近接を検出する電極システム及び電極システムを有するハンドヘルド装置
改良された近接検出を有する電子ハンドヘルド装置であって、表面上に配置することができ、少なくとも1つの送信電極と、少なくとも1つの受信電極と、送信電極と受信電極との間に配置される少なくとも1つの補償電極とを有する電子ハンドヘルド装置が提供される。送信電極及び補償電極には、所定の信号周波数及び所定の信号振幅の電気切り替え信号を供給することができる。補償電極における切り替え電気信号は、送信電極における切り替え電気信号に対して位相遅延される。送信電極及び補償電極で放射される交流電場は受信電極に電流を発生させ、これは、ハンドヘルド装置へ手の接近を表す。送信電極及び受信電極は、送信電極と受信電極との間のインピーダンスが所定の値を超えるように配置され、所定の値は、受信電極で発生する電流を所定の値未満に保持するのに適する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接を検出する電極システム及び電極システムを有する電気ハンドヘルド装置に関し、この電気ハンドヘルド装置は、表面支持体上に配置することができ、スリープモードで使用しているとき、このハンドヘルド装置が接触されるエリアを検出することができるアクティブモードに切り替えることができる。
【0002】
本発明は、特にコンピュータマウスの形態である、コンピュータ情報システム用の電極システムを有する入力装置にも言及し、この入力装置はしたがって、特にCADアプリケーション、テキスト及び画像処理アプリケーション、プログラミング作業、計算アプリケーション、インターネットナビゲーション、並びにゲームの場合、コンピュータ使用時に入力プロセスの処理を可能にする。
【0003】
さらに、本発明は、ゲームコンソール用の入力装置と携帯電話とに言及し、このゲームコンソール及び携帯電話用の入力装置は電極システムを備える。
【背景技術】
【0004】
電気装置、特に電気ハンドヘルド装置の現行の技術水準では、エネルギー効率を向上させるという常なる望みがある。特に、電源に交換式電池又は蓄電池を使用する遠隔制御装置、ゲームコンソール用の入力装置、又は携帯電話等の可搬ハンドヘルド装置の場合、電池又は蓄電池を頻繁に交換しなければならないため、このような望みは増大する。エネルギー効率が向上すると、一方では、消費電力が低減して電池又は蓄電池の寿命が延び、他方では、廃棄する必要のある電池又は蓄電池の数が少なくなるため、有利な生態学的効果をもたらす。
【0005】
現行の技術水準では、非使用時にハンドヘルド装置をいわゆるスリープモードに切り替えるべきであることが既知である。スリープモードでは、装置使用時のみ必要なハンドヘルド装置のすべての機能は非アクティブ化される。このようにして、装置の電力入力を大幅に低減することができる。使用時、ハンドヘルド装置は、装置の全機能が利用可能になるいわゆるアクティブモードに切り替えられる。
【0006】
一方ではハンドヘルド装置をスリープモードに切り替え、他方ではスリープモードからアクティブモードに切り替えるため、各モードを手動でアクティブ化することができるスイッチを設けることが既知である。これには、アクティブモードの手動アクティブ化又は非アクティブ化が比較的複雑であるか又は忘れやすいように思われるため、ハンドヘルド装置は、例えばコンピュータマウスの場合のように非使用時であってもアクティブモードのままであることが多いという欠点がある。したがって、所望のエネルギー効率向上は大幅には達成されない。
【0007】
通常、コンピュータマウスは、表面上又は表面に対するコンピュータマウスの対応する動きによってX/Y制御データを生成することができる。こういったコンピュータマウスには、選択動作を実行することができるキー装置がさらに備えられている。さらに、コンピュータマウスには、多くの場合、入力信号を生成することもできるスクロールホイールも備えられている。コンピュータマウスのキー及び/又はスクロールホイールも往々にして、コンピュータマウスをスリープモード又はアクティブモードにするように開発されている。しかし、これはユーザの手動動作を必要とする。
【0008】
コンピュータマウスはますますコードレス装置として開発されるようになっている。コンピュータマウスの給電は、通常、電池又は蓄電池によって行われる。このようなマウスの場合、従来の有線マウスと異なり、電池を頻繁に交換する必要があるか、又は蓄電池を頻繁に充電する必要があるという問題がある。
【0009】
ハンドヘルド装置のアクティブモードの手動でのアクティブ化又は非アクティブ化を回避するために、特許文献1は、静電容量センサを含む、ウェイクアップ検出器を有するハンドヘルド装置の提供を示唆している。ハンドヘルド装置が手に近づくか又は接触すると、ハンドヘルド装置は自動的にアクティブモードに切り替わる。手が離れると、ハンドヘルド装置は自動的にスリープモードに切り替わる。手の接近を検出するために、接近に伴って変化する静電容量センサの静電容量が測定され、所定の静電容量がウェイクアップ検出器の切り替え閾値を構成する。
【0010】
実験により、ウェイクアップ検出器への手の接近が確実には検出されないか、又は最悪の場合に誤検出されかねないという欠点がこのようなウェイクアップ検出器にあることが示された。これは特に、ハンドヘルド装置が金属板付きテーブル等の導電体材料上に配置される場合に当てはまる。その場合、ウェイクアップ検出器は、導電表面と手とを確実には区別することができない。そのため、ウェイクアップ検出器が手を誤検出しまい、結果としてウェイクアップ検出器がハンドヘルド装置をアクティブモードに切り替えてしまう危険性がある。これからここでも、所望のエネルギー効率向上のわずか一部分のみが達成されることが分かる。
【0011】
現行の技術水準から既知の解決策の別の欠点は、ハンドヘルド装置の様々なエリアへの接近又は様々な方向からの接近を検出することができないことである。それと等しく、既知の解決策では、ハンドヘルド装置のどのエリアが接触されるかを判断することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】英国特許出願公開第2398138号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、ハンドヘルド装置への手の接近を確実に検出することができると共に、接近及び/若しくは接触が生じるハンドヘルド装置のエリア又は接近方向を特定することができる、電気ハンドヘルド装置に対する解決策を生み出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、この課題は、独立請求項に記載のハンドヘルド装置及び電極システムによって実行される。
【0015】
本発明は、電気ハンドヘルド装置であって、表面上に配置することができ、少なくとも1つの送信電極、少なくとも1つの受信電極、及び送信電極と受信電極との間に配置される少なくとも1つの補償電極を設け、これらの電極によってハンドヘルド装置への手の接近が検出可能であり、
送信電極から第1の交流電場が放射されることができ、補償電極から第2の交流電場が放射されることができ、第1の交流電場は第2の交流電場に対して位相が遅れ、交流電場は表面及び受信電極に結合することができ、
受信電極に結合された交流電場は、受信電極に電流を発生させ、これは、ハンドヘルド装置への手の接近を表し、
ハンドヘルド装置上の送信電極及び受信電極は、送信電極と受信電極との間のインピーダンスであって、
送信電極と表面との間のインピーダンス、
表面のインピーダンス、及び
表面と受信電極との間のインピーダンス、
から成る、インピーダンスの和が、ハンドヘルド装置が表面に配置されるとき、所定の値Z0を超えるように配置され、これは、受信電極で発生する電流を所定の値I0未満に保持するのに適する、電気ハンドヘルド装置を提供する。
【0016】
送信電極と受信電極との間に少なくとも1つの補償電極が配置されることによって、ハンドヘルド装置が導電表面上に配置される場合であっても、より容易且つより確実にハンドヘルド装置への手の接近を検出することが可能である。送信電極と受信電極との間のインピーダンスが所定の値Z0を超える、送信電極及び受信電極の対応する配置によって、受信電極の交流電場を通じて生成される電流は、ハンドヘルド装置をスリープモードから動作、すなわちアクティブモードに切り替えるには足りないものとなる。補償電極において放射される交流電場の助けによって、ハンドヘルド装置をアクティブモードにするのに足るほどに十分高い電流が送信電極から受信電極へ(おおよそハンドヘルド装置の壁を越えて)流れることがさらに回避される。
【0017】
接近は、手とハンドヘルド装置との距離の低減及び/又はハンドヘルド装置上の電極に対する手の位置の変化を含むことができる。
【0018】
送信電極及び補償電極には、所定の周波数及び所定の振幅の交流電気量を供給することができるが、送信電極での交流電気量は、補償電極での交流電気量に対して位相が遅れている。送信電極での交流電気量の振幅は、補償電極の交流電気量の振幅と異なり得る。
【0019】
ハンドヘルド装置への手の接近度が増すと、送信電極から手を通じて受信電極に転送される交流電場は、補償電極の交流電場を通じての減衰及び減衰補償を受ける。
【0020】
表面は接触表面も含む。接触表面は、例えば、その上にハンドヘルド装置が傾斜可能なレバーの形態で配置される壁であることができる。
【0021】
さらに、ハンドヘルド装置が提供され、このハンドヘルド装置は、表面上に配置することができ、いくつかの電極構造又は電極システムを示し、当該電極構造又は電極システムではそれぞれ、少なくとも1つの送信電極、少なくとも1つの受信電極、及び送信電極と受信電極との間の少なくとも1つの補償電極が配置され、いくつかの電極構造の任意のものを使用してハンドヘルド装置への手の接近を検出することができ、いくつかの電極構造の任意のものは、
送信電極から第1の交流電場が、補償電極から第2の交流電場が放射され、第1の交流電場は第2の交流電場に対して位相が遅れ、交流電場は表面及び受信電極に結合することができ、
受信電極に結合された交流電場は、受信電極に電流を発生させ、これは、ハンドヘルド装置上の電極構造への手の接近を表し、
ハンドヘルド装置上で送信電極及び受信電極は、送信電極と受信電極との間のインピーダンスであって、
送信電極と表面との間のインピーダンス、
表面のインピーダンス、及び
表面と受信電極との間のインピーダンス、
から成る、インピーダンスの和が、ハンドヘルド装置が表面に配置されるとき、所定の値を超えるように配置され、これは、受信電極で発生する電流を所定の値未満に保持するのに適するように作成される。
【0022】
このようないくつかの電極構造の提供によって、ハンドヘルド装置のいくつかのエリアへの手の接近を有利に検出し、又は接近方向を確実に特定することが可能である。
【0023】
いくつかの電極構造は電子評価装置に結合することができ、電子評価装置は、いくつかの電極構造のそれぞれへの手の接近を連続して評価するように作成される。
【0024】
いくつかの電極構造はそれぞれの電子評価装置に結合され、各電子評価装置は、それぞれの接続される電極構造への手の接近を評価するように作成される。
【0025】
いくつかの電極構造のそれぞれの送信電極、補償電極、及び受信電極は、ハンドヘルド装置が表面に配置されるとき、表面に接触しないようにハンドヘルド装置に配置される。
【0026】
この有利な配置では、ハンドヘルド装置が導電表面上に配置される際、検出感度を低減させ得る送信電極と受信電極との間のガルバニック接触の発生が回避される。
【0027】
電極構造のそれぞれの送信電極、補償電極、及び受信電極は、ハンドヘルド装置の表面に配置することができる。
【0028】
各電極構造の送信電極、補償電極及び受信電極は、ハンドヘルド装置の、表面に面する側に配置することも可能である。
【0029】
ハンドヘルド装置の表面はハンドヘルド装置の外面も含む。このようにして、例えば、任意の単一の電極又はすべての電極を外側に配置し、電極がユーザから見えてもよい。しかし、単一又はすべての電極は、ユーザから見えず、さらによりよく保護されるように、ハンドヘルド装置の表面真下に配置してもよい。
【0030】
有利には、いくつかの電極構造の任意のものにおいて、補償電極で放射される交流電場は、送信電極で放射される交流電場に少なくとも部分的に干渉し、これは、重ね合わせを通じて生じる交流電流のレベルの低減を確定し、これによって、受信電極に発生する電流を低減させる。
【0031】
補償電極の別の利点は、送信電極で発せられる交流電場の他に、補償電極で発せられる交流電場も表面で結合し、それによって表面材料に関わりなく、補償電極で発せられる交流電場が送信電極によって発せられる交流電場に干渉することである。このようにして、表面材料に関わりなく手の接近を確実に検出することができる。
【0032】
いくつかの電極構造の任意のものにおいて、ハンドヘルド装置への手の第1の接近が、所定の値Z0とさらなる所定の値Z1との間に含まれる、送信電極と受信電極との間のインピーダンスの和を変化させることができ、Z0>Z1であり、これは、受信電極で発生する電流を所定の値I0を超えさせるのに適する。
【0033】
第1の接近は、例えば、電極からの手の距離及び/又は電極に対する手の位置を含むことができる。
【0034】
いくつかの電極構造のそれぞれにおいて、ハンドヘルド装置への手の第2の接近が、さらなる所定の値Z1未満である、送信電極と受信電極との間のインピーダンスの和を変化させることができ、これは、受信電極で発生する電流を第2の所定の値I1を超えさせるのに適し、I1>I0である。
【0035】
第2の接近は、電極からの手の距離及び/又は電極に対する手の位置をさらに含むことができ、第1の接近と異なる。したがって、所定の値I1を超える受信電極でのアンペアの増大を発生させるために、第2の接近での電極からの手の距離は、例えば、第1の接近での距離よりも小さくすることができる。
【0036】
これと同等に、所定の値I1を超える受信電極でのアンペアの増大は、第2の接近での手の距離が第1の接近よりも小さい場合であっても、電極に対する手の位置を通じて達成することができる。
【0037】
この電極の配置には、手がハンドヘルド装置に接近する際、又はハンドヘルド装置を握る際、送信電極と受信電極との間のインピーダンスが、受信電極に結合する交流電場が、受信電極で発生する電流を第1の値I0(接近中の場合)又は第2の値I1(握っている又はさらに接近中の場合)よりも大きくなるために十分なように低減するという利点がある。
【0038】
このようにして、電流I0及びI1が閾値として機能する、受信電極に結合された制御手段を使用して、ハンドヘルド装置のスリープモード、切り替えモード、及びアクティブモードを有利に発生させることができる。切り替えモードの提供によって(スリープモードとアクティブモードとの中間ステージとして)、手の対応する接近中に、例えば、初期化プロセスを開始することによってハンドヘルド装置をアクティブモードに向けてすでに準備させることができるというさらなる利点がある。このため、ハンドヘルド装置のユーザが始動の遅れを感じることを回避することができる。
【0039】
いくつかの電極構造のうちの少なくとも1つの送信電極、受信電極、及び補償電極を、ハンドヘルド装置への手の接近によって、干渉から生じる交流電場のレベルを上昇させ、送信電極と受信電極との間のインピーダンスを低減させるように作成することが特に有利である。
【0040】
第1の接近において結果として生じる交流場のレベルP1と第2の接近において結果として生じる交流場のレベルP2との比が、第2の接近での送信電極と受信電極との間のインピーダンスZ2と第1の接近での送信電極と受信電極との間のインピーダンスZ1との比よりも小さい場合が特に有利である。第1及び第2の接近でのこれらレベル及びインピーダンスは互いに以下のように挙動する。
【0041】
【数1】
【0042】
このようにして、手が接近するにつれてハンドヘルド装置上の電極構造の感度が増大するため、ハンドヘルド装置への手の接近度が増すにつれて、切り替えモード又はアクティブモードの始動が行われることを有利に保証することが可能である。
【0043】
いくつかの電極構造のうちの少なくとも1つの送信電極、受信電極、及び補償電極は、手の接近の左/右を区別するために非対称に配置することができる。区別に応じて、装置の所定の機能を実行することもできる。
【0044】
ハンドヘルド装置への左/右の接近を区別することによって、それに従ってハンドヘルド装置に提供されるディスプレイ上のメニュー方向をディスプレイの左側又は右側に提供するように、右手と左手との区別を有利に実行することもできる。
【0045】
いくつかの電極構造の少なくとも1つの補償電極から放射される交流電場は、ハンドヘルド装置の周囲の電場に従って所定の値I0を適合させるために提供することができる。
【0046】
したがって、ハンドヘルド装置をスリープモードから切り替えモード又はアクティブモードに移行させるのに十分な電流の閾値は、ハンドヘルド装置自体を通じて様々な表面材料に適合させることができる。
【0047】
ハンドヘルド装置上のいくつかの電極構造の配置によって、ユーザがハンドヘルド装置、好ましくはハンドヘルド装置の特定のエリアを片手又は両手で保持している場合、特に簡単に検出することが可能である。
