説明

送信装置

【課題】 複雑な調整が必要でなく、軽量の送信装置を提供する。
【解決手段】 制御手段2は、送信すべき変調データが第一の値から第二の値に変化した際には、信号出力手段4の出力を、搬送波信号から第二周波数信号に変える。第二周波数信号は、搬送波信号よりも周波数が高いので、位相は徐々に遅れていくことになる。制御手段2は、このようにして遅延した位相が、第二の位相となったときに、信号出力手段4の出力を搬送波信号に変える。これにより、第二の位相にて搬送波信号が出力されることになる。送信すべき変調データが第二の値から第一の値に変化した際には、第一周波数信号に変えることにより、位相を徐々に進ませる。位相が第一の位相となったときに、信号出力手段4の出力を搬送波信号に変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位相変調による送信を行うための送信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動物の生態などを調査するため、動物にGPS受信機を搭載することが行われている。たとえば、動物に取り付けた当該GPS受信機によって取得した位置データ、時刻データを、携帯電話などの無線通信端末によって基地局に送信し、当該基地局からインターネットのサーバに転送する。これにより、当該動物の移動状態を示すデータを、インターネット上で、全世界から取得することが可能となる。このようにして蓄積されたデータは、動物の生態などを研究する研究者によって利用されることになる。
【0003】
ここで、上記の装置を取り付けた動物が、広い範囲を移動する可能性がある場合には、異なった通信方式に対応可能な携帯電話を用いなければならない。このため装置が大型化するという問題があった。たとえば、対象となる動物がライオンのように大きなものであれば良いが、鳥のように小さく、しかも移動範囲が広い場合には、上記のような装置を使用することは難しかった。
【0004】
そこで、極軌道を回っている人工衛星「アルゴス」にデータを送信し、「アルゴス」から地上のインターネットサーバに対してデータを転送する仕組みが用いられている。アルゴスの使用する通信方式は、携帯電話などと比べるとシンプルであり装置を軽くすることができ、さらに、アルゴスは地球を周回しているので、地球上のいずれの位置からもアルゴスに対して送信を行うことができるという利点がある。
【0005】
図1に、アルゴスとの通信に用いる位相変調の規格概要を示す。送信すべきデータを送る前に、160mS(ミリ秒)の期間、401.6500MHzの搬送波を、一定の位相にて送信する。このときの位相を基準位相とする。次に、送信すべきデータの値に応じて、搬送波の位相を、基準位相から1.1ラジアン進める、あるいは1.1ラジアン遅らせることにより位相変調を行う。
【0006】
特許文献1に、アルゴスに対してデータを送信するための送信機が開示されている。図2に、特許文献1に開示された送信機のブロック図を示す。この送信機では、位相検出器28と電圧制御発信器24とを備えた位相同期回路18が用いられている。位相検出器28の出力は、加算増幅器30を介して、電圧制御発信器24に与えられている。加算増幅器30には、位相変調制御部22を介して、エンコーダ14からの出力が与えられている。エンコーダ14の出力は、送信すべきデータの値によって変化するように構成されている。つまり、位相検出器28から電圧制御発信器24に与える電圧を、送信すべきデータの値によって変化させることにより、位相変調を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許4731870
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような従来技術では次のような問題があった。特許文献1に示されるような送信機では、位相変調のための位相制御をアナログ的な電圧変化によって行っており、制御が容易ではない。特に、アルゴスとの通信においては、基準位相、+位相、−位相の3つの位相を制御しなければならず、なおさらであった。このため、製造時に、回路ごとに個別に調整を行わねばならないという問題があった。
【0009】
また、回路構成が複雑であり、送信機の重量が重くなっていた。このため、鳥などに装着して使用することができないという問題があった。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解決して、複雑な調整が必要でなく、軽量の送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)この発明に係る送信装置は、送信すべき変調データに応じて、搬送波の位相を変化させることにより変調を行う送信装置であって、指令に応じて、少なくとも、搬送周波数を有する搬送波信号、前記搬送周波数よりも低い第一の周波数を有する第一周波数信号または、前記搬送周波数よりも高い第二の周波数を有する第二周波数信号を出力する信号出力手段と、少なくとも第一の値と第二の値を有する前記送信すべき変調データを受けて、前記信号出力手段から出力される信号が、前記送信すべき変調データの前記第一の値に対応して第一の位相となり、前記送信すべき変調データの前記第二の値に対応して前記第一の位相よりも遅れた第二の位相となるように制御する制御手段とを備えた送信装置であって、前記制御手段は、送信すべき変調データが第一の値から第二の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第二周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を遅らせ、当該位相が前記第二の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御し、送信すべき変調データが第二の値から第一の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第一周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を進ませ、当該位相が前記第一の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御することを特徴としている。
