説明

送信装置、受信装置及び伝送システム

【課題】既に収録済のAVCHDコンテンツをDVB−ASI等のI/Fを用いて伝送する際、従来よりも高速に伝送を行うための伝送システムを提供する。
【解決手段】送信装置101は、情報をパケット化した主情報パケットに対して、タイムスタンプに相当する情報を付加情報として付与したデータ列を送信する送信装置であって、データ列を主情報パケットおよび付加情報に分離する付加情報分離部112と、分離された付加情報をパケット化して付加情報パケットを生成する付加情報パケット化部113と、主情報パケットおよび付加情報パケットを送信する送信部114と、を備えることにより、収録中または収録後の映像・音声データを高速に伝送することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送・業務用ビデオカメラ等のような高品質の映像・音声データを記録する装置に関し、特に、映像・音声データを伝送路経由で遠隔地に伝送する放送・業務用ビデオカメラ等の送信装置、受信装置及び伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタル放送の普及に伴い、DVB−ASI(Digital Video Broadcasting Asynchronous Serial Interface:EN50083−9)のI/Fを経由して、MPEG2−TS(Moving Picture Expert Group2 Transport Stream:ISO/IEC13818−1)の形式で多重化された映像・音声データを遠隔地に伝送するシステムが利用されている。DVB−ASIは、MPEG2−TSパケットの伝送を行うためのI/F規格であり、主に放送局システムにおけるライブ中継等で用いられている。また、近年では、MPEG2−TSの多重化方式を利用した低ビットレートかつ高画質の映像コンテンツとして、AVCHDコンテンツが普及してきている。AVCHDコンテンツは民生ビデオムービー等で広く利用されており、その低ビットレートかつ高画質という特徴に着目され、最近では業務用でも利用されるようになってきている。
【0003】
AVCHDコンテンツのストリームファイルは、MPEG2−TSパケット(188Byte)に対してATC(Arival Time Clock)ヘッダ(4Byte)を付加したソースパケット(192Byte)の集合体で構成されている。ATCヘッダには、MPEG2−TSパケットを復号(再生)する際にデコーダに入力するべきタイミングを明示するタイムスタンプであるATS(Arrival Time Stamp)が格納されている(AVCHDコンテンツの詳細はAVCHD規格書を参照のこと)。
【0004】
通常、AVCHDのようなMPEG2−TSパケットに対してATSのようなタイムスタンプが付加されているコンテンツを、DVB−ASI等のI/F経由で伝送する際、ATCヘッダを除去してMPEG2−TSパケットのみを伝送する必要がある。この時、送信側でATS値のタイミングに合わせてMPEG2−TSパケットを伝送路上に出力し、受信側ではMPEG2−TSパケットを入力したタイミングからATSを生成してMPEG2−TSパケットに付加することで、受信側でAVCHDコンテンツを復元する。そのような場合の制御方法については特許文献1等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−69953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した技術を用いた場合、DVB−ASI等のI/Fを経由してAVCHDコンテンツを遠隔地に伝送することが可能となる。しかし、この場合、受信側でATCヘッダを復元するため、1倍速での伝送を余儀なくされる。よって、収録済のAVCHDコンテンツにおいても1倍速での伝送に限られてしまい、伝送路の帯域が十分余っている場合においても高速伝送が実現できない。
【0007】
本発明は、DVB−ASI等のI/Fを用いて、AVCHDコンテンツのようなMPEG2−TSの映像・音声データを遠隔地に高速伝送することが可能となる送信装置、受信装置及び伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の送信装置は、情報をパケット化した主情報パケットに対して、タイムスタンプに相当する情報を付加情報として付与したデータ列を送信する送信装置であって、前記データ列を前記主情報パケットおよび前記付加情報に分離する付加情報分離部と、分離された前記付加情報をパケット化して付加情報パケットを生成する付加情報パケット化部と、前記主情報パケットおよび前記付加情報パケットを送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の送信装置、受信装置及び伝送システムによれば、収録中または収録後の映像・音声データを高速に伝送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1における伝送システムのブロック図
