説明

透過型表示装置、表示システム及び表示方法

【課題】前面側に位置するユーザ及び背面側に位置するユーザの何れもが、適正な画像(正像)を視認できる透過型表示装置を提供する。
【解決手段】表示パネル1にタッチ操作がなされた場合に、そのタッチ操作が表示パネルの前面(第1タッチパネル2)へのタッチ操作か背面(第2タッチパネル3)へのタッチ操作かを判定部4にて判定し、その判定結果に基づいて表示画像を反転すべきであるか否かを主制御部11が判断し、反転すべきであると判断した場合、反転部13にて表示画像を反転させる。表示パネルの前面側から適正な画像が視認され、表示パネルの背面側からは裏返された画像が視認されるように画像表示がなされている場合に、表示パネルの背面にユーザのタッチ操作がなされると、画像を反転させて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面側及び背面側からの表示画像の視認が可能である表示パネルを有する透過型表示装置、該透過型表示装置を複数備える表示システム、及び、前記透過型表示装置を用いて画像を表示する表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型液晶パネルなどの透過型表示パネルを用いた透過型表示装置が、PDAなどの携帯端末に広く利用されている(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−216087号公報
【特許文献2】特開2007−164767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背面透過型の表示パネル(液晶パネル)を用いた透過型表示装置では、前面側及び背面側の両側から、表示された画像の視認が可能である。
【0005】
図11は、透過型表示装置で視認される表示画像の例を示す模式図であり、図11(a)は表示パネルの前面側に位置するユーザにより前面側から視認される表示画像を示しており、図11(b)は図11(a)と同じタイミングで表示パネルの背面側に位置するユーザにより背面側から視認される表示画像を示している。前面側からは適正な画像が視認されるが、背面側からは、その適正な画像が裏返された画像が視認される。
【0006】
前面側に位置するユーザは、正しい画像(正像)が表示されるので適正な表示画像を視認できる。しかしながら、背面側に位置するユーザは、裏返された画像しか視認できない。よって、背面側に位置するユーザは、表示内容が見にくく、利便性が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが前面、背面の何れをタッチしたかを検知し、その検知結果に基づいて必要があれば画像を反転表示することにより、前面側に位置するユーザ及び背面側に位置するユーザの何れもが、適正な画像(正像)を視認することができる透過型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る透過型表示装置は、その両面からの表示画像の視認が可能である表示パネルと、該表示パネルの両面夫々に設けられ、該両面夫々へのタッチ操作を受け付ける受付手段と、該受付手段の受付結果に基づいて表示画像を反転すべきか否かを判断する判断手段と、該判断手段により反転すべきであると判断した場合に、表示画像を反転させる反転手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の透過型表示装置によれば、表示パネルにタッチ操作がなされた場合に、そのタッチ操作が表示パネルの前面へのタッチ操作か表示パネルの背面へのタッチ操作かを判定し、その判定結果に基づいて表示画像を反転すべきであるか否かを判断し、反転すべきであると判断した場合に表示画像を反転させる。例えば、表示パネルの前面側から適正な画像が視認され、表示パネルの背面側からは裏返された画像が視認されるように画像表示がなされている場合に、表示パネルの背面にユーザのタッチ操作がなされると、画像を反転させて表示する。この結果、タッチ操作を行った背面側のユーザは、適正な画像を視認することができる。なお、上記の場合に、表示パネルの前面にタッチ操作がなされたときには、画像を反転させないでそのまま表示する。このように、本発明の透過型表示装置によれば、表示パネルの前面側及び背面側の両方から適正な画像を視認できる。
【0010】
本発明に係る透過型表示装置は、前記表示パネルは分割された複数の領域ごとに独立的に画像表示が可能であり、前記反転手段は、前記複数の領域ごとに表示画像を反転させるように構成してあることを特徴とする。
