説明

送り機構、球面収差補正機構、光ピックアップ及び光ディスク装置

【課題】簡易な構成で且つ小型化し得る送り機構、球面収差補正機構、光ピックアップ及び光ディスク装置を提供する。
【解決手段】ねじりコイルばね80は線材1本で巻き形成され、レンズホルダ62に挿通されてステッピングモータ60の回転力を伝達する。またねじりコイルばね80は、巻き部83の一端から伸びた第1腕部81が送りねじ63の押し付け方向に付勢されると共に、噛合角度θ1が送りねじ63のリード角と一致するよう、第1腕部及び腕部82がレンズホルダ62により位置決めされる。これにより球面収差補正部23は、ねじりコイルばね80の腕部の長さを短くしても、適切な力で送りねじ63の押し付け方向へ噛合できると共に、腕部の角度を送りねじのリード角とほぼ合わせることができる。かくして球面収差補正部23は、送りねじ63にかけるトルクを小さくでき、ラックを小型に構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は送り機構、球面収差補正機構、光ピックアップ及び光ディスク装置に関し、例えば光ビームの球面収差を補正するレンズの駆動に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置においては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びBlu−ray Disc(登録商標、以下BDと呼ぶ)等のように、光ディスクに対して対物レンズを介して光ビームを照射し、その反射光を読み取ることにより情報を再生するようになされたものが広く普及している。
【0003】
一般に光ディスクは、情報が記録された記録面を保護等するために、規定された厚みでなる保護層が設けられている。
【0004】
光ビームは、この保護層を透過する際に球面収差が発生する。そこで対物レンズは、規定された保護層の厚みによる球面収差を補正するように設計されている。
【0005】
しかし実際の光ディスクでは、保護層の厚みがばらつき、規定から外れる場合がある。このとき光ビームには、対物レンズにより補正しきれない球面収差が発生する。
【0006】
そこで、光ディスク装置の光ピックアップに設けられたコリメータレンズを光ビームの光軸方向に所定の距離だけ移動させることにより、球面収差を補正する球面収差補正機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この光ディスク装置では、光ピックアップの内部において、被駆動部としてのレンズホルダにコリメータレンズを搭載し、駆動部としてのモータにより送りねじを回転させることにより、送りねじに噛合したレンズホルダを駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−40411公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、送りねじを用いた送り機構においては、図1に示すように、圧縮コイルばね483が組み込まれた樹脂製でなり弾性を有する板ばね480と一体化したラック484を、送りねじ463のねじ溝468に噛合させる送り機構423が広く知られている。
【0010】
また送り機構423のほか、図2に示すように、金属製の板ばね580に取り付けられた樹脂製のラック584を、送りねじ563のねじ溝568に噛合させる送り機構523が広く用いられている。
【0011】
送り機構423を球面収差補正機構等の小スペースで使用する場合、板ばね480における、送りねじ463の回転軸方向(X方向)と交差する方向に伸びる腕部481を短くすることは可能である。しかし強度等の点から、腕部481を送りねじ463に押し付ける方向(Z方向)の厚みを薄くするのは限界がある。送り機構523も同様である。
【0012】
そのため送り機構423では、板ばね480と一体化したラック484を送りねじ463に押し付けるための、ばね力が大きくなってしまう。また送り機構523では、板ばね580に取り付けられたラック584を送りねじ563に押し付けるための、ばね力が大きくなってしまう。
【0013】
このような場合、送りねじ463又は563を回転させるためには、上記ばね力より大きなモータトルクが必要となるため、大きなトルクを発生させる大型のモータが必要となり、これに合わせてラック484又は584自体もある程度大型化してしまう。
【0014】
このため、球面収差補正機構で送り機構423又は523を用いると、送り機構423又は523自体が大型化してしまい、光ピックアップの薄型化、小型化が困難であるという問題があった。
【0015】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成で且つ小型化し得る送り機構、球面収差補正機構、光ピックアップ及び光ディスク装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる課題を解決するため本発明の送り機構においては、駆動部により、所定の移動方向に沿って延設された案内軸と略平行に延設された、螺旋状のスクリュー溝を有する送りねじに回転力を与え、弾性を有する線材でなり、当該線材の一部であり所定の巻き軸を中心に巻き形成された巻き部が送りねじの回転軸と巻き軸とを略平行とするよう被駆動部に固定され、巻き部の一端から巻き軸と交差する方向へ伸びた第1腕部が、弾性により送りねじへの押し付け方向に付勢され、且つ送りねじの回転軸に直交する方向との間でなす角度が送りねじのリード角とほぼ等しいねじりコイルばねを介して、被駆動部を案内軸に対し摺動させるようにした。
【0017】
これにより送り機構は、従来の板ばねを用いた送り機構と比べて、ねじりコイルばねの腕部の長さを短くしても適切な力で送りねじの押し付け方向へ噛合できると共に、腕部の角度を送りねじのリード角とほぼ合わせることができる。かくして送り機構は、送りねじにかけるトルクを小さくでき、ラックを小型に構成することができる。
【0018】
また本発明の球面収差補正機構においては、駆動部により、案内軸と略平行に延設された螺旋状のスクリュー溝を有する送りねじに回転力を与え、弾性を有する線材でなり、当該線材の一部であり所定の巻き軸を中心に巻き形成された巻き部が送りねじの回転軸と巻き軸とを略平行とするよう被駆動部に固定され、巻き部の一端から巻き軸と交差する方向へ伸びた第1腕部が、弾性により送りねじへの押し付け方向に付勢され、且つ送りねじの回転軸に直交する方向との間でなす角度が送りねじのリード角とほぼ等しいねじりコイルばねを介して、光ビームの球面収差補正を行うレンズを保持した被駆動部、を光ビームの光軸と略平行に延設された案内軸に対し摺動させるようにした。
【0019】
これにより球面収差補正機構は、従来の板ばねを用いた球面収差補正機構と比べて、ねじりコイルばねの腕部の長さを短くしても適切な力で送りねじの押し付け方向へ噛合できると共に、腕部の角度を送りねじのリード角とほぼ合わせることができる。かくして球面収差補正機構は、送りねじにかけるトルクを小さくでき、ラックを小型に構成することができる。
【0020】
さらに本発明の光ピックアップにおいては、駆動部により、案内軸と略平行に延設された螺旋状のスクリュー溝を有する送りねじに回転力を与え、弾性を有する線材でなり、当該線材の一部であり所定の巻き軸を中心に巻き形成された巻き部が送りねじの回転軸と巻き軸とを略平行とするよう被駆動部に固定され、巻き部の一端から巻き軸と交差する方向へ伸びた第1腕部が、弾性により送りねじへの押し付け方向に付勢され、且つ送りねじの回転軸に直交する方向との間でなす角度が送りねじのリード角とほぼ等しいねじりコイルばねを介して、光ビームの球面収差補正を行うレンズを保持した被駆動部を、光ビームの光軸と略平行に延設された案内軸に対し摺動させ、所定の光ビームを出射する発光部から出射させた光ビームを、球面収差補正を行うレンズを通過させて対物レンズにより集光し所定の媒体に照射して反射させ、対物レンズを介して受光部に照射させるようにした。
【0021】
これにより光ピックアップは、従来の板ばねを用いた球面収差補正機構を搭載した光ピックアップと比べて、ねじりコイルばねの腕部の長さを短くしても適切な力で送りねじの押し付け方向へ噛合できると共に、腕部の角度を送りねじのリード角とほぼ合わせることができる。かくして光ピックアップは、送りねじにかけるトルクを小さくでき、ラックを小型に構成することができる。
【0022】
さらに本発明の光ディスク装置においては、駆動制御部により送りねじの回転を制御された駆動部により、案内軸と略平行に延設された螺旋状のスクリュー溝を有する送りねじに回転力を与え、弾性を有する線材でなり、当該線材の一部であり所定の巻き軸を中心に巻き形成された巻き部が送りねじの回転軸と巻き軸とを略平行とするよう被駆動部に固定され、巻き部の一端から巻き軸と交差する方向へ伸びた第1腕部が、弾性により送りねじへの押し付け方向に付勢され、且つ送りねじの回転軸に直交する方向との間でなす角度が送りねじのリード角とほぼ等しいねじりコイルばねを介して、球面収差補正を行うレンズを保持した被駆動部、を光ビームの光軸と略平行に延設された案内軸に対し摺動させ、所定の光ビームを出射する発光部から出射させた光ビームを、球面収差補正を行うレンズを通過させて対物レンズにより集光し所定の媒体に照射して反射させ、対物レンズを介して受光部に照射させるようにした。
【0023】
これにより光ディスク装置は、従来の板ばねを用いた球面収差補正機構を搭載した光ディスク装置と比べて、ねじりコイルばねの腕部の長さを短くしても適切な力で送りねじの押し付け方向へ噛合できると共に、腕部の角度を送りねじのリード角とほぼ合わせることができる。かくして光ディスク装置は、送りねじにかけるトルクを小さくでき、ラックを小型に構成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ねじりコイルばねのみにより、送りねじの回転軸方向へ適切に付勢させると同時に、送りねじの押し付け方向へ適切に付勢させることができ、さらに送りねじにかけるトルクを小さくできるため、ラックを小型に構成することができる。かくして本発明によれば、簡易な構成で且つ小型化し得る送り機構、球面収差補正機構、光ピックアップ及び光ディスク装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の送り機構(1)の構成を示す略線図である。
【図2】従来の送り機構(2)の構成を示す略線図である。
【図3】光ディスク装置の構成(1)を示す略線的上面斜視図である。
【図4】光ディスク装置の構成(2)を示す略線図である。
【図5】光ピックアップの構成(1)を示す略線的下面斜視図である。
【図6】光ピックアップの構成(2)を示す略線図である。
【図7】第1の実施の形態による球面収差補正部の構成(1)を示す略線的下面斜視図である。
【図8】ねじりコイルばねの構成(1)(自然状態)を示す略線図である。