【図2】AVCHDストリームおよびDVB−ASI伝送を説明するための図
【図3】AVCHDストリームのデータ列から付加情報パケットを抽出する時の図
【図4】伝送路に流す各パケットの図
【図5】実施の形態2および実施の形態3における伝送システムのブロック図
【図6】実施の形態3における伝送システムの一部のブロック図
【図7】記録処理・伝送処理を開始するタイミングによる映像・音声データ列の流れの違いを示す図
【図8】伝送速度の倍速指定時に伝送路に流す各パケットの図
【図9】伝送速度のビットレート指定時に伝送路に流す各パケットの図
【図10】実施の形態5における伝送システムのブロック図
【図11】送信部の詳細ブロック図
【図12】受信部の詳細ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、AVCHDストリームについて図2を用いて説明する。
【0012】
AVCHDストリームは、ビデオ圧縮としてH.264、オーディオ圧縮としてAC3またはLPCMを採用し、MPEG2−TS(Moving Picture Expert Group2 Transport Stream:ISO/IEC13818−1)の形式で映像・音声の多重化を行っている。一般的に、MPEG2−TSパケットのパケットサイズは188Byteだが、AVCHDストリームは、図2に示すように、この188ByteのMPEG2−TSパケットに対し、4ByteのATC(Arival Time Clock)ヘッダを付加したソースパケット(192Byte)の集合体から構成されている。ATCヘッダにはATS(Arrival Time Stamp)と呼ばれる27MHzクロックのタイムスタンプが格納されており、ソースパケットを復号(再生)する際にはこのタイムスタンプに準じたタイミングでデコーダにデータを入力する必要がある。つまり、AVCHDストリームを、MPEG2−TSパケットが流れる伝送路を用いて遠隔地に伝送を行う場合、送信側ではMPEG2−TSパケットをATS値に準じたタイミングで伝送路上に送出し、受信側では、伝送路から流れてきたMPEG2−TSパケットを再びAVCHDストリーム、すなわちソースパケットの形式に復元するため、伝送路から入力したタイミングに準じたATS値を算出してATCヘッダを生成し、該当するMPEG2−TSパケットに付加する必要がある。なお、AVCHDストリームの最大ビットレートは24Mbpsと規定されている。
【0013】
一方、DVB−ASI(Digital Video Broadcasting Asynchronous Serial Interface:EN50083−9)とは、MPEG2−TSパケットを伝送するためのI/F規格であり、主に放送局システムにおけるライブ中継等で用いられている。ライブ中継ではこのDVB/ASIのI/Fを経由して電波(マイクロ波)を用いて遠隔地にデータ伝送を実現することが多い。
【0014】
AVCHDストリームをDVB−ASIを経由して伝送する際の動作について、以降の実施の形態で説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る伝送システムの構成を示すブロック図である。
【0016】
本実施の形態1の伝送システムでは、映像・音声データを送信装置101から伝送路(電波等)を経由して受信装置102に伝送する。
【0017】
まず、送信装置101の構成について説明する。
【0018】
送信装置101は、第1の記録媒体111と、付加情報分離部112と、付加情報パケット化部113と、送信部114とを備える。
【0019】
第1の記録媒体111は、映像・音声コンテンツのデータ列が記録されている。ここで第1の記録媒体111は、HDD、半導体メモリ、光ディスクなどのランダムアクセス可能な記録媒体であればその種類は問わない。
【0020】
付加情報分離部112は、第1の記録媒体111に記録されている映像・音声コンテンツのデータ列を、主情報パケットおよび付加情報に分離する。
【0021】
付加情報パケット化部113は、付加情報分離部112によって分離された付加情報を、付加情報パケットとして生成する。
【0022】
送信部114は、付加情報分離部112から出力される主情報パケットおよび付加情報パケット化部113から出力される付加情報パケットを、伝送路(電波等)を経由して受信装置102に向けて伝送する。なお、送信装置101の動作の詳細については後述する。
【0023】
次に、受信装置102の構成について説明する。
【0024】
受信装置102は、受信部121と、パケット分離部122と、付加情報抽出部123と、データ列再構成部124と、第2の記録媒体125とを備える。