【0011】
本発明の透過型表示装置によれば、表示パネルは複数の表示領域に分割されており、表示領域毎に異なる種類の画像がそれぞれ表示されている。前面へのタッチ操作か背面へのタッチ操作かを判定するだけでなく、そのタッチ操作がなされた位置を検知し、その検知された位置に応じた領域での画像の反転の要否が判断される。例えば、表示パネルのある領域に関して前面側から適正な画像が視認され、背面側からは裏返された画像が視認されるように画像表示がなされている場合に、表示パネルの背面の前記領域にユーザのタッチ操作がなされると、前記領域の画像を反転させて表示する。この結果、タッチ操作を行った背面側のユーザは、適正な画像を視認することができる。この際、前記領域以外の他の領域については画像の反転が行われない。よって、ユーザは所望する画像のみを適正に視認することができる。
【0012】
本発明に係る透過型表示装置は、前記複数の領域の大きさを変更する変更手段を更に備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の透過型表示装置によれば、異なる種類の画像がそれぞれ表示される分割された領域の大きさの変更が可能である。よって、画像の種類に応じて任意の大きさの表示領域を設定できる。
【0014】
本発明に係る透過型表示装置は、前記変更手段による領域の大きさの変更に応じて、該領域に表示される画像を変倍する変倍手段を更に備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の透過型表示装置によれば、表示領域の大きさの変更に応じて、その領域に表示される画像を変倍する。よって、表示領域の大きさの変更に合わせて、表示画像が適正に変倍されるため、表示画像が領域からはみ出たり、表示画像が小さくて視認しにくいという不都合を解消できる。
【0016】
本発明に係る透過型表示装置は、その両面からの表示画像の視認が可能である表示パネルと、該表示パネルの両面夫々に設けられ、該両面夫々へのタッチ操作を受け付ける受付手段と、所定時間を計時する計時手段と、前記受付手段の受付結果に基づいて、前記所定時間内での前記表示パネルの一方の面へのタッチ操作の回数及び他方の面へのタッチ操作の回数を夫々計数する計数手段と、該計数手段の計数結果に基づいて表示画像を反転すべきか否かを判断する判断手段と、該判断手段により反転すると判断した場合に、表示画像を反転させる反転手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の透過型表示装置によれば、所定時間内になされた表示パネルの前面へのタッチ操作の回数と、前記所定時間内になされた表示パネルの背面へのタッチ操作の回数とを計数し、その計数結果に基づいて表示画像を反転すべきか否かを判断し、反転すべきと判断した場合に、表示画像を反転させる。例えば、所定時間内での前面へのタッチ操作の回数が背面へのタッチ操作の回数より多く、所定時間経過後に、背面側から適正な画像が視認され、前面側からは裏返された画像が視認されるように画像表示がなされている場合には、表示画像を反転させる。よって、ユーザが視認する確率が高い側に合わせて、画像を適正に視認するように設定できる。
【0018】
本発明に係る表示システムは、上記の透過型表示装置を複数備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の表示システムによれば、各透過型表示装置にて独立的に反転処理を行えるため、反転表示のための画像処理の負担を低減することができる。
【0020】
本発明に係る表示システムは、前記複数の透過型表示装置夫々により反転された画像の表示位置を変更する位置変更手段を更に備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の表示システムによれば、各透過型表示装置で反転された画像の表示位置を位置変更手段にて変更できるため、任意の位置に反転画像を表示でき、視認の利便性を高めることができる。
【0022】
本発明に係る表示方法は、その両面からの表示画像の視認が可能である表示パネルを備える透過型表示装置での表示方法であって、前記表示パネルの両面夫々へのタッチ操作を受け付け、受け付けた結果に基づいて表示画像を反転するか否かを判断し、反転すると判断した場合に、表示画像を反転させることを特徴とする。
【0023】