【0012】
したがって、複雑な位相制御回路を設けることなく、位相偏移変調による送信装置を実現することができ、送信装置の軽量化を実現することが可能となる。
【0013】
(2)この発明に係る送信装置は、制御手段が、搬送周波数と第一周波数、第二周波数との差に基づいて、予め算出された第一の位相と第二の位相との間での位相変化に必要な時間の間、第一周波数信号または第二周波数信号を出力するよう制御することを特徴としている。
【0014】
したがって、時間によって微少な位相の変化を制御することができ、制御が容易である。
【0015】
(3)この発明に係る送信装置は、信号出力手段が、単位周期分の基本波形データをアドレス順に記録した基本波形データ記録部と、前記基本波形データ記録部の基本波形データを、基準クロックに応じた間隔にて、前記アドレスを所定数ずつ変化させながら読み出して波形データを出力する読出制御手段と、前記読み出された波形データをアナログ信号に変換する変換手段と、前記基準クロックまたは前記所定数あるいは双方を変更することによって、読み出される波形データの周波数を、搬送周波数、第一周波数、第二周波数のいずれかに制御する周波数制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0016】
したがって、所望の周波数値を与えることにより、当該周波数を有する信号を得ることができる。
【0017】
(4)この発明に係る送信装置は、信号出力手段が、最も低い周波数、2番目に低い周波数、2番目に高い周波数、最も高い周波数の4つの周波数を選択して出力することのできる4値の周波数偏移変調のための回路によって構成され、前記第一周波数、搬送波周波数、第二周波数として、それぞれ、前記最も低い周波数、2番目に低い周波数、2番目に高い周波数を対応づけるかあるいは、前記2番目に低い周波数、2番目に高い周波数、最も高い周波数を対応づけることを特徴としている。
【0018】
したがって、周波数偏移変調のための回路を用いて位相偏移変調を実現することができる。
【0019】
(5)この発明に係る送信装置は、アルゴス衛星に対して信号を送信するものであることを特徴としている。
【0020】
したがって、アルゴス衛星を利用したデータの転送を実現することができる。
【0021】
(6)この発明に係る送信装置は、搬送周波数が、401.630MHZ〜401.680MHzであることを特徴としている。
【0022】
(7)この発明に係る送信装置は、制御手段が、前記送信すべき変調データを出力する前に、所定の時間、信号出力手段から出力される出力信号の周波数を、搬送周波数になるよう制御することを特徴としている。
【0023】
(8)この発明に係る送信装置は、送信すべき変調データが、当該送信装置の位置情報を示すものであることを特徴としている。
【0024】
したがって、送信装置を動物などに取り付けた場合、その位置情報を送信することができる。
【0025】
(9)この発明に係る制御プログラムは、指令に応じて、少なくとも、搬送周波数を有する搬送波信号、前記搬送周波数よりも低い第一の周波数を有する第一周波数信号または、前記搬送周波数よりも高い第二の周波数を有する第二周波数信号を出力する信号出力手段を、コンピュータによって制御して送信装置を構築するための制御プログラムであって、当該コンピュータを、少なくとも第一の値と第二の値を有する前記送信すべき変調データを受けて、前記信号出力手段から出力される信号が、前記送信すべき変調データの前記第一の値に対応して第一の位相となり、前記送信すべき変調データの前記第二の値に対応して前記第一の位相よりも遅れた第二の位相となるように制御する制御手段であって、送信すべき変調データが第一の値から第二の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第二周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を遅らせ、当該位相が前記第二の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御し、送信すべき変調データが第二の値から第一の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第一周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を進ませ、当該位相が前記第一の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御する制御手段として機能させるためのものである。
【0026】
したがって、複雑な位相制御回路を設けることなく、位相偏移変調による送信装置を実現することができ、送信装置の軽量化を実現することが可能となる。
【0027】