【0025】
受信部121は、送信装置101から伝送されてくる主情報パケットおよび付加情報パケットを受信する。
【0026】
パケット分離部122は、受信したパケットを主情報パケットおよび付加情報パケットに分離する。
【0027】
付加情報抽出部123は、パケット分離部122から出力される付加情報パケットを基に付加情報を抽出する。
【0028】
データ列再構成部124は、パケット分離部122から出力される主情報パケット及び付加情報抽出部123から出力される付加情報から、映像・音声コンテンツのデータ列を再構成し、第2の記録媒体125に記録する。ここで、第2の記録媒体125は、HDD、半導体メモリ(SDカード等)、光ディスク(DVD等)、などのランダムアクセス可能な記録媒体であればその種類は問わない。なお、受信装置102の動作の詳細については後述する。
【0029】
上述したような制御の流れで映像・音声データの伝送を行うが、ここで、映像・音声のデータ列をAVCHDストリームとした場合、主情報パケットはMPEG2−TSパケット、付加情報はATCヘッダ(ATS)に相当する。
【0030】
以降の説明においては、映像・音声のデータ列はAVCHDストリームであるものとして説明する。
【0031】
次に、送信装置101の動作の詳細について説明する。
【0032】
映像・音声データ列(AVCHDストリーム)が、第1の記録媒体111にあらかじめ記録されているものとし、第1の記録媒体111から映像・音声データ列(AVCHDストリーム)が読み出され、付加情報分離部112に入力される。
【0033】
付加情報分離部112では、映像・音声データ列(AVCHDストリーム)を、主情報パケット(MPEG2−TSパケット)および付加情報(ATCヘッダ)に分離する。すなわち192Byteのソースパケットは、188ByteのMPEG2−TSパケットと4ByteのATCヘッダに分離される。付加情報分離部112で分離した付加情報(ATCヘッダ)は付加情報パケット化部113に入力される。
【0034】
付加情報パケット化部113では、図3に示すように、複数の付加情報(ATCヘッダ)をまとめて1つの独立したTSパケットを付加情報パケットとして生成する。TSパケットは、先頭にTSヘッダを格納する必要があるため、付加情報パケットの先頭にはTSヘッダを格納するような構成になる。
【0035】
通常、TSヘッダは4Byteで構成されるが、例えばTSヘッダの後の4Byte領域に、このパケット内に格納しているATCヘッダの個数を格納しておくことにより、ATCヘッダの数を容易に把握することが可能となる。このような構成とした場合、1つの付加情報パケット内に最大45個のATCヘッダが格納可能となる。なお、ATCヘッダの格納数が45個未満となる場合には、付加情報パケットの188Byteに満たない残領域にはFillerデータとして例えばNULLデータ等を格納しておけばよい。また、TSヘッダ内にPID(Packet Identifier)が存在するが、この値は送信装置101および受信装置102で互いに識別できる値を設定すればよく、その値は任意でよい。なお、TSヘッダの構成に関しては、ISO/IEC13818−1に記載されている。
【0036】
なお、本実施の形態1ではTSヘッダの直後にATCヘッダの数を4Byte領域に格納し、残領域にATCヘッダを格納するような構成としたが、ATCヘッダの数を示す領域を確保する必要はなく、また、付加情報パケット内には他の任意の情報を格納してもよい。つまり、付加情報パケット内にTSヘッダが存在し、ATCヘッダを1つ以上格納できるような構成であれば、その内部構成は任意でよい。
【0037】
次に、付加情報分離部112から出力される主情報パケット(MPEG2−TSパケット)および付加情報パケット化部113から出力される付加情報パケットは、送信部114にてDVB−ASI等のI/Fを経由して伝送路(電波)に出力される。
【0038】
この時の送信部114の動作の詳細について、図4および図11を用いて説明する。送信部114は、入力した主情報パケット(MPEG2−TSパケット)および付加情報パケットを、DVB−ASIのI/F経由で、DVB−ASIストリームに変換してDVB−ASI伝送路1101に伝送し、FPU(Field Pickup Unit)等を用いて電波伝送路1102に伝送する。
【0039】
ここで、まずは従来のDVB−ASI伝送方式について説明する。
【0040】
従来のDVB−ASI伝送であれば、主情報パケット(MPEG2−TSパケット)を出力するタイミングは、図2に示すように、ATCヘッダ(ATS)の値に準じたタイミングとなる。DVB−ASI伝送路1101の最大伝送レートとしては270Mbpsであり、データ送出のクロックも270MHz/Bitで動作する。すなわち、伝送するストリームのビットレートが24Mbpsだった場合、270Mbpsに対する余剰帯域分にはK28.5と呼ばれるNULLデータで埋めるように制御する。
