送受信装置およびイメージング装置
【課題】高精度なイメージ検出を可能にする送受信装置およびそれを使用するイメージング装置の実現。
【解決手段】周波数可変の発振信号を発生する発振器21と、発振信号から高調波を生成する高調波発生器23と、高調波から第1高周波信号を取り出す第1フィルタ24と、高調波から第2高周波信号を取り出す第2フィルタ25と、受信信号を第2高周波信号でダウンコンバートするダウンコンバート用ミキサ26と、発振信号から互いに直交する第1および第2中間周波数信号を生成するハイブリッドカプラ27と、ダウンコンバート用ミキサ26の出力と第1中間周波数信号をミキシングして第1ベースバンド信号を取り出す第1ミキサ28と、ダウンコンバート用ミキサ26の出力と第2中間周波数信号をミキシングして第2ベースバンド信号を取り出す第2ミキサ29と、を備える送受信装置。
【解決手段】周波数可変の発振信号を発生する発振器21と、発振信号から高調波を生成する高調波発生器23と、高調波から第1高周波信号を取り出す第1フィルタ24と、高調波から第2高周波信号を取り出す第2フィルタ25と、受信信号を第2高周波信号でダウンコンバートするダウンコンバート用ミキサ26と、発振信号から互いに直交する第1および第2中間周波数信号を生成するハイブリッドカプラ27と、ダウンコンバート用ミキサ26の出力と第1中間周波数信号をミキシングして第1ベースバンド信号を取り出す第1ミキサ28と、ダウンコンバート用ミキサ26の出力と第2中間周波数信号をミキシングして第2ベースバンド信号を取り出す第2ミキサ29と、を備える送受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送受信装置およびイメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波・ミリ波・テラヘルツ波を利用したイメージセンサを含むイメージング装置は、有害な放射線被爆を発生すること無しに、非接触で危険物などを検知することができるため、空港、イベント会場などでのセキュリティ検査に実用されている。このような電波を利用したイメージング装置は、可視光センサや赤外線センサと異なり、衣服内などに秘匿された危険物や壁の向こう側にある不審物を検知可能という特徴を有するため、最近では、ブティックなどでの非接触サイズ測定にも利用されている。
【0003】
このようなイメージング装置は、ミリ波ホログラフィックシステムと呼ばれる。ミリ波ホログラフィックシステムは、1次元アレイ状(直線状)に配置した複数の送受信装置を有する。各送受信装置は、周波数を掃引しながら対象物(ターゲット)に対してミリ波電波を照射して、返ってくる反射波の強度と位相を掃引周波数毎に測定する。1次元送受信装置アレイの場合には、アレイを縦あるいは横方向にスキャンし、送受信装置の空間的な位置を変えながら、この測定を繰り返す。
【0004】
この場合のターゲットの反射率f(x、y、z)は次式で表される。
【0005】
【数1】
【0006】
ここで、FT2D(x)はスキャン平面上での2次元フーリエ変換関数、FT3D−1(x)は3次元逆フーリエ関数であり、s(x、y、ω)はスキャン位置(x、y)における掃引(角)周波数ωでの受信電力である。kは空間波数ベクトルを表し、2k2=kx2+ky2+kz2である。このホログラフィックシステムにおいては、掃引周波数ステップΔfとターゲットまでの距離Rmaxの関係はΔf<c/Rmaxと表される。cは空間媒質の電波伝搬速度を示す。このため、掃引周波数ステップΔfが小さい程、遠くの物体を検出することが可能となる。一方、このシステムの検出分解能は、ターゲット面内方向δx≒λcF#/2、距離方向δx≒c/2Bと表される。ここでF#はターゲットと送受信機との距離Rと送受信機のスキャン長との比である。λcは電波の波長を示し、Bは周波数帯域幅を示す。すなわち、スキャン長が大きいほど、周波数帯域幅が広いほど、検出分解能は高くなる。
【0007】
このようなイメージング装置の送受信装置では、送信信号として使用する高周波信号(RF信号)、およびRF信号の反射信号の受信信号からダウンコンバートする時に使用するローカル周波数信号(LO信号)の2つの高周波信号を必要とする。そこで、これまでの送受信装置は、RF信号を発生するRF用発振器およびLO信号を発生するLO用発振器の2個の発振器を有していた。そのため、信号源の位相雑音に起因する位置精度・検出精度の低下が問題となっていた。発振器の位相雑音は周波数が高くなるほど劣化する傾向にあるため、この問題は、特に周波数が90GHzを超えるミリ波・サブテラヘルツ波を使用する場合に顕著となる。以上の理由で、信号源の雑音低減が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−311669号公報
【特許文献2】特開2006−203718号公報
【特許文献3】特表2001−501304号公報
【特許文献4】特表2009−526988号公報
【特許文献5】米国特許第5,455,590号
【特許文献6】米国特許第5,557,283号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】D. Sheen, D. McMakin, and T. E. Hall, “Three-dimensional millimeterwave imaging for concealed weapon detection,” IEEE Trans. MTT, vol.49, no. 9, pp. 1581-1592, 2001.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実施形態は、RF信号およびLO信号を低雑音化して、高精度なイメージ検出を可能にする送受信装置およびそれを使用するイメージング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の第1の態様の送受信装置は、周波数可変の発振信号を発生する発振器と、発振信号から高調波を生成する高調波発生器と、高調波から第1高周波信号を取り出す第1フィルタと、高調波から第2高周波信号を取り出す第2フィルタと、送信した第1高周波信号の反射信号を受信した受信信号を第2高周波信号でダウンコンバートするダウンコンバート用ミキサと、発振信号から互いに直交する第1および第2中間周波数信号を生成するハイブリッドカプラと、ダウンコンバート用ミキサの出力と第1中間周波数信号をミキシングして第1ベースバンド信号を取り出す第1ミキサと、ダウンコンバート用ミキサの出力と第2中間周波数信号をミキシングして第2ベースバンド信号を取り出す第2ミキサと、を含む。
【0012】
また、実施形態の第2の態様のイメージング装置は、複数の送受信機をアレイ状に配置したイメージセンサと、複数の送受信機のそれぞれが、高周波信号を対象物に向けて送信し、対象物で反射された高周波信号を複数の送受信機のそれぞれで受信し、受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、A/D変換器の出力から、高周波信号の対象物での反射画像を生成する画像処理装置と、を含み、複数の送受信機のそれぞれは、周波数可変の発振信号を発生する発振器と、発振信号から高調波を生成する高調波発生器と、高調波から高周波信号を取り出す第1フィルタと、高調波から高周波信号と異なる周波数のローカル高周波信号を取り出す第2フィルタと、受信信号をローカル高周波信号でダウンコンバートするダウンコンバート用ミキサと、発振信号から互いに直交する第1および第2中間周波数信号を生成するハイブリッドカプラと、ダウンコンバート用ミキサの出力と第1中間周波数信号をミキシングして第1ベースバンド信号を取り出す第1ミキサと、ダウンコンバート用ミキサの出力と第2中間周波数信号をミキシングして第2ベースバンド信号を取り出す第2ミキサと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
実施形態によれば、RF信号およびLO信号を低雑音化して、高精度なイメージ検出を可能にする送受信装置およびそれを使用するイメージング装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例1のイメージング装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2は、実施例1の各送受信装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、実施例2の送受信装置の構成を示す図である。
