説明

透析ジェネレーターのための新規な洗浄、スケール除去、および消毒用組成物

質量100%あたり、0.50質量%〜1.50質量%の過酢酸、3.00質量%〜15.00質量%の過酸化水素、3.00質量%〜15.00質量%の酢酸、0.10質量%〜1.00質量%の濃硝酸、0.001質量%〜0.20質量%の非イオン性界面活性剤、0.01質量%〜0.10質量%のアミンオキシド、0.01質量%〜0.20質量%の安定剤、および合計100質量%にする水を本質的に含む組成物;浸透させた水を用いた透析設備の水洗以外の追加の処理をすることなく、2つの連続透析セッションの間で透析設備を洗浄、スケール除去、および消毒するためのその使用;その使用のための方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、透析機のメンテナンスに関し、より詳細には、二回の使用の間の透析機の処理に関する。
【0002】
体外透析の一般原理は、精製される血液と正常な細胞外液に近い電解質組成を有する透析液との半透膜を介した交換に基き、このため、透析液は、透析終了時の血中の電解質濃度が正常になるのに充分な濃度の電解質と水から構成される。効果的な交換が行われるためには、拡散または透析の速度は、これら二つの液体の間の濃度差の関数であるため、血液と透析液を継続的に入れ替えることが必要である。
【0003】
すべての透析機は、ジェネレーター、人工腎臓としても知られるダイアライザー、および水の回路から構成される。この構成部分の集合体は、以下の説明において、血液透析ラインと称される。
【0004】
ジェネレーターの役割は、水と、病原菌の増殖を許容しない濃度の電解質の溶液と、バッファー溶液とを混合することにより、37℃に加熱して透析液の調製液を確保すること、および透析パラメーターを制御しながら血液および透析液を循環させることである。これらデバイスで使用される水は、極めて純粋で、ヨーロッパ薬局方に準拠しなければならないため、たとえば濾過、イオン交換樹脂の通過、活性炭の通過、および逆浸透による仕上げなどの工程の連続を含む処理を受ける。様々なタイプのジェネレーターが存在する:オープンサーキット透析液技術を使用し、透析液が再循環されるクローズドサーキット技術として知られる技術を使用したものより優れた細菌学的品質の透析液を得ることができるジェネレーターが存在する。
【0005】
ダイアライザーの役割は、水および人体の血液から発生する有機廃棄物を除去することであり、これは、半透膜を介して血液から透析液に移動する。この半透膜は、プレートとして、互いの上に積み重ねたコンパートメントで、コイルの形態で、軸の周りでスパイラル状に巻いた単一のコンパートメントとして、またはキャピラリーのセットとして、配置され得る;この膜は、セロファン、カプロファン、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセテートからつくられた有機物であってもよいし、アクリロニトリル共重合体から構成されてもよい。ダイアライザーは、無菌で運搬され、フランスのように使い捨てであることが多いが;幾つかの国でダイアライザーは再利用される。
【0006】
ダイアライザーのタイプとして、軸のまわりにスパイラル状に二つのシートの透析膜を平行して巻いていて、二つのシートの膜により形成されるエンベロープ内で血液が循環し、その外側で透析液が循環するコイル腎臓、血液の通過に対して非常に低い抵抗性を示す中空糸腎臓、またはプレートとして集合した15〜20シートを含むプレート腎臓が挙げられる。
【0007】
透析ラインの構成部分のすべてを消毒するための過酢酸水溶液の使用は、何年も前に記載されている。たとえば、L. J. Fischbach, AAMI Technol. Anal. Rev. (1985), pages 15 to 18; Von SproBig et al. Dtsch. Ges.wesen 27 (1972), H 23 pages 1085-1089; またはEP 0 370 850、EP 0 873 687およびEP 1 068 873の番号で公開された欧州特許出願が挙げられる。
【0008】
しかし、病院、コミュニティー、医療費自己負担の患者の、より短時間かつより効率的な透析セッションを行いたいという希望により、透析設備の製造メーカーは、慣用的な血液透析以外の血液透析技術を使用することに至った。とりわけ、血液濾過および血液透析濾過である。
【0009】
慣用的な血液透析:この方法によれば、溶質の移動は、主に拡散により起こるが、ナトリウムおよび水の移動は、主に対流法を介して起こる。