【0041】
上記の従来のDVB−ASI伝送方式に対し、本実施の形態1では、ATSのタイミングではなく、DVB−ASI伝送路1101および電波伝送路1102の帯域が許す限りベストエフォートで伝送を行うようにする。
【0042】
図4に示すように、DVB−ASI伝送路1101に伝送するデータとしては、最初に付加情報パケットを送信し、その後に、直前に送信した付加情報パケット内に格納したATCヘッダに対応する主情報パケット(MPEG2−TSパケット)を順番に送信する。すなわち、送信部114は、DVB−ASI伝送路1101および電波伝送路1102の帯域が許す限り、できるだけ高速に伝送を行うようにする。この時、送信部114に送信すべきTSパケットが供給できない時のみK28.5(NULLデータ)を送出するようにする。
【0043】
上述した動作により、DVB−ASI伝送路1101および電波伝送路1102のビットレートが、伝送するストリームのビットレートに比べて大きい時には、従来の伝送方式よりも高速に伝送を行うことが可能となる。
【0044】
次に、受信装置102側の動作の詳細について説明する。
【0045】
受信部121で入力した主情報パケット(MPEG2−TSパケット)および付加情報パケットは、パケット分離部122に入力される。
【0046】
この時、受信部121は、図12に示すように、電波伝送路1102から受信したデータをDVB−ASI伝送路1201を経由してDVB―ASIのI/F経由で主情報パケット(MPEG2−TSパケット)および付加情報パケットを出力する。
【0047】
パケット分離部122は、受信部121から出力される主情報パケット(MPEG2−TSパケット)および付加情報パケットを分離する。その際、パケット分離部122は、それぞれのパケットのTSヘッダ内のPIDの値を参照し、AVCHD規格で定義されているPIDであれば主情報パケット(MPEG2−TSパケット)と判断し、送信装置101および受信装置102との間であらかじめ規定しておいた付加情報パケット用のPIDであれば、付加情報パケットと判断して処理する。この時、パケット分離部122は、不明なPIDのTSパケットだった場合は無視するようにすればよい。
【0048】
パケット分離部122から出力される付加情報パケットは、付加情報抽出部123に入力される。
【0049】
付加情報抽出部123では、付加情報パケット内に格納されている複数のATCヘッダを抽出し、付加情報としてデータ列再構成部124に出力する。
【0050】
データ列再構成部124は、パケット分離部122から出力される主情報パケット(MPEG2−TSパケット)および、付加情報抽出部123から出力される付加情報(ATCヘッダ)が入力され、映像・音声データ列(AVCHDストリーム)を再構成する。この時、データ列再構成部124は、図示しないメモリ領域に付加情報(ATCヘッダ)を格納しておき、順に入力される主情報パケット(MPEG2−TSパケット)に対して、図示しないメモリ領域に格納した付加情報(ATCヘッダ)を順次付加すればよい。なお、付加情報(ATCヘッダ)および主情報パケット(MPEG2−TSパケット)から、映像・音声データ列(AVCHDストリーム)を再構成する方法は、上述した方法である必要はなく、その手段は問わない。
【0051】
データ列再構成部124から出力される映像・音声データ列(AVCHDストリーム)は、第2の記録媒体125に記録される。
【0052】
なお、本実施の形態1では、映像・音声データ列の例として、AVCHDストリームを用いたが、映像・音声データ列がTSパケットおよびタイムスタンプ情報から構成されるデータ列であればAVCHDストリームである必要はなく、その種類は問わない。
【0053】
また、本実施の形態1では、主情報パケットの例として、MPEG2−TSパケットを用いたが、主情報パケットがTSパケットであればMPEG2−TSパケットである必要はなく、その種類は問わない。
【0054】
また、本実施の形態1では、付加情報の例としてATCヘッダを用いたが、タイムスタンプ情報を含むものであればATCヘッダである必要はなく、その種類は問わない。
【0055】
上述した手法により、AVCHD等の映像コンテンツデータをDVB−ASI等のI/Fを経由して従来よりも高速に伝送を行うことが可能となる。
【0056】
(実施の形態2)
実施の形態1では、送信装置101において、第1の記録媒体111にあらかじめ存在している映像・音声データ列(AVCHDストリーム)を受信装置102に伝送する方法について説明したが、実施の形態2では、送信装置101において、動的に入力される映像・音声データ列を受信装置102に伝送する方法について説明する。
【0057】
図5は本実施の形態2に係る伝送システムの構成を示すブロック図である。
