説明

送液装置及び送液方法

【課題】 少ない試料でも長い反応時間を得ることができる送液装置を提供する。
【解決手段】 送液機構40は、液体を送液するポンプ53や、液体の送液方向を切り替える第1切替弁54、第2切替弁55などを有している。これらの各部は、配管60〜66によって接続される。第2切替弁55の内部には、屈曲した2つの管路が設けられており、配管62と配管63とを流通させるとともに配管65と配管66とを流通させる第1位置と、配管63と配管65とを流通させるとともに配管62と配管66とを流通させる第2位置との間で移動する。第2切替弁55を第1位置にして、第1切替弁54で選択された液体を配管63内に送り込んだ後、第2切替弁55を第2位置にする。これにより、各配管と流路とによって閉塞したループが形成される。このループ内でリガンド溶液21を循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の反応を検出するセンサ面を有するセンサユニットに、試料溶液を送液する送液装置と、その送液方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質やDNAなどの生化学物質間における相互作用の測定や、薬品のスクリーニングなどを行う際に、全反射減衰を利用して試料の反応を測定する測定装置が知られている。
【0003】
このような全反射減衰を利用した測定装置の1つに、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)現象を利用した測定装置(以下、SPR測定装置と称す)がある。なお、表面プラズモンとは、金属中の自由電子が集団的に振動することによって生じ、その金属の表面に沿って進む自由電子の粗密波である。
【0004】
例えば、特許文献1などで知られるKretschmann配置を採用したSPR測定装置では、透明な誘電体(以下、プリズムと称す)上に形成された金属膜の表面をセンサ面として、このセンサ面上で試料を反応させた後、プリズムを介してセンサ面の裏面側から全反射条件を満たすように金属膜を照射し、その反射光を測定している。
【0005】
全反射条件を満たすように金属膜に照射された光のうち、エバネッセント波と呼ばれるわずかな光は、反射せずに金属膜内を透過してセンサ面側に染み出す。この際、エバネッセント波の振動数と表面プラズモンの振動数とが一致するとSPRが発生し、反射光の強度を大きく減衰させる。SPR測定装置は、この反射光の減衰を捉えることにより、センサ面上の試料の反応状況を測定する。
【0006】
タンパク質やDNAなどの生体試料は、乾燥による変性や失活を防ぐため、生理的食塩水や純水、または各種のバッファ液などの溶媒に溶かされた試料溶液として扱われることが多い。特許文献1記載のSPR測定装置は、こうした生体試料の相互作用などを調べるものであり、センサ面の上には試料溶液を送液するための流路が設けられる。また、センサ面にはリガンドとなる試料を固定させるためのリンカー膜が設けられており、流路にリガンド溶液を注入してリンカー膜にリガンドを固定(固定工程)させた後、アナライト溶液を注入してリガンドとアナライトとを接触(測定工程)させることにより、その相互作用を調べている。
【0007】
また、特許文献1記載のSPR測定装置には、装置本体にプリズムと流路とが配置された測定ステージが設けられており、ガラス基板上に金属膜を形成したチップ型のセンサユニットを測定ステージに装着することで、前述の固定や測定が行われる。
【特許文献1】特許第3294605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載のSPR測定装置では、リガンドやアナライトを結合させる際に、これらの試料溶液を連続的に流路に送り込んでおり、流路から排出された試料溶液は、回収用のタンクなどに送られてしまう。そのため、試料溶液とリンカー膜とが接触する反応時間を長く確保しようとすればするほど、多量の試料溶液を用意しなければならなかった。試料溶液の増加は、すなわちそれに含まれる試料の増加に直結してしまうが、リガンドやアナライトとなる生体試料は非常に高価であるため、より少ない試料で長い反応時間を得たいという要望が強かった。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、少ない試料でも長い反応時間を得ることができる送液装置と、その送液方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の送液装置、及び送液方法は、2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検出するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、一方の前記出入口から注入されて前記流路を通過した後、他方の前記出入口から排出された前記試料溶液を再び前記流路へ注入する循環用配管と、この循環用配管と接続され、前記試料溶液が保管された容器から前記循環用配管に前記試料溶液を供給する供給用配管と、この供給用配管から前記循環用配管への供給経路を開閉する供給経路開閉手段と、圧力を加えて前記試料溶液を前記循環用配管内で循環させるポンプとを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記循環用配管と接続され、前記循環用配管に供給された前記試料溶液を外部に排出する排出用配管と、前記循環用配管から前記排出用配管への排出経路を開閉する排出経路開閉手段とを設けてもよい。
【0012】
さらに、液体の種類毎に前記容器を複数設け、前記各容器と前記供給用配管とを接続する複数の経路を選択的に開いて、前記供給用配管に送られる前記液体の種類を切り替える切替手段を設けるようにしてもよい。
【0013】
なお、前記液体には、前記試料溶液の前後に送液されるバッファ液を含めることが好ましい。
【0014】
また、前記試料溶液が保管される容器と一方の前記出入口とを接続する供給用配管と、前記試料溶液に圧力を加えて、前記供給用配管から前記流路へ前記試料溶液を注入するとともに、注入された試料溶液を前記センサ面上で往復動させるポンプとからなる構成としてもよい。