【図4】図4は、短パルス発生器の回路構成およびその一要素であるコア部の回路構成を示す図である。
【図5】図5は、短パルス発生器の動作を示すタイムチャートおよび短パルス発生器の生成する出力パルスの例を示す図である。
【図6】図6は、第1および第2フィルタの回路パターンおよび特性を示す図である。
【図7】図7は、短パルス発生器の発生する高調波信号群と、第1および第2フィルタによる高調波信号群からの信号の抽出処理を説明する図である。
【図8】図8は、ダウンコンバート用ミキサの回路構成を示す図である。
【図9】図9は、ハイブリッドカプラの回路構成を示す図である。
【図10】図10は、第1および第2ミキサの回路構成を示す図である。
【図11】図11は、実施例1における短パルス発生器の出力する高調波が有する位相雑音と、通常の発振器の出力する発振信号の有する位相雑音を比較した図である。
【図12】図12は、実施例3の送受信装置の構成を示す図である。
【図13】図13は、ダイオードの部分の回路構成および変形例の回路構成を示す図である。
【図14】図14は、実施例3で使用する電力レベル調整用可変利得増幅器の構成を示す図である。
【図15】図15は、ローパスフィルタの回路構成を示す図である。
【図16】図16は、分配器の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、実施例1のイメージング装置の概略構成を示す図である。実施例1のイメージング装置は、送受信装置アレイ10と、スキャン機構13と、送受信ロジック回路14と、A/D変換器15と、画像処理装置16と、ディスプレイ17と、を有する。
【0016】
送受信装置アレイ10は、一次元(直線状)に配置した複数の送受信装置11を有する。各送受信装置11は、前方(アレイに垂直な方向)に高周波信号を放射し、前方に位置する対象物で反射された高周波信号を受信する。
【0017】
スキャン機構13は、送受信装置アレイ10を上下方向に移動する。実施例1では、送受信装置アレイ10が水平方向に直線状に配置された複数の送受信装置11を有し、スキャン機構13が送受信装置アレイ10を垂直方向に移動することにより、対象物の2次元画像が生成される。しかし、送受信装置アレイ10を垂直方向に配置し、送受信装置アレイ10を水平方向に移動するスキャン機構13を設けて、対象物の2次元画像が生成されるようにしてもよい。また、送受信装置アレイ10を垂直方向に配置し、対象物の周囲を1周回転するように送受信装置アレイ10を移動するスキャン機構13を設けて、対象物の360度画像が生成されるようにすることも可能である。
【0018】
送受信ロジック回路14は、送受信装置アレイ10が、出力する高周波信号の周波数を掃引するように制御すると共に、送受信装置アレイ10の出力信号の読み出し処理を行う。例えば、送受信ロジック回路14は、送受信装置アレイ10が送信信号の周波数を90GHzから91GHzまで100MHzステップで変化させ、この変化を繰り返すように制御する。
【0019】
A/D変換器15は、送受信ロジック回路14を介して読み出された送受信装置アレイ10の出力信号をデジタル信号に変化する。画像処理装置16は、A/D変換器15の出力するデジタル信号から対象物の画像信号を生成して、ディスプレイ17に表示する。画像処理装置16は、例えば、コンピュータおよびコンピュータソフトウエアにより実現される。
【0020】
送受信ロジック回路14、A/D変換器15、画像処理装置16およびディスプレイ17については、広く知られているのでこれ以上の説明は省略する。
【0021】
図2は、実施例1の各送受信装置11の構成を示す図である。
【0022】
実施例1の送受信装置11は、発振器21と、高調波発生器23と、第1フィルタ24と、第2フィルタ25と、ダウンコンバート用ミキサ26と、ハイブリッドカプラ27と、第1ミキサ28と、第2ミキサ29と、を有する。
【0023】
発振器21は、周波数可変発振器であり、中間周波数(Intermediate Frequency)の発振信号IFを発生する。発振器21は、送受信ロジック回路14の制御に応じて、発振信号IFの周波数を、所定の周波数範囲を所定ステップで変化するように掃引する動作を繰り返す。
【0024】
高調波発生器23は、発振信号IFから、第1高周波信号RFと第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOを含むIF信号の高調波信号群を発生する。
【0025】
第1フィルタ24は、第1高周波信号RFの周波数を含む所定周波数範囲の信号のみを通過させる狭帯域バンドパスフィルタであり、高調波発生器23の出力する高調波から第1高周波信号RFを取り出す。
【0026】
第2フィルタ25は、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOの周波数を含む所定周波数範囲の信号のみを通過させる狭帯域バンドパスフィルタであり、高調波発生器23の出力する高調波から第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOを取り出す。
【0027】
例えば、第1高周波信号RFの周波数の発振信号IFに対する逓倍数をnとすると、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOの周波数の発振信号IFに対する逓倍数をn±1とすることが望ましい。
【0028】
第1フィルタ24の出力する第1高周波信号RFは、ターゲットに向かって送信信号Txとして出力される。送信信号Txはターゲットで反射され、受信信号Rxとして受信され、ダウンコンバート用ミキサ26に入力される。一方、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOは、ダウンコンバート用ミキサ26に入力される。ダウンコンバート用ミキサ26は、第1高周波信号RFと同じ周波数の受信信号Rxと第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOをダウンコンバートする。第1高周波信号RFの周波数の逓倍数はnであり、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOの逓倍数はn±1であるから、ダウンコンバート用ミキサ26の生成するダウンコンバート信号IFRの周波数は、発振信号IFの周波数と同じになる。
【0029】
ハイブリッドカプラ27は、発振信号IFを受けて、互いに直交する第1中間周波数信号IF(0°)および第2中間周波数信号IF(90°)を生成する。
【0030】
第1ミキサ28は、ダウンコンバート用ミキサ26の出力するダウンコンバート信号IFRと第1中間周波数信号IF(0°)をミキシングして第1ベースバンド信号Iを取り出す。
【0031】
第2ミキサ29は、ダウンコンバート用ミキサ26の出力するダウンコンバート信号IFRと第2中間周波数信号IF(90°)をミキシングして第2ベースバンド信号Qを取り出す。第1および第2ベースバンド信号IおよびQから、受信信号Rxの位相情報を検出して、ターゲットの検知およびターゲットまでの距離を測定することができる。
【0032】
以上のようにして生成された第1および第2ベースバンド信号IおよびQは、送受信ロジック回路14を介してA/D変換器15に供給される。そして、前述の数1の式に基づいてターゲットの反射像が生成される。
【0033】
次に、実施例2のイメージング装置について説明する。実施例2のイメージング装置は、図1に示した実施例1と同様の概略構成を有し、各送受信装置11の構成をより具体的にしたものである。
【0034】
図3は、実施例2の送受信装置11の構成を示す図である。
【0035】
実施例2の送受信装置11は、発振器21と、短パルス発生器31と、第1フィルタ24と、第2フィルタ25と、ダウンコンバート用ミキサ26と、ハイブリッドカプラ27と、第1ミキサ28と、第2ミキサ29と、を有する。
【0036】
発振器21は、実施例1と同様に、周波数可変発振器であり、中間周波数(Intermediate Frequency)の発振信号IFを発生する。発振器21は、送受信ロジック回路14の制御に応じて、発生する発振信号IFの周波数を9GHz〜9.1GHzの範囲において10MHzステップで変化させる掃引動作を繰り返す。