【0058】
なお、本実施の形態2に係る伝送システムの構成において、実施の形態1と同じ構成要素については、同じ番号を付与し、説明を省略する。
【0059】
入力部501は、映像・音声情報が入力される。エンコード部502は、入力部501からの映像・音声情報について、エンコード処理を行う。
【0060】
入力部501で入力された映像・音声情報はエンコード部502でエンコード処理が行われ、映像・音声データ列(AVCHDストリーム)を生成し、第1の記録媒体111に記録される。この時、入力部501で入力する映像・音声情報は非圧縮データであってよく、または圧縮済のストリームデータであってもよい。もし入力部501から入力する映像・音声情報がAVCHDストリームであった場合、入力した映像・音声情報はエンコード部502でエンコードされることなく、第1の記録媒体111に直接記録されてもよい。また、入力部501はカメラの撮像素子であってもよく、またはHD−SDI、IEEE1394、DVB−ASI等の外部からのライン入力であってもよく、その種類は問わない。
【0061】
エンコード部502でエンコードして出力する映像・音声データ列(AVCHDストリーム)は第1の記録媒体111に記録されるが、この時、記録と同時にエンコード部502で出力する映像・音声データ列(AVCHDストリーム)は付加情報分離部112に入力される。以降は実施の形態1と同様に受信装置102へデータ伝送を行う。この時、データ伝送を行う上で、送信装置101の各種動作および受信装置102の各種動作は実施の形態1と同じでよいが、入力部501から入力される映像・音声情報が1倍速相当である場合、受信装置102への伝送速度も1倍速相当となる。つまり、送信部114から電波伝送路1102に出力するパケットは実施の形態1のようなべストエフォート出力とならず、出力すべきパケットが送信部114に入力された時のみ電波伝送路1102に出力する。
【0062】
上述する手法により、第1の記録媒体111にあらかじめ映像・音声データ列(AVCHDストリーム)が記録されていない場合でも、送信装置101に動的に入力される映像・音声情報は、MPEG2−TSパケット化され受信装置102に伝送されることが可能となる。
【0063】
(実施の形態3)
実施の形態2では、送信装置101に動的に入力される映像・音声情報を、MPEG2−TSパケット化して受信装置102に伝送する方法、すなわち第1の記録媒体(111)への記録処理と受信装置102への伝送処理を同時に行う方法を説明した。
【0064】
実施の形態3では、第1の記録媒体111への記録処理の開始タイミングと、受信装置102への伝送処理の開始タイミングが異なるような場合の動作について説明する。
【0065】
なお、本実施の形態3に係る伝送システムの構成は、実施の形態2と同じであり、説明を省略する。
【0066】
図6は、送信装置101のエンコード部502、第1の記録媒体111、および付加情報分離部112の各ブロックにおける映像・音声データ列(AVCHDストリーム)の入出力の関係図である。ここで、映像・音声データ列(AVCHDストリーム)のデータの流れは3つ存在し、1つ目はエンコード部502から第1の記録媒体111への流れ(経路その1)、2つ目はエンコード部502から付加情報分離部112への流れ(経路その2)、3つ目は第1の記録媒体111から付加情報分離部112への流れ(経路その3)である。
【0067】
エンコード部502がデータ入力を開始する時、第1の記録媒体111への記録および受信装置102への伝送を同時に開始する場合は、図7の(1)に示すように、映像・音声データ列(AVCHDストリーム)は経路その1および経路その2の流れで、それぞれ記録処理および伝送処理を行う。すなわち、第1の記録媒体111への記録処理で用いる映像・音声データ列(AVCHDストリーム)、および付加情報分離部112への伝送処理で用いる映像・音声データ列(AVCHDストリーム)は、共にエンコード部502が出力した映像・音声データ列(AVCHDストリーム)となる。なお、図7の映像・音声データ列に対して「1」〜「12」の連番を記載しているが、これはパケット番号やビデオフレーム番号を示すものではなく、互いのストリームの相対位置を明示的にするために単に連番を記載したものである。
【0068】
一方、受信装置102への伝送開始のタイミングが、第1の記録媒体111への記録開始のタイミングよりも遅いような場合は、図7の(2)に示すように、映像・音声データ列(AVCHDストリーム)の流れは、経路その1、経路その2、および経路その3の流れを用いることになる。すなわち、第1の記録媒体111への記録処理で用いる映像・音声データ列(AVCHDストリーム)は、常にエンコード部502が出力した映像・音声データ列(AVCHDストリーム)となり、付加情報分離部112への伝送処理で用いる映像・音声データ列(AVCHDストリーム)は、伝送の初期(伝送処理が記録処理に追いつくまでの期間)および伝送の後期(伝送処理が記録処理に追いついた以降の期間)で、入力元となる映像・音声データ列(AVCHDストリーム)が異なる。