本発明の表示方法によれば、ユーザによりなされた表示パネルに対するタッチ操作が、表示パネルの前面へのタッチ操作か背面へのタッチ操作かを判定し、その判定結果に基づいて表示画像を反転すべきか否かを判断し、反転すべきと判断した場合に表示画像を反転させる。例えば、前面側から適正な画像が視認され、背面側からは裏返された画像が視認されるような表示がなされている状態で、背面にタッチ操作がなされた場合、画像を反転させて表示する。この結果、タッチ操作を行った背面側のユーザは、適正な画像を視認することができる。なお、上記の状態で、前面にタッチ操作がなされた場合には、画像を反転させない。このように、本発明の表示方法によれば、表示パネルの前面側及び背面側の両方から適正な画像を視認できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、ユーザが視認する側を認識し、その認識結果に応じて必要があれば表示されている画像を反転するようにしたので、ユーザは自身の位置(前面側か、背面側か)に関係なく、常に適正な画像を視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施の形態による透過型表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施の形態の透過型表示装置における動作手順を示すフローチャートである。
【図3】第2実施の形態による透過型表示装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第2実施の形態の透過型表示装置における動作手順を示すフローチャートである。
【図5】第3実施の形態による透過型表示装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第4実施の形態による透過型表示装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第5実施の形態による透過型表示装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第5実施の形態の透過型表示装置における動作手順を示すフローチャートである。
【図9】第6実施の形態による表示システムの構成を示すブロック図である。
【図10】第6実施の形態の表示システムにおける表示例を示す図である。
【図11】透過型表示装置で視認される表示画像の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0027】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態による透過型表示装置の構成を示すブロック図である。第1実施の形態の透過型表示装置は、透過型の液晶パネル1と、第1タッチパネル2と、第2タッチパネル3と、判定部4と、画像処理部10とを備えている。画像処理部10は、主制御部11と、表示制御部12と、反転部13とを有している。反転部13は、メモリ制御部13a及びバッファメモリ13bを含む。
【0028】
表示パネルとしての透過型の液晶パネル1は、例えば、街角に置かれた電子広告看板である。この液晶パネル1は、その前面側及び背面側の両側から表示画像の視認が可能である。この際、背面側からは前面側から視認される表示画像が裏返った表示画像が視認される。すなわち、前面側から適正な画像が視認されるときには、背面側からは、その適正な画像が裏返された画像が視認され、背面側から適正な画像が視認されるときには、前面側からは、その適正な画像が裏返された画像が視認される。本発明の液晶パネル1では、画像処理部10(反転部13)の処理により、このような視認形態の切り替え(表示画像の反転)を行えるようになっている。
【0029】
液晶パネル1の前面には、ユーザによるタッチ操作を受け付ける受付手段としての第1タッチパネル2が設けられ、液晶パネル1の背面には、ユーザによるタッチ操作を受け付ける受付手段しての第2タッチパネル3が設けられている。第1タッチパネル2及び第2タッチパネル3は、同様の構成をなしており、圧電素子(図示せず)を内蔵し、ユーザによるタッチ操作による押圧力を検知し、その検知結果に基づいてタッチ操作の有無を検出し、その検出結果を判定部4へ出力する。
【0030】
判定部4は、第1タッチパネル2及び第2タッチパネル3からの入力に基づいて、液晶パネル1の前面へのタッチ操作か、液晶パネル1の背面へのタッチ操作かを判定し、その判定結果を画像処理部10へ出力する。
【0031】