【0015】
この際、前記供給用配管から前記流路へ送られる送液量に基づいて、前記流路へ注入された前記試料溶液が前記センサ面に到達したことを検知する検知手段を設けることが好ましい。
【0016】
さらには、前記試料溶液が保管される容器と一方の前記出入口とを接続する供給用配管と、前記試料溶液に圧力を加えて、前記供給用配管から前記流路へ前記試料溶液を注入するポンプと、このポンプの駆動を制御するポンプ制御手段とを備え、前記試料溶液が前記センサ面に到達した後、前記ポンプ制御手段によって前記ポンプを停止させて、前記試料溶液を前記センサ面上で滞留させるようにしてもよい。
【0017】
この際、連続して前記供給用配管に送られる異なる種類の前記液体を分離する気体を、前記供給用配管に送り込む吸気用配管と接続されるとともに、この吸気用配管から前記供給用配管への吸気経路を開閉可能にする切替手段を設けることが好ましい。
【0018】
また、これらの送液装置、及び送液方法を、2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検知するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記センサ面の裏面から全反射条件を満足するように光を照射して、前記センサ面における前記試料の反応状況を、前記裏面からの反射光を受光して測定する全反射減衰を利用した測定装置に用いるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の送液装置、及び送液方法によれば、一方の出入口から注入されて流路を通過した後、他方の出入口から排出された試料溶液を再び流路へ注入する循環用配管を設け、試料溶液を、この循環用配管内で循環させるようにしたので、循環用配管を満たす以上の試料溶液を用意する必要がなくなり、少ない試料でも長い反応時間を得ることができる。
【0020】
また、循環による方法のみならず、試料溶液がセンサ面上に到達した際に、試料溶液をセンサ面上で往復動させたり、送液を停止して試料溶液をセンサ面上に滞留させることによっても同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1に示すように、SPRを利用した測定方法は、大きく分けて、固定工程と、測定工程(データ読み取り工程)と、データ解析工程との3つの工程からなる。SPR測定装置は、固定工程及び測定工程を行う測定機11と、測定機11によって得られたデータを解析するデータ解析機からなる。
【0022】
測定には、チップ型のSPRセンサであるセンサユニット12が用いられる。このセンサユニット12は、測定機11の測定ステージ15にセットされる。センサユニット12は、センサ本体となるチップ型のセンサ(以下、センサチップという)18をケース24に収容したものである。センサチップ18は、誘電体となる略平板状のガラス基板19上に薄膜として金属膜13を形成したものであり、金属膜13の上面がSPRが発生するセンサ面13aとなり、ガラス基板19と接する下面が光入射面13bとなる。金属膜13としては、例えば、金や銀が使用され、その膜厚は、例えば、50nmである。この膜厚は、金属膜の素材、照射される光の発光波長などに応じて適宜選択される。また、金属膜13は、例えば、蒸着によって形成される。
【0023】
測定ステージ15には、センサ面13aと対向する位置に配置される流路16が形成された流路部材20が配置されており、他方、光入射面13bと対向する位置にプリズム14が配置されている。測定ステージ15において、センサユニット12は、流路部材20とプリズム14とによって上下から挟み込まれる。
【0024】
図2に示すように、ケース24は、センサ面13aを露呈する開口28が形成された上ケース24aと、光入射面13bを露呈する開口29が形成された下ケース24bとからなる。センサチップ18は、これらの上下の各ケース24a,24bによって挟持される形態で収容される。下ケース24bの上面には、開口29の周囲が凹部となっており、センサチップ18の下半分が嵌め込まれる。上ケース24aの下面にも、開口28の周囲に凹部が形成されており、ここに上半分が嵌め込まれる。これにより、センサチップ18の収容位置が位置決めされる。センサチップ18は、このケース24に収容された状態で取り扱われる。
【0025】
流路部材20は、流路16と開口28とが対向する位置で、上ケース24aの上面と圧接する。流路16の底部は開放されており、流路部材20がセンサユニット12に圧接すると、前記底部がセンサ面13a及び開口28の内壁面によって覆われて密閉される。これにより、流路16,開口28の内壁及びセンサ面13aによってセンサセル17が構成され、流路16を通じてセンサ面13aへ送液することが可能となる。流路部材20の上面には、流路16の注入口(出入口)16aと排出口(出入口)16bとが形成されており、それぞれに送液用の配管64、65が接続されている。流路16へのリガンドやアナライトの注入及び排出は、これらの配管64、65を介して行われる。
【0026】
プリズム14の上面は、下ケース24bの開口29内へ進入してガラス基板19の底面に圧接されて接合する。なお、図示しないが、プリズム14の上面には、ガラス基板19との屈折率マッチングをとるための光学面平滑剤、例えば、ゲルやオイルが塗られている。センサユニット12を測定ステージ15にセットすると、この光学面平滑剤がプリズム14とガラス基板19との間に挟み込まれ、これらの間に生じる微細なエアギャップを充填する。プリズム14の下方には、照明部32と検出器33からなる測定部31が配置されている。プリズム14は、全反射条件を満たすように照射部32から光入射面13bに向けて照射された光を集光する。プリズム14によって集光された光は、ガラス基板19を介して光入射面13bに入射される。このプリズム14の形状は、例えば、三角柱型(図2参照)をしている。なお、プリズム14の形状は三角柱型に限らず、光入射面に全反射条件を満たすように光を入射させ得るものであれば、半球型、かまぼこ型(断面が半円)、ピラミッド型など他の形状としてもよい。
【0027】
