説明

送水圧力制御システムおよび方法

【課題】インバータポンプと定速ポンプとが混在したシステムでも設定差圧や設定送水圧の変更制御を支障なく実施できるようにする。
【解決手段】制御装置14にインバータ出力の下限設定値変更機能を設ける。制御装置14は、2次ポンプ9の定格回転数での運転時の締切圧をPSHUT、現在のポンプ前後差圧をΔPpv、余裕分をαとし、INVMIN=(ΔPpv/PSHUT1/2+αなる式に従って、インバータポンプ9−1へのインバータ出力の下限値INVMINを算出し、この算出したインバータ出力の下限値INVMINを現在のインバータ出力の下限設定値INVMINspとし、この下限設定値INVMINspを下回らないようにインバータポンプ9−1へのインバータ出力INVを規制する。設定送水圧を使用する場合も同様にして、所定の式に従って、現在のインバータ出力の下限設定値INVMINspを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部負荷への熱源水の送水圧力を制御する送水圧力制御システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11に従来の送水圧力制御ステムの計装図を示す。この送水圧力制御ステムは、送水圧力の変更制御を行わないタイプであり、例えば特許文献1などに類似する技術が示されている。
【0003】
図11において、1は熱源水を生成する熱源機、2は熱源機1が生成する熱源水を搬送する1次ポンプ、3は外部負荷(空調機・ファンコイル等の熱負荷、地域冷暖房の需要家など)、4−1および4−2は熱源機1からの外部負荷3への熱源水の供給路に設けられた第1および第2の往ヘッダ、5は往ヘッダ4−1,4−2を介する外部負荷3への熱源水の往水管路、6は外部負荷3からの熱源水の還水管路、7は還水管路6を介して送られてくる熱源水が戻される還ヘッダ、8は往ヘッダ4−1と還ヘッダ8とを連通させるバイパス管路、12は第1の往ヘッダ4−1と第2の往ヘッダ4−2との間の熱源水の差圧をポンプ前後差圧ΔPpvとして計測する差圧センサ、13は外部負荷3から戻されてくる熱源水の流量を負荷流量QFとして計測する流量計、14は制御装置である。外部負荷3には供給される熱源水の流量を調整するためのバルブ3−1が設けられている。
【0004】
この送水圧力制御システムにおいて、第1の往ヘッダ4−1と第2の往ヘッダ4−2との間には、2次ポンプ9として第1の2次ポンプ9−1と第2の2次ポンプ9−2とが並列に接続されている。また、第1の往ヘッダ4−1と第2の往ヘッダ4−2との間には、この往ヘッダ4−1と4−2との間を連通させるバイパス路L1にバイパス弁10が設けられている。
【0005】
第1の2次ポンプ9−1と第2の2次ポンプ9−2は同一の定格回転数とされ、第1の2次ポンプ9−1にのみ回転数調整用のインバータ11が付設されている。すなわち、第1の2次ポンプ9−1は回転数が調整可能なポンプとされ、第2の2次ポンプ9−2は定格回転数で運転されるポンプとされている。以下、第1の2次ポンプ9−1をインバータポンプと呼び、第2の2次ポンプ9−2を定速ポンプと呼ぶ。
【0006】
この送水圧力制御システムにおいて、1次ポンプ2により圧送された熱源水は、熱源機1により冷却あるいは加熱され、往ヘッダ4−1へ至り、2次ポンプ9(9−1,9−2)によって往ヘッダ4−2へ圧送され、往水管路5を介して外部負荷3へ供給される。そして、外部負荷3において熱交換され、還水管路6を介して還ヘッダ7に戻され、再び1次ポンプ2によって圧送され、以上の経路を循環する。例えば、熱源機1を冷凍機とした場合、熱源水は冷水とされ、上述した経路を循環する。熱源機1を加熱機とした場合、熱源水は温水とされ、上述した経路を循環する。
【0007】
〔運転台数制御〕
制御装置14は、流量計13によって計測される負荷流量QFに応じて定速ポンプ9−2のオン/オフを切り替える。この例では、負荷流量QFが所定値Qthを超えるまでは定速ポンプ9−2をオフとし、インバータポンプ9−1のみの単独運転とする。負荷流量QFが所定値Qthを超えると、定速ポンプ9−2をオンとし、インバータポンプ9−1と定速ポンプ9−2との並列運転とする。
【0008】
〔圧力一定制御〕
制御装置14は、差圧計12によって計測されるポンプ前後差圧ΔPpvを監視し、このポンプ前後差圧ΔPpvを一定とするようにインバータポンプ9−1の回転数およびバイパス弁10の開度を制御する。すなわち、差圧計12によって計測されるポンプ前後差圧ΔPpvと予め設定されている設定差圧ΔPspとを比較し、ΔPpv=ΔPspとなるように、インバータポンプ9−1への回転数制御用のインバータ出力INV(INV=0〜100%)およびバイパス弁10への開度制御用の弁開度出力θ(θ=0〜100%)を調整する。
【0009】
