説明

通信システム、データ提供装置、電子機器、制御方法、およびプログラム

【課題】簡単な操作で、セキュアな通信を実現することができるようにする。
【解決手段】デジタルカメラ11で撮像された画像のデータをプリンタ12で印刷させる操作が操作部41において行われると、画像データの暗号化に使用される共通鍵が生成される。そして、生成された共通鍵、共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号、および、印刷処理を表す制御信号が、赤外線通信によりプリンタ12に送信される。また、画像データは、生成された共通鍵で暗号化されて、無線LAN通信によりプリンタ12に送信される。本発明は、例えば、送信側の装置からデータを送信し、受信側の装置で、そのデータを用いた所定の処理を行う通信システムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、データ提供装置、電子機器、制御方法、およびプログラムに関し、特に、簡単な操作で、セキュアな通信を実現することができるようにする通信システム、データ提供装置、電子機器、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IEEE(The Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11a,802.11b、および802.11gなどの無線LAN(Local Area Network)通信の機能を備える装置が普及してきている。
【0003】
無線LAN通信は、配線の手間がなく、通信距離内であれば、どこからでも接続することができる便利さがある一方、所定の設定を行わなければ、不特定の第三者にアクセスポイントを利用されたり、データを盗聴されるおそれがある。
【0004】
データの盗聴を防止するためには、共通鍵で暗号化したデータを送信することが有効である。特許文献1では、AV (Audio Visual/Audio Video)データを共通鍵で暗号化したものを無線LAN通信で再生装置に送信するとともに、暗号化に使用した共通鍵を一旦着脱可能な記録媒体に記憶させ、記録媒体から共通鍵の情報を読み込んだリモートコントローラが別途共通鍵の情報を赤外線通信で送信するようにして、暗号化データと共通鍵を送信する通信路を分けることにより、安全なデータ送信を実現した送信システムが提案されている。
【特許文献1】特開2004−320708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パーソナルコンピュータを使用するユーザで、特に通信の知識に詳しいユーザであれば、共通鍵の設定やデータ送信の操作など容易にできると思われるが、CE機器全般のユーザを対象として考えると、共通鍵や暗号化通信の知識について詳しくない人も多く、そのような人にとっては共通鍵などを意識しなくて済むより簡単な操作が求められる。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、簡単な操作で、セキュアな通信を実現することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面の通信システムは、共通鍵で暗号化されたデータを第1の通信により送信するとともに、前記共通鍵を前記第1の通信と異なる第2の通信により送信するデータ提供装置と、前記第1の通信により受信した暗号化された前記データを、前記第2の通信により受信した前記共通鍵で復号し、その結果得られる前記データを用いた所定の処理を行う電子機器とからなる通信システムにおいて、前記データ提供装置は、前記電子機器における前記所定の処理を指示する操作を受け付ける操作受け付け手段と、前記操作受け付け手段において前記操作を受け付ける度に、前記共通鍵としての乱数を生成する乱数生成手段と、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を生成する検出符号生成手段と、前記所定の処理を表す制御信号とともに、前記共通鍵および前記検出符号を、前記第2の通信により、前記電子機器に送信する共通鍵送信手段と、前記共通鍵で前記データを暗号化する暗号化手段と、前記共通鍵で暗号化された前記データを前記第1の通信により前記電子機器に送信するデータ送信手段とを備え、前記電子機器は、前記第2の通信により、前記制御信号、前記共通鍵、および前記検出符号を受信する共通鍵受信手段と、前記検出符号に基づいて、前記共通鍵の伝送エラーを検査するエラー検査手段と、前記共通鍵の伝送エラーがない場合に、前記第1の通信により、前記共通鍵で暗号化された前記データを受信するデータ受信手段と、暗号化された前記データを受信中であることを報知する報知手段と、暗号化された前記データを前記共通鍵で復号する復号手段と、前記制御信号に応じて、復号された前記データを用いた前記所定の処理を行うデータ処理手段とを備える。
【0008】
本発明の第1の側面においては、データ提供装置において、電子機器における所定の処理を指示する操作が受け付けられる度に、共通鍵としての乱数が生成され、共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号が生成され、所定の処理を表す制御信号とともに、共通鍵および検出符号が、第2の通信により、電子機器に送信される。また、共通鍵で暗号化されたデータが第1の通信により電子機器に送信される。一方、電子機器において、第2の通信により、制御信号、共通鍵、および検出符号が受信され、検出符号に基づいて、共通鍵の伝送エラーが検査され、共通鍵の伝送エラーがない場合に、第1の通信により、共通鍵で暗号化されたデータが受信される。そして、暗号化されたデータを受信中であることが報知され、暗号化されたデータが共通鍵で復号され、制御信号に応じて、復号されたデータを用いた所定の処理が行われる。
【0009】
本発明の第2の側面のデータ提供装置は、共通鍵で暗号化されたデータを第1の通信により他の装置に送信するとともに、前記共通鍵を前記第1の通信と異なる第2の通信により前記他の装置に送信するデータ提供装置において、前記他の装置における前記所定の処理を指示する操作を受け付ける操作受け付け手段と、前記操作受け付け手段において前記操作を受け付ける度に、前記共通鍵としての乱数を生成する乱数生成手段と、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を生成する検出符号生成手段と、前記所定の処理を表す制御信号とともに、前記共通鍵および前記検出符号を、前記第2の通信により、前記他の装置に送信する共通鍵送信手段と、前記共通鍵で前記データを暗号化する暗号化手段と、前記共通鍵で暗号化された前記データを前記第1の通信により前記他の装置に送信するデータ送信手段とを備える。
【0010】
前記第1の通信は、IEEE802.11に準拠した通信であり、前記第2の通信は赤外線通信であるようにさせることができる。
【0011】
前記データを記憶するデータ記憶手段をさらに備えることができる。
【0012】
本発明の第2の側面の制御方法は、共通鍵で暗号化されたデータを第1の通信により他の装置に送信するとともに、前記共通鍵を前記第1の通信と異なる第2の通信により前記他の装置に送信するデータ提供装置の送信方法において、前記他の装置における前記所定の処理を指示する操作を受け付け、前記操作を受け付ける度に、前記共通鍵としての乱数を生成し、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を生成し、前記所定の処理を表す制御信号とともに、前記共通鍵および前記検出符号を、前記第2の通信により、前記他の装置に送信し、前記共通鍵で前記データを暗号化し、前記共通鍵で暗号化された前記データを前記第1の通信により前記他の装置に送信するステップを含む。
【0013】
