説明

透磁率測定方法及び当該方法に使用される基準サンプル

本発明は、高周波数ケーブルによりベクトルネットワーク分析器(12)に接続される測定セルを含む測定装置を使用して、磁性材料と電磁界との磁気相互作用を測定することにより、磁性材料の透磁率を測定する方法に関し、本方法は、前記測定装置を標準に合わせる/較正するステップ、前記装置によって得られる測定値に適用できる補正係数を導出するステップ、及びそれがドリフトしないことを検証するステップを含み、前記ステップは、所定の容積の局所的な人工透磁率を形成することができる少なくとも一つの内包物を含む基準サンプルを援用して行なわれ、各内包物は、少なくとも一つの誘導素子を組み合わせることにより作製され、この少なくとも一つの誘導素子は、少なくとも一つの容量素子及び/又は抵抗素子及び/又は能動素子の組み合わせに接続することができ、各容積の電磁特性の周波数応答は、素子アセンブリの値及びアーキテクチャによって調整することができる。基準サンプルも開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透磁率を測定する方法、及び当該方法における磁性の基準サンプルに関する。
【背景技術】
【0002】
材料の電磁特性(誘電率及び透磁率)に関する情報は、特に電気通信分野における技術開発のスピードが増大しているために、特に注目されている。これらの材料は実際に、非常に多くのシステム(アンテナ、フィルタなど)又は電子素子(インダクタ、伝送線路など)に組み込まれ、これらシステム又は電子素子の性能は、直流から数十ギガヘルツの周波数範囲で使用される材料の特性に左右される。
材料の電磁特性を特徴付けるために、材料が導波路構造又は自由空間のいずれに使用されるかに拘らず、この材料と電磁界の相互作用を測定する。モデル化計算又は分析計算によって、材料の電磁特性(誘電率及び透磁率)のスペクトルを追跡することができる。この材料は、特徴付けの技術に適した一つのサンプルとして作製することができるか、又は使用環境(例えば、非破壊検査)において特徴付けることができる。
【0003】
材料のマイクロ波周波数を特徴付ける技術は、3つの主要カテゴリー、即ち、
−材料との超短パルスの相互作用のフーリエスペクトル分析に基づく時間領域技術、
−波/材料相互作用の測定値に基づく特性のスペクトル計算に較正係数を必要としない絶対高調波技術、及び
−計算を調整し、最終的に絶対無線電気特性の値を取得するために補正係数が必要な非絶対高調波技術(単一のコイルによる揺動の一例が非特許文献1に記載されている。)
にグループ化することができる。
測定に関し、以下の3点、即ち、
−測定機器を標準に合わせる/較正する操作(使用する方法に関係なく有効である)、
−非絶対高調波技術を使用する場合の、材料の絶対特性の計算に用いる補正係数の導出、及び
−計測器にドリフトがないことの検証、又は関連する計算チェーンが有効であることの検証(使用する方法に関係なく有効である)
を考慮する必要がある。
【0004】
ベクトルネットワーク分析器を使用する場合、この分析器によって、材料と電磁波との相互作用の測定が、使用サンプルを透過する電磁波又は当該サンプルに反射する電磁波を定量化することにより可能であり、電磁波を調整するため、従来、時間及び周波数標準に接続される装置によって比較が行なわれる。次に、この分析器を較正して、既知の負荷(基準インピーダンス)を使用することにより、波の透過及び反射パラメータの測定における種々の誤差源を補償する。計算によって、測定に体系的に適用される補正係数を導出することができる。これらの既知の負荷は、種々の負荷を自動的に分析器に供給する受動機械要素又は電子デバイスとすることができる。
サンプルの特性の絶対値を計算するための補正係数を導出し、装置の性能がドリフトしないことを検証することも必要である。誘電特性(誘電率)に関するこれらのステップは従来、種々の誘電率を生成するために、基準誘電率材料、例えば酸化物セラミックスを使用して行なわれる。次に、いわゆる基準サンプルを作製し、これを使用して補正係数を導出するか、又は計測器が予測される値を実際に供給することを点検する。誘電率の値が小さい場合、ポリマー(例えば、誘電率ε≒2.72のプレキシグラス)を使用することができる。これらのポリマーは、経時的な安定性及び温度安定性の面で不十分であり、ガラス遷移温度が低く、多くの場合100℃未満である。相互比較回路を並列接続することにより、基準として使用する材料の誘電率の値を導出することができる。
