説明

追尾装置

【課題】偽像を目標とする仮説を排除しながら、効率的に追尾処理を行うことができる追尾装置を得る。
【解決手段】各センサで得られた受信電波から目標に当たり反射した反射電波を抽出する波形抽出部4と、2つのセンサに反射電波が到達する時刻の差によって等距離差双曲面を計算し、別の2つセンサの組み合わせからも等距離差双曲面を計算し、さらに複数の等距離差双曲面の交点であって、目標の位置である測位情報を計算する測位情報計算部5と、前記測位情報に基づいて、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を生成し、追尾処理を実施する多重仮説生成追尾処理部61と、前記多重仮説生成追尾処理部によって生成された仮説中に、偽像を目標と見なす仮説が含まれているか否かを判定し、含まれている場合には前記偽像を目標と見なす仮説を除去する仮説絞込み部62とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電波を目標に照射し、反射波を複数のサイトに配置されたセンサで受信し、その受信波の到達時刻差から計算して得られる測位情報を用いて、目標の追尾を行う追尾装置に関するものである。特に、複数目標が近接する状況での追尾処理の効率化を主目的としている。
【背景技術】
【0002】
現在、複数のセンサを用いて、複数の目標を追尾することについては、すでに多くの論文、特許等の公知文献で取り挙げられており、その装置および方法については、様々な提案がなされていることは周知のところである。従来の追尾装置は、パッシブセンサの三角測量で得られた観測値を利用して追尾を行い、追尾航跡の距離や速度の現実性から偽像(ゴースト)の排除を行う。しかしながら、測位結果の偽像の可能性を、双曲面の重複に依って判断しておらず、また、複数仮説を生成した追尾方式を想定していない(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
仮説を複数考えて、観測値と目標の相関を仮説毎に決定し、最終的に最も良い仮説を残せば、より正確な目標追尾が可能である。この第1の方式では、「観測値」、「特定の観測値の時系列を1つの目標と見なして計算した航跡」、「特定の航跡の集合を正しいと見なして構成する仮説」を互いに観測値を共有しないクラスタ毎に処理を行うことによって、処理の効率化を図っている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
上記の第1の方式では、生成された仮説を全て残すのではなく、信頼度の高い仮説を数個残す処理を最終段階で行うのが現実的である。この処理に関連して、信頼度が高い上位N個の仮説を高速に生成する第2の方式がある。この第2の方式では、仮説更新において既存仮説毎に観測値と航跡の相関の尤度を表す尤度行列を計算し、その行列から尤度の合計が高い順に選択の組み合わせを抽出することにより、捨てられてしまうことになる無駄な仮説を生成することなく上位仮説のみを生成することができる(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
上記の第2の方式では、ある行列が与えられたとき各行について列が重複しない様に一要素ずつ選択し、選択した要素の総和が小さい順にN個(Nの値はパラメータとして指定)の組み合わせを高速に抽出する方式(以下、Nベスト解探索方式)を利用する(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平9−318726号公報
【特許文献2】特開平8−271617号公報
【特許文献3】特開2001−166048号公報
【非特許文献1】Katta G. Murty, “An Algorithm for Ranking all the Assignments in Order of Increasing Cost” Operations Research, 16:682-687, 1968
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数目標が近接して存在する状況で観測する場合、偽像と目標の測位情報が混在して追尾装置に入力されることになる。しかし、上記の第1及び第2の方式では偽像発生の原理を利用して、測位情報を選択することができない。従って、上記の複数目標追尾では明らかに誤った仮説を生成する可能性があるという問題点があった。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、偽像を目標とする仮説を排除しながら、効率的に追尾処理を行うことができる追尾装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る追尾装置は、電波を目標に照射し、反射した信号波を複数のセンサで受信し、受信波の到達時刻差から得られる測位情報を用いて目標の追尾を行う追尾装置であって、各センサで得られた受信電波から目標に当たり反射した反射電波を抽出する波形抽出部と、所定の2つのセンサに前記反射電波が到達する時刻の差によって第1の等距離差双曲面を計算し、別の2つセンサに前記反射電波が到達する時刻の差によって第2の等距離差双曲面を計算し、さらに前記第1及び第2の等距離差双曲面の交点であって、目標の位置である測位