(10)この発明に係る送信装置は、GPS受信機によって取得した位置データを、アルゴスシステムのアルゴス衛星に送信する送信装置であって、自らの位置を示す位置データを取得するGPS受信機と、当該位置データを符号化して変調データを生成する符号化手段と、指令に応じて、401.65MHz近傍の搬送周波数を有する搬送波信号、当該搬送周波数よりも0.0017MHz低い周波数を有する第一周波数信号または、前記搬送周波数よりも0.0017MHz高い第二の周波数を有する第二周波数信号を出力する信号出力手段と、少なくとも第一の値と第二の値を有する前記変調データを受けて、前記信号出力手段から出力される信号が、前記変調データの前記第一の値に対応して基準位相より実質的に1.1ラジアン進んだ第一の位相となり、前記変調データの前記第二の値に対応して基準位相より実質的に1.1ラジアン遅れた第二の位相となるように制御する制御手段とを備えた送信装置であって、前記制御手段は、前記変調データの送信前には、前記信号出力手段の出力を、実質的に160m秒の間、基準位相にて前記搬送波信号を出力するように制御し、前記変調データが第一の値から第二の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第二周波数信号に変え、この状態を実質的に0.2m秒継続させることで当該出力の位相を前記第二の位相とした後、当該出力を前記搬送波信号に戻すよう制御し、前記変調データが第二の値から第一の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第一周波数信号に変え、この状態を実質的に0.2m秒継続させることで当該出力の位相を前記第一の位相とした後、当該出力を前記搬送波信号に戻すよう制御することを特徴としている。
【0028】
したがって、複雑な位相制御回路を設けることなく、アルゴス衛星に対して送信を行う、位相偏移変調による送信装置を実現することができ、送信装置の軽量化を実現することが可能となる。
【0029】
(11)この発明に係る変調方法は、少なくとも第一の値と第二の値を有する送信すべき変調データに応じて、信号発生器の出力である搬送波の位相を、前記第一の値に対応して第一の位相とし、前記第二の値に対応して第二の位相とすることにより変調を行う変調方法であって、送信すべき変調データが第一の値から第二の値に変化した際には、前記信号発生器の出力を、前記搬送波信号から前記第二周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を遅らせ、当該位相が前記第二の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御し、送信すべき変調データが第二の値から第一の値に変化した際には、前記信号発生器の出力を、前記搬送波信号から前記第一周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を進ませ、当該位相が前記第一の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御することを特徴としている。
【0030】
したがって、複雑な位相制御回路を設けることなく、位相偏移変調による送信装置を実現することができ、送信装置の軽量化を実現することが可能となる。
【0031】
「信号出力手段」は、実施形態においては、可変周波数発振部48がこれに対応する。
【0032】
「制御手段」は、実施形態においては、制御プログラム54がこれに対応する。
【0033】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】送信対象の一例としてのアルゴス衛星によって規定される、位相変調データの例である。
【図2】従来技術によるアルゴス衛星に対する送信回路例である。
【図3】一実施形態による送信回路の機能ブロック図である。
【図4】送信回路のハードウエア構成を示す図である。
【図5】可変周波数発振部48のブロック図である。
【図6】制御プログラムのフローチャートである。
【図7】制御プログラムのフローチャートである。
【図8】制御プログラムのフローチャートである。
【図9a】制御プログラムのフローチャートである。
【図9b】制御プログラムのフローチャートである。
【図10】マンチェスターコードを示す図である。
【図11】可変周波数発振部48によって生成される信号の周波数と位相を示す図である。
【図12】可変周波数発振部48の出力信号の周波数と位相の変化との関係を示す図である。
【図13】可変周波数発振部48によって生成される信号の周波数と位相を示す図である。
【図14】周波数偏移変調のためのICにおける、シンボルと周波数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
1.全体構成
図3に、この発明の一実施形態による送信装置の機能ブロック図を示す。信号出力手段4は、搬送周波数を有する搬送波信号、第一の周波数を有する第一周波数信号、第二の周波数を有する第二周波数信号のいずれかを選択的に出力することができる。この実施形態では、第一の周波数は搬送波周波数よりも低く、第二の周波数は搬送周波数よりも高く設定されている。
【0036】
制御手段2は、送信すべき変調データを受けて、当該変調データの値に応じて出力信号の位相を制御する。この実施形態では、変調データが第一の値の時には第一の位相、変調データが第二の値の時には第二の位相となるように、位相変調を行っている。
【0037】
制御手段2は、送信すべき変調データが第一の値から第二の値に変化した際には、信号出力手段4の出力を、搬送波信号から第二周波数信号に変える。第二周波数信号は、搬送波信号よりも周波数が高いので、位相は徐々に遅れていくことになる。制御手段2は、このようにして遅延した位相が、第二の位相となったときに、信号出力手段4の出力を搬送波信号に変える。これにより、第二の位相にて搬送波信号が出力されることになる。
【0038】
また、制御手段2は、送信すべき変調データが第二の値から第一の値に変化した際に、信号出力手段4の出力を、搬送波信号から第一周波数信号に変える。第一周波数信号は、搬送波信号よりも周波数が低いので、位相は徐々に進むことになる。制御手段2は、このようにして進行した位相が、第一の位相となったときに、信号出力手段4の出力を搬送波信号に変える。これにより、第一の位相にて搬送波信号が出力されることにことになる。
【0039】
以上のようにして、変調データの値に応じて変調された出力信号を得ることができる。

【0040】
2.ハードウエア構成