測定部31は、照明部32と検出器33からなる。上述したとおり、リガンドとアナライトの反応状況は、共鳴角(光入射面に対して照射された光の入射角)の変化として顕れるので、照明部32は、全反射条件を満足する様々な入射角の光を光入射面13bに対して照射する。照明部32は、例えば、光源と、集光レンズ、拡散板、偏光板を含む光学系とからなり、配置位置および設置角度は、照明光の入射角が、上記全反射条件を満足するように調整される。
【0028】
光源34としては、例えば、LED(Light Emitting Diode),LD(Laser Diode),SLD(Super Luminescent Diode)などの発光素子が使用される。拡散板は、光源34からの光を拡散して、発光面内の光量ムラを抑える。偏光板は、照射光のうち、SPRを生じさせるp偏光のみを通過させる。なお、LDを使用する場合など、光源が発する光線自体の偏光の向きが揃っている場合には、偏光板は不要である。また、偏光が揃っている光源を使用した場合でも、拡散板を通過することにより、偏光の向きが不揃いになってしまう場合には、偏光板を使用して偏光の向きが揃えられる。こうして拡散および偏光された光は、集光レンズによって集光されてプリズム14に照射される。これにより、光強度にバラツキがなく様々な入射角を持つ光線を光入射面13bに入射させることができる。
【0029】
検出器33は、光入射面13bで反射する光を受光して、その光強度を検出する。光入射面13bには、様々な角度で光線が入射するので、光入射面13bでは、それらの光線が、それぞれの入射角に応じて様々な反射角で反射する。アナライトとリガンドの反応状況に応じて共鳴角が変化すると、光強度が減衰する反射角も変化する。検出器33は、例えば、CCDエリアセンサが使用され、この反射角の変化を、受光面内における反射光の減衰位置の推移として捉える。検出器33は、こうして得た、反応状況を表す測定データを、データ解析機に出力する。データ解析工程では、測定機11で得た測定データを解析して、アナライトの特性を分析する。
【0030】
固定工程は、センサ面13aにリガンドを固定する工程であり、測定工程に先立って行われる。固定工程では、配管64を通じて、流路16へリガンドを溶媒に溶かしたリガンド溶液21が注入される。センサ面13aのほぼ中央部には、リガンドと結合するリンカー膜22が形成されている。このリンカー膜22は、センサユニット12の製造段階において予め形成される。リンカー膜22は、リガンドを固定するための固定基となるので、固定するリガンドの種類に応じて適宜選択される。
【0031】
リガンド溶液21を注入するリガンド固定化処理を行う前に、前処理として、まず、リンカー膜22に対して、固定用バッファ液を送液してリンカー膜22を湿らせた後、リンカー膜22へリガンドが結合しやすくするためにリンカー膜22の活性化処理が施される。例えば、アミンカップリング法では、リンカー膜22としてカルボキシメチルデキストランが使用され、リガンド内のアミノ基をこのデキストランに直接共有結合させる。この場合の活性化液としては、N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)とN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)との混合液が使用される。この活性化処理の後、固定用バッファ液によって流路16が洗浄される。
【0032】
固定用バッファ液や、リガンド溶液21の溶媒(希釈液)としては、例えば、各種のバッファ液(緩衝液)の他、生理的食塩水に代表される生理的塩類溶液や、純水が使用される。これらの各液の種類、pH値、混合物の種類及びその濃度等は、リガンドの種類に応じて適宜決められる。例えば、リガンドとして生体物質を使用する場合には、pHを中性付近に調整した生理的食塩水が使用される場合が多い。しかし、上記アミンカップリング法では、リンカー膜22は、カルボキシメチルデキストランにより負(マイナス)に帯電するので、このリンカー膜22と結合しやすいようにタンパク質を陽(プラス)に帯電させるため、生理的とはいえない高濃度のリン酸塩を含む緩衝作用の強いリン酸緩衝溶液(PBS:phosphatic−buffered,saline)などが使用される場合もある。
【0033】
こうした活性化処理及び洗浄が行われた後、センサセル17へリガンド溶液21が注入されてリガンド固定化処理が行われる。リガンド溶液21がセンサセル17へ注入されると、溶液中で拡散しているリガンド21aがリンカー膜22に接触して結合する。こうしてセンサ面13aにリガンド21aが固定される。なお、リガンド溶液21や固定用バッファ液は、各液体毎に予め決められた所定時間、連続的に送液が行われる。
【0034】
センサ面13aへのリガンド21aの固定化が完了すると、前記センサセル17からリガンド溶液21が排出される。固定化が完了したセンサ面13aは、センサセル17へ洗浄液が注入されて洗浄処理が行われる。この洗浄後、必要に応じて、ブロッキング液を流路16へ注入して、リンカー膜22のうち、リガンドが結合しなかった反応基を失活させるブロッキング処理が行われる。ブロッキング液としては、例えば、エタノールアミン−ヒドロクロライドが使用される。このブロッキング処理の後、再びセンサセル17が洗浄される。
【0035】
リガンドの固定が終了すると、測定工程が行われる。測定工程では、まず、センサセル17へ測定用バッファ液が注入され、所定時間連続的に送液された後、アナライトを溶媒に溶かしたアナライト溶液27を注入し、所定時間連続的に送液される。この後、再び測定用バッファ液が注入され、所定時間連続的に送液される。なお、最初に測定用バッファ液を注入する前に、一度センサセル17の洗浄を行ってもよい。データの読み取りは、基準となる信号レベルを検出するために、最初に測定用バッファ液を注入した直後から開始され、アナライト溶液27の注入後、再び測定用バッファ液が注入されて、その送液が終了するまでの間行われる。これにより、基準レベルの検出、アナライトとリガンドの反応状況(結合状況)、測定用バッファ液の注入による結合したアナライトとリガンドの脱離までの信号を測定することができる。
【0036】