情報を計算する測位情報計算部と、前記測位情報に基づいて、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を生成し、追尾処理を実施する多重仮説生成追尾処理部と、前記多重仮説生成追尾処理部によって生成された仮説中に、偽像を目標と見なす仮説が含まれているか否かを判定し、含まれている場合には前記偽像を目標と見なす仮説を除去する仮説絞込み部とを設けたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る追尾装置は、偽像を目標とする仮説を排除しながら、効率的に追尾処理を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る追尾装置について図1、図2、図13及び図14を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0012】
図1において、この実施の形態1に係る追尾装置は、電波を目標群2に向かって放射する電波放射部1と、反射電波を受信するセンサ群3と、各センサで得られた受信電波から、上記の放射電波が目標に当たり反射して得られる電波を抽出する波形抽出部4と、2つのセンサに反射電波が到達する時刻の差によって等距離差双曲面を計算し、別の2つセンサの組合せからも等距離差双曲面を計算し、さらに複数の等距離差双曲面の交点である目標の位置である測位情報を計算する測位情報計算部5と、前記測位情報に基づいて、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を作り、追尾処理を実施する多重仮説生成追尾処理部61と、多重仮説生成追尾処理部61が生成した仮説中に偽像を目標と見なす航跡が含まれているか否かを判定し、含まれている場合にはその仮説を除去する仮説絞込み部62とが設けられている。
【0013】
また、多重仮説生成追尾処理部61と仮説絞込み部62から、追尾処理部6が構成されている。
【0014】
つぎに、この実施の形態1に係る追尾装置の動作について図面を参照しながら説明する。図2は、この発明の実施の形態1に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。また、図13は、この発明の実施の形態1に係る追尾装置において等距離差双曲面により得られる測位情報の例を示す図である。さらに、図14は、この発明の実施の形態1に係る追尾装置において近接複数目標を観測する例を示す図である。
【0015】
最初に、電波到来時間差を利用した測位方式について説明する。1つの電波放射部から放射された電波が目標に当たり、その反射波を複数サイトのセンサで受信する状況を考える。電波が到達する時刻はセンサによって異なり、2つのセンサ間でのその時刻差よりセンサと目標間の距離の差を計算できる。すなわち、2つのセンサからの距離差が一定の曲面を計算すると、目標はその面上の何れかに存在すると推定できる。この曲面を等距離差双曲面と呼ぶ。
【0016】
この等距離差双曲面が2つあれば、図13に示す様に、その交点より目標の2次元上の位置を特定できる。また、等距離差双曲面が3つあれば、それらの交点より、目標の3次元上の位置を特定できる。この交点を測位情報と呼ぶが、これを追尾装置の観測値として入力し、追尾処理を行うことができる。
【0017】
まず、「電波放射」ステップ101において、電波放射部1は、目標に向かって電波を放射する。次に、「波形抽出」ステップ102において、波形抽出部4は、各センサから得られた受信信号から、上記の放射電波が目標に当たって反射して得られる電波を抽出する。
【0018】
次に、「測位情報計算」ステップ103において、測位情報計算部5は、抽出された電波の到達時刻を計算する。さらに、2つのセンサの組合せにより等距離差双曲面を計算する。さらに、異なる複数の等距離差双曲面の交点から測位情報を計算する。
【0019】
次に、「多重仮説生成追尾処理」ステップ104において、多重仮説生成追尾処理部61は、第1の方式に従って追尾航跡とそれを組み合わせた仮説を生成する。すなわち、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を作り、追尾処理を実施する。
【0020】
センサの観測値を使って目標の軌道である航跡を推定する目標追尾では、センサから得られる観測値が、どの既存航跡と相関するか、新たに発見された目標か、不要信号であるか、という判定を行う相関処理が性能を左右する。
【0021】
航跡と観測値の相関の例を説明する。現時刻t=3で観測値30、観測値31、観測値32、観測値33の4つが得られている。時刻t=2で観測値20、観測値21の2つが得られている。時刻t=1で観測値10、観測値11の2つが得られている。時刻t=0で観測値00、観測値01の2つが得られている。目標0の航跡は、観測値00、観測値10、観測値20によって構成される。また、目標1の航跡は、観測値01、観測値11、観測値21によって構成される。目標0の航跡のゲートには観測値30、観測値31が入り、目標1の航跡のゲートには観測値32が入る。観測値33はどちらのゲートにも入らない。1つの可能性としては、「観測値30:目標0、観測値31:不要信号、観測値32:目標1、観測値33:新目標」が考えられ、別の可能性として「観測値30:不要信号、観測値31:目標0、観測値32:目標1、観測値33:不要信号」も考えられる。