【0069】
伝送の初期(伝送処理が記録処理に追いつくまでの期間)には、第1の記録媒体111に既に記録済の映像・音声データ列(AVCHDストリーム)の記録開始時点からのデータが読み出され、付加情報分離部112に入力される。この時、伝送経路の伝送帯域および第1の記録媒体111の読み込み性能が許す限り、ベストエフォートで読み出し処理が行われる。つまり、伝送の初期(伝送処理が記録処理に追いつくまでの期間)での受信装置102への伝送は、伝送速度が1倍速以上となる。
【0070】
一方、伝送の後期(伝送処理が記録処理に追いついた以降)では、エンコード部502が出力する映像・音声データ列(AVCHDストリーム)は付加情報分離部112に入力されるようにして、以降は1倍速の伝送となるように、実施の形態2で示した制御が行われる。
【0071】
上述した手法により、記録処理の途中から伝送処理を開始するような場合でも、受信装置102への伝送処理を効率よく行うことが可能となる。
【0072】
(実施の形態4)
これまでの実施の形態では、送信装置101から電波伝送路1102へTSパケットを送出する際、送信部114に供給されるTSパケットが存在すれば、DVB−ASI伝送路1101または電波伝送路1102の帯域が許す限りベストエフォートで伝送されるような制御を行ったが、実施の形態4では、ベストエフォートでの伝送を行わず、あらかじめ設定した伝送速度で伝送を行うように制御する。
【0073】
なお、本実施の形態4に係る伝送システムの構成は、実施の形態1と同じであり、説明を省略する。
【0074】
まず、送信装置101に対して伝送速度を設定する際、1倍速、2倍速、4倍速等の倍速で指定する場合について説明する。
【0075】
例えば、送信装置101に対して1倍速、すなわち等倍速が設定された場合、送信部114は、ATCヘッダ内に格納されているATS値のクロックに沿ったタイミングでTSパケットを出力するように制御する。
【0076】
TSパケットの伝送においては、実施の形態1に示したように、最初に付加情報パケットを伝送し、続いて複数の主情報パケット(MPEG2−TSパケット)の伝送を行うという基本制御は同じである(図4)。ただし、本実施の形態4においては、各パケットの伝送間隔を調整するような制御を行う。
【0077】
図8に示すように、送信部114は、伝送開始時には、まず付加情報パケットを伝送し、その直後に主情報パケット(MPEG2−TSパケット)を1パケットのみ伝送を行う。以降の主情報パケット(MPEG2−TSパケット)においては、該当するATS値を参照し、各主情報パケット(MPEG2−TSパケット)の伝送間隔がATS値の差と等価になるようなタイミングで伝送される。すなわち、先頭の主情報パケット(MPEG2−TSパケット)の伝送を行った後、2番目の主情報パケット(MPEG2−TSパケット)を伝送するタイミングは、先頭の主情報パケット(MPEG2−TSパケット)のATS値と2番目の主情報パケット(MPEG2−TSパケット)のATS値との差分クロック時間経過後に伝送するようにする。この時、何も伝送しない区間においてはK28.5(NULL)を伝送するようにする。次の付加情報パケット(2回目以降の付加情報パケット)は、直前に伝送した主情報パケット(MPEG2−TSパケット)の直後に伝送するようにし、以降の主情報パケットは、同様にATS値に応じたタイミングで伝送を行う。
【0078】
前述したように、ATS値は、MPEG2−TSパケットを復号(再生)する際にデコーダに入力するべきタイミングを明示するタイムスタンプであるため、上述する制御により、1倍速での伝送が可能となる。
【0079】
送信装置101に対して1倍速以外の速度を設定した場合には、その速度に応じてATS値から算出する伝送タイミングを変更すればよい。
【0080】
例えば2倍速を設定した場合、主情報パケット(MPEG2−TSパケット)を伝送するタイミングは、ATS値の差分を1/2にしたタイミングで伝送するようにすればよく、4倍速の時は、ATS値の差分を1/4にしたタイミングとすればよい。
【0081】
なお、ある主情報パケット(MPEG2−TSパケット)を伝送しようとする時、ATS値の差分から算出した該当パケットの伝送タイミングが既に過ぎている場合は、すぐに該当パケットの伝送を行なうようにし、その遅延を蓄積させることのないようにして次の主情報パケット(MPEG2−TSパケット)を伝送するようにする。この処理により、DVB−ASI伝送路1101または電波伝送路1102の帯域範囲内の伝送速度を設定していれば、一時的な伝送アンダーフローが発生してもすぐに挽回することが可能となる。もし、DVB−ASI伝送路1101または電波伝送路1102の帯域範囲を超える伝送速度を設定していた場合は、ベストエフォートに近い状況で伝送を行うことになり、その場合は設定した伝送速度を満たせなくなることもある。
