縁部22aに前記ヒンジ部23、24を介して各側板部25,26がそれぞれ連接されている。
【0033】
この実施例の場合、前記各側板部25,26のうちの縦横一方の相対向する側板部、例えば平面長方形の場合、図のように長辺側の側板部25の両側端に、それぞれヒンジ部27を介して、起立状態において他方の相対向する例えば短辺側の側板部26の内側に折り込まれる折り込み片28が連接されており、組立て状態において起立した隣接する側板部25,26間のコーナー部分を遮蔽できるようになっている。
【0034】
さらに、前記各側板部25,26のうちの縦横一方の相対向する例えば長辺側の側板部25の側端部分と、これと直交する他方の相対向する例えば短辺側の側板部26の側端部分とには、垂直に起立した状態において互いに係合して前記起立状態を保持するための係合手段が設けられている。この係合手段としては、前記折り込み片28の有無に拘わらず、各側板部25,26を起立状態に保持できる種々の形態による実施が可能である。図示する実施例の場合は、長辺側の側板部25の両側端に連設された折り込み片28と、他方の短辺側の側板部26の側端部分とに、起立状態において互いに係合する係合孔29aと係合凸部29bとが設けられている。図の例では、前記折り込み片28に係合孔29aが設けられ、他方の側板部26の側端部分には前記係合孔29aに嵌入し係合し得る係合凸部29bが設けられている。
【0035】
これにより、各側板部25,26を起立した状態において、前記係合孔29aと係合凸部29bとにより係合連結することで、各側板部25;26の内方への過度の倒れ込みを防止できて、起立状態を良好に保持できるとともに、前記折り込み片28により隣接する側板部25,26間のコーナー部分に大きな隙間を生じるのを防止でき、断熱性の低下を防ぐことができる。またコーナー部からの水漏れ防止にも効果がある。
【0036】
前記各ヒンジ部23,24及びヒンジ部27については、それぞれ構成素材の合成樹脂発泡シートを、折り曲げ側になる表面側からV形溝状に加熱押圧して樹脂化し薄肉化することにより、所定のヒンジ強度を保持しながら前記V形溝の開き角度の範囲内で折曲可能に形成されている。例えば、前記ヒンジ部23,24については、前記V形溝の開き角度を90°にしておくことにより、各側板部25,26を過度に内方に倒れ込まないように起立させることができる。そのため、後述する実施例のように、前記係合手段がなくても、コンテナ本体10に装入することにより、各側板部25,26を起立状態に良好に保持できる。
【0037】
前記折り込み片28は、使用までの展開状態では側板部25と同一平面上にあるように前記ヒンジ部27を形成しておくこともできるが、図示する実施例の場合は、展開状態において前記ヒンジ部27で表面側に斜めに折曲した状態をなすように形成されており、該折り込み片28を備える一方の側板部25及び他方の側板部26を起立させる際に、該折り込み片28を側板部26の内側に折り込み易くなっている。例えば、前記側板部25を成形底部22に対し略垂直に起立させた状態で、組み立てられたコンテナ本体10に上方より落とし込むようにして組み込むことにより、他方の側板部26がコンテナ本体10の開口部に当接して起立するとともに、これと同時に前記折り込み片28が側板部26の内側に折り込まれることになる。
【0038】
前記折り込み片28は、通常、側板部26の内側への折り込みを容易にするために、隅角部側の端縁が斜めにカットされている。前記のコンテナ本体10への組み込み作業の際に前記斜めの端縁と外側端縁とが交わる角部28aが他方の側板部26に接して擦れることになるので、図のように側板部26に前記角部28aをガイドするガイド溝30を形成しておくのが望ましい。このほか、前記角部28aに丸みをつけて、側板部26との擦れを抑制するようにして実施することもできる。また、コーナー部からの水漏れを防止するために、後述する第4の実施例のように、斜めにカットしない場合もある。
【0039】
図中の31は、前記各側板部25,26の反りや曲がり変形を規制し補強するためのリブ状凸部であり、組み立て状態の内方側に凸をなしている。このリブ状凸部31の形状及び配置は、図示するものに限らず、種々の形態による実施が可能である。