【図9】第1の実施の形態による球面収差補正部の構成(2)を示す略線的側面図である。
【図10】第1の実施の形態による球面収差補正部の構成(3)を示す略線的上面図である。
【図11】ねじりコイルばねの構成(2)(取付状態)を示す略線図である。
【図12】送りねじとねじりコイルばねの第1腕部との噛合(1)を示す略線的側面図である。
【図13】第1の実施の形態による球面収差補正部の構成(4)を示す略線的下面図である。
【図14】送りねじとねじりコイルばねの第1腕部との噛合(2)を示す略線的側面図である。
【図15】第2の実施の形態による球面収差補正部の構成(1)を示す略線的下面斜視図である。
【図16】第2の実施の形態による球面収差補正部の構成(2)を示す略線的側面図である。
【図17】第2の実施の形態による筒状部及び主軸の構成を示す略線的側面図である。
【図18】第2の実施の形態による球面収差補正部の構成(3)を示す略線的下面図である。
【図19】第1の実施の形態による筒状部及び主軸の構成を示す略線的側面図である。
【図20】他の実施の形態による球面収差補正部の構成(1)を示す略線的下面図である。
【図21】他の実施の形態による球面収差補正部の構成(2)を示す略線的下面図である。
【図22】他の実施の形態による筒状部及び主軸の構成(1)を示す略線的側面図である。
【図23】他の実施の形態による筒状部及び主軸の構成(2)を示す略線的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(ねじりコイルばねを用いた例)
2.第2の実施の形態(挿通孔の断面形状を正方形とした例)
3.他の実施の形態
【0027】
<1.第1の実施の形態>
[1−1.光ディスク装置の構成]
図3に示すように光ディスク装置1は、光ディスク100に情報を記録し、また当該光ディスク100から情報を再生し得るようになされている。
【0028】
実際上光ディスク装置1は、CD方式の光ディスク100C、DVD方式の光ディスク100D又はBD方式の光ディスク100Bのいずれにも対応し得るようになされている。
【0029】
この光ディスク装置1は、全体として薄型に構成されており、外周を覆う筐体部2の内部に、図示しないスライド機構を介してトレイ部3が組み込まれている。
【0030】
因みに光ディスク装置1は、例えば薄型のノート型コンピュータ装置等に搭載されることが想定されている。この場合、筐体部2が当該ノート型コンピュータ装置の筐体等に固定される。
【0031】
トレイ部3は、光ディスク100の記録又は再生を行う際には筐体部2内に格納され、当該光ディスク100の着脱時には図3に示したように筐体部2の外部へスライドして露出されるようになされている。
【0032】
またトレイ部3には、ターンテーブル4Tを介して光ディスク100を回転駆動するスピンドルモータ4Mと、送りモータ5M及びリードスクリュー5S等により当該光ディスク100の径方向に移動される光ピックアップ6とが設けられている。
【0033】
さらにトレイ部3の内部には、各種電子部品が実装された電子回路基板7が組み込まれている。この電子回路基板7は、図4に示すように、全体を統括制御する統括制御部11、スピンドルモータ4M等を駆動させる駆動制御部12及び各種信号処理を行う信号処理部13として機能するようになされている。
【0034】
統括制御部11は、光ディスク装置1を統括制御するようになされている。この統括制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム等が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)とによって構成されている。
【0035】
実際上統括制御部11は、各種プログラムを実行することにより、駆動制御部12を介してスピンドルモータ4Mを回転駆動させ、ターンテーブル4Tに装着された光ディスク100を所望の速度で回転させる。また統括制御部11は、駆動制御部12を介して送りモータ5Mを駆動させることにより、リードスクリュー5S及びスライドレール5L等に沿って光ピックアップ6を光ディスク100の内周側又は外周側へ向かう方向であるトラッキング方向に大きく移動させる。
【0036】
さらに統括制御部11は、駆動制御部12を介して光ピックアップ6のアクチュエータ8を駆動制御する。これにより統括制御部11は、対物レンズ9が搭載された対物レンズ支持部10を光ディスク100に近接させ又は離隔させる方向であるフォーカス方向に移動させると共にトラッキング方向に細かく移動させ、当該対物レンズ9の位置調整を行う。
【0037】
因みに対物レンズ支持部10には、BD方式の光ディスク100Bに対応する対物レンズ9Bと、DVD方式の光ディスク100D及びCD方式の光ディスク100Cの双方に対応する対物レンズ9Dとが設けられている。説明の都合上、以下では対物レンズ9B及び対物レンズ9Dをまとめて対物レンズ9と呼ぶ。
【0038】
さらに統括制御部11は、駆動制御部12を介して光ピックアップ6における球面収差補正部23のステッピングモータ60を駆動制御する。これにより統括制御部11は、コリメータレンズ61が搭載されたレンズホルダ62を光軸方向に細かく移動させ、当該コリメータレンズ61の位置調整を行う。
【0039】
これにより光ディスク装置1は、光ディスク100の保護層の厚みばらつき等により発生し、対物レンズ9により補正しきれない光ビームの球面収差を補正し得る。
【0040】
統括制御部11は、例えば光ディスク100に情報を記録する場合、当該情報を信号処理部13へ供給して所定の符号化処理及び変調処理等を施すことにより、当該情報に応じたレーザ制御信号CLを生成し、これを光ピックアップ6へ供給する。
【0041】
光ピックアップ6は、信号処理部13から供給されるレーザ制御信号CLに基づき、光強度が比較的大きい情報記録用の光ビームL1を出射する。続いて光ピックアップ6は、位置調整された対物レンズ9を介して当該光ビームL1を光ディスク100へ照射する。これにより光ピックアップ6は、当該光ディスク100に情報を記録することができる。
【0042】
また統括制御部11は、光ディスク100から情報を再生する場合、信号処理部13から光ピックアップ6へレーザ制御信号CLを供給することにより、当該光ピックアップ6から光ディスク100に対して光強度が比較的小さい情報再生用の光ビームL1を照射させる。これと共に光ピックアップ6は、当該光ビームL1が反射されてなる反射光ビームL2を検出し、その検出結果に応じた検出信号Uを生成し信号処理部13へ供給する。
【0043】
信号処理部13は、検出信号Uを基に再生RF信号を生成し、これに所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生し得るようになされている。
【0044】
また信号処理部13は、検出信号Uを基にフォーカスエラー信号SFE及びトラッキングエラー信号STEを生成し、これらを駆動制御部12へ供給することにより、対物レンズ9のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うようになされている。
【0045】
さらに信号処理部13は、検出信号Uを基に球面収差補正信号SASを生成し、これを駆動制御部12へ供給することにより、コリメータレンズ61の位置制御を行うようになされている。
【0046】
このように光ディスク装置1は、光ピックアップ6における対物レンズ9やコリメータレンズ61の位置調整を行った上で、当該対物レンズ9を介して光ビームL1を光ディスク100へ照射することにより、情報の記録又は再生を行い得るようになされている。
【0047】
[1−2.光ピックアップの構成]
図5は、図3に示した光ディスク装置1における光ピックアップ6をZ1方向から見た状態を示す。
【0048】
図5に示すように、光ピックアップ6は、ピックアップベース20を中心に構成されている。このピックアップベース20は、全体として扁平な板状に構成されると共に、扁平な円柱状でなるスピンドルモータ4M及びターンテーブル4T(図3)に対応して、内周側が円弧状に切り落とされたような形状となっている。またピックアップベース20は、その内部に各種光学部品が設けられている。
【0049】
実際上光ピックアップ6は、2系統の光学系、すなわちBD方式の光ディスク100Bに対応するBD光学系6Bと、DVD方式の光ディスク100D及びCD方式の光ディスク100Cの双方に対応するDVD/CD光学系6Dとにより構成されている。
【0050】
BD光学系6Bは、図5と対応する図6に模式的に示すように、光集積素子21、1/4波長板22、球面収差補正部23及び上述した対物レンズ9Bにより構成されている。
【0051】
光集積素子21は、複数の光学素子等が一体に構成されており、光ディスク100へ照射するための光ビームL1を出射すると共に、当該光ディスク100により反射された反射光ビームL2を受光し、その受光結果に応じた検出信号Uを出力するようになされている。
【0052】
光集積素子21は、略平板状に構成された保持基板41を中心に構成されている。保持基板41は、セラミック等の材料によって構成されており、その下面41A(図6における下側の面)にレーザホルダ42を介して、レーザ43が取り付けられるようになされている。
【0053】
レーザ43は、外形が略円柱状のCANパッケージでなると共に、その内部にレーザチップを有しており、当該レーザチップの端面から波長約405[nm]の発散光でなる光ビームL1を出射し得るようになされている。
【0054】
レーザホルダ42は、略直方体状に成型されると共に、一部がレーザ43の外形に合わせて略円柱状にくり抜かれており、光ビームL1をレーザ43側から保持基板41の下面41Aへ通過させる孔部42Hが設けられている。
【0055】
また保持基板41は、光ビームL1を下面41A側からその反対面である上面41B側へ通過させる孔部41Hが設けられている。
【0056】
一方、ピックアップベース20(図5)には、レーザドライバ24が設けられている。このレーザドライバ24は、信号処理部13から供給されるレーザ制御信号CLを基に、レーザ43へ供給すべきレーザ駆動信号DLを生成するようになされている。
【0057】
実際上レーザ43は、レーザドライバ24からレーザ駆動信号DLの供給を受けると、当該レーザ駆動信号DLの電圧や電流に応じた光強度でなる波長約405[nm]の光ビームL1を出射する。因みに光ビームL1はP偏光となる。
【0058】
光ビームL1は、レーザホルダ42の孔部42H及び保持基板41の孔部41Hを通過することにより、当該保持基板41の上面41B側へ向かって進行する。
【0059】
保持基板41の上面41B側には、スペーサ45、複合レンズ46及び積層プリズム47が順次積層して取り付けられている。
【0060】
スペーサ45は、所定の樹脂材料が射出成形されることにより全体として略直方体状に成形されると共に、図の上下方向に貫通する孔部45H1及び45H2が設けられている。因みにスペーサ45は、保持基板41の上面41Bに対し所定の接着剤により接着固定されている。
