説明

透析患者用プローブガーゼおよび透析患者用プローブガーゼの使用方法

【課題】
透析患者が、人工透析の治療を受ける際に、患者の血圧を安定に監視し、また血圧低下の異常時には、アラームを発生する血圧測定系にて使用される透析患者用プローブガーゼおよび透析患者用プローブガーゼの使用方法を得る。
【解決手段】
生体接触ガーゼ1と、センサー接着用両面テープ2とが積層され、前記生体接触ガーゼと、センサー接着用両面テープとを貫通して、中央部分に中空穴4が開けられた透析患者用プローブガーゼ100であって、前記中空穴に、患者からの生体音を検知するセンサーが挿入され、前記生体接触ガーゼが、前記患者の皮膚に密着されることを特徴とする透析患者用プローブガーゼとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析患者が、人工透析を行う場合に、常時、血圧を監視し、血圧低下時に、アラームを発生させる血圧測定システムに用いられる透析患者用プローブガーゼ、および透析患者用プローブガーゼの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の人体から出る生物音響信号の変換器は、例えば、特許文献1にて開示されている。
特許文献1には、圧電トランスフレクス振動板を設置した生物音響信号用変換器について記載されており、前記生物音響信号用変換器を人体に密着させて、人体から出る生物音響信号を得る方法が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特表2005−534360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の生物音響信号の変換器には、以下の問題点があった。即ち、生物音響信号の変換器の先端平面部分を人体に密着させても、周辺のノイズ音を測定してしまう等、安定した測定が困難であった。
また、生物音響信号の変換器の先端平面部は、完全に人体に密着することが困難であって、
人体から出る生物音響信号を効率良く、取得することができなかった。特に、透析患者が、人工透析の治療を受ける際の血圧を、継続的に安定に測定することが困難であった。
【0005】
本発明の課題は、透析患者が、人工透析の治療を受ける際に、常時患者の血圧を、継続的に安定に測定し、また血圧低下の異常時には、アラームを発生する血圧測定系にて使用される透析患者用プローブガーゼ、および透析患者用プローブガーゼの使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため本発明の透析患者用プローブガーゼは、生体接触ガーゼと、センサ接着用両面テープとが積層され、前記生体接触ガーゼと、センサー接着用両面テープとを貫通して中空穴が開けられた透析患者用プローブガーゼであって、前記中空穴に、患者からの生体音を検知するセンサーが挿入され、前記生体接触ガーゼが、前記患者の皮膚に密着されることを特徴とする透析患者用プローブガーゼである。
【0007】
ここで、前記生体接触ガーゼは、粘着部分と、ガーゼ部分と、アルミ箔部分とが積層されて構成されており、前記アルミ箔部分が、前記患者の皮膚に密着されることを特徴とする透析患者用プローブガーゼである。
【0008】
前記センサーの患者の皮膚と密着する側には、センサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルム
が貼られることを特徴とする透析患者用プローブガーゼである。
【0009】
また、前記中空穴は、その径を2mmから15mmの範囲とすることを特徴とする透析患
者用プローブガーゼである。
【0010】
本発明の透析患者用プローブガーゼの使用方法は、生体接触ガーゼと、センサー接着用両面テープとが積層され、前記生体接触ガーゼとセンサー接着用両面テープとの積層状態の中央部分を貫通して中空穴が開けられた透析患者用プローブガーゼの使用方法であって、前記透析患者用プローブガーゼの中空穴に、患者からの生体音を検知するセンサーを挿入し、前記センサーの露出面側に、センサゴム汚染防止用抗菌防水フイルムを貼り付け、前記透析患者用プローブガーゼの生体接触ガーゼ側を、患者の皮膚に密着し、前記センサーからの生体信号を電子回路にて増幅し、所定の閾値が設定された判別器によって、前記患者からの生体信号の異常を発生させることを特徴とする透析患者用プローブガーゼの使用方法である。ここで、皮膚形状の追従性を向上させるために、センサーゴム(センサーの露出面側)とセンサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルムの間にゲル状物質あるいはゼリー状物質を導入しても良い。センサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルムと皮膚の間に、生体音を減衰させる空気層をなくす目的で、センサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルムの表面、あるいは皮膚にゼリー状物質を塗ることで、より安定な生体音の検出が可能となる。