【0037】
短パルス発生器31は、発振信号IFから、第1高周波信号RFと第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOを含むIF信号の高調波信号群を発生する。言い換えれば、短パルス発生器31は、高調波発生器23として機能する。
【0038】
図4の(A)は、短パルス発生器31の回路構成を示す図であり、図4の(B)は短パルス発生器31の回路の一要素であるコア部44の回路構成を示す図である。
【0039】
図4の(A)に示すように、短パルス発生器31は、発振信号IFが入力される入力バッファ41と、バッファ41の出力をそれぞれ遅延させ、遅延量が可変の2個の可変遅延回路42および43と、コア部44と、出力バッファ45と、を有する。
【0040】
図4の(B)に示すように、コア部44は、2個の可変遅延回路42および43の出力AおよびBを入力とするNAND回路であり、トランジスタはゲート長75nmのInP HEMTトランジスタである。
【0041】
図5の(A)は、短パルス発生器31の動作を示すタイムチャートであり、2個の可変遅延回路42および43の遅延量に応じて出力パルスPFのパルス幅が変化する。図5の(B)は、20GHzの発振信号IFを入力した時に発生する出力パルスPFの例を示す。図示のように、出力パルスPFは、ピーク電圧が1.1V(負極性のため−1.1V)で、半値幅が3.8psのパルス列である。
【0042】
短パルス発生器31の発生する出力パルスPFは、パルス幅をTWとし、フーリエ変換によりスペクトルに分解すると、次の式で示す信号成分を有する。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、ωIFはIF周波数である。すなわち、パルス幅TWの逆数に相当する周波数まで平坦なスペクトルを有する。そこで、図4の(B)に示すように、InP HEMTトランジスタを用いたコア部を有する短パルス発生器31を使用し、9GHzのIF信号を入力して、5ピコ秒のパルス幅を有するパルス列を生成する。このとき、パルス列は、9GHz間隔で、5ps−1=200GHzまで拡がるスペクトルを有する。
【0045】
第1フィルタ24および第2フィルタ25は、100μm厚で、2.7×2.8mmサイズのアルミナ基板上に形成されたカップリングマイクロストリップ線路で実現される。
【0046】
図6の(A)は第1フィルタ24の回路パターンを、図6の(B)は第1フィルタ24の特性を、図6の(C)は第2フィルタ25の回路パターンを、図6の(D)は第2フィルタ25の特性を、示す。図6の(B)に示すように、第1フィルタ24は、90−91GHzの周波数域の信号を通過させ、それ以外の範囲の信号を減衰する。同様に、図6の(C)に示すように、第2フィルタ25は、81−81.9GHzの周波数域の信号を通過させ、それ以外の範囲の信号を減衰する。
【0047】
図7は、短パルス発生器31の発生する高調波信号群と、第1フィルタ24および第2フィルタ25による高調波信号群からの信号の抽出処理を説明する図である。
【0048】
図7に示すように、短パルス発生器31はパルス幅の狭い短パルスを発生し、それには、発振信号IFの周波数fIFの逓倍の信号が含まれる。そのうちの10倍の周波数10fIF=fRFの信号が第1高周波信号RFであり、9倍の周波数9fIF=fLOの信号が第2高周波信号RFである。第1高周波信号RFは、第1フィルタ24を通過することにより取り出され、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOは、第2フィルタ25を通過することにより取り出される。前述のように、発振器21は、発生する発振信号IFの周波数を9GHz〜9.1GHzの範囲において10MHzステップで変化させる掃引動作を行う。したがって、第1高周波信号RFの周波数は、90GHz〜91GHzの範囲で、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOの周波数は、81GHz〜81.9GHzの範囲で変化する。これにより、90GHz帯イメージング装置が実現され、距離30m、分解能15cmでターゲットの反射画像を生成することができる。
【0049】
図8は、ダウンコンバート用ミキサ26の回路構成を示す図である。
【0050】
ダウンコンバート用ミキサ26は、ハイブリッドカプラ51と、整合回路52、53、56および57と、駆動回路を構成するInP HEMTトランジスタ54および55と、バランス出力をシングル出力に変換するコンバータ58と、を有する。
【0051】
ハイブリッドカプラ51は、90°ハイブリッドカプラであり、トランジスタ55へ入力される受信信号Rxはトランジスタ54への入力に比べ90°遅れる。また、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOについては、逆にトランジスタ54の側がトランジスタ55より90°遅れる。ミキシングの結果現れる出力信号の位相角は、Rx信号の位相角とLO信号の位相角の差に等しいので、結局トランジスタ54とトランジスタ55の出力は180°の位相差を持つことになる。トランジスタ54とトランジスタ55の出力をコンバータ58により逆相合成すれば、出力を効率的に取り出すことができる。本実施例では、ハイブリッドカプラ51の二つの出力信号は、整合回路52および53でそれぞれインピーダンス整合された後、トランジスタ54および55のゲートに印加される。トランジスタ54および55の出力は、整合回路52および53でそれぞれインピーダンス整合された後、コンバータ58を構成するトランスの一次側に入力される。これにより、RxとLOの差動成分が正位相の時には、トランスの一次側にRxとLOの差動成分に対応した電流が一方に流れ、負位相の時には、トランスの一次側にRxとLOの差動成分に対応した電流が逆方向に流れる。これに応じて、トランスの一次側にRxとLOの差動成分に対応した直流電圧が発生し、ダウンコンバート信号IFRとして出力される。
【0052】
図9は、ハイブリッドカプラ51の回路構成を示す図である。ハイブリッドカプラ51は、50×2−1/2Ωおよび50Ωのλ/4の線路を図示のように接続することにより実現される。
【0053】
ハイブリッドカプラ27は、発振信号IFを受けて互いに直交する第1中間周波数信号IF(0°)および第2中間周波数信号IF(90°)を生成する。ハイブリッドカプラ27は、図9において、線路長を発振信号IFの波長の1/4とし、RF端子を発振信号IFの入力とし、LO端子を50Ωにて終端すれば、残り二つの端子の一方からIF(0°)を、他方からIF(90°)を取り出すことにより実現できる。
【0054】
第1および第2ミキサ28および29は、ダウンコンバート用ミキサ26の出力するダウンコンバート信号IFRと第1および第2中間周波数信号IF(0°)およびIF(90°)をそれぞれミキシングして第1および第2ベースバンド信号IおよびQを取り出す。
【0055】
図10は、第1および第2ミキサ28および29の回路構成を示す図である。図示のように、第1および第2ミキサ28および29は、ダブルバランス型ミキサであり、ダウンコンバート信号IFRの周波数と、第1中間周波数信号IF(0°)または第2中間周波数信号IF(90°)の周波数との差の周波数をもつベースバンド信号を、差動信号として生成する。
【0056】
図11は、実施例1における短パルス発生器31の出力する高調波が有する位相雑音と、通常の発振器の出力する発振信号の有する位相雑音を比較した図である。低周波帯においては、短パルス発生器31の出力する高調波が有する位相雑音は、発振器の位相雑音に比べて劣っている。しかし、周波数が80GHzを超えるところからこの関係が逆転し、短パルス発生器31の高調波が有する位相雑音の方が、発振器の位相雑音より低くなる。一般に発振器は、発振周波数が上がるほど発振信号電力が下がる傾向にある。80GHz以上では現状のデバイス能力の限界に差し掛かるため、十分な発振信号電力が得られず雑音電力との相対的な比が低下して位相雑音が劣化すると考えられる。一方、パルス発生器はそれ自体発振器ではなく単に高調波を生成する機能を有するだけなので、高調波の位相雑音は周波数に対する依存性が小さい。このため、実施例1では、各送受信装置の雑音電力を低減することが可能となるので、画像データの検出精度を高めることができる。
【0057】
次に、実施例3のイメージング装置について説明する。