【0010】
血液濾過:この方法によれば、溶質の移動は、純粋に対流である。血液濾過は、高浸透性膜の使用を必要とする。患者のボリューム(volemic)バランス(または血液の総量)は、正常な血漿限外濾過液の組成に近い組成を有する置換溶液を、限外濾過の流速と同等の流速で、所望の体重減少に相当する流速だけ減速させて、血液サーキットに再注入することにより維持される。
【0011】
血液透析濾過:血液透析濾過は、慣用的な血液透析の特性と血液濾過の特性の両方を兼ね備える:この方法によれば、溶質の輸送は、一方では、拡散により、低分子量の廃棄物質の効率的な除去を保証し、他方では、対流により、高分子量の溶質の抽出を増大させる。したがって、血液透析濾過は、透析液および置換溶液の両方を必要とする。
【0012】
オンライン血液濾過および血液透析濾過の技術は、大容量の置換溶液を必要とする。これらは、流入する透析液からこの置換溶液を即時に生産することに依存する。しかし、高浸透性膜を使用するこれらの新しい技術は、ジェネレーターの透析液回路において、患者の血液から発生するタンパク質および脂質の沈殿物の出現につながる。これら沈殿物は、排水システムを塞ぎ、透析設備の操作を阻止するまで蓄積する。
【0013】
“医療デバイス”として扱われる消毒薬の効力の評価に関する限定的な調節の進歩が、これら技術進歩に加わる。
【0014】
したがって、これらの進歩は、透析設備の完全な衛生、すなわち透析ラインの構成部分すべての完全な洗浄、スケール除去、および消毒につながる新規プロセスまたは製品の研究開発を必要とする。
【0015】
過酢酸溶液は、優れた消毒特性のために広く使用されるが、スケール除去には充分でなく、洗浄力が完全ではない。
【0016】
このような理由のため、透析設備は、現在、種々の(化学的または熱化学的)処理が行われており、この処理は、回路の完全な衛生を得るために、消毒を補完し、交替して行われる。この交替は、材料の間違いおよびストレスの原因であり、適切な機構を必要とする。
【0017】
したがって、本発明者らは、副次的効果を損なうことなく、完全な衛生の種々の機能を統合し、簡単に使用される化学的プロセスを開発することを検討した。
【0018】
このため、本発明の一つの主題は、質量100%あたり、
0.50 wt%〜1.50 wt%の過酢酸;
3.00 wt%〜15.00 wt%の過酸化水素;
3.00 wt%〜15.00 wt%の酢酸;
0.10 wt%〜1.00 wt%の濃硝酸;
0.001 wt%〜0.20 wt%の非イオン性界面活性剤;
0.01 wt%〜0.10 wt%のアミンオキシド;
0.01 wt%〜0.20 wt%の安定剤;および
合計100 wt%にする水
を本質的に含む組成物である。
【0019】
上記組成物で使用するのに適した非イオン性界面活性剤としては、とりわけ、式(I)のものがある:
R5-O-[CH(R8)-CH(R6)-O]n-R7 (I)
ここで、R5は、5〜31個の炭素原子、好ましくは10〜16個の炭素原子を含む、飽和または不飽和、直鎖または分枝の脂肪族基を表し、R6は、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、R8は、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、R6またはR8の少なくとも一つの基は水素原子を表すと理解され、R7は、水素原子、または1〜4個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基またはベンジル基を表し、nは1〜50の数、好ましくは20未満の数を表す。非イオン性界面活性剤は、とりわけ、以下の市販品から選択される:GENAPOLTM EP 0244, GENAPOLTM EP 2564, GENAPOLTM EP 2584, TRITONTM DF12, TRITONTM DF16, TRITONTM CF10 または SIMULSOLTM NW 900。これら製品は、商業的に入手可能であり、以下の化学組成を有する:
【表1】

【0020】
上記組成物で使用するのに適したアミンオキシドとしては、とりわけ、式(II)のものがある:
(R1)(R2)(R3)N → O (II)
