説明

透過照明ステージおよび基板検査装置

【課題】検査対象物の基板が大型化しても照明のための安定した透過範囲を広くとることができ、かつ均一でかつ照度の高い透過照明が行える透過照明ステージおよび基板検査装置を提供する
【解決手段】基板Aを支持するよう互いに間隔をあけて並べられた複数の桟2と、桟2に支持される基板を跨ぐように設けられて、顕微鏡9を基板の上面に沿って互いに直交するX・Y方向へ移動させる門型アーム6と、複数の桟の間に配置されて基板を下側から照明する照明ユニット15と、照明ユニットを搭載した状態で桟の延在する方向へ移動させる移動台12とを備え、照明ユニットには、桟に直交する方向にライン状に配置された複数のLED17からなる照明部16が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等で用いられるガラス基板等の基板を観察または検査する基板検査装置およびこの基板検査装置に用いられる透過照明ステージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基板検査装置では、検査対象物である基板を支持するステージ面に透明または半透明なガラス板を用いたり、または基板範囲をくり貫いたりし、ガラス板または桟に取り付けた多数の支持ピンを用いて基板を支持していた。
その際に用いられる透過照明装置としては、例えば、後述する特許文献1、特許文献2に示されるように、ガラスロッドの両側から光を入射し、ガラスロッドからレンズ作用によってライン状の光を射出させつつ、このガラスロッドを顕微鏡支持用のステージと平行となるように、顕微鏡支持用のステージに固定して、顕微鏡と同時に移動させるものが知られている。
また、特許文献3に示されるように、ハロゲンランプなどを用いた単光源の照明をX・Yステージに設置し、このX・Yステージにより、上方に配置した観察または検査用の顕微鏡などと同期させて移動させるものも知られている。
【特許文献1】特開平11−94756号公報
【特許文献2】特開2004−12341号公報
【特許文献3】特開2002−267937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、検査対象物である基板がますます大型化する傾向にあり、前述した従来技術の基板検査装置では、1枚の支持用ガラス板では設置が困難なため、ガラス板を分割させざるを得なくなってきている。このとき、照明のための透過範囲を広くとるために、分割した1枚の支持用ガラス板を大きく設定すると、そのガラス板を支えるための桟を厚くかつ太くしなければならず、透過範囲が桟によって制限されてしまう、また、ガラス板のたわみが大きくなるという問題が生じる。
【0004】
また、その支持用ガラス板の下部を移動する透過照明を桟よりも下方に設置しなければならず、検査対象物である基板と透過照明との距離が離れてしまい、充分な照度が得られなくなる問題が生じる。
また、前記特許文献1,2で示した透過照明用のガラスロッドも長くせざるを得ず、その場合、中央付近に照明ムラが発生してしまう。また、前記特許文献3で示した単光源の照明を用いる場合でも照射距離が長くなるため、より強力な光源が必要になる。また、透過照明の大きさと移動を考慮すると、支持用ステージ全体を検査対象物の基板より大きく、かつ厚く製作せざるを得ない問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みなされたもので、検査対象物の基板が大型化しても照明のための安定した透過範囲を広くとることができ、かつ均一でかつ照度の高い透過照明が行える透過照明ステージおよび基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の透過照明ステージは、検査対象となる基板を固定し、前記基板の表面に沿って移動される顕微鏡により、前記基板を観察または検査する基板検査装置に用いられる透過照明ステージであって、前記基板を支持するよう互いに間隔をあけて並べられた複数の桟と、該桟に支持される前記基板を跨ぐように設けられて、前記顕微鏡を前記基板の上面に沿って互いに直交するX・Y方向へ移動させる移動機構と、前記複数の桟の間に配置されて前記基板を下側から照明する照明ユニットと、該照明ユニットを搭載した状態で前記桟の延在する方向へ移動させる移動台とを備え、前記照明ユニットには、前記桟に直交する方向にライン状に配置された複数のLEDからなる照明部が設けられていることを特徴とする。
本発明の透過照明ステージによれば、複数の桟によって基板を支持するので、例え大型の基板であっても撓むことなく充分支持できる。