この様に可能性が多くある状況で、どれか1つに決定してしまうと、それが誤りであった場合には目標追尾に失敗する危険性が高くなる。そこで、割り当て方(仮説)を複数考えて、観測値と目標の相関を仮説毎に決定し、最終的に最も良い仮説を残せば、より正確な目標追尾が可能である。この第1の方式では、「観測値」、「特定の観測値の時系列を1つの目標と見なして計算した航跡」、「特定の航跡の集合を正しいと見なして構成する仮説」を互いに観測値を共有しないクラスタ毎に処理を行うことによって、処理の効率化を図っている。この第1の方式では、生成された仮説を全て残すのではなく、信頼度の高い仮説を数個残す処理を最終段階で行うのが現実的である。
【0022】
次に、「仮説絞込み」ステップ105において、仮説絞込み部62は、前ステップ104で生成された仮説中に、偽像を目標としている仮説がないか検査し、削除する。図14の例では、a1とa2を目標航跡と相関させ、b1とb2を不要信号とする仮説は偽像を目標としている仮説である。
【0023】
以上のように、この実施の形態1で説明した発明によれば、上記第1の方式で生成された追尾についての仮説群から、偽像を目標とする仮説を排除するため、より正確な追尾結果を得ることができる。また、余分な仮説が削除されるため、処理効率が向上する。
【0024】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る追尾装置について図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、この発明の実施の形態2に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図3において、この実施の形態2に係る追尾装置は、電波を目標群2に向かって放射する電波放射部1と、反射電波を受信するセンサ群3と、各センサで得られた受信電波から、上記の放射電波が目標に当たり反射して得られる電波を抽出する波形抽出部4と、2つのセンサに反射電波が到達する時刻の差によって等距離差双曲面を計算し、別の2つセンサの組合せからも等距離差双曲面を計算し、さらに複数の等距離差双曲面の交点である目標の位置である測位情報を計算する測位情報計算部5と、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を作り追尾処理を実施する追尾処理部6とが設けられている。
【0026】
また、追尾処理部6は、偽像でない測位情報の組合せを抽出する目標情報特定部63と、上記の組合せ中の測位情報を目標航跡と相関させ、偽像の測位情報を不要信号とする仮説を生成する排他的仮説生成部64から構成されている。
【0027】
つぎに、この実施の形態2に係る追尾装置の動作について図面を参照しながら説明する。図4は、この発明の実施の形態2に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。
【0028】
まず、「電波放射」ステップ201において、電波放射部1は、目標に向かって電波を放射する。次に、「波形抽出」ステップ202において、各センサから得られた受信信号から、上記の放射電波が目標に当たって反射して得られる電波を抽出する。
【0029】
次に、「測位情報計算」ステップ203において、測位情報計算部5は、抽出された電波の到達時刻を計算する。さらに、2つのセンサの組合せにより等距離差双曲面を計算する。さらに、異なる複数の等距離差双曲面の交点から測位情報を計算する。
【0030】
次に、「目標情報特定」ステップ204において、目標情報特定部63は、得られた複数の測位情報から目標情報の組合せを抽出する。図14の例では、「a1とb2の組合せ」、「a2とb1の組合せ」の2つの組合せが目標情報の組合せである。
【0031】
次に、「排他的仮説生成」ステップ205において、排他的仮説生成部64は、前ステップ204で生成された目標情報の組合せのうちの何れかに含まれる測位情報のみを目標とする仮説を生成する。より具体的には、上記第2の方式において、i番目の仮説が生成された場合、その仮説が目標とする測位情報がa1とa2の場合、目標情報特定ステップ204で生成された目標情報の組合せの何れにも該当しないため、その仮説を棄却する。次点の仮説が目標とする測位情報がa1とb2の場合、目標情報の組合せの1番目に該当するため、その仮説をi番目の仮説とする。
【0032】
以上のように、この実施の形態2で説明した発明によれば、第2の方式で順次生成される仮説を、偽像を目標としていないか検査し目標情報のみから成る仮説のみを残すため、より正確な追尾結果を得ることができる。また、余分な仮説が削除されるため、処理効率が向上する。
【0033】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る追尾装置について図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、この発明の実施の形態3に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【0034】