図4に、GPS受信機を搭載した送信装置のハードウエア構成を示す。この実施形態による送信装置は、鳥の生態を調べるため鳥に取り付けられて使用するものである。CPU40には、メモリ42、入出力インターフェイス44、不揮発性メモリ46、タイマ60が接続されている。不揮発性メモリ46には、オペレーティングシステム(OS)52、制御プログラム54、衛星データ55等が記録されている。制御プログラム54は、OS52と協働して、その機能を発揮する。入出力インターフェイス44には、可変周波数発信部48、GPS受信部50が接続されている。可変周波数発信部48の出力には、アンテナ56が接続されている。また、太陽電池58の出力は、電源電圧として各部に供給されている。さらに、太陽電池58の出力電圧は、DC−DCコンバータ62によって2.3Vから3.3Vに昇圧されて、各部の電源電圧Vccとして供給されている。また、DC−DCコンバータ62には、太陽電池58の出力電圧を監視するための電圧比較器(図示せず)が内蔵されている。この電圧比較器は、太陽電池58からの出力電圧が規格値(この実施形態では2.3V)の90%を下回ると、電圧モニタ出力63を「L」にする。また、太陽電池58からの出力電圧が規格値の90%以上になると、電圧モニタ出力63を「H」にする。電圧モニタ出力63は、入出力インターフェイス44に与えられている。
【0041】
図5に、可変周波数発信部48のブロック図を示す。可変周波数発信器48は、CPU40から与えられた周波数値を有する信号を出力するものである。波形メモリ86には、一周期分の正弦波波形データが、アドレス順に記録されている。波形メモリ86の正弦波波形データをアドレス順に読み出して、D/A変換器88にてアナログデータにすると、当該正弦波信号を得ることができる。なお、微少な高周波成分を取り除くため、低周波フィルタ90が設けられている。
【0042】
波形メモリ86からの読み出しの際に、アドレスを1つ飛ばしとすると、得られる信号の周波数は2倍となる。また、アドレスを2つ飛ばしとすると、得られる信号の周波数は3倍となる。このように、読み出すアドレスの間隔を制御することにより、出力される信号の周波数を制御することができる。
【0043】
読出間隔テーブル記録部80に対しては、入出力インターフェイス44を介して、CPU40から、指定の周波数値が与えられる。読出間隔テーブル記録部80には、指定の周波数値を実現するためのアドレスの間隔を定めた読出間隔テーブルが記録されている。アドレスの読出間隔は、循環加算器82の一方の入力に与えられる。循環加算器82の他方の入力には、現在の読出アドレスが与えられる。したがって、循環加算器82からは、現在の読出アドレスに読出間隔を加算したアドレスが出力されることになる。
【0044】
このアドレスは、ラッチ84において保持され、波形メモリ86に対して読出アドレスとして与えられる。ラッチに保持されたアドレスは、現在の読出アドレスとして循環加算器82の他方の入力に与えられることになる。
【0045】
なお、循環加算器82は、波形メモリ86に記録された波形データの最大アドレスに到達すると、最小アドレスに戻って加算を行うように構成されている。したがって、波形メモリ86には、1周期分の波形データしか記録されていないが、所望の周期分の波形を出力することができる。
【0046】
なお、ラッチ84およびD/A変換器88は、基準クロックFclkに同期して動作する。したがって、出力信号の周波数は、この基準クロックFclkと前述の読出間隔によって決定されることになる。
【0047】
以上のようにして、可変周波数発信部48は、与えられた周波数値に等しい周波数を有する信号を出力する。

【0048】
3.制御プログラム54による処理
図6に、制御プログラム54のフローチャートを示す。GPS受信部50は、GPS衛星より受信したデータに基づいて位置を算出している。CPU40は、GPS受信部50からの位置データを取得し、メモリ42に記録する(ステップS1)。なお、この位置データには時刻情報も含まれている。
【0049】
次に、CPU40は、位置データを送信すべきタイミングになったかどうかを判断する(ステップS2)。この実施形態では、不揮発性メモリ46に、アルゴスの軌道情報が記録されている。この軌道情報(アルゴスがどの日時にどの位置にいるかを示すデータ)と、GPS受信部50からの位置情報とに基づいて、データを送信すべきタイミングであるかどうかを判断する。たとえば、衛星が通信可能な範囲にある時期を5等分したタイミング(この場合4回の送信が行われることになる)で、送信を行う。なお、鳥自体も移動しているが、アルゴスの速度に比べるとかなり遅いので、このタイミング計算の際には無視することができる。
【0050】
送信タイミングでなければ、CPU40は、GPS受信部50からの位置データをメモリ42に蓄積し続ける。
【0051】
送信タイミングになると、CPU40は、電圧モニタ出力63を、入出力インターフェイス44を介して取り込む(ステップS3)。次に、CPU40は、太陽電池58の電圧値が所定値(この実施形態では、規定電圧の90%)以上であるかどうかを判断する(ステップS4)。前述のように、電圧モニタ出力63は、太陽電池58の電圧が所定値以上であれば「H」となり、下回っていれば「L」となる。したがって、CPU40は、電圧モニタ出力63を見ることによって、これを判断することができる。
【0052】
CPU40は、太陽電池58の電圧が所定値を超えていなければ、データ送信を行わない。太陽電池58の電圧が、データ送信に必要な電圧値に達していないときに、無駄な電力消費を行わないためである。この場合には、所定時間待機した後(ステップS5)、再び、電圧モニタ出力63を取り込み(ステップS3)、電圧値が所定電圧を超えているかどうかを判断する(ステップS4)。
【0053】
ステップS4において、太陽電池58の電圧が所定値を超えていると判断した場合、CPU40は、メモリ42に蓄積されている位置データを、アルゴスに向けて送信する処理を行う(ステップS6)。
【0054】
