説明

透明な化粧品組成物

本発明は、化粧品組成物に関し、この組成物は:a)約0.05%〜約10%の塩形態の活性物質;b)約0.001%〜約2%の増粘剤;及びc)水;を含み、約10NTU未満の濁度を有し、約5.0〜約6.8の範囲のpHを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、PCT中国出願第2009/001203号(2009年10月29日出願)の利益を請求するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、透明な化粧品組成物に関する。このような組成物は、肌を美白化、湿潤化及び/又はコンディショニングし、並びに肌に魅力的な透明な外観を提供する。
【背景技術】
【0003】
哺乳類のケラチン性組織、特にヒトの肌は、外部要因及び内部要因の両方により様々な損傷を受ける。このような外部要因としては、紫外線、環境汚染、風、熱、赤外線、乾燥、有害な界面活性剤、摩耗などが挙げられる。それに対し内部要因としては、経年老化及び肌の内側からのその他の生体変化が挙げられる。外部要因又は内部要因のいずれにせよ、これらの要因が、肌損傷の目に見える徴候をもたらす。
【0004】
現在では、肌のしわの発生並びに他の、典型的には肌の加齢、又は環境によるヒトの肌の損傷などに関連付けられる、組織構造の変化の発生を遅らせることにより、最小限にさせることにより、あるいは取り除きさえすることにより、健康と、並びにケラチン性組織(例えば、肌、毛髪及び爪)の肉体的外観を改善することを目的とした、数多くのパーソナルケア製品が消費者に入手可能である。消費者は局所適用製品を好むが、それは、こうした製品が有効であるだけでなく、安全でもあり、使用するのに好ましいからである。
【0005】
様々なスキンケア活性物質を、又は肌のコンディショニングを補助できる化合物を送達することは重要であるが、一方で、消費者に心地よい使用経験を送達するために適用する前後に、製品が好ましい外観と質感を有することも重要である。化粧用製品の清澄で透明な外観は、純粋さ、マイルドさ、清潔さ、新しさ又は明るさを消費者に印象付けるので、市場において利点を有する。透明なパッケージと組み合わせた場合に、清澄な外観の別の利点は、消費者が容易に製品を見て調べることができることである。
【0006】
有効なスキンケア活性物質の一部のものは、一般的に塩形態の活性物質であり、材料中で変化して、組成物に最終的に有意な沈殿又は相分離を生じ、ついには最終製品を半透明又は不透明なものにする場合があることから、特に水性環境での配合が困難であることが既知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のことから、製品の好ましい透明な外観を損なわずに、塩形態の活性物質を組み込んでいる化粧製品を提供する必要がある。
【0008】
既存の技術では、本発明の利点及び利益の全てを提供するものは存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は:a)約0.05%〜約10%の塩形態の活性物質;b)約0.001%〜約2%の増粘剤;及びc)水;を含む化粧品組成物に関し、この組成物は、約10NTU以下の濁度を有し、かつ約5.0〜約6.8の範囲のpHを有する。
【0010】
本発明は:(a)増粘剤を含む水相を調製することと、(b)塩形態の活性物質を含む溶液を水相に添加することと、を含む、化粧品組成物の製造方法にも関する。
【0011】
本開示を読むことで、本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点が、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のいくつかの実施形態と、比較例の透明性を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、本発明を詳細に示し、明確に請求することによって結論付けられるが、本発明は次の記述によって更によく理解されるものと考えられる。
【0014】
特に指示しない限り、本明細書で使用するあらゆる百分率及び比率は全組成物の重量によるものであり、行った測定は全て25℃におけるものである。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「塩形態の活性物質」は、水溶液などの水性環境中で、自身の正に又は負に帯電した各成分を解離するスキンケア活性物質、すなわち水性環境で電荷を担持するスキンケア活性物質を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「耐塩増粘剤」は、塩の存在下で、自身の増粘能を有意に損なわない増粘剤を指す。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「スキンケア活性剤」又は「活性物質」は、肌に適用した場合に、肌に利益又は改善をもたらす化合物を指す。スキンケア用活性物質は、肌への適用に対してのみでなく、毛髪、爪、及びその他の哺乳類ケラチン性組織に対してもまた有用であると理解すべきである。
【0018】
