説明

透明バリアフィルムの製造法

【課題】 可撓性プラスチック基材と無機酸化物の蒸着膜との密着性を高め、かつ、優れた透明性と高いバリア性を有し、更に、耐透湿性に富み、かつ、後加工適性を有し、保存適性の良好な透明バリアフィルムの製造法を提供。
【解決手段】 可撓性プラスチック基材の少なくとも一方の面に、O2 またはO2 とN2 との混合物からなる反応性ガスを使用し、そのO2 またはO2 とN2 との混合物からなる反応性ガスの流量としては、上記の可撓性プラスチック基材600mm巾に対し、100〜5000l/minの範囲内、また、プラズマ処理速度としては、600V、10Aの条件下、50〜800m/minの範囲内からなるプラズマ処理条件でプラズマ処理を行い、上記の可撓性プラスチック基材表面にO基やOH基等の極性基を導入したプラズマ処理面を設け、次いで、該プラズマ処理面に、無機酸化物の薄膜を設けることを特徴とする透明バリアフィルムの製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明バリアフィルムの製造法に関し、更に詳しくは、透明性、水蒸気あるいは酸素等のバリア性、耐透湿性等に優れ、良好な保存適性を有し、食品包装分野、医薬品包装分野、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き等の非食品分野、電子部品分野等における種々の物品の充填包装適性を有し、更に、電子レンジ適性を備え、かつ、後加工適性に優れた透明バリアフィルムの製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品、医薬品、電子部品等の物品の包装において、酸素や水蒸気等に対するバリア性、あるいは耐透湿性等を満足する包装用材料として、種々のバリア性フィルムが開発され、提案されている。
例えば、(1).ポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルム、塩化ビニリデンを主成分とし、これと共重合可能なモノマ−、例えば、塩化ビニル、メチルメタクリレ−ト、あるいはアクリロニトリル等との共重合体のフィルム、あるいはポリ塩化ビニリデン系樹脂を含む組成物をポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等のプラスチックフィルムの表面にコ−ティングしたポリ塩化ビニリデン系樹脂コ−トフィルム、(2).ポリビニルアルコ−ルのフィルム、あるいはエチレン−ビニルアルコ−ル共重合体のフィルム、(3).アルミニウム箔、あるいはプラスチックフィルムの表面にアルミニウムを蒸着した蒸着フィルム等が知られている。
しかしながら、上記のようなバリア性フィルムにおいては、例えば、(1)のものは、高度なガスバリア性が要求される包装用積層材においては不向きであり、また、廃棄処理の焼却時に塩素ガス等の有害なガスが発生するという問題点があり、次に、(2)のものは、耐透湿性に劣り、特に、酸素バリア性に対し湿度依存性があるという問題点があり、更に、(3)のものは、透明性に劣り、内容物を確認することができず、また、廃棄処理の焼却時にアルミニウムが滓として残り、焼却炉等を損傷するという問題点があるものである。
そこで、上記のようなバリア性フィルムに対し、可撓性プラスチック基材の上に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた構成からなる透明バリアフィルム、およびそれを使用した包装用積層材が提案されている。
このものは、従来のバリア性フィルム、およびそれを使用した包装用積層材等と比較して、透明性に優れ、かつ、水蒸気、酸素等に対し高いバリア性と保香性等を有し、更に、廃棄時における環境上の問題もなく、包装用材料、その他等にその需要が大いに期待されているものである。
しかしながら、上記の透明バリア性フィルムにおいては、可撓性プラスチック基材と無機酸化物の蒸着膜との密着性が弱く、更に、ガスバリア性が充分でないとうい問題点がある。
而して、上記の可撓性プラスチック基材と無機酸化物の蒸着膜との密着性を改善するために、例えば、可撓性プラスチック基材の表面に、イソシアネ−ト系化合物等を含む樹脂組成物をコ−ティングする前処理法が提案されている。
また、少なくとも一方の面が平均粗さ(Ra)で5.0nm以下の平滑化処理された高分子基材の該平滑化処理された面上に、金属又は金属化合物からなる薄膜を形成してなる蒸着フィルム、あるいは、少なくとも一方の面が10-5〜10-2Torrの真空下で50W/m2 /分以上の放電処理された高分子基材の、該放電処理された面上に金属又は金属化合物からなる薄膜を真空蒸着してなる蒸着フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−212842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えば、上記の可撓性プラスチック基材の表面に、イソシアネ−ト系化合物等を含む樹脂組成物をコ−ティングする前処理法では、コ−ティング膜の表面が粗く、また、その材質も柔らかいため、蒸着膜の成長がうまくいかず、更に、コ−ティング膜中に含まれる残留溶剤により、蒸着時に真空度が低下し、望ましい蒸着膜を製膜することが困難であるという問題点がある。