画像処理部10の表示制御部12は、画像メモリ30から表示すべき画像データを取得し、表示用の画像情報及び制御信号を液晶パネル1へ出力して、液晶パネル1での表示動作を制御する。また、画像処理部10の反転部13は、必要に応じて、液晶パネル1での表示画像を反転する処理(液晶パネル1での表示形態(前面側から適正な画像を視認できる表示形態または背面側から適正な画像を視認できる表示形態)を変更する処理)を行う。表示すべき画像データを一旦バッファメモリ13bに格納し、その読出しアドレスを制御することにより、このような表示画像を反転する処理が行われる。
【0032】
バッファメモリ13bへの画像データの書込み及びバッファメモリ13bからの画像データの読出しは、メモリ制御部13aにて制御される。なお、読出しアドレスを制御することによって表示画像の反転処理を行うようにしたが、バッファメモリ13bへの画像データの書込みアドレスを制御して表示画像の反転処理を行っても良い。画像処理部10の主制御部11は、透過型表示装置の各構成部材の動作を制御する。また、主制御部11は、表示画像を反転する処理を行うべきか否かを判断する。
【0033】
次に、上述したような構成をなす第1実施の形態の透過型表示装置の動作を説明する。図2は、その動作手順を示すフローチャートである。
【0034】
判定部4は、第1タッチパネル2または第2タッチパネル3からの入力を待っており(ステップS1)、何れかのタッチパネルからの入力があったか否かを判断する(ステップS2)。入力がない場合に(S2:NO)、動作がS1に戻って、判定部4は入力待ちとなる。
【0035】
何れかのタッチパネルからの入力があった場合(S2:YES)、判定部4は,その入力が第1タッチパネル2からの入力であるか否かを判断する(ステップS3)。第1タッチパネル2からの入力である場合(S3:YES)、つまり、液晶パネル1の前面へのタッチ操作が行われた場合、主制御部11は、現在の適正な画像表示が液晶パネル1の前面でなされているか否かを判断する(ステップS4)。
【0036】
適正な画像表示が前面でなされている場合(S4:YES)、つまり、液晶パネル1の前面側から適正な画像(正像)が視認される場合、そのまま動作が終了する。よって、液晶パネル1の前面にタッチしたユーザは、そのまま前面側から適正な画像を視認できる。
【0037】
一方、適正な画像表示が前面でなされていない場合(S4:NO)、つまり、適正な画像表示が背面でなされていて背面側から適正な画像が視認される場合、主制御部11は、反転部13を制御して画像表示の反転処理を行わせて、反転した画像を液晶パネル1に表示する(ステップS5)。この反転処理の結果、液晶パネル1の前面にタッチしたユーザは、前面側から適正な画像を視認できる。
【0038】
第1タッチパネル2からの入力でない場合(S3:NO)、つまり、液晶パネル1の背面へのタッチ操作が行われた場合、主制御部11は、現在の適正な画像表示が液晶パネル1の背面でなされているか否かを判断する(ステップS6)。
【0039】
適正な画像表示が背面でなされている場合(S6:YES)、つまり、液晶パネル1の背面側から適正な画像が視認される場合、そのまま動作が終了する。よって、液晶パネル1の背面にタッチしたユーザは、そのまま背面側から適正な画像を視認できる。
【0040】
一方、適正な画像表示が背面でなされていない場合(S6:NO)、つまり、適正な画像表示が前面でなされていて前面側から適正な画像が視認される場合、主制御部11は、反転部13を制御して画像表示の反転処理を行わせて、反転した画像を液晶パネル1に表示する(ステップS7)。この反転処理の結果、液晶パネル1の背面にタッチしたユーザは、背面側から適正な画像を視認できる。
【0041】
(第2実施の形態)
図3は、本発明の第2実施の形態による透過型表示装置の構成を示すブロック図である。第2実施の形態の透過型表示装置は、透過型の液晶パネル1と、第1タッチパネル2と、第2タッチパネル3と、判定部4と、画像処理部10とを備えている。画像処理部10は、主制御部11と、表示制御部12と、反転部13と、領域特定部14とを有している。反転部13は、メモリ制御部13a及びバッファメモリ13bを含む。なお、図1に示す第1実施の形態と同一または同様な部材には同一番号を付して、それらの詳細な説明は省略する。
【0042】