本発明の第2の側面のプログラムは、共通鍵で暗号化されたデータを第1の通信により他の装置に送信するとともに、前記共通鍵を前記第1の通信と異なる第2の通信により前記他の装置に送信する処理を、コンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記他の装置における前記所定の処理を指示する操作を受け付け、前記操作を受け付ける度に、前記共通鍵としての乱数を生成し、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を生成し、前記所定の処理を表す制御信号とともに、前記共通鍵および前記検出符号を、前記第2の通信により、前記他の装置に送信し、前記共通鍵で前記データを暗号化し、前記共通鍵で暗号化された前記データを前記第1の通信により前記他の装置に送信するステップを含む。
【0014】
本発明の第2の側面においては、他の装置における所定の処理を指示する操作が受け付けられる度に、共通鍵としての乱数が生成され、共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号が生成され、所定の処理を表す制御信号とともに、共通鍵および検出符号が、第2の通信により、電子機器に送信される。また、共通鍵で暗号化されたデータが第1の通信により電子機器に送信される。
【0015】
本発明の第3の側面の電子機器は、第1の通信により他の装置から受信した暗号化されたデータを、前記第1の通信と異なる第2の通信により受信した共通鍵で復号し、その結果得られる前記データを用いた所定の処理を行う電子機器において、前記第2の通信により、前記所定の処理を表す制御信号、前記共通鍵、および、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を受信する共通鍵受信手段と、前記検出符号に基づいて、前記共通鍵の伝送エラーを検査するエラー検査手段と、前記共通鍵の伝送エラーがない場合に、前記第1の通信により、前記共通鍵で暗号化された前記データを受信するデータ受信手段と、暗号化された前記データを受信中であることを報知する報知手段と、暗号化された前記データを前記共通鍵で復号する復号手段と、前記制御信号に応じて、復号された前記データを用いた前記所定の処理を行うデータ処理手段とを備える。
【0016】
前記共通鍵の伝送エラーがない場合であって、前記電子機器の電源状態がスタンバイ状態であるとき、前記電子機器の電源状態をオン状態に制御する電源制御手段をさらに備えることができる。
【0017】
前記第1の通信は、IEEE802.11に準拠した通信であり、前記第2の通信は赤外線通信であるようにさせることができる。
【0018】
前記データを記憶するデータ記憶手段をさらに備えることができる。
【0019】
本発明の第3の側面の制御方法は、第1の通信により他の装置から受信した暗号化されたデータを、前記第1の通信と異なる第2の通信により受信した共通鍵で復号し、その結果得られる前記データを用いた所定の処理を行う電子機器の制御方法において、前記第2の通信により、前記所定の処理を表す制御信号、前記共通鍵、および、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を受信し、前記検出符号に基づいて、前記共通鍵の伝送エラーを検査し、前記共通鍵の伝送エラーがない場合に、前記第1の通信により、前記共通鍵で暗号化された前記データを受信し、暗号化された前記データを受信中であることを報知し、暗号化された前記データを前記共通鍵で復号し、前記制御信号に応じて、復号された前記データを用いた前記所定の処理を行うステップを含む。
【0020】
本発明の第3の側面のプログラムは、第1の通信により他の装置から受信した暗号化されたデータを、前記第1の通信と異なる第2の通信により受信した共通鍵で復号し、その結果得られる前記データを用いた所定の処理を、コンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記第2の通信により、前記所定の処理を表す制御信号、前記共通鍵、および、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を受信し、前記検出符号に基づいて、前記共通鍵の伝送エラーを検査し、前記共通鍵の伝送エラーがない場合に、前記第1の通信により、前記共通鍵で暗号化された前記データを受信し、暗号化された前記データを受信中であることを報知し、暗号化された前記データを前記共通鍵で復号し、前記制御信号に応じて、復号された前記データを用いた前記所定の処理を行うステップを含む。
【0021】
本発明の第3の側面においては、第2の通信により、制御信号、共通鍵、および検出符号が受信され、検出符号に基づいて、共通鍵の伝送エラーが検査され、共通鍵の伝送エラーがない場合に、第1の通信により、共通鍵で暗号化されたデータが受信される。そして、暗号化されたデータを受信中であることが報知され、暗号化されたデータが共通鍵で復号され、制御信号に応じて、復号されたデータを用いた所定の処理が行われる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡単な操作で、セキュアな通信を実現することができる。
【0023】
また、本発明の第1および第2の側面によれば、セキュアな通信により送信するデータを用いた所定の処理を他の装置に指示することができる。さらに、本発明の第1および第3の側面によれば、セキュアな通信により受信したデータを用いて所定の処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書又は図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書又は図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書又は図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0025】
本発明の第1の側面の通信システムは、共通鍵で暗号化されたデータを第1の通信により送信するとともに、前記共通鍵を前記第1の通信と異なる第2の通信により送信するデータ提供装置(例えば、図1のデジタルカメラ11)と、前記第1の通信により受信した暗号化された前記データを、前記第2の通信により受信した前記共通鍵で復号し、その結果得られる前記データを用いた所定の処理を行う電子機器(例えば、図1のプリンタ12)とからなる通信システム(例えば、図1の通信システム1)において、前記データ提供装置は、前記電子機器における前記所定の処理を指示する操作を受け付ける操作受け付け手段(例えば、図1の操作部41)と、前記操作受け付け手段において前記操作を受け付ける度に、前記共通鍵としての乱数を生成する乱数生成手段(例えば、図1の共通鍵生成部34)と、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を生成する検出符号生成手段(例えば、図1のCRC生成部35)と、前記所定の処理を表す制御信号とともに、前記共通鍵および前記検出符号を、前記第2の通信により、前記電子機器に送信する共通鍵送信手段(例えば、図1の赤外線送信部38)と、前記共通鍵で前記データを暗号化する暗号化手段(例えば、図1の暗号処理部33)と、前記共通鍵で暗号化された前記データを前記第1の通信により前記電子機器に送信するデータ送信手段(例えば、図1の無線LAN通信部36)とを備え、前記電子機器は、前記第2の通信により、前記制御信号、前記共通鍵、および前記検出符号を受信する共通鍵受信手段(例えば、図1の赤外線受信部51)と、前記検出符号に基づいて、前記共通鍵の伝送エラーを検査するエラー検査手段(例えば、図1のCRC検査部53)と、前記共通鍵の伝送エラーがない場合に、前記第1の通信により、前記共通鍵で暗号化された前記データを受信するデータ受信手段(例えば、図1の無線LAN通信部56)と、暗号化された前記データを受信中であることを報知する報知手段(例えば、図1の通信インジケータ61)と、暗号化された前記データを前記共通鍵で復号する復号手段(例えば、図1の暗号処理部58)と、前記制御信号に応じて、復号された前記データを用いた前記所定の処理を行うデータ処理手段(例えば、図1の印刷処理部60)とを備える。
【0026】
