説明

透明導電性積層体及び透明タッチパネル

【課題】従来透明タッチパネルに要求されていた筆記耐久性を向上させ、透明タッチパネル端部領域での筆記耐久性(端押し耐久性)を向上させた透明タッチパネルを提供すること。
【解決手段】透明有機高分子基板上の少なくとも一方面上に硬化樹脂層と透明導電膜層とが順次積層された透明導電性積層体であって、該硬化樹脂層が、硬化樹脂成分と、(A)合成ゴム成分または(B)ウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分のうちの少なくとも一成分と、1次粒子径が100nm以下の金属酸化物または金属フッ化物からなる超微粒子Aとから構成された透明導電性積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明有機高分子基板上に透明導電層を有する透明導電性積層体に関する。さらに詳しくは、本発明は透明有機高分子基板上に硬化樹脂層−1、透明導電層が順次積層された、透明タッチパネル用として好適な透明導電積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
情報表示端末と情報入力用の透明タッチパネルを搭載した携帯型情報端末が広く普及し始めた。透明タッチパネルとして多く用いられる抵抗膜方式の透明タッチパネルは、透明導電層が形成された2枚の透明電極基板がおよそ10μm〜100μmの間隔で相対させて構成されており、外力を加える部分のみで互いの透明導電層表面同士が接触してスイッチとして動作するものであり、例えば表示画面上のメニュー選択、図形・文字入力等を行うことができる。
【0003】
近年、透明タッチパネルの下に設置される液晶表示体などで狭額縁化が進み、これと同様に透明タッチパネルにも狭額縁化が進んできた。この狭額縁化に伴い従来透明タッチパネルに従来要求されていた筆記耐久性以外に、透明タッチパネル端部での筆記耐久性(端押し耐久性)が要求される傾向が強くなった。
【0004】
透明タッチパネルに要求される筆記耐久性を改善するために、透明高分子基板と透明導電層間に硬化樹脂層を導入することが提案されている(例えば、特許文献1、2等参照。)。
【0005】
しかしながら、これら提案されている技術では、硬化樹脂層の材質には特に限定がなく、例示としてシリコーンアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートが挙げられているに留まっており、これだけでは透明タッチパネルに要求されている端押し耐久性を十分に満足することは出来ない。
【0006】
また、非晶質な透明導電層と透明高分子基板との付着力(密着性)を特定の範囲内とすることも提案されているが(例えば、特許文献3参照。)、具体的に例示されているのはアルキルアクリレートを用いることであって、この方法でも十分な端押し耐久性を達成することができない。
【0007】
更に、透明プラスチックフィルム基材上に、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層、及び透明導電層を順次積層した透明導電性フィルムにおいて透明導電層面の硬度を0.4〜0.8GPaとすることも提案されているが(特許文献4参照。)、特に硬化型樹脂成分の限定はなく硬化物層の硬度を規定するだけであって、端押し耐久性試験後に硬化物層にクラックが発生し透明タッチパネルの電気特性が劣化してしまう問題が懸念される。更に硬化物層の硬度によっては、透明導電層の結晶化に伴う体積変化を支持することが出来ず透明導電層面に細かいしわが入り干渉模様が観察されるようになり、透明導電性フィルムのヘーズが上昇する問題もある。
【0008】
【特許文献1】特開平8−155988号公報
【特許文献2】特開平11−034207号公報
【特許文献3】特開平11−224539号公報
【特許文献4】特開2002−163932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来透明タッチパネルに要求されていた筆記耐久性は当然のことながら、透明タッチパネル端部領域での筆記耐久性(端押し耐久性)を向上させた透明タッチパネルを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
合成ゴム成分またはウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分のうちの少なくとも一成分と、硬化樹脂成分とを混合して硬化樹脂層を形成する場合、合成ゴム成分及び/又はウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分の含有量が多い硬化樹脂層の場合では、形成された硬化樹脂層は低弾性で柔軟性のある層となる。
【0011】
このように形成された硬化樹脂層では、低弾性であるがために透明導電膜層の結晶化に伴う体積変化を支持することが出来ず、透明導電層面に細かいしわが透明導電層の結晶化にともない発生し透明導電性積層体のヘーズが上昇し、透明導電性積層体が白化または干渉模様が観察されるようになる。
【0012】
反対に合成ゴム成分またはウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分が含まれない硬化樹脂層、例えばハードコート層等では形成された硬化樹脂層は硬く柔軟性がない層となり、透明タッチパネルに要求される端押し耐久試験時に硬化樹脂層にクラックが生じ透明タッチパネルとして電気特性(リニアリティー)を確保することが出来なくなる。
【0013】
本発明者らは前記の問題を、合成ゴム成分または/およびウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分と、硬化樹脂成分とから構成される硬化樹脂層中に、1次粒子径が100nm以下の超微粒子を添加することにより解決できることを見出した。つまり、硬化樹脂層中に柔軟性や低弾性に寄与する合成ゴム成分または/およびウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分と硬さに寄与する超微粒子を硬化樹脂層中に均一に存在させることにより、柔軟性と硬さを両立した硬化樹脂層を形成することを見出し、更に添加する超微粒子の1次粒子径を100nm以下に制御することにより、超微粒子を添加したことによる硬化樹脂層の白化やヘーズ上昇がなく透明な硬化樹脂層を形成することが可能となった。
【0014】
これにより合成ゴム成分または/およびウレタンアクリレートをモノマー成分とする樹脂成分の含有量が多い硬化樹脂層でも超微粒子を適当量添加することにより、透明導電膜層の結晶化に伴う体積変化を支持することも可能となり透明導電性積層体が白化やヘーズ上昇することなく、更に透明タッチパネルに要求される端押し耐久時に硬化樹脂層にクラックが生じることもなく良好な電気特性を確保することが可能となった。
【0015】
本発明により透明タッチパネルに要求される筆記耐久性だけでなく、端押し耐久性についても高信頼性を確保できる透明導電性積層体及び透明タッチパネルを提供することが可能となった。
【0016】
すなわち、本発明は以下の通りである。
第1の発明は、透明有機高分子基板上の少なくとも一方面上に硬化樹脂層−1と透明導電膜層とが順次積層された透明導電性積層体であって、該硬化樹脂層−1が、硬化樹脂成分と、(A)合成ゴム成分または(B)ウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分のうちの少なくとも一成分と、1次粒子径が100nm以下の金属酸化物または金属フッ化物からなる超微粒子Aとから構成され、且つ該硬化樹脂層−1は、硬化樹脂成分100重量部に対して(A)または(B)のうちの少なくも一方が10重量部以上であって、合計量で800重量部以下、超微粒子Aが10重量部以上400重量部以下含有しており、更に押し込み硬さ試験(インデンテーションテスター・設定押し込み深さ:0.5μm)で測定した硬化樹脂層−1のヤング率(W)が5.9GPa≦W≦9.8GPa(600kgf/mm≦W≦1000kgf/mm)、塑性変形硬さ(HV)が4.7×10Pa≦HV≦8.5×10Pa(5kgf/mm≦HV≦85kgf/mm)の範囲にあることを特徴とする、透明導電性積層体である。
