説明

透明導電性積層体およびそれを用いたタッチパネル

【課題】透明基材と透明導電膜との間の密着力を向上させ、機械的耐久性と耐候的耐久性の両方を満たす透明導電性積層体およびその透明導電性積層体を電極材として用いたタッチパネルを提供する。
【解決手段】透明導電性積層体10は、少なくとも、透明基材1と、透明基材1の一方の面に設けた密着層3と、透明導電膜2とをこの順に備え、密着層3が、少なくとも二層以上からなる。密着層3は、金属又は無機化合物からなり、また、密着層3の厚みは、0.1nm以上10nm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力デバイスである透明なタッチパネルの電極材として用いられる透明導電性積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電子機器のディスプレイ上に入力デバイスとして、透明なタッチパネルが取り付けられている。タッチパネルの方式としては、抵抗膜式、静電容量式などが挙げられる。抵抗膜式では、上下の電極が接触することでタッチ位置を検出する。また、静電容量式では、指先などが触れた際の表面の静電容量の変化でタッチ位置を検出する。
【0003】
液晶パネルの細額縁化や使用環境の多様化により、ディスプレイに組み込まれるタッチパネルの高耐久化が求められている。そのためには、電極となる透明導電性積層体の高耐久化が必要不可欠である(例えば、特許文献1)。透明導電性積層体を高耐久化させる方法としては、基材と透明導電膜の間に密着層やクッション層を設ける方法などが挙げられる(例えば、特許文献2)。
【0004】
一方、近年、携帯電話などへの採用により、屋外で使用されるケースが増えるなど使用環境の多様化しているため、タッチパネルに用いられる透明導電性積層体には、ペンタッチなどに対する機械的耐久性だけでなく、太陽光などの環境変化に対する耐候的耐久性も求められる。
【0005】
機械的耐久性や耐候的耐久性を得るには、透明導電性積層体の、基材と透明導電膜の密着力をより高める必要がある。この密着力が小さいと、ペンタッチや環境変化の影響により、基材から透明導電膜が剥がれるなどして、電気特性や光学特性などの性能を失われることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−213886号公報
【特許文献2】特開2009−218034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのために、例えば、特許文献2に記載されているように、基材と透明導電膜の間に密着層やクッション層を設けた場合、基材と透明導電膜の密着力をある程度高めることは可能である。しかしながら、機械的耐久性と耐候的耐久性を満たすためには、より密着力を高める必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、機械的耐久性と耐候的耐久性の両方を満たす透明導電性積層体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、少なくとも、透明基材と、前記透明基材の一方の面に設けた密着層と、透明導電膜とをこの順に備える透明導電性積層体であって、前記密着層が、少なくとも二層以上からなることを特徴とする透明導電性積層体である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記密着層が、金属又は無機化合物からなることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記密着層の厚みが、0.1nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性積層体である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、前記密着層が、前記透明基材と前記透明導電膜との間の密着力を向上させるための層であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の透明導電性積層体である。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の透明導電性積層体を電極材として用いたタッチパネルである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、透明基材の一方の面に、少なくとも二層以上からなる密着層を設けることで、透明基材と透明導電膜の密着力を向上させ、透明導電性積層体の機械的耐久性および耐候的耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態の透明導電性積層体の断面の説明図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の透明導電性積層体の断面の説明図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の透明導電性積層体の断面の説明図である。
【図4】本発明の第4の実施形態の透明導電性積層体の断面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いながら説明する。なお、本発明は、以下に記載する実施の形態に限定されうるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更などの変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれるものである。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態の透明導電性積層体の断面の説明図である。透明導電性積層体10は、透明基材1と透明導電膜2と密着層3とから構成される。