ここで、R1は、8〜18個の炭素原子を含む直鎖または分枝の脂肪族基を表し、R2およびR3は、それぞれ、メチル基を表す。式(II)において、R1は、より詳細には、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシルまたはヘキサデシル基から選択される。本発明に適した式(II)の化合物としては、たとえば、ココジメチルアミンオキシド(cocodimethylamine oxide)、たとえばAROMOXTM MCD-Wの名称で販売されるもの、ミリスタミンオキシド(myristamine oxide)、またはジヒドロキシエチルコカミンオキシド(dihydroxyethyl cocamine oxide)がある。
【0021】
かかる組成物に適した安定剤としては、たとえば、金属イオン封鎖剤および/またはフリーラジカルスカベンジャー、たとえばブチルヒドロキシトルエンのファミリーに由来するものなどがある。ホスホン酸、たとえば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)が挙げられる。
【0022】
上記組成物で使用される水は、好ましくは、濾過、イオン交換樹脂の通過、および逆浸透による仕上げなどの工程の連続を含む処理を行った、ヨーロッパ薬局方に準拠する水である。
【0023】
本発明の一つの特定の側面によれば、上記組成物は、質量100%あたり、
0.50 wt%〜1.00 wt%の過酢酸;
4.00 wt%〜10.00 wt%の過酸化水素;
4.00 wt%〜15.00 wt%の酢酸;
0.10 wt%〜1.00 wt%の濃硝酸;
0.03 wt%〜0.10 wt%の非イオン性界面活性剤;
0.01 wt%〜0.10 wt%のアミンオキシド;
0.03 wt%〜0.10 wt%の安定剤;および
合計100 wt%にする水
を本質的に含む。
【0024】
本発明の別の特定の側面によれば、上記組成物は、質量100%あたり、
0.70 wt%〜1.00 wt%の過酢酸;
4.00 wt%〜7.00 wt%の過酸化水素;
7.00 wt%〜12.00 wt%の酢酸;
0.20 wt%〜0.70 wt%の濃硝酸;
0.03 wt%〜0.075 wt%の非イオン性界面活性剤;
0.01 wt%〜0.05 wt%のアミンオキシド;
0.03 wt%〜0.075 wt%の安定剤;および
合計100 wt%にする水
を本質的に含む。
【0025】
本発明の別の主題は、上記組成物を調製する方法であって、
100 wt%あたり、
5 wt%〜30 wt%の過酢酸、10 wt%〜50 wt%の過酸化水素、5 wt%〜60 wt%の酢酸、必要に応じて1%までの安定剤、および合計100 wt%にする水を含む3 wt%〜20 wt%の水溶液(A)を、
100 wt%あたり、
8 wt%〜10 wt%の酢酸;
0.10 wt%〜1 wt%の硝酸;
3 wt%〜10 wt%の過酸化水素;
0.03 wt%〜0.1 wt%の非イオン性界面活性剤;
0.01 wt%〜0.1 wt%のアミンオキシド;
0.005 wt%〜0.1 wt%の安定剤;および
合計100 wt%にする水
を混合することにより調製される80 wt%〜97 wt%の水溶液(B)
と混合する工程を含むことを特徴とする方法である。
【0026】
上記方法で使用される溶液(A)は、市販の反応物質を用いて、たとえば、
60 wt%の過酸化水素水溶液;
99 wt%の氷酢酸;
58 wt%の濃硝酸;および
HEDPファミリーに由来する安定剤
を用いて調製される。
【0027】
また、平衡状態で、たとえば15/23溶液(15 wt%の過酢酸;23 wt%の過酸化水素)または5/23溶液(5 wt%の過酢酸;23%の過酸化水素)で、溶液(A)を使用することもできる。
【0028】
また、市販の製品から、EP 0 024 219の番号で公開された欧州特許出願に記載される方法により、上記方法で使用される溶液(A)を調製することもできる。
【0029】
本発明の別の主題は、
2つの透析セッションの間で透析ジェネレーターの流体回路を洗浄、スケール除去、および消毒する方法であって、
上記組成物を前記ジェネレーターにより浸透させた水で1/20〜1/40に希釈することにより得られる水溶液を、前記透析ジェネレーターの流体回路内で、10〜30分の時間にわたって循環させる工程(a)、および工程(a)の終わりに;
浸透させた水を、前記透析ジェネレーターの流体回路内で、15〜60分の時間にわたって循環させることからなる水洗工程(b)
を含むことを特徴とする方法である。
【0030】
“浸透させた水(osmosed water)”の表現は、使用される水が、フランスおよびヨーロッパ薬局方により求められる物理化学的および微生物学的パラメーターの値を達成するために、濾過、イオン交換樹脂の通過、活性炭の通過、および逆浸透による精製の最終工程などの工程の連続を含む精製処理を予め受けたことを意味すると理解される。