【0017】
第2の発明は、硬化樹脂層−1と透明導電膜層との間に更に、屈折率が1.20〜1.55の範囲にあり、且つ膜厚が0.05〜0.5μmである、硬化樹脂層−2を有する、第1の発明の透明導電性積層体である。
【0018】
第3の発明は、硬化樹脂層−2に、平均1次粒子径が、硬化樹脂層−2の膜厚の1.1倍以上1.2μm以下の微粒子Bを、硬化樹脂層−2を形成する硬化樹脂成分を基準として0.01重量%以上0.5重量%以下含有する、第2の発明の透明導電性積層体。
【0019】
第4の発明は、硬化樹脂層‐1と透明導電膜層との間に、少なくとも1層の低屈折率層と少なくとも1層の高屈折率層とからなる光学干渉層を有し、且つ低屈折率層と透明導電膜層とが接している、第1の発明の透明導電性積層体である。
【0020】
第5の発明は、高屈折率層と該低屈折率層との少なくとも一方の層に、平均1次粒子径が光学干渉層の膜厚の1.1倍以上1.2μm以下の微粒子Bを、該微粒子Bを含有する層を形成する硬化樹脂成分を基準として0.01重量%以上0.5重量%以下含有する、第4の発明の透明導電性積層体である。
【0021】
第6の発明は、透明導電膜層が酸化インジウムを主成分とした結晶質の膜であって、且つその膜厚が5〜50nmである、第1〜5のいずれかの発明の透明導電性積層体である。
【0022】
第7の発明は、少なくとも片面に透明導電層が設けられた2枚の透明電極基板が互いの透明導電層同士が向き合うように配置されて構成された透明タッチパネルにおいて、少なくとも一方の透明電極基板として第1〜6のいずれかに記載の透明導電性積層体を用いたことを特徴とする透明タッチパネルである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来透明タッチパネルに要求されていた筆記耐久性は当然のことながら、透明タッチパネル端部領域での筆記耐久性(端押し耐久性)を向上させた透明タッチパネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
硬化樹脂層−1の説明
本発明に用いられる硬化樹脂層−1は、硬化樹脂成分と、(A)合成ゴム成分または(B)ウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分のうちの少なくとも一方と、1次粒子径が100nm以下の金属酸化物または金属フッ化物からなる超微粒子Aで構成されている。
【0025】
硬化樹脂成分と、合成ゴム成分または/およびウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分とを混合することにより、柔軟でかつ低弾性の硬化樹脂層を形成することが可能である。
【0026】
しかし硬化樹脂成分と合成ゴム成分または/およびウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分を所定の含有量またはそれ以上で混合した場合、硬化樹脂層の硬さが不足するため透明導電膜の結晶化に伴う体積変化を支持することが出来ず透明導電膜層に細かいしわが発生し、透明導電性積層体のヘーズ上昇や白化する問題がある。
【0027】
また、合成ゴム成分または/およびウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分を所定の含有量より下げて添加した場合、硬化樹脂層の硬さを確保することは可能であるが、柔軟性が得られなくなり端押し耐久性時に硬化樹脂層にクラックが発生し電気特性(リニアリティ−)を確保することが困難となる。
【0028】
なお、硬化樹脂成分と超微粒子Aとを所定の含有量で混合することでも硬化樹脂層成分単独で形成された層より硬い硬化樹脂層が得られるが、形成された層には柔軟性がなく、前記層を使用した透明タッチパネルでは、端押し耐久性時にクラックが発生し電気特性(リニアリティー)を確保することは困難である。
【0029】
本発明のように、硬化樹脂成分に合成ゴムまたは/およびウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分と超微粒子を一緒に混合することにより、合成ゴム成分または/およびウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分の柔軟性を残したまま、超微粒子で硬化樹脂層の硬さを向上するが可能となり、透明タッチパネルに要求されている端押し耐久性試験時にクラックが発生することなく、更に結晶質の透明導電膜層を得るための加熱処理時に透明導電性積層体のヘーズが上昇することがない硬化樹脂層を得ることが出来る。
【0030】
つまり硬化樹脂層−1は、硬化樹脂成分100重量部に対して(A)合成ゴム成分または(B)ウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分のうちの少なくとも一方が10重量部以上であって、合計量で800重量部以下、超微粒子Aが10重量部以上400重量部以下含有している。ここで、合成ゴム成分またはウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分の含有量が10重量部未満では、形成された硬化樹脂層に柔軟性がなく、逆に合計含有量が400重量部より多い場合では、超微粒子Aを多量に添加する必要があり、その際形成された硬化樹脂層には透明高分子基板との密着性が不足するという問題が生じる。
【0031】
本発明における、硬化樹脂層−1の押し込み硬さ試験(インデンテーションテスター・設定押し込み深さ:0.5μm)で測定した場合、ヤング率(W)は硬さ、塑性変形硬さ(HV)は柔軟性の指標となり、硬化樹脂層−1のヤング率(W)が5.9GPa≦W≦9.8GPa(600kgf/mm≦W≦1000kgf/mm)、塑性変形硬さ(HV)が4.7×10Pa≦HV≦8.5×10Pa(5kgf/mm≦HV≦85kgf/mmの範囲である。
【0032】
更に、上述の範囲は好ましくは、6.9GPa≦W≦9.4GPa(700kgf/mm≦W≦950kgf/mm)、9.8×10Pa≦HV≦6.9×10Pa(10kgf/mm≦HV≦70kgf/mm)である。
【0033】
特に、上述の範囲は、6.9GPa≦W≦8.9GPa(700kgf/mm≦W≦900kgf/mm)、2.0×10Pa≦HV≦6.9×10Pa(20kgf/mm≦HV≦65kgf/mmであることが好ましい。
【0034】
ヤング率(W)が5.9GPa(600kgf/mm)未満で尚且つ塑性変形硬さ(HV)が4.7×10Pa(20kgf/mm)未満では、硬化樹脂層に充分な柔軟性はあるものの硬さない。反対にヤング率(W)が9.8GPa(1000kgf/mm)を超えて尚且つ塑性変形硬さ(HV)が8.5×10Pa(85kgf/mm)を超える場合には硬化樹脂層に充分な硬さはあるものの柔軟性がないため硬化樹脂層として適当ではない。
【0035】
(A)合成ゴム成分
本発明の合成ゴム成分としては、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロスフォン化ゴム、塩素化ポリエチレン、ニトリルゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。これら合成ゴムのブロックコポリマー、およびこれらを単独または複数を組合せて使用しても良い。
【0036】