【0018】
図2は、本発明の第2の実施形態の透明導電性積層体の断面の説明図である。透明導電性積層体20は、図1に示した透明導電性積層体10の、密着層3と透明導電膜2との間に、光学調整層4を設けた構成である。
【0019】
図3は、本発明の第3の実施形態の透明導電性積層体の断面の説明図である。透明導電性積層体30は、図1に示した透明導電性積層体10の、透明基材1と密着層3との間に樹脂層5を設けた構成である。
【0020】
図4は、本発明の第4の実施形態の透明導電性積層体の断面の説明図である。透明導電性積層体40は、図3に示した透明導電性積層体30の透明導電膜2と密着層3との間に光学調整層4を設けた構成である。
【0021】
本発明の実施形態に係る透明導電性積層体10、20、30、40は、それぞれ図1〜4のように、透明基材1と透明導電膜2との間に、透明基材1と透明導電膜2との間の密着力を向上させるための密着層3を設けている。透明基材1と透明導電膜2との間に設けた密着層3が、少なくとも二層以上からなることにより、透明基材1と透明導電膜2の密着力が向上し、タッチパネルに搭載したときの、機械的耐久性と耐候的耐久性の両方の耐久性を高めることができる。
【0022】
本発明で用いる透明基材1は、ガラスの他に、樹脂からなるプラスチックフィルムが用いられる。プラスチックフィルムとしては、成膜工程および後工程において十分な強度があり、表面の平滑性が良好であれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリアリレートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。その厚さは部材の薄型化と積層体の可撓性とを考慮し、10μm以上200μm以下程度のものが用いられる。
【0023】
透明基材1に含有される材料としては、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、易接着剤などが使用されてもよい。各層との密着性を改善するため、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理などを施してもよい。
【0024】
本発明で用いられる密着層3に用いられる材料としては、例えば、珪素、ニッケル、クロム、錫、金、銀、白金、亜鉛、チタン、タングステン、ジルコニウム、パラジウム等の金属、または、これら元素の2種類以上からなる化合物、または、これら元素の酸化物、弗化物、硫化物、窒化物、または、これら酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の混合物等が挙げられる。上記の材料のうち、酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の化学組成は、密着性が向上するならば、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。なお、本明細書中においては、上記元素の2種類以上からなる化合物、または、上記元素の酸化物、弗化物、硫化物、窒化物、または、これら酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の混合物等を全て無機化合物とする。
【0025】
密着層3は、上記の材料を用いて、二層以上からなることが好ましい。例えば、透明基材1側から順に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化クロムなどを用いて形成された第1の層と、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化クロムなどの第1の層と異なる材料を用いて形成された第2の層とを組み合わせて密着層3を形成することができる。特に、密着層3は、酸化珪素を用いて形成された第1の層と、酸化アルミニウムを用いて形成された第2の層とを組み合わせたものがより好ましい。
【0026】
密着層3の厚みは、密着層3を構成する二層以上の層全体として、0.1nm以上10nm以下であることが好ましい。密着層3の膜厚が0.1nm未満になると、膜の均一性が得にくくなり、十分な密着性が発現しなくなる。また密着層3の膜厚が10nmを超えると透明性が大きく低下してしまう。また、密着層3を構成する各層の厚みは、用いられる透明基材と透明導電膜の材料特性等によって適宜設定される。
【0027】
本発明で用いる樹脂層5は、透明導電性積層体10、20、30、40に機械的強度を持たせるために設けられる。用いられる樹脂としては、特に限定はしないが、透明性と適度な硬度と機械的強度を持つ樹脂が好ましい。具体的には、3次元架橋の期待できる3官能以上のアクリレートを主成分とするモノマー又は架橋性オリゴマーのような光硬化性樹脂が好ましい。
【0028】
3官能以上のアクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが好ましい。特に好ましいのは、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレートおよびポリエステルアクリレートである。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても構わない。また、これら3官能以上のアクリレートの他にエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリオールアクリレートなどのいわゆるアクリル系樹脂を併用することが可能である。