【0031】
上記方法の一つの特定の側面によれば、使用される水性組成物の希釈率は、1/25〜1/35である。
【0032】
本発明の別の主題は、血液透析のための水処理ラインの分配ループを洗浄、スケール除去、および消毒する方法であって、
請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物を水で1/20〜1/40に希釈することにより得られる水溶液を、前記分配ループ内で、30〜60分の時間にわたって循環させる工程(a)、および工程(a)の終わりに;
浸透させた水を、前記分配ループ内で、30〜60分の時間にわたって循環させることからなる、工程(a)の終わりの水洗工程(b)
を含むことを特徴とする方法である。
【0033】
血液透析のための水分配ループは、図1に示される。
【0034】
本発明の最後の主題は、浸透させた水を用いた透析設備の水洗以外の補助的処理をすることなく、2つの連続透析セッションの間において、単一の操作で透析ジェネレーターの流体回路を洗浄、スケール除去、および消毒するための、上記組成物の使用である。
【0035】
以下の実験セクションは、本発明を詳説するが、本発明を限定するものではない。
【0036】
A)本発明の組成物1の調製
0.99 wt%の過酢酸、6.90 wt%の過酸化水素、10.40 wt%の酢酸、0.58 wt%の硝酸、0.05 wt%のGENAPOLTM EP 2564 (非イオン性界面活性剤)、0.015 wt%のココジメチルアミンオキシド、0.07 wt%の1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、および合計100 wt%にする水を含む組成物1は、100 wt%あたり、
質量100%あたり:
4.50 wt%〜5.10 wt%の過酢酸;
12.00 wt%〜13.00 wt%の酢酸;
25.00 wt%〜27.00 wt%の過酸化水素;
約0.50 wt%の1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸の(60 wt%)溶液
を含む22 wt%の水溶液(A1)を、
質量100%あたり:
8.00 wt%〜9.00 wt%の99 wt%氷酢酸;
3.80 wt%〜4.00 wt%の60 wt%過酸化水素;
8.50 wt%〜9.00 wt%の58 wt%濃硝酸;
0.05 wt%〜0.06 wt%のGENAPOLTM EP 2564;
0.05 wt%〜0.06 wt%のAROMOXTM MCD-W (30 wt% cocodimethylamine oxide);および
約0.006 wt%の1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸の(60 wt%)溶液
から調製される88 wt%の溶液(B1)
と混合することにより調製した。
【0037】
B)組成物1の消毒特性の分析
下記表に記載のテストは、組成物1の殺菌、殺真菌、および殺ウイルス効力を、透析ジェネレーターのための消毒剤およびスケール除去剤として透析センターで数年間にわたって使用されている0.42 wt%の過酢酸、7 wt%の過酸化水素、および3.5 wt%〜4.5 wt%の酢酸を平衡状態で含む水溶液のものと比較することにより、組成物1の殺菌、殺真菌、および殺ウイルス効力を確認するために実施した。幾つかのテストは、GambroのAK 200 UltraTM ジェネレーターで使用されるものに相当する1/35希釈で、ヨーロッパまたはフランスのスタンダードの規定に従って、この特定のケースに関連して実施した。結果を以下の表に示す。
【表2】

【表3】

【0038】
CMB: 最小殺菌剤濃度;
APA: 過酢酸;
クリーン条件: 0.03%アルブミン;
ダーティー条件: 0.3%アルブミン + 0.3% ヒツジ血液赤血球;
CMF: 最小殺真菌剤濃度;
2.85%の濃度は、機械での使用条件に相当する(= 1/35希釈)。
【表4】

【0039】
結果は、ジェネレーターの使用条件(1/35希釈)において、本発明の組成物1が、刺激物質分類 (過酢酸 < 1% および 過酸化水素 < 7%) を維持しながら、NF EN 13727スタンダードに従って殺菌性があり、NF EN 13624に従ってクリーン条件下で20℃で60分、ダーティー条件下で20℃で60分、クリーン条件下で37℃で10分、ダーティー条件下で37℃で15分、殺真菌性があることを実証する。また、結果は、本発明の組成物が、NFT 72-180スタンダードに従って殺ウイルス性があることを実証する。