本発明の第2の側面のデータ提供装置は、共通鍵で暗号化されたデータを第1の通信により他の装置に送信するとともに、前記共通鍵を前記第1の通信と異なる第2の通信により前記他の装置に送信するデータ提供装置(例えば、図1のデジタルカメラ11)において、前記他の装置における前記所定の処理を指示する操作を受け付ける操作受け付け手段(例えば、図1の操作部41)と、前記操作受け付け手段において前記操作を受け付ける度に、前記共通鍵としての乱数を生成する乱数生成手段(例えば、図1の共通鍵生成部34)と、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を生成する検出符号生成手段(例えば、図1のCRC生成部35)と、前記所定の処理を表す制御信号とともに、前記共通鍵および前記検出符号を、前記第2の通信により、前記他の装置に送信する共通鍵送信手段(例えば、図1の赤外線送信部38)と、前記共通鍵で前記データを暗号化する暗号化手段(例えば、図1の暗号処理部33)と、前記共通鍵で暗号化された前記データを前記第1の通信により前記他の装置に送信するデータ送信手段(例えば、図1の無線LAN通信部36)とを備える。
【0027】
本発明の第2の側面の制御方法またはプログラムは、共通鍵で暗号化されたデータを第1の通信により他の装置に送信するとともに、前記共通鍵を前記第1の通信と異なる第2の通信により前記他の装置に送信するデータ提供装置の制御方法、または前記他の装置に送信する処理を、コンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記他の装置における前記所定の処理を指示する操作を受け付け、前記操作を受け付ける度に、前記共通鍵としての乱数を生成し(例えば、図3のステップS2)、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を生成し(例えば、図3のステップS3)、前記所定の処理を表す制御信号とともに、前記共通鍵および前記検出符号を、前記第2の通信により、前記他の装置に送信し(例えば、図3のステップS4)、前記共通鍵で前記データを暗号化し(例えば、図3のステップS5)、前記共通鍵で暗号化された前記データを前記第1の通信により前記他の装置に送信する(例えば、図3のステップS6)ステップを含む。
【0028】
本発明の第3の側面の電子機器は、第1の通信により他の装置から受信した暗号化されたデータを、前記第1の通信と異なる第2の通信により受信した共通鍵で復号し、その結果得られる前記データを用いた所定の処理を行う電子機器(例えば、図1のプリンタ12)において、前記第2の通信により、前記所定の処理を表す制御信号、前記共通鍵、および、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を受信する共通鍵受信手段(例えば、図1の赤外線受信部51)と、前記検出符号に基づいて、前記共通鍵の伝送エラーを検査するエラー検査手段(例えば、図1のCRC検査部53)と、前記共通鍵の伝送エラーがない場合に、前記第1の通信により、前記共通鍵で暗号化された前記データを受信するデータ受信手段(例えば、図1の無線LAN通信部56)と、暗号化された前記データの受信中であることを報知する報知手段(例えば、図1の通信インジケータ61)と、暗号化された前記データを前記共通鍵で復号する復号手段(例えば、図1の暗号処理部58)と、前記制御信号に応じて、復号された前記データを用いた前記所定の処理を行うデータ処理手段(例えば、図1の印刷処理部60)とを備える。
【0029】
本発明の第3の側面の電子機器は、前記共通鍵の伝送エラーがない場合であって、前記電子機器の電源状態がスタンバイ状態であるとき、前記電子機器の電源状態をオン状態に制御する電源制御手段(例えば、図1のプリンタ制御部54)をさらに備える。
【0030】
本発明の第3の側面の制御方法またはプログラムは、第1の通信により他の装置から受信した暗号化されたデータを、前記第1の通信と異なる第2の通信により受信した共通鍵で復号し、その結果得られる前記データを用いた所定の処理を行う電子機器の制御方法、または、前記所定の処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記第2の通信により、前記所定の処理を表す制御信号、前記共通鍵、および、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を受信し(例えば、図5のステップS21)、前記検出符号に基づいて、前記共通鍵の伝送エラーを検査し(例えば、図5のステップS22)、前記共通鍵の伝送エラーがない場合に、前記第1の通信により、前記共通鍵で暗号化された前記データを受信し(例えば、図5のステップS28)、暗号化された前記データの受信中であることを報知し(例えば、図5のステップS29)、暗号化された前記データを前記共通鍵で復号し(例えば、図5のステップS30)、前記制御信号に応じて、復号された前記データを用いた前記所定の処理を行う(例えば、図5のステップS31)ステップを含む。
【0031】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
図1は、本発明を適用した通信システムの一実施の形態の構成例を示している。
【0033】
図1の通信システム1は、デジタルカメラ11とプリンタ12により構成されている。デジタルカメラ11は、画像データをプリンタ12に提供するデータ提供装置であり、プリンタ12は、提供された画像データを用いて所定の処理(印刷処理)を行う電子機器である。
【0034】
デジタルカメラ(デジタルスチルカメラ)11は、撮像処理部31、画像データ格納部32、暗号処理部33、共通鍵生成部34、CRC生成部35、無線LAN通信部36、アンテナ37、赤外線送信部38、IR(Infrared Radiation)送光部39、カメラ制御部40、操作部41、および表示部42により構成され、被写体を撮像し、その結果得られる画像のデータ(以下、画像データと称する)をプリンタ12に送信する。
【0035】
プリンタ12は、赤外線受信部51、IR受光部52、CRC検査部53、プリンタ制御部54、電源制御部55、無線LAN通信部56、アンテナ57、暗号処理部58、記憶部59、印刷処理部60、および通信インジケータ61により構成され、デジタルカメラ11から送信された画像データを受信し、画像データに対応する画像を所定の用紙に印刷する。
【0036】
デジタルカメラ11の撮像処理部31は、CCD(Charge Coupled Device)センサまたはCMOS(Complementary Mental Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の所定のフォーマットで画像データを圧縮する画像処理回路などにより構成され、被写体を撮像し、その結果得られる画像データを生成する。撮像処理部31で生成された画像データは、所定のフォーマットの画像ファイルとして画像データ格納部32に記憶される。
【0037】
暗号処理部33は、所定の暗号方式に従い、供給された画像データを、カメラ制御部40から供給される共通鍵で暗号化する。ここで、採用される暗号化方式は、例えば、DES(Data Encryption Standard)、トリプルDES、AES(Advanced Encryption Standard)などの、暗号化する側と復号する側が共通の鍵を使用する、いわゆる共通鍵(秘密鍵)暗号方式である。
【0038】
共通鍵生成部34は、カメラ制御部40の制御の下、暗号処理部33が画像データを暗号化する際に使用する共通鍵としての乱数を生成する。CRC生成部35は、CRC(Cyclical(Cyclic) Redundancy Check)によるエラー検出のための検出符号を生成する。具体的には、CRC生成部35は、赤外線送信部38から赤外線信号で送信される共通鍵の検出符号を生成する。
【0039】