液晶パネル1は、表示面が複数の領域に分割されており、複数の表示領域それぞれに異なる種類の画像(広告)の表示が可能である。第1タッチパネル2及び第2タッチパネル3は、タッチ操作の有無に加えてそのタッチ操作の位置(座標)を検出し、その検出結果を判定部4へ出力する。判定部4は、第1タッチパネル2及び第2タッチパネル3からの入力に基づいて、液晶パネル1の前面のどの位置(座標)へのタッチ操作か、液晶パネル1の背面のどの位置(座標)へのタッチ操作かを判定し、その判定結果を、画像処理部10へ出力する。
【0043】
画像処理部10の領域特定部14は、領域データメモリ40に格納されている領域データを参照して、検出されたタッチ操作の位置(座標)の情報に基づき、液晶パネル1における領域を特定する。主制御部11は、分割された液晶パネル1の各領域を単位として、その領域に表示されている画像を反転する処理を行うべきか否かを判断する。
【0044】
次に、上述したような構成をなす第2実施の形態の透過型表示装置の動作を説明する。図4は、その動作手順を示すフローチャートである。
【0045】
判定部4は、第1タッチパネル2または第2タッチパネル3からの入力を待っており(ステップS11)、何れかのタッチパネルからの入力があったか否かを判断する(ステップS12)。入力がない場合に(S12:NO)、動作がS11に戻って、判定部4は入力待ちとなる。
【0046】
何れかのタッチパネルからの入力があった場合(S12:YES)、判定部4は,その入力が第1タッチパネル2からの入力であるか否かを判断する(ステップS13)。第1タッチパネル2からの入力である場合(S13:YES)、領域特定部14は、検出されたタッチ操作の位置(座標)の情報に基づいて液晶パネル1の前面における領域を特定する(ステップS14)。
【0047】
主制御部11は、その特定された領域における現在の適正な画像表示が液晶パネル1の前面でなされているか否かを判断する(ステップS15)。適正な画像表示が前面の領域でなされている場合(S15:YES)、つまり、液晶パネル1の前面側からその特定された領域で適正な画像が視認される場合、そのまま動作が終了する。よって、液晶パネル1の前面の所望位置にタッチしたユーザは、そのタッチ位置に応じた領域での画像をそのまま適正に視認できる。
【0048】
一方、適正な画像表示が前面の領域でなされていない場合(S15:NO)、つまり、その特定された領域での適正な画像表示が背面でなされていて背面側から適正な画像が視認される場合、主制御部11は、反転部13を制御して画像表示の反転処理を行わせて、反転した画像を液晶パネル1の特定された領域に表示する(ステップS16)。この反転処理の結果、液晶パネル1の前面の所望位置にタッチしたユーザは、前面側から適正な画像を視認できる。
【0049】
第1タッチパネル2からの入力でない場合(S13:NO)、つまり、液晶パネル1の背面へのタッチ操作が行われた場合、領域特定部14は、検出されたタッチ操作の位置(座標)の情報に基づいて液晶パネル1の背面における領域を特定する(ステップS17)。主制御部11は、その特定された領域における現在の適正な画像表示が液晶パネル1の背面でなされているか否かを判断する(ステップS18)。適正な画像表示が背面の領域でなされている場合(S18:YES)、つまり、液晶パネル1の背面側からその特定された領域で適正な画像が視認される場合、そのまま動作が終了する。よって、液晶パネル1の背面の所望位置にタッチしたユーザは、そのタッチ位置に応じた領域での画像をそのまま適正に視認できる。
【0050】
一方、適正な画像表示が背面の領域でなされていない場合(S18:NO)、つまり、その特定された領域での適正な画像表示が前面でなされていて前面側から適正な画像が視認される場合、主制御部11は、反転部13を制御して画像表示の反転処理を行わせて、反転した画像を液晶パネル1の特定された領域に表示する(ステップS19)。この反転処理の結果、液晶パネル1の背面の所望位置にタッチしたユーザは、背面側から適正な画像を視認できる。
【0051】
(第3実施の形態)
図5は、本発明の第3実施の形態による透過型表示装置の構成を示すブロック図である。第3実施の形態は第2実施の形態の変形例であり、第3実施の形態の透過型表示装置は、第2実施の形態と同様な液晶パネル1、第1タッチパネル2、第2タッチパネル3、判定部4、画像処理部10(主制御部11、表示制御部12、反転部13(メモリ制御部13a及びバッファメモリ13b)、領域特定部14を備えており、画像処理部10は領域サイズ変更部15を更に有している。なお、図3に示す第2実施の形態と同一または同様な部材には同一番号を付して、それらの詳細な説明は省略する。
【0052】