【0005】
磁性材料の特徴付けを行なう場合、フェライト基準サンプルを使用することができる。経時的に安定な構造(セラミック)を用いる場合、これらの磁性サンプルは経時的に安定であるにも拘らず、外部磁界の影響を非常に受け易く、且つ温度変化の影響を受け易い。薄膜強磁性層の特徴付けの分野では、サンプルに対する相互比較が、例えば非特許文献2に記載されているような比較測定により行なわれている。
サンプルを再度切断して、種々の特徴付け技術に適合させることができる。これにより、サンプルの大きさ及び電磁界に対する応答に変化が生じる(静的及び動的消磁効果)。薄膜層の寸法が大きい場合、特徴付け装置は局所磁界を使用する。この場合、これらの層の表面は均一に励磁されず、よって、この層の見かけ上の特性が変化する。磁性材料は更に磁気ヒステリシスを示し、この磁気ヒステリシスによって、演繹的に磁化状態を保証することができず、従って材料の透磁率スペクトルを保証することができない。これにより、基準を自由に設定するためにサンプルを磁気的に調整する手順を注意深く観察する必要がある。
【0006】
現在のところ、最低限でも前述の測定上の検証を可能にする信頼性の高い基準サンプルはない。
非特許文献1には、単一のコイルである測定セルから構成される透磁率測定システムが記載されており、この測定セルは、測定セルのインピーダンス測定を可能にするベクトルネットワーク分析器に接続されている。数学的処理により、測定セルに磁性材料が含まれる場合と含まれない場合に測定されるインピーダンスの差に基づいて、透磁率スペクトルを計算することができる。計算を実行するために、3つの情報、即ち、測定セルのモデル化パラメータ、補正係数K、及びセルに導入される磁性材料の容積を利用することができる。セルのパラメータは、磁性材料の容積を分析器を用いて測定することにより得られる。磁性材料の容積はオペレータによって入力される。係数Kは、既知の磁性サンプルを測定すること、及びこの係数Kを調整して実験データと基準値の両方を一致させることにより得られる。
【0007】
非特許文献2には、UHF周波数の範囲まで薄膜層の透磁率を比較測定する方法が記載されている。この文献は、測定値を検証するための手順が面倒であることを示している。
上記文献の両方に、補正係数Kの値を導出する技術的問題と、この補正係数を経時的に検証する技術的問題とが提示されている。磁性材料の透磁率は、電磁環境、印加される応力、温度、酸化などに左右される。従って、磁性材料を基準として使用するには細心の注意を払う必要がある上に、磁性材料の安定性は経時的に保証されない。
【非特許文献1】D.Pain、M.Ledieu、O.Acher、A.L Adenot及びF.Duvergerによる論文「An improved permeameter for thin films measurements up to 6GHz」(Journal of Applied Physics、 Volume 85(8)、1999年4月15日、5151−5153頁)
【非特許文献2】M.Yamaguchi、O. Acher、Y.Miyazawa、K.I.Arai及びM.Ledieuによる論文「Cross measurements of thin film permeability up to UHF range」(Journal of Magnetism and Magnetic Materials、242−245、2002年、970−972頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、透磁率の測定方法と、当該方法に使用され、且つこのシステムの調整及び検証を可能にする基準サンプルとを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、マイクロ波周波数ケーブルを介してベクトルネットワーク分析器に接続される測定セルを含む測定装置を使用して、磁性材料と電磁界の磁気相互作用を測定することにより、当該材料の透磁率を測定する方法に関し、本方法は、
−前記測定装置を標準に合わせる/較正するステップ、
−この装置によって得られる測定値に適用される補正係数を導出するステップ、及び
−この装置がドリフトしないことを検証するステップ
を含み、これらのステップは基準サンプルを援用して行なわれ、