なお、アルゴスは、CRCコードなどにより、受け取ったデータを正しく復元できたかどうかを判断し、その結果を返信する機能を持っている。しかし、この実施形態では、送信装置は、アルゴスからの上記受信結果を受信する回路を備えていない。これは、送信装置の回路を簡単化してその重量を軽くするためである。このため、衛星が通信可能な範囲にある時期において、複数回の通信が可能である場合(この実施形態では4回の通信が可能である)、複数回にわたって同じ位置データを送信するようにしている。これにより、送信の確実性を実現している。
【0055】
図7、図8、図9a、図9bに、位置データの送信処理の詳細を示す。CPU40は、まず、位置データを送信のために符号化されたデータ(変調データ)が、メモリ42に記録されているかどうかを判断する(ステップS11)。既に、変調データがメモリ42に記録されていれば、改めて、位置データを符号化する処理を行う必要はないので、ステップS12、S13はスキップする。
【0056】
まだ、送信すべき変調データがメモリ42に記録されていなければ、CPU40は、メモリ42に記録されている位置データを読み出し、これをマンチェスターコードによって符号化する(ステップS12)。この実施形態では、2値のマンチェスターコードを用いている。
【0057】
位置データは、時刻を表すデータおよび位置を表すデータなどから構成されている。これらデータは、「1」と「0」のデータの組み合わせによって表現されている。マンチェスターコードにおいては、図10に示すように、データ「1」は、「位相遅れ」、「位相進み」の信号により、データ「0」は「位相進み」「位相遅れ」の信号によって符号化される。以下、位相遅れを「遅」、位相進みを「進」と表記する。なお、理解を容易にするために、変調データの構造として「遅」「進」との表記をしているが、実際には、「0」「1」の数値によって表されるものである。
【0058】
CPU40は、位置データをマンチェスターコードによって符号化して得た変調データを、メモリ42に記録する(ステップS13)。なお、この実施形態では、位置データを構成する1ビットのデータは、「進」「遅」または「遅」「進」の2ビットの変調データとして記録されることになる。
【0059】
次に、CPU40は、変調データ送信前に160ミリ秒の間、位相を変化させず搬送波を出力するように、可変周波数発信部48を制御する。これは、図1に示すように、アルゴスが、変調データの送信前に、基準位相にて搬送波を160ミリ秒間送信することを求めているからである。
【0060】
まず、CPU40は、タイマ60をリセットし、計時の準備をする(ステップS14)。次に、CPU40は、可変周波数発信部48に対し、搬送周波数fc(この実施形態では、401.6500MHz)にて信号を出力するよう指令を行う(ステップS15)。この状態は、タイマ60が160ミリ秒を計時するまで継続されるので、搬送周波数fcによる信号出力は160ミリ秒継続することになる。
【0061】
タイマ60が160ミリ秒を計時すると、CPU40は、メモリ42に記録された最初の変調データを1ビット読み出す(ステップS16)。続いて、CPU40は、タイマ60をリセットする(ステップS17)。
【0062】
次に、CPU40は、読み出した最初の変調データが「進」であるか「遅」であるかを判断する(ステップS18)。ここでは、「進」であるものとして説明を進める。この実施形態では、変調データが「進」の場合、基準位相に対して1.1ラジアン位相の進んだ搬送波を出力し、変調データが「遅」の場合、基準位相に対して1.1ラジアン位相の遅れた搬送波を出力するように、位相変調を行っている。
【0063】
図11Aに可変周波数発振部48の出力信号の位相を、図11Bに可変周波数発振部48の出力信号の周波数を示す。上述のように、今、160ミリ秒継続して搬送周波数fcの搬送波を出力した状態にある(図11Aのt1)。このときの位相は基準位相である。つまり、基準位相に対して位相差がない(0ラジアンである)ということになる。また、このときの出力周波数は、搬送周波数fcである(図11B参照)。
【0064】
ここで、最初の変調データが「進」であるとすると、基準位相に対して1.1ラジアン位相の進んだ搬送波を出力する必要がある。CPU40は、可変周波数発振部48に対し、搬送周波数fcより0.00175MHzだけ低い周波数f1にて信号を出力するように指令する(ステップS19)。これにより、搬送周波数fcと周波数fcとの差に応じて、元の搬送周波数fcの信号を基準とすると、時間経過とともに位相が進んでいくことになる(図12参照)。
【0065】
この実施形態では、搬送周波数fcが401.6500MHzであり、周波数f1がこれより0.00175MHzだけ低いので、1マイクロ秒ごとに0.011ラジアンずつ位相が進むことになる。そこで、CPU40は、位相を1.1ラジアン進めるため、100マイクロ秒(0.1ミリ秒)、周波数f1の信号を出力し続ける。つまり、CPU40は、タイマ60が0.1ミリ秒を計時するまで、可変周波数発振部48の出力信号の周波数をf1に制御する。このときの状態は、図11A、Bのt2にて示される。
【0066】
次に、CPU40は、タイマ60をリセットする(ステップS22)。続いて、可変周波数発振部48に対し、搬送周波数fcにて信号を出力するように指令を行う(ステップS23)。これにより、1.1ラジアン位相の進んだ搬送波を出力することができる。CPU40は、タイマ60が1.05ミリ秒を計時するまで、可変周波数発振部48の出力信号の周波数を搬送周波数fcに制御する(ステップS24)。このときの状態は、図11A、Bのt3にて示される。
【0067】
なお、上記では、変調データが「進」の場合について説明したが、「遅」の場合には、ステップS20において搬送周波数fcより0.00175MHzだけ高い周波数f2の信号を、可変周波数発振部48から出力して、位相を遅らせる。位相を進ませるか遅らせるかの違いだけであり、本質的な処理は同じである。
【0068】
CPU40は、ステップS25において、次の変調データを読み出す。ここでは、次の変調データが、図11Aに示すように、「遅」であるものとして説明を進める。続いて、タイマ60をリセットする(ステップS26)。