領域サイズ変更部15は、領域データメモリ40に格納されている領域データを読み出し、読み出した領域データのサイズを変更する。よって、領域サイズ変更部15により、液晶パネル1の表示面が分割されてなる複数の領域それぞれのサイズが変更される。サイズが変更された領域データは、領域データメモリ40に格納される。
【0053】
第3実施の形態では、液晶パネル1における表示面の分割を任意のサイズにて行える。したがって、広告の大きさに応じて、液晶パネル1でのその表示面積のサイズを大きくしたり小さくしたりすることが可能である。このように表示面積を自在に変更できるので、電子広告看板として液晶パネル1を設置した設置業者が、広告を依頼した依頼主に、その広告の表示面積に応じた課金を行うことができる。
【0054】
(第4実施の形態)
図6は、本発明の第4実施の形態における透過型表示装置の構成を示すブロック図である。第4実施の形態は第3実施の形態の変形例であり、第4実施の形態の透過型表示装置は、第3実施の形態と同様な液晶パネル1、第1タッチパネル2、第2タッチパネル3、判定部4、画像処理部10(主制御部11、表示制御部12、反転部13(メモリ制御部13a及びバッファメモリ13b)、領域特定部14、領域サイズ変更部15を備えており、画像処理部10は画像変倍部16を更に有している。なお、図5に示す第3実施の形態と同一または同様な部材には同一番号を付して、それらの詳細な説明は省略する。
【0055】
画像変倍部16は、領域サイズ変更部15により変更された領域のサイズに応じて、表示内容を変倍する。
【0056】
第4実施の形態では、分割された各領域における表示内容を変倍できる。したがって、領域サイズ変更部15により表示領域の大きさを変更した場合であっても、表示面積の変更に応じて、その領域に表示される画像を変倍するようにしたので、表示内容が領域からはみ出して見えなくなったり、表示内容が小さすぎて読みにくいときには、表示領域の大きさの変更に合わせて、表示画像が適正に変倍されるため、ユーザが表示内容を読みやすくすることが可能である。
【0057】
(第5実施の形態)
図7は、本発明の第5実施の形態における透過型表示装置の構成を示すブロック図である。第5実施の形態の透過型表示装置は、透過型の液晶パネル1と、第1タッチパネル2と、第2タッチパネル3と、判定部4と、画像処理部10とを備えている。画像処理部10は、主制御部11と、表示制御部12と、反転部13と、計時部17と、タッチ操作計数部18とを有している。反転部13は、メモリ制御部13a及びバッファメモリ13bを含む。なお、図1に示す第1実施の形態と同一または同様な部材には同一番号を付して、それらの詳細な説明は省略する。
【0058】
計時手段としての計時部17はタイマからなり、計時部17は、主制御部11から指示される計時開始タイミングに基づいて計時動作を開始して、所定時間を計時する。タッチ操作計数部18は、この所定時間内における判定部4からの入力(判定結果)に基づいて、その所定時間内での液晶パネル1の前面へのタッチ操作の回数及び背面へのタッチ操作の回数をそれぞれ計数する。タッチ操作計数部18は、計数結果を内部のメモリ(図示せず)に格納する。
【0059】
第5実施の形態の透過型表示装置の動作を、その手順を示す図8のフローチャートを参照して説明する。
【0060】
主制御部11は、計時部17に計時開始の指示を与えて、計時部17での計時処理を開始させる(ステップS21)。タッチ操作計数部18は、判定部4からの判定結果に基づいて、液晶パネル1の前面へのタッチ操作の回数と背面へのタッチ操作の回数とをそれぞれ計数する(ステップS22)。主制御部11は、計時部17が所定時間を計時したか否かを判断する(ステップS23)。
【0061】
計時部17が所定時間を計時していない場合に(S23:NO)、動作がS22に戻って、前面または背面へのタッチ操作の回数を計数する処理を続ける。計時部17が所定時間を計時した場合(S23:YES)、主制御部11は、この所定時間内で計数した前面へのタッチ操作の回数とこの所定時間内で計数した背面へのタッチ操作の回数とを比較し、前者が後者より多いか否かを判断する(ステップS24)。
【0062】
前面へのタッチ操作の回数が背面へのタッチ操作の回数より多い場合(S24:YES)、主制御部11は、現在の適正な画像表示が液晶パネル1の前面でなされているか否かを判断する(ステップS25)。
【0063】
