説明

透明面状体及び透明タッチスイッチ

【課題】視認性を向上させることができる透明面状体及び透明タッチスイッチを提供する。
【解決手段】透明基板11の一方面にパターニングされた透明導電膜12を有する透明面状体1であって、透明導電膜側より、透明導電膜、アンダーコート層13、ハードコート層112、透明基板の順に積層された構成と、前記透明導電膜および前記アンダーコート層の表面を覆う被覆層とを備えており、前記アンダーコート層の屈折率が前記透明導電膜及びハードコート層の屈折率よりも低く、前記ハードコート層の屈折率が1.60以上1.80以下であることを特徴とする透明面状体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明面状体及び透明タッチスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
入力位置を検出するための透明タッチスイッチの構成は、従来から種々検討されているが、一例として静電容量式の透明タッチスイッチが知られている。例えば、特許文献1に開示された透明タッチスイッチは、それぞれ所定のパターン形状を有する透明導電膜を備えた一対の透明面状体の間に誘電体層が介在されて構成されており、指などが操作面に触れると、人体を介して接地されることによる静電容量の変化を利用して、タッチ位置を検出することができる。
【0003】
この透明タッチパネルは、液晶表示装置やCRTなどの表面に装着して用いられるが、透明面状体に形成された透明導電膜のパターン形状が目立ってしまい、視認性の低下を招いていた。その対策として本発明と同出願人の特許文献2には、光学設計された透明面状体がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−173238号公報
【特許文献2】特願2008−246521号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、透明面状体に形成された透明導電膜のパターン形状を目立たなくし、視認性を向上させる透明面状体及び透明タッチスイッチの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の透明面状体は、透明基板の一方面にパターニングされた透明導電膜を有する透明面状体であって、透明導電膜側より、透明導電膜、アンダーコート層、ハードコート層、透明基板の順に積層された構成と、前記透明導電膜および前記アンダーコート層の表面を覆う被覆層とを備えており、前記アンダーコート層の屈折率が前記透明導電膜及びハードコート層の屈折率よりも低く、前記ハードコート層の屈折率が1.60以上1.80以下であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の透明面状体は、透明基板の一方面にパターニングされた透明導電膜を有する透明面状体であって、透明導電膜側より、透明導電膜、アンダーコート層、ハードコート層、透明基板の順に積層された構成と、前記透明導電膜および前記アンダーコート層の表面を覆う被覆層とを備えており、前記アンダーコート層の屈折率が前記透明導電膜及びハードコート層の屈折率よりも低く、前記ハードコート層の屈折率が1.65を超え1.80以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の透明面状体は、請求項1〜2のいずれかに記載の透明面状体において、前記ハードコート層の厚みが3μm以上であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の透明面状体は、請求項1〜3のいずれかに記載の透明面状体において、前記被覆層は、粘着性材料からなることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の静電容量式の透明タッチスイッチは、請求項1〜4のいずれかに記載の透明面状体を、複数備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の静電容量式の透明タッチスイッチは、請求項1〜4のいずれかに記載の透明面状体を、同方向に2枚積層したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、視認性を向上させること、かつ加工工程における傷つきを回避できる透明面状体及び透明タッチスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る透明タッチスイッチの概略構成断面図である。
【図2】図1に示す透明タッチスイッチの一部を示す平面図である。
【図3】図1に示す透明タッチスイッチの他の一部を示す平面図である。
【図4】図1に示す透明タッチスイッチの変形例の一部を示す平面図である。