また、桟の間に設けた照明ユニットによって、基板を照明するので、桟の厚みにかかわらず照明ユニットを基板に近づけることができる。また、照度にかかわることなく、桟の厚みを自由に厚く設定することができる。
【0007】
本発明では、前記基板を支持する桟の上側には前記基板を支持する透明支持板が設けられ、該透明支持板を介して前記照明部が前記基板を下側から照明することが好ましい。
透明支持板を介して基板を支持するので、基板のたわみをより抑えて支持できるからである。また、透明支持板を用いるため、照明には何ら支障が生じないからである。
なお、ここでいう「透明支持板」の「透明」とは、略100パーセント光を透過させる狭義の意味に限られることなく、例えば、すりガラス等のような「半透明」のものを含む広義の意味で用いられる。
【0008】
本発明では、前記移動台は前記桟の下方に配置されてその上側に前記照明ユニットを複数台前記桟に直交する方向に直列状態で搭載し、該搭載した複数台の照明ユニットの各照明部で前記基板を全幅にわたって下側からライン状に照明することが好ましい。
移動台を共通とし、この共通の移動台を介して複数の照明ユニットを移動させるため、照明ユニット1台ずつ専用の移動台によって移動させるのに比べ、部品点数を削減することができ、かつ、移動台の制御も容易になるからである。
なお、ここでいうライン状とは、複数列に配置されるものや千鳥状に配置されるものも含まれる。
【0009】
本発明では、前記移動台を、前記顕微鏡の光軸に一致するよう、該顕微鏡と同期して移動させる移動台移動機構を備えることが好ましい。
顕微鏡が移動するとそれと同期して照明ユニットが移動するので、基板への顕微鏡による、すみやかな観察あるいは検査が行えるからである。
【0010】
本発明では、前記移動台が、前記顕微鏡の光軸に一致するように、前記顕微鏡を移動させる前記移動機構に固定されていることが好ましい。
移動機構と一体的に移動台およびそれに搭載される顕微鏡を移動させることができ、移動台を別の移動機構で移動させる場合に比べ、移動台を移動させるための駆動源および制御系が不要になるからである。
【0011】
本発明では、前記移動台は前記桟と前記桟の間に個別に設けられ、前記個々の移動台をそれぞれ前記桟の延在する方向へ同時に移動させる駆動機構を備えることが好ましい。
移動台をそれぞれ個別に設けているので、桟の下方に移動台を連結するためのスペースを設ける必要がなく、桟をその下方の例えば基台に全長にわたって直接当接させた状態で固定することができ、この結果、桟の鉛直方向のたわみをなくすることができるからである。
本発明では、前記照明部を構成する前記LEDが千鳥状に配置されていることが好ましい。
LEDを多数配置することができ、幅広でかつ均一の照明が可能となるからである。
【0012】
本発明では、前記照明部を構成する前記LEDをそれぞれ色が異なる複数種類とし、それら色が異なるLEDどうしが複数列をなすよう、ライン状に配置されていることが好ましい。
基板の欠陥の種類によっては特定色の光の方が観察等し易い場合があり、観察あるいは検査しようとする欠陥にあわせて光の色を選択できるからである。
【0013】
本発明では、前記LEDの上側に拡散板が配置されていることが好ましい。
LEDから発せられる光を拡散することができ、顕微鏡による観察等が行い易くなるからである。
【0014】
本発明では、前記LEDの上側にマクロレンズが配置されていることが好ましい。
LEDから発せられる光を拡散あるいは集光させることができ、顕微鏡による観察等が行い易くなるからである。
【0015】
本発明では、前記桟の上面に照明部が配置されていることが好ましい。
桟の上側の基板部分も照明することができ、より均一な照明が実現できるからである。
【0016】
本発明では、前記桟の上面に設けられた前記照明部の上側にガラスロッドが設けられていることが好ましい。
ガラスロッドを介して、照明部から発せられる光を拡散あるいは集光させることができ、また、ガラスロッドによって基板や透明支持板を支持できるからである。
【0017】
本発明の基板検査装置は、請求項1〜11のいずれか1項記載の透過照明ステージを備える。
本発明の基板検査装置によれば、請求項1〜11のいずれか1項に記載された透過照明ステージと同様な作用・効果を奏する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、平行に配置された複数の桟によって基板を支持するので、例え大型の基板であっても撓むことなく充分支持でき、また、格子状の支持部によって基板を支持する場合に比べ、照明のための透過範囲を広くとることができる。