【0040】
C)透析ジェネレーターにおける組成物1のテスト
1)水洗能力テスト
第1シリーズのテストは、1つのGambroのAK 200 UltraTM 透析ジェネレーターで実施し、消毒に連結させたそのパラメーターは、以下のとおりとした:
吸収された消毒剤の体積:120 ml;消毒時間:10分 (37℃〜室温の温度);サイクル (消毒 + 水洗) のトータル期間:41分。
【0041】
泡が存在しないことを、消毒フェーズの間および後で、目視で確認した。消毒サイクルは通常どおりに行い、水洗工程の終わりに泡はまったく見られなかった。水洗工程の終わりに、透析液中に消毒剤がまったく存在しないことを、透析セッションの前に確認した。透析液は、消毒剤の水洗フェーズに続くテスト期間の後に、ジェネレーターにより調製した。表面の完全な衛生を許容する構成部分の性質をインジケータとして考慮した種々のパラメータに基いて、結果は、以下のとおりである。
【表5】

【0042】
消毒剤がまったく存在しないことが実証される。初期の伝導度(消毒溶液)は、約1200μS/cmであるため(1/35希釈)、このパラメーターは、消毒の開始前のインジケータおよび水洗の終わりのインジケータとして使用することができる。これらの結果は、本発明の組成物1の優れた水洗能力を実証する。
【0043】
2)5日間にわたる使用条件下での組成物1の水洗能力の確認
第2シリーズのテストは、GambroのAK 200 UltraTM 透析ジェネレーターの流体回路内で、前述のパラグラフに記載の実験条件と同じ条件下において、本発明の組成物1の優れた水洗能力を評価するために、5日間の期間にわたって実施した。
【0044】
組成物1は、同じ透析ジェネレーターで、1日に2回、この期間の間、使用し、ジェネレーターは、流体回路内に浸透させた水を入れて、2回のテストの間、静止して維持した。
【0045】
水洗水の回収物は、毎日分析した。これら分析により、本発明の組成物1の一定かつ連続的な水洗能力を証明することができた。
【0046】
同じテストシリーズを、5日間の期間にわたって、1/25希釈で操作して、FreseniusのFRESENIUS 4000 HTM ジェネレーターで実施した。これらは、所要の水洗能力基準にも適合する結果を得た。
【0047】
3)9ヶ月間にわたる本発明の組成物1の洗浄および消毒力の確認
組成物1は、Gambroの一連の16個のAK 200 UltraTM 透析ジェネレーターで、9ヶ月の期間にわたって、各透析の間に、この期間の間、使用し、血液透析濾過で操作した。組成物1は、機械で1/35に希釈して、透析セッションの日の間の各夜に、ジェネレーターの回路に静止して置いた。水洗水の回収物は、毎日分析した。透析液サンプルを、回路の種々の位置で、細菌学的分析(R2A agar T 20/232℃)および内毒素の研究(中間点への連続的希釈による最終的ゲルポイント;反応物質の感度:0.015 UI/ml)のために、2日毎に採取した。これにより、以下の表に記載の結果を得た。
【表6】

【0048】
これらは、細菌も内毒素も存在しないことを実証する。目視観察により、回路にスケールおよび/または固形残渣の存在しないことが確認される。
【0049】
したがって、透析機を処理するための本発明の組成物1の使用により、以下の利点が得られる:
− 2つのセッションの間での透析設備のダウンタイムの減少;
− 反復適用による、すなわち各患者による有機性の液汚れの除去;
− 反復適用による、すなわち各患者による無機性の液汚れの除去;
− 透析設備により(消毒中および水洗後の)マーカーとして使用するのに充分な希釈水溶液の伝導度による完全な衛生に対する補足的安全性;
− 透析ジェネレーターの回路の消毒について消毒活性を評価するための新基準への適合;
− その構成成分の作用の相乗作用による単純な刺激物質としての生成物の分類;
− 設備に対する無毒性;および
− 水洗フェーズ後の泡および残渣が存在しないこと。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量100%あたり、
0.50 wt%〜1.50 wt%の過酢酸;
3.00 wt%〜15.00 wt%の過酸化水素;
3.00 wt%〜15.00 wt%の酢酸;
0.10 wt%〜1.00 wt%の濃硝酸;
0.001 wt%〜0.20 wt%の非イオン性界面活性剤;
0.01 wt%〜0.10 wt%のアミンオキシド;
0.01 wt%〜0.20 wt%の安定剤;および
合計100 wt%にする水
を本質的に含む組成物。