また、図示しないが、リンカー膜22上には、リガンドが固定されアナライトとリガンドとの反応が生じる反応領域(act)と、リガンドが固定されず、前記反応領域の信号測定に際しての参照信号を得るためのリファレンス領域(ref)とが形成される。このリファレンス領域は、上述したリンカー膜22を製膜する際に形成される。形成方法としては、例えば、リンカー膜22に対して表面処理を施して、リンカー膜22の半分程度の領域について、リガンドと結合する結合基を失活させる。これにより、リンカー膜22の半分が反応領域となり、残りの半分がリファレンス領域となる。
【0037】
これら各領域のact信号とref信号は、基準レベルの検出から結合反応を経て脱離に至るまで、同時に計測される。データ解析は、こうして得られたact信号とref信号の差や比を求めて行われる。データ解析機は、act信号とref信号との差分データを求め、この差分データを測定データとし、これに基づいて解析を行う。こうすることで、センサユニットや各センサセルの個体差や、装置の機械的な変動や、液体の温度変化など、外乱に起因するノイズをキャンセルすることが可能となり、S/N比の良好な信号が得られる。
【0038】
なお、この例では、1つの流路内にact領域とref領域の2つの領域を設けた例で説明したが、1つのセンサセルの同一金属膜上に少なくとも2つの流路を設け、一方の流路に対応するセンサ面にリガンドを固定したact領域を設定し、他方の流路に対応するセンサ面にリガンドを固定しないref領域を設定し、各領域の信号を検出するようにしてもよい。この場合の各流路は、一端が直列に接続されて、全体として略U字形を形成する。こうすることで、各流路に同じ液体を流すことができる。
【0039】
測定用バッファ液や、アナライト溶液27の溶媒(希釈液)としては、例えば、各種のバッファ液(緩衝液)の他、生理的食塩水に代表される生理的塩類溶液や、純水が使用される。これらの各液の種類、pH値、混合物の種類及びその濃度等は、リガンドの種類に応じて適宜決められる。例えば、アナライトを溶けやすくするために、生理的食塩水にDMSO(ジメチル−スルホ−オキシド)を含ませてもよい。このDMSOは、信号レベルに大きく影響する。上述したとおり測定用バッファ液は基準レベルの検出に用いられるので、アナライトの溶媒中にDMSOが含まれる場合には、そのDMSO濃度と同程度のDMSO濃度を持つ測定用バッファ液を使用することが好ましい。
【0040】
なお、アナライト溶液27は、長期間(例えば、1年)保管されることも多く、そうした場合には、経時変化によって、初期のDMSO濃度と測定時のDMSO濃度との間に濃度差が生じてしまう場合がある。厳密な測定を行う必要がある場合には、こうした濃度差をアナライト溶液27を注入したときのref信号レベルから推定し、測定データに対して補正(DMSO濃度補正)が行われる。このDMSO濃度補正のための補正データは、アナライト溶液27を注入する前に、DMSO濃度が異なる複数種類の測定用バッファ液をセンサセル17に注入して、このときのDMSO濃度変化に応じた、ref信号レベルとact信号レベルのそれぞれの変化量を調べることにより求められる。
【0041】
図3は、測定機11の構成を概略的に示す説明図である。測定機11は、センサユニット12の測定を行う測定ステージ15と、この測定ステージ15に設けられた流路部材20の流路16に各種の液体を送液する送液機構(送液装置)40と、これらの各部を統括的に制御するコントローラ42とから構成されている。測定ステージ15には、プリズム14と流路部材20とを連動させて、センサユニット12のセットを可能にする退避位置(図中二点鎖線で示す)と、セットされたセンサユニット12を挟持して測定を可能にする測定位置(図中実線で示す)との間で移動させる移動機構44が接続されている。この移動機構44は、コントローラ42に接続され、コントローラ42からの指示に基づいて、プリズム14と流路部材20とを各位置に移動させる。
【0042】
送液機構40には、リガンド溶液21を保管する試料用タンク(容器)50と、固定用バッファ液51を保管するバッファ用タンク(容器)52と、これらの液体を送液するポンプ53と、各液体の送液方向の切り替えを行う第1切替弁(切替手段)54、及び第2切替弁(供給経路開閉手段、排出経路開閉手段)55と、各液体を流路16に注入した後、外部に排出される液体を受ける廃液タンク56とが設けられており、これらの各部は、配管60〜66によって接続される。なお、各配管60〜66は、金属やプラスチックなどで成形されたリジットなパイプでもよいし、ゴムチューブなどであってもよい。但し、流路部材20に接続される配管64、65は、流路部材20の退避位置と測定位置との間の移動を許容できるように、弾性のある材料が用いられているか、伸縮自在な構造が採用されている。また、各配管60〜66の内壁面には、試料溶液中に溶解した試料の吸着を防止するため、非特異吸着の少ない材料を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、非晶質ポリオレフィンエラストマーや、ポリプロピレンなどの晶質ポリオレフィンが知られている。
【0043】
ポンプ53は、各配管60〜66内に圧力を加えてリガンド溶液21、及び固定用バッファ液51を矢線Aで示す方向に送液し、これらの液体を流路16に注入するとともに、流路16に注入された各液体を廃液タンク56に排出する。このポンプ53としては、例えば、プランジャーポンプや遠心ポンプなどの一般的な送液用のポンプを用いればよい。また、ポンプ53は、ポンプドライバ45を介してコントローラ42に接続され、このコントローラ42によって駆動、及び停止が制御される。
【0044】
第1切替弁54は、3つの供給口と、1つの吐出口とを有している。吐出口側は、配管62によって第2切替弁55と接続されている。供給口側は、配管60によって試料用タンク50と接続されるとともに、配管61によってバッファ用タンク52と接続され、リガンド溶液21、及び固定用バッファ液51の吸引を可能にしている。配管62の部分断面に示すように、リガンド溶液21や固定用バッファ液51などといった異なる液体を連続して送液する際には、その間が、空気57によって分離(いわゆる、エアセパレート)され、両者の混合が防止される。第1切替弁54の残りの供給口には、この空気57を配管62に送り込むための吸気用配管67が接続されている。
【0045】