【0048】
課題を達成するために、ハンドヘルド装置であって、
ケース装置と、
それ自体でケース装置のX軸方向及びY軸方向へのシフトに相関する制御データを生成するシフト検出装置と、
それ自体でケース装置に対する手の接近状態を記述する信号を生成する手検出装置と、
を有し、
手検出装置は、3つの電場電極を有する電極群と、
これら電場電極に結合される回路装置と、
を備え、
回路装置は、
電場電極のそれぞれに、動作周波数で交流する生成器電圧が供給され、
信号制御ユニットに伝達される電極信号を生成するタップ回路が設けられるように構成される、ハンドヘルド装置も提供される。
【0049】
ハンドヘルド装置は、例えば、コンピュータマウス、ゲームコンソール用の入力装置、携帯電話、又はポータブルミニコンピュータとすることができる。
【0050】
このようにして、有利なことに、極めて小さな電力需要で、接近発生の検出を実行し、手の接近が検出されるときのみ、ハンドヘルド装置の残りの電子回路、例えばマウスの電子回路をアクティブ化させることが可能である。
【0051】
好ましくは、タップ回路が、信号入力でのインピーダンスが動作周波数範囲内の最小量を示すように作成される。これに関して、好ましくは、信号増幅は、峻度が可能な限り最小の場合、動作的に安定した最大となるように処理される。
【0052】
有利なように、後続するさらなる信号増幅が行われ、タップ回路の出力インピーダンスは、好ましくは、電場電極のAC入力信号から直接導出されるDC出力信号がタップ回路の出力において発生するように調整される。このDC出力信号は、それに含まれるモジュールとして実行される信号制御ユニットに伝導される。
【0053】
好ましくは、生成装置は信号制御ユニット内に直接含まれる。信号制御装置を通じてタップ回路の第1の補強段に電圧が供給されるように、タップ回路を信号制御ユニットに接続することが可能である。
【0054】
信号制御装置は、好ましくは、当該信号制御装置を通じてスリープモード及びアクティブモードを決定することができるようにレイアウトされる。スリープモード中、接近状態の検出は休止期間で隔てられた間隔で行われる。
【0055】
本発明は、少なくとも1つの送信電極、1つの受信電極、及び1つの補償電極を有するハンドヘルド装置に配置される電極システムであって、補償電極は、送信電極と受信電極との間に配置することができ、電極システムは、
送信電極から第1の交流電場が、補償電極から第2の交流電場が放射され、第1の交流電場は第2の交流電場に対して位相が遅れ、交流電場は受信電極に結合することができ、
受信電極に結合された交流電場は、受信電極に電流を発生させ、これは、電極システムへの手の接近を表す、
ように開発される、電極システムをさらに提供する。
【0056】
送信電極及び受信電極が、ハンドヘルド装置が表面上に配置される場合に、送信電極と受信電極との間のインピーダンスが所定の値Z0を超えるようにハンドヘルド装置に配置される場合、有利であり、これは、受信電極で発生する電流を所定の値未満に保持するのに適する。
【0057】
したがって、ハンドヘルド装置上の電極システムへの手の接近を、ハンドヘルド装置が配置される表面の材料に関わりなく確実に検出することができる。
【0058】
送信電極と受信電極との間のインピーダンスは、ハンドヘルド装置が支持表面に配置される場合、
送信電極と表面との間のインピーダンス、
表面のインピーダンス、及び
表面と受信電極との間のインピーダンス、
から成る、送信電極と受信電極との間のインピーダンスの和である。
【0059】
電子システムは電子評価装置に結合することができ、電子評価装置は、好ましくは、電極システムへの手の接近を評価し、当該接近を表す信号を提供するように適合される。信号は例えば、さらなる処理のために、マイクロコントローラ、例えばゲームコンソールの制御ユニットに伝達することができる。
【0060】
本発明は、本発明による電極システムを少なくとも1つ有する、ハンドヘルド装置、特にコンピュータマウス、遠隔制御装置、携帯電話、又はゲームコンソール用の入力装置を提供する。
【0061】
いくつかの電極システムを有するハンドヘルド装置の場合、いかなる電極システムへの接近も検出することができる。このようにして、例えば、所定のエリアを両手で接触するときにのみアクティブ化することができるハンドヘルド装置を提供することができる。
【0062】
本発明のさらなる詳細及び特徴は、図面に関連する以下の説明から導出される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明による電極配置を有するハンドヘルド装置の図(底面図並びに対応する断面図及び縦断面図)である。
【図2】スリープモード(手なし)、切り替えモード(手接近中)、及びアクティブモード(手がハンドヘルド装置を握っている)のハンドヘルド装置の側面図である。
【図3】フィールドブリッジを示す原理図である。
【図4】受信電極(下)の2つの対応する電流コースを有する右/左を区別するための非対称電極構造(上)の図である。
【図5】ハンドヘルド装置上の代替の電極配置の図である。
【図6】電極構造がそれぞれ設けられた2つのゾーンを有する入力装置の図である。
【図7】いくつかの電極構造が設けられたハンドヘルド装置への接近又は接触の検知の例の図である。
【図8】本発明による、コードレス式コンピュータマウスのパワーアップ及びパワーダウンの電場接近を検出するための回路構成の図である。
【図9】第1の電極配置を示す原理図である。
【図10】図2による電極配置内のフィールドブリッジを示す原理図である。
【図11】本発明による、信号処理に使用されるタップ回路の好ましい構造を示す回路図である。
【図12】動作回路及び外部ハードウェアへのインタフェースとして働くMCUの好ましい構造を示す原理図である。
【図13a】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13b】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13c】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13d】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13e】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13f】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13g】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13h】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13i】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13j】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図14】さらなる信号処理モジュールの構造を示す別の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
例えばハンドヘルド装置への手の、本発明による接近検出の基本機能をまず説明する。
【0065】
本発明によれば、3つの電極が接近検出のために設けられる。これらの3つの電極は、送信電極TE、受信電極RE、及び補償電極CEとして示される。受信電極REは、評価装置又は制御装置の信号入力に接続される。送信電極TE及び補償電極CEはそれぞれ、既定の周波数及び増幅を有する交流電気量を提供する信号生成器に結合される。この交流電気量は、以下において交流信号又は交流電気信号として示される。
【0066】
送信電極TE、受信電極RE、及び補償電極CEは、本発明の一実施形態によれば、電極構造又は電極システムを構築する。いくつかのこのような電極構造又は電極システムをハンドヘルド装置に提供することができ、手の接近を検出する電極システムのそれぞれをハンドヘルド装置に提供することができる。図6及び図7を参照してこのようなハンドヘルド装置をより綿密に説明する。
【0067】
電極TE、RE、及びCEは、例えば、ハンドヘルド装置、例えば遠隔制御装置の底部に配置される。例えば図1又は図5に示すように、補償電極CEは、好ましくは、送信電極TEと受信電極REとの間に配置される。
【0068】
送信電極TEには、信号生成器によって、ユーザに不快な感じを与えないように50KHz〜300KHzに含まれる周波数及び20Vの値を超えるべきではない振幅を有し得る交流電気信号が供給される。
【0069】
補償電極CEにも、好ましくは、送信電極TEに供給される交流電気信号の波形及び周波数を有する交流電気信号が供給される。補償電極CEの電気交流信号は、送信電極TEの交流電気信号に対して位相が遅れている。位相シフトは、例えば、信号生成器と送信電極又は補償電極との間に配置される位相シフタを使用して達成することができる。
【0070】
送信電極TE又は送信電極TEに供給される交流電気信号は、送信電極TEが発する交流電場が受信電極RE内で結合することができるようにレイアウトされる。補償電極CE又は補償電極CEに供給される交流電気信号は、補償電極CEが発する交流電場も受信電極REに結合することができるようにレイアウトされる。送信電極によって発せられる交流電場に対して位相が遅れた、補償電極CEで発せられる交流電場を通じて、受信電極REに対して作用する交流電場のレベルが低減するか、又は逆位相干渉の場合には(略)なくなる。
【0071】
互いに独立して接近を検出すべきいくつかの電極システムがハンドヘルド装置に提供される場合、電極システムが干渉してしまい確実な検出をもはや保証することができないといったことがないように注意を払うべきである。このような構成は、ケースに従って実験的に判断することができる。本明細書では綿密に説明しない一実施形態では、電極システム間に、少なくとも1つの追加補償電極を設けることができる。この追加補償電極を使用して、例えば、電極システムの送信電極が放射する交流電場をなくすことができ、それによって、送信電極はもはやその他の電極システムの受信電極に影響を及ぼさなくなる。
【0072】
手が電極に接近中の状態では、受信電極REに作用している交流電場は、受信電極REに電流を発生するように変更され、この電流は電極への手の接近を表す。手が電極に接近中の場合、送信電極TEと受信電極REとの間の手を通じての結合が増大する。この結合の増大は、受信電極内の電流を増大させる。接近中の手と受信電極に発生する電流との相関については図2a〜図2cの図を参照してより綿密に説明する。
【0073】
全体システムは、手が電極付近にない限り、受信電極REで発生する電流が所定の値を超えないようにレイアウトされる。これは、ケースの送信電極TE及び受信電極REの対応する配置を通じて達成される。配置は、送信電極TEと受信電極REとの間のインピーダンスが、装置をスリープモードから切り替えモードに移行させる電流量に足りない1つの電流のみが受信電極RE内に発生するように十分に大きくなるように行われる。
【0074】
接近検出の原理は、送信電極TEと受信電極REとの間のアドミッタンスを表す十分な電気値を検出することにある。これは、受信器、すなわち受信電極RE内のアンペアを測定することによって達成される。基本的に、送信電極TEと受信電極REとの間で測定されるアンペアは、電極表面の増大と共に増大し、電流電極の間隔の増大と共に低減する。したがって、平板キャパシタの有効容量と同様の法則が当てはまる。
【0075】
接近中の手の特に良好な検出を保証するために、補償電流が送信システムにおいて送信電極TEと受信電極REとの間に提供される。この(位相遅れ又は逆位相の送信電流の)補償電流は送信電流に干渉する。補償電流強度を決定する自由度は、第1に、接続された電極表面の測定にある。第2に、補償電流の位相を(送信電流に対して)変化させることができる。最終的に、周波数及び/又は電圧に関する交流信号の適合を行うこともできる。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、利用可能な自由度数は、送信電極TE及び補償電極CEに厳密に印加される電圧のみで機能するという点で低減する。
【0077】
測定システムの粗い調整が全体システムの構築時に一回のみ行われる場合、自由度はさらに低減する。この粗い調整とは、一方では、ハンドヘルド装置で実行されるすべての電極の構成及びプロファイルを一回の測定することにあり、他方では、送信信号と補償信号との位相差を一回の調整することにある。
【0078】
残りの自由度は、測定装置の微調整に使用される。これらの自由度とは、例えば、送信信号と補償信号との位相差の動的なバーニヤ調整及び/又はアナログ送信パラメータを論理導出切り替え関数に変換するために通常使用される閾値点の位置シフトに存在する。この電気閾値の計算は、例えば、制御ファームウェア内の厳密にプリセットされる標準値及び/又はすでに検証された測定数量及び/又は測定プロファイルから導出することができ、例えば、評価デジタル化のメモリエリアに周期的に厳密に配置される。微調整では、過去の測定値も流入し得る。
【0079】
筐体上の単一の電極の厳密な配置、又は送信電極TE及び補償電極CEに供給される交流電気信号の個々の測定並びに厳密な特徴は、装置の実際の形状及びサイズに依存する。電極配置、電極測定、及び交流信号の特徴は、実際の装置に対して実験的に決定することができ、受信電極REで発生する電流を参照して上述した諸要件によって確実な検出を可能にすることができるように相互に較正することができる。
【0080】
ハンドヘルド装置の底部における可能な電極の構成の一例を図1に記す。
【0081】
図1は、(装置の底部、並びに遠隔制御装置の横軸及び縦軸のそれぞれに沿った各断面から見た)遠隔制御装置における送信電極TE、受信電極RE、及び補償電極CEの可能な配置を示す。補償電極CEは送信電極SEと受信電極REとの間に配置される。受信電極REに作用している交流電場は、交流電場内で放射する補償電極CEに応じて減衰又は消滅する。
【0082】
図1では、電極、特に送信電極TE及び受信電極REの配置が、配置されるときに表面に接触しないように機器の底部に配置されることが分かる。この配置は、補償電極CEの影響範囲から引き離される場合がある送信電極TEと受信電極REとの間の直接の電流路を回避するために、導電表面の場合に特に重要である。
【0083】
図1に示す2つの補償電極CEは互いに電気的に接続することができる。代替的に、補償電極CEのうちの一方をシステム調整用に提供することもできる。この用途では、両補償電極CEは互いに電気的に接続されてはならない。
【0084】
図1に示す電極は、携帯電話又はゲームコンソール用の入力装置に比較可能に配置することもできる。
【0085】
図2a〜図2cから示される図面を参照して、電極配置の機能をより綿密に説明する。
【0086】
図2aは、手の接近がない状態の表面に配置された遠隔制御装置を示す。遠隔制御装置は「スリープモード」に設定され、遠隔制御装置全体で必要な電力を最小に低減することができる。
【0087】
図2bは、手が接近中の状態の遠隔制御装置を示す。この用途では、遠隔制御装置はスリープモードから「ウェイクアップ」して「切り替えモード」にシフトする。切り替えモードでは様々なアクティブ化機能又は初期化機能を実行することができ、それによって、遠隔制御装置が握られるときに、機能を完全に利用することが可能である。
【0088】
アクティブ化機能の一例は遠隔制御装置ディスプレイの電源投入である。別の例は、キー照明の電源投入である。アクティブ化機能は、キー照明が所定の光強度未満でのみアクティブ化されるように、フォトセンサと組み合わせて設定することができる。
【0089】
図2cは、人間の手で握られた遠隔制御装置を示す。遠隔制御装置はここでは「アクティブモード」に設定され、完全な無制限の機能を利用可能にされる。
【0090】
送信電極TE及び受信電極REは、送信電極TEと受信電極REとの間のインピーダンスの和が十分に大きく、それによって、送信電極TEが発する電場がいかなる状況でも十分な減衰を受けるように筐体底部に配置される(図1も参照)。受信電極内の減衰信号を通じて、装置をスリープモードから切り替えモードに切り替えるのに足りない電流のみが発生する。両電極の電極幾何学的形状並びに互いに対するそれらの電極の配置は、所定の生成器の電圧及び生成器の周波数によって単純に実験的に決めることができる。このようにして、単一の電極の電極表面、及び/又は電極の間隔、及び/又は電極の位置、及び/又は電極の材料は互いに、送信電極SEと受信電極REとの間で対応するインピーダンスを達成するように適合することができる。
【0091】
送信電極SEと受信電極REとの間のインピーダンスの和は、
送信電極TEと表面との間のインピーダンス、
表面自体のインピーダンス、及び
表面と受信電極REとの間のインピーダンス
である。
【0092】
表面のインピーダンスはゼロ付近であり得る。
【0093】