【0082】
次に、送信装置101に設定する伝送速度が1倍速、2倍速のような倍速ではなく、20Mbps、40Mbpsのように、ビットレートで指定する場合について説明する。
【0083】
AVCHD規格によれば、あるAVCHDストリームが存在した時に、そのストリームの最大ビットレートを管理情報ファイル等に記載する必要があるが、実際のビットレート(平均ビットレート)は記載する必要はない。すなわち、一般的には、AVCHDストリームの実際のビットレート(平均ビットレート)を知る手段が存在しない。
【0084】
よって、送信装置101に対して伝送速度をビットレートで指定する場合は、ATS値の差分から計算して主情報パケット(MPEG2−TSパケット)の伝送タイミングを決めることはできない。そこで、このような場合は、図9に示すように、伝送を開始してからの経過時間と、伝送を完了した主情報パケット(MPEG2−TSパケット)および付加情報パケットのデータ総量を比べて、指定したビットレートになるように制御する。
【0085】
送信部114は、伝送開始時には、まず付加情報パケットを伝送し、その直後に主情報パケット(MPEG2−TSパケット)を1パケットのみ伝送を行う。以降の各主情報パケット(MPEG2−TSパケット)においては、送信装置101に設定したビットレートに準じたタイミングで伝送が行われる。この時、以降の付加情報パケットにおいても同様であり、ビットレートに準じたタイミングでの伝送が行われる。
【0086】
この時、AVCHDストリームのデータ量(ATCヘッダとMPEG2−TSパケットの合計)と伝送路を流れるデータ量(主情報パケット(MPEG2−TSパケット)と付加情報パケットの合計)とでは、付加情報パケットにおけるTSヘッダおよび付加領域(ATCヘッダの個数を格納する領域等)の差分が生じるが、その差分データ量は全データ量に対して十分小さくなるため、無視できることが多い。ただし、このデータ量の差分が大きくなるような場合、または小さな差分も考慮したい場合は、その差分を考慮した上で伝送タイミングを決定するようにすればよい。
【0087】
また、可能な限り高速に伝送を行う場合は、送信装置101に、ベストエフォートで伝送を行う設定をしておき、その時は実施の形態1の要領でベストエフォート伝送を行えばよい。
【0088】
なお、送信装置101における伝送速度の設定方法は機器仕様に応じて任意でよい。
【0089】
上述するような動作により、任意の伝送速度でのストリーム伝送が可能となる。
【0090】
(実施の形態5)
これまでの実施の形態では、受信装置102で受信したデータを第2の記録媒体125に記録したが、実施の形態5では、第2の記録媒体125への記録処理と同時にモニタに出力する処理を行う。
【0091】
図10は本実施の形態5に係る伝送システムの構成を示すブロック図である。
【0092】
なお、本実施の形態5に係る伝送システムの構成において、実施の形態2と同じ構成要素については、同じ番号を付与し、説明を省略する。
【0093】
デコード部1001は、パケット分離部122から主情報パケットが入力される。モニタ1002は、デコード部1001でデコード処理された映像情報が表示される。
【0094】
パケット分離部122から出力される主情報パケット(MPEG2−TSパケット)はデータ列再構成部124に入力されると同時に、デコード部1001にも入力される。デコード部1001では、入力した主情報パケット(MPEG2−TSパケット)のデコード処理を行い、モニタ1002に出力する。
【0095】
この時、伝送されてきたストリームデータが1倍速の場合、デコード部1001ではデコード処理として通常再生処理を行い、モニタ1002に出力する。この時のデコード部1001の通常再生処理の方法は機器仕様に応じて任意でよい。
【0096】
一方、伝送されてきたストリームデータの伝送速度が1倍速以上だった場合、デコード部1001でのデコード処理が伝送レートに対して間に合わない場合には、例えばIフレーム(Intraフレーム)のみをデコードして出力するような制御を行い、モニタ1002での出力もIフレームのみとなるように制御する(Iフレームに関しては、MPEG系のビデオ圧縮の規格書(ISOー/IEC13818−2)を参照)。
【0097】
例えば、伝送したAVCHDストリームのIフレームの周期が15フレーム、すなわち、15フレームに1個の割合でIフレームが存在する構成(1秒間(30フレーム)に2個のIフレームが存在)である場合、伝送速度が4倍速の時には1秒間に8フレームの割合で映像フレームが更新されてモニタ1002に出力されることになる。この時、モニタ1002に出力される映像データは完全なものではないが、第2の記録媒体125には完全なストリームとして記録されているため、伝送システムとしての実運用では問題とならない場合が多い。なぜなら、モニタ1002への映像出力は、あくまで伝送状況の確認をするためのものだからである。