本発明の組成物は、本発明の構成成分並びに本明細書で記載されるその他の成分を含むことができ、それらから本質的になることができ、又はそれらからなることができる。
【0019】
全ての百分率、割合及び比率は、特に指定のない限り、本発明のスキンケア組成物の全体の重量に基づく。列挙する成分に関連するこのような全ての重量は、活性レベルに基づくので、特に指定のない限り、市販の物質に包含される場合があるキャリアや副生成物を包含しない。
【0020】
本明細書にて引用された全ての出版物は、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0021】
本発明の組成物は、高湿潤、美白及び抗しわなどの優れた肌利益に加えて、好ましい透明な外観を提供できる化粧製品を提供する。
【0022】
本発明の組成物は、増粘剤を含む。理論に束縛されるものではないが、増粘剤は、キャリア溶液中に網状構造及び架橋構造などの微小構造をもたらし得る。このような微小構造は、組成物中に障害/遮蔽(hindrance/block)空間を生み出し、塩形態の活性物質を保持し、かつ塩形態の活性物質が共に凝集したりあるいは結晶化することを予防するのを助ける。
【0023】
本発明の組成物のpHは、約5.0〜約6.8の範囲であり、好ましくは約5.5〜約6.5の範囲であり、より好ましくは約5.8〜約6.5の範囲である。
【0024】
組成物のpHがpH 5.0未満である場合、組成物の透明性が悪影響を受ける恐れがある。pH値がpH 6.8を超える場合、肌の炎症のリスクが高くなる。
【0025】
本発明の組成物は、実質的に透明である。液体組成物の透明性は、「試験方法」に記載されるように、Turbidimeter BTC−464(Model 2100P,HACH Company,USA)などの市販の濁度計により測定される濁度により特徴付けることができる。
【0026】
本発明の組成物は、少なくとも1種の塩形態の活性物質と、少なくとも1種の増粘剤と、水を含む。
【0027】
好ましくは本発明の組成物は、塩形態の活性物質に加えて、1種以上のスキンケア活性剤を含有する。活性物質及びその他の成分の性質は、それらの性質に応じて、本発明のエマルションの水相の中に又は油相のうちの1つの中に導入することができる。
【0028】
本明細書の組成物はまた、様々なその他の成分を含んでもよい。本発明の組成物は以下に詳細に記載される。
【0029】
塩形態の活性物質
本発明に従う組成物は、組成物の0.01重量%〜9重量%、好ましくは約0.05重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜2重量%の塩形態の活性物質を含む。
【0030】
本発明の、塩形態の活性物質の例としては、限定するものではないが、Sepiwhite MSHとしてSeppicから入手可能のウンデセノイルフェニルアラニン、セチルピリジニウムクロリド、グリチルリチン、ヘキサミジン、オリベム(Olivem)及びこれらの塩が挙げられる。
【0031】
本発明の組成物の、塩形態の活性物質は、有機系中和剤から生じる対イオンを含み得る。対イオンがカチオンである場合、有機系中和剤(アンモニウムイオン、トリアルカノールアミンイオン、アミノメチルプロパノールイオン、アミノメチルプロパンジオールイオン及びトロメタミンイオンなど)での中和から得られる、非金属系の対イオンが好ましい。トリエタノールアミンイオン及びアミノメチルプロパノールイオンがより好ましい。
【0032】
増粘剤
本発明の組成物は、濃厚剤(thickeners)、ゲル化剤、及び構造剤が挙げられる、約0.001%〜約2%、好ましくは約0.005%〜約1.5%、より好ましくは約0.007%〜約1.0%の増粘剤を含む。この増粘剤の濃度と種類は、他の構成成分との適合性及び当該製品の他の所望の特性に応じて選択される。
【0033】
増粘剤の非限定的な部類としては、多糖、ガム、デンプン及びデンプン誘導体、カルボン酸ポリマー及びカチオン性ポリマーが挙げられる。多糖、ガム、並びにデンプン及びデンプン誘導体などといった、塩耐性のポリマーが本明細書では有用である。
【0034】
i)多糖
多様な多糖が本明細書において有用である。「多糖」は、糖(すなわち炭水化物)繰り返し単位の主鎖を含有するゲル化剤を指す。多糖系のゲル化剤の非限定例としては、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、微結晶セルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。本明細書においてやはり有用なものは、アルキル置換セルロースである。アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルの中で好ましいのは、CTFA表記セチルヒドロキシエチルセルロースの物質であり、これはセチルアルコールとヒドロキシエチルセルロースとのエーテルである。この材料は商品名Natrosol(登録商標)CS PlusとしてAqualon Corporationから販売されている。好ましい多糖ポリマーの他の例は、商品名WSKとしてShanghai Huiwen Biotechから販売されている、Tremeallヒアルロン酸などの、植物由来の多糖である。