合成ゴム成分の含有量は、硬化樹脂成分100重量部に対して10重量部以上400重量部以下である。好ましくは30重量部以上300重量部以下、更に好ましくは50重量部以上250重量部以下である。合成ゴム成分の含有量が10重量部以下では硬化樹脂層に充分な柔軟性を得ることができず、また400重量部以上では超微粒子を硬化樹脂層に添加をしても硬化樹脂層の硬さを確保することが困難となるため適当ではない。
【0037】
(B)ウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分
ウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分は、ジオールなどのポリオールを、ジイソシアネートなどの多官能性イソシアネートと反応させ、次にヒドロキシ官能性アクリレートで末端を封止されたものである。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、炭化水素ポリオール等が挙げられる。これらポリオールのコポリマー、およびこれらを単独または複数を組合せて使用しても良い。ポリオールの数平均分子量は、約200〜10000が好ましく、更に好ましくは500〜5000である。
【0038】
ポリオールの数平均分子量が200未満のものを使用した場合、形成された硬化樹脂層のヤング率が大きくなり、所定の硬化樹脂層を得ることが困難になり、更に透明タッチパネルに必要な電気特性を確保することが困難となる。
【0039】
また、ポリオールの数平均分子量が10000を超えるものとした場合、形成された硬化樹脂層のヤング率が極端に小さくなり加工適正が悪くなる。更には透明導電膜層を支持できなくなる問題が生じる可能性もある。
【0040】
ウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分の含有量は、硬化樹脂成分100重量部に対して10重量部以上400重量部以下である。好ましくは30重量部以上300重量部以下、更に好ましくは50重量部以上250重量部以下である。ウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分の含有量が10重量部以下では硬化樹脂層に充分な柔軟性を得ることができず、また400重量部以上では超微粒子を硬化樹脂層に添加をしても硬化樹脂層の硬さを確保することが困難となるため適当ではない。
【0041】
硬化樹脂成分
上記ウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分と合成ゴム以外の硬化樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂等が挙げられる。
【0042】
電離放射線硬化型樹脂を与えるモノマーとしては、例えばポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、上記以外の硬い層を与えるウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、変性スチレンアクリレート、メラミンアクリレート、シリコン含有アクリレート等の単官能及び多官能アクリレートを挙げることができる。
【0043】
具体的なモノマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールポロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールポロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリプロピレングリコールトリアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エポキシ変性アクリレート、ウレタン変性アクリレート、エポキシ変性アクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。
【0044】
これらは単独で用いても、数種類を混合して用いてよく、また場合によっては、各種アルコキシシランの加水分解物を適量添加してもよい。なお、電離放射線によって樹脂層の重合を行う場合には公知の光重合開始剤が適量添加される。また必要に応じ光増感剤を適量添加してもよい。
【0045】
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾイルベンゾエート、チオキサンソン類等が挙げられ、光増感剤としては、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
【0046】
熱硬化型樹脂としては、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のシラン化合物をモノマーとしたオルガノシラン系の熱硬化型樹脂やエーテル化メチロールメラミン等をモノマーとしたメラミン系熱硬化型樹脂、イソシアネート系熱硬化型樹脂、フェノール系熱硬化型樹脂、エポキシ硬化型樹脂等が挙げられる。これら硬化樹脂を単独又は複数組合せて使用することも可能である。また必要に応じ熱可塑性樹脂を混合することも可能である。なお、熱によって樹脂層の架橋を行う場合には公知の反応促進剤、硬化剤を適量添加される。
【0047】
反応促進剤としては、例えばトリエチレンジアミン、ジブチル錫ジラウレート、ベンジルメチルアミン、ピリジン等が挙げられる。硬化剤としては、例えばメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′―ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
【0048】
希釈溶剤としては、アルコール系、炭化水素系の溶剤、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、リグロイン等が好ましい。合成ゴムを使用する場合は、キシレン、トルエン、ケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を使用するのが好ましい。この他に、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の極性溶媒も使用可能である。これらのものは単独あるいは2種類以上の混合溶剤として用いることが出来る。
【0049】
超微粒子A
本発明の超微粒子Aの平均1次粒子径は100nm以下であることが必要であり、好ましくは50nm以下である。該超微粒子Aの1次粒子径を100nm以下に制御することにより、塗膜が白化することなく良好な硬化樹脂層を形成することができる。
【0050】
該超微粒子Aとしては、例えばBi、CeO、In、(In・SnO)、HfO、La、MgF、Sb、(Sb・SnO)、SiO、SnO、TiO、Y、ZnO、ZrOなどの金属酸化物または金属フッ化物の超微粒子が例示される。
【0051】
超微粒子Aの含有量は、硬化樹脂成分100重量部に対して10重量部以上400重量部以下である。好ましくは30重量部以上300重量部以下、更に好ましくは50重量部以上250重量部以下である。超微粒子Aの含有量が10重量部未満では硬化樹脂層に充分な硬さを得ることができず、また400重量部を超えると合成ゴム成分またはウレタンアクリレートモノマーとする樹脂成分を硬化樹脂層に添加をしても硬化樹脂層の柔軟性を確保することが困難となる。
【0052】
ここで、硬化樹脂層−1の形成方法としては、ドクターナイフ、バーコーター、グラビアロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、スピンコータ−等の公知の塗工機械を用いる方法、スプレー法、浸漬法等が用いられる。実際の塗工法としては、前記のモノマー化合物等を各種有機溶剤に溶解して、濃度や粘度を調節した塗工液を用いて、透明有機高分子基板上に塗工後、放射線照射や加熱処理等により層を硬化させる方法が挙げられる。