無線LAN通信部36は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11a,802.11b、および802.11gなどの規格に準拠した無線LAN通信をプリンタ12との間で行う。具体的には、無線LAN通信部36は、画像データ格納部32に記憶されていた画像データであって、暗号処理部33において共通鍵で暗号化された画像データを、アンテナ37を介してプリンタ12に送信する。
【0040】
赤外線送信部38は、発振回路、変調回路、および発光ダイオード等を備え、赤外線信号を生成し、その生成した赤外線信号をIR送光部39から送出する。赤外線信号には、カメラ制御部40から供給される、プリンタ12に行わせる処理を表す制御信号、共通鍵生成部34で生成された共通鍵、および、CRC生成部35で生成された共通鍵の検出符号が所定の形式で含まれる。例えば、赤外線送信部38は、図2に示されるように、スタートビットなどを含むヘッダ、制御信号、共通鍵、CRCによる共通鍵の検出符号の順に並べたデータに対応する赤外線信号を生成し、IR送光部39から送出する。
【0041】
図1に戻り、カメラ制御部40は、図示せぬメモリに記憶されたプログラムに従って、デジタルカメラ11の各部を制御する。例えば、カメラ制御部40は、ユーザによって操作された操作部41の操作ボタンに応じて撮像処理部31に撮像を指令する。
【0042】
また例えば、カメラ制御部40は、プリンタ12で印刷に使用する用紙サイズの指定や、画像の印刷命令など、プリンタ12に行わせる処理の操作がユーザによって操作部41で行われた場合、共通鍵生成部34に対して共通鍵の生成を指令し、生成された共通鍵の検出符号の生成をCRC生成部35に指令する。そして、カメラ制御部40は、制御信号としてのプリンタ12に対する処理を指示するコマンド、共通鍵生成部34で生成された共通鍵、およびCRC生成部35で生成された共通鍵の検出符号を赤外線送信部38に供給し、赤外線通信でプリンタ12に送信させる。即ち、カメラ制御部40は、プリンタ12に行わせる処理の操作が操作部41で行われるごとに、共通鍵とその検出符号を生成させ、プリンタ12に対する制御信号とともに赤外線通信で送信させる。
【0043】
さらに、画像の印刷など、プリンタ12に行わせる処理に画像データ格納部32に記憶されている画像データが必要である場合には、カメラ制御部40は、共通鍵生成部34が生成した共通鍵を暗号処理部33に渡して、画像データを共通鍵で暗号化させ、無線LAN通信部36に無線LAN通信で送信させる。
【0044】
操作部41は、撮像(撮影)処理、撮像された画像の表示処理などの処理を、ユーザが指示するための各種の操作ボタンを有している。また、上述したように、ユーザは、操作部41の操作ボタンを操作して、画像データ格納部32に記憶されている画像をプリンタ12に印刷させたりすることも可能である。
【0045】
表示部42は、例えば、LCD(Liquid Crystal display)などにより構成され、カメラ制御部40の制御の下、画像データ格納部32に記憶されている画像を表示したり、日付設定、露出設定などの各種の設定を行うメニュー画面を表示する。
【0046】
デジタルカメラ11では、ユーザが過去に撮像したものであって、画像データ格納部32に記憶されている画像を表示部42に表示させて確認することができる。そして、表示部42に表示されている画像がユーザの思うように撮像されていなかった場合には、ゴミ箱のマークなどで表された削除ボタンを操作して、表示部42に表示されている画像のデータを画像データ格納部32から削除することができる。また、表示部42に画像が表示されている状態でプリンタのマークなどで表された印刷ボタンを操作することにより、いま表示部42に表示されている画像をプリンタ12に印刷させることもできる。削除ボタンおよび印刷ボタンは、操作部41が有する操作ボタンの一部である。
【0047】
プリンタ12の赤外線受信部51は、IR受光部52で受光された赤外線信号を復調し、その結果得られる、制御信号、共通鍵、および共通鍵の検出符号をCRC検査部53に供給する。
【0048】
CRC検査部53は、CRCにより共通鍵の伝送エラーを検査する。即ち、CRC検査部53は、赤外線通信により送信されてきた共通鍵にエラーが発生したかを検出符号に基づいて判定する。伝送エラーが発生していないと判定された場合、CRC検査部53は、赤外線受信部51から供給された制御信号、共通鍵、および検出符号のうちの、制御信号と共通鍵をプリンタ制御部54に供給する。
【0049】
プリンタ制御部54は、記憶部59に記憶されたプログラムに従って、プリンタ12の各部を制御する。例えば、プリンタ制御部54は、CRC検査部53から制御信号と共通鍵が供給された場合、共通鍵を暗号処理部58に供給するとともに、制御信号を解析し、デジタルカメラ11から指令された、プリンタ12で行うべき処理を特定する。そして、プリンタ制御部54は、その特定された処理に応じて、無線LAN通信部56、暗号処理部58、記憶部59、および印刷処理部60などを適宜制御する。また、プリンタ制御部54は、無線LAN通信部56が通信を行っているときには、その旨を表す制御信号(以下、通信中制御信号と称する)を通信インジケータ61に供給する。
【0050】
ところで、プリンタ12の電源状態としては、プリンタ12内の全てのブロックが動作可能状態であるオン状態、プリンタ12内の全てのブロックが動作不可能状態であるオフ状態、および、主電源がオンされていて、赤外線信号の受信と、その解析が可能な状態であるスタンバイ状態の3つの電源状態が存在する。プリンタ制御部54は、電源状態がスタンバイ状態であるときにCRC検査部53から制御信号が供給された場合、電源制御部55を制御して、プリンタ12の電源状態をオン状態にさせる。
【0051】
無線LAN通信部56は、デジタルカメラ11の無線LAN通信部36と同様の無線LAN通信を行う。具体的には、無線LAN通信部56は、デジタルカメラ11から送信されてくる、共通鍵で暗号化された画像データを、アンテナ57を介して受信し、暗号処理部58または記憶部59に供給する。
【0052】
暗号処理部58は、デジタルカメラ11の暗号処理部33で行われる暗号方式と同様の暗号方式により、無線LAN通信部56または記憶部59から供給される暗号化された画像データを、プリンタ制御部54から供給される共通鍵で復号する。復号された画像データは、記憶部59または印刷処理部60に供給される。
【0053】
記憶部59は、フラッシュメモリなどの半導体メモリやハードディスクなどにより構成され、無線LAN通信部56または暗号処理部58から供給される画像データを記憶する。ここで記憶される画像データには、暗号化されたままの状態のものも含まれる。また、記憶部59は、プリンタ制御部54で実行されるプログラムなども記憶する。
【0054】
印刷処理部60は、プリンタ制御部54の制御に従い、暗号処理部58または記憶部59から供給される画像データに対応する画像を所定の用紙に印刷する。
【0055】
通信インジケータ61は、プリンタ12が無線LAN通信によりデータの通信中であることをユーザに報知する。本実施の形態では、通信インジケータ61は、例えば、LED (Light Emitting Diode)であるとし、プリンタ制御部54から通信中制御信号が供給されている間、LEDが点灯する。通信インジケータ61は、LED以外に、例えば、LCDやブザーなどであってもよく、文字や図、または記号の表示によってデータの通信中であることをユーザに報知したり、ブザーの鳴動によってユーザに報知してもよい。
【0056】
以上のように構成される通信システム1において、例えば、ユーザは、デジタルカメラ11で撮像した画像を表示部42に表示させて確認することができる。そして、ユーザが表示部42に表示されている画像の印刷を所望したときには、印刷を所望する画像が表示部42に表示されている状態において、ユーザが操作部41の印刷ボタンを操作するだけで、プリンタ12に印刷させることができる。
【0057】
図3は、そのようにして表示部42に表示されている画像を印刷する操作がユーザによって操作部41で行われたときに実行される、デジタルカメラ11による画像データ送信処理のフローチャートである。
【0058】