使用される基準サンプルが、所定の容積を有する局所的な人工の透磁率の形成を可能にする少なくとも一つの内包物を含み、各内包物は、少なくとも一つの誘導素子を組み合わせることにより得られ、少なくとも一つの誘導素子は、少なくとも一つの容量素子及び/又は抵抗素子及び/又は能動素子に接続することができ、各容積の電磁特性の周波数応答は、素子の値及びアセンブリアーキテクチャによって調整されることを特徴とする。
【0010】
本発明は更に透磁率基準サンプルに関し、本サンプルは、
−電磁界と磁性材料との磁気相互作用を測定することにより当該磁性材料の透磁率を測定する装置を標準に合わせる/較正する操作であって、この測定装置はマイクロ波周波数ケーブルを介してベクトルネットワーク分析器に接続される測定セルを含む操作、
−この装置によって得られる測定値に適用される補正係数の導出、及び
−この装置がドリフトしないことの検証
に使用することができ、
所定の容積を有する局所的な人工の透磁率を形成することができる少なくとも一つの内包物を含み、各内包物が少なくとも一つの誘導素子を組み合わせることにより得られ、少なくとも一つの誘導素子が少なくとも一つの容量素子及び/又は抵抗素子及び/又は能動素子の組み合わせに接続することができ、各容積の電磁特性の周波数応答が素子の値及びアセンブリアーキテクチャによって調整されることを特徴とする。
【0011】
有利には、基準サンプルは、磁性材料を含む少なくとも一つの素子を含む。
有利には、少なくとも一つの内包物の少なくとも一つの素子の値は、離れた場所から調整可能である。少なくとも一つの素子は、電子機能を有する要素を含む。
【0012】
誘導素子が磁性コアを含む場合、値は、コアに固有の透磁率の値によって、即ちエアギャップコアの公知の原理によって付与されるのではなく、コアの幾何学的特性によって与えられることが好ましい。
有利には、少なくとも一つの内包物の素子は誘電体充填材料に埋設される。内包物全体の形状も、誘電体充填材料によって維持することができる。これにより、測定セルにおける位置決めが再現可能且つ容易になる。
【0013】
有利には、基準サンプルは、基準磁性機能を一の電磁界方向に有し、非磁性誘電機能を別の方向に有する。
有利には、例えば透磁率、パーミアンス、又は周波数−透磁率の積分値とすることができる磁性機能基準値をサンプルに関連付けることができる。
【実施例】
【0014】
図1に示す本発明の透磁率測定方法を適用する装置は、透磁率を測定する計測器の一実施例における単一コイル式揺動装置である。
この装置は、
−本発明による磁性サンプル11を収容できる測定セル10と、
−例えばHP8753ESの種類のベクトルネットワーク分析器12と
を備え、測定セル10と分析器12はマイクロ波周波数ケーブル13によって互いに接続される。
【0015】
測定セル10は、測定単一コイル15に接続されるアース板14を含む。
この透磁率測定装置では、ここでも補正係数Kを調整することにより求める必要があるパーミアンス又は透磁率の値に関連するサンプルを使用する。本発明によるこのサンプルを使用することにより、測定の安定性が保証され、このサンプルは、測定環境条件に関係なく、当該サンプルに関連する値によって特徴付けられる。
【0016】
本発明のサンプルは、少なくとも一つの内包物を含む透磁率基準サンプルであり、内包物は、所定の容積を有する局所的な人工の透磁率を生成することができる。各内包物は、少なくとも一つの誘導素子を組み合わせることにより得られ、少なくとも一つの誘導素子は、少なくとも一つの容量素子及び/又は抵抗素子及び/又は能動素子の組み合わせに接続することができる。各容積の電磁特性の周波数応答は、これらの素子の値とアセンブリアーキテクチャによって1回だけ調整される。
【0017】
図2は、図1に示す測定システムにおいて使用することができる、本発明による基準サンプルの一実施例を示す。
このサンプル20は、複数の素子、即ち
−例えば0.5pFのコンデンサ21、
−例えば4.7kΩの抵抗体22、
−例えば47nHのソレノイドインダクタ23、
−例えば10nHのソレノイドインダクタ24、及び
−例えば47nH及び10nHの未接続ソレノイドインダクタ25
を含み、これらの素子の内の一部は接続手段26によって並列に溶接される。
【0018】
これらの素子の全部が、例えば9x9x0.5mmの樹脂ブロック30に埋設される。
本発明のサンプルの透磁率は可変にすることができる。この場合、測定システムを揺動させることなく、内包物の一つ以上の素子の値を離れた場所から変化させることにより、調整可能な基準サンプルが得られる。
【0019】