【0053】
なお、透明タッチパネルを作製した時の可動電極と固定電極との間の干渉によりニュートンリングが観察されることがある。この干渉を光学的に散乱させることによりニュートンリングを防止するため、硬化樹脂層−1を粗面化してもよい。
【0054】
硬化樹脂層−1を粗面化する手法としては、超微粒子A以外の1次粒子径が0.01μm以上5μm以下の微粒子を単独、または1次粒子径の異なる2種類以上の微粒子を組合せて硬化樹脂層−1に分散させる。
【0055】
前記手法により粗面化された硬化樹脂層−1のJIS B0601で定義される十点平均粗さ(Rz)が、1000Å以上4000Å以下であり、かつ算術平均粗さ(Ra)が、100Å以上500Å以下で、更にかつJIS K7136で定義されるヘーズが5%以下である場合には、ニュートンリングを防止することができる。
【0056】
透明有機高分子基板
本発明に用いられる透明有機高分子基板を構成する有機高分子化合物としては、耐熱性に優れた透明な有機高分子であれば特に限定は無く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリジアリルフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、セルロースアセテート樹脂、環状ポリオレフィン、ノルボルネン樹脂等が挙げられる。もちろんこれらはホモポリマー、コポリマーとして、あるいは単独またはポリマーブレンドとしても使用し得る。
【0057】
これら透明有機高分子基板は一般的な溶融押出し法もしくは溶液流延法等により好適にフィルム状に成形されるが、必要に応じて成形した透明有機高分子フィルムに一軸延伸もしくはニ軸延伸を実施して、機械的強度を高めたり、光学的機能を高めたりすることも好ましく行われる。
【0058】
本発明の透明導電積層体を透明タッチパネルの可動電極基板として用いる場合には、透明タッチパネルをスイッチとして動作させるための可撓性と平坦性を保つ為の強度の点から、基板形状としての厚みは75〜400μmのフィルム状のものが好ましい。固定電極基板として用いる場合は平坦性を保つ為強度の点から厚さ0.4〜4.0mmのシート状のものが好ましいが、厚さ50〜400μmのフィルム状のものを他のシートと貼り合わせ、全体の厚さを0.4〜4.0mmになるような構成にして用いても良い。
【0059】
本発明の透明導電積層体を透明タッチパネルの可動電極基板として用いた場合には、固定電極基板には前記有機高分子フィルム基板、ガラス基板あるいはこれらの積層体基板上に透明導電層を形成したものを用いても良い。透明タッチパネルの強度、重量の点から、単層又は積層体よりなる固定電極基板の厚さは0.4〜4.0mmが好ましい。
【0060】
また、最近では透明タッチパネルの入力側(使用者側)の面に偏光板または、(偏光板+位相差フィルム)を積層した構成の新しいタイプの透明タッチパネルが開発されてきている。この構成の利点は主として前記偏光板または、(偏光板+位相差フィルム)の光学作用によって、透明タッチパネル内部における外来光の反射率を半分以下に低減し、透明タッチパネルを設置した状態でのディスプレイのコントラストを向上させることにある。
【0061】
このようなタイプの透明タッチパネルでは、偏光が透明導電積層体を通過することから、透明有機高分子フィルムとして光学等方性に優れた特性を有するものを用いる事が好ましく、具体的には基板の遅相軸方向の屈折率をn、進相軸方向の屈折率をn、基板の厚みをd(nm)とした場合にR=(n−n)・d(nm)で表される面内リターデーション値Reが少なくとも30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。なお、ここで基板の面内リターデーション値は多波長複屈折率測定装置(日本分光株式会社製分光エリプソメーターM−150)を用いて測定した波長590nmでの値により代表した。
【0062】
この様に例示した透明導電性積層体を偏光が通過するタイプの透明タッチパネルの用途においては、透明電極基板の面内リターデーション値が非常に重要であるが、これに加えて透明電極基板の三次元屈折率特性、すなわち基板の膜厚方向の屈折率をnとした時にK={(n+n)/2−n}・dで表されるK値が−250〜+150nmであることが好ましく、−200〜+100nmの範囲にあることが透明タッチパネルの優れた視野角特性を得る上でより好ましい。
【0063】
これらの光学等方性に優れた特性を示す透明有機高分子フィルムとしては、例えば、ポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、非晶性ポリオレフィンおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等の成型基板、エポキシ系樹脂等の熱硬化型樹脂の成形基板やアクリル樹脂等の紫外線硬化型樹脂の成形基板等が例示される。成形性や製造コスト、熱的安定性等の観点から、ポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、非晶性ポリオレフィンおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等の成型基板が最も好ましく挙げられる。
【0064】
より具体的には、ポリカーボネートとしては例えば、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、フルオレン−9,9−ジ(4−フェノール)、フルオレン−9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)等からなる群から選ばれる少なくとも一つの成分をモノマー単位とする重合体や共重合体またはこれらの混合物であり、平均分子量がおよそ15000〜100000の範囲のポリカーボネート(商品としては、例えば帝人化成株式会社製「パンライト」やバイエル社製「Apec HT」等が例示される。)の成型基板が好ましく用いられる。
【0065】
また、非晶性ポリアリレートとしては、商品として鐘淵化学工業株式会社製「エルメック」、ユニチカ株式会社製「Uポリマー」、イソノバ社製「イサリル」等の成型基板が例示される。
【0066】
また、非晶性ポリオレフィンとしては、商品として日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」やJSR株式会社製「アートン」等の成型基板が例示される。
【0067】
またこれらの高分子材料の成形方法としては、溶融押出法や溶液流延法、射出成型法等の方法が例示されるが、優れた光学等方性を得る観点からは、特に溶液流延法を用いて成形を行うことが好ましい。
【0068】
硬化樹脂層−2
本発明においては、硬化樹脂層―1と透明導電膜層との間に、更に、屈折率が1.20〜1.55の範囲にあり、且つ膜厚が0.05〜0.5μmである、硬化樹脂層―2を用いることが好ましく、用いられる硬化樹脂層−2としては、電離放射線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂等が挙げられる。
【0069】
電離放射線硬化性樹脂としては、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、変性スチレンアクリレート、メラミンアクリレート、シリコン含有アクリレート等の単官能及び多官能アクリレート系モノマーからなる電離放射性線硬化型樹脂等がある。
【0070】