また、上記の特許文献1に係る蒸着フィルムにおいては、それを使用した包装用積層材等におけるバリア性能は、本来のバリア材であるアルミニウム箔と比べて、酸素、水蒸気等のバリア性能が劣るという問題点がある。
特に、上記の蒸着フィルムおよびそれを使用した包装用積層材においては、金属又は金属化合物からなる薄膜それ自体が可撓性に劣ることから、そのフィルムを丸めたり、あるいは折り曲げたりすると、薄膜が簡単に剥離し、クラック等を発生し易く、例えば、印刷・ラミネ−ト等の後加工時に、上記のような操作を採ると、簡単に剥離し、クラックを発生し、而して、一度、剥離し、クラックが発生すると、バリア性を著しく低下するという問題点がある。
更に、上記の蒸着フィルム、およびそれを使用した包装用積層材においては、これが吸湿により寸法変化等を起こすと、蒸着膜がその寸法変化に追従し難く、簡単に剥離し、クラックが発生し、この場合も、上記と同様な問題点を有することになるものである。
そこで本発明は、上記のような事情に鑑み、可撓性プラスチック基材と無機酸化物の蒸着膜との密着性を高め、かつ、優れた透明性と高いバリア性を有し、更に、耐透湿性に富み、かつ、後加工適性を有し、保存適性の良好な透明バリアフィルムの製造法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究の結果、気体をア−ク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して表面改質を行なうプラズマ表面処理に着目し、まず、可撓性プラスチック基材の少なくとも一方の面に、O2 またはO2 とN2 との混合物からなる反応性ガスを使用し、そのO2 またはO2 とN2 との混合物からなる反応性ガスの流量としては、上記の可撓性プラスチック基材600mm巾に対し、100〜5000l/minの範囲内、また、プラズマ処理速度としては、600V、10Aの条件下、50〜800m/minの範囲内からなるプラズマ処理条件でプラズマ処理を行い、上記の可撓性プラスチック基材表面にO基やOH基等の極性基を導入したプラズマ処理面を設け、次いで、該プラズマ処理面に、無機酸化物の薄膜を設けて透明バリアフィルムを製造し、而して、該透明バリアフィルムの無機酸化物の薄膜面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層して積層材を製造し、更に、該積層材を使用して製袋またと製函して包装用容器を製造し、該包装用容器内に種々の物品を充填包装したところ、可撓性プラスチック基材と無機酸化物の蒸着膜等の薄膜との密着性に優れ、かつ、優れた透明性と高いバリア性を有し、更に、耐透湿性、保存適性等に優れ、更に、後加工時にクラック等の発生もなく、極めて高い後加工適性を有し、更に、包装製品を電子レンジにかけても、十分にその電子レンジ適性を有し、包装用材料として種々の物品の包装適性を有する透明バリアフィルム、それを使用した積層材および包装用容器を製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、可撓性プラスチック基材の少なくとも一方の面に、O2 またはO2 とN2 との混合物からなる反応性ガスを使用し、そのO2 またはO2 とN2 との混合物からなる反応性ガスの流量としては、上記の可撓性プラスチック基材600mm巾に対し、100〜5000l/minの範囲内、また、プラズマ処理速度としては、600V、10Aの条件下、50〜800m/minの範囲内からなるプラズマ処理条件でプラズマ処理を行い、上記の可撓性プラスチック基材表面にO基やOH基等の極性基を導入したプラズマ処理面を設け、次いで、該プラズマ処理面に、無機酸化物の薄膜を設けることを特徴とする透明バリアフィルムの製造法に関するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、気体をア−ク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して表面改質を行なうプラズマ表面処理に着目し、まず、可撓性プラスチック基材の少なくとも一方の面に、プラズマ処理面を設け、更に、該プラズマ処理面の上に、無機酸化物の蒸着膜等の薄膜を設けて透明バリアフィルムを製造し、而して、該透明バリアフィルムの無機酸化物の薄膜面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層して積層材を製造し、更に、該積層材を使用して製袋または製函して包装用容器を製造し、而して、該包装用容器内に種々の物品を充填包装して、可撓性プラスチック基材と無機酸化物の蒸着膜等の薄膜との密着性に優れ、かつ、優れた透明性と高いバリア性を有し、更に、耐透湿性、保存適性等に優れ、また、後加工時にクラック等の発生もなく、極めて高い後加工適性を有し、更に、包装製品を電子レンジにかけても、十分にその電子レンジ適性を有し、包装用材料として種々の物品の包装適性を有するする透明バリアフィルムの製造法を提供し得ることができるというものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる透明バリアフィルム、それを使用した積層材および包装用容器の構成についてその二三を例示して図面を用いて説明すると、図1は、本発明にかかる透明バリアフィルムの層構成を示す断面図であり、図2、図3、および図4は、上記の本発明にかかる透明バリアフィルムを使用して製造した積層材の層構成を示す断面図であり、図5、図6、図7、図8、および図9は、上記の本発明にかかる透明バリアフィルムを使用した積層材を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す平面図ないし斜視図である。