【0058】
図12は、実施例3のイメージング装置で使用する送受信装置11の構成を示す図である。実施例3のイメージング装置は、実施例2に類似の構成を有し、各送受信装置11において、短パルス発生器の代わりにダイオード62を使用して高調波を発生すること、およびこの変更に伴い増幅回路などを設けたことが異なる。すなわち、実施例3の送受信装置11は、図3の実施例2の回路において、短パルス発生器31の代わりにダイオード62を設け、および分配器61と、可変利得増幅器63および64と、ローパスフィルタ65と、を加えた構成を有する。
【0059】
分配器61は、発振器21の出力する発振信号IFを発振信号IF0と発振信号IF1に分配する。
【0060】
ダイオード62は、分配器61の出力線とグランドGNDの間に接続される。ダイオードは非線形素子であり、入力電圧に対し出力電流は以下のように指数関数の関係で増大する。
【0061】
【数3】
【0062】
従って、発振信号IF0として正弦波を入力すれば、n乗項の効果により第n倍波が生成される。そこで、実施例3では、例えばInP HEMTのショットキーダイオードを使用し、9GHzの発振信号IF0を入力すれば、9GHz間隔で拡がる高調波を出力する。
【0063】
図13の(A)は、ダイオード62の部分の回路構成を示す図である。ダイオード62は、正電圧Vaの電源線に接続されたインダクタンス素子72とグランドの間に接続される。発振信号IF0が、整合回路71を介して、ダイオード62とインダクタンス素子72の接続ノードに入力される。ダイオード62とインダクタンス素子72の接続ノードに入力される発振信号IF0には、ダイオード62により高調波が重畳される。この高調波が重畳された信号が第1および第2フィルタ24および25に入力される。
【0064】
実施例3では、ダイオード62を使用して高調波を発生したが、ダイオード62の代わりにバイポーラトランジスタや電界効果トランジスタ(FET)を使用することも可能である。図13の(B)はバイポーラトランジスタ81を使用する場合の回路構成を示す。この場合、バイポーラトランジスタ81は、正電圧Vdの電源線に接続されたインダクタンス素子74とグランドの間に接続される。発振信号IF0が、整合回路73を介して、バイポーラトランジスタ81のベースに入力される。
【0065】
また、図13の(C)はFETバイポーラトランジスタ82を使用する場合の回路構成を示す。この場合、FET82は、正電圧Vdの電源線に接続されたインダクタンス素子76とグランドの間に接続される。発振信号IF0が、整合回路75を介して、FET82のゲートに入力される。
【0066】
図12に戻って、実施例2と同様に、ダイオード62の後段に、10倍波のみを抽出する第1フィルタ24と9倍波のみを抽出する第2フィルタ25を配置し、10倍波を第1高周波信号RF、9倍波を第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOとすれば、90GHz帯イメージング装置が実現される。ただし、実施例3では、高調波発生器としてダイオードを使用するため、高調波のスペクトルエネルギーは周波数が高くなるほど大きく減衰する。これに対応するため、第1フィルタ24および第2フィルタ25の後段に電力レベル調整用可変利得増幅器63および64をそれぞれ設け、信号レベルを調整する。
【0067】
更に、ハイブリッドカプラ27の入力部分にローパスフィルタ65を設け、ダイオード62の高調波成分が混入した発振信号IFが、ハイブリッドカプラ27に入力するのを阻止する。実施例3でも、発振信号IFは、10MHzステップで9〜9.1GHzまで掃引される。この構成により、距離30m、分解能15cmで、ターゲットの反射画像を生成できる。
【0068】
図14は、実施例3で使用する電力レベル調整用可変利得増幅器63および64の構成を示す図である。この増幅器は差動増幅器で、第1高周波信号RFまたは第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOに対応する差動入力INおよびINBを増幅して差動出力OUTおよびOUTBを出力し、制御信号VGC1およびVGC2により利得(増幅率)が調整できる。
【0069】
図15は、ローパスフィルタ65の回路構成を示す図である。ローパスフィルタ65は、抵抗と容量を使用した広く知られた構成を有する。
【0070】
図16は、分配器61の回路構成を示す図である。図示のように、分配器61は、50×21/2Ωの湾曲した2本のλ/4波長線路の端部に100Ωの抵抗を接続したもので、100Ωの抵抗の両端から2つの分配出力が得られる。
【0071】
以上説明したように、実施例1〜3では、送受信装置は、信号源として1個の発振器を有するのみでよいため、これまでの送受信装置と比較して信号源の位相雑音に起因する誤差を低減し、検出精度を高めることができる。これは、積分時間の短縮が可能であることを意味するのでイメージ取得速度の高速化が可能になる。更に、発振器およびミキサの個数を削減でき、装置の小型・低コスト化が可能となる。
【0072】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0073】
10 送受信装置アレイ
11 送受信装置
13 スキャン機構
14 送受信ロジック回路
15 A/D変換器
16 画像処理装置
17 ディスプレイ
21 発振器
23 高調波発生器
24 第1フィルタ
25 第2フィルタ
26 ダウンコンバート用ミキサ
27 ハイブリッドカプラ
28 第1ミキサ
29 第2ミキサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、送受信装置およびイメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波・ミリ波・テラヘルツ波を利用したイメージセンサを含むイメージング装置は、有害な放射線被爆を発生すること無しに、非接触で危険物などを検知することができるため、空港、イベント会場などでのセキュリティ検査に実用されている。このような電波を利用したイメージング装置は、可視光センサや赤外線センサと異なり、衣服内などに秘匿された危険物や壁の向こう側にある不審物を検知可能という特徴を有するため、最近では、ブティックなどでの非接触サイズ測定にも利用されている。
【0003】
このようなイメージング装置は、ミリ波ホログラフィックシステムと呼ばれる。ミリ波ホログラフィックシステムは、1次元アレイ状(直線状)に配置した複数の送受信装置を有する。各送受信装置は、周波数を掃引しながら対象物(ターゲット)に対してミリ波電波を照射して、返ってくる反射波の強度と位相を掃引周波数毎に測定する。1次元送受信装置アレイの場合には、アレイを縦あるいは横方向にスキャンし、送受信装置の空間的な位置を変えながら、この測定を繰り返す。
【0004】
この場合のターゲットの反射率f(x、y、z)は次式で表される。
【0005】
【数1】
【0006】
ここで、FT2D(x)はスキャン平面上での2次元フーリエ変換関数、FT3D−1(x)は3次元逆フーリエ関数であり、s(x、y、ω)はスキャン位置(x、y)における掃引(角)周波数ωでの受信電力である。kは空間波数ベクトルを表し、2k2=kx2+ky2+kz2である。このホログラフィックシステムにおいては、掃引周波数ステップΔfとターゲットまでの距離Rmaxの関係はΔf<c/Rmaxと表される。cは空間媒質の電波伝搬速度を示す。このため、掃引周波数ステップΔfが小さい程、遠くの物体を検出することが可能となる。一方、このシステムの検出分解能は、ターゲット面内方向δx≒λcF#/2、距離方向δx≒c/2Bと表される。ここでF#はターゲットと送受信機との距離Rと送受信機のスキャン長との比である。λcは電波の波長を示し、Bは周波数帯域幅を示す。すなわち、スキャン長が大きいほど、周波数帯域幅が広いほど、検出分解能は高くなる。
【0007】
このようなイメージング装置の送受信装置では、送信信号として使用する高周波信号(RF信号)、およびRF信号の反射信号の受信信号からダウンコンバートする時に使用するローカル周波数信号(LO信号)の2つの高周波信号を必要とする。そこで、これまでの送受信装置は、RF信号を発生するRF用発振器およびLO信号を発生するLO用発振器の2個の発振器を有していた。そのため、信号源の位相雑音に起因する位置精度・検出精度の低下が問題となっていた。発振器の位相雑音は周波数が高くなるほど劣化する傾向にあるため、この問題は、特に周波数が90GHzを超えるミリ波・サブテラヘルツ波を使用する場合に顕著となる。以上の理由で、信号源の雑音低減が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−311669号公報