【0040】
前記成形底部22は、図のように、収納凹部21を形成する四方の側面部32がテーパ状をなし、前記側板部25,26を展開した状態においてスタッキング可能に形成されており、使用までの取り扱いの際に複数枚の内容器20を重ねて嵩低くして取り扱えるようになっている。
【0041】
前記成形底部22の底面部33は、農産物等の収納物の受けとなる凸部33aと、収納物により生じる水を溜めることができる凹部33bとを有する凹凸形状をなしており、この凹凸形状により底面部33を補強できるとともに、収納物が凹部33bに溜まる水に接触した状態になるのを回避できるようになっている。図1〜図10の実施例の場合は、長辺に沿う方向の凹条と凸条とが短辺に沿う方向に交互に並列して凹凸形状をなしている。
【0042】
前記底面部33の形状としては、補強の役目を果たしかつ収納対象の農産物の受けとなる凸部と、水溜めの役目をする凹部による種々の凹凸形状による実施が可能である。例えば、図11の(a)または(b)に示すように、縦横の格子状にリブとなる凹部33bを残すように四角形の凸部33bを縦横に並列して形成したり、またハニカム状の凹部33aを残すように六角形の凸部33bを形成したり、あるいは前記凹部と凸部と同形状で凹凸を反対にして形成することができる。
【0043】
また、前記成形底部22の形態としては、図1〜図10及び図11のように全体を一つの収納凹部21として形成するほか、収納対象となる農産物の種類や形態に応じて、該農産物の収納に適した複数の収納凹部を形成しておくことができる。
【0044】
例えば、図12及び図13の実施例の場合は、成形底部22は、長芋や蓮根等の根菜類の個装状態の収納に適するように、横断面半円形で縦横1方向の辺、例えば長辺に沿う方向に長溝状をなす収納凹部34が所要の間隔をおいて複数並設されている。前記収納凹部34は、長手方向の所定間隔毎に内方側に膨出した同心半円状の凸条リブ35が設けられ、該凸条リブ35と、各凸状リブ間の凹条部36とにより収納凹部34の全体が長手方向に蛇腹状をなしている。
【0045】
前記凸条リブ35は、同心半円状をなすものであれば、収納凹部34の長手方向断面が台形や半円形あるいは円弧状をなすものであってもよいが、実施上は収納される根菜類Bとの接触面積をできるだけ小さくして、しかも根菜類を傷めないように、頂部に丸みを有する断面形状、例えば図のように、頂部に丸みのある断面三角状をなしているものが好ましい。この凸条リブ35の高さ及び配設ピッチ(間隔)は、収納する農産物の種類等に応じて適宜設定して実施できる。
【0046】
なお、農産物用コンテナAとしては、保冷を必要とすることから、通常、図7及び図9に示すように、組み立て状態のコンテナ本体10内で内容器20の上部開口を覆う合成樹脂発泡シート製の蓋板40と、コンテナ本体10の上部開口を覆う合成樹脂成形体よりなる蓋体50とを備える。前記蓋体50はコンテナ本体10の上部枠14に対し嵌着自在に設けられる。収納対象の農産物の種類等によっては、前記蓋板40および蓋体50の一方又は双方を使用しない場合もある。また、後述する実施例のように、前記蓋板40に代わる蓋板部を内容器20と一体成形しておくこともできる。
【0047】
さらに、上記した実施例のコンテナ本体10は、底板11及び各側板12,13の各構成部材がそれぞれ平板状に成形された板材よりなる例を示しているが、これらの底板11及び側板12,13の少なくとも一つの構成部材、好ましくは各構成部材を、コンテナとしての強度を低下させない範囲で、一部に肉盗みの切欠窓(図示せず)を形成したり、全体的に多数の透孔を有する多孔板あるいは網構造をなように成形された板材を用いて、上記同様に折り畳み可能に構成して実施することができる。その1例を図14に示す。
【0048】