図5において、この実施の形態3に係る追尾装置は、電波を目標群2に向かって放射する電波放射部1と、反射電波を受信するセンサ群3と、各センサで得られた受信電波から、上記の放射電波が目標に当たり反射して得られる電波を抽出する波形抽出部4と、2つのセンサに反射電波が到達する時刻の差によって等距離差双曲面を計算し、別の2つセンサの組合せからも等距離差双曲面を計算し、さらに複数の等距離差双曲面の交点である目標の位置である測位情報を計算する測位情報計算部5と、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を作り、追尾処理を実施する多重仮説生成追尾処理部61と、多重仮説生成追尾処理部61が生成した仮説中に偽像を目標と見なす航跡が含まれているか否かを判定し、含まれている場合にはその仮説を除去する仮説絞込み部62とが設けられている。
【0035】
また、多重仮説生成追尾処理部61と仮説絞込み部62から、追尾処理部6が構成されている。
【0036】
つぎに、この実施の形態3に係る追尾装置の動作について図面を参照しながら説明する。図6は、この発明の実施の形態3に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。
【0037】
まず、「電波放射」ステップ301において、電波放射部1は、目標に向かって電波を放射する。次に、「波形抽出」ステップ302において、波形抽出部4は、各センサから得られた受信信号から、上記の放射電波が目標に当たって反射して得られる電波を抽出する。
【0038】
次に、「測位情報計算」ステップ303において、測位情報計算部5は、追尾処理部6で計算された航跡と双曲面を比較し、航跡の予測値が面上付近にない双曲面を、不要信号波形より生成されたものとして排除する。抽出された電波の到達時刻を計算する。さらに、2つのセンサの組合せにより等距離差双曲面を計算する。さらに、異なる複数の等距離差双曲面の交点から測位情報を計算する。
【0039】
すなわち、測位情報計算部5は、前処理として、追尾処理部6が保持する航跡から等距離差双曲面に対応するゲートを計算して、測位情報を絞り込む双曲面相関処理を行う。
【0040】
次に、「多重仮説生成追尾処理」ステップ304において、多重仮説生成追尾処理部61は、第1の方式に従って追尾航跡とそれを組み合わせた仮説を生成する。すなわち、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を作り、追尾処理を実施する。
【0041】
次に、「仮説絞込み」ステップ305において、仮説絞込み部62は、前ステップ304で生成された仮説中に、偽像を目標としている仮説がないか検査し、削除する。図14の例では、a1とa2を目標航跡と相関させ、b1とb2を不要信号とする仮説は偽像を目標としている仮説である。
【0042】
以上のように、この実施の形態3で説明した発明によれば、追尾処理部6で計算された航跡を用いて双曲面を絞り込むため、余分な測位情報が作られなくなり、処理効率が向上する。なお、この実施の形態3は、上記実施の形態2にも適用できる。
【0043】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る追尾装置について図7及び図8を参照しながら説明する。図7は、この発明の実施の形態4に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【0044】
図7において、この実施の形態4に係る追尾装置は、電波を目標群2に向かって放射する電波放射部1と、反射電波を受信するセンサ群3と、各センサで得られた受信電波から、上記の放射電波が目標に当たり反射して得られる電波を抽出する波形抽出部4と、2つのセンサに反射電波が到達する時刻の差によって等距離差双曲面を計算し、別の2つセンサの組合せからも等距離差双曲面を計算し、さらに複数の等距離差双曲面の交点である目標の位置である測位情報を計算する測位情報計算部5と、この測位情報計算部5が算出した測位情報を、電波到来角度情報により絞り込む測位情報絞込み部7と、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を作り、追尾処理を実施する多重仮説生成追尾処理部61と、多重仮説生成追尾処理部61が生成した仮説中に偽像を目標と見なす航跡が含まれているか否かを判定し、含まれている場合にはその仮説を除去する仮説絞込み部62とが設けられている。
【0045】
また、多重仮説生成追尾処理部61と仮説絞込み部62から、追尾処理部6が構成されている。
【0046】
つぎに、この実施の形態4に係る追尾装置の動作について図面を参照しながら説明する。図8は、この発明の実施の形態4に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。
【0047】
まず、「電波放射」ステップ401において、電波放射部1は、目標に向かって電波を放射する。次に、「波形抽出」ステップ402において、波形抽出部4は、各センサから得られた受信信号から、上記の放射電波が目標に当たって反射して得られる電波を抽出する。
【0048】
次に、「測位情報計算」ステップ403において、測位情報計算部5は、抽出された電波の到達時刻を計算する。さらに、2つのセンサの組合せにより等距離差双曲面を計算する。さらに、異なる複数の等距離差双曲面の交点から測位情報を計算する。