【図5】図1に示す透明タッチスイッチの変形例の他の一部を示す平面図である。
【図6】図1に示す透明タッチスイッチを構成する透明面状体の概略構成断面図である。
【図7】シミュレーションによる、各屈折率のハードコート素材の光学特性図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。尚、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る透明タッチスイッチの概略構成断面図である。この透明タッチスイッチ101は、静電容量式のタッチスイッチであり、透明基板11の一方面にパターニングされた透明導電膜12が形成された第1の透明面状体1と、透明基板21の一方面にパターニングされた透明導電膜22が形成された第2の透明面状体2とを備えている。第1の透明面状体1と第2の透明面状体2とは、透明導電膜12を全体的に被覆する粘着性材料からなる被覆層14を貼着することにより一体化されている。一方、透明導電膜22を全体的に被覆する粘着性材料からなる被覆層24により支持体31が貼合され、タッチパネルに剛直性を付与する構成となっている。
【0016】
図6は、図1に示す透明タッチスイッチを構成する透明面状体の概略構成断面図である。
この透明面状体を2枚重ねて透明タッチスイッチを構成することができ、透明導電膜のパターン形状を見え難くし、視認性を向上させることが必要である。透明導電膜のパターン形状を見え難くし、視認性を向上させる為には、透明導電膜がある部分とパターニングされて無い部分との光学特性、具体的には図6の反射光R1とR2、透過光T1とT2の強度及び分光スペクトルを近似させることが重要である。本件はこれを達成する為の発明に関するものであり、図1の透明タッチスイッチ構成を説明していく。
【0017】
(透明基板11,21について)
まず透明基板であるが、透明基板11,21は、基材層111,211と接着層114、214とハードコート層113,213を備えて構成されている。
【0018】
基材層111,211は、透明性が高い材料からなることが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリアクリル(PAC)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系の熱可塑性透明樹脂などの可撓性フィルムやこれら2種以上の積層体、或いは、ガラス板などを挙げることができる。基材層111,211の厚みは、20〜500μm程度が好ましい。
【0019】
接着層114、214は基材層111,211の両面に設けられ、易接着加工と称して基材層111,211製造時に加工される場合もある。接着層114、214は、基材層とハードコート層とが密着し難い場合に有効ではあるが設けなくてもよい。
【0020】
ハードコート層113,213は、基材層111,211の透明導電膜を設けない面の、接着層114、214上に設ける。
ハードコート層113,213はアクリル系紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂をウエットコート等で基材層111、211表面に塗布、硬化することにより成膜することが例示でき、屈折率は1.60未満である。ハードコート層113,213の厚みは、傷つき性を改良できる厚みであればよい。一般的には1〜15μm、より好ましくは3〜10μm程度が望ましい。1μm以下であれば傷つき性を改善することが困難であり、15μmを越えればハードコート層が割れやすくなる。
【0021】
ハードコート層113はタッチスイッチとして使用される際の傷つき防止層として設けることが望ましいが、特に必要無い場合、かつ、別途保護フィルム等使用して加工工程での傷つきを回避できるのであれば設けずともよい。ハードコート213も同様に加工工程での傷つきを回避できるのであれば設けずともよい。
【0022】
(ハードコート層112,212について)
透明基板11,21の片面には、ハードコート層112,212を設ける。ハードコート層112,212は屈折率1.60〜1.80であることが望ましく、1.65を超え1.80以下であることがより望ましい。屈折率が1.60未満であると透明導電膜の有る部分と無い部分の光学特性が近似させ難くなり、透明導電膜のパターン形状が目立ってしまい、良好な視認性が得られ難い。屈折率が1.65を超えると非常に良好な視認性が得られるようになる。また、屈折率が1.80を超える場合、基材層111、211やハードコート層と基材層との接着層114、214との屈折率差が大きくなり、この素材界面での反射光とハードコート層112、212と後述するアンダーコート層13、23との界面での反射光との光干渉による干渉斑が強く発生する結果、透明導電層のパターン形状が見えやすくなり、視認性が悪化する為好ましくない。