【0008】
本発明にかかる透明バリアフィルムAは、図1に示すように、可撓性プラスチック基材1の少なくとも一方の面に、プラズマ処理面2を設け、更に、該プラズマ処理面2の上に、無機酸化物の薄膜3を設けた構成からなるものである。
而して、上記の例示は、本発明にかかる透明バリアフィルムの一例を例示したものであり、これに限定されるものではなく、例えば、図示しないが、プラズマ処理面、無機酸化物の薄膜等は、可撓性プラスチック基材の一方の面のみならずその両方の面に設けたものでもよいものである。
【0009】
次に、上記の本発明にかかる透明バリアフィルムを使用して製造する積層材についてその二三を例示して説明すると、本発明にかかる積層材としては、例えば、図2に示すように、上記の図1に示す透明バリアフィルムAの無機酸化物の薄膜3の面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層4を積層してなる積層材Bを挙げることができる。
更には、本発明にかかる積層材としては、図3に示すように、上記の図2に示す積層材Bの可撓性プラスチック基材1の他方の面に、少なくとも、基材フィルム層5を積層してなる積層材Cを挙げることができる。
あるいは、本発明にかかる積層材としては、図4に示すように、上記の図3に示す積層材Cの基材フィルム層5の面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層4aを積層した積層材Dを挙げることができる。
而して、上記に挙げた例は、本発明にかかる積層材を構成する二三の例示であり、これによって限定されるものではなく、例えば、本発明においては、図示しないが、基材フィルム層、ヒ−トシ−ル性樹脂層等の他に、更に、その使用目的、用途等によって、他の基材を任意に積層して、種々の形態の積層材を設計して製造することができるものである。 また、本発明において、基材フィルム層、ヒ−トシ−ル性樹脂層、その他の層の積層位置は、その使用目的、用途等によって、任意の位置に積層して、種々の形態の積層材を設計して製造することができるものである。
【0010】
次に、本発明において、上記のような積層材を使用して製袋ないし製函してなる本発明にかかる包装用容器の構成について説明すると、かかる包装用容器としては、例えば、上記の図3に示す積層材Cを使用して製袋ないし製函した包装用容器を例示して説明すると、図5の斜視図に示すように、上記の積層材C、Cを2枚用意し、その最内層に位置するヒ−トシ−ル性樹脂層4、4の面を対向させて重ね合わせ、しかる後その外周周辺の端部の三方をヒ−トシ−ルしてシ−ル部6、6、6を形成して、本発明にかかる三方シ−ル型の軟包装用容器Eを製造することができる。
【0011】
次にまた、本発明にかかる包装用容器としては、図6の平面図に示すように、例えば、上記の図4に示す積層材Dを使用し、まず、それから所定の折罫l(点線で示している)、貼着部7等を有する紙容器形成用のブランク板8を打ち抜き加工して製造し、次に、図7の斜視図に示すように、該ブランク板8の貼着部7を他方の側端部9(図6に示す)と重ね合わせてその重合部分をヒ−トシ−ルして側端シ−ル部10を形成して胴部11を製造し、更に、該胴部11の下方部分を常法に従って折り込んでヒ−トシ−ルして底部12を形成し、更にまた、その上方部分を常法に従ってヒ−トシ−ルして上端シ−ル部13を形成して、本発明にかかる屋根型の紙製包装用容器Fを製造することができる。
【0012】
更にまた、本発明にかかる包装用容器としては、図8の平面図に示すように、例えば、上記の図4に示す積層材Dを使用し、まず、それから貼着部7a等を有し、筒状胴部を形成し得る長方形の紙容器形成用のブランク板8aを打ち抜き加工して製造し、次に、図9の斜視図に示すように、該ブランク板8aの貼着部7aを他方の側端部9a(図8に示す)と重ね合わせてその重合部分をヒ−トシ−ルして側端シ−ル部10aを形成して筒状胴部11aを製造し、更に、該筒状胴部11aの下方部分に、例えば、円筒状の底板14をヒ−トシ−ルして底シ−ル部15を形成して底部14aを構成し、更にまた、筒状容器11aの上方部分に、例えば、引き剥がし片16で密閉されている飲み口17を有する円筒状の蓋板18をヒ−トシ−ルして上部シ−ル部19を形成して蓋部18aを構成して、本発明にかかる円筒状の紙缶状包装用容器Gを製造することができる。
なお、本発明においては、上記に図示した例示の包装用容器に限定されるものでないことは言うまでもないことであり、その目的、用途等により、種々の形態の包装用容器を製造することができることは言うまでもないことである。