また、桟の間に設けた照明ユニットによって、基板を照明するので、桟の厚みにかかわらず照明ユニットを基板に近づけることができ、高い照度を確保できる。また、照度にかかわることなく、桟の厚みを自由に厚く設定することができ、この点においても、基板の支持機能を増すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る透過照明ステージ、及び該透過照明ステージを備える基盤板検査装置について説明する。
<第1実施形態>
図1〜図10は本発明の第1実施形態を示し、図1は装置全体の概略構成を示す斜視図、図2〜図4は照明ユニットの例を示す平面図、図5、図6は照明ユニットの例を示す断面図、図7〜図9は桟に設けた照明部の例を示す斜視図、図10は桟と照明ユニットとの関係を示す斜視図である。
図1において符号1は基台を示す。基台1には検査対象である基板Aを支持するための桟2が、複数個互いに間隔をあけて平行に並べられている。桟2が延在する方向(図中X方向)は、例えば、検査対象である基板Aが平面視長方形状の場合、基板Aの長手方向である。桟2は、基板Aおよびガラス板3を支えるのに十分な厚みと強度を有するように設定される。また、桟2は、両端を脚部2Aによって支えられ、これにより中間部を基台1の上面から浮いた状態で支持されている。
【0020】
桟2上には基板Aを直接支持する複数枚の支持用のガラス板(透明支持板)3が、桟2同士の間にまたがるように固定されている。ガラス板3の短手方向の幅寸法は、桟2の離間距離とほぼ等しくなるが、該幅寸法とガラス板3の厚さは、ガラス板3の短手方向に生じるたわみを最小限に抑えるように設定されている。なお、ガラス板3の長手方向は、桟2によって支持されるので撓みは生じない。
【0021】
6は、桟2によって支持される前記基板Aを跨ぐように、かつ、桟2に直交して延びるように設けられた門型アームである。門型アーム6は、両端を桟2と平行に延びる門型アーム案内部7によって桟2の延在する方向(X方向)へ移動可能に案内され、かつ、図示せぬ駆動機構によって同方向の任意の位置まで移動されて、そこで停止されるようになっている。
門型アーム6のアーム部本体6Aには、桟2と直交する方向(Y方向)へ延びる案内部8が設けられ、この案内部8によって顕微鏡9が移動可能に支持されている。顕微鏡9は、顕微鏡支持フレームまたはアーム本体6Aに設けられた図示せぬ駆動機構によって、案内部8の延びる方向(Y方向)の任意の位置まで移動されて、そこで停止されるようになっている。
すなわち、門型アーム6は、顕微鏡9を基板Aの上面に沿って互いに直交するX・Y方向の任意の位置まで移動し、そこで停止させる移動機構を構成するものである。
【0022】
基台1上には、前記桟2に平行に複数の案内部11が設けられ、この案内部11に沿って移動台12が移動可能に支持されている。移動台12は、前記桟2の中間部と基台1の上面との間のスペースを利用して、桟2の下側に配置されるものである。また、移動台12は、リニアーモータあるいはボールナット機構のような移動台移動機構14によって、顕微鏡9の光軸に一致するよう該顕微鏡9と同期しながら、桟2の延在する方向へ移動される。
【0023】
移動台12の上側には、複数の照明ユニット15がそれぞれ桟2の間に位置するように、かつ、その上部がガラス板3の下面に近づくように搭載されている。照明ユニット15は、基板を全幅にわたって下側から照明するものであって、その上側には、桟2に直交する方向(Y方向)にライン状に配置された複数のLED17からなる照明部16が設けられている。LED17は、高い照度を得るために、互いに近接するようにかつ照明ユニット15の両端ぎりぎりまで配置される。
【0024】
LED17の配置例としては、図2に示すようにライン状に一列に配置するものの他、図3に示すように、より高く均一で幅広の照明が可能なように千鳥状に配置するもの、あるいは図4に示すように、色の異なる複数種類のもの、例えば白色LED17a、青色LED17b、赤色LED17cどうしを、複数列をなすように配置してもよい。
さらに、図5に示すように、LED17から発せられる光を広く拡散させるために、LED17の上側に拡散板18を配置してもよく、また、図6に示すように、LED17から発せられる光を拡散あるいは集光させるために、LED17の上側にマクロレンズ19を配置しても良い。
【0025】
次に、上記構成の基板検査装置の作用について説明する。
まず、基板Aをガラス板3上の正規の位置にセットする。そして、事前に行ったマクロ検査による基板A上の欠陥位置情報に基づき、基板A上の欠陥がある位置まで、顕微鏡9を門型アーム6によって移動させる。
【0026】
このとき、顕微鏡9の光軸と一致するように、顕微鏡9と同期して移動台12およびその上側に搭載された照明ユニット15が、移動台移動機構14によって移動される。つまり、移動台移動機構14によって、顕微鏡9の真下には、常に照明ユニット15の照明部16が位置することとなり、顕微鏡9による基板Aのすみやかな観察または検査が行える。