第1切替弁54の各供給口と各配管60、61、67との接合部には、吐出口側の配管62との流通を開閉するためのコック54a、54b、54cが、それぞれ設けられている。各コック54a、54b、54cの開閉動作は、互いに連動し、各配管60、61、67のいずれか一つのみが吐出側の配管62と流通するように作動する。これにより、第1切替弁54は、リガンド溶液21、固定用バッファ液51、及び空気57のいずれか一つを選択的に流路16に送り込む。また、第1切替弁54は、バルブドライバ46を介してコントローラ42に接続され、このコントローラ42によって各コック54a、54b、54cの開閉動作が制御される。
【0046】
第2切替弁55には、第1切替弁54と通ずる配管62と、ポンプ53と通ずる配管63と、流路16の排出口16bと通ずる配管65と、廃液タンク56と通ずる配管66とが接続されている。図4に示すように、第2切替弁55の内部には、90°屈曲した2つの管路55a、55bが設けられている。これらの管路55a、55bは、回転軸55cを中心に90°回転して、図4(a)に示す第1位置と、図4(b)に示す第2位置との間で移動する。また、第2切替弁55も、バルブドライバ46を介してコントローラ42に接続されており、このコントローラ42によって各管路55a、55bの位置が制御される。
【0047】
各管路55a、55bが第1位置にある第2切替弁55は、管路55aによって配管62と配管63とを流通させるとともに、管路55bによって配管65と配管66とを流通させる。これにより、ポンプ53の圧力が第1切替弁54側に伝わり、第1切替弁54によって選択された液体、又は空気が流路16に注入されるとともに、流路16に注入された液体、又は空気が、廃液タンク56に排出される。すなわち、配管62と管路55aとを通って配管63に至る経路が請求項記載の供給経路に相当し、配管65と管路55bとを通って配管66に至る経路が請求項記載の排出経路に相当する。
【0048】
一方、各管路55a、55bが第2位置にある第2切替弁55は、管路55aによって配管63と配管65とを流通させるとともに、管路55bによって配管62と配管66とを流通させる。これにより、供給用配管としての配管62や排出用配管としての配管66との流通が阻止され、配管63、64、65、及び流路16と管路55aとによって閉塞したループ(循環用配管)が形成される。このループ内に閉じ込められた液体や空気は、第2切替弁55が再び第1位置に切り替えられるまで、ポンプ53の圧力によりループ内を循環する。
【0049】
図3における送液機構40は、固定工程時の形態を示している。固定工程が終了し、測定工程に移行する際には、図5に示すように、リガンド溶液21を保管した試料用タンク50が、アナライト溶液27を保管した別の試料用タンク70に交換され、固定用バッファ液51を保管したバッファ用タンク52が、測定用バッファ液71を保管した別のバッファ用タンク72に交換される。
【0050】
また、前述のように、固定工程の際には、リガンド溶液21や固定用バッファ液51の他に、流路16の洗浄液やリンカー膜22の活性化液、及びブロッキング液なども流路16に注入される。これらの液体を送液する際も、別タンクへの交換が行われる。
【0051】
次に、図6及び図7に示すフローチャートを参照しながら、上記構成による測定機11の作用について説明する。センサユニット12のリンカー膜22にリガンドを固定させる際には、まず、配管60と配管61とに、それぞれリガンド溶液21を保管した試料用タンク50と、固定用バッファ液51を保管したバッファ用タンク52とがセット(図3参照)される。この後、移動機構44を駆動してプリズム14と流路部材20とを退避位置に移動させ、測定ステージ15にセンサユニット12をセットする。センサユニット12は、再び移動機構44を駆動することで、測定位置に移動するプリズム14と流路部材20とによって挟持固定されるとともに、センサ面13aと光入射面13bとがこれらに接触して、測定が可能な状態になる。
【0052】
オペレータから固定開始指示が入力されると、コントローラ42は、第2切替弁55の各管路55a、55bが第1位置にあることを確認した後、ポンプドライバ45を介してポンプ53を駆動する。ポンプ53を駆動させたコントローラ42は、第1切替弁54のコック54bを開栓して、固定用バッファ液51の送液を開始する。
【0053】
コントローラ42は、例えば、図示せぬ流量計の測定結果や、ポンプ53の送液速度及び送液時間などを基にして固定用バッファ液51の送液量を判断し、配管63、64、65、及び流路16と管路55aとによって形成されるループを満たすに充分な量の固定用バッファ液51を送液したと判断した後、第2切替弁55の各管路55a、55bを第2位置に切り替え、固定用バッファ液51をループ内で所定時間循環させる。固定用バッファ液51は、リンカー膜22を洗浄するとともに、この表面を、固定化に最も適したpH値にする。
【0054】
ループ内を循環する時間は、液体の種類毎に予め決められており、コントローラ42は、固定用バッファ液51に応じた所定時間が経過したことを判断した後、第2切替弁55の各管路55a、55bを第1位置に切り替え、固定用バッファ液51の排出を行う。また、これと同時にコック54aを開栓し、リガンド溶液21の送液を開始する。なお、固定用バッファ液51とリガンド溶液21との間には、空気57が注入され、両者の混合が防止される。
【0055】
リガンド溶液21は、上述と同様の手順でループ内を循環し、リンカー膜22にリガンドを結合させた後、廃液タンク56に排出される。リガンド溶液21の後には、さらに洗浄用の固定用バッファ液51が送液される。この固定用バッファ液51の循環、及び排出が行われることで、固定工程が終了する。
【0056】
測定工程に移行する際には、試料用タンク50とバッファ用タンク52とが、アナライト溶液27を保管した試料用タンク70と測定用バッファ液71を保管したバッファ用タンク72とに交換(図5参照)される。各タンク70、72を交換した後、オペレータから測定開始指示が入力されると、照明部32が光入射面13bに向けて光を照射し、その反射光を検出器33が受光して、測定部31によるデータ読み取りが開始される。
【0057】