【0029】
架橋性オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどのアクリルオリゴマーが好ましい。具体的にはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ポリウレタンのジアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなどがある。
【0030】
樹脂層5は、その他に粒子、光重合開始剤などの添加剤を含有してもよい。
【0031】
添加する粒子としては、有機又は無機の粒子が挙げられるが、透明性を考慮すれば、有機粒子を用いることが好ましい。有機粒子としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂などからなる粒子が挙げられる。
【0032】
粒子の平均粒径は、樹脂層5の厚みによって異なるが、ヘイズ等の外観上の理由により、下限として2μm以上、より好ましくは5μm以上、上限としては30μm以下、好ましくは15μm以下のものを使用する。また、粒子の含有量も同様の理由で、樹脂に対し、0.5重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
【0033】
光重合開始剤を添加する場合、ラジカル発生型の光重合開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン、2、2、−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン類、メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類、チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、ベンゾフェノン、4、4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及びアゾ化合物などがある。これらは単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体などの光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。
【0034】
上記光重合開始剤の添加量は、主成分の樹脂に対して0.1重量%以上5重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以上3重量%以下である。下限値未満ではハードコート層の硬化が不十分となり好ましくない。また、上限値を超える場合は、ハードコート層の黄変を生じたり、耐候性が低下したりするため好ましくない。光硬化型樹脂を硬化させるのに用いる光は紫外線、電子線、あるいはガンマ線などであり、電子線あるいはガンマ線の場合、必ずしも光重合開始剤や光開始助剤を含有する必要はない。これらの線源としては高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプや加速電子などが使用できる。
【0035】
また、樹脂層5の厚みは、特に限定されないが、0.5μm以上15μm以下の範囲が好ましい。また、透明基材1と屈折率が同じかもしくは近似していることがより好ましく、1.45以上1.75以下程度が好ましい。
【0036】
樹脂層5の形成方法は、主成分である樹脂等を溶剤に溶解させ、ダイコーター、カーテンフローコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、スピンコーター、マイクログラビアコーターなどの公知の塗布方法で形成する。
【0037】
溶剤については、上記の主成分の樹脂等を溶解するものであれば特に限定しない。具体的には、溶剤として、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、などが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0038】
光学調整層4は、透明導電性積層体の透過率や色相を調整する機能を有し、視認性を向上させるための層である。光学調整層2として無機化合物を用いる場合、酸化物、硫化物、フッ化物、窒化物などの材料が使用可能である。上記無機化合物からなる薄膜は、その材料により屈折率が異なり、その屈折率の異なる薄膜を特定の膜厚で形成することにより、光学特性を調整することが可能となる。なお、光学機能層の層数としては、目的とする光学特性に応じて、複数層あってもよい。
【0039】
屈折率の低い材料としては、酸化マグネシウム(1.6)、二酸化珪素(1.5)、フッ化マグネシウム(1.4)、フッ化カルシウム(1.3〜1.4)、フッ化セリウム(1.6)、フッ化アルミニウム(1.3)などが挙げられる。また、屈折率の高い材料としては、酸化チタン(2.4)、酸化ジルコニウム(2.4)、硫化亜鉛(2.3)、酸化タンタル(2.1)、酸化亜鉛(2.1)、酸化インジウム(2.0)、酸化ニオブ(2.3)、酸化タンタル(2.2)が挙げられる。但し、上記括弧内の数値は屈折率を表す。
【0040】