【0069】
その後、CPU40は、今回読み出した変調データが、前回の変調データと同じ値であるかどうかを判断する(ステップS27)。ここでは、前回の変調データが「進」であり、今回の変調データが「遅」であるから、同じ値でないと判断し、ステップS28に進む。
【0070】
ステップS28においては、変調データが「進」であるか「遅」であるかを判断する。ここでは、「遅」であるので、CPU40は、可変周波数発振部48を制御し、搬送周波数fcより0.00175MHzだけ高い周波数f2の信号を出力するよう制御する(ステップS30)。これにより、位相を遅らせることができる。現在、搬送波の位相は1.1ラジアン進んだ状態にあるので、これを1.1ラジアン遅れた状態にするには、0.2ミリ秒の間、周波数f2にて信号を出力し続ける必要がある。
【0071】
したがって、CPU40は、タイマが0.2ミリ秒を計時するまで、周波数f2にて信号を出力するよう、可変周波数発振部48を制御する(ステップS31)。0.2mミリ秒経過した状態は、図11A、Bのt5によって示される。
【0072】
次に、CPU40は、タイマ60をリセットする(ステップS32)。続いて、可変周波数発振部48に対し、搬送周波数fcにて信号を出力するように指令を行う(ステップS33)。これにより、1.1ラジアン位相の遅れた搬送波を出力することができる。CPU40は、タイマ60が1.05ミリ秒を計時するまで、可変周波数発振部48の出力信号の周波数を搬送周波数fcに制御する(ステップS34)。このときの状態は、図11A、Bのt6にて示される。
【0073】
なお、上記では、変調データが「遅」の場合について説明したが、「進」の場合には、ステップS29において搬送周波数fcより0.00175MHzだけ低い周波数f1の信号を、可変周波数発振部48から出力して、位相を進ませる。位相を進ませるか遅らせるかの違いだけであり、本質的な処理は同じである。
【0074】
次に、CPU40は、未送信の変調データがメモリ42に残っているか否かを判断する(ステップS35)。送信すべき変調データが残っている場合には、ステップS25以下の処理を繰り返す。これにより、図11A、Bに示すように、次の変調データ「進」「遅」が送信されることになる(t8、t9、t10、t11、t12参照)。
【0075】
今、ステップS33、S34により、搬送周波数fcにて搬送波を1.05ミリ秒の間、出力したところであるとする(図11A、Bのt12)。CPU40は、次の送信すべきデータがあるので、ステップS25に戻り、次の変調データをメモリ42から読み出す。そして、タイマ60をリセットする。
【0076】
次にCPU40は、前回の変調データの値と、今回の変調データの値が同じであるかを判断する(ステップS27)。ここでは、図11Aに示すように、前回の変調データが「遅」、今回の変調データも「遅」であるから、ステップS28に進む。
【0077】
このように、同じ値が連続する場合、位相を変更する必要がないので、そのまま搬送周波数fcの信号を出力し続ける。したがって、ステップS28では、CPU40は、さらに0.2ミリ秒の間、継続して可変周波数発振部48の出力を搬送周波数fcに維持するよう制御する。これにより、位相は、1.1ラジアン遅れたままとなる(図11A、Bのt12、t14参照)。
【0078】
0.2ミリ秒を計時すると、CPU40は、ステップS34に進む。ステップS34では、さらに1.05ミリ秒の間、継続して可変周波数発振部48の出力を搬送周波数fcに維持するよう制御する(図11A、Bのt15参照)。以上のようにして、同じ値が連続した場合の制御が行われる。
【0079】
送信すべき変調データを全て送信し終えると、CPU40は、タイマ60をリセットする(ステップS36)。この時、搬送周波数fcにて1.05ミリ秒の間、信号を送出した後であるから、図13A、Bのt23の状態にある。CPU40は、現在の変調データが「進」であるか、「遅」であるかを判断する(ステップS37)。図13A、Bに示すように、今、変調データの値は「遅」であるから、ステップS39に進む。ステップS39においては、CPU40は、可変周波数発振部48に対し、搬送周波数より低い周波数f1にて信号を出力するように制御する。
【0080】
これにより、位相が遅れることになる。CPU40は、タイマ60が0.1ミリ秒を計時するまでこの状態を維持する(ステップS40)。この状態は、図13A、Bのt24によって表される。0.1ミリ秒が経過すると、CPU40は、可変周波数発振部48に対し、搬送周波数fcにて信号を出力するように制御した後、出力を停止するよう制御する(ステップS41)。
【0081】
以上のようにして、一連の変調データを送信することができる。

【0082】
4.その他の実施形態
(1)上記実施形態では、図5に示すような回路を用いて可変周波数発振部48を構成している。しかし、4値の周波数偏移変調(4−FSK)を行うためのICを用いて可変周波数発振部48を構成するようにしてもよい。図14に、4−FSKのためのICであるテキサスインスツルメンツ社のCC1101における、送信すべきデータ(シンボル)と、対応する周波数との関係を示す。
【0083】
4−FSKは、本来、異なる4つの周波数によって、送信すべきデータ「00」「01」「10」「11」を表すものである。この実施形態では、図14に示されるような送信すべきデータ「00」「01」「10」「11」と周波数との関係を用いない。この4つの周波数のうち、3つを用いて、上述の位相偏移変調を実現する。たとえば、図14において、f−1/3・fdevを搬送波とする。f−fdevを位相を進ませるための周波数f1とし、f+1/3・fdevを位相を遅らせるための周波数f2として用いる。 あるいは、f+1/3・fdevを搬送波とする。f−1/3・fdevを位相を進ませるための周波数f1とし、f+fdevを位相を遅らせるための周波数f2として用いる。
【0084】