【0061】
複合レンズ46は、透明な樹脂材料が射出成形されることにより全体として略直方体状に成形されると共に、図の上下方向に貫通する孔部46Hが設けられている。
【0062】
孔部46Hは、光ビームL1の通過部分に合わせて略円錐台状の空間として形成されており、発散光でなる光ビームL1が上方向へ進行するに連れてそのビーム径を拡大させていくことに合わせて、その上底面が下底面よりも大きくなるようになされている。
【0063】
因みに複合レンズ46は、スペーサ45の場合と同様に、当該スペーサ45の上面に対して所定の接着剤により接着固定されている。
【0064】
実際上光ビームL1は、スペーサ45の孔部45H1及び複合レンズ46の孔部46Hを順次通過し、積層プリズム47へ入射される。
【0065】
積層プリズム47は、透明な樹脂材料が複数の接合面を介してそれぞれ接合されており、全体として略直方体状に形成されている。因みに積層プリズム47は、複合レンズ46及びスペーサ45の場合と同様に、当該複合レンズ46の上面に対して所定の接着剤により接着固定されている。
【0066】
積層プリズム47の各接合面には、光ビームをそれぞれ所定の透過率及び反射率で透過及び反射させる反射膜47A、47B及び47Cが形成されている。
【0067】
反射膜47Aは、光の偏光方向に応じて反射率及び透過率が相違する、いわゆる偏光ビームスプリッタとなっており、例えばP偏光成分をほぼ全て透過する一方、S偏光成分をほぼ全て反射するようになされている。
【0068】
実際上積層プリズム47は、反射膜47AにおいてP偏光でなる光ビームL1をほぼ全て透過させ、1/4波長板22へ入射させる。
【0069】
1/4波長板22は、光ビームを直線偏光と円偏光との間で相互変換するようになされており、例えばP偏光と左円偏光とを相互変換し、またS偏光と右円偏光とを相互変換するようになされている。
【0070】
実際上1/4波長板22は、P偏光でなる光ビームL1を左円偏光に変換し、球面収差補正部23のコリメータレンズ61へ入射させる。
【0071】
球面収差補正部23は、光ビームL1の光軸に沿った方向へ移動し得るレンズホルダ62に搭載されたコリメータレンズ61により、光ビームL1の球面収差を変化させた上で平行光に変換し、対物レンズ9Bへ入射させるようになされている。
【0072】
また球面収差補正部23は、ステッピングモータ60が駆動され、当該ステッピングモータ60のロータに固定された送りねじ63を回転させることにより、レンズホルダ62を移動し得るようになされている。
【0073】
さらに球面収差補正部23は、統括制御部11(図4)が駆動制御部12を介してステッピングモータ60を駆動制御することで、球面収差の変化度合いを調整し得るようにもなされている。
【0074】
このとき球面収差補正部23は、光ビームL1が集光され光ディスク100の記録面に到達した際に生じる球面収差と逆特性となるような球面収差を当該光ビームL1に予め与える。
【0075】
これにより球面収差補正部23は、光ビームL1の光ディスク100における記録面への到達時における球面収差を補正し得るようになされている。
【0076】
ところでピックアップベース20(図5)では、光集積素子21から出射され1/4波長板22及び球面収差補正部23を順次透過する光ビームL1を、水平方向(すなわち光ディスク100の記録面とほぼ平行な方向)へ進行させている。
【0077】
球面収差補正部23から出射された光ビームL1は、立上ミラー25で反射されることにより、垂直方向(すなわち光ディスク100の記録面にほぼ垂直な方向)へ進行し、対物レンズ9B(図6)へ入射されるようになされている。
【0078】
対物レンズ9Bは、光ビームL1を集光し、光ディスク100へ向けて照射する。このとき光ビームL1は、当該光ディスク100の記録面において反射され、光ビームL1と反対方向へ向かう反射光ビームL2となる。
【0079】
また反射光ビームL2は、光ディスク100の記録面において反射された際、円偏光における回転方向が反転されることにより、右円偏光となる。
【0080】
反射光ビームL2は、対物レンズ9Bにより平行光に変換された後、立上ミラー25(図5)に反射されることにより水平方向へ進行し、球面収差補正部23(図6)のコリメータレンズ61へ入射される。
【0081】
球面収差補正部23は、反射光ビームL2が記録面により反射されてから対物レンズ9Bを通過するまでの間に生じた球面収差を補正した上で収束光に変換し、当該反射光ビームL2を1/4波長板22へ入射させる。
【0082】
1/4波長板22は、反射光ビームL2を右円偏光からS偏光(すなわち直線偏光)に変換させた上で、光集積素子21へ入射させる。
【0083】
光集積素子21の積層プリズム47は、S偏光でなる反射光ビームL2を反射膜47Aにおいて反射し、反射膜47Bへ照射する。反射膜47Bは、いわゆるハーフミラーと同様に光の透過率が約50%となされており、反射光ビームL2を約50%の割合で反射して反射光ビームL3とする。
【0084】
反射光ビームL3は、積層プリズム47の反射膜47Bにおいて反射されることにより下方向へ進行し、複合レンズ46へ入射される。複合レンズ46の上面には、反射光ビームL2が入射される箇所に回折格子51が形成されている。
【0085】
回折格子51は、反射光ビームL3を回折させることにより、複数の光ビームに分割する。以下、回折格子51により分割された複数の光ビームをまとめて反射光ビームL4と呼ぶ。
【0086】
反射光ビームL4は、複合レンズ46の下面からほぼ下方向へ向けて出射され、スペーサ45の孔部45H2を通過してフォトディテクタ44へ照射される。
【0087】
フォトディテクタ44は、全体として薄板状に構成され、保持基板41の上面41Bに取り付けられている。フォトディテクタ44の上面には、反射光ビームL4が照射される箇所に、複数の光検出器が組み合わされてなる光検出部52が設けられている。
【0088】
また積層プリズム47の反射膜47Bは、反射光ビームL2の約50%を透過させることにより反射光ビームL5とする。反射光ビームL5は、反射膜47Cにおいて反射されることにより下方向へ進行し、複合レンズ46へ入射される。
【0089】
複合レンズ46の上面には、反射光ビームL5が入射される箇所に、すなわち回折格子51からやや離れた箇所に、回折格子53が形成されている。回折格子53は、反射光ビームL5を回折させることにより、複数の光ビームに分割する。以下、回折格子53により分割された複数の光ビームをまとめて反射光ビームL6と呼ぶ。
【0090】
反射光ビームL6は、複合レンズ46の下面からほぼ下方向へ向けて出射され、スペーサ45の孔部45H2を通過してフォトディテクタ44へ照射される。
【0091】
フォトディテクタ44の上面には、反射光ビームL6が照射される箇所に、すなわち光検出部52からやや離れた箇所に、複数の光検出器が組み合わされてなる光検出部54が設けられている。
【0092】
フォトディテクタ44は、光検出部52及び54の各光検出器において、それぞれ受光した光の強度に応じた検出信号Uを生成する。さらにフォトディテクタ44は、図示しない増幅回路により検出信号Uをそれぞれ増幅し、保持基板41の下面41Aに設けられた端子群41Tを介して、当該検出信号Uを信号処理部13(図4)へ供給するようになされている。
【0093】
これに応じて信号処理部13は、複数の検出信号Uに対し所定の演算処理を施すことにより、上述したフォーカスエラー信号SFE、トラッキングエラー信号STE及び球面収差補正信号SASをそれぞれ生成するようになされている。
【0094】
このようにBD光学系6Bは、光集積素子21に組み込まれたレーザ43から光ビームL1を出射させ、各種光学部品を介して、BD方式の光ディスク100へ照射するようになされている。
【0095】
またBD光学系6Bは、光ビームL1が光ディスク100の記録面において反射されてなる反射光ビームL2を、各種光学部品を介して光集積素子21のフォトディテクタ44により受光し、その受光結果に応じた検出信号Uを生成するようになされている。
【0096】
因みにDVD/CD光学系6Dは、全体としてBD光学系6Bと類似した構成となっており、光集積素子21、1/4波長板22及びコリメータレンズ61とそれぞれ対応する光集積素子31、1/4波長板32及びコリメータレンズ91を有している。またDVD/CD光学系6Dは、BD光学系6Bにおける対物レンズ9Bに代えて、対物レンズ9Dを用いるようになされている。
【0097】
DVD/CD光学系6Dは、BD光学系6Bと同様に、光集積素子31に組み込まれたレーザから光ビームを出射させ、各種光学部品を介して、DVD方式又はCD方式の光ディスク100へ照射するようになされている。
【0098】
またDVD/CD光学系6Dは、BD光学系6Bと同様に、光ビームが光ディスク100の記録面において反射されてなる反射光ビームを、各種光学部品を介して光集積素子31のフォトディテクタにより受光し、その受光結果に応じた検出信号Uを生成するようになされている。
【0099】
DVD/CD光学系6Dは、コリメータレンズ91を光軸方向に移動させ球面収差を補正し得るような球面収差補正部を有していない点がBD光学系6Bと異なっている。
【0100】
DVD/CD光学系6Dの対物レンズ9Dは、BD光学系6Bの対物レンズ9Bと比べて開口率が小さいため、DVD/CD光学系6DではBD光学系6Bより、球面収差が発生しづらいためである。
【0101】
[1−3.球面収差補正部の構成]
図7に示す球面収差補正部23は、ステッピングモータ60によりコリメータレンズ61を光軸方向に移動させることで、コリメータレンズ61とレーザ43(図6)との距離を調整し、光ビームに発生する球面収差を補正するようになされている。
【0102】
コリメータレンズ61は、光ビームの光軸方向(X方向)に対してレンズ面を向けるようレンズホルダ62に固定されており、当該コリメータレンズ61を通過した光ビームL1を対物レンズ9B(図6)へ入射させるようになされている。
【0103】
レンズホルダ62は、光軸方向と交差する面が、光ディスク100と略平行な方向へ延長している略直方体状でなり、そのほぼ中央部に光軸方向に伸びる円筒状の筒状部76を有している。またレンズホルダ62は、レンズ保持部77にレンズ孔78が光軸と略平行に穴を開けるよう穿設されており、当該レンズ孔78にコリメータレンズ61が取り付けられるようになされている。
【0104】
筒状部76は、その内部に光軸方向に貫通する挿通孔66を有しており、主軸64が当該挿通孔66内に挿通されることにより、当該主軸64に対し摺動可能となっている。またレンズホルダ62は、レンズ孔78を挟んで主軸64と反対側となるY1方向の端部に、U字形状に形成されたU字溝67を有しており、副軸65が当該U字溝67に挿通されることにより、当該副軸65に対し摺動可能となっている。