熱硬化型樹脂としては、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノシラン系の熱硬化型樹脂(アルコキシシラン)やエーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化型樹脂やイソシアネート系熱硬化型樹脂、フェノール系熱硬化型樹脂、エポキシ硬化型樹脂等が挙げられる。これら硬化樹脂を単独又は複数組合せて使用することも可能である。また必要に応じ熱可塑性樹脂を混合することも可能である。
【0071】
なお、熱によって樹脂層の架橋を行う場合には公知の反応促進剤、硬化剤を適量添加される。反応促進剤としては、例えばトリエチレンジアミン、ジブチル錫ジウラレート、ベンジメチルアミン、ピリジン等が挙げられる。硬化剤としては、例えばメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)等が挙げられる。
【0072】
アルコキシシランは加水分解ならびに縮合重合して稿かするが、アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
【0073】
これらのアルコキシシランは、層の機械的強度や密着性及び耐溶剤性等の観点から二種類以上を混合して用いることが好ましく、特に耐溶剤性の観点から、アルコキシシランの全組成中に重量比率0.5〜40%の範囲で、分子内にアミノ基を有するアルコキシシランが含有されていることが好ましい。
【0074】
アルコキシシランは、モノマーで用いてもあらかじめ加水分解と脱水縮合を行って適度にオリゴマー化して用いても良いが、通常、適当な有機溶剤に溶解、希釈した塗工液を基板上に塗工する。基板上に形成された塗膜は、空気中の水分等により加水分解が進行し、続いて、脱水縮合により架橋が進行する。
【0075】
一般に、架橋の促進には適当な加熱処理が必要であり、塗工工程において100℃以上の温度で数分間以上の熱処理を施すことが好ましい。また場合によっては、前記熱処理と並行して、紫外線等の活性光線を塗膜に照射することにより、架橋度をより高めることが出来る。
【0076】
希釈溶剤としては、アルコール系、炭化水素系の溶剤、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、リグロイン等が好ましい。この他に、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソブチル等の極性溶媒も使用可能である。これらのものは単独あるいは2種類以上の混合溶剤として用いることが出来る。
【0077】
また塗工には、ドクターナイフ、バーコーター、グラビアロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、スピンコータ−等の公知の塗工機械を用いる方法、スプレー法、浸漬法等が用いられる。
【0078】
また、硬化樹脂層−2の屈折率を前記の範囲に調整するために、平均1次粒子径が100nm以下の金属酸化物または金属フッ化物からなる超微粒子Cまたは/及びフッ素系樹脂を単独または複数組合せて添加して用いても良い。硬化樹脂層−2の屈折率は、硬化樹脂層−1の屈折率より小さく、且つ屈折率が1.20〜1.55であることが好ましく、更に好ましくは1.20〜1.45である。硬化樹脂層−2の膜厚は0.05〜0.5μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.3μmである。
【0079】
該超微粒子Cの平均1次粒子径は100nm以下が好ましく、更に好ましくは50nm以下である。該超微粒子Cの1次粒子径を100nm以下に制御することにより、塗膜が白化することなく良好な光学干渉層を形成することができる。
【0080】
該超微粒子Cとしては、例えばBi、CeO、In、(In・SnO)、HfO、La、MgF、Sb、(Sb・SnO)、SiO、SnO、TiO、Y、ZnO、ZrOなどの金属酸化物または金属フッ化物の超微粒子が例示され、好ましくはMgF、SiO等の屈折率が1.55以下の金属酸化物または金属フッ化物の超微粒子である。
【0081】
該超微粒子Cの含有量は、熱硬化型樹脂または/及び電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して10〜400重量部、好ましく30〜400重量部、更に好ましくは50〜300重量部である。超微粒子Cの含有量が400重量部では、膜強度や密着性が不充分となる場合があり、一方超微粒子の含有量が10重量部以下では所定の屈折率が得られなくなる場合がある。
【0082】
フッ素系樹脂としては、例えばフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、フルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−プロモ−3,3,3−トリフルオロエチレン、3−プロモ−3,3−ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸等のフッ素原子を有するモノマー成分を5〜70重量%を含有されたものが例示される。
【0083】
フッ素系樹脂の含有量は、熱硬化型樹脂または/及び電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して50〜300重量部、好ましくは100〜300重量部、更に好ましくは150〜250重量部である。フッ素系樹脂の含有量が300重量部以上では、膜強度や密着性が不充分となる場合あり、一方フッ素系樹脂の含有量が50重量部以下では所定の屈折率が得られなくなる場合がある。
【0084】
微粒子B
本発明において、硬化樹脂層-2または光学干渉層の膜厚の1.1倍以上でなおかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の微粒子Bが含有される。これにより、透明導電層表面が粗面化され、透明タッチパネルを構成する固定電極基板と可動電極基板の両透明導電層表面同士の引っ付き現象による誤作動を抑制することが可能となった。更に添加する微粒子の平均1次粒子径を制御することにより、液晶から出たRGB三原色光の散乱によるギラツキを生じない範囲で透明導電層表面を粗面化することができる。
【0085】
また、硬化樹脂層-2及び光学干渉層を構成する高屈折率層と低屈折率層の少なくとも一方に添加する微粒子Bの添加量を、微粒子Bが添加された層を構成する硬化樹脂成分の0.01重量%以下0.5重量%以下にすることにより、可動電極基板、固定電極基板の両透明導電層表面同士の引っ付き現象による透明タッチパネルの誤動作抑制効果を損なわずに白濁の無い良好な光学干渉層を形成することができる。微粒子Bを、過剰に光学干渉層を構成する高屈折率層と低屈折率層の少なくとも一方に添加した場合、添加した微粒子が脱落しやすくなることや、硬化樹脂層-2または光学干渉層とハードコート層間の密着性が低下しタッチパネルに要求される筆記耐久性の信頼性を損なうことがある。微粒子Bは、高屈折率層のみに含有されていることが好ましいが、高屈折率層と低屈折率層の両方に含有されていてもよい。
【0086】
本発明の光学干渉層を構成する高屈折率層と低屈折率層の少なくとも一方に添加する微粒子Bとしては、例えばシリカ微粒子、架橋アクリル微粒子、架橋ポリスチレン微粒子等が挙げられる。
【0087】
該微粒子Bの平均1次粒子径は、硬化樹脂層-2または光学干渉層の膜厚の1.1倍以上でなおかつ平均1次粒子径が1.2μm以下である。該微粒子の平均1次粒子径が光学干渉層の膜厚の1.1倍未満である場合、透明導電層表面を粗面化することは困難である。一方、該微粒子Bの平均1次粒子径が1.2μmを超える場合、硬化樹脂層-2または光学干渉層を構成する高屈折率層と低屈折率層の少なくとも一方にこの様な微粒子を添加した透明導電性積層体を用いた透明タッチパネルを高精細カラー液晶画面上に設置し、透明タッチパネルを介して液晶画面を観察した時に、液晶画面はぎらついて見え、表示品位が低下してしまう。更に該微粒子の平均1次粒子径が1.2μmを超える場合、微粒子を添加している硬化樹脂層-2または光学干渉層の膜厚より平均1次粒子径が極端に大きくなる為、添加した微粒子が硬化樹脂層-2または光学干渉層から脱落しやすく、透明タッチパネルに要求される筆記耐久性などの信頼性を確保することが困難となる。
