説明

送風機

【課題】送風機における送風効率を低コストかつ簡便に高める。
【解決手段】駆動機構により回転する回転軸と当該回転軸に設置された送風羽根とを備えた送風機であり、送風方向に沿った前記回転軸の軸端ないし軸端上空の所定位置に、送風方向に頂部を向け、前記軸端の直径と略同径の底面を有する錐状部材が備わることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機に関するものであり、具体的には、送風機における送風効率を低コストかつ簡便に高める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
送風用途に用いられる装置、すなわち扇風機や各種工業用ファンといった送風機は、求められる送風能力やデザイン、付加的機能(例:イオンや香りの発生機能、タイマー機能など)に応じて様々な製品が開発されている。こうした送風機として、例えば、床面に置かれるベース(1)の上部に配置した支柱(2)と、該支柱(2)の上部に設けた基部(3)と、該基部(3)の上部に回動可能に取り付けたモータケース(4)とを備え、該モータケース(4)内に配置したファンモータ(5)と、該ファンモータ(5)で駆動する送風ファン(6)とを備え、かつ、前記モータケース(4)の前面に取り付けた前記送風ファン(6)を覆うガード(7)を備えた扇風機において、扇風機の制御装置(8)には初回運転検出手段(9)と、所定時間を計時するタイマ手段(10)と、電気部品の電源回路(12)を切断する電源供給手段(11)とを備え、前記制御装置(8)は、前記初回運転検出手段(9)が作動したときに前記タイマ手段(10)のカウントを開始し、該タイマ手段(10)が所定時間カウントした出力で前記電源供給手段(11)を作動して前記電源回路(12)を切断して電気部品への通電を停止することを特徴とする安全装置を備えた扇風機(特許文献1参照)などが提案されている。
【0003】
また他にも、温度検知体と、湿度検知体とを具備し、前記温度検知体で検知した温度と、前記湿度検知体で検知した湿度から不快指数を算出し、その不快指数により送風を制御する制御部を備えたことを特徴とする扇風機。(特許文献2参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−153588号公報
【特許文献2】特開2011−122550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらいずれの従来技術も、送風機を周辺環境や諸条件に応じて精密に制御するか、或いは本来の送風機能とは異なる目的の機能を追加的に付与するものであった。してみると、送風機本来の送風機能にあらためて着目し、その送風効率を低コストかつ簡便に高める技術は提案されていなかった。
【0006】
そこで本発明の目的は、送風機における送風効率を低コストかつ簡便に高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の送風機は、駆動機構により回転する回転軸と当該回転軸に設置された送風羽根とを備えた送風機であり、送風方向に沿った前記回転軸の軸端ないし軸端上空の所定位置に、送風方向に頂部を向け、前記軸端の直径と略同径の底面を有する錐状部材が備わることを特徴とする。
【0008】
回転軸を基点に送風羽根が回転し送風がなされるが、この風はそのまま送風機前方に流れ去る。従来技術による送風機であれば、この時、送風羽根の付け根すなわち回転軸の軸端周囲を通過する風は、(風が生み出されない場所である)前記軸端上の空気を引き寄せつつ流れ去ろうとし、前記軸端上に負圧を生じさせる。その結果、送風方向に流れ去ろうとしている空気のうち、前記軸端に近いものは前記負圧によって前記軸端に引き寄せられることになる。つまり、前記軸端周囲を通過する風はその流れを当初の流路から回転軸中心に向けて拡散させられ、送風機前方の風速は弱まることになる。
【0009】
しかしながら、本発明の送風機においては、送風羽根の付け根すなわち回転軸の軸端周囲を通過する風は、錐状部材の表面に沿って流れてその頂部を通過し、他の送風流とスムーズに合流することになる。従って、従来技術による送風機では生じていた、軸端上の負圧が生じることが無く、当該負圧による風の拡散現象とそれによる送風機前方の風速低下が生起されない。また、錐状部材は複雑な構造や機構、材質等を要するものではなく、送風機に固定して前記回転軸の回転動作に耐え、所定形状を維持できる程度の強度を備えるものであればよく、設置コストも低廉なものである。従って本発明によれば、送風機における送風効率を低コストかつ簡便に高めることが可能となる。
【0010】
なお、前記送風機において、前記送風羽根に対する接触を抑止するガードを備えており、当該ガードにおける、前記軸端上空の対応箇所に前記錐状部材が備わるとしてもよい。前記送風機が、例えば人が近接して利用する扇風機である場合、ガードを備えていることが普通である。この場合、回転軸の軸端ではなくガードに前記錐状部材を設置するとすれば、設置が簡便で設置コストも抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、送風機における送風効率を低コストかつ簡便に高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態における送風機の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態における送風機での作用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の送風機10の構成例を示す図である。ここでは、送風機の例として扇風機をあげることとした。よって以降の説明では送風機として扇風機10を示す。