表面が導電材料から成る場合、送信電極TEと受信電極REとの間の結合は強くなるが、その結合は補償電極信号CEの放射を通じて無効化される(補償電極CEが発する交流電場は表面にも同様に作用する)。結果として、支持材料に応じて受信電極REで発生するアンペアに大きな差は生じない。
【0094】
送信電極TEから遠隔制御装置の表面及び/又は壁を通じて受信電極REまでの「ウェイクアップ」に十分な電流量は、補償電極CEが発する交流電場によって回避される。
【0095】
人間の手が遠隔制御装置に接近中である場合(図2bに示すように)、受信電極の電流は所定の閾値I0を超え、遠隔制御装置を切り替えるか、又はウェイクアップさせる。閾値I0は、好ましくは、遠隔制御装置の周囲の電場特性を考慮して決定され、そのため、追加補償電極CEを調整のために提供することができる。
【0096】
手が接近中の場合、送信電極TEと受信電極REとの間の減衰信号の低減の結果、電流が増大する。この用途では、2つの影響が重要な役割を果たす。
【0097】
a)第1の電極の親指との結合が増大する(どちらの手が遠隔制御装置に接触するかに応じて、第1の電極は送信電極TEであるか、又は受信電極REである)。手は、親指から4本の指まで非常に小さなインピーダンスを有する。第2の電極への4本の指の結合も増大する。
【0098】
b)信号パス(送信/受信電極−手−受信/送信電極)が補償電極CEを伝達し、それによって受信電極REに結合した交流電場に対する補償電極CEの交流電場の影響が低減する。
【0099】
このようにして、送信電極TEから手を通じて受信電極REに送られる交流電場も、補償電極CEの交流電場を通じての補償のさらなる減衰を受ける。システム全体における補償電極CEの影響が過剰に優勢ではないことが重要であり、そうでなければ、人間の手の接近は「電気的に隠されて」しまう。
【0100】
続けて、遠隔制御装置が最終的に人間の手で完全に握られると(図2c参照)、受信電極REの電流は別の所定の閾値I1を超え、遠隔制御装置を完全にアクティブ化する。閾値I1も、好ましくは、人間の手が接近していない状態の支持体上の装置が前に有した、遠隔制御装置の周囲の電場特性を考慮して決定される。ハンドヘルド装置に2つ以上の電極システムが備えられている場合、各電極システムの閾値I0及びI1を別様に定義することができる。
【0101】
電極が互いにそのように配置される場合、レベル及びインピーダンスが互いに以下のように挙動することが有利である。
【0102】
【数2】
【0103】
式中、
P1は、第1の接近(=装置がスリープモードから切り替えモードにシフトする手の接近)の結果として生じる交流電場のレベルであり、
P2は、第2の接近(=装置が切り替えモードからアクティブモードにシフトする手の接近)の結果として生じる交流電場のレベルであり、
Z1は、第1の接近における送信電極と受信電極との間のインピーダンスであり、
Z2は、第2の接近における送信電極と受信電極との間のインピーダンスである。
【0104】
この要件を満たす電極配置は実験的に決定することができる。これら要件を満たす電極配置では、電極配置の感度は手が装置に近づくにつれて増大する。
【0105】
補償電極CEから発せられる交流電場は、人間の手を通じての送信電極TEと受信電極REとの略直接の結合(手が遠隔制御を完全に握っているとき)における受信器のレベル低減に対してほんのわずかしか影響しない。
【0106】
図3は、原理図に基づいて送信電極TEと受信電極REとの結合を示す。
【0107】
送信電極TEで放射される交流電場は指内で結合する。しかし、送信電極TEの交流電場の一部分は受信電極RE内でも結合する。補償電極CEで放射される交流電場(破線矢印で示される)も、部分的に人間の指内で、且つ部分的に受信電極RE内で結合する。
【0108】
指外部での送信電極TEの交流電場に対する補償電極CEの交流電場の影響(参照番号30)は保持される。受信電極REに対して直接作用する、送信電極TEから放射される交流電場は、補償電極CEの交流電場を通じて実際のレベル低減を受ける。
【0109】
それに代えて、指内での送信電極TEの交流電場に対する補償電極CEの交流電場の影響(参照番号40)はより小さく、受信電極REでの電流を実際に増大させる。これは例えば、送信電極TE及び補償電極CEが、補償電極CEでの電場強度が送信電極TEでの電場強度よりも小さいようにレイアウトされることによって達成することができる。したがって、送信電極TEと受信電極REとの結合は、補償電極の影響範囲から少なくとも部分的に引き離されている指を通じて発生する。
【0110】
図10を参照して、送信電極TEと受信電極REとの結合並びにこの結合に対する補償電極CEの交流電場の影響について、コンピュータマウスの例を使用してもう一度説明する。
【0111】
さらなる実施形態では、補償電極は、システムの自己調整を実行するために、遠隔制御装置の周囲の電場の特性を測定するためにも使用することができる。
【0112】
図4は、遠隔制御装置の底部の電極の非対称配置を示す。このようにして、遠隔制御装置への接近の右/リンクの区別を行うことができる。接近方向による受信電極REでの電流の時間的過程を図4のチャートに示し、特性曲線10は右接近を表し、特性曲線20は左接近を表す。このようにして、右側の接近を左側の接近と容易に区別することもできる。
【0113】
図5は、遠隔制御装置の底部の電極の代替の配置を示す。少なくとも3つの電極TE、CE、及びREが、装置の壁の一本の指毎に設けられるリブの溝に導入される。それによって、送信電極TEから受信電極REに手内で発生する電流路によって補償電極CEの交流電場が迂回される。
【0114】
本発明によれば、いくつかの送信電極TE、受信電極RE、及び補償電極CEを遠隔制御装置又は任意の他の電気ハンドヘルド装置、例えばコンピュータマウスに提供することもできる。コンピュータマウスへの電極の代替の配置については図13a〜図13jに示す。
【0115】
本発明によれば、電極構造のそれぞれが送信電極、受信電極、及び補償電極を有する、いくつかの電極構造をハンドヘルド装置に配置することもできる。電極構造はそれぞれ、好ましくは、当該電極構造のそれぞれを使用して、上記原理によるハンドヘルド装置への接近又は接触の検出が可能なようにレイアウトされる。
【0116】
2つの電極構造を有するハンドヘルド装置の一例を図6に示す。図6は、他のハンドヘルド装置を代表するゲームコンソール用の入力装置100を示す。入力装置100は、2つの近接高感度エリア又は接触高感度エリア110及び120を有する。ケース表面の下のこれらエリアに、上述した電極構造のうちの1つが配置される。電極構造は図6に示されていない。入力装置の電極構造の電極配置は、例えば、図1を参照して示したように選ぶことができる。
【0117】
エリア110及び120に関連する両方の高感度電極構造は、ここでは示されていない評価電子装置に結合される。電極構造への接近を連続して読み取ることができる。この用途では、電子評価装置を、例えば、電極構造のマルチプレクサに結合することができる。
【0118】
代替的に、電子評価装置を電極構造のそれぞれに設けることができる。
【0119】
両方の電極構造を用いて、入力装置100のどこが接触されているかを区別することができる。エリア110、120のいずれが接触されているか、又はユーザの片手若しくは両手がいずれのエリアに接近中であるかに従って、電子評価装置は入力装置の異なる機能をアクティブ化するか、又は実行することができる。
【0120】
図7は、いくつかの電極構造を有するハンドヘルド装置への接近及び/又は接触を検出する3つの例を示す。いわゆる「ゲームコントローラ」100がここでは一例として示され、すでに図6に示したように、2つの近接高感度ゾーン又は接触高感度ゾーン110及び120を有する。ゲームコントローラ100は、ここでは例えば、ゲームコンソールを用いてプレイされるゴルフゲームのゴルフクラブとして使用することができる。ゴルフゲームのゴルフクラブは両手で握らなければならないため、高感度エリア110(図7の左側に示す)のみ又は高感度エリア120(図7の中央に示す)のみとの接触は、ゴルフクラブのいかなる機能も決定しないか、又はゴルフコントローラ100のゲームコンソールの移動を無視する。また、ゲームコントローラ100は、ゴルフクラブとして使用するには、ゲームコントローラ100を両手で握る(図7の右の図)必要があることをユーザに示すことができる。
【0121】
このような機能はゲームコントローラのみに制限されず、様々なハンドヘルド装置、例えば携帯電話又はMP3プレーヤに提供することができる。
【0122】
同様に、図6及び図7に示す3つ以上の電極構造を提供することができる。そのため、3つの電極構造の場合、互いに隔てられた3つの高感度エリアを、例えばハンドヘルド装置上に、ゲームコントローラとして配置することができる。
【0123】
ハンドヘルド装置内又はハンドヘルド装置上の適切な手段を通じて測定される他のセンサデータとの組み合わせも可能である。そのため、例えば位置決めセンサ又は加速度センサを通じて検出することができるMP3プレーヤを振ることによって、MP3プレーヤがどこに保持されているかに応じて異なる動作を発生させることができる。MP3プレーヤがキーボードのエリアに保持されている場合、振ることによって、音楽トラックの順番を変えることができるのに対して、ディスプレイに保持されている場合、振っている間、別の音楽トラックのランダムな選曲が決定される。
【0124】
本発明をコンピュータマウスに基づいて以下に説明する。
【0125】
図8に示すように、本発明による解決策は3つの主要モジュールの特定の組み合わせにある。
【0126】
第1の主要モジュール200は、接近中の人間の手を検出する3つの電場電極を備える。
【0127】
第2の主要モジュール300は、第1の主要モジュールから導出される信号のアナログ信号処理を達成する。
【0128】
第3の主要モジュール400は、信号制御ユニット(MCU)として実行され、2つの上述した主要モジュールの信号制御を行い、電場から得られた情報を接続された外部ハードウェアに送る。
【0129】
これより、単一のモジュールについてより詳細に説明する。
【0130】
A)第1の主要モジュール200−電場電極
電極の特に有利な配置を図9に示す。コンピュータマウスの上側に、3つの電場電極TE、CE、REが配置される。より広い電極TE(=送信電極)には、50KHz〜300KHzの周波数及び20Vの値を超えるべきではない信号振幅を有することができる切り替え信号が供給される。必要とする表面が電極TEより小さくてよい電極CE(=補償電極)にも、電極TEの電気信号フォームが供給される。電極TEと電極CEとの検出特徴を表す電気信号の相違は、−140°〜+140°の位相差である。さらに、両電極の信号振幅差も、電極配置の所望であり、必要な場合には空間的に方向付けられもする検出性能にとって有利であることができる。
【0131】
電極RE(=受信電極)は、下流アナログ信号処理において信号入力に接続される。
【0132】
図10にこの配置の相互作用をさらに示す。コンピュータマウス上の3つの電極は、手が十分に引き離されているか、又は完全になくなると、電極CEが発する位相が遅れた電場の助けによって電極TEが発する電場を通じて電極REで影響を及ぼす電場がなくなるように解釈される。人間の手が最小距離よりも小さな距離でコンピュータマウスに接近する場合、電極TEから手を通じて電極REへの新しい電流路が生成され、この電流路は電極CEの影響範囲から引き離されると共に、電極REにおける電流の大幅な上昇をもたらす。
【0133】
B)第2の主要モジュール300−アナログ信号処理
図11に、コードレスコンピュータマウスのアナログ信号処理の好ましい回路構造を示す。T1の配線は、一方では、動作周波数範囲内のモジュールの信号入力のインピーダンスが最小に達し、他方では、信号増幅が、各構成要素及びその可能な限り最小の峻度によって、動作的に安定した最大となるように解釈される。
【0134】
T2の以下の信号補強並びにこの構成要素の出力インピーダンスは、D1の助けによって、モジュールの信号出力において、可能な限り速く、且つ大きなエネルギー供給を必要とせずに、モジュールの信号入力のAC信号の直接推定されるDC信号を得るように解釈される。
【0135】
C)第3の主要モジュール400−信号制御ユニット(MCU)
図12に、コードレスコンピュータマウスの信号制御ユニットの特に有利な実施形態を示す。信号制御ユニットは中央MCUから成る。このモジュールを通じて処理される信号処理プロセスは、以下の可能な機能を含むことができる。
【0136】
MCUは、タイマの助けによって、3つすべてのモジュールの実行タスクが実施される(=アクティブフェーズ)、例えば1msのタイミングスロットを周期的に生成する。これらタイミングスロットは、必要であれば拡張又は短縮してもよい。図12は、MCUが残りの時間間隔、例えば100msに3つすべてのモジュールの必要最小電流をさらに提供すること(=休止フェーズ)も示す。これら間隔は、例えばアクティブフェーズ内で登録される数量の変更を通じて任意に拡張又は短縮することができる。
【0137】
MCUは、アクティブフェーズにおいて、供給スイッチの助けによって必要最小限の経過時間のみにわたってエネルギー供給をアナログ信号処理に供給する。
【0138】
MCUは、アクティブフェーズにおいて、予め定義された経過時間にわたって両電場電極TE及びCEに必要な切り替え信号を生成する。この経過は任意に拡張又は短縮することができる。
【0139】
MCUは、アクティブフェーズ内部のA/Dコンバータの助けによって実際の動作電圧を測定し、この/これらの測定値(複数可)を連続結果計算に含める。
【0140】
MCUは、アクティブフェーズにおいて、NDコンバータの助けによって、1つの信号入力又は複数の信号入力においてアナログ信号処理を生成した、固定された所定の時点までの交流電圧/パルス電圧量を検出する。
【0141】
MCUは、アクティブモードにおいて、CPU、REM、フラッシュ、及びファームウェアに含まれるアルゴリズムの助けによって、すべての測定値を評価し、論理的結論を引き出し、関わるすべてのモジュールの後続する実行動作を決定する。
【0142】
MCUは、オプションとして、アクティブフェーズにおいて、シリアルインタフェースモジュール及び/又はパラレルインタフェースモジュールの助けによって、その情報、例えばWake-Up信号を接続された外部ハードウェアに送信する。
【0143】
MCUは、オプションとして、アクティブフェーズにおいて、外部ルーチンが処理されたとき、接続された外部ハードウェアからの返答/信号、例えばGo-To-Sleep信号を待つ。
【0144】
MCU自体は、アクティブフェーズの終わりにスリープモード(=低電力モード)にシフトし、ここから独立して、且つ/又は外部電気信号を通じて復帰することができる。
【0145】
本発明による概念は、接近中の人の電場によって実行される検出の助けによって「未来を調べる」こと、及び特に適合されるアナログフロントエンドの最適化された対話をMCUを制御するすべてのプロセスと組み合わせることを通じて、利用されるエネルギー貯蓄システム、例えば電池の寿命の増大に繋がると共に、例えば、この技術を有するコンピュータマウスを使用して、ユーザが「知覚」する応答時間の低減/消滅に繋がる。「知覚」される応答時間の消滅は、コンピュータマウスがスリープモードからウェイクアップモードにシフトする上述した第1の閾値I0を通じておおよそ達成することができる。
【0146】
コンピュータマウスでの幾何学的構造及び配置について、電極は上述した実施形態と比較して別様に配置することも可能である。
【0147】
コンピュータマウス上の電極配置のいくつかの可能な変形を以下に示す。これら異なる電極配置は他のハンドヘルド装置に提供することも可能である。
【0148】
図13aは、送信電極と受信電極とが180°回転した線対象配置を示す。
【0149】
図13bは、検出範囲について最適化された線対象配置を示す。
【0150】
図13cは、すべての電極の半回転対称配置を示す。
【0151】
図13dは、すべての電極を任意に、ここでは約45°回転させた配置を示す。
【0152】
図13eは、すべての電極の完全回転対称配置を示す。
【0153】
図13fは、点対称配置のマルチスプリット送信電極TE及び受信電極REを示す。この構築を通じて、ジェスチャーの検出が特に有利な方法で可能である。例えば、右上からの接近は、個々の受信電極の電流が(明らかに)異なるという点で左下からの接近と異なる。
【0154】
図13gは、点対称配置、線対称配置、又は非対称配置でのマルチスプリット側部受信電極REを示す。この構築を通じても、ジェスチャーの検出が有利な方法で可能である。受信電極REの接近方向によって、電流がその都度異なるため、接近方向も同様に検出することができる。横にある送信電極TEも適用可能である。
【0155】
図13hは、完全回転対称配置のマルチスプリット受信電極を示す。それによって、ジェスチャー並びに接近方向の検出が可能である。
【0156】
図13iは、二軸対称配置のマルチフラグメント送信電極を示す。ここでジェスチャーの検出が可能である。
【0157】
図13jは、線対称若しくは点対称のいくつか/すべての電極又は完全な非対称も同様に含み得る電極の助けによる面白い設計を示す。ここでジェスチャーの検出が可能である。