【特許文献2】特開2006−203718号公報
【特許文献3】特表2001−501304号公報
【特許文献4】特表2009−526988号公報
【特許文献5】米国特許第5,455,590号
【特許文献6】米国特許第5,557,283号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】D. Sheen, D. McMakin, and T. E. Hall, “Three-dimensional millimeterwave imaging for concealed weapon detection,” IEEE Trans. MTT, vol.49, no. 9, pp. 1581-1592, 2001.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実施形態は、RF信号およびLO信号を低雑音化して、高精度なイメージ検出を可能にする送受信装置およびそれを使用するイメージング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の第1の態様の送受信装置は、周波数可変の発振信号を発生する発振器と、発振信号から高調波を生成する高調波発生器と、高調波から第1高周波信号を取り出す第1フィルタと、高調波から第2高周波信号を取り出す第2フィルタと、送信した第1高周波信号の反射信号を受信した受信信号を第2高周波信号でダウンコンバートするダウンコンバート用ミキサと、発振信号から互いに直交する第1および第2中間周波数信号を生成するハイブリッドカプラと、ダウンコンバート用ミキサの出力と第1中間周波数信号をミキシングして第1ベースバンド信号を取り出す第1ミキサと、ダウンコンバート用ミキサの出力と第2中間周波数信号をミキシングして第2ベースバンド信号を取り出す第2ミキサと、を含む。
【0012】
また、実施形態の第2の態様のイメージング装置は、複数の送受信機をアレイ状に配置したイメージセンサと、複数の送受信機のそれぞれが、高周波信号を対象物に向けて送信し、対象物で反射された高周波信号を複数の送受信機のそれぞれで受信し、受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、A/D変換器の出力から、高周波信号の対象物での反射画像を生成する画像処理装置と、を含み、複数の送受信機のそれぞれは、周波数可変の発振信号を発生する発振器と、発振信号から高調波を生成する高調波発生器と、高調波から高周波信号を取り出す第1フィルタと、高調波から高周波信号と異なる周波数のローカル高周波信号を取り出す第2フィルタと、受信信号をローカル高周波信号でダウンコンバートするダウンコンバート用ミキサと、発振信号から互いに直交する第1および第2中間周波数信号を生成するハイブリッドカプラと、ダウンコンバート用ミキサの出力と第1中間周波数信号をミキシングして第1ベースバンド信号を取り出す第1ミキサと、ダウンコンバート用ミキサの出力と第2中間周波数信号をミキシングして第2ベースバンド信号を取り出す第2ミキサと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
実施形態によれば、RF信号およびLO信号を低雑音化して、高精度なイメージ検出を可能にする送受信装置およびそれを使用するイメージング装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例1のイメージング装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2は、実施例1の各送受信装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、実施例2の送受信装置の構成を示す図である。
【図4】図4は、短パルス発生器の回路構成およびその一要素であるコア部の回路構成を示す図である。
【図5】図5は、短パルス発生器の動作を示すタイムチャートおよび短パルス発生器の生成する出力パルスの例を示す図である。
【図6】図6は、第1および第2フィルタの回路パターンおよび特性を示す図である。
【図7】図7は、短パルス発生器の発生する高調波信号群と、第1および第2フィルタによる高調波信号群からの信号の抽出処理を説明する図である。
【図8】図8は、ダウンコンバート用ミキサの回路構成を示す図である。
【図9】図9は、ハイブリッドカプラの回路構成を示す図である。
【図10】図10は、第1および第2ミキサの回路構成を示す図である。
【図11】図11は、実施例1における短パルス発生器の出力する高調波が有する位相雑音と、通常の発振器の出力する発振信号の有する位相雑音を比較した図である。
【図12】図12は、実施例3の送受信装置の構成を示す図である。
【図13】図13は、ダイオードの部分の回路構成および変形例の回路構成を示す図である。
【図14】図14は、実施例3で使用する電力レベル調整用可変利得増幅器の構成を示す図である。
【図15】図15は、ローパスフィルタの回路構成を示す図である。
【図16】図16は、分配器の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、実施例1のイメージング装置の概略構成を示す図である。実施例1のイメージング装置は、送受信装置アレイ10と、スキャン機構13と、送受信ロジック回路14と、A/D変換器15と、画像処理装置16と、ディスプレイ17と、を有する。
【0016】
送受信装置アレイ10は、一次元(直線状)に配置した複数の送受信装置11を有する。各送受信装置11は、前方(アレイに垂直な方向)に高周波信号を放射し、前方に位置する対象物で反射された高周波信号を受信する。
【0017】
スキャン機構13は、送受信装置アレイ10を上下方向に移動する。実施例1では、送受信装置アレイ10が水平方向に直線状に配置された複数の送受信装置11を有し、スキャン機構13が送受信装置アレイ10を垂直方向に移動することにより、対象物の2次元画像が生成される。しかし、送受信装置アレイ10を垂直方向に配置し、送受信装置アレイ10を水平方向に移動するスキャン機構13を設けて、対象物の2次元画像が生成されるようにしてもよい。また、送受信装置アレイ10を垂直方向に配置し、対象物の周囲を1周回転するように送受信装置アレイ10を移動するスキャン機構13を設けて、対象物の360度画像が生成されるようにすることも可能である。
【0018】
送受信ロジック回路14は、送受信装置アレイ10が、出力する高周波信号の周波数を掃引するように制御すると共に、送受信装置アレイ10の出力信号の読み出し処理を行う。例えば、送受信ロジック回路14は、送受信装置アレイ10が送信信号の周波数を90GHzから91GHzまで100MHzステップで変化させ、この変化を繰り返すように制御する。
【0019】
A/D変換器15は、送受信ロジック回路14を介して読み出された送受信装置アレイ10の出力信号をデジタル信号に変化する。画像処理装置16は、A/D変換器15の出力するデジタル信号から対象物の画像信号を生成して、ディスプレイ17に表示する。画像処理装置16は、例えば、コンピュータおよびコンピュータソフトウエアにより実現される。
【0020】
送受信ロジック回路14、A/D変換器15、画像処理装置16およびディスプレイ17については、広く知られているのでこれ以上の説明は省略する。
【0021】
図2は、実施例1の各送受信装置11の構成を示す図である。
【0022】
実施例1の送受信装置11は、発振器21と、高調波発生器23と、第1フィルタ24と、第2フィルタ25と、ダウンコンバート用ミキサ26と、ハイブリッドカプラ27と、第1ミキサ28と、第2ミキサ29と、を有する。
【0023】
発振器21は、周波数可変発振器であり、中間周波数(Intermediate Frequency)の発振信号IFを発生する。発振器21は、送受信ロジック回路14の制御に応じて、発振信号IFの周波数を、所定の周波数範囲を所定ステップで変化するように掃引する動作を繰り返す。
【0024】
高調波発生器23は、発振信号IFから、第1高周波信号RFと第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOを含むIF信号の高調波信号群を発生する。