【0105】
主軸64及び副軸65は光軸方向に延設されピックアップベース20(図5)に固定されている。これによりレンズホルダ62は、主軸64及び副軸65を案内軸として光軸方向へ平行移動できるようになされている。
【0106】
一方ピックアップベース20にはモータ支持部69が固定されている。モータ支持部69の一端にはステッピングモータ60が取り付けられ、当該ステッピングモータ60のロータは送りねじ63と一体に回転するようになされている。
【0107】
送りねじ63の他端は、モータ支持部69の他端に設けられたねじ受け70に回転自在に支持されている。また送りねじ63は、螺旋状のスクリュー溝でなるねじ溝68を有し、主軸64からY2方向へ離れた位置に、その回転軸が主軸64と略平行となるように配置されている。
【0108】
ステッピングモータ60は、駆動制御部12(図4)を介した統括制御部11の制御に基づき、時計・反時計方向にロータを回転させることで回転力を送りねじ63へ伝達し、送りねじ63を回転駆動させる。このため送りねじ63は、ステッピングモータ60のモータトルクの出力軸となっている。
【0109】
さらに、レンズホルダ62にはねじりコイルばね80が取り付けられ、その一端が送りねじ63に付勢されている。
【0110】
ここで、ねじりコイルばね80がレンズホルダ62に取り付けられておらず、外部から力を加えられていない自然状態について説明する。図8(A)及び(B)は、自然状態のねじりコイルばね80を、それぞれ図7に示した球面収差補正部23における、X2方向及びZ1方向から見た状態を示す。
【0111】
ねじりコイルばね80は、弾性を有し断面が円形でなる1本の線材でなり、レンズホルダ62における筒状部76の外径よりわずかに大きい内径を有するよう3回乃至4回巻かれた巻き部83と、巻き部83の両端からそれぞれ伸びる第1腕部81及び第2腕部82とを有している。因みにねじりコイルばね80は、例えばステンレス鋼、リン青銅、硬鋼線等により構成されている。
【0112】
自然状態のねじりコイルばね80は、巻き部83からそれぞれ第1腕部81及び第2腕部82が、巻き軸(X方向)と交差する方向(Y2方向)へ、X2方向から見た際に同じ方向へ伸びている。
【0113】
また自然状態のねじりコイルばね80は、全体として巻き部83から腕部が広がるような形状となっており、第1腕部81が巻き部83から離れる方向(X1方向)へ、且つ第2腕部82が第1腕部81とは反対の離れる方向(X2方向)へ伸びている。
【0114】
かかるねじりコイルばね80は、図7と対応する図9及び図10に示すように、球面収差補正部23において巻き部83がレンズホルダ62の筒状部76に挿通され、第1腕部81が送りねじ63のねじ溝68に付勢されるようになされている。以下、このときのねじりコイルばね80の状態を取付状態と呼ぶ。
【0115】
因みに図9及び図10は、図7に示した球面収差補正部23をそれぞれX2方向及びZ2方向から見た状態を示している。
【0116】
ねじりコイルばね80は取付状態において、巻き部83が筒状部76により挿通されると共に、上述した自然状態と比べ第1腕部81と第2腕部82とが近接している。
【0117】
因みにねじりコイルばね80は、巻き軸方向から見た際、巻き形成される巻き部83の内部に空間を有する。このため球面収差補正部23では、主軸64の外形に合わせて形成された筒状部76に巻き部83の内部の空間を挿通させることにより、スペースを有効に利用でき、送り機構を小型化させることができる。
【0118】
ねじりコイルばね80の線材の一端である第1腕部81は、レンズホルダ62の筒状部76に挿通された巻き部83のX1方向の端部から、巻き軸(X方向)と交差する方向へ伸びている。第1腕部81の噛合部84は、送りねじ63のねじ溝68に噛合されている。
【0119】
図11(A)及び(B)は、取付状態のねじりコイルばね80をそれぞれX2方向及びZ1方向から見た状態を示す。因みに図11(A)では、自然状態の第1腕部81を破線で示している。
【0120】
取付状態のねじりコイルばね80は、第1腕部81の噛合部84により送りねじ63に対しZ1側から接している。このとき第1腕部81は、自然状態に戻ろうとする線材の弾性力により送りねじ63に押し付ける方向へ付勢する第1付勢力F1が発生する。
【0121】
ここで送りねじ63は、ステッピングモータ60により回転されると、第1腕部81に対しX1方向又はX2方向の力を作用させる。このとき球面収差補正部23では、第1付勢力F1が弱すぎると、ステッピングモータ60のモータトルクに負けて第1腕部81の噛合部84が送りねじ63のねじ溝68から外れてしまう恐れがある。一方第1付勢力F1が強すぎると、大きなモータトルクが必要となってしまう。
【0122】
そこで球面収差補正部23は、第1付勢力F1が、ステッピングモータ60のトルクで送りねじ63と噛合部84とが摺動し、且つ外れない程度の強さとなるように設計されている。
【0123】
第1腕部81は、レンズホルダ62において送りねじ63よりもY2方向側に設けられた第1押止部71により、X2方向へ押止されている。このため第1腕部81は、ばねの反力により、押止される方向に反発するX1方向へ第2付勢力F2が発生すると共に、巻き軸に直交する方向(Y方向)に対して所定の噛合角度θ1をなして送りねじ63のねじ溝68と噛合するようになされている。
【0124】
これによりねじりコイルばね80は、送りねじ63が回転しX1方向へレンズホルダ62が移動される際に、第1腕部81の噛合部84が、送りねじ63のねじ溝68によりX2方向へ力が加わって外れてしまうのを防ぐことができる。因みに、X2方向へレンズホルダ62が移動されても、第1腕部81はレンズホルダ62の第1押止部71に接触しているため、第1腕部81は、ねじりコイルばね80が開く方向(X1方向)へ移動することはない。
【0125】
ここで、送りねじ63の回転軸方向(X1方向)への第2付勢力F2を強くしすぎると、第1腕部81とレンズホルダ62の第1押止部71との摩擦により、第1付勢力F1が弱くなると共に不安定になってしまい、不具合が生じる恐れがある。このため第2付勢力F2は、送りねじ63の回転方向が逆転した際の慣性力に負けない程度の強さとなるように設計されている。
【0126】
図12は、図7に示した球面収差補正部23をY2方向から見た、送りねじ63とコイルばね80の第1腕部81との噛合部84を拡大した状態を示す。
【0127】
ねじりコイルばね80の第1腕部81は送りねじ63の押し付け方向に力が加えられており、噛合部84が送りねじ63のねじ溝68と接することにより、噛合されている。
【0128】
因みに第1腕部81の線径rが送りねじ63のリードピッチlより大きい場合、第1腕部81のねじ溝68とのX1側接触点P1及びX2側接触点P2が、ねじ溝68の外側(Z1側)へ移動し、第1腕部81がねじ溝68から外れやすくなってしまう。
【0129】
また、線径rがリードピッチlより小さすぎる場合、第1腕部81が送りねじ63の回転軸方向(X方向)の2点でねじ溝68に接することができなくなるため、第1腕部81がねじ溝68内で送りねじ63の回転軸方向にずれやすくなってしまう。
【0130】
このため第1腕部81の線径rは、送りねじ63のリードピッチl以下が望ましく、特に3分の2〜4分の3が望ましい。
【0131】
図13は、図7に示した球面収差補正部23をZ1方向から見た状態を示す。第1腕部81は、レンズホルダ62の第1押止部71により押止され、上記噛合角度θ1は、送りねじ63のリード角の角度であるリード角度θ2と等しくなるようになされている。
【0132】
一方、ねじりコイルばね80の線材のもう一端である第2腕部82は、巻き部83のX2方向の端部から、巻き軸と交差する方向へ伸び、レンズホルダ62により押止され、位置決めされている。
【0133】
図9に示したように、ねじりコイルばね80の第2腕部82は、レンズホルダ62の第2押止部72により押止されている。このため第2押止部72は、ねじりコイルばね80における第1腕部81の噛合部84が送りねじ63に対しZ1側から接することにより、ねじりコイルばね80が巻き軸を中心として図中の反時計方向に回転してしまうのを抑止している。
【0134】
因みにレンズホルダ62は、副軸65がU字溝67に挿通されている。このためレンズホルダ62は、ねじりコイルばね80における第1腕部81の噛合部84が送りねじ63に対してZ1側から接することによる、主軸64を中心とした図の反時計回りへのレンズホルダ62の回転を抑止している。
【0135】
また図10に示したように第2腕部82は、レンズホルダ62の第3押止部73によりX1方向へ押止されている。このため第2腕部82は、ばねの反力により、押止される方向に反発するX2方向へ第3付勢力F3(図11)が発生する。
【0136】
さらに巻き部83は、レンズホルダ62の第4押止部74により、X2方向へ押止されている。このため、ねじりコイルばね80は、第1腕部81及び第2腕部82が近接するように押止されることによる、巻き部83のX1方向への広がりを抑止する。これにより、ねじりコイルばね80は、レンズホルダ62に対してX1方向へ巻き部83がずれるのを防ぎ、筒状部76に対するガタつきを抑えることができる。
【0137】
これを換言すれば、ねじりコイルばね80は自然状態へ戻ろうとする復元力の作用により、レンズホルダ62に固定されている。
【0138】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において球面収差補正部23は、ステッピングモータ60により送りねじ63を回転させ、ねじりコイルばね80を介して、レンズホルダ62に搭載されたコリメータレンズ61を光軸方向に移動させる。
【0139】
また球面収差補正部23は、線材1本で構成されたねじりコイルばね80を圧縮するよう被駆動体としてのレンズホルダ62に取り付け、レンズホルダ62にステッピングモータ60の駆動力を伝達するようにした。
【0140】
これにより、別途固定用のビス等を用いることなく、線材1本でラックが構成されることで構成がシンプルとなるため、部品点数を減らしコストの削減を行うことができる。また、ねじりコイルばね80がレンズホルダ62に押止されて圧縮され、復元力により固定されるだけの簡易な構成でラックを構成でき、球面収差補正部23を容易に製造できる。
【0141】
さらに球面収差補正部23は、ねじりコイルばね80の第1腕部81の噛合部84に当接するよう送りねじ63を配置するようにした。また第2腕部82は、レンズホルダ62の第2押止部72により、ねじりコイルばね80の、主軸64を中心とした回転を抑止するようにした。
【0142】
このため第1腕部81は、線材の弾性力により送りねじ63に押し付ける方向へ第1付勢力F1が発生し、噛合部84とねじ溝68とを噛合させることができる。
【0143】