この圧力一定制御において、インバータポンプ9−1へのインバータ出力INVに対しては、下限設定値INVMINが定められている。この下限設定値INVMINは次のような理由から定められる。例えば、インバータポンプ9−1と定速ポンプ9−2との並列運転時、インバータポンプ9−1の回転数を下げすぎると、定速ポンプ9−2は定格回転数で運転されているため、インバータポンプ9−1のポンプ圧力が定速ポンプ9−2のポンプ圧力よりも小さくなり、インバータポンプ9−1から熱源水が流れ出ない締切状態(圧力負けの状態)となって、加熱リスクが生じる。このような加熱リスクが生じないように、インバータポンプ9−1へのインバータ出力INVに対する下限設定値INVMINを高めに設定する。
【0010】
〔インバータポンプ回転数による圧力一定制御:INV≧INVMINの場合〕
制御装置14は、ポンプ前後差圧ΔPpvが上昇すると、ΔPpv=ΔPspとなるように、インバータポンプ9−1へのインバータ出力INVを下げる(インバータポンプ9−1の回転数を下げる)。
【0011】
ここで、制御装置14は、内部で求められるインバータ出力INVが下限設定値INVMIN以上の場合には、バイパス弁10へ0%の弁開度出力θを送って、バイパス弁10を全閉状態とする。これをインバータポンプ回転数による圧力一定制御と呼ぶ(図12に示す領域S1参照)。
【0012】
〔バイパス弁開度による圧力一定制御:INV<INVMINの場合〕
制御装置14は、内部で求められるインバータ出力INVが下限設定値INVMINよりも小さくなる場合には、下限設定値INVMINを下回らないようにインバータポンプ9−1へのインバータ出力INVを規制する。すなわち、インバータポンプ9−1へのインバータ出力INVをINVMINとする。この場合、制御装置14は、ΔPpv=ΔPspとするように、バイパス弁10の開度を制御する。これをバイパス弁開度による圧力一定制御と呼ぶ(図12に示す領域S2参照)。
【0013】
このバイパス弁開度による圧力一定制御では、インバータポンプ9−1へのインバータ出力INVが下限設定値INVMINに規制されるので、インバータポンプ9−1における圧力負けの状態が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭61−180315号公報
【特許文献2】特開平8−261190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述した送水圧力制御システムでは、送水圧力の変更制御を行わないことを前提とし、インバータ出力の下限設定値INVMINを固定値として定めており、設定差圧ΔPspを上げると、下限設定値INVMINで回転数を規制した時のインバータポンプの圧力が加えられる圧力よりも低くなって圧力負けの状態が生じたり、設定差圧ΔPspを下げると、下限設定値INVMINで回転数を規制した時のインバータポンプの圧力が加えられる圧力よりも高くなってバイパス流量が増加し増エネルギーとなったりして、設定差圧ΔPspの変更制御を実施することが難しかった。
【0016】
このため、設定差圧ΔPspの変更制御を実施する場合、2次ポンプの全台をインバータポンプとし、これらインバータポンプの回転数を制御することによって、ポンプ前後差圧ΔPpvを設定差圧ΔPspに一致させるようにしている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、このようなシステムでは、全ての2次ポンプにインバータを設置する必要があり、初期コストが増大して投資対効果が悪化する。
【0017】
なお、上述においては、第1の往ヘッダと第2の往ヘッダとの間の熱源水の差圧をポンプ前後差圧とし、このポンプ前後差圧を設定差圧に一致させるようにした送水圧力制御システムについて説明したが、第2の往ヘッダからの熱源水の送水圧と設定送水圧とを一致させるようにした送水圧力制御システムにおいても同様の問題が生じる。
【0018】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、2次ポンプの全台をインバータポンプとすることなく、インバータポンプと定速ポンプとが混在したシステムでも、設定差圧や設定送水圧の変更制御を支障なく実施することが可能な送水圧制御システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このような目的を達成するために本発明は、熱源水を生成する熱源機と、この熱源機が生成する熱源水を搬送する1次ポンプと、熱源機からの熱源水の外部負荷への供給路に設けられた第1および第2の往ヘッダと、回転数が調整可能なポンプを第1の2次ポンプ(インバータポンプ)、定格回転数で運転されるポンプを第2の2次ポンプ(定速ポンプ)とし、この第1の2次ポンプと第2の2次ポンプとを混在させて第1の往ヘッダと第2の往ヘッダとの間に並列に接続された定格回転数が同一の複数の2次ポンプと、第1の往ヘッダと第2の往ヘッダとを連通させるバイパス路に設けられたバイパス弁と、第1の往ヘッダと第2の往ヘッダとの間の熱源水の差圧をポンプ前後差圧とし、このポンプ前後差圧と設定差圧とが一致するように、第1の2次ポンプへの回転数制御用のインバータ出力およびバイパス弁への開度制御用の弁開度出力を調整する制御手段とを備えた送水圧力制御システムにおいて、制御手段に、2次ポンプを定格回転数で回転させた時の流量零時の揚程を定格時の締切圧とし、この定格時の締切圧と現在のポンプ前後差圧とから第1の2次ポンプへのインバータ出力の下限値を算出するインバータ出力下限値算出手段と、このインバータ出力下限値算出手段によって算出されたインバータ出力の下限値を現在のインバータ出力の下限設定値とし、この下限設定値を下回らないように第1の2次ポンプへのインバータ出力を規制するインバータ出力規制手段とを設けたものである。