適正な画像表示が前面でなされている場合(S25:YES)、つまり、液晶パネル1の前面側から適正な画像が視認される場合、そのまま動作が終了する。一方、適正な画像表示が前面でなされていない場合(S25:NO)、つまり、適正な画像表示が背面でなされていて背面側から適正な画像が視認される場合、主制御部11は、反転部13を制御して画像表示の反転処理を行わせて、反転した画像を液晶パネル1に表示する(ステップS26)。この反転処理の結果、液晶パネル1の前面側から適正な画像が視認される表示状態となる。
【0064】
所定時間内で、背面へのタッチ操作の回数が前面へのタッチ操作の回数より多い場合(S24:NO)、主制御部11は、現在の適正な画像表示が液晶パネル1の背面でなされているか否かを判断する(ステップS27)。
【0065】
適正な画像表示が背面でなされている場合(S27:YES)、つまり、液晶パネル1の背面側から適正な画像が視認される場合、そのまま動作が終了する。一方、適正な画像表示が背面でなされていない場合(S27:NO)、つまり、適正な画像表示が前面でなされていて前面側から適正な画像が視認される場合、主制御部11は、反転部13を制御して画像表示の反転処理を行わせて、反転した画像を液晶パネル1に表示する(ステップS28)。この反転処理の結果、液晶パネル1の背面側から適正な画像が視認される表示状態となる。
【0066】
第5実施の形態の透過型表示装置では、上述したように、所定時間内での前面へのタッチ操作の回数が背面へのタッチ操作の回数より多く、所定時間経過後に、背面側から適正な画像が視認され、前面側からは裏返された画像が視認されるように画像表示がなされている場合、または、所定時間内での背面へのタッチ操作の回数が前面へのタッチ操作の回数より多く、所定時間経過後に、前面側から適正な画像が視認され、背面側からは裏返された画像が視認されるように画像表示がなされている場合には、表示画像を反転させるようにしたので、ユーザが視認する確率が高い側に合わせて、画像を適正に視認できるように設定することが可能である。よって、例えば、液晶パネル1へのタッチ操作が長期間にわたって行われない場合に、それまでのタッチ操作の履歴に応じた表示状態に設定できる。
【0067】
(第6実施の形態)
第6実施の形態は、第1実施の形態の透過型表示装置を複数備えており、これらの複数の透過型表示装置を用いて画像を表示するように構成した表示システムである。この表示システムでは、複数の透過型表示装置を用いて一つの画像を表示しても良いし、複数の透過型表示装置それぞれを用いて複数の画像を表示しても良い。
【0068】
第6実施の形態では、複数の透過型表示装置が独立的に設けられているため、前述した第2実施の形態のように、単一画面を複数の領域に分割して異なる画像を表示させて、ユーザのタッチ操作がなされた領域の画像を必要に応じて反転する場合と比べて、反転表示のための画像処理の負担を低減することができる。
【0069】
図9は、本発明の第6実施の形態による表示システムの構成を示すブロック図である。第6実施の形態は、前述した第1実施の形態の透過型表示装置20を複数(図9に示す例では3×3のマトリクス状に9個)備えており、これらの複数の透過型表示装置20を用いて画像を表示する。これらの9個の透過型表示装置20はそれぞれディスプレイの9個の表示領域に対応している。
【0070】
各透過型表示装置20には、選択部21がそれぞれ接続されており、これらの選択部21は表示位置制御部22に接続されている。表示位置制御部22は、所望の選択部21を選択して、各透過型表示装置20にて表示される画像の位置を変更制御する。
【0071】
9個の透過型表示装置20を用いて一つの画像を表示する場合を考える。この場合、図10(a)に示すように、一つの適正な画像が9個の部分画像A〜Iにて構成されているとする。もし、前面側において図10(a)のように適正な画像が視認されているときに、各透過型表示装置20による部分画像を単に反転させただけでは、背面側において図10(b)に示すように部分画像A〜Iが視認されて適正な画像とはならない。そこで、一部の部分画像の表示位置を変更する。
【0072】
具体的には、前面において図10(a)のように適正な画像が視認されているときに、背面からタッチ操作がなされると、背面側から適正な画像が視認されるように画像表示が反転される。この際、一部の部分画像のディスプレイにおける表示位置も変更される。部分画像Aに対応する選択部21と、部分画像Cに対応する選択部21とを、表示位置制御部22が選択して制御することにより、部分画像Aの表示位置と部分画像Cの表示位置とが交換される。同様に、部分画像Dの表示位置と部分画像Fの表示位置、及び、部分画像Gの表示位置と部分画像Iの表示位置とが交換される。これにより、背面側から図10(a)に示すような適正な画像を視認することが可能となる。