【0158】
対応して形成及び挿入されるか、又は金属表面セクション電極構成要素で作られる電場電極の実行に対する代替として、全体装置/動作エリア内及び/又は下の単一又は追加のプラスチック材料及び/又はケース材料を使用して電極を作成することも可能である。
【0159】
さらに、図14に示す構成を有する回路を実施することも可能である。図14に示す回路設計の場合、アナログ信号処理は、信号出力において、受信電極電流のコピーが生成されるような形態(ここでは、下流DC整流無しの配置)で配線接続される計算増幅器の助けで行われる。Ca、Ra、Cb、及びRxの構成要素はオプションとして必要であり、Rbの場合、その離散的又は間接的な形態の実現が推奨される。さらに、信号制御ユニット内のA/Dコンバータを止め、それに代えて、1つ又はいくつかのコンパレータの結果に基づいてさらなる論理動作を処理することが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接を検出する電極システム及び電極システムを有する電気ハンドヘルド装置に関し、この電気ハンドヘルド装置は、表面支持体上に配置することができ、スリープモードで使用しているとき、このハンドヘルド装置が接触されるエリアを検出することができるアクティブモードに切り替えることができる。
【0002】
本発明は、特にコンピュータマウスの形態である、コンピュータ情報システム用の電極システムを有する入力装置にも言及し、この入力装置はしたがって、特にCADアプリケーション、テキスト及び画像処理アプリケーション、プログラミング作業、計算アプリケーション、インターネットナビゲーション、並びにゲームの場合、コンピュータ使用時に入力プロセスの処理を可能にする。
【0003】
さらに、本発明は、ゲームコンソール用の入力装置と携帯電話とに言及し、このゲームコンソール及び携帯電話用の入力装置は電極システムを備える。
【背景技術】
【0004】
電気装置、特に電気ハンドヘルド装置の現行の技術水準では、エネルギー効率を向上させるという常なる望みがある。特に、電源に交換式電池又は蓄電池を使用する遠隔制御装置、ゲームコンソール用の入力装置、又は携帯電話等の可搬ハンドヘルド装置の場合、電池又は蓄電池を頻繁に交換しなければならないため、このような望みは増大する。エネルギー効率が向上すると、一方では、消費電力が低減して電池又は蓄電池の寿命が延び、他方では、廃棄する必要のある電池又は蓄電池の数が少なくなるため、有利な生態学的効果をもたらす。
【0005】
現行の技術水準では、非使用時にハンドヘルド装置をいわゆるスリープモードに切り替えるべきであることが既知である。スリープモードでは、装置使用時のみ必要なハンドヘルド装置のすべての機能は非アクティブ化される。このようにして、装置の電力入力を大幅に低減することができる。使用時、ハンドヘルド装置は、装置の全機能が利用可能になるいわゆるアクティブモードに切り替えられる。
【0006】
一方ではハンドヘルド装置をスリープモードに切り替え、他方ではスリープモードからアクティブモードに切り替えるため、各モードを手動でアクティブ化することができるスイッチを設けることが既知である。これには、アクティブモードの手動アクティブ化又は非アクティブ化が比較的複雑であるか又は忘れやすいように思われるため、ハンドヘルド装置は、例えばコンピュータマウスの場合のように非使用時であってもアクティブモードのままであることが多いという欠点がある。したがって、所望のエネルギー効率向上は大幅には達成されない。
【0007】
通常、コンピュータマウスは、表面上又は表面に対するコンピュータマウスの対応する動きによってX/Y制御データを生成することができる。こういったコンピュータマウスには、選択動作を実行することができるキー装置がさらに備えられている。さらに、コンピュータマウスには、多くの場合、入力信号を生成することもできるスクロールホイールも備えられている。コンピュータマウスのキー及び/又はスクロールホイールも往々にして、コンピュータマウスをスリープモード又はアクティブモードにするように開発されている。しかし、これはユーザの手動動作を必要とする。
【0008】
コンピュータマウスはますますコードレス装置として開発されるようになっている。コンピュータマウスの給電は、通常、電池又は蓄電池によって行われる。このようなマウスの場合、従来の有線マウスと異なり、電池を頻繁に交換する必要があるか、又は蓄電池を頻繁に充電する必要があるという問題がある。
【0009】
ハンドヘルド装置のアクティブモードの手動でのアクティブ化又は非アクティブ化を回避するために、特許文献1は、静電容量センサを含む、ウェイクアップ検出器を有するハンドヘルド装置の提供を示唆している。ハンドヘルド装置が手に近づくか又は接触すると、ハンドヘルド装置は自動的にアクティブモードに切り替わる。手が離れると、ハンドヘルド装置は自動的にスリープモードに切り替わる。手の接近を検出するために、接近に伴って変化する静電容量センサの静電容量が測定され、所定の静電容量がウェイクアップ検出器の切り替え閾値を構成する。
【0010】
実験により、ウェイクアップ検出器への手の接近が確実には検出されないか、又は最悪の場合に誤検出されかねないという欠点がこのようなウェイクアップ検出器にあることが示された。これは特に、ハンドヘルド装置が金属板付きテーブル等の導電体材料上に配置される場合に当てはまる。その場合、ウェイクアップ検出器は、導電表面と手とを確実には区別することができない。そのため、ウェイクアップ検出器が手を誤検出しまい、結果としてウェイクアップ検出器がハンドヘルド装置をアクティブモードに切り替えてしまう危険性がある。これからここでも、所望のエネルギー効率向上のわずか一部分のみが達成されることが分かる。
【0011】
現行の技術水準から既知の解決策の別の欠点は、ハンドヘルド装置の様々なエリアへの接近又は様々な方向からの接近を検出することができないことである。それと等しく、既知の解決策では、ハンドヘルド装置のどのエリアが接触されるかを判断することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】英国特許出願公開第2398138号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、ハンドヘルド装置への手の接近を確実に検出することができると共に、接近及び/若しくは接触が生じるハンドヘルド装置のエリア又は接近方向を特定することができる、電気ハンドヘルド装置に対する解決策を生み出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、この課題は、独立請求項に記載のハンドヘルド装置及び電極システムによって実行される。
【0015】
本発明は、電気ハンドヘルド装置であって、表面上に配置することができ、少なくとも1つの送信電極、少なくとも1つの受信電極、及び送信電極と受信電極との間に配置される少なくとも1つの補償電極を設け、これらの電極によってハンドヘルド装置への手の接近が検出可能であり、
送信電極から第1の交流電場が放射されることができ、補償電極から第2の交流電場が放射されることができ、第1の交流電場は第2の交流電場に対して位相が遅れ、交流電場は表面及び受信電極に結合することができ、
受信電極に結合された交流電場は、受信電極に電流を発生させ、これは、ハンドヘルド装置への手の接近を表し、
ハンドヘルド装置上の送信電極及び受信電極は、送信電極と受信電極との間のインピーダンスであって、
送信電極と表面との間のインピーダンス、
表面のインピーダンス、及び
表面と受信電極との間のインピーダンス、
から成る、インピーダンスの和が、ハンドヘルド装置が表面に配置されるとき、所定の値Z0を超えるように配置され、これは、受信電極で発生する電流を所定の値I0未満に保持するのに適する、電気ハンドヘルド装置を提供する。
【0016】
送信電極と受信電極との間に少なくとも1つの補償電極が配置されることによって、ハンドヘルド装置が導電表面上に配置される場合であっても、より容易且つより確実にハンドヘルド装置への手の接近を検出することが可能である。送信電極と受信電極との間のインピーダンスが所定の値Z0を超える、送信電極及び受信電極の対応する配置によって、受信電極の交流電場を通じて生成される電流は、ハンドヘルド装置をスリープモードから動作、すなわちアクティブモードに切り替えるには足りないものとなる。補償電極において放射される交流電場の助けによって、ハンドヘルド装置をアクティブモードにするのに足るほどに十分高い電流が送信電極から受信電極へ(おおよそハンドヘルド装置の壁を越えて)流れることがさらに回避される。
【0017】
接近は、手とハンドヘルド装置との距離の低減及び/又はハンドヘルド装置上の電極に対する手の位置の変化を含むことができる。
【0018】
送信電極及び補償電極には、所定の周波数及び所定の振幅の交流電気量を供給することができるが、送信電極での交流電気量は、補償電極での交流電気量に対して位相が遅れている。送信電極での交流電気量の振幅は、補償電極の交流電気量の振幅と異なり得る。
【0019】
ハンドヘルド装置への手の接近度が増すと、送信電極から手を通じて受信電極に転送される交流電場は、補償電極の交流電場を通じての減衰及び減衰補償を受ける。
【0020】
表面は接触表面も含む。接触表面は、例えば、その上にハンドヘルド装置が傾斜可能なレバーの形態で配置される壁であることができる。
【0021】
さらに、ハンドヘルド装置が提供され、このハンドヘルド装置は、表面上に配置することができ、いくつかの電極構造又は電極システムを示し、当該電極構造又は電極システムではそれぞれ、少なくとも1つの送信電極、少なくとも1つの受信電極、及び送信電極と受信電極との間の少なくとも1つの補償電極が配置され、いくつかの電極構造の任意のものを使用してハンドヘルド装置への手の接近を検出することができ、いくつかの電極構造の任意のものは、
送信電極から第1の交流電場が、補償電極から第2の交流電場が放射され、第1の交流電場は第2の交流電場に対して位相が遅れ、交流電場は表面及び受信電極に結合することができ、
受信電極に結合された交流電場は、受信電極に電流を発生させ、これは、ハンドヘルド装置上の電極構造への手の接近を表し、
ハンドヘルド装置上で送信電極及び受信電極は、送信電極と受信電極との間のインピーダンスであって、
送信電極と表面との間のインピーダンス、
表面のインピーダンス、及び
表面と受信電極との間のインピーダンス、
から成る、インピーダンスの和が、ハンドヘルド装置が表面に配置されるとき、所定の値を超えるように配置され、これは、受信電極で発生する電流を所定の値未満に保持するのに適するように作成される。
【0022】
このようないくつかの電極構造の提供によって、ハンドヘルド装置のいくつかのエリアへの手の接近を有利に検出し、又は接近方向を確実に特定することが可能である。
【0023】
いくつかの電極構造は電子評価装置に結合することができ、電子評価装置は、いくつかの電極構造のそれぞれへの手の接近を連続して評価するように作成される。
【0024】
いくつかの電極構造はそれぞれの電子評価装置に結合され、各電子評価装置は、それぞれの接続される電極構造への手の接近を評価するように作成される。
【0025】
いくつかの電極構造のそれぞれの送信電極、補償電極、及び受信電極は、ハンドヘルド装置が表面に配置されるとき、表面に接触しないようにハンドヘルド装置に配置される。
【0026】
この有利な配置では、ハンドヘルド装置が導電表面上に配置される際、検出感度を低減させ得る送信電極と受信電極との間のガルバニック接触の発生が回避される。
【0027】
電極構造のそれぞれの送信電極、補償電極、及び受信電極は、ハンドヘルド装置の表面に配置することができる。
【0028】
各電極構造の送信電極、補償電極及び受信電極は、ハンドヘルド装置の、表面に面する側に配置することも可能である。
【0029】
ハンドヘルド装置の表面はハンドヘルド装置の外面も含む。このようにして、例えば、任意の単一の電極又はすべての電極を外側に配置し、電極がユーザから見えてもよい。しかし、単一又はすべての電極は、ユーザから見えず、さらによりよく保護されるように、ハンドヘルド装置の表面真下に配置してもよい。
【0030】
有利には、いくつかの電極構造の任意のものにおいて、補償電極で放射される交流電場は、送信電極で放射される交流電場に少なくとも部分的に干渉し、これは、重ね合わせを通じて生じる交流電流のレベルの低減を確定し、これによって、受信電極に発生する電流を低減させる。
【0031】
補償電極の別の利点は、送信電極で発せられる交流電場の他に、補償電極で発せられる交流電場も表面で結合し、それによって表面材料に関わりなく、補償電極で発せられる交流電場が送信電極によって発せられる交流電場に干渉することである。このようにして、表面材料に関わりなく手の接近を確実に検出することができる。
【0032】
いくつかの電極構造の任意のものにおいて、ハンドヘルド装置への手の第1の接近が、所定の値Z0とさらなる所定の値Z1との間に含まれる、送信電極と受信電極との間のインピーダンスの和を変化させることができ、Z0>Z1であり、これは、受信電極で発生する電流を所定の値I0を超えさせるのに適する。
【0033】
第1の接近は、例えば、電極からの手の距離及び/又は電極に対する手の位置を含むことができる。
【0034】
いくつかの電極構造のそれぞれにおいて、ハンドヘルド装置への手の第2の接近が、さらなる所定の値Z1未満である、送信電極と受信電極との間のインピーダンスの和を変化させることができ、これは、受信電極で発生する電流を第2の所定の値I1を超えさせるのに適し、I1>I0である。
【0035】
第2の接近は、電極からの手の距離及び/又は電極に対する手の位置をさらに含むことができ、第1の接近と異なる。したがって、所定の値I1を超える受信電極でのアンペアの増大を発生させるために、第2の接近での電極からの手の距離は、例えば、第1の接近での距離よりも小さくすることができる。
【0036】
これと同等に、所定の値I1を超える受信電極でのアンペアの増大は、第2の接近での手の距離が第1の接近よりも小さい場合であっても、電極に対する手の位置を通じて達成することができる。
【0037】
この電極の配置には、手がハンドヘルド装置に接近する際、又はハンドヘルド装置を握る際、送信電極と受信電極との間のインピーダンスが、受信電極に結合する交流電場が、受信電極で発生する電流を第1の値I0(接近中の場合)又は第2の値I1(握っている又はさらに接近中の場合)よりも大きくなるために十分なように低減するという利点がある。
【0038】
このようにして、電流I0及びI1が閾値として機能する、受信電極に結合された制御手段を使用して、ハンドヘルド装置のスリープモード、切り替えモード、及びアクティブモードを有利に発生させることができる。切り替えモードの提供によって(スリープモードとアクティブモードとの中間ステージとして)、手の対応する接近中に、例えば、初期化プロセスを開始することによってハンドヘルド装置をアクティブモードに向けてすでに準備させることができるというさらなる利点がある。このため、ハンドヘルド装置のユーザが始動の遅れを感じることを回避することができる。
【0039】
いくつかの電極構造のうちの少なくとも1つの送信電極、受信電極、及び補償電極を、ハンドヘルド装置への手の接近によって、干渉から生じる交流電場のレベルを上昇させ、送信電極と受信電極との間のインピーダンスを低減させるように作成することが特に有利である。
【0040】
第1の接近において結果として生じる交流場のレベルP1と第2の接近において結果として生じる交流場のレベルP2との比が、第2の接近での送信電極と受信電極との間のインピーダンスZ2と第1の接近での送信電極と受信電極との間のインピーダンスZ1との比よりも小さい場合が特に有利である。第1及び第2の接近でのこれらレベル及びインピーダンスは互いに以下のように挙動する。
【0041】
【数1】
【0042】
このようにして、手が接近するにつれてハンドヘルド装置上の電極構造の感度が増大するため、ハンドヘルド装置への手の接近度が増すにつれて、切り替えモード又はアクティブモードの始動が行われることを有利に保証することが可能である。
【0043】
いくつかの電極構造のうちの少なくとも1つの送信電極、受信電極、及び補償電極は、手の接近の左/右を区別するために非対称に配置することができる。区別に応じて、装置の所定の機能を実行することもできる。
【0044】
ハンドヘルド装置への左/右の接近を区別することによって、それに従ってハンドヘルド装置に提供されるディスプレイ上のメニュー方向をディスプレイの左側又は右側に提供するように、右手と左手との区別を有利に実行することもできる。
【0045】
いくつかの電極構造の少なくとも1つの補償電極から放射される交流電場は、ハンドヘルド装置の周囲の電場に従って所定の値I0を適合させるために提供することができる。
【0046】
したがって、ハンドヘルド装置をスリープモードから切り替えモード又はアクティブモードに移行させるのに十分な電流の閾値は、ハンドヘルド装置自体を通じて様々な表面材料に適合させることができる。
【0047】