【0049】
次に、「測位情報絞込み」ステップ404において、測位情報絞込み部7は、前ステップ403で抽出された測位情報うち、「波形抽出」ステップ402で抽出された電波の到来方向からかけ離れた位置にあるものを削除する。
【0050】
すなわち、測位情報絞込み部7は、追尾処理を行う前処理として、測位情報計算部5が算出した測位情報を、電波到来角度情報により絞り込む。
【0051】
次に、「多重仮説生成追尾処理」ステップ405において、多重仮説生成追尾処理部61は、第1の方式に従って追尾航跡とそれを組み合わせた仮説を生成する。すなわち、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を作り、追尾処理を実施する。
【0052】
次に、「仮説絞込み」ステップ406において、仮説絞込み部62は、前ステップ304で生成された仮説中に、偽像を目標としている仮説がないか検査し、削除する。図14の例では、a1とa2を目標航跡と相関させ、b1とb2を不要信号とする仮説は偽像を目標としている仮説である。
【0053】
以上のように、この実施の形態4で説明した発明によれば、等距離差双曲面の交点から得られる測位情報を電波の到来方向と比較して絞込みを行うため、より確度の高い測位情報のみを追尾に利用できることから、正確な追尾結果を得ることができる。また、余分な仮説が削除されるため、処理効率が向上する。なお、この実施の形態4は、上記実施の形態2にも適用できる。
【0054】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る追尾装置について図9及び図10を参照しながら説明する。図9は、この発明の実施の形態5に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【0055】
図9において、この実施の形態5に係る追尾装置は、電波を目標群2に向かって放射する電波放射部1と、反射電波を受信するセンサ群3と、各センサで得られた受信電波から、上記の放射電波が目標に当たり反射して得られる電波を抽出する波形抽出部4と、2つのセンサに反射電波が到達する時刻の差によって等距離差双曲面を計算し、別の2つセンサの組合せからも等距離差双曲面を計算し、さらに複数の等距離差双曲面の交点である目標の位置である測位情報を計算する測位情報計算部5と、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を作り追尾処理を実施する追尾処理部6とが設けられている。
【0056】
また、追尾処理部6は、偽像でない測位情報の組合せを抽出する目標情報特定部63と、上記の組合せ中の測位情報を目標航跡と相関させ、偽像の測位情報を不要信号とする仮説を生成する排他的仮説生成部64から構成されている。
【0057】
つぎに、この実施の形態5に係る追尾装置の動作について図面を参照しながら説明する。図10は、この発明の実施の形態5に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。
【0058】
まず、「電波放射」ステップ501において、電波放射部1は、目標に向かって電波を放射する。次に、「波形抽出」ステップ502において、各センサから得られた受信信号から、上記の放射電波が目標に当たって反射して得られる電波を抽出する。
【0059】
次に、「測位情報計算」ステップ503において、測位情報計算部5は、抽出された電波の到達時刻を計算する。さらに、2つのセンサの組合せにより等距離差双曲面を計算する。さらに、異なる複数の等距離差双曲面の交点から測位情報を計算する。
【0060】
次に、「目標情報特定」ステップ504において、目標情報特定部63は、得られた複数の測位情報から目標情報の組合せを抽出する。図14の例では、「a1とb2の組合せ」、「a2とb1の組合せ」の2つの組合せが目標情報の組合せである。
【0061】
この実施の形態5では、上記実施の形態2と比較して、「排他的仮説生成」ステップ505の処理内容がより詳細となる。以下、排他的仮説生成部64による、この排他的仮説生成ステップの処理内容を説明する。
【0062】
「排他的仮説生成」ステップ505では、排他的仮説生成部64は、航跡と測位情報の尤度を示す行列から解を生成しながら、さらに行列を展開していく過程において、偽像の組合せを排除する。
【0063】
すなわち、排他的仮説生成部64は、Nベスト解探索方式における解生成の処理過程中の、尤度行列の分割の段階で、偽像を排除する。
【0064】
図14の観測状況で追尾を行う場合、以下の様な尤度行列が生成されたとする。行と測位情報の対応は、1行目がa1、2行目がa2、3行目がb1、4行目がb2に相当するものとする。また、第4列から第7列までは不要信号を示すとする。
【0065】
【数1】

【0066】
この尤度行列の第1の解として、(1行1列、2行5列、3行6列、4行2列)の組合せが選択されたとする。
【0067】
次に、この解を基に上記の尤度行列を展開する。まず、第1の展開尤度行列として(1行1列の要素を選択不可とする)
【0068】
【数2】

【0069】