【0035】
他の有用な多糖としては、3単位毎に(1〜6)結合グルコースを有する(1〜3)結合グルコース単位の直鎖を含むスクレログルカンが挙げられる。この市販例は、Michel Mercier Products Incから販売のClearogel(商標)CS11である。
【0036】
ii)ガム
天然ガムの非限定例としては、グアーガム、イナゴマメゴム、キサンタンガム及びこれらの混合物が挙げられる。
【0037】
iii)デンプン及びデンプン誘導体
非限定例としては、いずれもNational Starchから市販されるStructure Solance(登録商標)の化工ジャガイモデンプン、及びStructure XL(登録商標)のヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩が挙げられる。
【0038】
iv)カルボン酸ポリマー
これらのポリマーは、イオン化可能なカルボン酸基を備える1つ以上のモノマー(アクリル酸に、置換アクリル酸に、並びにこれらのアクリル酸及び置換アクリル酸の塩に由来するモノマー)を含有している化合物である。
【0039】
本明細書で有用な市販のカルボン酸ポリマーの例としてはカルボマーが挙げられ、これらとしては、スクロース又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーが挙げられる。カルボマーの例は、NoveonのCarbopol(登録商標)900シリーズ(例えばCarbopol(登録商標)954)である。更に、他の好適なカルボン酸ポリマー剤としては、C10〜30アルキルアクリレートと、1つ以上のアクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー、又はこれらの短鎖のうちの1つ(すなわち、C1〜4アルコール)のエステルとのコポリマーが挙げられ、この場合、架橋剤はスクロース又はペンタエリスリトールのアリルエーテルである。これらのコポリマーは、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーとして知られ、Carbopol(登録商標)1342、Carbopol(登録商標)1382、Pemulen(登録商標)TR−1、及びPemulen(登録商標)TR−2及びUltrez−21(登録商標)としてNoveonから市販されている。同様に、ナトリウムアクリレートコポリマーBASFのLuvigel(登録商標)EM、Ciba Specialty Chemicals CorporationのSalcare SC−91(登録商標)、並びにNoveonのPolymer EX−617などのアクリル酸/アクリルアミドコポリマーも利用可能である。
【0040】
v)カチオン性ポリマー
本発明の第1の水相は、カチオン性架橋されたポリアクリレートポリマーを含む、カチオン性ポリマー増粘剤を、場合により含むことができる。有用なカチオン性ポリマーの例は、Salcare(登録商標)SC−92として入手可能なポリクアテルニウム−32、並びにSalcare(登録商標)SC−95及びSC−96として入手可能なポリクアテルニウム−37である(全てCiba Specialty Chemicals Corporationから)。追加のカチオン性ポリマーは、米国特許第5,100,660号、同第4,849,484号、同第4,835,206号、同第4,628,078号、同第4,599,379号、及び欧州特許第228,868号に記載のものが挙げられる。
【0041】

本発明の化粧品組成物は、組成物の好ましくは10重量%〜95、より好ましくは約30重量%〜90重量%、並びにより好ましくは50重量%〜80重量%の水を含む。
【0042】
スキンケア活性剤
好ましくは本発明の組成物は、少なくとも1種の塩形態の活性物質に加えて、少なくとも1種のスキンケア活性剤を含み得る。理論に束縛されるものではないが、本発明の組成物は種々の活性物質を配合することで汎用性を与えると考えられる。
【0043】
しかしながら、本発明のいかなる実施形態においても、本明細書で有用な活性物質は、それらが提供する効果又は前提とされるそれらの作用機序によって分類することができる。ただし、本明細書で有用な活性物質は、場合によっては、2つ以上の効果をもたらすことができるか、又は2つ以上の作用機序を介して機能できると解されるべきである。したがって、本明細書の分類は便宜上実施されたものであって、活性物質を、列挙した特定の1つ又は複数の用途に制限しようとするものではない。
【0044】
ビタミンB3化合物
ナイアシンアミドのようなビタミンB3化合物は、本明細書で使用するために好ましいスキンケア活性剤である。本発明は、好ましくは約0.1%〜約20%、より好ましくは約0.5%〜約10%、更に好ましくは約2%〜約5%のビタミンB3化合物を含む。
【0045】
本明細書で使用するとき、「ビタミンB3化合物」は、次式を有する化合物、これらの誘導体、及び上記いずれかの塩を意味する:
【0046】
【化1】