ハンドヘルド装置上のいくつかの電極構造の配置によって、ユーザがハンドヘルド装置、好ましくはハンドヘルド装置の特定のエリアを片手又は両手で保持している場合、特に簡単に検出することが可能である。
【0048】
課題を達成するために、ハンドヘルド装置であって、
ケース装置と、
それ自体でケース装置のX軸方向及びY軸方向へのシフトに相関する制御データを生成するシフト検出装置と、
それ自体でケース装置に対する手の接近状態を記述する信号を生成する手検出装置と、
を有し、
手検出装置は、3つの電場電極を有する電極群と、
これら電場電極に結合される回路装置と、
を備え、
回路装置は、
電場電極のそれぞれに、動作周波数で交流する生成器電圧が供給され、
信号制御ユニットに伝達される電極信号を生成するタップ回路が設けられるように構成される、ハンドヘルド装置も提供される。
【0049】
ハンドヘルド装置は、例えば、コンピュータマウス、ゲームコンソール用の入力装置、携帯電話、又はポータブルミニコンピュータとすることができる。
【0050】
このようにして、有利なことに、極めて小さな電力需要で、接近発生の検出を実行し、手の接近が検出されるときのみ、ハンドヘルド装置の残りの電子回路、例えばマウスの電子回路をアクティブ化させることが可能である。
【0051】
好ましくは、タップ回路が、信号入力でのインピーダンスが動作周波数範囲内の最小量を示すように作成される。これに関して、好ましくは、信号増幅は、峻度が可能な限り最小の場合、動作的に安定した最大となるように処理される。
【0052】
有利なように、後続するさらなる信号増幅が行われ、タップ回路の出力インピーダンスは、好ましくは、電場電極のAC入力信号から直接導出されるDC出力信号がタップ回路の出力において発生するように調整される。このDC出力信号は、それに含まれるモジュールとして実行される信号制御ユニットに伝導される。
【0053】
好ましくは、生成装置は信号制御ユニット内に直接含まれる。信号制御装置を通じてタップ回路の第1の補強段に電圧が供給されるように、タップ回路を信号制御ユニットに接続することが可能である。
【0054】
信号制御装置は、好ましくは、当該信号制御装置を通じてスリープモード及びアクティブモードを決定することができるようにレイアウトされる。スリープモード中、接近状態の検出は休止期間で隔てられた間隔で行われる。
【0055】
本発明は、少なくとも1つの送信電極、1つの受信電極、及び1つの補償電極を有するハンドヘルド装置に配置される電極システムであって、補償電極は、送信電極と受信電極との間に配置することができ、電極システムは、
送信電極から第1の交流電場が、補償電極から第2の交流電場が放射され、第1の交流電場は第2の交流電場に対して位相が遅れ、交流電場は受信電極に結合することができ、
受信電極に結合された交流電場は、受信電極に電流を発生させ、これは、電極システムへの手の接近を表す、
ように開発される、電極システムをさらに提供する。
【0056】
送信電極及び受信電極が、ハンドヘルド装置が表面上に配置される場合に、送信電極と受信電極との間のインピーダンスが所定の値Z0を超えるようにハンドヘルド装置に配置される場合、有利であり、これは、受信電極で発生する電流を所定の値未満に保持するのに適する。
【0057】
したがって、ハンドヘルド装置上の電極システムへの手の接近を、ハンドヘルド装置が配置される表面の材料に関わりなく確実に検出することができる。
【0058】
送信電極と受信電極との間のインピーダンスは、ハンドヘルド装置が支持表面に配置される場合、
送信電極と表面との間のインピーダンス、
表面のインピーダンス、及び
表面と受信電極との間のインピーダンス、
から成る、送信電極と受信電極との間のインピーダンスの和である。
【0059】
電子システムは電子評価装置に結合することができ、電子評価装置は、好ましくは、電極システムへの手の接近を評価し、当該接近を表す信号を提供するように適合される。信号は例えば、さらなる処理のために、マイクロコントローラ、例えばゲームコンソールの制御ユニットに伝達することができる。
【0060】
本発明は、本発明による電極システムを少なくとも1つ有する、ハンドヘルド装置、特にコンピュータマウス、遠隔制御装置、携帯電話、又はゲームコンソール用の入力装置を提供する。
【0061】
いくつかの電極システムを有するハンドヘルド装置の場合、いかなる電極システムへの接近も検出することができる。このようにして、例えば、所定のエリアを両手で接触するときにのみアクティブ化することができるハンドヘルド装置を提供することができる。
【0062】
本発明のさらなる詳細及び特徴は、図面に関連する以下の説明から導出される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明による電極配置を有するハンドヘルド装置の図(底面図並びに対応する断面図及び縦断面図)である。
【図2】スリープモード(手なし)、切り替えモード(手接近中)、及びアクティブモード(手がハンドヘルド装置を握っている)のハンドヘルド装置の側面図である。
【図3】フィールドブリッジを示す原理図である。
【図4】受信電極(下)の2つの対応する電流コースを有する右/左を区別するための非対称電極構造(上)の図である。
【図5】ハンドヘルド装置上の代替の電極配置の図である。
【図6】電極構造がそれぞれ設けられた2つのゾーンを有する入力装置の図である。
【図7】いくつかの電極構造が設けられたハンドヘルド装置への接近又は接触の検知の例の図である。
【図8】本発明による、コードレス式コンピュータマウスのパワーアップ及びパワーダウンの電場接近を検出するための回路構成の図である。
【図9】第1の電極配置を示す原理図である。
【図10】図2による電極配置内のフィールドブリッジを示す原理図である。
【図11】本発明による、信号処理に使用されるタップ回路の好ましい構造を示す回路図である。
【図12】動作回路及び外部ハードウェアへのインタフェースとして働くMCUの好ましい構造を示す原理図である。
【図13a】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13b】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13c】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13d】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13e】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13f】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13g】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13h】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13i】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図13j】本発明による電極トリオの形態の本発明による変形を示すためのさらなる図である。
【図14】さらなる信号処理モジュールの構造を示す別の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
例えばハンドヘルド装置への手の、本発明による接近検出の基本機能をまず説明する。
【0065】
本発明によれば、3つの電極が接近検出のために設けられる。これらの3つの電極は、送信電極TE、受信電極RE、及び補償電極CEとして示される。受信電極REは、評価装置又は制御装置の信号入力に接続される。送信電極TE及び補償電極CEはそれぞれ、既定の周波数及び増幅を有する交流電気量を提供する信号生成器に結合される。この交流電気量は、以下において交流信号又は交流電気信号として示される。
【0066】
送信電極TE、受信電極RE、及び補償電極CEは、本発明の一実施形態によれば、電極構造又は電極システムを構築する。いくつかのこのような電極構造又は電極システムをハンドヘルド装置に提供することができ、手の接近を検出する電極システムのそれぞれをハンドヘルド装置に提供することができる。図6及び図7を参照してこのようなハンドヘルド装置をより綿密に説明する。
【0067】
電極TE、RE、及びCEは、例えば、ハンドヘルド装置、例えば遠隔制御装置の底部に配置される。例えば図1又は図5に示すように、補償電極CEは、好ましくは、送信電極TEと受信電極REとの間に配置される。
【0068】
送信電極TEには、信号生成器によって、ユーザに不快な感じを与えないように50KHz〜300KHzに含まれる周波数及び20Vの値を超えるべきではない振幅を有し得る交流電気信号が供給される。
【0069】
補償電極CEにも、好ましくは、送信電極TEに供給される交流電気信号の波形及び周波数を有する交流電気信号が供給される。補償電極CEの電気交流信号は、送信電極TEの交流電気信号に対して位相が遅れている。位相シフトは、例えば、信号生成器と送信電極又は補償電極との間に配置される位相シフタを使用して達成することができる。
【0070】
送信電極TE又は送信電極TEに供給される交流電気信号は、送信電極TEが発する交流電場が受信電極RE内で結合することができるようにレイアウトされる。補償電極CE又は補償電極CEに供給される交流電気信号は、補償電極CEが発する交流電場も受信電極REに結合することができるようにレイアウトされる。送信電極によって発せられる交流電場に対して位相が遅れた、補償電極CEで発せられる交流電場を通じて、受信電極REに対して作用する交流電場のレベルが低減するか、又は逆位相干渉の場合には(略)なくなる。
【0071】
互いに独立して接近を検出すべきいくつかの電極システムがハンドヘルド装置に提供される場合、電極システムが干渉してしまい確実な検出をもはや保証することができないといったことがないように注意を払うべきである。このような構成は、ケースに従って実験的に判断することができる。本明細書では綿密に説明しない一実施形態では、電極システム間に、少なくとも1つの追加補償電極を設けることができる。この追加補償電極を使用して、例えば、電極システムの送信電極が放射する交流電場をなくすことができ、それによって、送信電極はもはやその他の電極システムの受信電極に影響を及ぼさなくなる。
【0072】
手が電極に接近中の状態では、受信電極REに作用している交流電場は、受信電極REに電流を発生するように変更され、この電流は電極への手の接近を表す。手が電極に接近中の場合、送信電極TEと受信電極REとの間の手を通じての結合が増大する。この結合の増大は、受信電極内の電流を増大させる。接近中の手と受信電極に発生する電流との相関については図2a〜図2cの図を参照してより綿密に説明する。
【0073】
全体システムは、手が電極付近にない限り、受信電極REで発生する電流が所定の値を超えないようにレイアウトされる。これは、ケースの送信電極TE及び受信電極REの対応する配置を通じて達成される。配置は、送信電極TEと受信電極REとの間のインピーダンスが、装置をスリープモードから切り替えモードに移行させる電流量に足りない1つの電流のみが受信電極RE内に発生するように十分に大きくなるように行われる。
【0074】
接近検出の原理は、送信電極TEと受信電極REとの間のアドミッタンスを表す十分な電気値を検出することにある。これは、受信器、すなわち受信電極RE内のアンペアを測定することによって達成される。基本的に、送信電極TEと受信電極REとの間で測定されるアンペアは、電極表面の増大と共に増大し、電流電極の間隔の増大と共に低減する。したがって、平板キャパシタの有効容量と同様の法則が当てはまる。
【0075】
接近中の手の特に良好な検出を保証するために、補償電流が送信システムにおいて送信電極TEと受信電極REとの間に提供される。この(位相遅れ又は逆位相の送信電流の)補償電流は送信電流に干渉する。補償電流強度を決定する自由度は、第1に、接続された電極表面の測定にある。第2に、補償電流の位相を(送信電流に対して)変化させることができる。最終的に、周波数及び/又は電圧に関する交流信号の適合を行うこともできる。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、利用可能な自由度数は、送信電極TE及び補償電極CEに厳密に印加される電圧のみで機能するという点で低減する。
【0077】
測定システムの粗い調整が全体システムの構築時に一回のみ行われる場合、自由度はさらに低減する。この粗い調整とは、一方では、ハンドヘルド装置で実行されるすべての電極の構成及びプロファイルを一回の測定することにあり、他方では、送信信号と補償信号との位相差を一回の調整することにある。
【0078】
残りの自由度は、測定装置の微調整に使用される。これらの自由度とは、例えば、送信信号と補償信号との位相差の動的なバーニヤ調整及び/又はアナログ送信パラメータを論理導出切り替え関数に変換するために通常使用される閾値点の位置シフトに存在する。この電気閾値の計算は、例えば、制御ファームウェア内の厳密にプリセットされる標準値及び/又はすでに検証された測定数量及び/又は測定プロファイルから導出することができ、例えば、評価デジタル化のメモリエリアに周期的に厳密に配置される。微調整では、過去の測定値も流入し得る。
【0079】
筐体上の単一の電極の厳密な配置、又は送信電極TE及び補償電極CEに供給される交流電気信号の個々の測定並びに厳密な特徴は、装置の実際の形状及びサイズに依存する。電極配置、電極測定、及び交流信号の特徴は、実際の装置に対して実験的に決定することができ、受信電極REで発生する電流を参照して上述した諸要件によって確実な検出を可能にすることができるように相互に較正することができる。
【0080】
ハンドヘルド装置の底部における可能な電極の構成の一例を図1に記す。
【0081】
図1は、(装置の底部、並びに遠隔制御装置の横軸及び縦軸のそれぞれに沿った各断面から見た)遠隔制御装置における送信電極TE、受信電極RE、及び補償電極CEの可能な配置を示す。補償電極CEは送信電極SEと受信電極REとの間に配置される。受信電極REに作用している交流電場は、交流電場内で放射する補償電極CEに応じて減衰又は消滅する。
【0082】
図1では、電極、特に送信電極TE及び受信電極REの配置が、配置されるときに表面に接触しないように機器の底部に配置されることが分かる。この配置は、補償電極CEの影響範囲から引き離される場合がある送信電極TEと受信電極REとの間の直接の電流路を回避するために、導電表面の場合に特に重要である。
【0083】
図1に示す2つの補償電極CEは互いに電気的に接続することができる。代替的に、補償電極CEのうちの一方をシステム調整用に提供することもできる。この用途では、両補償電極CEは互いに電気的に接続されてはならない。
【0084】
図1に示す電極は、携帯電話又はゲームコンソール用の入力装置に比較可能に配置することもできる。
【0085】
図2a〜図2cから示される図面を参照して、電極配置の機能をより綿密に説明する。
【0086】
図2aは、手の接近がない状態の表面に配置された遠隔制御装置を示す。遠隔制御装置は「スリープモード」に設定され、遠隔制御装置全体で必要な電力を最小に低減することができる。
【0087】
図2bは、手が接近中の状態の遠隔制御装置を示す。この用途では、遠隔制御装置はスリープモードから「ウェイクアップ」して「切り替えモード」にシフトする。切り替えモードでは様々なアクティブ化機能又は初期化機能を実行することができ、それによって、遠隔制御装置が握られるときに、機能を完全に利用することが可能である。
【0088】
アクティブ化機能の一例は遠隔制御装置ディスプレイの電源投入である。別の例は、キー照明の電源投入である。アクティブ化機能は、キー照明が所定の光強度未満でのみアクティブ化されるように、フォトセンサと組み合わせて設定することができる。
【0089】
図2cは、人間の手で握られた遠隔制御装置を示す。遠隔制御装置はここでは「アクティブモード」に設定され、完全な無制限の機能を利用可能にされる。
【0090】
送信電極TE及び受信電極REは、送信電極TEと受信電極REとの間のインピーダンスの和が十分に大きく、それによって、送信電極TEが発する電場がいかなる状況でも十分な減衰を受けるように筐体底部に配置される(図1も参照)。受信電極内の減衰信号を通じて、装置をスリープモードから切り替えモードに切り替えるのに足りない電流のみが発生する。両電極の電極幾何学的形状並びに互いに対するそれらの電極の配置は、所定の生成器の電圧及び生成器の周波数によって単純に実験的に決めることができる。このようにして、単一の電極の電極表面、及び/又は電極の間隔、及び/又は電極の位置、及び/又は電極の材料は互いに、送信電極SEと受信電極REとの間で対応するインピーダンスを達成するように適合することができる。
【0091】
送信電極SEと受信電極REとの間のインピーダンスの和は、
送信電極TEと表面との間のインピーダンス、
表面自体のインピーダンス、及び
表面と受信電極REとの間のインピーダンス
である。
【0092】
表面のインピーダンスはゼロ付近であり得る。
【0093】