【0088】
硬化樹脂層-2または光学干渉層を構成する高屈折率層と低屈折率層の少なくとも一方に微粒子Bを含有させる場合、硬化樹脂層-1が実質的に粗面化されていないことが好ましい。
【0089】
光学干渉層
本発明で用いられる光学干渉層は、少なくとも一層の高屈折率層と少なくとも一層の低屈折率層より構成される。高屈折率層と低屈折率層の組み合わせ単位を二つ以上とすることも出来る。光学干渉層が一層の高屈折率層と一層の低屈折率層から構成される場合、光学干渉層の膜厚は30nm〜300nmが好ましく、更に好ましくは50nm〜200nmである。
【0090】
本発明の光学干渉層を構成する高屈折率層は、金属アルコキシドを加水分解ならびに縮合重合して形成された層、または少なくとも1種類以上の金属アルコキシドを加水分解ならびに縮合重合してなる成分と前記硬化樹脂層−2に記載の平均1次粒子径が100nm以下の金属酸化物または金属フッ化物からなる層である。
【0091】
本発明に用いる金属アルコキシドとして、チタニウムアルコキシド及びジルコニウムアルコキシド,アルコキシシランを挙げることが出来る。
【0092】
チタニウムアルコキシドとしては、例えばチタニウムテトライソプロポキシド、テトラ−n−プロピルオルトチタネート、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタネート等が例示される。
ジルコニウムアルコキシドとしては、例えばジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド等が例示される。
アルコキシシランとしては、前記硬化樹脂層−2と同じである。
【0093】
該高屈折率層中には、前記記載の金属酸化物または金属フッ化物からなる、平均1次粒子径が100nm以下の前記記載の超微粒子Cを単独または2種類以上適当量添加することができる。該超微粒子Cを添加することにより該高屈折率層の屈折率を調整することが可能である。
【0094】
該高屈折率層中に該超微粒子Cを添加する場合、超微粒子Cと金属アルコキシドの重量比率は、0:100〜66.6:33.3であることが好ましく、更に好ましくは0:100〜60:40である。超微粒子Cと金属アルコキシドの重量比率が66.6:33.3を超える場合は光学干渉層に必要な強度や密着性が不足することがあり、好ましくない。
【0095】
該高屈折率層の厚さとしては、好ましくは15〜250nm、より好ましくは30〜150nmである。
また該高屈折率層の屈折率は、後述する低屈折率層及びの屈折率より大きく、その差が0.2以上であることが好ましい。
【0096】
本発明の光学干渉層を構成する低屈折率層は、前記硬化樹脂層−3と同じである。該低屈折率層の厚さとしては、好ましくは15〜250nm、より好ましくは30〜150nmである。
【0097】
透明導電膜層
本発明においては、硬化樹脂層-1上に透明導電膜が設けられる。上記硬化樹脂層-1上に透明導電膜を設けることにより、透明導電性積層体の筆記耐久性等の機械特性が向上する。ここで透明導電層としては、酸化錫を2〜20重量%含むITO膜やアンチモンまたはフッ素等をドープした酸化錫膜がある。透明導電層の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法あるいは塗工法、印刷法、CVD法があるが、PVD法またはCVD法が好ましい。
【0098】
PVD法またはCVD法の場合、透明導電層の厚さは、透明性と導電性の点から5〜50nmが好ましく、更に好ましくは10〜30nmである。透明導電膜層の膜厚が10nm未満では抵抗値の経時安定性に劣る傾向が有り,また30nmを超えると透明導電性積層体の透過率が低下するため好ましくない。透明タッチパネルの消費電力の低減と回路処理上の必要等から、膜厚10〜30nmにおいて表面抵抗値が100〜2000Ω/□(Ω/sq)、より好ましくは140〜2000Ω/□(Ω/sq)の範囲を示す透明導電膜層を用いることが好ましい。
【0099】
更に、透明導電層として実質的100%として結晶質の酸化インジウムよりなる膜がより好ましい。特に結晶粒径が3000nm以下の主として結晶質のインジウム酸化物からなる層が好ましく用いられる。結晶粒径が3000nmを超えると筆記耐久性が悪くなるため好ましくない。ここで結晶粒径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)下で観察される多角形状または長円状の各領域における対角線または直径の中で最大のものを定義する。
【0100】
ハードコート層
本発明の透明導電性積層体を可動電極基板として用いた場合は、透明タッチパネルで外力が加わる面には、ハードコート層を設けることが好ましい。ハードコート層を形成するための材料としては、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノシラン系の熱硬化型樹脂やエーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化型樹脂、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂、エポキシアクリレート等の多官能アクリレート系紫外線硬化型樹脂等があり、必要に応じて、SiOやMgF等の超微粒子等を混合したものを用いることができる。ハードコート層の厚さは、可撓性、耐摩擦性の点から2〜5μmが好ましい。
【0101】
ハードコート層は塗工法により形成することが出来る。実際の塗工法としては、前記の化合物を各種有機溶剤に溶解して、濃度や粘度を調節した塗工液を用いて、透明有機高分子フィルム上に塗工後、放射線照射や加熱処理等により層を硬化させる。塗工方式としては例えば、マイクログラビヤコート法、マイヤーバーコート法、ダイレクトグラビヤコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、コンマコート法、ダイコート法、ナイフコート法、スピンコート法等の各種塗工方法が用いられる。
【0102】
なお、ハードコート層は透明有機高分子フィルム上に直接、もしくは適当なアンカー層を介して積層される。こうしたアンカー層としては例えば、該ハードコート層と透明有機高分子フィルムとの密着性を向上させる機能を有する層や、K値が負の値となる三次元屈折率特性を有する層等の各種の位相補償層、水分や空気の透過を防止する機能もしくは水分や空気を吸収する機能を有する層、紫外線や赤外線を吸収する機能を有する層、基板の帯電性を低下させる機能を有する層等が好ましく挙げられる。
【実施例】
【0103】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。
例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例中において、押し込み硬さ試験によるヤング率、リニアリティー測定方法、筆記耐久性試験方法、端押し耐久性試験方法は次の通りである。
【0104】
押し込み硬さ試験によるヤング率及び塑性変形硬さの測定方法
以下の測定装置と測定条件を用いてヤング率の測定を実施した。
測定装置:ナノインデンテーションテスター ENT−1100a(エリオニクス社製)
測定面:硬化樹脂層面を測定する。
測定条件:
押し込み深さ設定試験 設定深さ 0.5μm
250ステップに分割
試験荷重保持時間 1秒