線材の弾性力による上記第1付勢力F1は、板ばねをラックに用いた際の圧力よりも小さいため、弾性力の変動幅が少ない。これにより、噛合部84とねじ溝68との噛合状態が安定化し、ステッピングモータ60は、レンズホルダ62を安定的に駆動することができる。
【0144】
また、送りねじ63に回転力を与えるモータへの、第1付勢力F1による負荷トルクが小さくなり、球面収差補正部23は、発生させるトルクが小さい、小型のモータでレンズホルダ62を移動させることができる。
【0145】
さらに線材によりラックを構成しているため、第1腕部81は、その長さが短くなっても、送りねじ63に押し付ける力が強くなりすぎず、且つ噛合部84がねじ溝68から外れない程度となる適切な力を加えられる。これにより第1腕部81の長さを短くできるため、球面収差補正部23はそのY方向の長さを短くすることができる。
【0146】
さらに球面収差補正部23は、第1腕部81と第2腕部82とが近接しねじりコイルばね80が圧縮されるように、レンズホルダ62の第1押止部71及び第3押止部73とによりねじりコイルばね80を押止するようにした。また巻き部83は、第4押止部74により押止され、巻き部83の広がりを抑止するようにした。
【0147】
このため第1腕部81及び第2腕部82は、それぞればねの反力により、ばねが開かれる方向へ付勢力が発生する。
【0148】
これによりねじりコイルばね80は、送りねじ63の回転力をレンズホルダ62に伝えるラック機能を果たすとともに、レンズホルダ62が移動される際に、第1腕部81の噛合部84が、送りねじ63のねじ溝68から外れてしまうのを防ぐことができる。
【0149】
さらにねじりコイルばね80は、レンズホルダ62の筒状部76に挿通されるよう複数回巻かれた巻き部83を有するようにした。
【0150】
これによりねじりコイルばね80は、線材を巻き形成するだけのX方向の幅で、ラック機能を果たすことができるため、球面収差補正部23のX方向の長さを短くすることができる。
【0151】
ところでねじりコイルばね80は、巻き部83からY2方向に伸びた第1腕部81と第2腕部82とを近接するように圧縮されるため、取付状態のねじりコイルばね80における巻き部83には、Y1方向へ逃げるような力が働く。
【0152】
これに対してねじりコイルばね80は、その巻き部83がレンズホルダ62の筒状部76に挿通されることにより、巻き部83がY1方向へ逃げる力を抑え、取付状態のねじりコイルばね80における巻き部83の巻き軸がY1方向へたわんでしまうのを防ぐことができる。
【0153】
ここで、図14(B)に示すように第1腕部81の噛合角度θ1が送りねじ63のリード角度θ2とずれている場合、図14(A)に示すような、噛合角度θ1がリード角度θ2と等しい状態と比べて、X1側接触点P1とX2側接触点P2とがY方向に離れてしまう。
【0154】
このため第1腕部81は、X1側接触点P1とX2側接触点P2とで、送りねじ63の回転軸からZ1方向の半径方向への距離が異なることで、接触点における送りねじ63の周速度が異なり、且つねじ溝68との摩擦力の方向が異なるため、送りねじ63にかける負荷トルクが大きくなってしまう。
【0155】
さらに、第1腕部81の噛合角度θ1が送りねじ63のリード角度θ2とずれている場合、第1腕部81とねじ溝68との接触状態が不安定になってしまうため、第1腕部81が送りねじ63に与える負荷トルクが不安定になる。
【0156】
そこで、図14(A)に示すように、第1腕部81はレンズホルダ62(図13)の第1押止部71により、噛合角度θ1が送りねじ63のリード角度θ2と等しくなるように押止されるようにした。
【0157】
さらにねじりコイルばね80は、巻き軸方向(X方向)から見た際に内部に空間を有する巻き部83に、レンズホルダ62の筒状部76を挿通させるようにした。
【0158】
これにより、Y方向に主軸64と送りねじ63とを近接させ、球面収差補正部23を小型化することができる。
【0159】
以上の構成によれば、ねじりコイルばね80は線材1本で巻き形成され、レンズホルダ62の筒状部76に挿通されて、被駆動体としてのレンズホルダ62にステッピングモータ60の回転力を伝達する。またねじりコイルばね80は、巻き部83の一端から伸びた第1腕部81が送りねじ68の押し付け方向に付勢されると共に、噛合角度θ1が送りねじ63のリード角度θ2と一致するよう、第1腕部及び巻き部83の他端から伸びた第2腕部82が、レンズホルダ62により位置決めされる。これにより球面収差補正部23は、ねじりコイルばね80の腕部の長さを短くしても、適切な力で送りねじ63の押し付け方向へ噛合できると共に、腕部の角度を送りねじのリード角とほぼ合わせることができる。かくして球面収差補正部23は、送りねじ68にかけるトルクを小さくでき、ラックを小型に構成することができる。
【0160】
<2.第2の実施の形態>
[2−1.光ディスク装置及び光ピックアップの構成]
第2の実施の形態による光ディスク装置101(図3、図4)は、第1の実施の形態による光ディスク装置1と比較して、光ピックアップ6に代えて光ピックアップ106が設けられている点が異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0161】
また第2の実施の形態による光ピックアップ106(図5)は、第1の実施の形態による光ピックアップ6と比較して、BD光学系6Bに代えてBD光学系106Bが設けられている点が異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0162】
さらに第2の実施の形態によるBD光学系106B(図6)は、第1の実施の形態によるBD光学系6Bと比較して、球面収差補正部23に代えて球面収差補正部123が設けられている点が異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0163】
[2−2.球面収差補正部の構成]
図15に示す第2の実施の形態による球面収差補正部123は、第1の実施の形態による球面収差補正部23(図7)と比較して、レンズホルダ62に代えてレンズホルダ162が設けられている点が異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0164】
また第2の実施の形態によるレンズホルダ162は、第1の実施の形態によるレンズホルダ62(図7)と比較して、筒状部76及び挿通孔66に代えて筒状部176及び挿通孔166が設けられている点が異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0165】
具体的には筒状部176における挿通孔166は、X方向から見た際に、2組の対角がそれぞれY方向及びZ方向を向くような正方形である断面形状を有している。
【0166】
また第1の実施の形態と同様に、主軸64が筒状部176における挿通孔166内に挿通されることにより、筒状部176はピックアップベース20(図5)に固定されている主軸64に対し摺動可能となっている。
【0167】
図16に示すように、ねじりコイルばね80は第1腕部81の噛合部84により送りねじ63に対しZ1側から接している。このとき第1腕部81には、線材の弾性力により送りねじ63に押し付ける方向(Z2方向)へ付勢する第1付勢力F1が発生する。
【0168】
このためねじりコイルばね80の巻き部83には、線材の弾性力により、噛合部84を支点として第1付勢力F1とは逆方向であるZ1方向へ力が加わるような第1作用力FA1が発生する。
【0169】
ここで筒状部176は、その外形よりわずかに大きい内径を有する、ねじりコイルばね80の巻き部83に挿通されている。このため筒状部176には、巻き部83に働いている第1作用力FA1により、Z1方向へ与圧される第1与圧力FP1が発生する。
【0170】
図17は、筒状部176及び主軸64を拡大して示す断面図である。筒状部176の挿通孔166内には主軸64が挿通されている。このため筒状部176は巻き部83からZ1方向へ第1与圧力FP1を受けるとZ1方向へ移動する。これにより筒状部176の挿通孔166は、主軸64に対してZ2方向から接することとなる。
【0171】
このとき挿通孔166は、X方向から見た断面図では、正方形におけるZ2側の辺がそれぞれ第1接触点CP1と第2接触点CP2との1点ずつで主軸64に対して接する。
【0172】
実際には挿通孔166は、第1接触点CP1と第2接触点CP2とからX方向に伸びるように2線で主軸64に接するが、図17におけるX方向から見た断面図では2点で接している。挿通孔166はそれぞれの接触点から、当該接触点を介し接している正方形の辺に対する垂直方向へ与圧する第2与圧力FP2と第3与圧力FP3とを主軸64に加えるようになされている。また第2与圧力FP2と第3与圧力FP3とは、同等の強さとなっている。
【0173】
また、第1接触点CP1と第2接触点CP2とを結ぶことにより構成された仮想的な平面を、仮想平面VP1とする。因みに図17におけるX方向から見た際においては、仮想平面VP1は線により表されている。
【0174】
ここで図16に示したように、主軸64と副軸65とのZ1側の端同士を結んだ仮想的な平面を、仮想平面VP2とする。図16においても図17と同様に、仮想平面VP2は線により表されている。図16において仮想平面VP1の線は仮想平面VP2の線と平行になっているため、実際の仮想平面VP1は仮想平面VP2と平行になっていると言える。
【0175】
図17に示したX方向から見た際の断面図において、主軸64と、挿通孔166との第1接触点CP1からX方向に伸びた接触線における接平面を接平面TP1とする。また、主軸64と、挿通孔166との第2接触点CP2からX方向に伸びた接触線における接平面を接平面TP2とする。因みに接平面TP1及び接平面TP2は、X方向から見た際は線として表されている。
【0176】
また、接平面TP1と仮想平面VP2とのなす角度を接平面角度θ3とし、接平面TP2と仮想平面VP2とのなす角度を接平面角度θ4とする。接平面角度θ3と接平面角度θ4とは共に45[°]と等しくなるようになされている。このため第2与圧力FP2と第3与圧力FP3とは、Y方向に対してなす角度がお互いに等しくなる。
【0177】
第1接触点CP1に発生した第2与圧力FP2のうち、それぞれY方向とZ方向とに分解された力の成分は、主軸64にY2方向へ力を加える第2与圧力Y成分FP2Yと、Z1方向へ力を加える第2与圧力Z成分FP2Zとなる。
【0178】
同様に第2接触点CP2に発生した第3与圧力FP3のうち、それぞれY方向とZ方向とに分解された力の成分は、主軸64にY1方向へ力を加える第3与圧力Y成分FP3Yと、Z1方向へ力を加える第3与圧力Z成分FP3Zとなる。
【0179】
上述したように第2与圧力FP2と第3与圧力FP3とは、Y方向に対してなす角度がお互いに等しく、かつ同じ大きさとなっている。このため第2与圧力Y成分FP2Yは、第3与圧力Y成分FP3Yと同等の大きさとなる。それと共に第2与圧力Z成分FP2Zは、第3与圧力Z成分FP3Zと同等の大きさとなる。