また、屈折率が1.8を超え、傷つき性を改良できる程度の硬度と厚みを有する層を工業的に効率よく形成できる素材や手法が得られ難い事実もある。屈折率が1.65を超え1.80以下であるハードコート素材としては、前記の一般的なハードコート素材に酸化チタン、酸化ジルコニウム等屈折率の高い金属酸化物の微粒子を添加したものが例示できる。この場合、添加する金属酸化物微粒子は透明性を阻害しないように数十nm程度の粒子径であることが必要である。ハードコート層112,212の厚みは3μm以上が望ましい。3μm未満であると、基材層111、211やハードコート層と基材層との接着層114、214との界面での反射光とハードコート層112、212と後述するアンダーコート層13、23との界面での反射光との光干渉による干渉斑が強く発生する結果、透明導電層のパターン形状が見えやすくなり、視認性が悪化する為好ましくない。
【0023】
(アンダーコート層13,23について)
アンダーコート層13,23は、それぞれハードコート層112,212と透明導電膜12,22との間に介在するように配置されており、透明導電膜12,22及びハードコート層112,212よりも屈折率が低くなるように構成されている。このアンダーコート層13,23の厚みは、視認性向上の観点から2〜20nmであることが好ましい。
【0024】
アンダーコート層13,23の材料としては、シリコン錫酸化物(silicon-tin oxide)、酸化珪素、酸化アルミなどの無機酸化物とこれらを組み合わせからなる組成物やフッソ系有機物素材、酸化ケイ素系ゾルゲル素材、酸化ケイ素系やフッソ系の微多孔質素材等を例示することができ、視認性・生産性向上の観点から特に好ましいのは、屈折率が1.3〜1.5のものである。
【0025】
アンダーコート層13,23は、スパッタリング法、抵抗蒸着法、電子ビーム蒸着法、種々ウエットコーティング法、などにより形成することができる。
【0026】
(透明導電膜12,22について)
アンダーコート層13,23の上には透明導電膜12,22を設ける。透明導電膜12,22の材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物を例示すことができ、これら2種以上を複合して形成してもよい。
【0027】
透明導電膜12,22の形成方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などのPVD法や、CVD法、塗工法、印刷法などを例示することができる。
【0028】
透明導電膜12,22は、図2及び図3に示すように、平行に延びる複数の帯状導電部12a,22aの集合体としてそれぞれ形成されており、各透明導電膜12,22の帯状導電部12a,22aは、互いに直交するように配置されている。透明導電膜12,22は、導電性インクなどからなる引き廻し回路(図示せず)を介して外部の駆動回路(図示せず)に接続される。透明導電膜12,22のパターン形状は、本実施形態のものに限定されず、指などの接触ポイントを検出可能である限り、任意の形状とすることが可能である。例えば、図4及び図5に示すように、透明導電膜12,22を、複数の菱形状導電部12b,22bが直線状に連結された構成とし、各透明導電膜12,22における菱形状導電部12b,22bの連結方向が互いに直交し、且つ、平面視において上下の菱形状導電部12b,22bが重なり合わないように配置してもよい。
【0029】
透明導電膜12,22のパターニングは、透明基板11,21にハードコート層112,212、及びアンダーコート層13,23を介してそれぞれ形成された透明導電膜12,22の表面に、所望のパターン形状を有するマスク部を形成して露出部分を酸液などでエッチング除去した後、アルカリ液などによりマスク部を溶解させて、行うことができる。このように透明導電膜12,22のパターニングをエッチングにより行う方法は、不要な透明導電膜12,22は除去できる。一方、ハードコート層112,212、及びアンダーコート層13,23は全て残存させることができる。但し、パターニングの方法はこれに限定されるものではなく、他の公知の方法で行ってもよい。
【0030】
透明導電膜12,22の厚みは、通常5〜50nm程度である。透明導電膜12,22のパターン形状を目立ちにくくして視認性を向上させる観点からは、透明導電膜12,22の厚みはできる限り小さいことが好ましいが、薄くなりすぎると抵抗値が高くなり、必要な導電性が得られなくなることや、膜の良好な結晶性が得られ難くなりその結果必要な耐久性を得ることが困難になることから、好ましくは10〜30nm程度である。
【0031】
(被覆層14,24について)