【0098】
なお、デコード部1001のデコード処理においては上述するような手法でなくともよく、オーバーフロー/アンダーフローを発生させることなく処理できるのであれば任意の制御方法を用いてよい。
【0099】
上述するような手法により、データ伝送中に受信装置102側にて伝送位置をモニタリングすることが可能となり、伝送データの内容や伝送位置等の情報が視覚的に把握し易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明による伝送システムは、放送局システムにおいて、AVCHD等の映像・音声コンテンツを、DVB−ASI等のI/Fを経由して遠隔地に高速伝送する時に用いられる。
【符号の説明】
【0101】
101 送信装置
102 受信装置
111 第1の記録媒体
112 付加情報分離部
113 付加情報パケット化部
114 送信部
121 受信部
122 パケット分離部
123 付加情報抽出部
124 データ列再構成部
125 第2の記録媒体
501 入力部
502 エンコード部
1001 デコード部
1002 モニタ
1101 DVB−ASI伝送路
1102 電波伝送路
1201 DVB−ASI伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報をパケット化した主情報パケットに対して、タイムスタンプに相当する情報を付加情報として付与したデータ列を送信する送信装置であって、
前記データ列を前記主情報パケットおよび前記付加情報に分離する付加情報分離部と、
分離された前記付加情報をパケット化して付加情報パケットを生成する付加情報パケット化部と、
前記主情報パケットおよび前記付加情報パケットを送信する送信部と、
を備える送信装置。
【請求項2】
映像・音声データを入力する入力部と、
前記入力部で入力した前記映像・音声データをエンコードして前記データ列を生成するエンコード部と、
をさらに備える請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記エンコード部で生成したデータ列を、伝送路の伝送帯域に応じてベストエフォートで送信する
請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記エンコード部で生成したデータ列を、あらかじめ設定しておいた伝送速度で送信する
請求項2に記載の送信装置。
【請求項5】
情報をパケット化した主情報パケットに対して、タイムスタンプに相当する情報を付加情報として付与したデータ列を受信する受信装置であって、
前記主情報パケットおよび前記付加情報パケットを受信する受信部と、
前記受信部で受信したパケットから、前記付加情報パケットを分離するパケット分離部と、
前記付加情報パケットから前記付加情報を抽出する付加情報抽出部と、
前記主情報パケットに前記付加情報を付与して前記データ列を再構成するデータ列再構成部と、
を備える受信装置。
【請求項6】
前記主情報パケットをデコードするデコード部と、
前記デコード部で伸長された映像データをリアルタイムで出力するモニタ部と、
をさらに備える請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
情報をパケット化した主情報パケットに対して、タイムスタンプに相当する情報を付加情報として付与したデータ列を、伝送する送信装置および受信装置を備える伝送システムであって、
前記送信装置は、
前記データ列を前記主情報パケットおよび前記付加情報に分離する付加情報分離部と、
分離された前記付加情報をパケット化して付加情報パケットを生成する付加情報パケット化部と、
前記主情報パケットおよび前記付加情報パケットを送信する送信部と、
を備え、
前記受信装置は、
前記主情報パケットおよび前記付加情報パケットを受信する受信部と、
前記受信部で入力したパケットから、前記付加情報パケットを分離するパケット分離部と、
前記付加情報パケットから前記付加情報を抽出する付加情報抽出部と、
前記主情報パケットに前記付加情報を付与して前記データ列を再構成するデータ列再構成部と、
を備える伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−35578(P2011−35578A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178591(P2009−178591)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】