【0025】
第1フィルタ24は、第1高周波信号RFの周波数を含む所定周波数範囲の信号のみを通過させる狭帯域バンドパスフィルタであり、高調波発生器23の出力する高調波から第1高周波信号RFを取り出す。
【0026】
第2フィルタ25は、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOの周波数を含む所定周波数範囲の信号のみを通過させる狭帯域バンドパスフィルタであり、高調波発生器23の出力する高調波から第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOを取り出す。
【0027】
例えば、第1高周波信号RFの周波数の発振信号IFに対する逓倍数をnとすると、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOの周波数の発振信号IFに対する逓倍数をn±1とすることが望ましい。
【0028】
第1フィルタ24の出力する第1高周波信号RFは、ターゲットに向かって送信信号Txとして出力される。送信信号Txはターゲットで反射され、受信信号Rxとして受信され、ダウンコンバート用ミキサ26に入力される。一方、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOは、ダウンコンバート用ミキサ26に入力される。ダウンコンバート用ミキサ26は、第1高周波信号RFと同じ周波数の受信信号Rxと第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOをダウンコンバートする。第1高周波信号RFの周波数の逓倍数はnであり、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOの逓倍数はn±1であるから、ダウンコンバート用ミキサ26の生成するダウンコンバート信号IFRの周波数は、発振信号IFの周波数と同じになる。
【0029】
ハイブリッドカプラ27は、発振信号IFを受けて、互いに直交する第1中間周波数信号IF(0°)および第2中間周波数信号IF(90°)を生成する。
【0030】
第1ミキサ28は、ダウンコンバート用ミキサ26の出力するダウンコンバート信号IFRと第1中間周波数信号IF(0°)をミキシングして第1ベースバンド信号Iを取り出す。
【0031】
第2ミキサ29は、ダウンコンバート用ミキサ26の出力するダウンコンバート信号IFRと第2中間周波数信号IF(90°)をミキシングして第2ベースバンド信号Qを取り出す。第1および第2ベースバンド信号IおよびQから、受信信号Rxの位相情報を検出して、ターゲットの検知およびターゲットまでの距離を測定することができる。
【0032】
以上のようにして生成された第1および第2ベースバンド信号IおよびQは、送受信ロジック回路14を介してA/D変換器15に供給される。そして、前述の数1の式に基づいてターゲットの反射像が生成される。
【0033】
次に、実施例2のイメージング装置について説明する。実施例2のイメージング装置は、図1に示した実施例1と同様の概略構成を有し、各送受信装置11の構成をより具体的にしたものである。
【0034】
図3は、実施例2の送受信装置11の構成を示す図である。
【0035】
実施例2の送受信装置11は、発振器21と、短パルス発生器31と、第1フィルタ24と、第2フィルタ25と、ダウンコンバート用ミキサ26と、ハイブリッドカプラ27と、第1ミキサ28と、第2ミキサ29と、を有する。
【0036】
発振器21は、実施例1と同様に、周波数可変発振器であり、中間周波数(Intermediate Frequency)の発振信号IFを発生する。発振器21は、送受信ロジック回路14の制御に応じて、発生する発振信号IFの周波数を9GHz〜9.1GHzの範囲において10MHzステップで変化させる掃引動作を繰り返す。
【0037】
短パルス発生器31は、発振信号IFから、第1高周波信号RFと第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOを含むIF信号の高調波信号群を発生する。言い換えれば、短パルス発生器31は、高調波発生器23として機能する。
【0038】
図4の(A)は、短パルス発生器31の回路構成を示す図であり、図4の(B)は短パルス発生器31の回路の一要素であるコア部44の回路構成を示す図である。
【0039】
図4の(A)に示すように、短パルス発生器31は、発振信号IFが入力される入力バッファ41と、バッファ41の出力をそれぞれ遅延させ、遅延量が可変の2個の可変遅延回路42および43と、コア部44と、出力バッファ45と、を有する。
【0040】
図4の(B)に示すように、コア部44は、2個の可変遅延回路42および43の出力AおよびBを入力とするNAND回路であり、トランジスタはゲート長75nmのInP HEMTトランジスタである。
【0041】
図5の(A)は、短パルス発生器31の動作を示すタイムチャートであり、2個の可変遅延回路42および43の遅延量に応じて出力パルスPFのパルス幅が変化する。図5の(B)は、20GHzの発振信号IFを入力した時に発生する出力パルスPFの例を示す。図示のように、出力パルスPFは、ピーク電圧が1.1V(負極性のため−1.1V)で、半値幅が3.8psのパルス列である。
【0042】
短パルス発生器31の発生する出力パルスPFは、パルス幅をTWとし、フーリエ変換によりスペクトルに分解すると、次の式で示す信号成分を有する。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、ωIFはIF周波数である。すなわち、パルス幅TWの逆数に相当する周波数まで平坦なスペクトルを有する。そこで、図4の(B)に示すように、InP HEMTトランジスタを用いたコア部を有する短パルス発生器31を使用し、9GHzのIF信号を入力して、5ピコ秒のパルス幅を有するパルス列を生成する。このとき、パルス列は、9GHz間隔で、5ps−1=200GHzまで拡がるスペクトルを有する。
【0045】
第1フィルタ24および第2フィルタ25は、100μm厚で、2.7×2.8mmサイズのアルミナ基板上に形成されたカップリングマイクロストリップ線路で実現される。
【0046】
図6の(A)は第1フィルタ24の回路パターンを、図6の(B)は第1フィルタ24の特性を、図6の(C)は第2フィルタ25の回路パターンを、図6の(D)は第2フィルタ25の特性を、示す。図6の(B)に示すように、第1フィルタ24は、90−91GHzの周波数域の信号を通過させ、それ以外の範囲の信号を減衰する。同様に、図6の(C)に示すように、第2フィルタ25は、81−81.9GHzの周波数域の信号を通過させ、それ以外の範囲の信号を減衰する。
【0047】
図7は、短パルス発生器31の発生する高調波信号群と、第1フィルタ24および第2フィルタ25による高調波信号群からの信号の抽出処理を説明する図である。
【0048】
図7に示すように、短パルス発生器31はパルス幅の狭い短パルスを発生し、それには、発振信号IFの周波数fIFの逓倍の信号が含まれる。そのうちの10倍の周波数10fIF=fRFの信号が第1高周波信号RFであり、9倍の周波数9fIF=fLOの信号が第2高周波信号RFである。第1高周波信号RFは、第1フィルタ24を通過することにより取り出され、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOは、第2フィルタ25を通過することにより取り出される。前述のように、発振器21は、発生する発振信号IFの周波数を9GHz〜9.1GHzの範囲において10MHzステップで変化させる掃引動作を行う。したがって、第1高周波信号RFの周波数は、90GHz〜91GHzの範囲で、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOの周波数は、81GHz〜81.9GHzの範囲で変化する。これにより、90GHz帯イメージング装置が実現され、距離30m、分解能15cmでターゲットの反射画像を生成することができる。
【0049】
図8は、ダウンコンバート用ミキサ26の回路構成を示す図である。
【0050】
ダウンコンバート用ミキサ26は、ハイブリッドカプラ51と、整合回路52、53、56および57と、駆動回路を構成するInP HEMTトランジスタ54および55と、バランス出力をシングル出力に変換するコンバータ58と、を有する。