【0013】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる透明バリアフィルム、積層材および包装用容器等を構成する材料について説明すると、かかる材料としては、種々のものを使用することができる。
まず、本発明において、本発明にかかる透明バリアフィルムを構成する材料について説明すると、まず、可撓性プラスチック基材としては、酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜を保持し得るプラスチックのフィルムないしシ−トであればいずれのものでも使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコ−ル、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタ−ル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
これらの樹脂のフィルムないしシ−トは、一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよく、また、その厚さとしては、5〜500μm位、好ましくは、12〜300μm位が望ましい。
また、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、必要ならば、その表面にアンカ−コ−ト剤等をコ−ティングして表面平滑化処理等を施すこともできる。
【0014】
次に、本発明において、本発明にかかる透明バリアフィルムを構成するプラズマ処理面について説明すると、かかるプラズマ処理面は、気体をア−ク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して表面改質を行なうプラズマ表面処理法を利用してプラズマ処理面を形成することができるものである。
すなわは、本発明においては、O2 (酸素ガス)、N2 (窒素ガス)、Ar(アルゴンガス)、He(ヘリウムガス)などの無機ガスをプラズマガスとして使用する方法で、可撓性プラスチック基材の表面改質を行なうものである。
而して、本発明において、可撓性プラスチック基材の表面に、プラズマ処理面を形成するに際しては、プラズマ放電処理の際に、イオン化エネルギ−の小さいO2 (酸素ガス、12.2eV))またはO2 とN2 との混合物からなる反応性ガスを使用してプラズマ処理を行なうことが好ましく、このようなプラズマ処理により、より低い電圧でプラズマ処理を行なうことが可能であり、これにより、可撓性プラスチック基材の変色等もなく、更に、基材表面に化学反応によりO基やOH基等の極性基を導入することができ、これにより、可撓性プラスチック基材と無機酸化物の薄膜との密着性を著しく高めることができるという利点を有する。
なお、本発明においては、プラズマ放電処理の際に、Ar(15.8eV)、He(24.7eV)のような不活性ガスを使用してプラズマ処理を行なうことによりプラズマ処理面を形成することも可能であるが、かかる場合には、Ar、Heのような不活性ガスをプラズマ状態にするにはかなりの電圧をかける必要があり、そのために、可撓性プラスチック基材が熱劣化し、例えば、変色等を起こすことおそれがあり、好ましいものではない。
【0015】
本発明においては、酸素ガス、または酸素と窒素との混合ガスのような反応性ガスを使用してプラズマ処理を行なうものであるが、更に、本発明においては、炭酸ガスのように可撓性プラスチック基材を構成するポリマ−表面に直接反応して表面層の構造を変えるプラズマ処理でも適用可能である。
本発明において、プラズマ処理を行なうに際し、O2 、またはO2 とN2 との混合物からなる反応性ガスの流量としては、可撓性プラスチック基材等の巾等に応じて選定すればよく、例えば、600mm巾であれば、100〜5000l/min位、好ましくは、500〜3000l/min位の範囲が望ましい。
また、プラズマ処理速度については、特に、限定派内が、例えば、600V、10Aの条件下では、50〜800m/min位、好ましくは、200〜400m/min位が望ましい。
【0016】
次にまた、本発明において、透明バリアフィルムを構成する無機酸化物の薄膜としては、基本的に金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜であれば使用可能であり、例えば、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を使用することができる。
而して、包装用材料等に適するものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を挙げることができる。而して、上記の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。本発明において、包装用材料としては、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物の薄膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜3000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物の薄膜としては、無機酸化物の薄膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した積層体の状態でもよく、また、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の薄膜を構成することもできる。