【0011】
ここで、前記センサーは、圧電素子が組み込まれており、生体信号を、前記圧電素子により電気信号に変換することを特徴とする透析患者用プローブガーゼの使用方法である。
【0012】
更に、前記判別器は、生体信号の閾値の設定により、前記患者の血圧の低下を判別することを特徴とする透析患者用プローブガーゼの使用方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、透析患者が、人工透析の治療を受ける際に、患者の血圧を安定に監視し、また血圧低下の異常時には、アラームを発生する血圧測定系にて使用される透析患者用プローブガーゼおよび透析患者用プローブガーゼの使用方法を提供できる。
【0014】
請求項1に係る透析患者用プローブガーゼによれば、生体接触ガーゼと、センサー接着用両面テープとが積層され、前記生体接触ガーゼと、センサー接着用両面テープとを貫通して中空穴が開けられた透析患者用プローブガーゼであって、前記中空穴に、患者からの生体音を検知するセンサーが挿入され、前記生体接触ガーゼが、前記患者の皮膚に密着されることを特徴とする透析患者用プローブガーゼを提供でき、透析患者の血圧を安定して、連続的に検知する透析患者用プローブガーゼを提供することができるので、透析患者の血圧低下を確実に検知できる。
【0015】
請求項5に係る透析患者用プローブガーゼの使用方法によれば、生体接触ガーゼと、センサー接着用両面テープとが積層され、前記生体接触ガーゼとセンサー接着用両面テープとの積層状態の中央部分を貫通して中空穴が開けられた透析患者用プローブガーゼの使用方法であって、前記透析患者用プローブガーゼの中空穴に、患者からの生体音を検知するセンサーを挿入し、前記センサーの露出面側に、センサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルムを貼り付け、前記透析患者用プローブガーゼの生体接触ガーゼ側を、患者の皮膚に密着し、前記センサーからの生体信号を電子回路にて増幅し、所定の閾値が設定された判別器によって、前記患者からの生体信号の異常を発生させることを特徴とする透析患者用プローブガーゼの使用方法を提供することができ、透析患者の血圧低下を確実に検知できる使用方法を提供することによって、透析患者への医療の改善に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1よる透析患者用プローブガーゼ100の外観図である。図1(a)は、透析患者用プローブガーゼの平面図であり、図1(b)は、図1(a)でのAA断面図である。
【図2】本発明の図1の透析患者用プローブガーゼに、生体音の検出用のセンサーを装着して、透析患者の腕に固定した状態の断面図である。図2(a)は、センサーの先端部分にセンサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルムを貼り付けた状態の図であり、図2(b)は、透析患者用プローブガーゼの剥離紙部分を剥がして、透析患者の腕へ接着した状態の図である。
【図3】シャント音の強度と、血圧との相関データ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1よる透析患者用プローブガーゼの外観図である。図1(a)は、透析患者用プローブガーゼの平面図であり、図1(b)は、図1(a)でのAA断面図である。図1の透析患者用プローブガーゼ100は、生体接触ガーゼ1にセンサー接着用両面テープ2が接着され、中央部分に中空穴4が開けられた構造である。ここで、前記生体接触ガーゼ1は、粘着部分11と、ガーゼ部分12と、アルミ箔部分13と、剥離紙部分14が積層されて構成されている。ここで、ガーゼ部分12は、通常の綿を材質としている。またセンサー接着用両面テープ2は、その材質を、ポリエチレン樹脂としている。
【0018】
図2は、図1の本発明の透析患者用プローブガーゼ100の中空穴4に、生体音の検出用のセンサー16の先端部分を装着して、透析患者の腕18に固定した状態の外観図である。図2(a)は、センサー16の先端部分にセンサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルム15を貼り付けた状態の図であり、図2(b)は、生体接触ガーゼ1の剥離紙部分14を剥がして、透析患者用プローブガーゼ100を透析患者の腕18へ接着した状態の図である。なお、皮膚形状の追従性を向上させるために、センサーゴム(センサー16の露出面側)とセンサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルム15の間にゲル状物質あるいはゼリー状物質を導入しても良い。また、センサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルム15と透析患者の腕18の皮膚の間に、生体音を減衰させる空気層をなくす目的で、センサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルム15の表面、あるいは皮膚にゼリー状物質を塗ることで、より安定な生体音の検出が可能となる。