測定工程では、固定時と同様の送液手順で、基準レベルを検出するための測定用バッファ液71と、アナライト溶液27と、アナライトとリガンドとの解離反応を検出するための測定用バッファ液71とが順に送液される。測定部31は、各液体が送液されている間中データ読み取りを行っており、基準信号と反応信号と解離信号とを取得して停止され、測定工程が終了する。
【0058】
このように本実施形態の測定機11によれば、センサユニット12のリンカー膜22にリガンド溶液21やアナライト溶液27を送液する際に、配管63、64、65、及び流路16と管路55aとによって形成されるループで、これらの試料溶液を循環させるようにしたので、ループ内を満たす以上の試料溶液を用意する必要がなくなり、少ない試料でも長い反応時間を得ることができる。
【0059】
なお、上記実施形態では、固定工程から測定工程に移行する際に、固定用の各タンク50、52から測定用の各タンク70、72に交換するようにしているが、これに限ることなく、例えば、保管された液体自体を移し替えるようにしてもよい。さらには、第1切替弁54と同様の切替弁などを用いて、固定及び測定に必要となる全ての液体を選択的に切り替えらるようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、切替手段として第1切替弁54を用いているが、これに限ることなく、例えば、3軸に移動自在なピペットを各タンク50、52などに浸漬させて吸引することにより、送液する液体を選択するようにしてもよい。
【0061】
さらに、上記実施形態では、供給経路開閉手段と排出経路開閉手段とを、一つの第2切替弁55で構成しているが、これらは当然、独立したものであってよい。第1切替弁54や第2切替弁55は、図示のものに限ることなく、周知の弁機構などを組み合わせて構成すればよい。
【0062】
なお、上記実施形態では、リガンド溶液21を循環させる構成としているが、図8に示すような構成としてもよい。なお、図3と同様の機能を有するものには、同符号を付し、詳細な説明を省略する。また、固定工程及び測定工程ともに、送液手順は同じであるから、以下においては、固定工程を例に送液にかかる手順のみを説明する。
【0063】
図8に示す測定機11では、第1切替弁54の吐出口に流路16の注入口16a(注入口16aと排出口16bとの位置は、図3と反対である)に通ずる配管80が接続されている。排出口16bには、ポンプ53に通ずる配管81が接続され、ポンプ53と廃液タンク56とが配管82によって接続されている。ポンプ53を駆動すると、第1切替弁54によって選択された液体、又は空気57の送液が開始される。送液される液体や空気57は、直線状に形成された配管80、流路16、配管81、82を介して廃液タンク56に排出される。
【0064】
図9のフローチャートに示すように、測定ステージ15にセンサユニット12がセットされ、オペレータから固定開始指示が入力されると、コントローラ42は、ポンプドライバ45を介してポンプ53を駆動するとともに、第1切替弁54のコック54bを開栓して、固定用バッファ液51の送液を開始する。所定量の固定用バッファ液51が送液されると、コントローラ42は、コック54cを開栓してエアセパレート用の空気57を注入し、続いてコック54aを開栓してリガンド溶液21の送液を開始する。コントローラ42は、所定量のリガンド溶液21を送液した後、再び空気57を注入して、固定用バッファ液51の送液を始める。
【0065】
コントローラ42は、送液速度と送液時間とによるポンプ53の送液量から、空気57に挟まれた状態で送液されるリガンド溶液21が、リンカー膜22に到達したことを検知すると、ポンプ53の送液方向を切り替え、リガンド溶液21を流路16内で往復動させる。すなわち、コントローラ42とポンプドライバ45とによって、請求項記載の検知手段が構成される。検知手段としては、この他に流量計などを用いるようにしてもよい。
【0066】
コントローラ42は、固定化に必要な所定の時間リガンド溶液21を往復動させた後、ポンプ53による往復動を止めて、各液体を廃液タンク56に排出する。
【0067】
このように、リガンド溶液21を流路16内で往復動させることによっても、リガンド溶液21とリンカー膜22との接触時間を増やすことができるので、循環させた際と同様に、少ない試料で長い反応時間を得ることができる。また、本例におけるリガンド溶液21の送液量は、図10(a)に示すように、往復動させた際にリンカー膜22の上を通過する程度であることが好ましく、循環させる例よりもさらに試料を減らすことができる。
【0068】
さらには、図11のフローチャートに示すように、リガンド溶液21がリンカー膜22に到達したことを検知してポンプ53を停止させ、リガンド溶液21をリンカー膜22上で滞留させるようにしてもよい。これによれば、図10(b)に示すように、リンカー膜22の面積に対応する分のリガンド溶液21を送液すればよいが、往復動などでリガンド溶液21を攪拌させた方が、滞留した状態よりもリンカー膜22との結合が促進されることが知られている。
【0069】
なお、上記実施形態では、全反射減衰を利用した測定装置の一例として、SPR測定装置を示したが、全反射減衰を利用した測定装置としては、この他に、例えば、漏洩モードセンサが知られている。漏洩モードセンサは、誘電体と、この上に順に層設されたクラッド層と光導波層とによって構成された薄膜とからなり、この薄膜の一方の面がセンサ面となり、他方の面が光入射面となる。光入射面に全反射条件を満たすように光を入射させると、その一部が前記クラッド層を透過して前記光導波層に取り込まれる。そして、この光導波層において、導波モードが励起されると、前記光入射面における反射光が大きく減衰する。導波モードが励起される入射角は、SPRの共鳴角と同様に、センサ面上の媒質の屈折率に応じて変化する。この反射角の減衰を検出することにより、前記センサ面上の化学反応が測定される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】SPR測定方法の説明図である。
【図2】センサユニットの構成図である。
【図3】固定工程時の測定機の構成を概略的に示す説明図である。
【図4】第2切替弁の内部構造を概略的に示す説明図である。