【0180】
このとき挿通孔166における第1接触点CP1には、第2与圧力FP2に対する反作用により、第2与圧力FP2とは逆方向に向かい同等の大きさである力が主軸64から加わるような第2作用力FA2が発生する。
【0181】
同様に挿通孔166における第2接触点CP2には、第3与圧力FP3に対する反作用により、第3与圧力FP3とは逆方向に向かい同等の大きさである力が主軸64から加わるような第3作用力FA3が発生する。
【0182】
第1接触点CP1に発生した第2作用力FA2のうち、それぞれY方向とZ方向とに分解された力の成分は、主軸64から筒状部176にY1方向へ力を加える第2作用力Y成分FA2Yと、Z2方向へ力を加える第2作用力Z成分FA2Zとなる。
【0183】
同様に第2接触点CP2に発生した第3作用力FA3のうち、それぞれY方向とZ方向とに分解された力の成分は、主軸64から筒状部176にY2方向へ力を加える第3作用力Y成分FA3Yと、Z2方向へ力を加える第3作用力Z成分FA3Zとなる。
【0184】
このとき力のつり合いにより、第2作用力Z成分FA2Zと第3作用力Z成分FA3Zとの大きさの和は、第1与圧力FP1の大きさと等しくなる。
【0185】
このように主軸64は筒状部176に対して、それぞれY方向に関して互いに逆方向であるY1方向とY2方向とへ向かい、同等の大きさである第2作用力Y成分FA2Yと第3作用力Y成分FA3Yとを加えるようになされている。
【0186】
このため、仮に外部から筒状部176にY方向の外力が加えられることがあっても、筒状部176は、当該外力の大きさが第2作用力Y成分FA2Y及び第3作用力Y成分FA3Yの大きさを超えない限りは、主軸64に対してずれることなく、摺動可能な程度に固定される。
【0187】
このように球面収差補正部123は、主軸64に対して仮想平面VP1上におけるY方向へ、筒状部176をずれづらくすることができる。
【0188】
これにより球面収差補正部123は、仮想平面VP1と平行である、主軸64と副軸65とを結んだ仮想平面VP2上において、筒状部176を主軸64に対してY方向へずれづらくすることができる。
【0189】
ところで、レンズホルダ162(図15)のU字溝67が副軸65に対し摺動する際、接触によりある程度の摩擦が発生する。このためレンズホルダ162の移動方向を逆方向にするときや、停止していたレンズホルダ162を動かし始めるためには、ねじりコイルばね80は、U字溝67と副軸65との間の摩擦力を超えるX方向の力をレンズホルダ162に加える必要がある。
【0190】
ここで仮に筒状部176が主軸64に対してY方向にずれやすい場合に、送りねじ63の回転が切り替わると、ねじりコイルばね80からレンズホルダ162に加える力がU字溝67と副軸65との摩擦力を超えるまでは、筒状部176、即ちレンズホルダ162が主軸64に対してガタついてしまう。
【0191】
このため図18に示す回転方向Rのように、レンズホルダ162は、U字溝67と副軸65との接点を支点として、筒状部176の主軸64に対するガタつきの範囲内でZ軸回りに傾いてしまう可能性があった。
【0192】
これにより送りねじ63が逆回転へ切り替わる際に発生する、ヒステリシスが悪化する恐れがあった。
【0193】
ここでヒステリシスとは、レンズホルダ162と主軸64との間のガタつきにより発生する、送りねじ63の回転の切り替わりに対するレンズホルダ162の移動方向、即ちX方向の位置ずれである。
【0194】
これ対して本実施の形態による球面収差補正部123では、第2作用力Y成分FA2Y及び第3作用力Y成分FA3Y(図17)が、送りねじ63の回転方向が逆転した際にU字溝67と副軸65との摩擦力により主軸64に対してレンズホルダ162がガタつかない大きさとなるように設計されている。
【0195】
このため球面収差補正部123は、ねじりコイルばね80からレンズホルダ162に加わるX方向の力が変化したときの、レンズホルダ162の主軸64に対するガタつきを抑制することができる。
【0196】
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において球面収差補正部123は、ねじりコイルばね80の第1腕部81の噛合部84に当接するよう送りねじ63を配置するようにした。
【0197】
このため第1腕部81は、線材の弾性力により送りねじ63に押し付ける方向へ第1付勢力F1が発生し、噛合部84とねじ溝68とを噛合させることができる。
【0198】
このためねじりコイルばね80の巻き部83には、線材の弾性力により、噛合部84を支点としてZ1方向へ力が加わるような第1作用力FA1が発生する。
【0199】
また筒状部176には、巻き部83に働いている第1作用力FA1により、Z1方向へ与圧される第1与圧力FP1が発生する。
【0200】
筒状部176における挿通孔166は、X方向から見た際に2組の対角がそれぞれY方向及びZ方向を向く正方形である断面形状を有している。このため挿通孔166は、第1接触点CP1及び第2接触点CP2からX方向に伸びた2線で主軸64に接し、断面図においてそれぞれの接触点から与圧する第2与圧力FP2と第3与圧力FP3とを主軸64に加える。
【0201】
主軸64は、その反作用として、第1接触点CP1から受けた第2与圧力FP2のうち、Y2方向に分解された成分である第2与圧力Y成分FP2Yと逆方向のY1方向へ向かい同等の大きさである第2作用力Y成分FA2Yを筒状部176に加える。
【0202】
同様に主軸64は、第2接触点CP2から受けた第3与圧力FP3のうち、Y1方向に分解された成分である第3与圧力Y成分FP3Yと逆方向のY2方向へ向かい同等の大きさである第3作用力Y成分FA3Yを筒状部176に加える。
【0203】
さらに、第1接触点CP1と第2接触点CP2とを結んだ仮想平面VP1は、主軸64と副軸65とを結んだ仮想平面VP2と平行になっている。
【0204】
ここで仮に、図19に示すレンズホルダ62のように挿通孔66の断面形状が主軸64と同じように円形であった場合、ねじりコイルばね80(図示せず)により筒状部76にはZ1方向に第1与圧力FP1が発生する。
【0205】
挿通孔66は、X方向から見た際第3接触点CP3の1点で主軸64に接し、第3接触点CP3からZ2方向へ与圧する第4与圧力FP4を主軸64に加える。
【0206】
このように挿通孔66が1点のみで主軸64に接する場合、筒状部76は主軸64に対してY方向の与圧力を加えられていない。このため例えば外部から筒状部76にY方向の力が加えられると、第3接触点CP3がY方向に移動することにより筒状部76が主軸64に対してY方向にずれてしまう恐れがあった。
【0207】
これにより、ある程度の摩擦力が生じるU字溝67と副軸65との接点を支点として、筒状部76の主軸64に対するガタつきの範囲内でレンズホルダ62がZ軸回りに傾いてしまい、ヒステリシスが悪化し、送り精度が低下する可能性があった。
【0208】
これに対して本実施の形態による球面収差補正部123では、X方向から見た際挿通孔166が第1接触点CP1及び第2接触点CP2との2線で主軸64に接触するようにした。また、第1接触点CP1と第2接触点CP2とを結んだ仮想平面VP1は、主軸64と副軸65とを結んだ仮想平面VP2と平行になるようにした。
【0209】
これにより球面収差補正部123は、主軸64に対する筒状部176のZ軸回りのガタつきを抑制することができる。かくして球面収差補正部123は、レンズホルダ162のヒステリシスを改善することができ、送り精度を向上させることができる。
【0210】
それと共に球面収差補正部123は、送りねじ63の回転が変化する際だけでなく、外部からの衝撃による主軸64に対する筒状部176のガタつきも抑制することができる。
【0211】
さらに球面収差補正部123は、接平面角度θ3と接平面角度θ4とを等しくなるようにした。このため球面収差補正部123は、主軸64から筒状部176に加えられる第2作用力Y成分FA2Yと第3作用力Y成分FA3Yとを等しくすることができる。
【0212】
これにより球面収差補正部123は、外部からY方向の力が加わったとき、例えば主軸64に対して筒状部176がY1方向にはずれにくいがY2方向にはずれやすいなどバランスを悪くすることなく、Y方向のどちらからの力に対してもガタつかなくすることができる。
【0213】
ここで、主軸64に対する筒状部176のガタつきを抑制するために、主軸64をZ2方向に与圧するよう付勢されたばね(図示せず)を筒状部176に固定するような構成も考えられる。
【0214】
しかしながらそのような構成では、追加したばねが主軸64に接触するため、主軸64と挿通孔166との摺動による摩擦が増大し、摺動性が低下する。このため大きなトルクを発生させる大型のモータが必要となってしまう。また、ばねを追加することにより球面収差補正部123を構成する部品が増加し、部品のコストも増加してしまう。
【0215】
これに対して本実施の形態による球面収差補正部123では、主軸64と挿通孔166との摺動性を低下させることなく、さらにばね等の部品も増加させることなく、主軸64に対する筒状部176のガタつきを抑制することができる。
【0216】
また第1の実施の形態による球面収差補正部23は、ねじりコイルばね80を使用するようにしたため、従来の板ばねを用いた送り機構423及び523(図1及び図2)と比べて、送りねじ63にかけるトルクを小さくでき、ラックを小型に構成することができる。
【0217】
しかしながらそれに伴い、球面収差補正部23においては、ねじりコイルばね80の巻き部83に発生するZ1方向への第1作用力FA1は弱くなる。このため筒状部176が主軸64を与圧する第1与圧力FP1も弱くなり、主軸64に対して筒状部176がガタつきやすくなる可能性がある。
【0218】
これに対して本実施の形態による球面収差補正部123は、X方向から見た際、挿通孔166が第1接触点CP1及び第2接触点CP2との2点で主軸64に接触するようにした。このため球面収差補正部123は、筒状部176が主軸64を与圧する第1与圧力FP1が弱くなっても、主軸64に対する筒状部176のガタつきを抑制することができる。
【0219】
また本実施の形態による球面収差補正部123は、筒状部176における挿通孔166の断面形状を変更するだけで、副軸64やU字溝67等の他の部品を変更することなく、レンズホルダ162のガタつきを抑制できる。
【0220】
また球面収差補正部123においては、一般的に樹脂製であることが多いレンズホルダ162における挿通孔166の断面形状を、一般的な円形から正方形状に変形した。
【0221】
これにより、一般的には金属製であることが多い主軸64の断面形状を一般的な円形以外とする場合よりも、製造する際の難易度の低下及び工程の削減を行うことができる。
【0222】