表面が導電材料から成る場合、送信電極TEと受信電極REとの間の結合は強くなるが、その結合は補償電極信号CEの放射を通じて無効化される(補償電極CEが発する交流電場は表面にも同様に作用する)。結果として、支持材料に応じて受信電極REで発生するアンペアに大きな差は生じない。
【0094】
送信電極TEから遠隔制御装置の表面及び/又は壁を通じて受信電極REまでの「ウェイクアップ」に十分な電流量は、補償電極CEが発する交流電場によって回避される。
【0095】
人間の手が遠隔制御装置に接近中である場合(図2bに示すように)、受信電極の電流は所定の閾値I0を超え、遠隔制御装置を切り替えるか、又はウェイクアップさせる。閾値I0は、好ましくは、遠隔制御装置の周囲の電場特性を考慮して決定され、そのため、追加補償電極CEを調整のために提供することができる。
【0096】
手が接近中の場合、送信電極TEと受信電極REとの間の減衰信号の低減の結果、電流が増大する。この用途では、2つの影響が重要な役割を果たす。
【0097】
a)第1の電極の親指との結合が増大する(どちらの手が遠隔制御装置に接触するかに応じて、第1の電極は送信電極TEであるか、又は受信電極REである)。手は、親指から4本の指まで非常に小さなインピーダンスを有する。第2の電極への4本の指の結合も増大する。
【0098】
b)信号パス(送信/受信電極−手−受信/送信電極)が補償電極CEを伝達し、それによって受信電極REに結合した交流電場に対する補償電極CEの交流電場の影響が低減する。
【0099】
このようにして、送信電極TEから手を通じて受信電極REに送られる交流電場も、補償電極CEの交流電場を通じての補償のさらなる減衰を受ける。システム全体における補償電極CEの影響が過剰に優勢ではないことが重要であり、そうでなければ、人間の手の接近は「電気的に隠されて」しまう。
【0100】
続けて、遠隔制御装置が最終的に人間の手で完全に握られると(図2c参照)、受信電極REの電流は別の所定の閾値I1を超え、遠隔制御装置を完全にアクティブ化する。閾値I1も、好ましくは、人間の手が接近していない状態の支持体上の装置が前に有した、遠隔制御装置の周囲の電場特性を考慮して決定される。ハンドヘルド装置に2つ以上の電極システムが備えられている場合、各電極システムの閾値I0及びI1を別様に定義することができる。
【0101】
電極が互いにそのように配置される場合、レベル及びインピーダンスが互いに以下のように挙動することが有利である。
【0102】
【数2】
【0103】
式中、
P1は、第1の接近(=装置がスリープモードから切り替えモードにシフトする手の接近)の結果として生じる交流電場のレベルであり、
P2は、第2の接近(=装置が切り替えモードからアクティブモードにシフトする手の接近)の結果として生じる交流電場のレベルであり、
Z1は、第1の接近における送信電極と受信電極との間のインピーダンスであり、
Z2は、第2の接近における送信電極と受信電極との間のインピーダンスである。
【0104】
この要件を満たす電極配置は実験的に決定することができる。これら要件を満たす電極配置では、電極配置の感度は手が装置に近づくにつれて増大する。
【0105】
補償電極CEから発せられる交流電場は、人間の手を通じての送信電極TEと受信電極REとの略直接の結合(手が遠隔制御を完全に握っているとき)における受信器のレベル低減に対してほんのわずかしか影響しない。
【0106】
図3は、原理図に基づいて送信電極TEと受信電極REとの結合を示す。
【0107】
送信電極TEで放射される交流電場は指内で結合する。しかし、送信電極TEの交流電場の一部分は受信電極RE内でも結合する。補償電極CEで放射される交流電場(破線矢印で示される)も、部分的に人間の指内で、且つ部分的に受信電極RE内で結合する。
【0108】
指外部での送信電極TEの交流電場に対する補償電極CEの交流電場の影響(参照番号30)は保持される。受信電極REに対して直接作用する、送信電極TEから放射される交流電場は、補償電極CEの交流電場を通じて実際のレベル低減を受ける。
【0109】
それに代えて、指内での送信電極TEの交流電場に対する補償電極CEの交流電場の影響(参照番号40)はより小さく、受信電極REでの電流を実際に増大させる。これは例えば、送信電極TE及び補償電極CEが、補償電極CEでの電場強度が送信電極TEでの電場強度よりも小さいようにレイアウトされることによって達成することができる。したがって、送信電極TEと受信電極REとの結合は、補償電極の影響範囲から少なくとも部分的に引き離されている指を通じて発生する。
【0110】
図10を参照して、送信電極TEと受信電極REとの結合並びにこの結合に対する補償電極CEの交流電場の影響について、コンピュータマウスの例を使用してもう一度説明する。
【0111】
さらなる実施形態では、補償電極は、システムの自己調整を実行するために、遠隔制御装置の周囲の電場の特性を測定するためにも使用することができる。
【0112】
図4は、遠隔制御装置の底部の電極の非対称配置を示す。このようにして、遠隔制御装置への接近の右/リンクの区別を行うことができる。接近方向による受信電極REでの電流の時間的過程を図4のチャートに示し、特性曲線10は右接近を表し、特性曲線20は左接近を表す。このようにして、右側の接近を左側の接近と容易に区別することもできる。
【0113】
図5は、遠隔制御装置の底部の電極の代替の配置を示す。少なくとも3つの電極TE、CE、及びREが、装置の壁の一本の指毎に設けられるリブの溝に導入される。それによって、送信電極TEから受信電極REに手内で発生する電流路によって補償電極CEの交流電場が迂回される。
【0114】
本発明によれば、いくつかの送信電極TE、受信電極RE、及び補償電極CEを遠隔制御装置又は任意の他の電気ハンドヘルド装置、例えばコンピュータマウスに提供することもできる。コンピュータマウスへの電極の代替の配置については図13a〜図13jに示す。
【0115】
本発明によれば、電極構造のそれぞれが送信電極、受信電極、及び補償電極を有する、いくつかの電極構造をハンドヘルド装置に配置することもできる。電極構造はそれぞれ、好ましくは、当該電極構造のそれぞれを使用して、上記原理によるハンドヘルド装置への接近又は接触の検出が可能なようにレイアウトされる。
【0116】
2つの電極構造を有するハンドヘルド装置の一例を図6に示す。図6は、他のハンドヘルド装置を代表するゲームコンソール用の入力装置100を示す。入力装置100は、2つの近接高感度エリア又は接触高感度エリア110及び120を有する。ケース表面の下のこれらエリアに、上述した電極構造のうちの1つが配置される。電極構造は図6に示されていない。入力装置の電極構造の電極配置は、例えば、図1を参照して示したように選ぶことができる。
【0117】
エリア110及び120に関連する両方の高感度電極構造は、ここでは示されていない評価電子装置に結合される。電極構造への接近を連続して読み取ることができる。この用途では、電子評価装置を、例えば、電極構造のマルチプレクサに結合することができる。
【0118】
代替的に、電子評価装置を電極構造のそれぞれに設けることができる。
【0119】
両方の電極構造を用いて、入力装置100のどこが接触されているかを区別することができる。エリア110、120のいずれが接触されているか、又はユーザの片手若しくは両手がいずれのエリアに接近中であるかに従って、電子評価装置は入力装置の異なる機能をアクティブ化するか、又は実行することができる。
【0120】
図7は、いくつかの電極構造を有するハンドヘルド装置への接近及び/又は接触を検出する3つの例を示す。いわゆる「ゲームコントローラ」100がここでは一例として示され、すでに図6に示したように、2つの近接高感度ゾーン又は接触高感度ゾーン110及び120を有する。ゲームコントローラ100は、ここでは例えば、ゲームコンソールを用いてプレイされるゴルフゲームのゴルフクラブとして使用することができる。ゴルフゲームのゴルフクラブは両手で握らなければならないため、高感度エリア110(図7の左側に示す)のみ又は高感度エリア120(図7の中央に示す)のみとの接触は、ゴルフクラブのいかなる機能も決定しないか、又はゴルフコントローラ100のゲームコンソールの移動を無視する。また、ゲームコントローラ100は、ゴルフクラブとして使用するには、ゲームコントローラ100を両手で握る(図7の右の図)必要があることをユーザに示すことができる。
【0121】
このような機能はゲームコントローラのみに制限されず、様々なハンドヘルド装置、例えば携帯電話又はMP3プレーヤに提供することができる。
【0122】
同様に、図6及び図7に示す3つ以上の電極構造を提供することができる。そのため、3つの電極構造の場合、互いに隔てられた3つの高感度エリアを、例えばハンドヘルド装置上に、ゲームコントローラとして配置することができる。
【0123】
ハンドヘルド装置内又はハンドヘルド装置上の適切な手段を通じて測定される他のセンサデータとの組み合わせも可能である。そのため、例えば位置決めセンサ又は加速度センサを通じて検出することができるMP3プレーヤを振ることによって、MP3プレーヤがどこに保持されているかに応じて異なる動作を発生させることができる。MP3プレーヤがキーボードのエリアに保持されている場合、振ることによって、音楽トラックの順番を変えることができるのに対して、ディスプレイに保持されている場合、振っている間、別の音楽トラックのランダムな選曲が決定される。
【0124】
本発明をコンピュータマウスに基づいて以下に説明する。
【0125】
図8に示すように、本発明による解決策は3つの主要モジュールの特定の組み合わせにある。
【0126】
第1の主要モジュール200は、接近中の人間の手を検出する3つの電場電極を備える。
【0127】
第2の主要モジュール300は、第1の主要モジュールから導出される信号のアナログ信号処理を達成する。
【0128】
第3の主要モジュール400は、信号制御ユニット(MCU)として実行され、2つの上述した主要モジュールの信号制御を行い、電場から得られた情報を接続された外部ハードウェアに送る。
【0129】
これより、単一のモジュールについてより詳細に説明する。
【0130】
A)第1の主要モジュール200−電場電極
電極の特に有利な配置を図9に示す。コンピュータマウスの上側に、3つの電場電極TE、CE、REが配置される。より広い電極TE(=送信電極)には、50KHz〜300KHzの周波数及び20Vの値を超えるべきではない信号振幅を有することができる切り替え信号が供給される。必要とする表面が電極TEより小さくてよい電極CE(=補償電極)にも、電極TEの電気信号フォームが供給される。電極TEと電極CEとの検出特徴を表す電気信号の相違は、−140°〜+140°の位相差である。さらに、両電極の信号振幅差も、電極配置の所望であり、必要な場合には空間的に方向付けられもする検出性能にとって有利であることができる。
【0131】
電極RE(=受信電極)は、下流アナログ信号処理において信号入力に接続される。
【0132】
図10にこの配置の相互作用をさらに示す。コンピュータマウス上の3つの電極は、手が十分に引き離されているか、又は完全になくなると、電極CEが発する位相が遅れた電場の助けによって電極TEが発する電場を通じて電極REで影響を及ぼす電場がなくなるように解釈される。人間の手が最小距離よりも小さな距離でコンピュータマウスに接近する場合、電極TEから手を通じて電極REへの新しい電流路が生成され、この電流路は電極CEの影響範囲から引き離されると共に、電極REにおける電流の大幅な上昇をもたらす。
【0133】
B)第2の主要モジュール300−アナログ信号処理
図11に、コードレスコンピュータマウスのアナログ信号処理の好ましい回路構造を示す。T1の配線は、一方では、動作周波数範囲内のモジュールの信号入力のインピーダンスが最小に達し、他方では、信号増幅が、各構成要素及びその可能な限り最小の峻度によって、動作的に安定した最大となるように解釈される。
【0134】
T2の以下の信号補強並びにこの構成要素の出力インピーダンスは、D1の助けによって、モジュールの信号出力において、可能な限り速く、且つ大きなエネルギー供給を必要とせずに、モジュールの信号入力のAC信号の直接推定されるDC信号を得るように解釈される。
【0135】
C)第3の主要モジュール400−信号制御ユニット(MCU)
図12に、コードレスコンピュータマウスの信号制御ユニットの特に有利な実施形態を示す。信号制御ユニットは中央MCUから成る。このモジュールを通じて処理される信号処理プロセスは、以下の可能な機能を含むことができる。
【0136】
MCUは、タイマの助けによって、3つすべてのモジュールの実行タスクが実施される(=アクティブフェーズ)、例えば1msのタイミングスロットを周期的に生成する。これらタイミングスロットは、必要であれば拡張又は短縮してもよい。図12は、MCUが残りの時間間隔、例えば100msに3つすべてのモジュールの必要最小電流をさらに提供すること(=休止フェーズ)も示す。これら間隔は、例えばアクティブフェーズ内で登録される数量の変更を通じて任意に拡張又は短縮することができる。
【0137】
MCUは、アクティブフェーズにおいて、供給スイッチの助けによって必要最小限の経過時間のみにわたってエネルギー供給をアナログ信号処理に供給する。
【0138】
MCUは、アクティブフェーズにおいて、予め定義された経過時間にわたって両電場電極TE及びCEに必要な切り替え信号を生成する。この経過は任意に拡張又は短縮することができる。
【0139】
MCUは、アクティブフェーズ内部のA/Dコンバータの助けによって実際の動作電圧を測定し、この/これらの測定値(複数可)を連続結果計算に含める。
【0140】
MCUは、アクティブフェーズにおいて、NDコンバータの助けによって、1つの信号入力又は複数の信号入力においてアナログ信号処理を生成した、固定された所定の時点までの交流電圧/パルス電圧量を検出する。
【0141】
MCUは、アクティブモードにおいて、CPU、REM、フラッシュ、及びファームウェアに含まれるアルゴリズムの助けによって、すべての測定値を評価し、論理的結論を引き出し、関わるすべてのモジュールの後続する実行動作を決定する。
【0142】
MCUは、オプションとして、アクティブフェーズにおいて、シリアルインタフェースモジュール及び/又はパラレルインタフェースモジュールの助けによって、その情報、例えばWake-Up信号を接続された外部ハードウェアに送信する。
【0143】
MCUは、オプションとして、アクティブフェーズにおいて、外部ルーチンが処理されたとき、接続された外部ハードウェアからの返答/信号、例えばGo-To-Sleep信号を待つ。
【0144】
MCU自体は、アクティブフェーズの終わりにスリープモード(=低電力モード)にシフトし、ここから独立して、且つ/又は外部電気信号を通じて復帰することができる。
【0145】
本発明による概念は、接近中の人の電場によって実行される検出の助けによって「未来を調べる」こと、及び特に適合されるアナログフロントエンドの最適化された対話をMCUを制御するすべてのプロセスと組み合わせることを通じて、利用されるエネルギー貯蓄システム、例えば電池の寿命の増大に繋がると共に、例えば、この技術を有するコンピュータマウスを使用して、ユーザが「知覚」する応答時間の低減/消滅に繋がる。「知覚」される応答時間の消滅は、コンピュータマウスがスリープモードからウェイクアップモードにシフトする上述した第1の閾値I0を通じておおよそ達成することができる。
【0146】
コンピュータマウスでの幾何学的構造及び配置について、電極は上述した実施形態と比較して別様に配置することも可能である。
【0147】
コンピュータマウス上の電極配置のいくつかの可能な変形を以下に示す。これら異なる電極配置は他のハンドヘルド装置に提供することも可能である。
【0148】
図13aは、送信電極と受信電極とが180°回転した線対象配置を示す。
【0149】
図13bは、検出範囲について最適化された線対象配置を示す。
【0150】
図13cは、すべての電極の半回転対称配置を示す。
【0151】
図13dは、すべての電極を任意に、ここでは約45°回転させた配置を示す。
【0152】
図13eは、すべての電極の完全回転対称配置を示す。
【0153】
図13fは、点対称配置のマルチスプリット送信電極TE及び受信電極REを示す。この構築を通じて、ジェスチャーの検出が特に有利な方法で可能である。例えば、右上からの接近は、個々の受信電極の電流が(明らかに)異なるという点で左下からの接近と異なる。
【0154】
図13gは、点対称配置、線対称配置、又は非対称配置でのマルチスプリット側部受信電極REを示す。この構築を通じても、ジェスチャーの検出が有利な方法で可能である。受信電極REの接近方向によって、電流がその都度異なるため、接近方向も同様に検出することができる。横にある送信電極TEも適用可能である。
【0155】
図13hは、完全回転対称配置のマルチスプリット受信電極を示す。それによって、ジェスチャー並びに接近方向の検出が可能である。
【0156】
図13iは、二軸対称配置のマルチフラグメント送信電極を示す。ここでジェスチャーの検出が可能である。
【0157】