【図5】測定工程時の測定機の構成を概略的に示す説明図である。
【図6】循環させる例の固定工程時の送液手順を示すフローチャートである。
【図7】循環させる例の測定工程時の送液手順を示すフローチャートである。
【図8】測定機の他の構成を概略的に示す説明図である。
【図9】試料溶液を往復動させる例の送液手順を示すフローチャートである。
【図10】試料溶液の送液量を説明する説明図である。
【図11】試料溶液を滞留させる例の送液手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
11 測定機
12 センサユニット
13 金属膜
13a センサ面
16 流路
16a 注入口
16b 排出口
17 センサセル
18 センサチップ
21 リガンド溶液
27 アナライト溶液
40 送液機構(送液装置)
42 コントローラ
50、70 試料用タンク(容器)
51 固定用バッファ液
52、72 バッファ用タンク(容器)
53 ポンプ
54 第1切替弁(切替手段)
55 第2切替弁(供給経路開閉手段、排出経路開閉手段)
60〜66、80〜82 配管
67 吸気用配管
71 測定用バッファ液


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検出するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液装置において、
一方の前記出入口から注入されて前記流路を通過した後、他方の前記出入口から排出された前記試料溶液を再び前記流路へ注入する循環用配管と、
この循環用配管と接続され、前記試料溶液が保管された容器から前記循環用配管に前記試料溶液を供給する供給用配管と、
この供給用配管から前記循環用配管への供給経路を開閉する供給経路開閉手段と、
圧力を加えて前記試料溶液を前記循環用配管内で循環させるポンプとを備えたことを特徴とする送液装置。
【請求項2】
前記循環用配管と接続され、前記循環用配管に供給された前記試料溶液を外部に排出する排出用配管と、
前記循環用配管から前記排出用配管への排出経路を開閉する排出経路開閉手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載の送液装置。
【請求項3】
前記容器は、液体の種類毎に複数設けられており、前記各容器と前記供給用配管とを接続する複数の経路を選択的に開いて、前記供給用配管に送られる前記液体の種類を切り替える切替手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の送液装置。
【請求項4】
前記液体には、前記試料溶液の前後に送液されるバッファ液が含まれることを特徴とする請求項3記載の送液装置。
【請求項5】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検出するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液装置において、
前記試料溶液が保管される容器と一方の前記出入口とを接続する供給用配管と、
前記試料溶液に圧力を加えて、前記供給用配管から前記流路へ前記試料溶液を注入するとともに、注入された試料溶液を前記センサ面上で往復動させるポンプとを備えたことを特徴とする送液装置。
【請求項6】
前記容器は、液体の種類毎に複数設けられており、前記各容器と前記供給用配管とを接続する複数の経路を選択的に開いて、前記供給用配管に送られる前記液体の種類を切り替える切替手段を設けたことを特徴とする請求項5記載の送液装置。
【請求項7】
前記供給用配管から前記流路へ送られる送液量に基づいて、前記流路へ注入された前記試料溶液が前記センサ面に到達したことを検知する検知手段を設けたことを特徴とする請求項5又は6記載の送液装置。
【請求項8】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検出するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液装置において、
前記試料溶液が保管される容器と一方の前記出入口とを接続する供給用配管と、
前記試料溶液に圧力を加えて、前記供給用配管から前記流路へ前記試料溶液を注入するポンプと、
このポンプの駆動を制御するポンプ制御手段とを備え、
前記試料溶液が前記センサ面に到達した後、前記ポンプ制御手段によって前記ポンプを停止させて、前記試料溶液を前記センサ面上で滞留させることを特徴とする送液装置。
【請求項9】
前記容器は、液体の種類毎に複数設けられており、前記各容器と前記供給用配管とを接続する複数の経路を選択的に開いて、前記供給用配管に送られる前記液体の種類を切り替える切替手段を設けたことを特徴とする請求項8記載の送液装置。
【請求項10】
前記切替手段は、連続して前記供給用配管に送られる異なる種類の前記液体を分離する気体を、前記供給用配管に送り込む吸気用配管と接続されるとともに、この吸気用配管から前記供給用配管への吸気経路を開閉可能であることを特徴とする請求項9記載の送液装置。
【請求項11】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検知するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記センサ面の裏面から全反射条件を満足するように光を照射して、前記センサ面における前記試料の反応状況を、前記裏面からの反射光を受光して測定する全反射減衰を利用した測定装置に用いられ、前記測定の際に、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液装置において、
一方の前記出入口から注入されて前記流路を通過した後、他方の前記出入口から排出された前記試料溶液を再び前記流路へ注入する循環用配管と、
この循環用配管と接続され、前記試料溶液が保管された容器から前記循環用配管に前記試料溶液を供給する供給用配管と、
この供給用配管から前記循環用配管への供給経路を開閉する供給経路開閉手段と、
圧力を加えて前記試料溶液を前記循環用配管内で循環させるポンプとを備えたことを特徴とする送液装置。