が生成される。この行列では1行目の測位情報a1に相当する部分が不要信号しか選択できない。従って、これから生成される正しい仮説はa2とb1を目標情報とするもののみで、b2は不要信号となる。そのため、b2を目標情報とする仮説が生成される可能性を排除するため、4行目の1列目から4列目までの要素を全て選択不可とし、以下の行列に直す。
【0070】
【数3】

【0071】
第2の展開尤度行列では、(1行1列の要素を選択し、4行2列の要素を選択不可とする)以下の行列が生成される。
【0072】
【数4】

【0073】
この行列ではa1が目標情報であることが前提となっており、偽像でない測位情報はb2のみである。しかし、上記の行列ではb2は不要信号の可能性しかない。従って、この展開行列は棄却し、解を生成しない。その他の展開尤度行列についても、偽像の可能性を排除しながら解の生成を行う。
【0074】
以上のように、この実施の形態5で説明した発明によれば、第2の方式における、Nベスト解探索方式における尤度行列の展開を、偽像を選択する可能性を排除しながら行うので、正確な追尾結果を得ることができる。また、余分な解を生成することがなくない、処理効率が向上する。
【0075】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係る追尾装置について図9及び図10を参照しながら説明する。この発明の実施の形態6に係る追尾装置の構成は、図9に示す実施の形態5と同様である。
【0076】
つぎに、この実施の形態6に係る追尾装置の動作について図面を参照しながら説明する。この発明の実施の形態6に係る追尾装置の動作は、排他的仮説生成を除いて、図10に示す実施の形態5と同様である。
【0077】
この実施の形態6では、上記実施の形態2と比較して、「排他的仮説生成」ステップ505の処理内容がより詳細となる。以下、排他的仮説生成部64による、この排他的仮説生成ステップの処理内容を説明する。
【0078】
「排他的仮説生成」ステップ505では、排他的仮説生成部64は、最初に尤度行列を生成する段階において、偽像の組合せを排除する。
【0079】
すなわち、排他的仮説生成部64は、全ての偽像でない測位情報の組合せについて、Nベスト解探索方式における尤度行列を構成する。
【0080】
図14の観測状況例において、Nベスト解探索方式では以下の様な尤度行列が生成されたとする。ただし、第4列から第7列は不要信号を示すとする。
【0081】
【数5】

【0082】
これに対し、本実施の形態6では、a1とb2を目標情報とする尤度行列
【0083】
【数6】

【0084】
a2とb1を目標情報とする尤度行列
【0085】
【数7】

【0086】
の2つの尤度行列を生成する。これらを基に通常のNベスト解探索方式で仮説を生成すれば、偽像を目標とする仮説を生成する可能性がなくなる。
【0087】
以上のように、この実施の形態6で説明した発明によれば、Nベスト解探索方式における尤度行列の設定段階において、偽像を選択する可能性を排除するので、正確な追尾結果を得ることができる。また、余分な解を生成することがなくなり、処理効率が向上する。
【0088】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係る追尾装置について図9、図10及び図15を参照しながら説明する。この発明の実施の形態7に係る追尾装置の構成は、図9に示す実施の形態5と同様である。
【0089】
つぎに、この実施の形態7に係る追尾装置の動作について図面を参照しながら説明する。この発明の実施の形態7に係る追尾装置の動作は、図10に示す実施の形態5と同様である。図15は、この発明の実施の形態7に係る追尾装置において3目標観測の例を示す図である。
【0090】
この実施の形態7では、上記実施の形態2と比較して、「目標情報特定」ステップ504の処理内容がより詳細となる。以下、目標情報特定部63による、この目標情報特定ステップの処理内容を説明する。
【0091】
「目標情報特定」ステップ504では、目標情報特定部63は、あるセンサの組合せによる双曲面を行に、別のセンサの組合せによる双曲面を列に相当させ、行列の要素として、「追尾処理の航跡」、「該当する行の双曲面と、列の双曲面の交点による測位情報」の相関の尤度の最大値を配置する。
【0092】
すなわち、目標情報特定部63は、センサの組合せが行、別のセンサの組合せが列に対応し、航跡と測位情報の尤度を要素とする行列を生成する。この行列にNベスト解探索方式の適用により偽像でない測位情報を抽出する。
【0093】
例えば、図15の例における観測状況では、センサ0とセンサ1の組合せによる双曲面を列、センサ0とセンサ2の組合せによる双曲面を行に相当させ、以下の様な行列を作る。
【0094】
【数8】

【0095】
この行列にNベスト解探索方式を適用し、解の中で選択された要素に該当する測位情報群を目標情報の組合せとする。この解の中で選択された要素は行と列が重複しないため偽像を選択している可能性は少ない。また、航跡との相関の高い要素を優先して選択するため、目標である可能性の高い組合せが優先的に選択される。
【0096】
以上のように、この実施の形態7で説明した発明によれば、Nベスト解探索方式を利用して測位情報を選択するため、偽像を選択する可能性を排除し、正確な追尾結果を得ることができる。また、余分な解を生成することがなくなり、処理効率が向上する。
【0097】
実施の形態8.