【0014】
図1に示す扇風機10は、モータ14などの駆動機構により回転する回転軸11と、回転軸11に設置された送風羽根12とを備えた装置となる。また、図1に示す扇風機10においては、送風羽根12に対する人や動物あるいはその他の物の接触を抑止するガード13が備わっている。モータ14はスタンド15で支持され、扇風機10の設置面より適宜な高さに位置している。
【0015】
扇風機10においては、モータ14による回転軸11の回転に応じて、送風羽根12も回転軸11を軸に回転し、風を生み出すものである。こうした構造において、送風方向に沿った回転軸11の軸端16、ないし軸端上空の所定位置である前記ガード13の中心位置17に錐状部材20が備わっている。
【0016】
図1に示す例では、錐状部材として円錐状のコーン20がガード13に設置されている構造を示す。勿論、コーン20が回転軸11の軸端16に直接設置されているとしてもよい。コーン20は、送風方向に頂部21を向け、回転軸11の軸端16の直径と略同径の底面23を有している。また、このコーン20では、底面23の円中心から頂部21までの距離を円錐の高さとしている。
【0017】
なお、高さの異なる複数のコーン20を扇風機10に順次取り付け、各コーン20設置時における扇風機10の送風時風速を測定し、風速最大となるコーン20を最終的に設置する錐状部材として予め特定しておくと好適である。コーン20は複雑な構造や機構、材質等を要するものではなく、扇風機10に固定して回転軸11の回転動作に耐え、所定形状を維持できる程度の強度を備えるものであればよい。
【0018】
続いて、本実施形態の扇風機10において従来技術より送風効率が高くなる作用について説明する。図2は本実施形態における送風機での作用例を示す図である。図2に示すように、従来の扇風機100においても当然ながら、回転軸110を基点に送風羽根120が回転し送風がなされるが、この風はそのまま送風機前方に流れ去る。この時、送風羽根120の付け根すなわち回転軸110の軸端周囲、ならびに軸端上空にあるガード130の中心プレート160周囲を通過する風は、(風が生み出されない場所である)中心プレート160上の空気を引き寄せつつ流れ去ろうとし、中心プレート160上に負圧を生じさせる。 その結果、送風方向に流れ去ろうとしている空気のうち、中心プレート160に近いものは負圧によって中心プレート160の内方に引き寄せられることになる。つまり、中心プレート160の周囲を通過する風はその流れを当初の流路から回転軸中心に向けて拡散させられ、扇風機前方の風速は弱まることになる。
【0019】
一方、本実施形態の送風機10においては、送風羽根12の付け根すなわち回転軸11の軸端16の周囲、ならびに軸端上空の中心プレート17の周囲を通過する風は、コーン20の側面22に沿って流れてその頂部21を通過し、他の送風流とスムーズに合流することになる。従って、従来技術による扇風機100では生じていた負圧が生じることが無く、この負圧による風の拡散現象とそれによる扇風機前方の風速低下が生起されない。
【0020】
本願の発明者は、実際に従来型の扇風機と、この従来型の扇風機の中心プレート160にコーン20を取り付けた本実施形態の扇風機10とについて、送風羽根前方の所定位置での送風時風速の観察を行った。その結果、コーン20の設置有無以外は全く条件が同じ扇風機同士であるにも関わらず、本実施形態の扇風機10における風速が従来型の扇風機の風速を上回る状況が観察できた。つまり負圧が生じないことで風速低下が生起されないことが明らかとなった。
【0021】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0022】
こうした本実施形態によれば、送風機における送風効率を低コストかつ簡便に高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0023】
10 扇風機(送風機)
11 回転軸
12 送風羽根
13 ガード
14 モータ(駆動機構)
15 スタンド
16 回転軸の軸端
17 回転軸の軸端上空
20 コーン(錐状部材)
21 頂部
22 側面
23 底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構により回転する回転軸と当該回転軸に設置された送風羽根とを備えた送風機であり、送風方向に沿った前記回転軸の軸端ないし軸端上空の所定位置に、送風方向に頂部を向け、前記軸端の直径と略同径の底面を有する錐状部材が備わることを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記送風羽根に対する接触を抑止するガードを備えており、当該ガードにおける、前記軸端上空の対応箇所に前記錐状部材が備わることを特徴とする請求項1に記載の送風機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−64392(P2013−64392A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204904(P2011−204904)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(511082850)
【Fターム(参考)】