【0051】
ハイブリッドカプラ51は、90°ハイブリッドカプラであり、トランジスタ55へ入力される受信信号Rxはトランジスタ54への入力に比べ90°遅れる。また、第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOについては、逆にトランジスタ54の側がトランジスタ55より90°遅れる。ミキシングの結果現れる出力信号の位相角は、Rx信号の位相角とLO信号の位相角の差に等しいので、結局トランジスタ54とトランジスタ55の出力は180°の位相差を持つことになる。トランジスタ54とトランジスタ55の出力をコンバータ58により逆相合成すれば、出力を効率的に取り出すことができる。本実施例では、ハイブリッドカプラ51の二つの出力信号は、整合回路52および53でそれぞれインピーダンス整合された後、トランジスタ54および55のゲートに印加される。トランジスタ54および55の出力は、整合回路52および53でそれぞれインピーダンス整合された後、コンバータ58を構成するトランスの一次側に入力される。これにより、RxとLOの差動成分が正位相の時には、トランスの一次側にRxとLOの差動成分に対応した電流が一方に流れ、負位相の時には、トランスの一次側にRxとLOの差動成分に対応した電流が逆方向に流れる。これに応じて、トランスの一次側にRxとLOの差動成分に対応した直流電圧が発生し、ダウンコンバート信号IFRとして出力される。
【0052】
図9は、ハイブリッドカプラ51の回路構成を示す図である。ハイブリッドカプラ51は、50×2−1/2Ωおよび50Ωのλ/4の線路を図示のように接続することにより実現される。
【0053】
ハイブリッドカプラ27は、発振信号IFを受けて互いに直交する第1中間周波数信号IF(0°)および第2中間周波数信号IF(90°)を生成する。ハイブリッドカプラ27は、図9において、線路長を発振信号IFの波長の1/4とし、RF端子を発振信号IFの入力とし、LO端子を50Ωにて終端すれば、残り二つの端子の一方からIF(0°)を、他方からIF(90°)を取り出すことにより実現できる。
【0054】
第1および第2ミキサ28および29は、ダウンコンバート用ミキサ26の出力するダウンコンバート信号IFRと第1および第2中間周波数信号IF(0°)およびIF(90°)をそれぞれミキシングして第1および第2ベースバンド信号IおよびQを取り出す。
【0055】
図10は、第1および第2ミキサ28および29の回路構成を示す図である。図示のように、第1および第2ミキサ28および29は、ダブルバランス型ミキサであり、ダウンコンバート信号IFRの周波数と、第1中間周波数信号IF(0°)または第2中間周波数信号IF(90°)の周波数との差の周波数をもつベースバンド信号を、差動信号として生成する。
【0056】
図11は、実施例1における短パルス発生器31の出力する高調波が有する位相雑音と、通常の発振器の出力する発振信号の有する位相雑音を比較した図である。低周波帯においては、短パルス発生器31の出力する高調波が有する位相雑音は、発振器の位相雑音に比べて劣っている。しかし、周波数が80GHzを超えるところからこの関係が逆転し、短パルス発生器31の高調波が有する位相雑音の方が、発振器の位相雑音より低くなる。一般に発振器は、発振周波数が上がるほど発振信号電力が下がる傾向にある。80GHz以上では現状のデバイス能力の限界に差し掛かるため、十分な発振信号電力が得られず雑音電力との相対的な比が低下して位相雑音が劣化すると考えられる。一方、パルス発生器はそれ自体発振器ではなく単に高調波を生成する機能を有するだけなので、高調波の位相雑音は周波数に対する依存性が小さい。このため、実施例1では、各送受信装置の雑音電力を低減することが可能となるので、画像データの検出精度を高めることができる。
【0057】
次に、実施例3のイメージング装置について説明する。
【0058】
図12は、実施例3のイメージング装置で使用する送受信装置11の構成を示す図である。実施例3のイメージング装置は、実施例2に類似の構成を有し、各送受信装置11において、短パルス発生器の代わりにダイオード62を使用して高調波を発生すること、およびこの変更に伴い増幅回路などを設けたことが異なる。すなわち、実施例3の送受信装置11は、図3の実施例2の回路において、短パルス発生器31の代わりにダイオード62を設け、および分配器61と、可変利得増幅器63および64と、ローパスフィルタ65と、を加えた構成を有する。
【0059】
分配器61は、発振器21の出力する発振信号IFを発振信号IF0と発振信号IF1に分配する。
【0060】
ダイオード62は、分配器61の出力線とグランドGNDの間に接続される。ダイオードは非線形素子であり、入力電圧に対し出力電流は以下のように指数関数の関係で増大する。
【0061】
【数3】
【0062】
従って、発振信号IF0として正弦波を入力すれば、n乗項の効果により第n倍波が生成される。そこで、実施例3では、例えばInP HEMTのショットキーダイオードを使用し、9GHzの発振信号IF0を入力すれば、9GHz間隔で拡がる高調波を出力する。
【0063】
図13の(A)は、ダイオード62の部分の回路構成を示す図である。ダイオード62は、正電圧Vaの電源線に接続されたインダクタンス素子72とグランドの間に接続される。発振信号IF0が、整合回路71を介して、ダイオード62とインダクタンス素子72の接続ノードに入力される。ダイオード62とインダクタンス素子72の接続ノードに入力される発振信号IF0には、ダイオード62により高調波が重畳される。この高調波が重畳された信号が第1および第2フィルタ24および25に入力される。
【0064】
実施例3では、ダイオード62を使用して高調波を発生したが、ダイオード62の代わりにバイポーラトランジスタや電界効果トランジスタ(FET)を使用することも可能である。図13の(B)はバイポーラトランジスタ81を使用する場合の回路構成を示す。この場合、バイポーラトランジスタ81は、正電圧Vdの電源線に接続されたインダクタンス素子74とグランドの間に接続される。発振信号IF0が、整合回路73を介して、バイポーラトランジスタ81のベースに入力される。
【0065】
また、図13の(C)はFETバイポーラトランジスタ82を使用する場合の回路構成を示す。この場合、FET82は、正電圧Vdの電源線に接続されたインダクタンス素子76とグランドの間に接続される。発振信号IF0が、整合回路75を介して、FET82のゲートに入力される。
【0066】
図12に戻って、実施例2と同様に、ダイオード62の後段に、10倍波のみを抽出する第1フィルタ24と9倍波のみを抽出する第2フィルタ25を配置し、10倍波を第1高周波信号RF、9倍波を第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOとすれば、90GHz帯イメージング装置が実現される。ただし、実施例3では、高調波発生器としてダイオードを使用するため、高調波のスペクトルエネルギーは周波数が高くなるほど大きく減衰する。これに対応するため、第1フィルタ24および第2フィルタ25の後段に電力レベル調整用可変利得増幅器63および64をそれぞれ設け、信号レベルを調整する。
【0067】
更に、ハイブリッドカプラ27の入力部分にローパスフィルタ65を設け、ダイオード62の高調波成分が混入した発振信号IFが、ハイブリッドカプラ27に入力するのを阻止する。実施例3でも、発振信号IFは、10MHzステップで9〜9.1GHzまで掃引される。この構成により、距離30m、分解能15cmで、ターゲットの反射画像を生成できる。
【0068】
図14は、実施例3で使用する電力レベル調整用可変利得増幅器63および64の構成を示す図である。この増幅器は差動増幅器で、第1高周波信号RFまたは第2高周波信号(ローカル周波数信号)LOに対応する差動入力INおよびINBを増幅して差動出力OUTおよびOUTBを出力し、制御信号VGC1およびVGC2により利得(増幅率)が調整できる。
【0069】
図15は、ローパスフィルタ65の回路構成を示す図である。ローパスフィルタ65は、抵抗と容量を使用した広く知られた構成を有する。
【0070】
図16は、分配器61の回路構成を示す図である。図示のように、分配器61は、50×21/2Ωの湾曲した2本のλ/4波長線路の端部に100Ωの抵抗を接続したもので、100Ωの抵抗の両端から2つの分配出力が得られる。