この発明の実施の形態8に係る追尾装置について図11、図12及び図16を参照しながら説明する。図11は、この発明の実施の形態8に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【0098】
図11において、この実施の形態8に係る追尾装置は、電波を目標群2に向かって放射する電波放射部1と、反射電波を受信するセンサ群3と、各センサで得られた受信電波から、上記の放射電波が目標に当たり反射して得られる電波を抽出する波形抽出部4と、2つのセンサに反射電波が到達する時刻の差によって等距離差双曲面を計算し、別の2つセンサの組合せからも等距離差双曲面を計算し、さらに複数の等距離差双曲面の交点である目標の位置である測位情報を計算する測位情報計算部5と、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を作り追尾処理を実施する追尾処理部6とが設けられている。
【0099】
また、追尾処理部6は、偽像でない測位情報の組合せを抽出する目標情報特定部63と、上記の組合せ中の測位情報を目標航跡と相関させ、偽像の測位情報を不要信号とする仮説を生成する排他的仮説生成部64から構成されている。
【0100】
つぎに、この実施の形態8に係る追尾装置の動作について図面を参照しながら説明する。図12は、この発明の実施の形態8に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。また、図16は、この発明の実施の形態8に係る追尾装置において双曲面数が異なる例を示す図である。
【0101】
まず、「電波放射」ステップ601において、電波放射部1は、目標に向かって電波を放射する。次に、「波形抽出」ステップ602において、各センサから得られた受信信号から、上記の放射電波が目標に当たって反射して得られる電波を抽出する。
【0102】
次に、「測位情報計算」ステップ603において、測位情報計算部5は、抽出された電波の到達時刻を計算する。さらに、2つのセンサの組合せにより等距離差双曲面を計算する。さらに、異なる複数の等距離差双曲面の交点から測位情報を計算する。
【0103】
「排他的仮説生成」ステップ605において、排他的仮説生成部64は、前ステップ604で生成された目標情報の組合せのうちの何れかに含まれる測位情報のみを目標とする仮説を生成する。より具体的には、上記第2の方式において、i番目の仮説が生成された場合、その仮説が目標とする測位情報がa1とa2の場合、目標情報特定ステップ204で生成された目標情報の組合せの何れにも該当しないため、その仮説を棄却する。次点の仮説が目標とする測位情報がa1とb2の場合、目標情報の組合せの1番目に該当するため、その仮説をi番目の仮説とする。
【0104】
この実施の形態8では、上記実施の形態2と比較して、測位情報計算部5が目標情報特定部63に測位情報のみでなく双曲面情報も出力する点と、「目標情報特定」ステップ604の処理内容がより詳細となる。以下、目標情報特定部63による、この目標情報特定ステップの処理内容を説明する。
【0105】
「目標情報特定」ステップ604において、目標情報特定部63は、あるセンサの組合せによる双曲面の数と別のセンサの組合せによる双曲面の数が異なる場合、目標情報の組み合わせ中の測位情報を何れも含まない双曲面上付近に、追尾処理の航跡の予測値があるか否かによって、その双曲面が不要信号より形成されたものであるか、目標からの信号により形成されたものであるかを判定する。
【0106】
すなわち、目標情報特定部63は、ある2つのセンサの組合せと別の組合せで等距離差双曲面の数が異なる場合、双曲面数が多い方のセンサの組合せが生成する全双曲面について、追尾処理部6が生成した航跡群中の何れかの航跡と相関があるか否かに応じて、
多い方の双曲面群中に不要双曲面が存在する、
少ない方の双曲面群にある双曲面が欠落している、
の何れかを判定する。
【0107】
目標からの信号により形成されたものであると判断された場合、その双曲面上付近に予測値があるメモリトラック(探知抜け)航跡の、信頼度を高く設定する。
【0108】
例えば、図16の例における観測状況で、センサ0とセンサ1の組合せによる双曲面がa、b、c、センサ0とセンサ2の組合せによる双曲面が1、2と得られ、前者の組合せによる双曲面数が後者の組合せより1つ多いとする。
【0109】
目標情報の組合せとして、a1、b2が選択された場合、双曲面cが余る。この双曲面c上付近にメモリトラック航跡の予測値がある場合、その航跡を採択する仮説の信頼度を、採択しない仮説の信頼度よりも高く設定する。
【0110】
以上のように、この実施の形態8で説明した発明によれば、測位情報として使用されなかった双曲面の情報も利用して追尾処理を行うため、追尾結果がより正確になる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】この発明の実施の形態1に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態3に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態4に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態5、6、7に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態5、6、7に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態8に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態8に係る追尾装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施の形態1に係る追尾装置において等距離差双曲面により得られる測位情報の例を示す図である。