図14において、上記した実施例のコンテナ本体10と実質的に同構成又は同機能を果たす構成部分や部材については同符号を付している。この図14の例では、底板11が縦横の桟11cによる格子状をなし、また、一方の相対向する側板12(上部側板12a、下部側板12b)と他方の相対向する側板13のそれぞれが、縦横の桟12c,13cによる格子状で、さらに各格子内に斜めの補強桟12d,13dが配されて全体として網構造をなすように形成された板材よりなる場合を示している。この場合も、一方の側板12の上部側板12aと下部側板12bとを連結部16で中折れ状態にして底板11上に折り畳み可能に連接され、さらに他方の側板13,13が内側上方へ回動可能に支持されて、上記した実施例と同様に、各側板12,13を底板11上に折り畳めるようになっている。蓋体を使用する場合は、蓋体についても同様の網構造とすることができる。
【0049】
この実施例のコンテナ本体10を使用した場合、コンテナ全体の軽量化を図ることができ、また資材節約に寄与できるばかりか、上記した合成樹脂発泡シート製の内容器20を装入セットして使用することにより、該内容器20により、農産物の保護に必要な断熱効果および水漏れ防止の効果を発揮でき、その保護を良好になし得る。
【0050】
上記の構成による本発明の農産物用コンテナAの使用状態について説明する。使用までの保管、輸送等の取り扱いにおいては、前記コンテナ本体10と内容器20とを分離した状態で、コンテナ本体10については、一方の相対向する側板12,12を中折れ状態で底板11上に折り重ね、さらにその上に他方の相対向する側板13,13を重ねた状態で嵩低く折り畳んでおくことができる。また、内容器20については、展開状態で複数枚を重ねた状態にして嵩低くして取り扱うことができる。蓋板40、蓋体50についても、同様に重ねて嵩低くして取り扱うことができる。そのため、使用までのコンテナの保管、輸送効率を高めることができる。
【0051】
そして、使用の際には、図6のように、前記コンテナ本体10を四方の各側板を底板11に対し垂直をなすように組み立てた状態にしておいて、このコンテナ本体10に対して、内容器20を上方より装入しセットする。
【0052】
例えば、図6のように、内容器20の一方(長辺側)の側板部25,25を成形底部22に対して垂直に起立させた状態に保持して、下部の成形底部22からコンテナ本体10内に落とし込むようにして装入する。このとき、他方(短辺側)の側板部26,26はコンテナ本体10の開口部により押されてヒンジ部24を中心に起立するとともに、同時に前記側板部25の側端部にヒンジ部27を介して連接され表面側に斜めになっている折り込み片28が、前記側板部26に押されるかたちで内側に折り込まれる。特に隅角部側の角部28aがガイドされるガイド溝30を有することにより、引っ掛かりなく折り込むことができる。また、前記の折り込みと同時に、該折り込み片28に有する係合孔29aに対し他方の側板部26に有する係合凸部29bが嵌入し係合することにより、各側板部25,26が係合連結状態に保持され、前記の各側板部25,26を起立状態に良好に保持され、コンテナ本体10の各側板12,13に沿って装入セットされる。このように内容器20を装入セット作業をワンタッチ操作で容易に行うことができる。
【0053】
そして、前記のセット状態において、内部に収納対象の農産物を収納し、必要に応じて、予冷を行った後で氷詰めして、上部開口に蓋板40及び蓋体50を被せて包装状態に保持し、出荷し輸送する。この際、合成樹脂発泡シート製の内容器20がの断熱性を有することで、収納される農産物を保冷状態に保持でき、農産物の保護を良好になし得る。特に、前記内容器20の成形底部22が容器状をなしているために、氷詰めした場合の氷が解けても水漏れすることがなく、収納状態での保管場所や輸送車両の床面やを濡らすことがない。また、前記内容器20の使用により、農産物の保護に必要な断熱性及び水漏れ防止の効果を発揮できるので、網構造をなす板材よりなるコンテナ本体を利用することも可能になる。
【0054】