事前特徴付けステップでは、基準サンプルの見掛けパーミアンス(透磁率に関連する容積を乗じた積)は1回だけ、更に有効な特徴付け装置によって測定される。
サンプルの特性、例えばそのパーミアンスは経時的に安定で、その後の特徴付けが正しいことを確認することができる。サンプルの特性によって更に、既知のサンプルを実際の条件で測定することにより、計測器の較正が正しいことを確認することができる、及び/又は計測器のドリフトを無くすことができる、及び/又は材料の特性を計算するチェーンが正しいことを確認することができる。
【0020】
パーミアンスに基づいて、積分値(例えば、パーミアンスの周波数積分値を周波数で除算した値、又はパーミアンスの周波数積分値に周波数を乗算した値)を計算することができ、この積分値を基準サンプルに関連付けることができる。これらの積分値を使用することにより、基準サンプルが、不測の事態の影響、又は特徴付けに付随する不測の事態の影響を受け難くなるので、基準としての適性が向上する。
各内包物の特性の経時的安定性は、この内包物の素子の経時的安定性を検証することにより得られる。
【0021】
エレクトロニクス専用の寸法の小さい素子を使用することにより、測定装置に容易に挿入することができる小型の基準サンプルを作製することができる。
電気機能を有する要素、例えば銅配線、コンデンサを使用することにより、更に、
−生成される透磁率スペクトルの磁場に対する感度を確実に無くすこと、
−しばしば従来の磁性材料に特有な酸化及び経年効果を抑制することにより、特性のドリフトを制限すること、及び
−従来の磁性材料を使用する場合に制御されない温度ドリフトを制限すること
が可能である。
【0022】
本発明の基準サンプルは、内包物が、外部磁界との磁気結合を行なう誘導要素と、この誘導要素に接続される負荷とから構成されるメタマテリアルとは異なる。これらのメタマテリアルはRLC素子を含み、透磁率に関して特徴付けられる(均質化特性)。実際、本発明のサンプルでは、透磁率が、特徴付けセルとはほぼ無関係の別の特性、即ちパーミアンスに関連付けられる。本発明の基準サンプルは更に、基準サンプルが特徴付け手段に対して(測定伝送線路又は測定セルなどにおいて)位置決めされるという点でメタマテリアルとは異なる。基準サンプルを構成する内包物は、測定セルの中に再現可能に配置する必要がある。何らかの機械的な受動位置決め手段又は能動位置決め手段を内包物に接続し、一容積を画定することができ、この容積においてパーミアンスが示され、この容積は特徴付け手段の中に再現可能に配置することができる。最後に、本発明の基準サンプルの場合、パーミアンスに注目し、パーミアンスは局所特性である。
更に、一つの内包物に対応する各容積の一致は、誘電体充填材料を使用してもしなくても容易に確保することができる。従って、内包物で対応する容積全体を充填する必要はない。内包物の大きさは、一般的に、例えば誘導パターンを使用して基準サンプルが設計される特徴付けセルより小さく(例えば特徴付けセルの1/10〜1/2)する。
【0023】
内包物の形状が適切である場合、本発明による基準サンプルは、基準磁性機能を一の電磁界方向(分極方向)に、非磁性誘電機能を別の方向に有することができる。これにより、透磁率の差分を特徴付けする技術を用いる場合、同じサンプルを用いて基準測定を行なうことができる。一の方向では、誘電作用のみを測定し、別の方向では、誘電作用及び磁界の影響を測定する。差分を求めることにより、磁界の影響を求めることができる。
本発明の基準サンプルは、従来のネットワーク分析器の較正素子とは異なる。実際、これらの素子では、伝送線路に対する電子負荷インピーダンスの物理的接続を使用し、従って、このインピーダンスの接続は電気伝導による結合である。これとは異なり、本発明の基準サンプルの場合、当該接続は、伝送線路内を含めて基準サンプルと特徴付け構造との間に接続が無い放射による結合である。
【0024】
基準サンプルの実施例
単一コイルに起因する揺動により薄膜強磁性層を特徴付ける技術が非特許文献1に記載されている。この技術により、1センチメートルのサンプルとしての薄膜層の透磁率スペクトルを求めることができる。透磁率スペクトルは、単一コイルのインピーダンスの変化を求めることができる2回の測定に基づいており、このコイルには、特徴付けされる磁性薄膜層による負荷をかける。次に、計算によって、薄膜層のマイクロ波周波数透磁率を求めることができる。