【図14】この発明の各実施の形態に係る追尾装置において近接複数目標を観測する例を示す図である。
【図15】この発明の実施の形態7に係る追尾装置において3目標観測の例を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態8に係る追尾装置において双曲面数が異なる例を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
1 電波放射部、2 目標群、3 センサ群、4 波形抽出部、5 測位情報計算部、6 追尾処理部、7 測位情報絞込み部、61 多重仮説生成追尾処理部、62 仮説絞込み部、63 目標情報特定部、64 排他的仮説生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を目標に照射し、反射した信号波を複数のセンサで受信し、受信波の到達時刻差から得られる測位情報を用いて目標の追尾を行う追尾装置であって、
各センサで得られた受信電波から目標に当たり反射した反射電波を抽出する波形抽出部と、
所定の2つのセンサに前記反射電波が到達する時刻の差によって第1の等距離差双曲面を計算し、別の2つセンサに前記反射電波が到達する時刻の差によって第2の等距離差双曲面を計算し、さらに前記第1及び第2の等距離差双曲面の交点であって、目標の位置である測位情報を計算する測位情報計算部と、
前記測位情報に基づいて、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を生成し、追尾処理を実施する多重仮説生成追尾処理部と、
前記多重仮説生成追尾処理部によって生成された仮説中に、偽像を目標と見なす仮説が含まれているか否かを判定し、含まれている場合には前記偽像を目標と見なす仮説を除去する仮説絞込み部と
を備えたことを特徴とする追尾装置。
【請求項2】
電波を目標に照射し、反射した信号波を複数のセンサで受信し、受信波の到達時刻差から得られる測位情報を用いて目標の追尾を行う追尾装置であって、
各センサで得られた受信電波から目標に当たり反射した反射電波を抽出する波形抽出部と、
所定の2つのセンサに前記反射電波が到達する時刻の差によって第1の等距離差双曲面を計算し、別の2つセンサに前記反射電波が到達する時刻の差によって第2の等距離差双曲面を計算し、さらに前記第1及び第2の等距離差双曲面の交点であって、目標の位置である測位情報を計算する測位情報計算部と、
前記測位情報に基づいて、目標の運動諸元を推定する追尾フィルタから算出される目標の航跡と、航跡の組合せにより仮説を生成し、追尾処理を実施する追尾処理部とを備え、
前記追尾処理部は、
前記測位情報計算部により計算された複数の測位情報から、偽像でない測位情報の組合せを抽出する目標情報特定部と、
組合せ中の測位情報を目標航跡と相関させ、偽像の測位情報を不要信号とする仮説を生成する排他的仮説生成部とを含む
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項3】
前記測位情報計算部は、前処理として、前記多重仮説生成追尾処理部あるいは前記追尾処理部が保持する航跡から等距離差双曲面に対応するゲートを計算して、測位情報を絞り込む双曲面相関処理を行う
ことを特徴とする請求項1又は2記載の追尾装置。
【請求項4】
追尾処理を行う前処理として、前記測位情報計算部が算出した測位情報を、電波到来角度情報により絞り込む測位情報絞込み部をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1又は2記載の追尾装置。
【請求項5】
前記排他的仮説生成部は、Nベスト解探索方式における解生成の処理過程中の、尤度行列の分割の段階で、偽像を排除する
ことを特徴とする請求項2記載の追尾装置。
【請求項6】
前記排他的仮説生成部は、全ての偽像でない測位情報の組合せについて、Nベスト解探索方式における尤度行列を構成する
ことを特徴とする請求項2記載の追尾装置。
【請求項7】
前記目標情報特定部は、所定のセンサの組合せが行、別のセンサの組合せが列に対応し、航跡と測位情報の尤度を要素とする行列を生成し、前記行列にNベスト解探索方式の適用により偽像でない測位情報を抽出する
ことを特徴とする請求項2記載の追尾装置。
【請求項8】
前記測位情報計算部は、等距離差双曲面に関する情報をさらに出力するとともに、
前記目標情報特定部は、所定の2つのセンサの組合せと別の組合せで等距離差双曲面の数が異なる場合、双曲面数が多い方のセンサの組合せが生成する全等距離差双曲面について、生成された航跡群中の何れかの航跡と相関があるか否かに応じて、多い方の等距離差双曲面群中に不要等距離差双曲面が存在する、あるいは少ない方の等距離差双曲面群に所定の等距離差双曲面が欠落している、の何れかを判定する
ことを特徴とする請求項2記載の追尾装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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