式中、Rは−CONH2(すなわち、ナイアシンアミド)、−CH2OH(すなわち、ニコチニルアルコール)である。前述のビタミンB3化合物の代表的な誘導体としては、非血管拡張性のニコチン酸のエステル(例えば、トコフェリルニコチネート)、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸−N−オキシド、及びナイアシンアミド−N−オキシドなどの、ニコチン酸エステルが挙げられる。
【0047】
美白剤
本組成物は美白剤を含有してもよい。本明細書において有用な美白剤とは、肌の外観を改変するだけでなく、処置前と比較して異常な色素沈着を更に改善する活性成分を指す。本明細書で有用な美白剤としては、アスコルビン酸化合物、ビタミンB3化合物、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸とその誘導体、ヒドロキノン(hydroquinoine)、コウジ酸、アルブチン、クワ抽出物、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びこれらの混合物が挙げられる。美白剤の混合使用はそれらが異なった機構による美白効果を提供できる点でも有利であると考えられる。
【0048】
使用する場合、組成物は好ましくは、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の美白剤を含有する。
【0049】
アスコルビン酸化合物は有用な美白剤であり、アスコルビン酸化合物としては式(I)を有する化合物、これらの塩、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0050】
【化2】

式中、V及びWは独立して−OHであり;R1は−CH(OH)−CH2OHである。
【0051】
好ましくは、本明細書で有用なアスコルビン酸化合物は、当業者により一般的に知られる非毒性のアルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウム塩などのアスコルビン酸塩であり、このような塩としては、限定するものではないが、当該技術分野において周知の方法により調製されたナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩並びにプロタミン塩;又はアスコルビン酸グルコシドなどの誘導体が挙げられる。
【0052】
フラボノイド
本発明の組成物はフラボノイド化合物を含有してもよい。フラボノイドは米国特許第5,686,082号及び同第5,686,367号に広く開示され、それら両方を参照により本明細書に組み入れる。
【0053】
置換フラバノン、置換フラボン、置換カルコン、置換イソフラボン、及びこれらの混合物は、本明細書に用いるのに好ましい。これらのフラボノイドのいくつかの例は、グルコシルヘスペリジン、グルコシルルチン、グルコシルミリシトリン、グルコシルイソクエルシトリン、グルコシルクエルシトリン、メチルヘスペリジン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0054】
使用する場合、組成物は好ましくは、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約5重量%のフラボノイド化合物を含有する。
【0055】
ペプチド
限定するものではないが、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド及びペンタペプチド、並びにそれらの誘導体などのペプチドを、本発明の組成物に安全かつ有効な量で含有させてもよい。本明細書で使用するとき、用語「ペプチド」は、天然由来のペプチド及び合成ペプチドの両方を意味する。また、本明細書で有用なのは、ペプチドが含まれている天然由来の組成物及び市販されている組成物である。
【0056】
ペプチドは、本組成物に含まれる場合、好ましくは組成物の約1×10-6重量%〜約10重量%、より好ましくは約1×10-6重量%〜約0.1重量%、更に好ましくは約1×10-5重量%〜約0.01重量%の濃度で含有させる。
【0057】
糖アミン
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の、アミノ糖としても知られる糖アミンを包含してもよい。本明細書で使用する時、「糖アミン」とは、炭素数が6個の糖のアミン誘導体のことをいう。好ましくは、当該組成物は、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、より好ましくは約1重量%〜約10重量%、更により好ましくは約2重量%〜約5重量%の糖アミンを含有する。本明細書において有用な糖アミンの例にはグルコサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミンが挙げられる。本明細書での使用に好ましいのはグルコサミンである。加えて、2種以上の糖アミンの組み合わせを使用してもよい。
【0058】
乳化剤
本発明の組成物には、油相又は油性化合物(香料など)を水相に分散又は懸濁させるのに有用な乳化剤を含有させてもよい。組成物は、約0.001%〜約5%、好ましくは約0.01%〜約3%の少なくとも1種の乳化剤を含み得る。
【0059】
非イオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤及び両性乳化剤などといった多様な乳化剤を本明細書で選択することができ、非イオン性乳化剤が好ましい。
【0060】
一実施形態では、非限定例として、糖エステル及びポリエステル、アルコキシル化糖エステル及びポリエステル、C1〜C30脂肪族アルコールのC1〜C30脂肪酸エステル、C1〜C30脂肪族アルコールのC1〜C30脂肪酸エステルのアルコキシル化誘導体、C1〜C30脂肪族アルコールのアルコキシル化エーテル、C1〜C30脂肪酸のポリグリセリルエステル、ポリオールのC1〜C30エステル、ポリオールのC1〜C30エーテル、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテルリン酸塩、脂肪酸アミド、アシルラクテート、石鹸、及びこれらの混合物などの非イオン性乳化剤が挙げられる。本明細書中で使用するための他の乳化剤の非限定的な例としては、ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ステアレス−20、セテアレス−20、PPG−2メチルグルコースエーテルジステアレート、セテス−10、ポリソルベート80、セチルホスフェート、カリウムセチルホスフェート、ジエタノールアミンセチルホスフェート、ポリソルベート60、グリセリルステアレート、PEG−100ステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート(ポリソルベート85)、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン4ラウリルエーテルナトリウムステアレート、ポリグリセリル−4イソステアレート、ラウリン酸ヘキシル、PPG−2メチルグルコースエーテルジステアレート、セテス−10、ジエタノールアミンセチルホスフェート、グリセリルステアレート、PEG 40硬化ヒマシ油、PEG−60硬化ヒマシ油、グリセレス−25 PCAイソステアレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
別の実施形態において、乳化剤は、ジメチコンコポリオールなどの有機的に修飾されたオルガノポリシロキサン(シリコーン界面活性剤)を含むシリコーン乳化剤である。
【0062】
保湿剤
本発明の組成物は、1種以上の保湿剤を含み得る。
【0063】
好適な保湿剤としては、ポリアルキレングリコール及びそれらの誘導体のような多価アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン及びこれらの組み合わせである。
【0064】
皮膚軟化剤
本発明の組成物は更に、皮膚軟化剤を含んでもよい。
【0065】
好適な皮膚軟化剤としては、炭化水素、脂肪酸、脂肪族アルコール、及びエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
日焼け止め剤
本発明の組成物は、1つ以上の日焼け止め活性物質(又は日焼け止め剤)及び/又は紫外線吸収剤を含んでよい。本明細書において、「日焼け止め活性物質」とは、日焼け止め剤と物理的日焼け防止剤との両方を包含する。日焼け止め活性物質及び紫外線吸収剤は有機系であっても無機系であってもよい。好適な日焼け止め用活性物質及び紫外線吸収剤の例は、(The International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)、第10版、Gottschalck,T.E.及びMcEwen,Jr.編、2004年、2267頁及び2292〜93頁)に開示され、更にテレフタリリデンジカンファースルホン酸(Mexoryl(商標)SX)が挙げられる。
【0067】
組成物の調製
本発明の組成物は、概して局所用組成物の製造に関し当該技術分野において既知である従来法により調製される。そのような方法は、典型的には成分を、1つ又はそれ以上の工程で、加熱、冷却、真空の適用などの操作を加えながら、又はこれらの操作は加えずに、比較的均一な状態になるまで混合することを伴う。
【0068】
一例としては、増粘剤を含有している水の主混合槽(water main mix tank)を用意して、別個に調製した、塩形態の活性物質を含有している溶液と、続いて保存料プレミックス溶液及び香料プレミックス溶液を添加することもできる。
【0069】
一実施形態では、本発明の組成物は、増粘剤を含む水相と、塩形態の活性物質を含む溶液とを別個に調製し、次いでこの水相と溶液とを混合することで調製する。塩形態の活性物質を含む溶液の調製時に、必要があれば、活性物質を完全に溶解させるために溶液を約60℃以上に加熱してもよい。
【0070】
他の実施形態では、本発明の組成物は、増粘剤を含む水相と、塩形態の活性物質を含む溶液とを別個に調製し、次いでこの水相と溶液とを混合することで調製される。この場合、塩形態の活性物質は中和されている。塩形態の活性物質を含む溶液の調製時に、必要があれば、活性物質を完全に溶解させるために溶液を約60℃以上に加熱してもよい。
【0071】
使用のための製品