【0027】
また、上述した基板検査装置によれば、平行に配置された複数の桟2によって基板Aを支持するので、例え大型の基板Aであっても撓むことなく充分支持することができ、また、格子状の支持部によって基板を支持する場合に比べ、照明のための透過範囲を広くとることができる。
【0028】
また、桟2の間に設けた照明ユニット15によって、基板Aを照明するので、桟2の厚みにかかわらず照明ユニット15を基板Aの下面にできるだけ近づけて配置することができ、このため、高い照度を確保できる。また、照度にかかわることなく、桟2の厚みを自由に厚く設定することができ、この点において、桟2の基板支持機能を増すことができる。
【0029】
また、移動台12を共通一台とし、その上側に複数の照明ユニット15を搭載しているので、照明ユニット1台ずつ専用の移動台に搭載してそれらを個々に移動させるものに比べ、部品点数を削減することができ、かつ、移動台の制御も容易になる。
<変形例>
【0030】
図7〜図9は、第1実施形態の変形例を示す。
図7に示す例は、桟2の上側に複数(図7では1個しか示していない)のLED20からなる照明部21を設け、さらに照明部21の上側に断面半円のガラスロッド22をその円弧面22aが上側となるように配置したものである。
このような構成にすれば、桟2の上側の基板部分も照明することができ、より均一な照明が実現できる。また、ガラスロッド22を介して、照明部21から発せられる光を拡散あるいは集光させることができるため、顕微鏡の観察等が容易になる。
【0031】
図8に示す例では、桟2の上側に複数のLED20からなる照明部21を設ける点は、前記の例と同様であるが、ここでは、さらに照明部21の上側に断面半円のガラスロッド22を、平坦面22bが上側をとなるように配置している。
この例では、前記と同様の効果が得られるほか、ガラスロッド22の平面部22bによって基板支持用のガラス板を支持することとができるため、ガラス板に対する安定した支持が行える。
【0032】
図9に示す例は、照明部21の上側に平板状の拡散板23を配置している。
この例でも、前記した変形例と同様な効果を奏する。
【0033】
図10は、桟2の上側に複数のLED20からなる照明部21を設け、かつ、桟2の上部両側をそれぞれ傾斜させて傾斜部24を設けている。また、桟2からピン25を上方へ向けて突出させ、このピン25によって基板支持用のガラス板や基板を支持する。
また、桟2の間に配置される照明ユニット26の両端も、桟2の傾斜部24に対応させて、斜め上側に張り出した傾斜張り出し部27を設け、その傾斜張り出し部27の上面にもLED17を配置している。
【0034】
この例では、ピン25によって基板支持用のガラス板3や基板を支持するから、ガラス板3や基板の搬出搬入が容易になる。また、桟2の上部両側に傾斜部24を設けており、これによって顕微鏡側からの反射光が再び顕微鏡に入射するのを防止することができる。また、照明ユニットの傾斜張り出し部27にもLED17を配置しているので、桟2の上側に設けた照明部21と相俟って、より高くかつ均一な照度の透過照明が行える。
<第2実施形態>
【0035】
図11は、本発明の第2実施形態を示す。
なお、説明の便宜上、この第2実施形態の構成要素のうち、前記第1実施形態の構成要素と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
この第2実施形態が前記第1実施形態と異なるところは、移動台12を移動台移動機構によって移動させるのではなく、門型アーム6に固定し、門型アーム6と一体的に移動させるようにした点である。
すなわち、移動台12と門型アーム6の左右の脚部との間はそれぞれブラケット30が設けられ(図11では片側のブラケットしか示されていない)、このブラケット30を介して移動台12は門型アーム6と連結され、これにより、移動台12は門型アーム6と一体的に移動されるようになっている。
【0036】
この第2実施形態の基板検査装置では、前記した第1実施形態と同様な効果が得られる他、移動台12を専用に移動させるための駆動源や制御系が不要になる利点が得られる。
<第3実施形態>
【0037】
図12は、本発明の第3実施形態を示す。
なお、説明の便宜上、この第3実施形態の構成要素のうち、前記第1実施形態の構成要素と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
この第3実施形態が前記第1実施形態と異なるところは、照明ユニット15を移動させる移動台40を、個々の照明ユニット15に対応して桟2と桟2の間に個別に設け、それら個々の移動台40をそれぞれ桟2の延在する方向(桟の長手方向)へ同時に移動させる駆動機構45を備える点である。