【0020】
この発明において、インバータポンプへのインバータ出力の下限値は、定格時の締切圧(2次ポンプを定格回転数で回転させた時の流量零時の揚程)と現在のポンプ前後差圧とから算出される。例えば、一例として、定格時の締切圧をPSHUT、現在のポンプ前後差圧をΔPpv、余裕分をαとした場合、インバータ出力の下限値INVMINをINVMIN=(ΔPpv/PSHUT1/2+αとして算出することが考えられる。なお、本発明において、2次ポンプの定格回転数は、商用の電源で運転するものとした場合、50Hzでの定格回転数と60Hzでの定格回転数とがあり、その電源の種類によって異なるものである。
【0021】
本発明では、このようにして算出したインバータ出力の下限値を現在のインバータ出力の下限設定値とし、この下限設定値を下回らないようにインバータポンプへのインバータ出力を規制する。例えば、設定差圧が上げられ、これに追随してポンプ前後差圧が上昇すれば、この上昇したポンプ前後差圧に応じたインバータ出力の下限値が算出され、この算出されたインバータ出力の下限値がインバータ出力の下限設定値とされ、この下限設定値を下回らないようにインバータポンプへのインバータ出力が規制される。また、設定差圧が下げられ、これに追随してポンプ前後差圧が下降すれば、この下降したポンプ前後差圧に応じたインバータ出力の下限値が算出され、この算出されたインバータ出力の下限値がインバータ出力の下限設定値とされ、この下限設定値を下回らないようにインバータポンプへのインバータ出力が規制される。
【0022】
このようにして、本発明では、設定差圧が変更された場合、その設定差圧の変更に追随して変化するポンプ前後差圧に応じて、インバータ出力の下限設定値が自動的に変更される。このインバータ出力の下限設定値の自動変更によって、設定差圧が変更されても、圧力負けの状態が生じたり、増エネルギーとなったりすることなく、設定差圧の変更制御を支障なく実施することが可能となる。
【0023】
本発明において、設定差圧は、手動によって変更されるようにしてもよいし、自動で変更されるようにしてもよい。例えば、外部負荷から戻されてくる熱源水の流量を負荷流量として計測し、この計測された負荷流量に基づいて設定差圧を決定するようにする。この場合、負荷流量に応じて、設定差圧が自動的に変更される。
【0024】
なお、本発明の変形例として、定格時の締切圧と現在のポンプ前後差圧とからではなく、定格時の締切圧と現在の設定差圧とからインバータポンプへのインバータ出力の下限値を算出するようにしてもよい。例えば、一例として、定格時の締切圧をPSHUT、現在の設定差圧をΔPsp、余裕分をαとした場合、インバータ出力の下限値INVMINをINVMIN=(ΔPsp/PSHUT1/2+αとして算出することが考えられる。
【0025】
また、本発明の変形例として、ポンプ前後差圧に代えて第2の往ヘッダからの熱源水の送水圧を使用し、設定差圧に代えて設定送水圧を使用するようにしてもよい。この場合、制御手段は、第2の往ヘッダからの熱源水の送水圧と設定送水圧とが一致するように、インバータポンプへの回転数制御用のインバータ出力およびバイパス弁への開度制御用の弁開度出力を調整する。また、2次ポンプを定格回転数で回転させた時の流量零時の揚程を定格時の締切圧とし、この定格時の締切圧と現在の送水圧(或いは現在の設定送水圧)とからインバータ出力の下限値を算出する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、2次ポンプを定格回転数で回転させた時の流量零時の揚程を定格時の締切圧とし、この定格時の締切圧と現在のポンプ前後差圧(或いは現在の設定差圧)とからインバータポンプへのインバータ出力の下限値を算出し、この算出したインバータ出力の下限値を現在のインバータ出力の下限設定値とし、この下限設定値を下回らないようにインバータポンプへのインバータ出力を規制するようにしたので、設定差圧が変更されても、圧力負けの状態が生じたり、増エネルギーとなったりすることなく、インバータポンプと定速ポンプとが混在したシステムでも、支障なく設定差圧の変更制御を実施することが可能となる。
【0027】
また、本発明によれば、ポンプ前後差圧に代えて第2の往ヘッダからの熱源水の送水圧を使用し、設定差圧に代えて設定送水圧を使用することにより、ポンプ前後差圧や設定差圧を使用する場合と同様にして、設定送水圧が変更されても、圧力負けの状態が生じたり、増エネルギーとなったりすることなく、インバータポンプと定速ポンプとが混在したシステムでも、設定送水圧の変更制御を支障なく実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施の形態を示す送水圧力制御システム(ポンプ前後差圧と設定差圧とを一致させるようにした送水圧力制御システム)の計装図である。