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、有色又は無色の、約10NTU以下の濁度を有する実質的に透明な液体である。1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、透明であり約7NTU以下の濁度を有する。
【0072】
他の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、粘度が10,000cps未満の水溶液を提供する。
【0073】
他の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、粘度が約10,000cps〜約100,000cpsの範囲のヒドロゲルである。
【0074】
他の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、透明な容器内にパッケージ化することができ、消費者はこの容器を通して組成物を見て調べることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は更に、少なくとも1種のスキンケア活性物質、好ましくは塩形態ではない活性物質を含み得る。
【0076】
試験方法
濁度測定
溶液の濁度は、90°散乱及び透過光シグナルの比である比濁シグナル比(90°)を測定することにより、決定することができる。例として、本明細書の濁度は、HACH Company(USA)からのHACH 2100P Turbidimeterにより測定することができる。
【0077】
測定は、およそ25℃の温度で実施する。濁度の試験範囲は、自動モードに設定できる。スクリューキャップを備えた60.0×25mm(2.36×1インチ)(高さ×幅)のホウケイ酸ガラス製バイアル瓶(約15mL/0.014L(15mL/0.5オンス))に試料を装填する。固定配置した試料セルを2時間超にわたって保持して、気体/気泡を出させ、拭き取る。その後、シリコーンオイルの薄膜を試料セルの外側に適用し、柔らかい布で拭いて、表面全体に広がる均一な膜を得る。試料バイアル瓶をHACH 2100P Turbidimeterの試験孔に入れ、試料の濁度を測定する。
【0078】
粘度測定
製品粘度を、ULアダプタとULスピンドルを備えたBROOKFIELD DV II+Viscometer(BROOKFIELD ENGINEERING LABORATORIES,INC.)などの市販の粘度計により、25℃にて50rpm/分で測定する。
【実施例】
【0079】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明し、かつ実証する。これら実施例は、例示目的のためにのみ提供され、しかも、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0080】
実施例1〜9及び比較例1
実施例1〜9は、ケラチン性組織に適用するのに好適な、本明細書に記載のスキンケア組成物の非限定例を表す。1つの比較例も記載する。組成物は、次の構成成分から従来法にて調製する。
【0081】
【表1】

*1 Natrosol(ヒドロキシエチルセルロース):Hercules Inc.から入手可能
*2 WSK(Tremeallヒアルロン酸):Shanghai Huiwen Biotechから入手可能
*3 Carbopol 981(Carbomer):Noveonから入手可能
*4 セピホワイトMSH(ウンデシレノイルフェニルアラニン):セピック社から入手可能
*5 Elastab(登録商標)HP100(ヘキサミジンイセチオネート):Laboratoires Serobiologiquesから入手可能
*6 Pyroter GPI−25(グリセレス−25 PCAイソステアリン酸):味の素から入手可能
【0082】
全ての実施例及び比較例の組成物は以下のように製造することができる。
(1)ミックスA:好適な混合機(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、又はIKA T25)を用いて、容器中で、相が均質になるまで全ての材料を混合する。
(2)ミックスB:好適な混合機(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、又はIKA T25)を用いて、容器中で、相が均質になるまで全ての材料を混合する。必要な場合、相を約60℃以上に加熱し、活性物質を完全に溶解させる。
(3)ミックスC:他の水溶性材料を加えて相が均質になるまで混合する。含まれる場合には、固形成分は、水の一部に予め溶解させてから水相中にブレンドすることができる。
(4)ミックスBをミックスAにゆっくりと加え、バッチが均質になるまで混合する。ミックスCをミックスA及びミックスBの混合物にゆっくりと加え、得られた混合物を均質になるまで混合する。ミックスAをミックスBと混合させる前に、ミックスAをミックスCと混合させることもできる。
(5)ミックスDを加え、均質になるまで混合する。
【0083】
実施例10〜13及び比較例2