【0071】
以上説明したように、実施例1〜3では、送受信装置は、信号源として1個の発振器を有するのみでよいため、これまでの送受信装置と比較して信号源の位相雑音に起因する誤差を低減し、検出精度を高めることができる。これは、積分時間の短縮が可能であることを意味するのでイメージ取得速度の高速化が可能になる。更に、発振器およびミキサの個数を削減でき、装置の小型・低コスト化が可能となる。
【0072】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0073】
10 送受信装置アレイ
11 送受信装置
13 スキャン機構
14 送受信ロジック回路
15 A/D変換器
16 画像処理装置
17 ディスプレイ
21 発振器
23 高調波発生器
24 第1フィルタ
25 第2フィルタ
26 ダウンコンバート用ミキサ
27 ハイブリッドカプラ
28 第1ミキサ
29 第2ミキサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数可変の発振信号を発生する発振器と、
前記発振信号から高調波を生成する高調波発生器と、
前記高調波から第1高周波信号を取り出す第1フィルタと、
前記高調波から第2高周波信号を取り出す第2フィルタと、
送信した前記第1高周波信号の反射信号を受信した受信信号を前記第2高周波信号でダウンコンバートするダウンコンバート用ミキサと、
前記発振信号から互いに直交する第1および第2中間周波数信号を生成するハイブリッドカプラと、
前記ダウンコンバート用ミキサの出力と前記第1中間周波数信号をミキシングして第1ベースバンド信号を取り出す第1ミキサと、
前記ダウンコンバート用ミキサの出力と前記第2中間周波数信号をミキシングして第2ベースバンド信号を取り出す第2ミキサと、を備えることを特徴とする送受信装置。
【請求項2】
前記第1高周波信号の中心周波数は、前記発振信号の周波数のn(nは整数)倍であり、
前記第2高周波信号の中心周波数は、前記発振信号の周波数のn+1倍またはn−1倍である請求項1に記載の送受信装置。
【請求項3】
前記高調波発生器は、パルス発生器である請求項1または2に記載の送受信装置。
【請求項4】
前記第1高周波信号の周波数fRFに対して、前記パルス発生器の発生するパルス幅は、fRF−1である請求項3に記載の送受信装置。
【請求項5】
前記高調波発生器は、ダイオードを含む請求項1または2に記載の送受信装置。
【請求項6】
前記高調波発生器は、バイポーラトランジスタまたは電界効果トランジスタを含む請求項1または2に記載の送受信装置。
【請求項7】
前記発振信号の周波数を掃引するように前記発振器を制御する掃引回路を備える請求項1から6のいずれか1項に記載の送受信装置。
【請求項8】
複数の送受信機をアレイ状に配置したイメージセンサと、
前記複数の送受信機のそれぞれが、高周波信号を対象物に向けて送信し、前記対象物で反射された前記高周波信号を前記複数の送受信機のそれぞれで受信し、受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、
前記A/D変換器の出力から、前記高周波信号の前記対象物での反射画像を生成する画像処理装置と、を備え、
前記複数の送受信機のそれぞれは、
周波数可変の発振信号を発生する発振器と、
前記発振信号から高調波を生成する高調波発生器と、
前記高調波から前記高周波信号を取り出す第1フィルタと、
前記高調波から前記高周波信号と異なる周波数のローカル高周波信号を取り出す第2フィルタと、
前記受信信号を前記ローカル高周波信号でダウンコンバートするダウンコンバート用ミキサと、
前記発振信号から互いに直交する第1および第2中間周波数信号を生成するハイブリッドカプラと、
前記ダウンコンバート用ミキサの出力と前記第1中間周波数信号をミキシングして第1ベースバンド信号を取り出す第1ミキサと、
前記ダウンコンバート用ミキサの出力と前記第2中間周波数信号をミキシングして第2ベースバンド信号を取り出す第2ミキサと、を備えることを特徴とするイメージング装置。
【請求項9】
前記発振信号の周波数を掃引するように前記発振器を制御する掃引回路を備える請求項8に記載のイメージング装置。
【請求項10】
前記イメージセンサは、1次元に配置した複数の送受信機を備え、
前記イメージング装置は、前記イメージセンサを前記複数の送受信機の配置方向と垂直な方向に移動させるスキャン機構を備える請求項8に記載のイメージング装置。
【請求項1】
周波数可変の発振信号を発生する発振器と、
前記発振信号から高調波を生成する高調波発生器と、
前記高調波から第1高周波信号を取り出す第1フィルタと、
前記高調波から第2高周波信号を取り出す第2フィルタと、
送信した前記第1高周波信号の反射信号を受信した受信信号を前記第2高周波信号でダウンコンバートするダウンコンバート用ミキサと、
前記発振信号から互いに直交する第1および第2中間周波数信号を生成するハイブリッドカプラと、
前記ダウンコンバート用ミキサの出力と前記第1中間周波数信号をミキシングして第1ベースバンド信号を取り出す第1ミキサと、
前記ダウンコンバート用ミキサの出力と前記第2中間周波数信号をミキシングして第2ベースバンド信号を取り出す第2ミキサと、を備えることを特徴とする送受信装置。
【請求項2】
前記第1高周波信号の中心周波数は、前記発振信号の周波数のn(nは整数)倍であり、
前記第2高周波信号の中心周波数は、前記発振信号の周波数のn+1倍またはn−1倍である請求項1に記載の送受信装置。
【請求項3】
前記高調波発生器は、パルス発生器である請求項1または2に記載の送受信装置。
【請求項4】
前記第1高周波信号の周波数fRFに対して、前記パルス発生器の発生するパルス幅は、fRF−1である請求項3に記載の送受信装置。
【請求項5】
前記高調波発生器は、ダイオードを含む請求項1または2に記載の送受信装置。
【請求項6】
前記高調波発生器は、バイポーラトランジスタまたは電界効果トランジスタを含む請求項1または2に記載の送受信装置。
【請求項7】
前記発振信号の周波数を掃引するように前記発振器を制御する掃引回路を備える請求項1から6のいずれか1項に記載の送受信装置。
【請求項8】
複数の送受信機をアレイ状に配置したイメージセンサと、
前記複数の送受信機のそれぞれが、高周波信号を対象物に向けて送信し、前記対象物で反射された前記高周波信号を前記複数の送受信機のそれぞれで受信し、受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、
前記A/D変換器の出力から、前記高周波信号の前記対象物での反射画像を生成する画像処理装置と、を備え、
前記複数の送受信機のそれぞれは、
周波数可変の発振信号を発生する発振器と、
前記発振信号から高調波を生成する高調波発生器と、
前記高調波から前記高周波信号を取り出す第1フィルタと、
前記高調波から前記高周波信号と異なる周波数のローカル高周波信号を取り出す第2フィルタと、
前記受信信号を前記ローカル高周波信号でダウンコンバートするダウンコンバート用ミキサと、
前記発振信号から互いに直交する第1および第2中間周波数信号を生成するハイブリッドカプラと、
前記ダウンコンバート用ミキサの出力と前記第1中間周波数信号をミキシングして第1ベースバンド信号を取り出す第1ミキサと、
前記ダウンコンバート用ミキサの出力と前記第2中間周波数信号をミキシングして第2ベースバンド信号を取り出す第2ミキサと、を備えることを特徴とするイメージング装置。
【請求項9】
前記発振信号の周波数を掃引するように前記発振器を制御する掃引回路を備える請求項8に記載のイメージング装置。
【請求項10】
前記イメージセンサは、1次元に配置した複数の送受信機を備え、
前記イメージング装置は、前記イメージセンサを前記複数の送受信機の配置方向と垂直な方向に移動させるスキャン機構を備える請求項8に記載のイメージング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−196900(P2011−196900A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65650(P2010−65650)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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