小さい容積の基準サンプルを作製するために、並列RLC共振回路を使用する。インダクタンスLは内包物に入射する電磁界と磁気結合する素子として作用する。RLC並列構造により、同じように使用可能であるRLC直列構造を使用するよりも基準サンプルを遥かに小さくすることができる。
【0025】
素子の値を調整することにより、素子の値を調整することにより測定される見掛け上の透磁率の大きさ及び共振周波数を変えることができる。内包物の見掛け上の透磁率の応答のモデル化は、次の近似式により使用される。

上式中、
−μeffは、内包物の周りに画定される容積の見掛け上の透磁率を、
−αは、実際の充填率を、
−Zは、特徴付けセル内の駆動磁界と結合するための誘導素子のインピーダンスを、
−Zは、誘導素子上に並列接続される負荷インピーダンスを
表わす。
RLC並列回路の場合、得られる透磁率の理論上の共振周波数Frthは、次の式によって表わされる。

上式中、L及びCは、内包物の合計の並列インダクタンス及び容量である(それぞれヘンリー及びファラッドで表わされる)。
【0026】
この実施例では、表面に搭載された複数の素子又はSMCを接続し、特徴付けされる強磁性膜の基板として通常使用されるガラスウェハ上に移すことができる。
図3、4、5A、及び5Bは、基準サンプルを作製するために使用される素子の値に基づく単一コイルの揺動によって測定されるパーミアンスの例を示している。
【0027】
図3は、並列接続される以下のような3つの要素R、L、及びCに基づくこれらの基準サンプルに関して得られるパーミアンスのスペクトルを示す。
C=1pF
L=10nH→220nH
R=∞
図4は、並列接続される以下のような3つの要素R、L、及びCに基づく基準サンプルに関して得られるパーミアンスのスペクトルを示す。
C=1pF→100pF
L=10nH
R=∞
【0028】
図5A及び5Bは、並列接続される以下のような3つの要素R、L、及びCにより構成される基準サンプルに関して得られるパーミアンスのスペクトルを示す。
L=47nH
C=1pF
R=∞、100kΩ、25kΩ、5kΩ
差分測定を行なうために、測定セル内で基準サンプルを90°だけ確実に回転させながら、2つの必要な測定を行なう。
【0029】
図6は、集積化された基準誘電体を備える基準磁性サンプルの作製原理を示す。×印は、内包物の素子の間で行なわれなかった接続を示している。2つの内包物の内の一方は、電気特性(誘電率)が全く同じ状態を維持する場合も透磁率を示さない。このようなサンプルを二極性サンプルと呼ぶ。
このようなサンプルを測定する場合、特徴付けセル内の電磁界の特定の準TEM形状を利用しながら、図7A及び7Bに示す2つのステップで処理を行なう。
【0030】
図7Aでは、活性内包物(×印が無い)は、磁界がコイルの軸に直交する場合、磁界hによって励起されない。磁界hによって励起される内包物は、素子が接続されないので透磁率を示さない。従ってこの場合、誘電作用のみが測定される。
図7Bでは、活性内包物は磁界h(コイルの軸に平行な磁界)によって励起され、不活性内包物は励起されない。従ってこの場合、誘電作用及び透磁率の影響が測定される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の透磁率測定方法を適用する装置を示す。
【図2】本発明の基準サンプルの一実施例を示す。
【図3】並列な3つの素子R、L、及びCに基づく基準サンプルに得られるパーミアンスのスペクトルを示す。
【図4】並列な3つの素子R、L、及びCに基づく基準サンプルに得られるパーミアンスのスペクトルを示す。
【図5A】並列な3つの素子R、L、及びCに基づく基準サンプルに得られるパーミアンスのスペクトルを示す。
【図5B】並列な3つの素子R、L、及びCに基づく基準サンプルに得られるパーミアンスのスペクトルを示す。
【図6】集積化された基準誘電体を備える基準磁性サンプルを作製する原理を示す。
【図7A】誘電体部分を測定する場合の二極性サンプルの位置を示す上面図である。
【図7B】基準透磁率を測定する場合の二極性サンプルの位置を示す上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料の透磁率を測定する方法であって、マイクロ波周波数ケーブル(13)を介してベクトルネットワーク分析器(12)に接続される測定セルを含む測定装置を使用して、電磁界と当該材料との磁気相互作用を測定するもので、
−前記測定装置を標準に合わせる/較正するステップと、
−この装置によって得られる測定値に適用される補正係数を導出するステップと、