【図2】この送水圧力制御システムにおける制御装置の要部の機能ブロック図である。
【図3】この制御装置における圧力一定制御時の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】この制御装置における運転台数制御時の処理動作を示すフローチャートである。
【図5】負荷流量に応じて設定差圧を決定するようにした場合の制御装置の要部の機能ブロック図である。
【図6】この制御装置における圧力一定制御時の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】インバータポンプのみの単独運転時およびインバータポンプと定速ポンプとの並列運転時の流量と圧力との関係(Q−H特性)を示す図である。
【図8】本発明の他の実施の形態を示す送水圧力制御システム(送水圧と設定送水圧とを一致させるようにした送水圧力制御システム)の計装図である。
【図9】この送水圧力制御システムの制御装置における圧力一定制御時の処理動作を示すフローチャートである。
【図10】この送水圧力制御システムの制御装置における負荷流量に応じて設定送水圧を決定するようにした場合の圧力一定制御時の処理動作を示すフローチャートである。
【図11】従来の送水圧力制御システムの計装図である。
【図12】この送水圧力制御システムにおける圧力一定制御(インバータポンプ回転数による圧力一定制御およびバイパス弁開度による圧力一定制御)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施の形態に基づき詳細に説明する。図1はこの発明の一実施の形態を示す送水圧力制御システムの計装図である。同図において、図11と同一符号は図11を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0030】
この実施の形態において、従来の送水圧力制御システムと異なる点は、制御装置14が有する機能にある。制御装置14は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、本実施の形態特有の機能として、インバータ出力の下限設定値変更機能を有している。図2にこのインバータ出力の下限設定値変更機能を含む制御装置14の要部の機能ブロック図を示す。
【0031】
制御装置14は、2次ポンプ9(9−1,9−2)を定格回転数で回転させた時の流量零時の揚程を定格時の締切圧PSHUTとして記憶させた定格時締切圧記憶部(メモリ)14Aと、この定格時締切圧記憶部14Aに記憶されている定格時の締切圧PSHUTと現在のポンプ前後差圧ΔPpv(ΔPpvnow)とからインバータポンプ9−1へのインバータ出力の下限値INVMIN(INVMINnow)を算出するインバータ出力下限値算出部14Bと、現在のポンプ前後差圧ΔPpv(ΔPpvnow)と現在の設定差圧ΔPsp(ΔPspnow)とからΔPpvnow=ΔPspnowとなるようなインバータポンプ9−1へのインバータ出力INV(INV=0〜100%)を求めるインバータ出力算出部14Cとを備えている。
【0032】
また、制御装置14は、インバータ出力下限値算出部14Bによって算出されたインバータ出力の下限値INVMINnowを現在のインバータ出力の下限設定値INVMINspとし、この下限設定値INVMINspを下回らないようにインバータ出力算出部14Cからのインバータポンプ9−1へのインバータ出力INVを規制するインバータ出力規制部14Dと、現在のポンプ前後差圧ΔPpvnowと現在の設定差圧ΔPspnowとからΔPpvnow=ΔPspnowとなるようなバイパス弁10への弁開度出力θ(θ=0〜100%)を算出する弁開度出力算出部14Eと、流量計13によって計測される負荷流量QFに基づいて定速ポンプ9−2のオン/オフを切り替える運転台数切替部14Fとを備えている。なお、弁開度出力算出部14Eは、通常は弁開度出力θとしてθ=0を出力し、インバータ出力規制部14Dがインバータポンプ9−1へのインバータ出力INVを規制した場合にのみ弁開度出力θの算出を行う。
【0033】
インバータ出力下限値算出部14Bでのインバータ出力の下限値INVMIN(%)の算出には下記の(1)式を使用する。なお、この(1)式において、αは余裕分であり、所定の値として予め定められている。
INVMIN=(ΔPpv/PSHUT1/2+α ・・・・(1)
【0034】
上記(1)式は、PSHUT(定格時の締切圧):ΔPsp(設定差圧)=1:(INVMIN/100)2の関係にあることに着目し、ΔPsp=PSHUT×(INVMIN/100)2、(INVMIN/100)2=(ΔPsp/PSHUT)、INVMIN=(ΔPsp/PSHUT1/2として式を展開し、ΔPspをΔPpvに置き換え、INVMIN=(ΔPpv/PSHUT1/2とし、これに余裕分αを加え、INVMIN=(ΔPpv/PSHUT1/2+αとして導き出したものである。なお、ΔPspをΔPpvに置き換えることにより、すなわちΔPspに追随して変化するΔPpvを用いることにより、実際の状況に適したINVMINを得ることが可能となる。