被覆層14,24は、透明導電膜12,22およびアンダーコート層13,23の表面を覆う粘着性材料により形成されており、エポキシ系やアクリル系など、一般的な透明粘着材を用いることができ、透明性フィルムからなる芯材を含むものであってもよい。被覆層14,24の厚みは、通常10〜100μm程度である。なお、被覆層14,24を粘着性材料により形成する替わりに、例えば、アクリル系樹脂 等の非接着性材料により形成することもできる。このような非接着性材料で被覆層14,24を形成する場合、第1の透明面状体1と第2の透明面状体2との一体化は、粘着材料を別途介在させることにより行うことができる。
【0032】
なお透明タッチスイッチに剛性を付与するために被覆層24と支持体31を貼合する。支持体31は前記基材層111,211と同様の透明性が高い材料からなることが望ましく、ディスプレイの表面部材と兼ねてもよい。
【0033】
以上の構成を備える透明タッチスイッチ101において、タッチ位置の検出方法は、従来の静電容量式のタッチスイッチと同様であり、第1の透明面状体1の表面側における任意の位置を指などで触れると、透明導電膜12,22は接触位置において人体の静電容量を介して接地され、このときに透明導電膜12,22を流れる電流値を検出することにより、接触位置の座標が演算される。
【0034】
発明者らは、実際に透明面状体1を試作し、この透明面状体1について透明導電膜12
のパターン形状が目視により確認できるか否かについての実験を行ったので、その結果に
ついて以下に説明する。
【実施例1】
【0035】
まず、試作された透明面状体1の構成について説明する。基材層111の表裏面にハードコート接着層114を積層したフィルムとして、東洋紡績株式会社製コスモシャインA4300,フィルム厚み125μmを用いた。このフィルムの片面にハードコート層112として、東洋インキ製造株式会社製リオデュラス(屈折率1.65)を塗布、硬化成膜し、厚みは3μmとした。
アンダーコート層13は、酸化ケイ素(屈折率1.45)をマグネトロンスパッタリング法により成膜し、厚みは5nmとした。透明導電膜12はITO(屈折率1.95)をマグネトロンスパッタリング法により成膜し、厚みは15nmとした。また、被覆層14は厚み25μmのアクリル系粘着材を用いた。
【0036】
このような構成の透明面状体1について視認性の確認を実施した。光源として27Wの3波長形蛍光灯(昼白色)を用い、透明基板11の他方面11a側(透明導電膜が形成された面と反対側)から光を照射し、照射角度を変えながら透明導電膜12のパターン形状が視認できるか否かを目視検査することにより行なった。なお、光源と試作品との距離は約30cmとした。
この結果、透明導電層のパターン形状がほとんど見えない非常に良好なものであった。
【0037】
同様に種々のハードコート屈折率及びハードコート膜厚において前記と同様の試験を実施した結果を表1に示す。
尚、視認性の評価は透明導電膜パターン形状の目立ちやすさで3段階評価とした。パターン形状がほとんど見えず非常に良好であるを◎、パターン形状が薄く見えるが実用上問題無いを○、パターン形状が濃く見え実用上問題があるを×とした。
【0038】
【表1】


この表1に示すように、ハードコート層屈折率が1.65〜1.80であり、ハードコート層膜厚が3μm以上の実施例は透明導電膜12のパターン形状を目視により確認することが困難であり、視認性が良好であった。一方、ハードコート層膜厚が3μm未満の比較例については、透明導電膜12のパターン形状が濃く確認され、視認性が劣るものであった。
【0039】
(シミュレーションによる検証)
前述実施例1を補足する為に、種々の屈折率を有するハードコート素材を使用した際に得られるであろう光学特性を計算により求めるシミュレーション手法を用い、良好な視認性が得られるかを検証した。このような、計算は市販の光学シミュレーションソフト(サイバネットシステム株式会社製,薄膜設計ソフトウエアOPTAS-FILM等)により簡易に行うことができる。
前述実施例1と同様の構成で、透明導電膜が有る部分と無い部分の反射光分光スペクトルをそれぞれ計算し、透明導電膜がある部分の分光スペクトルから無い部分の分光スペクトルを減ずる計算を実施した。結果が0に近いほど、両者が近似していることとなり、視認性が良好と言える。
検証条件としては、アクリル系粘着材屈折率1.50、ITO透明導電膜屈折率1.95、膜厚15nm、酸化ケイ素アンダーコート層屈折率1.45、膜厚5nm、ハードコート層屈折率1.50、1.60、1.65、1.70、1.80、1.90の6種、PET基材層1.65とした。
検証は可視光領域、具体的には400nm〜800nmで実施し、粘着材、ハードコート層、基材層厚みは光の波長に対して十分に大きいので膜厚を無限大と仮定して計算した。検証結果を図7に示す。
【0040】
ハードコート層の屈折率が高くなるにつれ、計算値は0に近づき1.80付近で最適となる。ゆえに、ハードコート層の屈折率が1.65を超える値が望ましいということができる。