【0017】
次に、本発明において、可撓性プラスチック基材の上に、無機酸化物の薄膜を形成する方法について説明すると、かかる方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
なお、本発明において、包装用材料に用いられる透明バリアフィルムを製造する場合には、主に、真空蒸着法を用い、一部、プラズマ化学気相成長法も用いられる。
その具体例を挙げると、図10は、巻き取り式蒸着機の一例を示す概略的構成図である。
図10に示すように、真空チャンバ−111の中で、巻き出しロ−ル112から繰り出す可撓性プラスチック基材113は、コ−ティングドラム114を通り、蒸着チャンバ−115の中に入り、ここで、るつぼ116で熱せられた蒸着源を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素吹き出し口117より酸素等を噴出させながら、上記の冷却したコ−ティングドラム114上の可撓性プラスチック基材113の上に、マスク118、118を介して無機酸化物の蒸着膜を成膜化し、次いで蒸着膜を形成した可撓性プラスチック基材113を真空チャンバ−111内に送り出して巻き取りロ−ル119に巻き取ることによって、本発明にかかる無機酸化物の薄膜を製造することができる。
【0018】
更に、本発明において、無機酸化物の薄膜の形成法について具体的に説明すると、上記のような金属の酸化物を原料とし、これを加熱して可撓性プラスチック基材の上に蒸着する真空蒸着法、または原料に金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて可撓性プラスチック基材の上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。なお、本発明においては、酸化ケイ素の蒸着膜を形成する場合、オルガノシロキサンを原料とするプラズマ化学気相成長法を用いて蒸着膜を形成することができる。
【0019】
次に、本発明において、積層材の最内層、あるいは最外層を形成するヒ−トシ−ル性樹脂層を構成するヒ−トシ−ル性樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記のフィルムないしシ−トは、その樹脂を含む組成物によるコ−ティング膜の状態で使用することができる。
その膜もしくはフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μmないし300μm位が好ましくは、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0020】
次にまた、本発明において、基材フィルム層を構成する基材フィルムとしては、例えば、包装用容器を構成する場合、基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−ト、その他等を使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
そのフィルムの厚さとしては、5μmないし100μm位、好ましくは、10μmないし50μm位が望ましい。
なお、本発明においては、上記のような基材フィルムには、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で表刷り印刷あるいは裏刷り印刷等が施されていてもよい。
【0021】
次にまた、本発明において、上記の基材フィルム層を構成する基材フィルムとしては、例えば、紙層を構成する各種の紙基材を使用することができ、具体的には、本発明において、紙基材としては、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせるものであり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
上記において、紙層を構成する紙基材としては、坪量約80〜600g/m2 位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することが望ましい。
勿論、本発明においては、紙層を構成する紙基材と、上記に挙げた基材フィルムとしての各種の樹脂のフィルムないしシ−ト等を併用して使用することができる。
【0022】
次に、本発明において、本発明にかかる積層材を構成する材料として、例えば、水蒸気、水等のバリア−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0023】
なお、本発明においては、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0024】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して積層材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知の前処理、アンカ−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0025】