【0035】
次に、図3および図4に示すフローチャートを参照しながら、制御装置14における本実施の形態特有の処理動作について説明する。なお、この例において、設定差圧ΔPspは、運用中に手動で設定変更されるものとする。
【0036】
制御装置14において、インバータ出力下限値算出部14Bは、差圧センサ12が計測するポンプ前後差圧ΔPpvを現在のポンプ前後差圧ΔPpvnowとして取り込み(図3:ステップS102)、この取り込んだポンプ前後差圧ΔPpvnowと定格時締切圧記憶部14Aに記憶されている定格時の締切圧PSHUTとから上記の(1)式を用いてインバータ出力の下限値INVMINnowを算出し(ステップS103)、この算出したインバータ出力の下限値INVMINnowを現在のインバータ出力の下限設定値INVMINspとしてインバータ出力規制部14Dへ送る(ステップS104)。
【0037】
インバータ出力算出部14Cは、設定差圧ΔPspを現在の設定差圧ΔPspnowとして取り込み(ステップS101)、この取り込んだ現在の設定差圧ΔPspnowと現在のポンプ前後差圧ΔPpvnowとからΔPpvnow=ΔPspnowとなるようなインバータ出力INVを求め(ステップS105)、インバータ出力規制部14Dへ送る。
【0038】
インバータ出力規制部14Dは、インバータ出力算出部14Cからのインバータ出力INVとインバータ出力下限値算出部14Bからのインバータ出力の下限設定値INVMINspとを比較する(ステップS106)。
【0039】
ここで、INV≧INVMINspであれば(ステップS106のYES)、インバータ出力規制部14Dは、インバータ出力算出部14Cからのインバータ出力INVをそのままインバータポンプ9−1へのインバータ出力INVとして出力する(ステップS110)。この際、弁開度出力算出部14Eは、インバータ出力規制部14Dがインバータポンプ9−1へのインバータ出力INVを規制していないので、弁開度出力θをθ=0とし(ステップS107)、この弁開度出力θ=0をバイパス弁10への弁開度出力θとして出力する(ステップS110)。
【0040】
これに対し、INV<INVMINspであれば(ステップS106のNO)、インバータ出力規制部14Dは、インバータ出力算出部14Cからのインバータ出力INVをインバータ出力下限値算出部14Bからのインバータ出力の下限設定値INVMINspで規制し(ステップS108)、この規制したインバータ出力INV(INV=INVMINsp)をインバータポンプ9−1へのインバータ出力INVとして出力する(ステップS110)。この際、弁開度出力算出部14Eは、インバータ出力規制部14Dがインバータポンプ9−1へのインバータ出力INVを規制しているので、現在の設定差圧ΔPspnowと現在のポンプ前後差圧ΔPpvnowとからΔPpvnow=ΔPspnowとなるような弁開度出力θを算出し、この算出した弁開度出力θをバイパス弁10への弁開度出力θとして出力する(ステップS110)。
【0041】
一方、運転台数切替部14Fは、流量計13によって計測される負荷流量QFを監視し(図4:ステップS201)、この負荷流量QFが所定値Qthを超えるまでは(ステップS202のNO )、定速ポンプ9−2をオフとし(ステップS203)、負荷流量QFが所定値Qthを超えると(ステップS202のYES)、定速ポンプ9−2をオンとする(ステップS204)。これにより、負荷流量QFが所定値Qthを超えるまでは、インバータポンプ9−1のみの単独運転とされ、負荷流量QFが所定値Qthを超えると、インバータポンプ9−1と定速ポンプ9−2との並列運転とされる。
【0042】
〔設定差圧ΔPspが変更された場合〕
制御装置14は、上述したステップS101〜S110の処理動作およびステップS201〜S204の処理動作を定周期で繰り返している。ここで、設定差圧ΔPspが変更され、これに追随してポンプ前後差圧ΔPpvが変化すると、インバータ出力下限値算出部14Bは、この変化したポンプ前後差圧ΔPpvを現在のポンプ前後差圧ΔPpvnowとして取り込み(ステップS102)、この取り込んだポンプ前後差圧ΔPpvnowと定格時締切圧記憶部14Aに記憶されている定格時の締切圧PSHUTとから前記の(1)式を用いてインバータ出力の下限値INVMINnowを算出し(ステップS103)、この算出したインバータ出力の下限値INVMINnowを現在のインバータ出力の下限設定値INVMINspとしてインバータ出力規制部14Dへ送る(ステップS104)。
【0043】
ここで、設定差圧ΔPspが上昇方向へ変更され、これに追随してポンプ前後差圧ΔPpvnowが上昇すると、(1)式に従う計算によって、インバータ出力規制部14Dへのインバータ出力の下限設定値INVMINspが大きくなる。設定差圧ΔPspが下降方向へ変更され、これに追随してポンプ前後差圧ΔPpvnowが下降すると、(1)式に従う計算によって、インバータ出力規制部14Dへのインバータ出力の下限設定値INVMINspが小さくなる。