初めに、ステップS1において、カメラ制御部40は、操作部41から供給される操作信号に基づいて、表示部42に表示されている画像を印刷する操作がユーザによって行われたかを判定し、操作が行われたと判定されるまで待機する。
【0059】
ステップS1で、表示部42に表示されている画像を印刷する操作が操作部41において行われたと判定された場合、ステップS2において、カメラ制御部40は、共通鍵としての乱数の生成を共通鍵生成部34に指令する。共通鍵生成部34は、所定の桁数の乱数を生成し、カメラ制御部40に供給する。
【0060】
ステップS3において、カメラ制御部40は、共通鍵生成部34から供給された共通鍵をCRC生成部35に供給し、共通鍵の検出符号を生成させる。CRC生成部35は、共通鍵の検出符号を生成し、カメラ制御部40に供給する。
【0061】
ステップS4において、カメラ制御部40は、印刷を指示する制御信号とともに、共通鍵生成部34で生成された共通鍵、およびCRC生成部35で生成された共通鍵の検出符号を、赤外線送信部38に供給する。赤外線送信部38は、図2を参照して説明したように、制御信号、共通鍵、および共通鍵の検出符号からなるデータの先頭にスタートビットなどを含むヘッダを付加したデータに対応する赤外線信号を生成して、IR送光部39から送信する。
【0062】
ステップS5において、カメラ制御部40は、印刷が指示された画像のデータと、共通鍵生成部34で生成された共通鍵を暗号処理部33に供給し、画像データを共通鍵で暗号化させる。暗号処理部33は、供給された画像データを共通鍵で暗号化する。
【0063】
ステップS6において、カメラ制御部40は、暗号処理部33において共通鍵で暗号化された画像データを無線LAN通信部36に供給する。無線LAN通信部36は、暗号化された画像データをアンテナ37を介してプリンタ12に送信し、処理を終了する。
【0064】
なお、デジタルカメラ11の無線LAN通信部36は、プリンタ12の無線LAN通信部56が通信不可能な状態でハンドシェイクできない場合には、予め決められた所定時間だけ再接続を試行するが、それ以降は暗号化された画像データの送信を中止する。
【0065】
以上のように、ユーザによって、表示部42に表示されている画像の印刷を指示する操作が操作部41において行われた場合、デジタルカメラ11は、共通鍵と、その検出符号を生成し、生成された共通鍵および検出符号を、印刷を指示する制御信号とともに、赤外線通信により、プリンタ12に送信する。また、デジタルカメラ11は、印刷指示された画像に対応する画像データを共通鍵で暗号化し、その結果得られる暗号化された画像データを無線LAN通信により、プリンタ12に送信する。
【0066】
図3に示した処理は、画像の印刷を指示する操作が操作部41において行われる度に実行される。したがって、例えば、最初に表示部42に表示されている画像の印刷が指示されたときと、次に表示部42に表示された画像の印刷が指示されたときとでは、異なる共通鍵および検出符号が生成され、その都度生成された共通鍵で暗号化された画像データが無線LAN通信でデジタルカメラ11からプリンタ12に送信されることになる。操作部41において印刷ボタンを2回操作して、表示部42に表示されている同一の画像を2度プリンタ12に印刷させる場合も同様である。
【0067】
なお、デジタルカメラ11の操作部41では、ユーザは画像の印刷を指示する前に、プリンタ12で画像を印刷する用紙の用紙サイズを選択したり、画像の印刷を指示した後に、印刷の中止をプリンタ12に指示することも可能である。この場合、画像データをプリンタ12に送信する必要はないので、用紙選択または印刷中止のコマンドを制御信号として含む赤外線信号のみが、デジタルカメラ11からプリンタ12に送信される。
【0068】
図4は、制御信号としての用紙選択または印刷中止のコマンドを送信するコマンド送信処理のフローチャートである。
【0069】
ステップS11において、カメラ制御部40は、操作部41から供給される操作信号に基づいて、所定の用紙サイズを選択する操作か、または、印刷を中止する操作がユーザによって行われたかを判定し、いずれかの操作が行われたと判定されるまで待機する。
【0070】
ステップS11で、所定の用紙サイズを選択する操作か、または、印刷を中止する操作がユーザによって行われたと判定された場合、ステップS12において、カメラ制御部40は、共通鍵としての乱数の生成を共通鍵生成部34に指令する。共通鍵生成部34は、所定の桁数の乱数を生成し、カメラ制御部40に供給する。
【0071】
ステップS13において、カメラ制御部40は、共通鍵生成部34で生成された共通鍵をCRC生成部35に供給し、共通鍵の検出符号を生成させる。CRC生成部35は、共通鍵の検出符号を生成し、カメラ制御部40に供給する。
【0072】
ステップS14において、カメラ制御部40は、用紙設定または印刷中止を指示する制御信号とともに、共通鍵生成部34で生成された共通鍵、およびCRC生成部35で生成された共通鍵の検出符号を、赤外線送信部38に供給する。赤外線送信部38は、ヘッダ、制御信号としての用紙設定または印刷中止のコマンド、共通鍵、および共通鍵の検出符号とからなるデータに対応する赤外線信号を生成して、IR送光部39から送信して、処理を終了する。
【0073】
以上のように、デジタルカメラ11において、用紙サイズを選択したり、印刷を中止する操作がユーザにより行われた場合、無線LAN通信は行われず、制御信号を送信する赤外線通信のみがデジタルカメラ11とプリンタ12との間で行われる。但し、共通鍵と、その検出符号の生成は、赤外線通信を行うための一連の処理として行われる。
【0074】
図3および図4を参照して説明した処理によれば、デジタルカメラ11の操作部41において、プリンタ12に対して何らかの処理を指令する操作がユーザにより行われる度に、共通鍵としての乱数と、共通鍵の伝送エラーをプリンタ12側で検査するための検出符号が生成され、生成された共通鍵と検出符号が、処理を指示する制御信号とともに、赤外線信号でプリンタ12に送信される。
【0075】
また、赤外線信号で送信された制御信号が表す処理に、デジタルカメラ11で撮像された画像のデータが必要となる場合には、その画像データが、赤外線信号で送信した共通鍵で暗号化された後、無線LAN通信によりプリンタ12に送信される。
【0076】
次に、上述したデジタルカメラ11の各送信処理に対応してプリンタ12で行われる処理について説明する。
【0077】
図5は、用紙サイズの選択、画像の印刷、または、印刷の中止がデジタルカメラ11からプリンタ12に対して指示された場合の、プリンタ12の受信処理を説明するフローチャートである。ここで、図5の処理を実行するプリンタ21の電源状態は、少なくとも赤外線信号を受信することが可能な、スタンバイ状態か、または、オン状態であるとする。
【0078】
デジタルカメラ11のIR送光部39から赤外線信号が送信されると、プリンタ12の赤外線受信部51は、ステップS21において、IR受光部52を介して赤外線信号を受信する。赤外線受信部51において、受信された赤外線信号は、所定の復調方式で復調され、プリンタ12での処理を指示する制御信号、共通鍵、および共通鍵の検出符号が抽出されて、CRC検査部53に供給される。
【0079】
ステップS22において、CRC検査部53は、伝送エラーがないかを判定する。即ち、CRC検査部53は、ステップS22において、赤外線信号として伝送されてきた共通鍵に伝送エラーが発生していないかを共通鍵の検出符号に基づいて検査する。
【0080】
ステップS22で、伝送エラーがあると判定された場合、CRC検査部53は、それ以降何の処理も実行しない。即ち、ステップS22で、伝送エラーがあると判定された場合、処理はステップS21に戻り、プリンタ12は、次の赤外線信号が受信されるまで、待機する。
【0081】
一方、ステップS22で、伝送エラーがないと判定された場合、即ち、赤外線信号として伝送されてきた共通鍵に伝送エラーが発生していないと判定された場合、ステップS23において、CRC検査部53は、赤外線受信部51から供給された制御信号、共通鍵、および共通鍵の検出符号のうちの、制御信号と共通鍵をプリンタ制御部54に供給する。
【0082】