【請求項2】
質量100%あたり、
0.50 wt%〜1.00 wt%の過酢酸;
4.00 wt%〜10.00 wt%の過酸化水素;
4.00 wt%〜15.00 wt%の酢酸;
0.10 wt%〜1.00 wt%の濃硝酸;
0.03 wt%〜0.10 wt%の非イオン性界面活性剤;
0.01 wt%〜0.10 wt%のアミンオキシド;
0.03 wt%〜0.10 wt%の安定剤;および
合計100 wt%にする水
を本質的に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
質量100%あたり、
0.70 wt%〜1.00 wt%の過酢酸;
4.00 wt%〜7.00 wt%の過酸化水素;
7.00 wt%〜12.00 wt%の酢酸;
0.20 wt%〜0.70 wt%の濃硝酸;
0.03 wt%〜0.075 wt%の非イオン性界面活性剤;
0.01 wt%〜0.05 wt%のアミンオキシド;
0.03 wt%〜0.075 wt%の安定剤;および
合計100 wt%にする水
を本質的に含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1および2の何れかに記載の組成物を調製する方法であって、
100 wt%あたり、
5 wt%〜30 wt%の過酢酸、10 wt%〜50 wt%の過酸化水素、5 wt%〜60 wt%の酢酸、必要に応じて1%までの安定剤、および合計100 wt%にする水を含む3 wt%〜20 wt%の水溶液(A)を、
100 wt%あたり、
8 wt%〜10 wt%の酢酸;
0.10 wt%〜1 wt%の硝酸;
3 wt%〜10 wt%の過酸化水素;
0.03 wt%〜0.1 wt%の非イオン性界面活性剤;
0.01 wt%〜0.1 wt%のアミンオキシド;
0.005 wt%〜0.1 wt%の安定剤;および
合計100 wt%にする水
を混合することにより調製される80 vol%〜97 vol%の水溶液(B)
と混合する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
2つの透析セッションの間で透析ジェネレーターの流体回路を洗浄、スケール除去、および消毒する方法であって、
請求項1および2の何れかに記載の組成物を前記ジェネレーターにより浸透させた水で1/20〜1/40に希釈することにより得られる水溶液を、前記透析ジェネレーターの流体回路内で、10〜30分の時間にわたって循環させる工程(a)、および工程(a)の終わりに;
浸透させた水を、前記透析ジェネレーターの流体回路内で、15〜60分の時間にわたって循環させることからなる水洗工程(b)
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
使用される水性組成物の希釈率が、1/25〜1/35である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
血液透析のための水処理ラインの分配ループを洗浄、スケール除去、および消毒する方法であって、
請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物を水で1/20〜1/40に希釈することにより得られる水溶液を、前記分配ループ内で、30〜60分の時間にわたって循環させる工程(a)、および工程(a)の終わりに;
浸透させた水を、前記分配ループ内で、30〜60分の時間にわたって循環させることからなる、工程(a)の終わりの水洗工程(b)
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
浸透させた水を用いた前記透析設備の水洗以外の補助的処置をすることなく、2つの連続透析セッションの間において、透析設備を洗浄、スケール除去、および消毒するための、請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−523784(P2010−523784A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502541(P2010−502541)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051099
【国際公開番号】WO2008/125742
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(500327267)
【氏名又は名称原語表記】BIOXAL
【Fターム(参考)】