【0073】
このように、対応する選択部21を選択制御することにより、各透過型表示装置20による画像を反転した際に、その反転画像の表示位置を任意に設定することができる。したがって、9個の透過型表示装置20それぞれが異なる画像を表示する場合には、前面側から視認される適正な複数画像の位置関係と、背面側から視認される適正な複数画像の位置関係とを異ならせることが可能となる。
【0074】
上述したように第6実施の形態によれば、画像を反転させた際に、その反転画像を任意の位置に表示できるため、視認の利便性を向上することができる。
【0075】
なお、上述した各実施の形態では、透過型の液晶パネルを用いた液晶表示装置を例として説明したが、これは一例であり、両面からの画像の視認が可能であって、前面側から視認される表示画像が裏返った表示画像を背面側から視認する他の種類の表示装置にも本発明を適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
1 液晶パネル(表示パネル)
2 第1タッチパネル(受付手段)
3 第2タッチパネル(受付手段)
4 判定部
10 画像処理部
11 主制御部(判断手段)
12 表示制御部
13 反転部(反転手段)
13a メモリ制御部
13b バッファメモリ
14 領域特定部
15 領域サイズ変更部(変更手段)
16 画像変倍部(変倍手段)
17 計時部(計時手段)
18 タッチ操作計数部(計数手段)
20 透過型表示装置
21 選択部
22 表示位置制御部(位置変更手段)
30 画像メモリ
40 領域データメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その両面からの表示画像の視認が可能である表示パネルと、
該表示パネルの両面夫々に設けられ、該両面夫々へのタッチ操作を受け付ける受付手段と、
該受付手段の受付結果に基づいて表示画像を反転すべきか否かを判断する判断手段と、 該判断手段により反転すべきであると判断した場合に、表示画像を反転させる反転手段と
を備えることを特徴とする透過型表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルは分割された複数の領域ごとに独立的に画像表示が可能であり、前記反転手段は、前記複数の領域ごとに表示画像を反転させるように構成してあることを特徴とする請求項1記載の透過型表示装置。
【請求項3】
前記複数の領域の大きさを変更する変更手段を更に備えることを特徴とする請求項2記載の透過型表示装置。
【請求項4】
前記変更手段による領域の大きさの変更に応じて、該領域に表示される画像を変倍する変倍手段を更に備えることを特徴とする請求項3記載の透過型表示装置。
【請求項5】
その両面からの表示画像の視認が可能である表示パネルと、
該表示パネルの両面夫々に設けられ、該両面夫々へのタッチ操作を受け付ける受付手段と、
所定時間を計時する計時手段と、
前記受付手段の受付結果に基づいて、前記所定時間内での前記表示パネルの一方の面へのタッチ操作の回数及び他方の面へのタッチ操作の回数を夫々計数する計数手段と、
該計数手段の計数結果に基づいて表示画像を反転すべきか否かを判断する判断手段と、
該判断手段により反転すると判断した場合に、表示画像を反転させる反転手段と
を備えることを特徴とする透過型表示装置。
【請求項6】
請求項1または5記載の透過型表示装置を複数備えることを特徴とする表示システム。
【請求項7】
前記複数の透過型表示装置夫々により反転された画像の表示位置を変更する位置変更手段を更に備えることを特徴とする請求項6記載の表示システム。
【請求項8】
その両面からの表示画像の視認が可能である表示パネルを備える透過型表示装置での表示方法であって、
前記表示パネルの両面夫々へのタッチ操作を受け付け、
受け付けた結果に基づいて表示画像を反転するか否かを判断し、
反転すると判断した場合に、表示画像を反転させることを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−221007(P2012−221007A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83145(P2011−83145)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】