−この装置がドリフトしないことを検証するステップと
を含み、これらのステップは基準サンプルを援用して行ない、
所定の容積を有する局所的な人工の透磁率を形成することができる少なくとも一つの内包物を含む基準サンプルを使用し、各内包物が少なくとも一つの誘導素子を組み合わせることにより得られ、少なくとも一つの誘導素子が少なくとも一つの容量素子及び/又は抵抗素子及び/又は能動素子の組み合わせに接続することができ、各容積の電磁特性の周波数応答が素子の値及びアセンブリアーキテクチャによって調整されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
基準サンプルが磁性材料を含む少なくとも一つの要素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つの内包物の少なくとも一つの素子の値が離れた場所から調整可能である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一つの素子が電子機能を有する要素を含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの内包物の素子が誘電体充填材料に埋設される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
内包物全体が誘電体充填材料に埋設される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項7】
基準サンプルが、測定セルにおける位置決めを再現可能且つ容易にする形状を有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項8】
基準サンプルが、基準磁性機能を一の電磁界方向に有し、非磁性誘電機能を別の方向に有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
透磁率基準サンプルであって、
−電磁界と磁性材料との磁気相互作用を測定することにより磁性材料の透磁率測定装置を標準に合わせる/較正する操作であって、この測定装置がマイクロ波周波数ケーブル(13)を介してベクトルネットワーク分析器(12)に接続される測定セルを含む、操作、
−この装置によって得られる測定値に適用される補正係数の導出、及び
−この装置がドリフトしないことの検証
に使用することができ、
所定の容積を有する局所的な人工の透磁率を形成することができる少なくとも一つの内包物を含み、各内包物が少なくとも一つの誘導素子を組み合わせることにより得られ、少なくとも一つの誘導素子が少なくとも一つの容量素子及び/又は抵抗素子及び/又は能動素子の組み合わせに接続することができ、各容積の電磁特性の周波数応答が、素子の値及びアセンブリアーキテクチャによって調整される、サンプル。
【請求項10】
磁性材料を含む少なくとも一つの要素を含む、請求項9記載のサンプル。
【請求項11】
少なくとも一つの内包物の少なくとも一つの素子の値が離れた場所から調整可能である、請求項9記載のサンプル。
【請求項12】
少なくとも一つの素子が電子機能を有する要素を含む、請求項9記載のサンプル。
【請求項13】
少なくとも一つの内包物の素子が誘電体充填材料に埋設されている、請求項9又は10記載のサンプル。
【請求項14】
内包物全体が誘電体充填材料に埋設されている、請求項9又は10記載のサンプル。
【請求項15】
測定セルにおける位置決めを再現可能且つ容易にする形状を有する、請求項9又は10記載のサンプル。
【請求項16】
基準磁性機能を一の電磁界方向に有し、非磁性誘電機能を別の方向に有する、請求項9記載のサンプル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2009−512864(P2009−512864A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537063(P2008−537063)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067601
【国際公開番号】WO2007/048752
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(502124444)コミッサリア タ レネルジー アトミーク (383)
【Fターム(参考)】