【請求項12】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検知するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記センサ面の裏面から全反射条件を満足するように光を照射して、前記センサ面における前記試料の反応状況を、前記裏面からの反射光を受光して測定する全反射減衰を利用した測定装置に用いられ、前記測定の際に、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液装置において、
前記試料溶液が保管される容器と一方の前記出入口とを接続する供給用配管と、
前記試料溶液に圧力を加えて、前記供給用配管から前記流路へ前記試料溶液を注入するとともに、注入された試料溶液を前記センサ面上で往復動させるポンプとを備えたことを特徴とする送液装置。
【請求項13】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検知するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記センサ面の裏面から全反射条件を満足するように光を照射して、前記センサ面における前記試料の反応状況を、前記裏面からの反射光を受光して測定する全反射減衰を利用した測定装置に用いられ、前記測定の際に、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液装置において、
前記試料溶液が保管される容器と一方の前記出入口とを接続する供給用配管と、
前記試料溶液に圧力を加えて、前記供給用配管から前記流路へ前記試料溶液を注入するポンプと、
このポンプの駆動を制御するポンプ制御手段とを備え、
前記試料溶液が前記センサ面に到達した後、前記ポンプ制御手段によって前記ポンプを停止させて、前記試料溶液を前記センサ面上で滞留させることを特徴とする送液装置。
【請求項14】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検出するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液方法において、
一方の前記出入口から前記流路へ前記試料溶液を注入し、
注入された前記試料溶液を他方の前記出入口から排出し、
この排出された試料溶液を、両端が前記一対の各前記出入口に接続された配管を通じて再び前記流路へ注入することにより、前記試料溶液を循環させることを特徴とする送液方法。
【請求項15】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検出するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液方法において、
一方の前記出入口から前記流路へ前記試料溶液を注入し、
注入した前記試料溶液を、前記センサ面上で往復動させることを特徴とする送液方法。
【請求項16】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検出するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液方法において、
一方の前記出入口から前記流路へ前記試料溶液を注入し、
注入した前記試料溶液が前記センサ面に到達した後、前記センサ面上で滞留させることを特徴とする送液方法。
【請求項17】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検知するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記センサ面の裏面から全反射条件を満足するように光を照射して、前記センサ面における試料の反応状況を前記裏面からの反射光を受光して測定する全反射減衰を利用した測定装置に用いられ、前記測定の際に、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液方法において、
一方の前記出入口から前記流路へ前記試料溶液を注入し、
注入された前記試料溶液を他方の前記出入口から排出し、
この排出された試料溶液を、両端が前記一対の各前記出入口に接続された配管を通じて再び前記流路へ注入することにより、前記試料溶液を循環させることを特徴とする送液方法。
【請求項18】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検知するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記センサ面の裏面から全反射条件を満足するように光を照射して、前記センサ面における試料の反応状況を前記裏面からの反射光を受光して測定する全反射減衰を利用した測定装置に用いられ、前記測定の際に、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液方法において、
一方の前記出入口から前記流路へ前記試料溶液を注入し、
注入した前記試料溶液を、前記センサ面上で往復動させることを特徴とする送液方法。
【請求項19】
2つの出入口を接続して形成される流路と対向する位置に、試料の反応を検知するためのセンサ面を有するセンサユニットが着脱自在にセットされ、前記センサ面の裏面から全反射条件を満足するように光を照射して、前記センサ面における試料の反応状況を前記裏面からの反射光を受光して測定する全反射減衰を利用した測定装置に用いられ、前記測定の際に、前記試料が溶解した試料溶液を前記流路に注入して、前記センサ面に送液する送液方法において、
一方の前記出入口から前記流路へ前記試料溶液を注入し、
注入した前記試料溶液が前記センサ面に到達した後、前記センサ面上で滞留させることを特徴とする送液方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−242912(P2006−242912A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62813(P2005−62813)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】