【0044】
インバータ出力規制部14Dは、インバータ出力算出部14Cからのインバータ出力INVとインバータ出力下限値算出部14Bからの変更されたインバータ出力の下限設定値INVMINspとを比較し、INV≧INVMINspであれば(ステップS106のYES)、インバータ出力算出部14Cからのインバータ出力INVをそのままインバータポンプ9−1へのインバータ出力INVとして出力し(ステップS110)、INV<INVMINspであれば(ステップS106のNO)、インバータ出力下限値算出部14Bからのインバータ出力の下限設定値INVMINspで規制したインバータ出力INV(INV=INVMINsp)をインバータポンプ9−1へのインバータ出力INVとして出力する(ステップS110)。
【0045】
この場合、変更されたインバータ出力の下限設定値INVMINspは、(1)式に従う計算によって、現在のポンプ前後差圧ΔPpvnow(変更された設定差圧ΔPsp)に適したINVMINspとして計算されているので、この下限設定値INVMINspでのインバータ出力INVの規制中、インバータポンプ9−1の圧力がその時に加えられる圧力よりも低くなることはなく、圧力負けの状態が生じることはない。また、下限設定値INVMINspは、インバータポンプ9−1の締切状態となる直前のインバータ出力として設定されるので、増エネルギーとなったりすることもない。
【0046】
なお、上述した実施の形態では、設定差圧ΔPspを運用中に手動で設定変更するものとしたが、設定差圧ΔPspが自動的に変更されるものとしてもよい。例えば、その一例として、図5に示すように、制御装置14に設定差圧決定部14Gを設け、計測される負荷流量QFに応じて設定差圧ΔPspを決定するようにすることが考えられる。この場合、負荷流量QFが減少すれば設定差圧ΔPspを下げ、負荷流量QFが増大すれば設定差圧ΔPspを上げるようにする。
【0047】
図6に負荷流量QFに応じて設定差圧ΔPspを変更するようにした場合の図3に対応するフローチャートを示す。このフローチャートにおいて、ステップS300では計測された負荷流量QFを取り込み、ステップS301では取り込んだ負荷流量QFに応ずる設定差圧ΔPspを現在の設定差圧ΔPspnowとして設定する。そして、ステップS102〜S110に対応するステップS302〜S310の処理を実行する。このようにすることによって、負荷流量QFが少ない場合には、すなわち外部負荷3におけるバルブ6−1が絞られている場合(末端差圧が高い場合)には、インバータポンプ9−1の回転数を下げるようにして、省エネルギーを図ることが可能となる。このような制御を負荷流量による送水圧可変制御と呼ぶ。
【0048】
図7(a)にインバータポンプ9−1のみの単独運転時の流量と圧力との関係(Q−H特性)を示す。図7(a)において、特性Iは設定差圧ΔPspと流量との関係を示し、特性IIはインバータ出力INVを100%とした時のポンプ圧力と流量との関係(定速運転時Q−H特性)を示し、特性IIIは流量零時の設定差圧ΔPspでインバータ出力INVを下限設定値INVspで規制した時のポンプ圧と流量との関係(締切状態Q−H特性)を示す。この場合、負荷流量の増大に伴い設定差圧ΔPspが上昇し、この設定差圧ΔPspに追随してポンプ前後差圧ΔPpvが上昇すると、前記の(1)式に従う計算によって、インバータ出力の下限設定値INVspが上げられて行く。
【0049】
図7(b)にインバータポンプ9−1と定速ポンプ9−2との並列運転時の流量と圧力との関係(Q−H特性)を示す。図7(b)において、特性Iは設定差圧ΔPspと流量との関係を示し、特性IVはインバータ出力INVを100%とした時のポンプ圧力と流量との関係(定速運転時Q−H特性)を示し、特性Vは定速ポンプ9−2のみで確保される設定差圧ΔPspでインバータ出力INVを下限設定値INVspで規制した時のポンプ圧と流量との関係(締切状態Q−H特性)を示す。この場合、負荷流量の増大に伴い設定差圧ΔPspが上昇し、この設定差圧ΔPspに追随してポンプ前後差圧ΔPpvが上昇すると、前記の(1)式に従う計算によって、インバータ出力の下限設定値INVspが上げられて行く。
【0050】
設定差圧ΔPspを自動的に変更する例として、外部負荷3の入口側と出口側の差圧を末端差圧として実際に計測し、この計測した末端差圧に応じて設定差圧ΔPspを変更することも考えられる。この場合、末端差圧の計測値が上がれば設定差圧ΔPspを下げ、末端差圧の計測値が下がれば設定差圧ΔPspを上げるようにする。また、例えば、外部負荷3が複数あるような場合、これら外部負荷3におけるバルブ3−1の開度を監視するようにし、このバルブ3−1の開度の中に100%開度のものがあれば、設定差圧ΔPspを上げるようにすることも考えられる。
【0051】
また、上述した実施の形態では、インバータ出力の下限値INVMINの算出に際して、現在のポンプ前後差圧ΔPpvを使用するようにしたが、現在の設定差圧ΔPspを使用するようにしてもよい。この場合、前記の(1)式に代えて、下記の(2)式を使用するようにする。