以上の構成によれば、筒状部176における挿通孔166は、X方向から見た際に正方形である断面形状を有する。また挿通孔166は、ねじりコイルばね80における巻き部83に筒状部176が与圧されることにより、第1接触点CP1及び第2接触点CP2からX方向に伸びた2線で主軸64に接する。このとき第1接触点CP1と第2接触点CP2とを結ぶ仮想平面VP1は、主軸64と副軸65とを結ぶ仮想平面VP2と平行となる。これにより球面収差補正部123は、レンズホルダ162の主軸64に対するガタつきを抑制することができる。かくして球面収差補正部123は、レンズホルダ162のヒステリシスを改善することができると共に、送り精度を向上させることができる。
【0223】
<3.他の実施の形態>
なお上述した実施の形態においては、送り機構を、球面収差補正部23へ適用した場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば光ピックアップを移動させる送り機構等、種々の機構に適用して良く、送りねじを回転させ被駆動体を往復移動させる機構であれば良い。本発明の送り機構は、小さなスペースにおける軽量な被駆動部の駆動に適用する場合、本発明の効果を顕著に奏する。
【0224】
また上述した実施の形態においては、球面収差補正部23のねじりコイルばね80の第1腕部81の1箇所の噛合部84が送りねじ63のねじ溝68に噛合される場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば図20に示す球面収差補正部223のねじりコイルばね280のように、第1腕部281が、送りねじ63と噛合する部分よりも先端側で折り返され、送りねじ63のねじ溝68に2箇所噛合されるようにしても良い。
【0225】
ねじりコイルばね280は、ねじりコイルばね80と比べ、ねじりコイルばね280の第1腕部281とねじ溝68との接点が増すため、主軸64に対するレンズホルダ62のZ軸まわりのガタつきを抑えることができる。
【0226】
これにより、ねじりコイルばね280は、送りねじ63が逆回転へ切り替わる際に発生する、ヒステリシスを軽減することができる。
【0227】
この結果、送りねじ63の回転力を安定してねじりコイルばね280へ伝達させ、レンズホルダ62を移動させることが可能となる。
【0228】
さらに、ねじりコイルばね280はねじりコイルばね80と比べ、ねじりコイルばね280の第1腕部281とねじ溝68との接点が増すため、送りねじ63への押し付け方向の荷重が分散される。
【0229】
これによりねじりコイルばね280は、第1腕部281の噛合部284と送りねじ63のねじ溝68との接点に発生する、摺動による磨耗を軽減することができる。この結果、ねじりコイルばね280は、第1腕部281の対磨耗性を向上し得る。
【0230】
またさらに、ねじりコイルばね80は、第1腕部81を2回以上折り返し、送りねじ63のねじ溝68に噛合部284が3箇所以上噛合されるようにしても良い。
【0231】
これによりねじりコイルばねは、送りねじ63が逆回転へ切り替わる際に発生する、ヒステリシスをさらに軽減させることができ、且つ第1腕部81の対磨耗性をさらに向上させ得る。
【0232】
また上述した実施の形態においては、球面収差補正部23のねじりコイルばね80を、例えばステンレス鋼、リン青銅、硬鋼線等でなる線材により形成し、直接送りねじ63に噛合させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば図21に示す球面収差補正部323のねじりコイルばね380のように、第1腕部381の噛合部384に、潤滑メッキ、フッ素コーティング等の表面処理を施し、当該表面処理層を介してねじ溝68に噛合されるようにして良い。
【0233】
これによりねじりコイルばね380は、ねじ溝68との噛合部384における摩擦が軽減して摺動性が向上するため、送りねじ63を回転させるステッピングモータ60にかける負荷トルクを低減させることができる。
【0234】
この結果、球面収差補正部223は、大きなトルクを発生させる必要のない、小型のステッピングモータ60を用いることができるため、光ピックアップ6、光ディスク装置1の小型化が可能となる。
【0235】
因みに当該表面処理は、ねじりコイルばね380の噛合部384のみに施すだけでなく、ねじりコイルばね380の全体に施されても良い。
【0236】
さらに上述した実施の形態においては、ねじりコイルばね80の第1腕部81の噛合角度θ1は、送りねじ63のリード角度θ2と等しくなるようになされている場合について述べた。本発明はこれに限らず、第1腕部81は、送りねじ63の回転軸に直交する方向(Y方向)に対してなす角度が、送りねじ63のリード角度θ2に近接するよう噛合角度θ1がつけられていれば良い。この場合、第1腕部81の噛合角度θ1が送りねじ63のリード角度θ2に近接するほど、第1腕部81が送りねじ63にかける負荷トルクを小さく且つ安定化させることができる。
【0237】
さらに上述した実施の形態においては、ねじりコイルばね80は、ピックアップベース20に固定された主軸64が挿通した、レンズホルダ62の筒状部76に挿通される場合について述べた。本発明はこれに限らず、ねじりコイルばね80は、レンズホルダ62の他の部分に挿通されても良い。
【0238】
この場合ねじりコイルばね80は、レンズホルダ62における送りねじ63に近接する箇所に挿通されることが望ましい。これにより第1腕部81の長さを短くし球面収差補正部23を小型化することができる。
【0239】
さらに上述した実施の形態においては、ねじりコイルばね80は、第1腕部81における送りねじ63と当接する部分よりも先端側をレンズホルダ62の第1押止部71により押止される場合について述べた。本発明はこれに限らず、第4押止部74と当接する部分と送りねじ63と当接する部分との間の部分を、レンズホルダ62により押止されても良い。
【0240】
さらに上述した実施の形態においては、ねじりコイルばね80は、レンズホルダ62の筒状部76に挿通されるよう3回乃至4回巻かれた巻き部83を有する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ねじりコイルばね80は、ラック機能を果たすことができれば、種々の巻き数からなる巻き部を有して良い。
【0241】
この場合ねじりコイルばね80は、巻き部83の巻き数が少ないほど、X方向の幅を短くすることができる。これによりねじりコイルばね80はX方向の幅を短くすることができる。
【0242】
さらに上述した実施の形態においては、球面収差補正部23は主軸64及び副軸65が挿通され、副軸65により、主軸64を中心としたレンズホルダ62の回転を抑止するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば主軸は、図7におけるX方向から見た断面がY方向へ延長されたような形状とすることで、主軸のみでレンズホルダ62の回転を抑止するようになされていても良い。
【0243】
さらに上述した実施の形態においては、球面収差補正部23は1枚のコリメータレンズ61を有し、当該コリメータレンズ61を光軸方向に移動させることで、光ビームに発生する球面収差を補正する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば球面収差補正部が、複数枚のレンズを有していても良い。この場合球面収差補正部は、その位置が固定された固定レンズと、光軸方向に移動し得る可動レンズとにより構成し、可動レンズを移動させることで球面収差を補正すれば良い。
【0244】
さらに上述した実施の形態においては、断面が円形でなるねじりコイルばね80について述べた。本発明はこれに限らず、例えばねじりコイルばね80は、断面が三角形や四角形等、種々の形状を有していてよい。
【0245】
さらに上述した実施の形態においては、DVD/CD系ピックアップ6Dは、コリメータレンズ91を光軸方向に移動し得る球面収差補正部を有していない場合について述べた。本発明はこれに限らず、DVD/CD系ピックアップ6Dは、球面収差補正部を有していても良い。
【0246】
さらに上述した第2の実施の形態においては、筒状部176における挿通孔166を、X方向から見た際に2組の対角がそれぞれY方向及びZ方向を向く正方形である断面形状とする場合について述べた。
【0247】
本発明はこれに限らず、例えば図22(A)に示すような、1つの頂点がZ2方向を向く正三角形でなる断面形状を有する挿通孔266であっても良いし、図22(B)に示すような、1つの頂点がZ2方向を向く正五角形でなる断面形状を有する挿通孔366であっても良い。また図22(C)に示すような、円形のうち第1接触点CP1及び第2接触点CP2と接触する周辺部分のみが直線状となっているような断面形状を有する挿通孔466であっても良い。
【0248】
さらに例えば図23(A)に示すように、挿通孔66の断面形状を円形とし、主軸164の断面形状を、X方向から見た際に2組の対辺がそれぞれY方向及びZ方向を向く正方形としても良い。
【0249】
また図23(B)に示すような、1つの頂点がZ1方向を向く正三角形でなる断面形状を有する主軸264であっても良いし、図23(C)に示すような、1つの頂点がZ1方向を向く正五角形でなる断面形状を有する主軸364であっても良い。さらに図23(D)に示すような、円形のうち第1接触点CP1と第2接触点CP2とを結ぶ部分を直線状に切り落としたような、Dの字をX軸回りに90度回転させた断面形状を有する主軸464であっても良い。
【0250】
また挿通孔と主軸とは、どちらか一方の断面形状が常に円形である必要はなく、例えば図23(E)に示すように、挿通孔166の断面形状を、X方向から見た際に2組の対角がそれぞれY方向及びZ方向を向く正方形とし、主軸164の断面形状を、2組の対辺がそれぞれY方向及びZ方向を向く正方形としても良い。
【0251】
さらに図17に示した筒状部176の挿通孔166においては、断面形状である正方形のそれぞれの角は丸みを帯びていても良い。これにより挿通孔166が形成された筒状部176を製造する際の難易度を下げることができる。図22(A)及び(B)に示した筒状部276及び376においても同様である。
【0252】
要は、種々の断面形状でなる主軸と挿通孔との組み合わせが、X方向から見た際に第1接触点CP1及び第2接触点CP2との2点で接し、第1接触点CP1と第2接触点CP2とを結ぶ仮想平面VP1と、主軸64と副軸65とを結ぶ仮想平面VP2とが平行となれば良い。
【0253】
また、送りねじ63の回転が変化した際に、主軸に対してレンズホルダがガタつかない程度の第2作用力FA2及び第3作用力FA3が主軸から筒状部に加えられれば良い。
【0254】
さらに図17に示した筒状部176においては、接平面角度θ3と接平面角度θ4とを共に45[°]とする場合について述べた。
【0255】
本発明はこれに限らず、接平面角度θ3と接平面角度θ4とを他の角度に設定しても良い。この場合、接平面角度θ3と接平面角度θ4とは大きいほど、第2与圧力FP2及び第3与圧力FP3はY方向に対してなす角度が小さくなるため、第2与圧力Y成分FP2Y及び第3与圧力Y成分FP3Yは大きくなる。