ステップS24において、プリンタ制御部54は、プリンタ12の電源状態がオン状態であるか否かを判定する。ステップS24で、プリンタ12の電源状態がオン状態ではないと判定された場合、即ち、プリンタ12の電源状態がスタンバイ状態である場合、ステップS25において、プリンタ制御部54は、電源制御部55を制御して、プリンタ12の電源状態をオン状態にさせる。
【0083】
ステップS25で、プリンタ12の電源状態がスタンバイ状態からオン状態にされた後、または、ステップS24で、プリンタ12の電源状態がオン状態であると判定された場合、ステップS26において、プリンタ制御部54は、CRC検査部53から供給された制御信号を解析し、デジタルカメラ11から指示された処理の内容を判定する。
【0084】
ステップS26で、制御信号が表す処理の内容が用紙サイズの選択であると判定された場合、ステップS27において、プリンタ制御部54は、指定された用紙サイズに設定する指令を印刷処理部60に供給し、印刷する用紙のサイズを、指定の用紙サイズに設定して、処理を終了する。
【0085】
一方、ステップS26で、制御信号が表す処理の内容が画像の印刷であると判定された場合、ステップS28において、プリンタ12は、印刷対象となる画像データを無線LAN通信により受信する。より詳しくは、無線LAN通信部56が、デジタルカメラ11の無線LAN通信部36から送信されてくる、暗号化された画像データを受信する。
【0086】
ステップS29において、プリンタ制御部54は、通信中制御信号を通信インジケータ61に供給し、無線LAN通信によるデータの通信中であることを表すLEDを点灯させる。
【0087】
なお、ステップS28とS29の処理は並行して実行され、プリンタ12が、暗号化された画像データを無線LAN通信により受信している間、通信インジケータ61としてのLEDが点灯する。
【0088】
ステップS30において、プリンタ制御部54は、無線LAN通信により受信された、共通鍵で暗号化された画像データを暗号処理部58に供給させるとともに、ステップS23の処理でCRC検査部53から供給された共通鍵を暗号処理部58に供給して、暗号処理部58に暗号化された画像データを復号させる。暗号処理部58は、無線LAN通信部56から供給された、暗号化された画像データを共通鍵で復号する。復号された画像データは、プリンタ制御部54の制御により、印刷処理部60に供給される。
【0089】
ステップS31において、印刷処理部60は、暗号処理部58から供給された画像データを所定の用紙に印刷して、処理を終了する。ここで、印刷に使用される用紙の用紙サイズは、図4を参照して説明した処理が行われるなどして予め決定され、内部に記憶されている設定に従う。
【0090】
一方、ステップS26で、制御信号が表す処理の内容が印刷の中止であると判定された場合、ステップS32において、プリンタ制御部54は、印刷中止の指令を印刷処理部60に供給し、印刷を中止させ、処理を終了する。
【0091】
以上の受信処理によれば、プリンタ12は、受信した赤外線信号から、デジタルカメラ11によって指示された処理内容を表す制御信号、共通鍵、および共通鍵の検出符号を抽出し、共通鍵に伝送エラーがないかを検査する。伝送エラーがないと判定された場合には、プリンタ12は、制御信号を解析して、デジタルカメラ11によって指示された処理を実行する。その指示された処理がデジタルカメラ11で撮像された画像データの印刷処理であるときには、共通鍵で暗号化された画像データが、無線LAN通信により送信されてくるので、プリンタ12は、暗号化された画像データを無線LAN通信により受信し、赤外線信号により受信した共通鍵で復号して、印刷する。
【0092】
図3乃至図5の処理を実行する通信システム1によれば、デジタルカメラ11からプリンタ12に対する処理の内容を表すコマンドと、画像データを暗号化するのに使用される共通鍵については、交信範囲が狭く、盗聴がより困難な赤外線通信を用いてデジタルカメラ11からプリンタ12に送信し、画像データは、赤外線通信で送信した共通鍵で暗号化してから、無線LAN通信によりデジタルカメラ11からプリンタ12に送信する。
【0093】
従って、仮に、交信範囲の広い無線LAN通信で送信されたデータが盗聴されたとしても、そのデータは共通鍵で暗号化されているので、元の画像データに戻すことは困難である。また、画像データを暗号化する共通鍵は、赤外線信号を送信する度に共通鍵生成部34により生成されるので、無線LAN通信の安全性はより向上する。
【0094】
ユーザがデジタルカメラ11の表示部42に表示された画像をプリンタ12に印刷させるときの操作は、表示部42に画像が表示されている状態でプリンタのマークなどで表された印刷ボタンを操作するだけであり、例えば、ユーザが不要な画像を削除するときの操作などと同様の簡単な操作で、表示部42に表示されている画像をプリンタ12に印刷させることができる。この操作で、ユーザに、共通鍵の通信や、画像データの暗号化などを意識させることはない。
【0095】
従って、通信システム1によれば、ユーザに共通鍵の通信や画像データの暗号化などを意識させず、簡単な操作で、セキュアな通信を実現することができる。また、デジタルカメラ11は、無線LAN通信により暗号化された画像データを送信して、赤外線通信により、画像データを暗号化した共通鍵と、その画像データを用いた所定の処理(印刷処理)を表す制御信号を送信するので、画像データを用いた所定の処理をプリンタ12に行わせることができる。プリンタ12は、無線LAN通信により暗号化された画像データを受信するとともに、赤外線通信により、処理内容を表す制御信号と暗号化された画像データを復号するための共通鍵を受信するので、受信した画像データを用いて、指示された処理を行うことができる。
【0096】
また、デジタルカメラ11とプリンタ12との間で、無線LAN通信が行われている間は、通信インジケータ61としてのLEDが点灯するので、ユーザがプリンタのマークなどで表された印刷ボタンを操作したときに、LEDが点灯したかどうかで、印刷処理が行われているかどうかを容易に判断することができ、もしLEDが点灯していない場合には、ユーザは印刷ボタンを再び操作すればよい。
【0097】
このような、印刷ボタンを操作してもLEDが点灯しない場合に、再び印刷ボタンを操作するユーザの操作は、例えば、テレビジョン受像機などのリモートコントローラにおいて、変更するチャンネルのボタンを操作してもテレビジョン受像機の画面の表示チャンネルが変更されなかったときに、再びチャンネルのボタンを操作するのと似ている。そういう意味においても、従来からある自然な操作で、セキュアな通信を実現することができると言える。
【0098】
さらに、プリンタ12の電源状態をスタンバイ状態にさえしておけば、プリンタ制御部54は、プリンタ12の電源状態をオン状態に変更して、デジタルカメラ11によって指示された処理内容を実行することができるので、プリンタ12の電源状態がオン状態であるかどうかをユーザが気に留める必要がない。また、プリンタ12の消費電力をより低減させることもできる。
【0099】
次に、図6を参照して、本発明を適用した通信システムのその他の実施の形態について説明する。なお、図6において、図1と対応する部分については同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0100】
図6の通信システム100は、デジタルカメラ11とテレビジョン受像機111により構成されている。
【0101】
テレビジョン受像機111は、赤外線受信部51、IR受光部52、CRC検査部53、電源制御部55、無線LAN通信部56、アンテナ57、暗号処理部58、記憶部59、および通信インジケータ61を有する点でプリンタ12と共通し、テレビ制御部120およびディスプレイ121を有する点でプリンタ12と相違する。
【0102】
テレビジョン受像機111は、地上波または衛星波による放送、インターネット放送などの放送信号を図示せぬチューナで受信し、復調して得られる番組の映像などをディスプレイ121に表示することができるほか、デジタルカメラ11と無線LAN通信および赤外線通信を行うことができる。