INVMIN=(ΔPsp/PSHUT1/2+α ・・・・(2)
【0052】
また、上述した実施の形態では、第1の往ヘッダ4−1と第2の往ヘッダ4−2との間の熱源水の差圧をポンプ前後差圧ΔPpvとして計測し、このポンプ前後差圧ΔPpvを設定差圧ΔPspに一致させるようにしたシステムについて説明したが、外部負荷3への熱源水の送水圧を計測し、この送水圧を設定送水圧に一致させるようにしたシステムにおいても同様の方式を採用することができる。
【0053】
この場合、図8に示すように、第2の往ヘッダ4−2からの熱源水の送水圧PSpvを圧力センサ15によって計測し、この計測した送水圧PSpvを制御装置14へ送るようにする。制御装置14では、圧力センサ15からの送水圧PSpvと設定送水圧PSspとを比較し、PSpv=PSspとなるように、インバータポンプ9−1へのインバータ出力INVおよびバイパス弁10への弁開度出力θを調整する。
【0054】
この際、制御装置14において、設定送水圧PSspを現在の設定送水圧PSspnowとして取り込み(図9:ステップS401)、圧力センサ15が計測する送水圧PSpvを現在の送水ΔPSpvnowとして取り込み(ステップS402)、この取り込んだ送水圧PSpvnowと定格時締切圧記憶部14Aに記憶されている定格時の締切圧PSHUTとから下記の(3)式を用いてインバータ出力の下限値INVMINnowを算出する(ステップS403)。
【0055】
INVMIN=((PSpv−Pback)/PSHUT1/2+α ・・・・(3)
なお、この(3)式において、Pbackはポンプの背圧(往ヘッダ4−1における熱源水の圧力)を示し、この背圧Pbackは予め所定値として設定しておく。
【0056】
そして、この算出したインバータ出力の下限値INVMINnowを現在の送水圧PSpvnowでのインバータ出力の下限設定値INVMINspとする(ステップS404)。以下、図3に示したフローチャートにおけるステップS104〜S110と同様にして、ステップS404〜S410の処理を実行する。
【0057】
このシステムにおいても、ポンプ前後差圧を一定に制御するシステムと同様、設定送水圧PSspは手動で変更されるものであってもよいし、自動的に変更させるものであってもよい。設定送水圧PSspを負荷流量QFに応じて変更するようにした場合の図6に対応するフローチャートを図10に示す。
【0058】
また、このシステムにおいて、インバータ出力の下限値INVMINの算出に際して、現在の送水圧PSpvに代えて、現在の設定送水圧PSspを使用するようにしてもよい。この場合、上記の(3)式に代えて、下記の(4)式を使用するようにする。
INVMIN=((PSsp−Pback)/PSHUT1/2+α ・・・・(4)
【0059】
また、上述した実施の形態では、説明を簡単とするために、2次ポンプ9をインバータポンプ9−1と定速ポンプ9−2の2台としたが、インバータポンプ9−1と定速ポンプ9−2とを混在させたシステムであればよく、その台数は1台ずつに限られるものではない。例えば、インバータポンプ9−1を1台とし、定速ポンプ9−2を複数台としたシステムであってもよい。また、インバータポンプ9−1を複数台としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の送水圧力制御システムおよび方法は、空調機・ファンコイル等の熱負荷、地域冷暖房の需要家などを外部負荷とする冷暖房システムなど、様々な分野で利用することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…熱源機、2…1次ポンプ、3…外部負荷、3−1…バルブ、4−1…第1の往ヘッダ、4−2…第2の往ヘッダ、5…往水管路、6…還水管路、7…還ヘッダ、8…バイパス管路、9…2次ポンプ、9−1…第1の2次ポンプ(インバータポンプ)、9−2…第2の2次ポンプ(定速ポンプ)、10…バイパス弁、L1…バイパス路、11…インバータ、12…差圧センサ、13…流量計、14…制御装置、14A…定格時締切圧記憶部、14B…インバータ出力下限値算出部、14C…インバータ出力算出部、14D…インバータ出力規制部、14E…弁開度出力算出部、14F…運転台数制御部、14G…設定差圧決定部、15…圧力センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源水を生成する熱源機と、
この熱源機が生成する熱源水を搬送する1次ポンプと、
前記熱源機からの熱源水の外部負荷への供給路に設けられた第1および第2の往ヘッダと、
回転数が調整可能なポンプを第1の2次ポンプ、定格回転数で運転されるポンプを第2の2次ポンプとし、この第1の2次ポンプと第2の2次ポンプとを混在させて前記第1の往ヘッダと第2の往ヘッダとの間に並列に接続された定格回転数が同一の複数の2次ポンプと、
前記第1の往ヘッダと第2の往ヘッダとを連通させるバイパス路に設けられたバイパス弁と、