使用圧子 三角錐 (稜間隔 115°)
各試料につき5点連続自動測定
【0105】
(1)ヤング率算出方法:
荷重−変位グラフから下記式を使用して5点連続測定のヤング率の平均値を求めた。
【数1】

ヤング率は、サンプルの弾性率と圧子の弾性率を足し合わせた複合弾性率である。
【0106】
(2)塑性変形硬さ算出方法
除荷の際の、曲線の最大変位における接線を求め、その傾きから塑性変形量を分離してビッカーズ硬さに相当する硬さを求めた。
【数2】

【0107】
リニアリティー測定方法
可動電極基板上又は固定電極基板上の平行電極間に直流電圧5Vを印加する。平行電極と垂直の方向に5mm間隔で電圧を測定する。測定開始位置Aの電圧をE、測定終了位置の電圧をE、Aからの距離Xにおける電圧実測値E、理論値をE、リニアリティーをLとし、以下の式に基づいて求めた。
=(E−E)・X/(B−A)+E
L(%)=(|E−E|)/(E−E)・100
【0108】
端押し耐久性試験方法
作製した透明タッチパネルの絶縁層から約2mmの位置を絶縁層と平行して可動電極側から先端が0.8Rのポリアセタール製のペンを用いて450g荷重で直線往復10万回往復筆記を行い、端押し耐久性試験前後の透明タッチパネルのリニアリティー変化量が1.5%以上となったものをNGとした。
【0109】
筆記耐久性試験方法
作製した透明タッチパネルの可動電極側から先端が0.8Rのポリアセタール製のペンを用いて450g荷重で直線往復10万往復の筆記耐久性試験を行った。筆記耐久性前後の透明タッチパネルのリニアリティー変化量が1.5%以上となったものをNGとした。
【0110】
[実施例1]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「テイジンテトロンフィルム」OFW)の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
【0111】
硬化樹脂成分として4官能アクリレート(東亜合成株式会社製「アロニックス」M400)100重量部とラジカル系光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア」184)5重量部とをメチルイソブチルケトン(MIBK)へ溶解し塗工液Aを作製した。
【0112】
ウレタンアクリレートとして東亜合成株式会社製M1600を100重量部とラジカル系光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア」184)5重量部をメチルイソブチルケトン(MIBK)へ溶解し塗工液Bを作製した。
【0113】
塗工液Aと塗工液Bとを硬化樹脂成分100重量部に対してウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分が200重量部となるように混合し塗工液Cを作製した。
【0114】
塗工液Cに1次粒子径が15nmであるMgF超微粒子を硬化樹脂成分100重量部に対して200重量部となるように添加し塗工液Dを作製した。
【0115】
塗工液Dをバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(a)を形成した。形成した硬化樹脂層−1(a)の膜厚は2μmであった。
【0116】
硬化樹脂層−1(a)のヤング率測定用のサンプル(膜厚:5μm)を同様の手法により作製し、ヤング率及び塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表1に示す。
【0117】
次にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシラン(信越化学工業株式会社製「KBM403」)とメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社社製「KBM13」)を1:1のモル比で混合し、酢酸水溶液(pH=3.0)により公知の方法で前記シランの加水分解を行った。こうして得たシランの加水分解物に対して、固形分の重量比率20:1の割合でN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM603」)を添加し、更にイソプロピルアルコールとn−ブタノールの混合溶液で希釈を行い、アルコキシシラン塗工液Eを作製した。
【0118】
前記硬化樹脂層−1(a)上にアルコキシシラン塗工液Eをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、硬化樹脂層−2(a)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−2(a)上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。
【0119】
作製した可動電極基板に対して150℃90分熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約280Ω/□(Ω/sq)であった。
【0120】
他方、厚さ1.1mmのガラス板の両面にSiOディップコートを行った後、スパッタリング法により、同様な方法で厚さ18nmのITO膜を形成した。次にITO膜上に高さ7μm、直径70μm、ピッチ1.5mmのドットスペーサを形成することにより、固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板用いて図1の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行い、試験前後のリニアリティー変化量を表1に示す。
【0121】
[実施例2]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「テイジンテトロンフィルム」OFW)の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
【0122】
アクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製「Nipol 1052J」)をトルエンへ溶解し塗工液Fを作製した。作製した塗工液Fと実施例1で使用した塗工液Aとを硬化樹脂成分100重量部に対して合成ゴム成分が50重量部となるように混合し塗工液Gを作製した。
【0123】
塗工液Gに1次粒子径が40nmであるSiO超微粒子を硬化樹脂成分100重量部に対して100重量部添加し塗工液Hを作製した。作製した塗工液Hをバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(b)を形成した。形成した硬化樹脂層−1(b)の膜厚は2.5μmであった。作製した硬化樹脂層−1(b)のヤング率及び塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表1に示す。
【0124】
実施例1で使用したアルコキシシラン塗工液E中に平均1次粒子径が0.5μmのシリカ微粒子をアルコキシシランの100重量部に対して0.3重量部となるように混合し塗工液Jを作製した。
【0125】
塗工液Jに1次粒子径が20nmのルチル型TiOをアルコキシシランの重量比が50:50となるように混合した塗工液Kを作製した。上記硬化樹脂層−1(b)面上に、塗工液Kをバーコート法でコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚が55nmの高屈折率層を形成した。
【0126】
前記高屈折率層上に低屈折率層として実施例1で使用したアルコキシシラン塗工液Eをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、光学干渉層を作製した。さらにこの光学干渉層上に、実施例1と同様にしてスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約280Ω/□(Ω/sq)であった。