また、輸送先(消費地)からのコンテナの繰り返し使用のための返送時には、内容器20をコンテナ本体10から抜き出すことにより、コンテナ本体10を容易に嵩低く折り畳むことができる。すなわち、図示するように、一方の側板12が中折れする形態のコンテナ本体10については、図10のように、他方の側板13を内側上方に回動させて、前記一方の両側板12を中央部で中折れさせて底板11上に折り畳み、さらに側板12の上に前記他方の側板13を重ねるとにより、従来の側板が中折れするコンテナと同様に、容易に嵩低く折り畳むことができる。こうして折り畳んだコンテナ本体10及び蓋体50を返送することにより、返送のための輸送コストを低減できる。
【0055】
なお、分離した内容器20については、これを展開状態にして複数枚を重ねて返送することもできるが、合成樹脂発泡シートから成形されてなるもので、比較的コスト安価なものであることから、これを使い捨てにすることも可能であり、また回収してリサイクル原料として使用することもできる。
【0056】
図15〜図21は、農産物用コンテナの内容器20の形態を変更した他の実施例を示している。この実施例において、基本的な構成は上記した第1の実施例と共通しており、共通する構成及び同機能を果たす構成部分や部材については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
【0057】
この実施例の内容器20についても、合成樹脂発泡シートにより展開状態で一体に成形されており、フランジ状の周縁部22aを残して下方に凹設された収納凹部22を有する平面矩形の成形底部21と、該成形底部21の四方各辺にそれぞれヒンジ部23及び24を介して起立自在に連接された四方の側板部25,25及び26,26とを有し、各側板部25,26が起立した状態において、前記コンテナ本体10内に各側板12,13の内側に沿って装入セットされるように形成されている。
【0058】
この実施例の場合、起立状態において隣接する側板部25,26同士を係合連結する係合手段は備えていないが、前記各側板部25,26のうちの縦横一方の相対向する側板部、例えば図のように短辺側の側板部26の両側端に、それぞれヒンジ部27を介して、起立状態において他方の相対向する側板部、例えば図のように長辺側の側板部25の内側に折り込まれる折り込み片28が連接されており、組立て状態において起立した側板部25,26間のコーナー部分を遮蔽できるようになっている。特に、前記折り込み片28の隅角部側の端縁は、側板部25,26を起立させた組み立て状態において成形底部22における周縁部22aと平行をなすように形成されており、該折り込み片28を伝い流れる水が隅部に集まらないように形成されている。
【0059】
すなわち、図1〜図10及び図11や図12の実施例のように、折り込み片28の隅角部側の端縁が傾斜していると、該折り込み片28を伝い流れる水が隅角部に集まり易くなるので、前記のように側板部25,26を起立させた組み立て状態において成形底部22における周縁部22aと平行をなすように形成しておくのが望ましい。
【0060】
前記折り込み片28は、図示する実施例のように、上記した第1の実施例と同様に、展開状態において前記ヒンジ部27で表面側に斜めに折曲した状態をなすように形成されており、該折り込み片28を備える一方の側板部26及び他方の側板部25を起立させる際に、該折り込み片28を側板部25の内側に折り込み易くなっている。
【0061】
さらに、前記内容器20の縦横一方の相対向する側板部、例えば、図のように長辺側の側板部25,25に、それぞれヒンジ部37,37を介して、起立状態の各側板部25,26により囲まれた収納部の上面全体を主として半部ずつ覆うことができるフラップ状の蓋板部38,38が連設されている。前記両蓋板部38,38の覆う比率を異にすることもできるが、実施上は図のように、上面全体を半部ずつ覆うのが好ましい。いすれにしても、前記蓋板部38の端縁部38aは、図21のように相欠き形状をなすように形成して、該端縁部38a,38a同士の嵌合により隙間を生じさせずに閉蓋できるように形成しておくのが好ましい。もちろん、一部を重ね合わせるようにしてもよいし、単に突き合わせるようにしてもよい。また、図糸はしていないが、一つの側板部に、収納部の上面全体を覆う一つの蓋板部を連設して実施することも可能である。実施上は、前記のように半部ずつを覆うように形成しておくのが、内部確認等の際、片方の蓋板部38だけを開くことができ、保冷効果の保持の点から好ましい。