【0103】
上述した最初の実施の形態では説明しなかったが、デジタルカメラ11は、画像データ格納部32に記憶されている画像の全てを他の装置(いまの場合、テレビジョン受像機111)に送信する機能と、指定した1枚の画像を他の装置に送信する機能を有している。
【0104】
画像データ格納部32に記憶されている画像を他の装置に送信する場合、制御信号としての画像の保存を表すコマンドが、共通鍵と検出符号とともに赤外線通信によりデジタルカメラ11からテレビジョン受像機111に送信され、画像データは、やはり共通鍵で暗号化されて、無線LAN通信によりデジタルカメラ11からテレビジョン受像機111に送信される。
【0105】
テレビジョン受像機111のテレビ制御部120は、CRC検査部53から供給される制御信号を解析し、デジタルカメラ11から指令された、テレビジョン受像機111で行うべき処理を特定して、テレビジョン受像機111の各部を制御する。デジタルカメラ11からテレビジョン受像機111に送信される制御信号としては、上述した画像の保存を表すコマンドの他、画像の表示を表すコマンドがある。
【0106】
例えば、テレビ制御部120は、CRC検査部53から供給される制御信号が画像の表示を表すコマンドである場合、記憶部59に記憶されている画像データに対応する画像をディスプレイ121に表示させる。
【0107】
ディスプレイ121は、例えば、LCD、PDP(Plasma Display Panel)、またはCRT(Cathode Ray Tube)などで構成され、供給される画像データに対応する画像を表示する。
【0108】
デジタルカメラ11がテレビジョン受像機111に対して、制御信号として画像の保存を表すコマンドを含む赤外線信号を送信するときの処理は、図3の画像データ送信処理と同様であるので、その説明は省略する。但し、ステップS1の処理に対応する、ユーザがデジタルカメラ11の操作部41で行う操作が、画像の送信を指示する操作となる。
【0109】
また、デジタルカメラ11がテレビジョン受像機111に対して、制御信号として画像の表示を表すコマンドを含む赤外線信号を送信するときの処理は、図4のコマンド送信処理と同様であるので、その説明は省略する。但し、ステップS11の処理に対応する、ユーザがデジタルカメラ11の操作部41で行う操作が、画像の表示を指示する操作となる。
【0110】
図7のフローチャートを参照して、テレビジョン受像機111の受信処理を説明する。
【0111】
テレビジョン受像機111が赤外線信号を受信してから制御信号を解析するまでの処理、即ち、図7のステップS51乃至S56の処理は、図5のステップS21乃至S26の処理とそれぞれ同様であるので、その説明は省略する。
【0112】
ステップS56で、制御信号が表す処理の内容が画像の保存であると判定された場合、ステップS57において、テレビジョン受像機111は、保存対象となる画像データを無線LAN通信により受信する。より具体的には、テレビジョン受像機111の無線LAN通信部56は、デジタルカメラ11の無線LAN通信部36から送信されてくる、暗号化された画像データを受信する。ここで受信される画像データは、デジタルカメラ11の画像データ格納部32に記憶されている全ての画像に対応する画像データである場合と、所定の1枚の画像に対応する画像データである場合があるが、いずれの場合でも以降の処理は同様である。
【0113】
ステップS58において、テレビ制御部120は、通信中制御信号を通信インジケータ61に供給し、無線LAN通信によるデータの通信中であることを表すLEDを点灯させる。ステップS57とS58の処理は並行して実行され、無線LAN通信により、暗号化された画像データをテレビジョン受像機111が受信している間、通信インジケータ61としてのLEDが点灯する。
【0114】
ステップS59において、テレビ制御部120は、無線LAN通信により受信された、共通鍵で暗号化された画像データを暗号処理部58に供給させるとともに、ステップS53の処理でCRC検査部53から供給された共通鍵を暗号処理部58に供給して、暗号処理部58に暗号化された画像データを復号させる。暗号処理部58は、無線LAN通信部56から供給された、暗号化された画像データを共通鍵で復号する。
【0115】
ステップS60において、テレビ制御部120は、復号された画像データを記憶部59に記憶させて、処理を終了する。
【0116】
一方、ステップS56で、制御信号が表す処理の内容が画像の表示であると判定された場合、ステップS61において、テレビ制御部120は、記憶部59に記憶されている画像データに対応する画像をディスプレイ121に表示させて、処理を終了する。
【0117】
なお、上述したステップS57乃至S60の処理において無線LAN通信により受信し、記憶部59に記憶させた画像データが、1枚の画像に対応する画像データである場合には、単純に、その1枚の画像をディスプレイ121に表示させればよいが、記憶部59に記憶させた画像データが、デジタルカメラ11の画像データ格納部32に記憶されている全ての画像に対応する画像データである場合には、例えば、ファイル名または撮影日時などの所定の順序で最初となる画像をディスプレイ121に表示させる。そして、赤外線通信により、画像の表示を表す制御信号が順次送信されてきた場合に、記憶部59に記憶されている複数の画像が、所定の順序でディスプレイ121に表示される。
【0118】
以上、図7を参照して説明した受信処理においても、テレビジョン受像機111に対する処理の内容を表す制御信号、共通鍵、および共通鍵の検出符号は、赤外線通信で送信され、画像データは、共通鍵で暗号化された状態で無線LAN通信により送信されてくるので、デジタルカメラ11とテレビジョン受像機111との間で、セキュアな通信を実現することができる。
【0119】
通信システム100においても、共通鍵や画像データの暗号化などについて、ユーザは特に意識することなく、リモートコントローラを操作するときと同様に、デジタルカメラ11の操作部41の操作ボタンを操作するだけなので、簡単な操作で、セキュアな通信を実現することができる。
【0120】
さらに、通信システム100においても、通信システム1と同様に、テレビジョン受像機111がスタンバイ状態であれば動作させることができるので、電源状態の確認および電源投入操作の煩わしさを軽減し、テレビジョン受像機111の電源状態を常にオン状態にしておく必要がないので、テレビジョン受像機111の低消費電力にも貢献する。また、無線LAN通信が行われているときに通信インジケータ61としてのLEDが点灯するので、従来からある自然な操作で、セキュアな通信を実現することができると言える。
【0121】
上述した実施の形態では、赤外線信号および暗号化された画像データを送信する送信側がデジタルカメラで、受信側がプリンタまたはテレビジョン受像機である場合について説明したが、送信側および受信側の装置は、デジタルカメラ、プリンタ、またはテレビジョン受像機に限らず、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機、HDD(Hard Disk Drive)レコーダなどの記録再生装置、その他のCE機器であってもよい。
【0122】
また、無線LAN通信により暗号化されて送信されるデータは、画像データに限らず音声データ、その他のデータとすることが可能である。
【0123】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0124】
図8は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するパーソナルコンピュータ200の構成の例を示すブロック図である。CPU(Central Processing Unit)201は、ROM(Read Only Memory)202、または記憶部208に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)203には、CPU201が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU201、ROM202、およびRAM203は、バス204により相互に接続されている。