次に、本発明において、上記のような積層材を使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層材を使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の積層材を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の積層材を使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0026】
次にまた、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙基材を積層した積層材を製造し、これから所望の紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0027】
本発明において、上記のようにして製造した包装用容器は、種々の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、その他等の物品の充填包装に使用されるものである。
上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
【実施例1】
【0028】
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名、E5102)の片面に、酸素ガスによるプラズマ放電処理を処理条件として、酸素流量2000l/min、電圧600V、電流値10A、処理速度300m/minからなる条件でプラズマ処理を行って、プラズマ処理面を形成し、次に、該プラズマ処理面に、真空蒸着法(図10に示す蒸着機参照)を用いて真空蒸着を行い、膜厚250Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成して、本発明にかかる透明バリアフィルムを製造した。
【実施例2】
【0029】
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名、E5102)の片面に、酸素と窒素との混合ガスによるプラズマ放電処理を処理条件として、混合ガス流量2000l/min、電圧600V、電流値10A、処理速度300m/minからなる条件でプラズマ処理を行って、プラズマ処理面を形成し、次に、該プラズマ処理面に、真空蒸着法(図10に示す蒸着機参照)を用いて真空蒸着を行い、膜厚250Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成して、本発明にかかる透明バリアフィルムを製造した。
【実施例3】
【0030】
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名、E5102)の片面に、酸素と窒素との混合ガスによるプラズマ放電処理を処理条件として、混合ガス流量2000l/min、電圧600V、電流値10A、処理速度300m/minからなる条件でプラズマ処理を行って、プラズマ処理面を形成し、次に、該プラズマ処理面に、真空蒸着法(図10に示す蒸着機参照)を用いて真空蒸着を行い、膜厚250Åの酸化ケイ素の蒸着膜を形成して、本発明にかかる透明バリアフィルムを製造した。
【0031】
〔比較例1〕
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名、E5102)の片面に、プラズマ放電処理を行なわないで、そのコロナ処理面に、真空蒸着法(図10に示す蒸着機参照)を用いて真空蒸着を行い、膜厚250Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成して、従来例にかかる透明バリアフィルムを製造した。
【0032】
〔実験例1〕
上記で製造した実施例1〜3、および比較例1の透明バリアフィルムについて、25℃、90%RHの条件で、米国、モコン社(MOCON社)製の酸素透過度測定装置〔機種名、オクストラン(OXTRAN 2/20)〕を使用して酸素透過度を測定した。
また、上記で製造した実施例1〜3、および比較例1の透明バリアフィルムについて、37.8℃、100%RHの条件で、米国、モコン社(MOCON社)製の透湿度測定装置〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN 3/31)〕を使用して水蒸気透過度を測定した。上記の測定結果について、下記の表1に示す。
【0033】
(表1)
┌────┬───────────┬──────────┐ │ │ 酸素透過度 │ 水蒸気透過度 │ │ │(cc/m2 /day)│(g/m2 /day)│ ├────┼───────────┼──────────┤ │実施例1│ 1.5 │ 1.5 │ ├────┼───────────┼──────────┤ │実施例2│ 1.8 │ 1.9 │ ├────┼───────────┼──────────┤ │実施例3│ 1.5 │ 1.5 │ ├────┼───────────┼──────────┤ │比較例1│ 3.0 │ 4.0 │ └────┴───────────┴──────────┘