【0062】
前記蓋板部38の両側端には、ヒンジ部41を介して、縦横の他方又は一方の相対向する側板部、例えば短辺側の側板部26とコンテナ本体10の側板13との間に挿し込むことができる挿し込み片39が連設されており、使用状態での蓋板部38の浮き上がりを防止できるようになっている。一つの側板部に一つの蓋板部を連設する場合は、該蓋板部の連設側とは反対側の端縁に、対向する側板部と側板都の間に挿し込む挿し込み片を連設しておけばよい。
【0063】
前記の蓋板部38には、反りや曲がり変形を規制し補強するためのリブ状凸部42が設けられている。このリブ状凸部42は側板部25,26のリブ状凸部とは逆に、容器外側(閉蓋状態の上方側)に凸をしなしており、閉蓋時に該凸部の部分に水が溜まらないようになっている。
【0064】
さらに、この実施例の場合、前記内容器20の成形底部22の周縁部22aにおける四隅部に、内方に向かって傾斜して収納凹部22に至る傾斜凹部45が設けられている。これにより、起立した側板部25,26の端縁同士が突き合わせ状態になるコーナー部の隅部において、側板部25,26の側端及び折り込み片28の端縁やヒンジ部27を伝い流れる水が成形底部22の前記周縁部22aの傾斜凹部45に入り、収納凹部21に流れ込むようになっている。
【0065】
なお、この実施例における成形底部22の収納凹部21の形態については、上記した第1の実施例の場合と同様に実施でき、また図11及びや図12の形態とすることも可能である。
【0066】
前記の内容器20と組み合わせて使用されるコンテナ本体10については、上記した第1の実施例(図1〜図10)と同様の折り畳み自在なコンテナ本体10を使用することも、また図14の網構造のコンテナ本体10を使用することもできる。図20、図21は、網構造のコンテナ本体10を使用する場合を例示している。
【0067】
この実施例のコンテナAの使用状態について説明する。使用までの保管、輸送等の取り扱いにおいては、上記した第1の実施例と同様に、コンテナ本体10は嵩低く折り畳んでおくことができ、また、内容器20については、展開状態で複数枚を重ねて嵩低くして取り扱うことができる。そして、使用の際には、図20のように、前記コンテナ本体10を四方の各側板を底板11に対し垂直をなすように組み立てた状態にしておいて、このコンテナ本体10に対して、内容器20を上方より装入しセットする。
【0068】
すなわち、図20及び図21のように、内容器20の一方(例えば短辺側)の側板部26,26を成形底部22に対して垂直に起立させた状態にしておいて、下部の成形底部22からコンテナ本体10内に落とし込むようにして装入する。このとき、他方(長辺側)の側板部25,25はコンテナ本体10の開口部により押されてヒンジ部23を中心に起立するとともに、同時に前記側板部26の側端にヒンジ部27を介して連接されている折り込み片28が、前記側板部25に押されるかたちで内側に折り込まれる。これにより、前記の各側板部25,26を起立状態に保持されて、コンテナ本体10の各側板12,13に沿って装入セットされる。
【0069】
そして、前記のセット状態において、内部に収納対象の農産物を収納し、必要に応じて、予冷を行った後で氷詰めして、蓋板部38をヒンジ部37から内側に折り曲げ、挿し込み片39を側板部26とコンテナ本体10の側板との間に挿し込んで上面部を閉蓋状態に保持する。さらに必要に応じて、コンテナ本体10に蓋体を被せて包装状態に保持し、出荷し輸送する。
【0070】
この際、合成樹脂発泡シート製の内容器20が断熱性を有することで、収納される農産物を保冷状態に保持でき、農産物の保護を良好になし得る。特に、この実施例の形態の場合、内容器20が蓋板部38により閉蓋されているため、輸送の途中でコンテナ本体の蓋をあけても、断熱性が損なわれることがなく、また水やホコリの侵入を防止できる。
【0071】