【0256】
このため反作用として発生する第2作用力Y成分FA2Y及び第3作用力Y成分FA3Yも大きくなる。これにより球面収差補正部123は、主軸64に対する筒状部176のY方向のガタつきを抑制することができる。
【0257】
また図17に示した筒状部176においては、接平面角度θ3と接平面角度θ4とを共に等しい角度とする場合について述べたが、ある程度であれば接平面角度θ3と接平面角度θ4とは異なっていても良い。
【0258】
この場合例えば接平面角度θ3の方が接平面角度θ4よりも小さいと、第2作用力Y成分FA2Yの方が第3作用力Y成分FA3Yよりも小さくなる。このため筒状部176はY2方向からの力よりもY1方向からの力に対してガタつきやすくなる。すなわち筒状部176は、接平面角度が小さいY方向からの力に対してガタつきやすくなる。
【0259】
よって、球面収差補正部123は、接平面角度が小さいY方向からの力に対しても筒状部176がガタつかない程度の作用力を筒状部176に与えられれば良い。
【0260】
さらに上述した実施の形態においては、発光部としてのレーザ43と、案内軸としての主軸64及び副軸65と、被駆動部としてのレンズホルダ62と、対物レンズとしての対物レンズ9と、受光部としてのフォトディテクタ44と、送りねじとしての送りねじ63と、駆動部としてのステッピングモータ60と、ねじりコイルばねとしてのねじりコイルばね80と、駆動制御部としての統括制御部11及び駆動制御部12とによって光ディスク装置としての光ディスク装置1を構成する場合について述べた。
【0261】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる発光部と、案内軸と、被駆動部と、対物レンズと、受光部と、送りねじと、駆動部と、ねじりコイルばねと、駆動制御部とによって光ディスク装置を構成するようにして良い。
【産業上の利用可能性】
【0262】
本発明は、光ディスク装置等で利用できる。
【符号の説明】
【0263】
1、101……光ディスク装置、6、106……光ピックアップ、6B、106B……BD光学系、6D……DVD光学系、8……アクチュエータ、9……対物レンズ、21……BD光学系光集積素子、22……1/4波長板、23、123……球面収差補正部、31……DVD/CD光学系光集積素子、41……保持基板、42……レーザホルダ、43……レーザ、44……フォトディテクタ、45……スペーサ、46……複合レンズ、47……積層プリズム、60……ステッピングモータ、61……コリメータレンズ、62、162……レンズホルダ、63、463、563……送りねじ、64、164、264、364、464……主軸、65……副軸、66、166、266、366、466……挿通孔、67……U字溝、68、468、568……ねじ溝、69……モータ支持部、70……ねじ受け、71……第1押止部、72……第2押止部、73……第3押止部、74……第4押止部、76、176、276、376、476……筒状部、77……レンズ保持部、78……レンズ孔、80、180、280、380……ねじりコイルばね、81、181、281、381……第1腕部、82、182、282、382……第2腕部、83、183、283、383……巻き部、84、284、384……噛合部、100……光ディスク、423、523…従来の送り機構、480、580……板ばね、481、581……腕部、483……圧縮コイルばね、484、584……ラック、VP1、VP2……仮想平面、CP1……第1接触点、CP2……第2接触点、CP3……第3接触点、TP1、TP2……接平面、F1……第1付勢力、F2……第2付勢力、F3……第3付勢力、FA1……第1作用力、FA2……第2作用力、FA3……第3作用力、FP1……第1与圧力、FP2……第2与圧力、FP3……第3与圧力、FP4……第4与圧力、θ1……噛合角度、θ2……リード角度、θ3、θ4……接平面角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の移動方向に沿って延設された案内軸と、
上記案内軸に対し摺動する被駆動部と、
螺旋状のスクリュー溝を有し、上記案内軸と略平行に延設される送りねじと、
上記送りねじに回転力を与える駆動部と、
弾性を有する線材でなり、当該線材の一部であり所定の巻き軸を中心に巻き形成された巻き部が、上記送りねじの回転軸と上記巻き軸とを略平行とするよう上記被駆動部に固定され、上記巻き部の一端から上記巻き軸と交差する方向へ伸びた第1腕部が、上記弾性により上記送りねじへの押し付け方向に付勢され、且つ上記送りねじの回転軸に直交する直交方向との間でなす角度が、上記送りねじのリード角とほぼ等しいねじりコイルばねと
を有する送り機構。
【請求項2】
上記ねじりコイルばねは、上記第1腕部が、上記巻き部の他端から上記巻き軸と交差する方向へ伸びた第2腕部と近接する方向に圧縮された状態で上記被駆動部に固定される
請求項1に記載の送り機構。
【請求項3】
上記ねじりコイルばねは、上記巻き部の一端が上記被駆動部により位置決めされ、且つ上記第1腕部が上記被駆動体により位置決めされる
請求項2に記載の送り機構。
【請求項4】
上記ねじりコイルばねは、上記巻き部の他端から上記巻き軸と交差する方向へ伸びた第2腕部が上記被駆動部により位置決めされる
請求項1に記載の送り機構。
【請求項5】
上記ねじりコイルばねは、上記第1腕部及び上記第2腕部が上記被駆動部により位置決めされる
請求項4に記載の送り機構。
【請求項6】
上記ねじりコイルばねは、上記第1腕部における、上記巻き部の一端と当接している部分よりも上記送りねじと当接している部分に近接する部分が上記被駆動部により位置決めされる
請求項5に記載の送り機構。
【請求項7】
上記被駆動部は、上記案内軸と摺動する摺動部を有し、
上記ねじりコイルばねは、上記巻き部が、上記摺動部の外周を周回するよう上記被駆動部に固定される
請求項1に記載の送り機構。
【請求項8】
上記案内軸又は上記摺動部の少なくとも一方は、円形以外の断面形状でなる
請求項7に記載の送り機構。
【請求項9】
上記摺動部は、
上記ねじりコイルばねの第1腕部が上記弾性により上記送りねじへの押し付け方向に付勢され、上記第1腕部の送りねじへの押し付け方向とは逆方向に上記巻き部から与圧されたことにより、上記案内軸と略平行な第1接触線と第2接触線との2線で上記案内軸と接触する
請求項8に記載の送り機構。
【請求項10】
上記案内軸と略平行に延設され、上記被駆動部を摺動させる副案内軸をさらに有し、
上記第1接触線と上記第2接触線とを結ぶ仮想的な平面が、上記案内軸と上記副案内軸とを結ぶ仮想的な平面である第1仮想平面とほぼ平行となる
請求項9に記載の送り機構。
【請求項11】
上記摺動部と上記案内軸との上記第1接触線における接平面と、上記第1仮想平面との間でなす角度が、上記摺動部と上記案内軸との上記第2接触線における接平面と、上記第1仮想平面との間でなす角度とほぼ等しい
請求項10に記載の送り機構。
【請求項12】
上記ねじりコイルばねは、上記第1腕部が上記送りねじと当接している部分よりも先端側で少なくとも1回曲げられ、複数箇所が上記送りねじに接する
請求項1に記載の送り機構。
【請求項13】
上記ねじりコイルばねは、少なくとも上記第1腕部に、摺動性を増す表面処理が施された
請求項1に記載の送り機構。
【請求項14】
上記ねじりコイルばねは、上記第1腕部の線径が上記送りねじのリードピッチ以下である
請求項1に記載の送り機構。
【請求項15】
光ビームの光軸と略平行に延設された案内軸と、
上記光ビームの球面収差補正を行うレンズを保持し、上記案内軸に対し摺動する被駆動部と、
螺旋状のスクリュー溝を有し、上記案内軸と略平行に延設される送りねじと、
上記送りねじに回転力を与える駆動部と、
弾性を有する線材でなり、当該線材の一部であり所定の巻き軸を中心に巻き形成された巻き部が、上記送りねじの回転軸と上記巻き軸とを略平行とするよう上記被駆動部に固定され、上記巻き部の一端から上記巻き軸と交差する方向へ伸びた第1腕部が、上記弾性により上記送りねじへの押し付け方向に付勢され、且つ上記送りねじの回転軸に直交する直交方向との間でなす角度が、上記送りねじのリード角とほぼ等しいねじりコイルばねと
を有する球面収差補正機構。
【請求項16】
所定の光ビームを出射する発光部と、
光ビームの光軸と略平行に延設された案内軸と、
上記光ビームの球面収差補正を行うレンズを保持し、上記案内軸に対し摺動する被駆動部と、
上記球面収差補正を行うレンズを通過した上記光ビームを集光し所定の媒体に照射する対物レンズと、
上記媒体により反射された上記光ビームが上記対物レンズ及び上記球面収差補正を行うレンズを介して照射される受光部と、
螺旋状のスクリュー溝を有し、上記案内軸と略平行に延設される送りねじと、
上記送りねじに回転力を与える駆動部と、
弾性を有する線材でなり、当該線材の一部であり所定の巻き軸を中心に巻き形成された巻き部が、上記送りねじの回転軸と上記巻き軸とを略平行とするよう上記被駆動部に固定され、上記巻き部の一端から上記巻き軸と交差する方向へ伸びた第1腕部が、上記弾性により上記送りねじへの押し付け方向に付勢され、且つ上記送りねじの回転軸に直交する直交方向との間でなす角度が、上記送りねじのリード角とほぼ等しいねじりコイルばねと
を有する光ピックアップ。
【請求項17】
所定の光ビームを出射する発光部と、
光ビームの光軸と略平行に延設された案内軸と、
上記光ビームの球面収差補正を行うレンズを保持し、上記案内軸に対し摺動する被駆動部と、
上記球面収差補正を行うレンズを通過した上記光ビームを集光し所定の媒体に照射する対物レンズと、
上記媒体により反射された上記光ビームが上記対物レンズ及び上記球面収差補正を行うレンズを介して照射される受光部と、
螺旋状のスクリュー溝を有し、上記案内軸と略平行に延設される送りねじと、
上記送りねじに回転力を与える駆動部と、
弾性を有する線材でなり、当該線材の一部であり所定の巻き軸を中心に巻き形成された巻き部が、上記送りねじの回転軸と上記巻き軸とを略平行とするよう上記被駆動部に固定され、上記巻き部の一端から上記巻き軸と交差する方向へ伸びた第1腕部が、上記弾性により上記送りねじへの押し付け方向に付勢され、且つ上記送りねじの回転軸に直交する直交方向との間でなす角度が、上記送りねじのリード角とほぼ等しいねじりコイルばねと、
上記駆動部による上記送りねじの回転を制御する駆動制御部と
を有する光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−165445(P2010−165445A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166988(P2009−166988)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】