【0034】
上記の表1に示す結果より明らかなように、実施例1〜3のものは、比較例1のそれと比較して、酸素透過度および水蒸気透過度において優れていた。
【実施例4】
【0035】
上記の実施例1で製造した透明バリアフィルムの蒸着面上に、2液硬化型ポリエステル樹脂の5%溶液をプライマ−剤として使用し、これを膜厚1μmにコ−ティングし、次いで、該コ−ティング膜面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ60μmに押し出しコ−トして、下記の層構成からなる本発明にかかる積層材を製造した。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・プラズマ処理面・厚さ250Åの酸化アルミニウムの蒸着膜/厚さ1μmのプライマ−剤層/厚さ60μmの低密度ポリエチレン層
上記で製造した積層材の2枚を使用し、その厚さ60μmの低密度ポリエチレン層面を対向させて重ね合わせ、しかる後製袋機により製袋して三方シ−ル型のプラスチック製袋を製造した。次に、上記で製造したプラスチック製袋にポテトチップを充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして充填包装製品を製造したところ、高度なバリア性を有し、中身の外観、風味の変化等は認められず、極めて良好な結果を得た。
【実施例5】
【0036】
次に、上記の実施例2で製造した透明バリアフィルムの蒸着面上に、2液硬化型ポリエステル樹脂の5%溶液からなるプライマ−剤を使用し、これを膜厚1μmにコ−ティングし、次いで、該コ−ティング膜面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを80μmに押し出しコ−トした。
更に、上記の透明バリアフィルムの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ100μmに押し出しラミネ−トして、下記の層構成からなる本発明にかかる積層材を製造した。
厚さ100μmの低密度ポリエチレン層/厚さ12μmの二延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・プラズマ処理面・厚さ250Åの酸化アルミニウムの蒸着膜/厚さ1μmのプライマ−剤層/厚さ80μmの低密度ポリエチレン層
上記で製造した積層材を使用し、まず、該積層材を丸めてその重合縁部を熱溶着してチュ−ブ形成用の筒状胴部を製造し、次に、該筒状胴部の一方の端部に、ポリプロピレンを使用してインジェクション成形により首部を成形し、更に、該首部にキャップを螺合させてチュ−ブ容器を製造した。
次いで、上記のチュ−ブ容器の他方の開口部から、内容物を充填し、しかる後開口部をヒ−トシ−ルしてチュ−ブ状包装製品を製造した。
上記の製品は、高度のバリア性を有し、内容物の充填包装適性を有していた。
【実施例6】
【0037】
上記の実施例3で製造した透明バリアフィルムの蒸着面上に、2液硬化型ポリエステル樹脂の5%溶液からなるプライマ−剤を使用し、これを膜厚1μmにコ−ティングし、次いで、該コ−ティング膜面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを80μmに共押し出しコ−トした。
次に、上記の透明蒸着バリアフィルムの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、低密度ポリエチレンを使用し、厚さ30μmで押し出しながら、坪量200g/m2 の紙を、押し出しサンドラミネ−トし、更に、該紙の面に、高圧法低密度ポリエチレンを厚さ30μmに押し出しラミネ−トして、下記の構成からなる3種類の積層材を製造した。
厚さ30μmの低密度ポリエチレン層/坪量200g/m2 の紙層/厚さ30μmの低密度ポリエチレン層/厚さ12μmの二延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・プラズマ処理面・厚さ250Åの酸化ケイ素の蒸着膜/厚さ1μmのプライマ−剤層/厚さ80μmの低密度ポリエチレン層
上記で製造した積層材を使用し、まず、該積層材から紙容器形成用のブランク板を製造し、これを使用してその重合縁部を熱溶着して紙容器形成用の角形胴部を製造し、次に、該角形胴部の一方の底部を折り込みしシ−ルして底部を形成して紙容器を製造した。
次いで、上記の紙容器の上方の開口部から、内容物を充填し、しかる後開口部を屋根型にヒ−トシ−ルして屋根型の上方シ−ル部を形成して包装製品を製造した。