透明導電膜2は、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズのいずれか、または、それらの2種類もしくは3種類の混合酸化物、さらには、その他添加物が加えられた物などが挙げられるが、目的・用途により種々の材料が使用でき、特に限定されるものではない。現在のところ、最も信頼性が高く、多くの実績のある材料は酸化インジウムスズ(ITO)である。
【0041】
最も一般的な透明導電膜である酸化インジウムスズ(ITO)を透明導電膜2として用いる場合、酸化インジウムにドープされる酸化スズの含有比はデバイスに求められる仕様に応じて、任意の割合を選択する。例えば、透明基材がプラスチックフィルムの場合、機械強度を高める目的で薄膜を結晶化させるために用いるスパッタリングターゲット材料は、酸化スズの含有比が10重量%未満であることが好ましく、薄膜をアモルファス化しフレキシブル性を持たせるためには、酸化スズの含有比は10重量%以上が好ましい。また、薄膜に低抵抗が求められる場合は、酸化スズの含有比は2重量%から20重量%の範囲が好ましい。
【0042】
光学調整層4および透明導電膜2の製造方法としては、膜厚の制御が可能であればいかなる成膜方法でも良く、なかでも薄膜の形成乾式法が優れている。これには真空蒸着法、スパッタリングなどの物理的気相析出法やCVD法のような化学的気相析出法を用いることができる。特に大面積に均一な膜質の薄膜を形成するために、プロセスが安定し、薄膜が緻密化するスパッタリング法が好ましい。
【実施例】
【0043】
次に実施例及び比較例について説明する。
【0044】
<実施例>
透明基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(188μm)を用い、PETフィルムの一方の面にスパッタリング法により密着層として、酸化珪素を3nm成膜し、さらに、酸化アルミニウムを3nm成膜した。続いて、スパッタリング法により光学調整層として酸化珪素及び酸化ニオブを、透明導電膜としてITOを成膜した透明導電性積層体を作成した。
<比較例>
透明基材としてPETフィルム(188μm)を用い、PETフィルムの一方の面にスパッタリング法により密着層として酸化アルミニウムを3nm成膜した。続いてスパッタリング法により光学調整層として酸化珪素及び酸化ニオブを、透明導電膜としてITOを成膜した透明導電性積層体を作成した。
【0045】
[耐候性試験]
耐候性試験には、ATLASキセノンウェザオメーターCi4000(東洋精機製作所製)を使用した。条件は次のように設定した。
照度:1.2W/m(420nm)
ブラックスタンダードパネル温度:40℃
槽内温度:20℃
槽内湿度:50%RH
試験時間:90時間
上記の条件で実施例、比較例で作成したそれぞれの透明導電性積層体に対して耐候性試験を行なった。
【0046】
[透明導電膜の密着力評価(クロスカット・テープピール評価)]
耐候性試験実施後の透明導電性積層体の透明導電膜表面に、カッターナイフで100升クロスカットを実施し、セロハンテープ(ニチバン製)を貼り付け、セロハンテープを剥離した後の表面を観察して、透明導電膜が剥がれたマス目数を数えた。剥がれたマス目数により密着力を比較した。
【0047】
耐候性試験後のクロスカット・テープピール評価の結果を表1に示す。比較例では6〜24マスの剥がれが発生したのに対し、実施例では剥がれは発生しなかった。実施例の作製方法は、比較例の作製方法に比べて、耐候性試験に対する耐久性が向上していることが確認できた。
【0048】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、電子機器のディスプレイ上に入力デバイスとして取り付けられる透明なタッチパネルに用いられる。特に、マルチタッチが可能なモバイル機器などに用いられる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・透明基材
2・・・透明導電膜
3・・・密着層
4・・・光学調整層
5・・・樹脂層
10、20、30、40・・・透明導電性積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、透明基材と、前記透明基材の一方の面に設けた密着層と、透明導電膜とをこの順に備える透明導電性積層体であって、
前記密着層が、少なくとも二層以上からなることを特徴とする透明導電性積層体。
【請求項2】
前記密着層が、金属又は無機化合物からなることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体。
【請求項3】
前記密着層の厚みが、0.1nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性積層体。
【請求項4】
前記密着層が、前記透明基材と前記透明導電膜との間の密着力を向上させるための層であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の透明導電性積層体。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の透明導電性積層体を電極材として用いたタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−206307(P2012−206307A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72148(P2011−72148)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】