実施例10〜13及び比較例2の組成物は、5%のクエン酸溶液を実施例1の組成物に異なる量で加えることで調製した。HACH 2100P濁度計(HACH Company,USA)を用い、「濁度測定法」に従って、実施例1、8、9及び10〜13、並びに比較例1及び2の濁度を測定した。表2に示す。濁度の試験範囲は、自動モードに設定した。実施例1、10〜13及び比較例2の各組成物は、鉛直線背景を有する4mLの透明なセル内に配置した。セルの写真を撮影した。図1に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
前述した本発明の実施例及び実施形態の詳細な記述は、単に説明のために与えるものにすぎず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することのない多数の修正及び変更が当業者には明らかになることが理解される;そのような明らかな修正及び変更は、添付の「特許請求の範囲」に含まれるものとする。
【0086】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0087】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0088】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品組成物であって、
a)約0.05%〜約10%の塩形態の活性物質;
b)約0.001%〜約2%の増粘剤;及び
c)水;を含み、
約10NTU未満の濁度を有し、約5.0〜約6.8の範囲のpHを有する、組成物。
【請求項2】
前記塩形態の活性物質が、ウンデシレノイルフェニルアラニン、セチルピリジニウムクロリド、グリチルリチン、ヘキサミジン、オリベム(olivem)、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が液体形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が約10,000cps未満の粘度を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が水溶液である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が約10,000cps〜約100,000cpsの範囲の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が約7NTU以下の濁度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が約5.5〜約6.5の範囲のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記塩形態の活性物質が、アンモニウムイオン、トリアルカノールアミンイオン、アミノメチルプロパノールイオン、アミノメチルプロパンジオールイオン(aminomethyl porpandiol ion)、トロメタミンイオン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される非金属対イオンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記増粘剤が、多糖、ガム、デンプン及びデンプン誘導体、カルボン酸ポリマー、カチオン性ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
前記増粘剤が、多糖、ガム、デンプン及びデンプン誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
前記組成物が、ビタミンB3化合物、美白剤、ペプチド、糖アミン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるスキンケア活性剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記スキンケア活性剤がビタミンB3化合物である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が透明な容器内にパッケージ化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の化粧品組成物を製造する方法であって、
(a)増粘剤を含む水相を調製することと、
(b)塩形態の活性物質を含む溶液を前記水相に添加することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記活性形態の活性物質が、前記溶液を前記水相に添加する前に中和される、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−508310(P2013−508310A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534515(P2012−534515)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際出願番号】PCT/CN2010/001335
【国際公開番号】WO2011/050559
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】