しかも、内容器20の成形底部22が容器状をなしているために、氷詰めした場合の氷が解けても水漏れすることがない。そればかりか、起立した側板部25,26同士がつき合わされることになるコーナー部の隅部に傾斜凹部45が形成されているため、コーナー部において側板部25の側端および折り込み片28を伝う水が成形底部22の周縁部22aの隅部に溜まることなく前記傾斜凹部45に入ってそのまま収納凹部21に流れ込むことになり、コーナー部の隅部から内容器外部への水漏れも防止できることになり、ひいては保管場所や輸送車両の床面等を濡らすことがない。
【0072】
なお、夏場等での使用において、合成樹脂発泡シート製の内容器20の外面に結露が生じる虞がある場合には、農産物用コンテナAのコンテナ本体10内に、特には底面及び側面に、吸水性樹脂を含んだシートあるいは不織布等の結露水を吸収することができるシート材その他の吸水材を装入してもよい。
【0073】
上記した各実施例の内容器20は、それぞれ折り畳み式ではないコンテナ本体と組み合わせて使用することも可能であり、その場合においても、内容器使用による各実施例で記載の効果を同様に奏することになる。
【0074】
上記した各実施例の内容器20の構成素材である合成樹脂発泡シートとしては、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン及び架橋ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂その他の適度の弾力性があって、かつ使用上において必要な保形強度を有する各種の熱可塑性の合成樹脂発泡シートを用いることができる。保形性やコスト面から、ポリスチレン系樹脂発泡シートが好適に用いられる。
【0075】
前記の発泡シートの厚みは、使用素材によっても異なるが、通常、厚み1mm以上のもので、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは1〜6mmの範囲のもので、成形可能であって、かつ、コンテナ本体10に装入セットする際に、側板部25,26が曲がらない程度の保形強度を有する厚みのものが用いられる。例えば、ポリスチレン系樹脂発泡シートの場合、1〜5mm程度が好ましく、発泡倍率または密度は、5〜15倍程度の発泡シートが好適に使用される。
【0076】
前記内容器20は、前記合成樹脂発泡シートを素材として金型を用いる真空成形等の手段により上記した形態の展開状態に成形される。
【符号の説明】
【0077】
A…農産物用コンテナ、10…コンテナ本体、11…底板、12…一方の側板、12a…上部側板、12b…下部側板、13…側板、11c,12c,13c…縦横の桟、12d,13d…補強桟、14…上部枠、15…ヒンジ部、16…連結部、17…ヒンジ部、19…係止部、20…内容器、21…収納凹部、22…成形底部、22a…周縁部、23,24…ヒンジ部、25,26…側板部、27…ヒンジ部、28…折り込み片、28a…角部、29a…係合孔、29b…係合凸部、30…ガイド溝、31…リブ状凸部、32…側面部、33…底面部、33a…凸部、33b…凹部、33a…凸部、33b…凹部、34…収納凹部、35…凸条リブ、36…凹条部、37…ヒンジ部、38…蓋板部、39…挿し込み片、41…ヒンジ部,42…リブ状凸部、45…傾斜凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面長方形又は正方形の農産物用コンテナであって、四方の各側板が底板上に折り畳み可能に設けられているコンテナ本体と、組み立てられたコンテナ本体内に装入セットされる内容器とからなり、
前記内容器は、合成樹脂発泡シートにより一体に成形され、下方に凹設された収納凹部を有する容器状をなしコンテナ本体の底板上に載置される成形底部と、該成形底部の四方各辺にそれぞれヒンジ部を介して起立自在に連接された側板部とを有してなり、前記側板部が起立した状態でコンテナ本体内に装入セットされることを特徴とする農産物用コンテナ。
【請求項2】
内容器の縦横一方の相対向する側板部の両側端に、ヒンジ部を介して、起立状態において他方の相対向する側板部の内側に折り込まれる折り込み片が連設されてなる請求項1に記載の農産物用コンテナ。
【請求項3】