【0019】
ここで、図2(b)の状態は、透析患者の腕に透析患者用プローブガーゼを密着した状態であって、患者の腕のシャント近傍に前記透析患者用プローブガーゼが配置されている。患者に施されたかシャントからのシャント音は、センサー16によって、電気信号へ変換され、信号線17を介して、測定機器(図示せず)に接続される。
【0020】
なお、生体接触ガーゼ1のアルミ箔部分1は、透析患者の腕18の皮膚に密着し、センサー周辺部分の皮膚の電位を均一にする作用があって、センサーが、安定して、生体信号を収集することに寄与する。
【0021】
図3は、シャント音の強度と、血圧との相関データである。透析患者の腕に形成されたシャントのシャント音の強度は、血圧との相関を有している。この相関データを利用して、透析患者の血圧低下を検出することができる。
即ち、測定機器内の判定器にて、所定のシャント音の強度を閾値に設定する。これによって、透析患者の血圧低下を検出できる。
【0022】
なお、本透析患者用プローブガーゼは、透析患者の腕とセンサーとの間にて、生体信号をノイズをなくし、円滑に伝達することに寄与するものであって、透析患者の透析治療に関する医療の改善に寄与することができる。
【符号の説明】
【0023】
100 透析患者用プローブガーゼ
1 生体接触ガーゼ
11 粘着テープ部分
12 ガーゼ部分
13 アルミ箔部分
14 剥離紙部分
2 センサー接着用両面テープ
3 両面テープ用剥離紙
4 センサー設置用中空穴
15 センサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルム
16 センサー
17 信号線
18 透析患者の腕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体接触ガーゼと、センサー接着用両面テープとが積層され、前記生体接触ガーゼと、センサ接着用両面テープとを貫通して、中央部分に中空穴が開けられた透析患者用プローブガーゼであって、前記中空穴に、患者からの生体音を検知するセンサーが挿入され、前記生体接触ガーゼが、前記患者の皮膚に密着されることを特徴とする透析患者用プローブガーゼ。
【請求項2】
前記生体接触ガーゼは、粘着部分と、ガーゼ部分と、アルミ箔部分とが積層されて構成されており、前記アルミ箔部分が、前記患者の皮膚に密着されることを特徴とする請求項1記載の透析患者用プローブガーゼ。
【請求項3】
前記センサーの患者の皮膚と密着する側には、センサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルム
が貼られることを特徴とする請求項1または2いずれか記載の透析患者用プローブガー
ゼ。
【請求項4】
前記中空穴は、その径を2mmから15mmの範囲とすることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項記載の透析患者用プローブガーゼ。
【請求項5】
生体接触ガーゼと、センサー接着用両面テープとが積層され、前記生体接触ガーゼとセンサー接着用両面テープとの積層状態の中央部分を貫通して中空穴が開けられた透析患者用プローブガーゼの使用方法であって、
前記透析患者用プローブガーゼの中空穴に、患者からの生体音を検知するセンサーを挿入し、
前記センサーの露出面側に、センサーゴム汚染防止用抗菌防水フイルムを貼り付け、
前記透析患者用プローブガーゼの生体接触ガーゼ側を、患者の皮膚に密着し、前記センサーからの生体信号を電子回路にて増幅し、所定の閾値が設定された判別器によって、前記患者からの生体信号の異常を発生させることを特徴とする透析患者用プローブガーゼの使用方法。
【請求項6】
前記センサーは、圧電素子が組み込まれており、生体信号を、前記圧電素子により電気信号に変換することを特徴とする請求項5記載の透析患者用プローブガーゼの使用方法。
【請求項7】
前記判別器は、生体信号の閾値の設定により、前記患者の血圧の低下を判別することを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載の透析患者用プローブガーゼの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−179054(P2010−179054A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27877(P2009−27877)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(502344178)株式会社イデアルスター (59)
【Fターム(参考)】