図13jは、線対称若しくは点対称のいくつか/すべての電極又は完全な非対称も同様に含み得る電極の助けによる面白い設計を示す。ここでジェスチャーの検出が可能である。
【0158】
対応して形成及び挿入されるか、又は金属表面セクション電極構成要素で作られる電場電極の実行に対する代替として、全体装置/動作エリア内及び/又は下の単一又は追加のプラスチック材料及び/又はケース材料を使用して電極を作成することも可能である。
【0159】
さらに、図14に示す構成を有する回路を実施することも可能である。図14に示す回路設計の場合、アナログ信号処理は、信号出力において、受信電極電流のコピーが生成されるような形態(ここでは、下流DC整流無しの配置)で配線接続される計算増幅器の助けで行われる。Ca、Ra、Cb、及びRxの構成要素はオプションとして必要であり、Rbの場合、その離散的又は間接的な形態の実現が推奨される。さらに、信号制御ユニット内のA/Dコンバータを止め、それに代えて、1つ又はいくつかのコンパレータの結果に基づいてさらなる論理動作を処理することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ハンドヘルド装置であって、表面(A)上に配置することができ、少なくとも送信電極(TE)、受信電極(RE)、及び該送信電極(TE)と該受信電極(RE)との間に配置される補償電極(CE)を備え、該送信電極(TE)、該受信電極(RE)、及び該補償電極(CE)によって該ハンドヘルド装置への手の接近(D1、D2)が検出可能であり、
前記送信電極(TE)から第1の交流電場(AS)が、前記補償電極(CE)から第2の交流電場(AK)が放射されることができ、前記第1の交流電場(AS)は前記第2の交流電場(AK)に対して位相が遅れ、前記交流電場(AS、AK)は前記表面(A)及び前記受信電極(RE)に結合することができ、
前記受信電極(RE)に結合された前記交流電場(AS、AK)は、該受信電極(RE)に電流(I)を発生させ、これは、該ハンドヘルド装置への手の接近(D1、D2)を表し、
該ハンドヘルド装置上の前記送信電極(TE)及び前記受信電極(RE)は、該送信電極(TE)と該受信電極(RE)との間のインピーダンスであって、
前記送信電極(TE)と前記表面(A)との間のインピーダンス、
前記表面(A)のインピーダンス、及び
前記表面(A)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンス、
から成る、インピーダンスの和が、該ハンドヘルド装置が前記表面(A)に配置されるとき、所定の値(Z0)を超えるように配置され、これは、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を所定の値(I0)未満に保持するのに適することを特徴とする電気ハンドヘルド装置。
【請求項2】
電気ハンドヘルド装置であって、表面(A)上に配置することができ、少なくとも1つの送信電極(TE)、少なくとも1つの受信電極(RE)、及び該送信電極(TE)と該受信電極(RE)との間に配置される少なくとも1つの補償電極(CE)をそれぞれが含むいくつかの電極構造(ES1、ES2)を備え、該いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれを使用して該ハンドヘルド装置への手の接近が検出可能であり、前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれは、
前記送信電極(TE)から第1の交流電場(AS)が、前記補償電極(CE)から第2の交流電場(AK)が放射されることができ、前記第1の交流電場(AS)は前記第2の交流電場(AK)に対して位相が遅れ、前記交流電場(AS、AK)は前記表面(A)及び前記受信電極(RE)に結合することができ、
前記受信電極(RE)に結合された前記交流電場(AS、AK)は、該受信電極(RE)に電流(I)を発生させ、これは、該ハンドヘルド装置上の前記電極構造(ES1、ES2)への手の接近を表し、
該ハンドヘルド装置上の前記送信電極(TE)及び前記受信電極(RE)は、該送信電極(TE)と該受信電極(RE)との間のインピーダンスであって、
前記送信電極(TE)と前記表面(A)との間のインピーダンス、
前記表面(A)のインピーダンス、及び
前記表面(A)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンス、
から成る、インピーダンスの和が、該ハンドヘルド装置が前記表面(A)に配置されるとき、所定の値(Z0)を超えるように配置され、これは、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を所定の値(I0)未満に保持するのに適するように形成されることを特徴とする電気ハンドヘルド装置。
【請求項3】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)は電子評価装置に結合され、該電子評価装置は、前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれへの手の接近を連続して評価するように作成されることを特徴とする請求項2に記載のハンドヘルド装置。
【請求項4】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれは電子評価装置にそれぞれ結合され、各電子評価装置は、該それぞれの結合される電極構造(ES1、ES2)への手の接近を評価するように形成されることを特徴とする請求項2に記載のハンドヘルド装置。
【請求項5】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれの前記送信電極(TE)、前記補償電極(CE)、及び前記受信電極(RE)は、前記ハンドヘルド装置が前記表面(A)に配置されるとき、該表面に接触しないように該ハンドヘルド装置に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項6】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれの前記送信電極(TE)、前記補償電極(CE)、及び前記受信電極(RE)は、前記ハンドヘルド装置の表面に配置されることを特徴とする請求項5に記載のハンドヘルド装置。
【請求項7】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれの前記送信電極(TE)、前記補償電極(CE)、及び前記受信電極(RE)は、前記ハンドヘルド装置の前記表面を向く側に配置されることを特徴とする請求項5又は6に記載のハンドヘルド装置。
【請求項8】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれにおいて、前記補償電極(CE)で放射される前記第2の交流電場(AK)は、前記送信電極(TE)で放射される前記第1の交流電場(AS)に少なくとも部分的に干渉し、重ね合わせを通じて生じる前記交流電流のレベルを低減させ、これによって、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を低減させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項9】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれにおいて、前記ハンドヘルド装置への手の第1の接近(D1)が、前記所定の値(Z0)とさらなる所定の値(Z1)との間に含まれる、前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスの和を変化させ、Z0>Z1であり、これは、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を前記所定の値(I0)を超えさせるのに適することを特徴とする請求項8に記載のハンドヘルド装置。
【請求項10】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれにおいて、前記ハンドヘルド装置への手の第2の接近(D2)が、前記さらなる所定の値(Z1)未満にある、前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスの和を変化させ、これは、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を第2の所定の値(I1)を超えさせるのに適し、I1>I0であることを特徴とする請求項9に記載のハンドヘルド装置。
【請求項11】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のうちの少なくとも1つの少なくとも前記受信電極(RE)は制御装置に結合され、該制御装置は、前記ハンドヘルド装置の
電流(I0)よりも低いスリープモード、
電流(I0)よりも高く且つ電流(I1)よりも低い切り替えモード、及び
電流I1よりも高いアクティブモード、
をもたらすように構築されることを特徴とする請求項10に記載のハンドヘルド装置。
【請求項12】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれの前記送信電極(TE)、前記受信電極(RE)、及び前記補償電極(CE)は、前記ハンドヘルド装置への手の接近(D1、D2)によって、前記重ね合わせから生じる前記交流電場のレベルを上昇させ、前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスを低減させるように構築されることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項13】
前記第1の接近(D1)において結果として生じる交流場のレベル(P1)と前記第2の接近(D2)において結果として生じる交流場のレベル(P2)との比が、前記第2の接近(D1)での送信電極と受信電極との間のインピーダンス(Z1)と第1の接近(D1)での送信電極と前記受信電極との間のインピーダンス(Z1)との比よりも小さいことを特徴とする請求項12に記載のハンドヘルド装置。
【請求項14】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のうちの少なくとも1つの前記送信電極(TE)、前記受信電極(RE)、及び前記補償電極(CE)は、手の接近の左/右を区別するために非対称に配置されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項15】
前記区別に応じて、所定の装置機能を実行することができることを特徴とする請求項14に記載のハンドヘルド装置。
【請求項16】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)の少なくとも1つの前記補償電極(CE)から放射される前記第2の交流電場(AK)は、前記ハンドヘルド装置の周囲の電場に応じて所定の値(I0)を適合させるために提供されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項17】
前記評価電子回路は、電極構造への接近を表す信号を提供するように形成されることを特徴とする請求項3〜16のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項18】
遠隔制御装置であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項19】
携帯電話であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項20】
ゲームコンソール用の入力装置であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項21】
ハンドヘルド装置であって、
ケース装置と、
それ自体で前記ケース装置のX軸方向及びY軸方向へのシフトに相関する制御データを生成するシフト検出構成と、
それ自体で前記ケース装置に面する手の接近状態を記述する信号を生成する手検出構成と、
を有し、
前記手検出構成は、3つの電場電極(TE、CE、RE)を有する電極群と、
前記電場電極に結合される回路構成と、
を備え、
前記回路構成は、前記電場電極(TE、CE、RE)のうちの少なくとも1つに、動作周波数で交流する生成器電圧を供給することができるように形成され、
マイクロコントローラユニット(MCU)として実装される信号制御ユニットに伝達される電極信号を生成するタップ回路が設けられることを特徴とするハンドヘルド装置。
【請求項22】
前記タップ回路の信号入力でのインピーダンスは動作周波数範囲内の最小値に達することを特徴とする請求項21に記載のハンドヘルド装置。
【請求項23】
信号増幅は、前記可能な限り最小の峻度の場合に動作的に安定した最大値となるように処理されることを特徴とする請求項21又は22に記載のハンドヘルド装置。
【請求項24】
続けてさらなる信号増幅が行われ、好ましくは、前記タップ回路の出力インピーダンスは、該タップ回路の出口においてAC入力信号から直接導出されるDC出力信号が実現されるように設計されることを特徴とする請求項23に記載のハンドヘルド装置。
【請求項25】
マイクロコントローラユニット(MCU)として実装される前記信号制御ユニットの前記DC出力信号は伝達されることを特徴とする請求項24に記載のハンドヘルド装置。
【請求項26】
生成装置は前記信号制御ユニット内に直接含められることを特徴とする請求項25に記載のハンドヘルド装置。
【請求項27】
前記タップ回路は、前記タップ回路の第1の補強ステップが電圧供給信号制御装置によって行われるように前記信号制御ユニットに取り付けられることを特徴とする請求項25又は26に記載のハンドヘルド装置。
【請求項28】
前記信号制御装置は、スリープモード及びアクティブモードをもたらすように構築されることを特徴とする請求項21に記載のハンドヘルド装置。
【請求項29】
スリープモードカバレッジにおいて、接近状態の検出は、休止期間によって互いから隔てられる間隔で行われることを特徴とする請求項28に記載のハンドヘルド装置。
【請求項30】
コンピュータマウス、遠隔制御装置、携帯電話、又はゲームコンソール用の入力装置であることを特徴とする請求項21〜29のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項31】
少なくとも送信電極(TE)、受信電極(RE)、及び補償電極(CE)を有するハンドヘルド装置に配置される電極システムであって、前記補償電極(CE)は前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間に配置することができ、前記電極システムは、
前記送信電極(TE)から第1の交流電場(AS)が、前記補償電極(CE)から第2の交流電場(AK)が放射されることができ、前記第1の交流電場(AS)は前記第2の交流電場(AK)に対して位相が遅れ、前記交流電場(AS、AK)は前記受信電極(RE)に結合することができ、
前記受信電極(RE)に結合された前記交流電場(AS、AK)は、前記受信電極(RE)に電流(I)を発生させ、これは、該電極システムへの手の接近を表す、
ように形成されることを特徴とする電極システム。
【請求項32】
前記送信電極(TE)及び前記受信電極(RE)は、前記ハンドヘルド装置が表面(A)上に配置されるとき、前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスが所定の値(Z0)を超えるように前記ハンドヘルド装置上に配置することができ、前記所定の値(Z0)は、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を所定の値(I0)未満に保持するのに適することを特徴とする請求項31に記載の電極システム。
【請求項33】
前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスは、
前記送信電極(TE)と前記表面(A)との間のインピーダンス、
前記表面(A)のインピーダンス、及び
前記表面(A)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンス、
から成る、前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスの和であることを特徴とする請求項32に記載の電極システム。
【請求項34】
前記電極システムは評価電子回路に結合することができ、該評価電子回路は、電極システムへの手の接近を評価すると共に、接近を表す信号を提供するように適合されることを特徴とする請求項31〜33のいずれか一項に記載の電極システム。
【請求項35】
請求項31〜34のいずれか一項に記載の電極システムを少なくとも1つ有することを特徴とするハンドヘルド装置、特にコンピュータマウス、遠隔制御装置、携帯電話、又はゲームコンソール用の入力装置。
【請求項1】