上記の製品は、高度のバリア性を有し、内容物の充填包装適性を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上の説明で明らかなように、本発明は、気体をア−ク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して表面改質を行なうプラズマ表面処理に着目し、まず、可撓性プラスチック基材の少なくとも一方の面に、プラズマ処理面を設け、更に、該プラズマ処理面の上に、無機酸化物の蒸着膜等の薄膜を設けて透明バリアフィルムを製造し、而して、該透明バリアフィルムの無機酸化物の薄膜面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層して積層材を製造し、更に、該積層材を使用して製袋または製函して包装用容器を製造し、而して、該包装用容器内に種々の物品を充填包装して、可撓性プラスチック基材と無機酸化物の蒸着膜等の薄膜との密着性に優れ、かつ、優れた透明性と高いバリア性を有し、更に、耐透湿性、保存適性等に優れ、また、後加工時にクラック等の発生もなく、極めて高い後加工適性を有し、更に、包装製品を電子レンジにかけても、十分にその電子レンジ適性を有し、包装用材料として種々の物品の包装適性を有するする透明バリアフィルム、それを使用した積層材および包装用容器を製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明にかかる透明バリアフィルムの層構成を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる透明バリアフィルムを使用して製造した積層材の層構成を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる透明バリアフィルムを使用して製造した積層材の層構成を示す断面図である。
【図4】本発明にかかる透明バリアフィルムを使用して製造した積層材の層構成を示す断面図である。
【図5】本発明にかかる透明バリアフィルムを使用した積層材を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明にかかる透明バリアフィルムを使用した積層材を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す平面図である。
【図7】本発明にかかる透明バリアフィルムを使用した積層材を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明にかかる透明バリアフィルムを使用した積層材を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す平面図である。
【図9】本発明にかかる透明バリアフィルムを使用した積層材を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す斜視図である。
【図10】巻き取り式蒸着機の一例を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
【0040】
1 可撓性プラスチック基材
2 プラズマ処理面
3 無機酸化物の薄膜
4 ヒ−トシ−ル性樹脂層
4a ヒ−トシ−ル性樹脂層
5 基材フィルム層
6 シ−ル部
7 貼着部
8 紙容器形成用のブランク板
9 側端部
10 側端シ−ル部
11 胴部
12 底部
13 上端シ−ル部
7a 貼着部
8a 紙容器形成用のブランク板
9a 側端部
10a 側端シ−ル部
11a 筒状胴部
14 円筒状の底板
14a 底部
15 底シ−ル部
16 引き剥がし片
17 飲み口
18 円筒状の蓋板
18a 蓋部
19 上部シ−ル部
111 真空チャンバ−
112 巻き出しロ−ル
113 可撓性プラスチック基材
114 コ−ティングドラム
115 蒸着チャンバ−
116 るつぼ
117 酸素吹き出し口
118 マスク
119 巻き取りロ−ル
A 透明バリアフィルム
B 積層材
C 積層材
D 積層材
E 三方シ−ル型の軟包装用容器
F 屋根型の紙製包装用容器
G 円筒状の紙缶状包装用容器
l 折罫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性プラスチック基材の少なくとも一方の面に、O2 またはO2 とN2 との混合物からなる反応性ガスを使用し、そのO2 またはO2 とN2 との混合物からなる反応性ガスの流量としては、上記の可撓性プラスチック基材600mm巾に対し、100〜5000l/minの範囲内、また、プラズマ処理速度としては、600V、10Aの条件下、50〜800m/minの範囲内からなるプラズマ処理条件でプラズマ処理を行い、上記の可撓性プラスチック基材表面にO基やOH基等の極性基を導入したプラズマ処理面を設け、次いで、該プラズマ処理面に、無機酸化物の薄膜を設けることを特徴とする透明バリアフィルムの製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−62651(P2008−62651A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258259(P2007−258259)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【分割の表示】特願平9−16017の分割
【原出願日】平成9年1月14日(1997.1.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】