前記第1の往ヘッダと第2の往ヘッダとの間の熱源水の差圧をポンプ前後差圧とし、このポンプ前後差圧と設定差圧とが一致するように、前記第1の2次ポンプへの回転数制御用のインバータ出力および前記バイパス弁への開度制御用の弁開度出力を調整する制御手段とを備えた送水圧力制御システムにおいて、
前記制御手段は、
前記2次ポンプを定格回転数で回転させた時の流量零時の揚程を定格時の締切圧とし、この定格時の締切圧と現在の前記ポンプ前後差圧とから前記第1の2次ポンプへのインバータ出力の下限値を算出するインバータ出力下限値算出手段と、
このインバータ出力下限値算出手段によって算出されたインバータ出力の下限値を現在のインバータ出力の下限設定値とし、この下限設定値を下回らないように前記第1の2次ポンプへのインバータ出力を規制するインバータ出力規制手段と
を備えることを特徴とする送水圧力制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載された送水圧力制御システムにおいて、
前記設定差圧を変更する設定差圧変更手段
を備えることを特徴とする送水圧力制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載された送水圧力制御システムにおいて、
前記外部負荷から戻されてくる熱源水の流量を負荷流量として計測する負荷流量計測手段と、
前記計測された負荷流量に基づいて前記設定差圧を決定する設定差圧決定手段と
を備える送水圧力制御システム。
【請求項4】
請求項1−3の何れか1項に記載された送水圧力制御システムにおいて、
前記インバータ出力下限値算出手段に代えて、
前記第1の2次ポンプを定格回転数で回転させた時の流量零時の揚程を定格時の締切圧とし、この定格時の締切圧と現在の前記設定差圧とから前記第1の2次ポンプへのインバータ出力の下限値を算出する手段
を備えることを特徴とする送水圧力制御システム。
【請求項5】
請求項1−4の何れか1項に記載された送水圧力制御システムにおいて、
前記制御手段は、
前記ポンプ前後差圧に代えて前記第2の往ヘッダからの熱源水の送水圧を使用し、
前記設定差圧に代えて設定送水圧を使用する
ことを特徴とする送水圧力制御システム。
【請求項6】
熱源水を生成する熱源機と、この熱源機が生成する熱源水を搬送する1次ポンプと、前記熱源機からの熱源水の外部負荷への供給路に設けられた第1および第2の往ヘッダと、回転数が調整可能なポンプを第1の2次ポンプ、定格回転数で運転されるポンプを第2の2次ポンプとし、この第1の2次ポンプと第2の2次ポンプとを混在させて前記第1の往ヘッダと第2の往ヘッダとの間に並列に接続された定格回転数が同一の複数の2次ポンプと、前記第1の往ヘッダと第2の往ヘッダとを連通させるバイパス路に設けられたバイパス弁と、前記第1の往ヘッダと第2の往ヘッダとの間の熱源水の差圧をポンプ前後差圧とし、このポンプ前後差圧と設定差圧とが一致するように、前記第1の2次ポンプへの回転数制御用のインバータ出力および前記バイパス弁への開度制御用の弁開度出力を調整する送水圧力制御方法において、
前記2次ポンプを定格回転数で回転させた時の流量零時の揚程を定格時の締切圧とし、この定格時の締切圧と現在の前記ポンプ前後差圧とから前記第1の2次ポンプへのインバータ出力の下限値を算出するステップと、
前記算出されたインバータ出力の下限値を現在のインバータ出力の下限設定値とし、この下限設定値を下回らないように前記第1の2次ポンプへのインバータ出力を規制するステップと
を備えることを特徴とする送水圧力制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載された送水圧力制御方法において、
前記設定差圧を変更するステップ
を備えることを特徴とする送水圧力制御方法。
【請求項8】
請求項6に記載された送水圧力制御方法において、
前記外部負荷から戻されてくる熱源水の流量を負荷流量として計測するステップと、
前記計測された負荷流量に基づいて前記設定差圧を決定するステップと
を備える送水圧力制御方法。
【請求項9】
請求項6−8の何れか1項に記載された送水圧力制御方法において、
前記インバータ出力の下限値を算出するステップに代えて、
前記第1の2次ポンプを定格回転数で回転させた時の流量零時の揚程を定格時の締切圧とし、この定格時の締切圧と現在の前記設定差圧とから前記第1の2次ポンプへのインバータ出力の下限値を算出するステップ
を備えることを特徴とする送水圧力制御方法。
【請求項10】
請求項6−9の何れか1項に記載された送水圧力制御方法において、
前記ポンプ前後差圧に代えて前記第2の往ヘッダからの熱源水の送水圧を使用し、
前記設定差圧に代えて設定送水圧を使用する
ことを特徴とする送水圧力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−112277(P2011−112277A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268461(P2009−268461)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】