【0127】
実施例1と同様にして固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板用いて図2の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行い、試験前後のリニアリティーの変化量を表1に示す。
【0128】
[比較例1]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「テイジンテトロンフィルム」OFW)の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
【0129】
実施例1で作製した塗工液Aをハードコート層1と反対面に膜厚が3.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(c)を形成した。作製した硬化樹脂層−1(c)のヤング率及び塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表1に示す。
【0130】
前記硬化樹脂層−1(c)上に実施例1と同様にして、硬化樹脂層−2(a)とITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約280Ω/□(Ω/sq)であった。
【0131】
実施例1と同様にして固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板用いて図1の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行い、試験前後のリニアリティーを表1に示す。
【0132】
[比較例2]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「テイジンテトロンフィルム」OFW)の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
【0133】
実施例1で作製した塗工液Cをハードコート層1と反対面に膜厚が3.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(d)を形成した。作製した硬化樹脂層−1(d)のヤング率及び塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表1に示す。
【0134】
前記硬化樹脂層−1(d)上に実施例1と同様にして、硬化樹脂層−2(a)とITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分熱処理を行ったが、ITO層に細かいしわが入り可動電極基板のヘーズが大きく(白化)なってしまった。
【0135】
[比較例3]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「テイジンテトロンフィルム」OFW)の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
【0136】
実施例2で作製した塗工液Gをハードコート層1と反対面に膜厚が3.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(e)を形成した。作製した硬化樹脂層−1(e)のヤング率及び塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表1に示す。
【0137】
前記硬化樹脂層−1(e)上に実施例1と同様にして、硬化樹脂層−2(a)とITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分熱処理を行ったが、ITO層に細かいしわが入り可動電極基板のヘーズが大きくなってしまった(白化した。)。
【0138】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】実施例1、比較例1〜3の操作で作成した透明タッチパネルの構成を表した模式図である。
【図2】実施例2の操作で作成した透明タッチパネルの構成を表した模式図である。
【符号の説明】
【0140】
1 ハードコート層
2 ポリエチレンテレフタレートフィルム
3 硬化樹脂層―1
4 硬化樹脂層―2
5 高屈折率層
6 低屈折率層
7 透明導電層
8 ガラス基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明有機高分子基板上の少なくとも一方面上に硬化樹脂層−1と透明導電膜層とが順次積層された透明導電性積層体であって、該硬化樹脂層−1が、硬化樹脂成分と、(A)合成ゴム成分または(B)ウレタンアクリレートをモノマーとする樹脂成分のうちの少なくとも一成分と、1次粒子径が100nm以下の金属酸化物または金属フッ化物からなる超微粒子Aとから構成され、且つ該硬化樹脂層−1は、硬化樹脂成分100重量部に対して(A)または(B)のうちの少なくも一方が10重量部以上であって、合計量で800重量部以下、超微粒子Aが10重量部以上400重量部以下含有しており、更に押し込み硬さ試験(インデンテーションテスター・設定押し込み深さ:0.5μm)で測定した硬化樹脂層−1のヤング率(W)が5.9GPa≦W≦9.8GPa(600kgf/mm≦W≦1000kgf/mm)、塑性変形硬さ(HV)が4.7×10Pa≦HV≦8.5×10Pa(5kgf/mm≦HV≦85kgf/mm)の範囲にあることを特徴とする、透明導電性積層体。
【請求項2】
硬化樹脂層−1と透明導電膜層との間に更に、屈折率が1.20〜1.55の範囲にあり、且つ膜厚が0.05〜0.5μmである、硬化樹脂層−2を有する、請求項1記載の透明導電性積層体。
【請求項3】
硬化樹脂層−2に、平均1次粒子径が、硬化樹脂層−2の膜厚の1.1倍以上1.2μm以下の微粒子Bを、硬化樹脂層−2を形成する硬化樹脂成分を基準として0.01重量%以上0.5重量%以下含有する、請求項2記載の透明導電性積層体。
【請求項4】
硬化樹脂層‐1と透明導電膜層との間に、少なくとも1層の低屈折率層と少なくとも1層の高屈折率層とからなる光学干渉層を有し、且つ低屈折率層と透明導電膜層とが接している、請求項1記載の透明導電性積層体。
【請求項5】
高屈折率層と該低屈折率層との少なくとも一方の層に、平均1次粒子径が光学干渉層の膜厚の1.1倍以上1.2μm以下の微粒子Bを、該微粒子Bを含有する層を形成する硬化樹脂成分を基準として0.01重量%以上0.5重量%以下含有する、請求項4記載の透明導電性積層体。
【請求項6】
透明導電膜層が酸化インジウムを主成分とした結晶質の膜であって、且つその膜厚が5〜50nmである、請求項1〜5のいずれか記載の透明導電性積層体。
【請求項7】
少なくとも片面に透明導電層が設けられた2枚の透明電極基板が互いの透明導電層同士が向き合うように配置されて構成された透明タッチパネルにおいて、少なくとも一方の透明電極基板として請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性積層体を用いたことを特徴とする透明タッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−42284(P2007−42284A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−365900(P2003−365900)
【出願日】平成15年10月27日(2003.10.27)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】