【0038】
すなわち、照明ユニット15を搭載する移動台40は、桟2と桟2の間にそれぞれ設けられている。それら移動台40は、基台1上の桟2と桟2の間に設けられたガイド部材41によって、桟2の長手方向へ移動可能に支持されている。また、移動台40は、それぞれタイミングベルト42の所定位置に取り付けられている。タイミングベルト42は、基台1の前後両端に設けられた駆動側ベルト軸43と図示せぬアイドルベルト軸の間に巻回されている。
【0039】
そして、駆動側ベルト軸43がモータ44によって回転されることにより、それら複数のタイミングベルト42は、同時一体的に回転駆動され、これに伴い、移動台40およびその上に搭載された照明ユニット15は、それぞれ一体的に同方向へ移動される。つまり、前記タイミングベルト42、駆動側ベルト軸43およびモータ44によって、個々の移動台40を桟2の延在する方向へ同時に移動させる駆動機構45を構成している。
桟2は、その下方を基台1に全長にわたって直接当接された状態で固定されている。なお、桟2は、1枚であっても、あるいは2枚以上に分割されたものであっても良い。
【0040】
この第3実施形態の基板検査装置では、前記した第1実施形態と同様な効果が得られる他、以下のような効果が得られる。
移動台40をそれぞれ個別に設けているので、桟2の下方に移動台どうしを連結するためのスペースを設ける必要がない。このため、桟2を、その下方を基台1に全長にわたって直接当接させた状態で固定することができ、桟2の鉛直方向のたわみをなくすることができる。この結果、桟2の強度(剛性)を考慮する必要がなくなり、桟2の厚みを照明ユニット15が収まるぎりぎりの高さまで低く抑えることができる。
【0041】
また、桟2を基台1に直接当接させて固定できるため、図1の脚部2Aが不要になり、桟の前後方向の長さを検査対象物である基板Aとほぼ同じサイズに設定することができ、結果的に、透過照明ステージの省スペース化を図ることができる。
また、基板Aのサイズがさらに大きくなる場合でも、照明ユニット15とタイミングベルト42のセットを追加するだけで足り、基板Aの大型化に対する対応が容易になる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
前記各実施形態では、桟2によってガラス板3を支持し、このガラス板3によって検査対象である基板Aを支持しているが、これに限られることなく、桟2によって直接基板Aを支持する構成にしても良い。
【0043】
また、前記各実施形態では、顕微鏡9を基板Aの上面に沿って互いに直交するX・Y方向へ移動させる移動機構の例として門型アーム6を用いているが、これに限られることなく、図13に示すように、基台1に設けた一対の起立壁50と、この起立壁50にまたがった状態で起立壁50の延在する方向へ移動可能なスライダ51とを備え、スライダ51に設けた案内部によって、顕微鏡9を起立壁50が延在する方向と直交する方向へ移動可能に案内する移動機構52を用いても良い。
また、前記実施形態では、基板Aを支持するのにガラス板3を用いているが、このガラス板は、狭義の意味の「透明」ガラス板のほか、上面に凹凸のあるすりガラス板からなる半透明ガラス板も用いることができる。半透明ガラス板を用いる場合、透過照明を拡散さえる光拡散効果が得られる他、基板Aを載せて、検査後リフトアップする場合に生じがちな静電気を軽減できる効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態の透過照明ステージを備えた基板検査装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】照明ユニットの一例を示す平面図である。
【図3】照明ユニットの他の例を示す平面図である。
【図4】照明ユニットの他の例を示す平面図である。
【図5】照明ユニットの他の例を示す断面図である。
【図6】照明ユニットの他の例を示す断面図である。
【図7】第1実施形態の変形例を示す桟の一部の斜視図である。
【図8】第1実施形態の他の変形例を示す桟の一部の斜視図である。
【図9】第1実施形態の他の変形例を示す桟の一部の斜視図である。
【図10】第1実施形態の他の変形例を示す桟と照明ユニットとの関係を示す斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態の透過照明ステージを備えた基板検査装置の概略構成を示す斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態の透過照明ステージを備えた基板検査装置の概略構成を示す斜視図である。