CC1101では、上記のfやfdevをレジスタに数値を設定することにより決定できるので制御が容易である。
【0085】
なお、4−FSKより多くの値をコードできる8−FSKなどのためのICを用いるようにしてもよい。
【0086】
(2)上記実施形態では、マンチェスターコードによって符号化を行っているが、その他の符号化を用いるようにしてもよい。
【0087】
(3)上記実施形態では、衛星からの受信確認信号を受信する回路を設けていない。このため、常に、同じデータを複数回送信するようにしている。しかし、衛星からの受信確認信号を受信する回路を設け、衛星が正しくデータを受信した場合には、送信処理を繰り返さないようにしてもよい。この場合、装置自体の重量は重くなるが、太陽電池の消費量を低減できるという利点がある。
【0088】
(4)上記実施形態では、搬送波を401.6500MHzとし、これに対して0.00175MHz低い周波数f1および0.00175MHz高い周波数f2を出力して、位相を変化させるようにしている。
【0089】
搬送周波数と、周波数f1またはf2との差を大きくすれば、単位時間当たりの位相の変化が大きくなる。したがって、早く位相を変化させたい場合には、この周波数差を大きくとればよい。また、ゆっくりと位相を変化させたい場合には、この周波数差を小さくとればよい。
【0090】
なお、上記実施形態では、アルゴスの求める位相変化の立ち上がりや立ち下がりの規格に合致するように、上記周波数差を決定している。もちろん、この規格内に合致するのであれば、他の周波数差を用いるようにしてもよい。
【0091】
(5)上記実施形態では、2値の変調データを送信する場合について説明したが、3値以上の変調データを送信する場合についても同様に適用することができる。
【0092】
(6)上記実施形態では、送信すべきデータとしてGPSによる位置データを対象としたが、その他のデータを送信するようにしてもよい。
【0093】
(7)上記実施形態では、送信すべきデータを符号化して変調データとしている。しかし、送信すべきデータをそのまま変調データとしてもよい。
【0094】
(8)上記実施形態では、周波数差による単位時間当たりの位相の変化に基づいて、予め所望の位相差を得るために必要な時間を算出しておき、この時間に基づいて制御を行うようにしている。したがって、微小な変化であり直接制御をすることが難しい位相を、時間によって制御することができ、制御が容易である。
【0095】
なお、直接位相を計測できるのであれば、位相差を計測し、その値が所望の位相差になったときに、搬送周波数に戻すように制御してもよい。
【0096】
(9)上記実施形態では、搬送周波数として401.6500MHzを用いている。しかしながら、他の周波数を搬送周波数として用いてもよい。たとえば、401.630MHz〜401.680MHzの範囲のいずれかの周波数を搬送周波数として用いることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信すべき変調データに応じて、搬送波の位相を変化させることにより変調を行う送信装置であって、
指令に応じて、少なくとも、搬送周波数を有する搬送波信号、前記搬送周波数よりも低い第一の周波数を有する第一周波数信号または、前記搬送周波数よりも高い第二の周波数を有する第二周波数信号を出力する信号出力手段と、
少なくとも第一の値と第二の値を有する前記送信すべき変調データを受けて、前記信号出力手段から出力される信号が、前記送信すべき変調データの前記第一の値に対応して第一の位相となり、前記送信すべき変調データの前記第二の値に対応して前記第一の位相よりも遅れた第二の位相となるように制御する制御手段と、
を備えた送信装置であって、
前記制御手段は、送信すべき変調データが第一の値から第二の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第二周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を遅らせ、当該位相が前記第二の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御し、送信すべき変調データが第二の値から第一の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第一周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を進ませ、当該位相が前記第一の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
請求項1の送信装置において、
前記制御手段は、搬送周波数と第一周波数、第二周波数との差に基づいて、予め算出された第一の位相と第二の位相との間での位相変化に必要な時間の間、第一周波数信号または第二周波数信号を出力するよう制御することを特徴とする送信装置。
【請求項3】
請求項1または2の送信装置において、
信号出力手段は、
単位周期分の基本波形データをアドレス順に記録した基本波形データ記録部と、
前記基本波形データ記録部の基本波形データを、基準クロックに応じた間隔にて、前記アドレスを所定数ずつ変化させながら読み出して波形データを出力する読出制御手段と、
前記読み出された波形データをアナログ信号に変換する変換手段と、
前記基準クロックまたは前記所定数あるいは双方を変更することによって、読み出される波形データの周波数を、搬送周波数、第一周波数、第二周波数のいずれかに制御する周波数制御手段と、
を備えたことを特徴とする送信装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの送信装置において、
前記信号出力手段は、最も低い周波数、2番目に低い周波数、2番目に高い周波数、最も高い周波数の4つの周波数を選択して出力することのできる4値の周波数偏移変調のための回路によって構成され、