電気ハンドヘルド装置であって、表面(A)上に配置することができ、少なくとも送信電極(TE)、受信電極(RE)、及び該送信電極(TE)と該受信電極(RE)との間に配置される補償電極(CE)を備え、該送信電極(TE)、該受信電極(RE)、及び該補償電極(CE)によって該ハンドヘルド装置への手の接近(D1、D2)が検出可能であり、
前記送信電極(TE)から第1の交流電場(AS)が、前記補償電極(CE)から第2の交流電場(AK)が放射されることができ、前記第1の交流電場(AS)は前記第2の交流電場(AK)に対して位相が遅れ、前記交流電場(AS、AK)は前記表面(A)及び前記受信電極(RE)に結合することができ、
前記受信電極(RE)に結合された前記交流電場(AS、AK)は、該受信電極(RE)に電流(I)を発生させ、これは、該ハンドヘルド装置への手の接近(D1、D2)を表し、
該ハンドヘルド装置上の前記送信電極(TE)及び前記受信電極(RE)は、該送信電極(TE)と該受信電極(RE)との間のインピーダンスであって、
前記送信電極(TE)と前記表面(A)との間のインピーダンス、
前記表面(A)のインピーダンス、及び
前記表面(A)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンス、
から成る、インピーダンスの和が、該ハンドヘルド装置が前記表面(A)に配置されるとき、所定の値(Z0)を超えるように配置され、これは、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を所定の値(I0)未満に保持するのに適することを特徴とする電気ハンドヘルド装置。
【請求項2】
電気ハンドヘルド装置であって、表面(A)上に配置することができ、少なくとも1つの送信電極(TE)、少なくとも1つの受信電極(RE)、及び該送信電極(TE)と該受信電極(RE)との間に配置される少なくとも1つの補償電極(CE)をそれぞれが含むいくつかの電極構造(ES1、ES2)を備え、該いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれを使用して該ハンドヘルド装置への手の接近が検出可能であり、前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれは、
前記送信電極(TE)から第1の交流電場(AS)が、前記補償電極(CE)から第2の交流電場(AK)が放射されることができ、前記第1の交流電場(AS)は前記第2の交流電場(AK)に対して位相が遅れ、前記交流電場(AS、AK)は前記表面(A)及び前記受信電極(RE)に結合することができ、
前記受信電極(RE)に結合された前記交流電場(AS、AK)は、該受信電極(RE)に電流(I)を発生させ、これは、該ハンドヘルド装置上の前記電極構造(ES1、ES2)への手の接近を表し、
該ハンドヘルド装置上の前記送信電極(TE)及び前記受信電極(RE)は、該送信電極(TE)と該受信電極(RE)との間のインピーダンスであって、
前記送信電極(TE)と前記表面(A)との間のインピーダンス、
前記表面(A)のインピーダンス、及び
前記表面(A)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンス、
から成る、インピーダンスの和が、該ハンドヘルド装置が前記表面(A)に配置されるとき、所定の値(Z0)を超えるように配置され、これは、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を所定の値(I0)未満に保持するのに適するように形成されることを特徴とする電気ハンドヘルド装置。
【請求項3】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)は電子評価装置に結合され、該電子評価装置は、前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれへの手の接近を連続して評価するように作成されることを特徴とする請求項2に記載のハンドヘルド装置。
【請求項4】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれは電子評価装置にそれぞれ結合され、各電子評価装置は、該それぞれの結合される電極構造(ES1、ES2)への手の接近を評価するように形成されることを特徴とする請求項2に記載のハンドヘルド装置。
【請求項5】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれの前記送信電極(TE)、前記補償電極(CE)、及び前記受信電極(RE)は、前記ハンドヘルド装置が前記表面(A)に配置されるとき、該表面に接触しないように該ハンドヘルド装置に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項6】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれの前記送信電極(TE)、前記補償電極(CE)、及び前記受信電極(RE)は、前記ハンドヘルド装置の表面に配置されることを特徴とする請求項5に記載のハンドヘルド装置。
【請求項7】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれの前記送信電極(TE)、前記補償電極(CE)、及び前記受信電極(RE)は、前記ハンドヘルド装置の前記表面を向く側に配置されることを特徴とする請求項5又は6に記載のハンドヘルド装置。
【請求項8】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれにおいて、前記補償電極(CE)で放射される前記第2の交流電場(AK)は、前記送信電極(TE)で放射される前記第1の交流電場(AS)に少なくとも部分的に干渉し、重ね合わせを通じて生じる前記交流電流のレベルを低減させ、これによって、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を低減させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項9】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれにおいて、前記ハンドヘルド装置への手の第1の接近(D1)が、前記所定の値(Z0)とさらなる所定の値(Z1)との間に含まれる、前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスの和を変化させ、Z0>Z1であり、これは、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を前記所定の値(I0)を超えさせるのに適することを特徴とする請求項8に記載のハンドヘルド装置。
【請求項10】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれにおいて、前記ハンドヘルド装置への手の第2の接近(D2)が、前記さらなる所定の値(Z1)未満にある、前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスの和を変化させ、これは、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を第2の所定の値(I1)を超えさせるのに適し、I1>I0であることを特徴とする請求項9に記載のハンドヘルド装置。
【請求項11】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のうちの少なくとも1つの少なくとも前記受信電極(RE)は制御装置に結合され、該制御装置は、前記ハンドヘルド装置の
電流(I0)よりも低いスリープモード、
電流(I0)よりも高く且つ電流(I1)よりも低い切り替えモード、及び
電流I1よりも高いアクティブモード、
をもたらすように構築されることを特徴とする請求項10に記載のハンドヘルド装置。
【請求項12】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のそれぞれの前記送信電極(TE)、前記受信電極(RE)、及び前記補償電極(CE)は、前記ハンドヘルド装置への手の接近(D1、D2)によって、前記重ね合わせから生じる前記交流電場のレベルを上昇させ、前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスを低減させるように構築されることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項13】
前記第1の接近(D1)において結果として生じる交流場のレベル(P1)と前記第2の接近(D2)において結果として生じる交流場のレベル(P2)との比が、前記第2の接近(D1)での送信電極と受信電極との間のインピーダンス(Z1)と第1の接近(D1)での送信電極と前記受信電極との間のインピーダンス(Z1)との比よりも小さいことを特徴とする請求項12に記載のハンドヘルド装置。
【請求項14】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)のうちの少なくとも1つの前記送信電極(TE)、前記受信電極(RE)、及び前記補償電極(CE)は、手の接近の左/右を区別するために非対称に配置されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項15】
前記区別に応じて、所定の装置機能を実行することができることを特徴とする請求項14に記載のハンドヘルド装置。
【請求項16】
前記いくつかの電極構造(ES1、ES2)の少なくとも1つの前記補償電極(CE)から放射される前記第2の交流電場(AK)は、前記ハンドヘルド装置の周囲の電場に応じて所定の値(I0)を適合させるために提供されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項17】
前記評価電子回路は、電極構造への接近を表す信号を提供するように形成されることを特徴とする請求項3〜16のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項18】
遠隔制御装置であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項19】
携帯電話であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項20】
ゲームコンソール用の入力装置であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項21】
ハンドヘルド装置であって、
ケース装置と、
それ自体で前記ケース装置のX軸方向及びY軸方向へのシフトに相関する制御データを生成するシフト検出構成と、
それ自体で前記ケース装置に面する手の接近状態を記述する信号を生成する手検出構成と、
を有し、
前記手検出構成は、3つの電場電極(TE、CE、RE)を有する電極群と、
前記電場電極に結合される回路構成と、
を備え、
前記回路構成は、前記電場電極(TE、CE、RE)のうちの少なくとも1つに、動作周波数で交流する生成器電圧を供給することができるように形成され、
マイクロコントローラユニット(MCU)として実装される信号制御ユニットに伝達される電極信号を生成するタップ回路が設けられることを特徴とするハンドヘルド装置。
【請求項22】
前記タップ回路の信号入力でのインピーダンスは動作周波数範囲内の最小値に達することを特徴とする請求項21に記載のハンドヘルド装置。
【請求項23】
信号増幅は、前記可能な限り最小の峻度の場合に動作的に安定した最大値となるように処理されることを特徴とする請求項21又は22に記載のハンドヘルド装置。
【請求項24】
続けてさらなる信号増幅が行われ、好ましくは、前記タップ回路の出力インピーダンスは、該タップ回路の出口においてAC入力信号から直接導出されるDC出力信号が実現されるように設計されることを特徴とする請求項23に記載のハンドヘルド装置。
【請求項25】
マイクロコントローラユニット(MCU)として実装される前記信号制御ユニットの前記DC出力信号は伝達されることを特徴とする請求項24に記載のハンドヘルド装置。
【請求項26】
生成装置は前記信号制御ユニット内に直接含められることを特徴とする請求項25に記載のハンドヘルド装置。
【請求項27】
前記タップ回路は、前記タップ回路の第1の補強ステップが電圧供給信号制御装置によって行われるように前記信号制御ユニットに取り付けられることを特徴とする請求項25又は26に記載のハンドヘルド装置。
【請求項28】
前記信号制御装置は、スリープモード及びアクティブモードをもたらすように構築されることを特徴とする請求項21に記載のハンドヘルド装置。
【請求項29】
スリープモードカバレッジにおいて、接近状態の検出は、休止期間によって互いから隔てられる間隔で行われることを特徴とする請求項28に記載のハンドヘルド装置。
【請求項30】
コンピュータマウス、遠隔制御装置、携帯電話、又はゲームコンソール用の入力装置であることを特徴とする請求項21〜29のいずれか一項に記載のハンドヘルド装置。
【請求項31】
少なくとも送信電極(TE)、受信電極(RE)、及び補償電極(CE)を有するハンドヘルド装置に配置される電極システムであって、前記補償電極(CE)は前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間に配置することができ、前記電極システムは、
前記送信電極(TE)から第1の交流電場(AS)が、前記補償電極(CE)から第2の交流電場(AK)が放射されることができ、前記第1の交流電場(AS)は前記第2の交流電場(AK)に対して位相が遅れ、前記交流電場(AS、AK)は前記受信電極(RE)に結合することができ、
前記受信電極(RE)に結合された前記交流電場(AS、AK)は、前記受信電極(RE)に電流(I)を発生させ、これは、該電極システムへの手の接近を表す、
ように形成されることを特徴とする電極システム。
【請求項32】
前記送信電極(TE)及び前記受信電極(RE)は、前記ハンドヘルド装置が表面(A)上に配置されるとき、前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスが所定の値(Z0)を超えるように前記ハンドヘルド装置上に配置することができ、前記所定の値(Z0)は、前記受信電極(RE)で発生する前記電流(I)を所定の値(I0)未満に保持するのに適することを特徴とする請求項31に記載の電極システム。
【請求項33】
前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスは、
前記送信電極(TE)と前記表面(A)との間のインピーダンス、
前記表面(A)のインピーダンス、及び
前記表面(A)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンス、
から成る、前記送信電極(TE)と前記受信電極(RE)との間のインピーダンスの和であることを特徴とする請求項32に記載の電極システム。
【請求項34】
前記電極システムは評価電子回路に結合することができ、該評価電子回路は、電極システムへの手の接近を評価すると共に、接近を表す信号を提供するように適合されることを特徴とする請求項31〜33のいずれか一項に記載の電極システム。
【請求項35】
請求項31〜34のいずれか一項に記載の電極システムを少なくとも1つ有することを特徴とするハンドヘルド装置、特にコンピュータマウス、遠隔制御装置、携帯電話、又はゲームコンソール用の入力装置。
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図13e】
【図13f】
【図13g】
【図13h】
【図13i】
【図13j】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図13e】
【図13f】
【図13g】
【図13h】
【図13i】
【図13j】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【公表番号】特表2011−519219(P2011−519219A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505467(P2011−505467)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054570
【国際公開番号】WO2009/130165
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(507113199)イデント テクノロジー アーゲー (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054570
【国際公開番号】WO2009/130165
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(507113199)イデント テクノロジー アーゲー (19)
【Fターム(参考)】
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