内容器の縦横一方の相対向する側板部の側端部分と、他方の相対向する側板部の側端部分とに、起立状態において互いに係合して起立状態を保持するための係合手段が設けられてなる請求項1又は2に記載の農産物用コンテナ。
【請求項4】
縦横一方の相対向する側板部に連設された折り込み片と、他方の相対向する側板部の側端部分とに、起立状態において互いに係合する係合孔と係合凸部とが設けられてなる請求項2に記載の農産物用コンテナ。
【請求項5】
内容器の少なくとも一つの側板部に、ヒンジ部を介して、起立状態の各側板部により囲まれた収納部の上面を覆う蓋板部が連設されてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の農産物用コンテナ。
【請求項6】
内容器の縦横一方の相対向する両側板部に、ヒンジ部を介して、起立状態の各側板部により囲まれた収納部の上面を覆う蓋板部が連設されてなる請求項5に記載の農産物用コンテナ。
【請求項7】
前記蓋板部の両側端に、ヒンジ部を介して、縦横他方の相対向する側板部とコンテナ本体の側板との間に挿し込むことができる挿し込み片が連設されてなる請求項6に記載の農産物用コンテナ。
【請求項8】
前記内容器の成形底部の周縁部における四隅部に、内方に向かって傾斜して収納凹部に至る傾斜凹部が設けられてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の農産物用コンテナ。
【請求項9】
前記内容器の成形底部における収納凹部の側面部がテーパ状をなし、前記四方の側板部が展開した状態においてスタッキング可能に形成されてなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の農産物用コンテナ。
【請求項10】
前記内容器の成形底部の底面部には、収納物を受ける凸部を有し、収納物により生じる水分を前記凸部以外の凹部で貯留できるように形成されてなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の農産物用コンテナ。
【請求項11】
前記内容器の成形底部は、横断面半円形で長溝状をなし、かつ長手方向の所定間隔毎に凹部内方に膨出する同心半円状の凸条リブが形成されることにより長手方向に蛇腹状をなす収納凹部が複数並列して設けられてなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の農産物用コンテナ。
【請求項12】
前記コンテナ本体は、平面長方形又は正方形の底板と四方の側板とを有し、縦横一方の相対向する側板は、前記底板の対向辺部にヒンジ構造部を介して内側に折曲可能に連接されるとともに、高さ方向の中央部で中折れ可能に形成され、これと直交する他方の相対向する側板は、上端部を支軸にして内側上方に回動可能に支持されてなり、該他方の両側板が内側上方に回動した状態において、前記一方の側板が中央部で中折れして前記底板上に折り畳まれるとともに、該側板の上に前記他方の側板が重ねられることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の農産物用コンテナ。
【請求項13】
農産物用コンテナの内容器であって、合成樹脂発泡シートにより一体に成形され、下方に凹設された収納凹部を有する容器状をなす平面長方形又は正方形の成形底部と、該成形底部の四方各辺にそれぞれヒンジ部を介して起立自在に連接された側板部とを有してなることを特徴とする内容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2011−93611(P2011−93611A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289376(P2009−289376)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(501292315)エスケーテクノス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】