前記第一周波数、搬送波周波数、第二周波数として、それぞれ、前記最も低い周波数、2番目に低い周波数、2番目に高い周波数を対応づけるかあるいは、前記2番目に低い周波数、2番目に高い周波数、最も高い周波数を対応づけることを特徴とする送信装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの送信装置において、
前記送信装置は、アルゴス衛星に対して信号を送信するものであることを特徴とする送信装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの送信装置において、
前記搬送周波数は401.630MHZ〜401.680MHzであることを特徴とする送信装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの送信装置において、
前記制御手段は、前記送信すべき変調データを出力する前に、所定の時間、信号出力手段から出力される出力信号の周波数を、搬送周波数になるよう制御することを特徴とする送信装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかの送信装置において、
前記送信すべき変調データは、当該送信装置の位置情報を示すものであることを特徴とする送信装置。
【請求項9】
指令に応じて、少なくとも、搬送周波数を有する搬送波信号、前記搬送周波数よりも低い第一の周波数を有する第一周波数信号または、前記搬送周波数よりも高い第二の周波数を有する第二周波数信号を出力する信号出力手段を、コンピュータによって制御して送信装置を構築するための制御プログラムであって、
当該コンピュータを、
少なくとも第一の値と第二の値を有する前記送信すべき変調データを受けて、前記信号出力手段から出力される信号が、前記送信すべき変調データの前記第一の値に対応して第一の位相となり、前記送信すべき変調データの前記第二の値に対応して前記第一の位相よりも遅れた第二の位相となるように制御する制御手段であって、送信すべき変調データが第一の値から第二の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第二周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を遅らせ、当該位相が前記第二の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御し、送信すべき変調データが第二の値から第一の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第一周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を進ませ、当該位相が前記第一の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御する制御手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項10】
GPS受信機によって取得した位置データを、アルゴスシステムのアルゴス衛星に送信する送信装置であって、
自らの位置を示す位置データを取得するGPS受信機と、
当該位置データを符号化して変調データを生成する符号化手段と、
指令に応じて、401.65MHz近傍の搬送周波数を有する搬送波信号、当該搬送周波数よりも0.00175MHz低い周波数を有する第一周波数信号または、前記搬送周波数よりも0.00175MHz高い第二の周波数を有する第二周波数信号を出力する信号出力手段と、
少なくとも第一の値と第二の値を有する前記変調データを受けて、前記信号出力手段から出力される信号が、前記変調データの前記第一の値に対応して基準位相より実質的に1.1ラジアン進んだ第一の位相となり、前記変調データの前記第二の値に対応して基準位相より実質的に1.1ラジアン遅れた第二の位相となるように制御する制御手段と、
を備えた送信装置であって、
前記制御手段は、前記変調データの送信前には、前記信号出力手段の出力を、実質的に160m秒の間、基準位相にて前記搬送波信号を出力するように制御し、前記変調データが第一の値から第二の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第二周波数信号に変え、この状態を実質的に0.2m秒継続させることで当該出力の位相を前記第二の位相とした後、当該出力を前記搬送波信号に戻すよう制御し、前記変調データが第二の値から第一の値に変化した際には、前記信号出力手段の出力を、前記搬送波信号から前記第一周波数信号に変え、この状態を実質的に0.2m秒継続させることで当該出力の位相を前記第一の位相とした後、当該出力を前記搬送波信号に戻すよう制御することを特徴とする送信装置。
【請求項11】
少なくとも第一の値と第二の値を有する送信すべき変調データに応じて、信号発生器の出力である搬送波の位相を、前記第一の値に対応して第一の位相とし、前記第二の値に対応して第二の位相とすることにより変調を行う変調方法であって、
送信すべき変調データが第一の値から第二の値に変化した際には、前記信号発生器の出力を、前記搬送波信号から前記第二周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を遅らせ、当該位相が前記第二の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御し、送信すべき変調データが第二の値から第一の値に変化した際には、前記信号発生器の出力を、前記搬送波信号から前記第一周波数信号に変えることによって時間経過とともに位相を進ませ、当該位相が前記第一の位相となった時に前記搬送波信号に戻すよう制御することを特徴とする変調方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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