【図13】本発明の変形例を示す透過照明ステージを備えた基板検査装置の概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
A 基板
1 基台
2 桟
3 ガラス板(透明支持板)
6 門型アーム(移動機構)
9 顕微鏡
12、40 移動台
14 移動台移動機構
15,26 照明ユニット
16、21 照明部
17,17a、17b、17c、20 LED
18 拡散板
19 マイクロレンズ
22 ガラスロッド
30 ブラケット
45 駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となる基板を固定し、前記基板の表面に沿って移動される顕微鏡により、前記基板を観察または検査する基板検査装置に用いられる透過照明ステージであって、
前記基板を支持するよう互いに間隔をあけて並べられた複数の桟と、
該桟に支持される前記基板を跨ぐように設けられて、前記顕微鏡を前記基板の上面に沿って互いに直交するX・Y方向へ移動させる移動機構と、
前記複数の桟の間に配置されて前記基板を下側から照明する照明ユニットと、
該照明ユニットを搭載した状態で前記桟の延在する方向へ移動させる移動台とを備え、
前記照明ユニットには、前記桟に直交する方向にライン状に配置された複数のLEDからなる照明部が設けられていることを特徴とする透過照明ステージ。
【請求項2】
請求項1記載の透過照明ステージにおいて、
前記基板を支持する桟の上側には前記基板を支持する透明支持板が設けられ、
該透明支持板を介して前記照明部が前記基板を下側から照明することを特徴とする透過照明ステージ。
【請求項3】
請求項1または2記載の透過照明ステージにおいて、
前記移動台は前記桟の下方に配置されてその上側に前記照明ユニットを複数台前記桟に直交する方向に直列状態で搭載し、
該搭載した複数台の照明ユニットの各照明部で前記基板を全幅にわたって下側からライン状に照明することを特徴とする透過照明ステージ。
【請求項4】
請求項3記載の透過照明ステージにおいて、
前記移動台を、前記顕微鏡の光軸に一致するよう、該顕微鏡と同期して移動させる移動台移動機構を備えることを特徴とする透過照明ステージ。
【請求項5】
請求項3記載の透過照明ステージにおいて、
前記移動台が、前記顕微鏡の光軸に一致するように、前記顕微鏡を移動させる前記移動機構に固定されていることを特徴とする透過照明ステージ。
【請求項6】
請求項1または2記載の透過照明ステージにおいて、
前記移動台は前記桟と前記桟の間に個別に設けられ、前記個々の移動台をそれぞれ前記桟の延在する方向へ同時に移動させる駆動機構を備えることを特徴とする透過照明ステージ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の透過照明ステージにおいて、
前記照明部を構成する前記LEDが千鳥状に配置されていることを特徴とする透過照明ステージ。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項記載の透過照明ステージにおいて、
前記照明部を構成する前記LEDをそれぞれ色が異なる複数種類とし、それら色が異なるLEDどうしが複数列をなすよう、ライン状に配置されていることを特徴とする透過照明ステージ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載の透過照明ステージにおいて、
前記LEDの上側に拡散板が配置されていることを特徴とする透過照明ステージ。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項記載の透過照明ステージにおいて、
前記LEDの上側にマクロレンズが配置されていること特徴とする透過照明ステージ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載の透過照明ステージにおいて、
前記桟の上面に照明部が配置されていることを特徴とする透過照明ステージ。
【請求項12】
請求項11項記載の透過照明ステージにおいて、
前記桟の上面に設けられた前記照明部の上側にガラスロッドが設けられていることを特徴とする透過照明ステージ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の透過照明ステージを備える基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−82705(P2008−82705A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259535(P2006−259535)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】