一方、ハードコート層の屈折率が1.80を超える場合の基材層111、211やハードコート層と基材層との接着層との屈折率差が大きくなり、この素材界面での反射光とハードコート層112、212とアンダーコート層13、23との界面での反射光との光干渉による干渉斑が強く発生する結果透明導電層のパターン形状が見えやすくなり、視認性が悪化する現象はこの計算には含まれていない。実施例1の結果から、ハードコート層屈折率1.65、膜厚3.0μmの視認性官能評価が◎であるのに対し、ハードコート層屈折率1.80、膜厚3.0μmの視認性官能評価が○であることから、ハードコート層の接着層を有するPETフィルムを使用した場合の実際の最適値はハードコート屈折率1.8よりも低い値である。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態
に限定されない。本実施形態においては、第1の透明面状体1の被覆層14と、第2の透
明面状体2の被覆層24とを貼着することにより、静電容量式のタッチスイッチ101を
構成しているが、以下のようにして抵抗膜式のタッチスイッチを構成することもできる。
すなわち、第1の透明面状体1および第2の透明面状体2を、それぞれの透明導電体12
、22が互いに対向するように、スペーサーを介して所定間隔を空けて配置することによ
りマトリックスタイプの抵抗膜式のタッチスイッチを構成することもできる。
【0042】
この抵抗膜式のタッチスイッチにおけるタッチ位置の検出方法は、従来の抵抗膜式のタ
ッチスイッチと同様であり、第1の透明面状体1の表面側における任意の位置を指などで
押圧することで、透明導電体12,22は接触し、その接点の抵抗値を横方向と縦方向に
時分割的測定をすることで接触位置の座標が演算される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、パターニングされた透明導電膜を有する透明面状体が目立たなく、表示装置の上に設置する透明タッチスイッチに利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 第1の透明面状体
2 第2の透明面状体
11,21 透明基板
12,22 透明導電膜
13,23 アンダーコート層
14,24 被覆層
31 支持体
101 透明タッチスイッチ
111,211 基材層
112,212 ハードコート層
113,213 ハードコート層
114,214 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板の一方面にパターニングされた透明導電膜を有する透明面状体であって、
透明導電膜側より、透明導電膜、アンダーコート層、ハードコート層、透明基板の順に積層された構成と、前記透明導電膜および前記アンダーコート層の表面を覆う被覆層とを備えており、
前記アンダーコート層の屈折率が前記透明導電膜及びハードコート層の屈折率よりも低く、
前記ハードコート層の屈折率が1.60以上1.80以下であることを特徴とする透明面状体。
【請求項2】
透明基板の一方面にパターニングされた透明導電膜を有する透明面状体であって、
透明導電膜側より、透明導電膜、アンダーコート層、ハードコート層、透明基板の順に積層された構成と、前記透明導電膜および前記アンダーコート層の表面を覆う被覆層とを備えており、
前記アンダーコート層の屈折率が前記透明導電膜及びハードコート層の屈折率よりも低く、
前記ハードコート層の屈折率が1.65を超え1.80以下であることを特徴とする透明面状体。
【請求項3】
前記ハードコート層の厚みが3μm以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の透明面状体。
【請求項4】
前記被覆層は、粘着性材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明面状体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の透明面状体を、複数備える静電容量式の透明タッチスイッチ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の透明面状体を、同方向に2枚積層した静電容量式の透明タッチスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−208169(P2010−208169A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57259(P2009−57259)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】