【0125】
CPU201にはまた、バス204を介して入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部206、CRT、LCDなどよりなるディスプレイ、スピーカ、LEDなどよりなるインジケータなどを含む出力部207が接続されている。CPU201は、入力部206から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU201は、処理の結果を出力部207に出力する。
【0126】
入出力インタフェース205に接続されている記憶部208は、例えばハードディスクからなり、CPU201が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。IR通信部209は、所定のデータに対応する赤外線信号を送受信する。通信部210は、IEEE802.11a,802.11b、および802.11gなどの無線LANにより、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークに接続し、他の装置と通信する。
【0127】
撮像部211は、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Mental Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子により構成され、被写体を撮像し、撮像した被写体の画像データを、入出力インタフェース205を介してCPU201等に供給する。
【0128】
入出力インタフェース205に接続されているドライブ212は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア221が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部208に転送され、記憶される。また、プログラムやデータは、通信部210を介して取得され、記憶部208に記憶されてもよい。
【0129】
本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0130】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0131】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明を適用した通信システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】赤外線信号のフォーマットを説明する図である。
【図3】図1のデジタルカメラによる画像データ送信処理を説明するフローチャートである。
【図4】図1のデジタルカメラによるコマンド送信処理を説明するフローチャートである。
【図5】図1のプリンタによる受信処理を説明するフローチャートである。
【図6】本発明を適用した通信システムのその他の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図7】図6のプリンタによる受信処理を説明するフローチャートである。
【図8】本発明を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0133】
1 通信システム, 11 デジタルカメラ, 12 プリンタ, 32 画像データ格納部, 33 暗号処理部, 34 共通鍵生成部, 35 CRC生成部, 36 無線LAN通信部, 38 赤外線送信部, 40 カメラ制御部, 41 操作部, 51 赤外線受信部, 53 CRC検査部, 54 プリンタ制御部, 56 無線LAN通信部, 58 暗号処理部, 59 記憶部, 60 印刷処理部, 100 通信システム, 111 テレビジョン受像機, 120 テレビ制御部, 121 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通鍵で暗号化されたデータを第1の通信により送信するとともに、前記共通鍵を前記第1の通信と異なる第2の通信により送信するデータ提供装置と、前記第1の通信により受信した暗号化された前記データを、前記第2の通信により受信した前記共通鍵で復号し、その結果得られる前記データを用いた所定の処理を行う電子機器とからなる通信システムにおいて、
前記データ提供装置は、
前記電子機器における前記所定の処理を指示する操作を受け付ける操作受け付け手段と、
前記操作受け付け手段において前記操作を受け付ける度に、前記共通鍵としての乱数を生成する乱数生成手段と、
前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を生成する検出符号生成手段と、
前記所定の処理を表す制御信号とともに、前記共通鍵および前記検出符号を、前記第2の通信により、前記電子機器に送信する共通鍵送信手段と、
前記共通鍵で前記データを暗号化する暗号化手段と、
前記共通鍵で暗号化された前記データを前記第1の通信により前記電子機器に送信するデータ送信手段と
を備え、
前記電子機器は、
前記第2の通信により、前記制御信号、前記共通鍵、および前記検出符号を受信する共通鍵受信手段と、
前記検出符号に基づいて、前記共通鍵の伝送エラーを検査するエラー検査手段と、
前記共通鍵の伝送エラーがない場合に、前記第1の通信により、前記共通鍵で暗号化された前記データを受信するデータ受信手段と、
暗号化された前記データを受信中であることを報知する報知手段と、
暗号化された前記データを前記共通鍵で復号する復号手段と、
前記制御信号に応じて、復号された前記データを用いた前記所定の処理を行うデータ処理手段と
を備える
通信システム。
【請求項2】
共通鍵で暗号化されたデータを第1の通信により他の装置に送信するとともに、前記共通鍵を前記第1の通信と異なる第2の通信により前記他の装置に送信するデータ提供装置において、
前記他の装置における前記所定の処理を指示する操作を受け付ける操作受け付け手段と、
前記操作受け付け手段において前記操作を受け付ける度に、前記共通鍵としての乱数を生成する乱数生成手段と、
前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を生成する検出符号生成手段と、
前記所定の処理を表す制御信号とともに、前記共通鍵および前記検出符号を、前記第2の通信により、前記他の装置に送信する共通鍵送信手段と、
前記共通鍵で前記データを暗号化する暗号化手段と、
前記共通鍵で暗号化された前記データを前記第1の通信により前記他の装置に送信するデータ送信手段と
を備えるデータ提供装置。
【請求項3】
前記第1の通信は、IEEE802.11に準拠した通信であり、前記第2の通信は赤外線通信である
請求項2に記載のデータ提供装置。
【請求項4】
前記データを記憶するデータ記憶手段をさらに備える
請求項2に記載のデータ提供装置。
【請求項5】
共通鍵で暗号化されたデータを第1の通信により他の装置に送信するとともに、前記共通鍵を前記第1の通信と異なる第2の通信により前記他の装置に送信するデータ提供装置の制御方法において、
前記他の装置における前記所定の処理を指示する操作を受け付け、
前記操作を受け付ける度に、前記共通鍵としての乱数を生成し、
前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を生成し、
前記所定の処理を表す制御信号とともに、前記共通鍵および前記検出符号を、前記第2の通信により、前記他の装置に送信し、
前記共通鍵で前記データを暗号化し、
前記共通鍵で暗号化された前記データを前記第1の通信により前記他の装置に送信する
ステップを含む制御方法。
【請求項6】
共通鍵で暗号化されたデータを第1の通信により他の装置に送信するとともに、前記共通鍵を前記第1の通信と異なる第2の通信により前記他の装置に送信する処理を、コンピュータに実行させるプログラムにおいて、
前記他の装置における前記所定の処理を指示する操作を受け付け、
前記操作を受け付ける度に、前記共通鍵としての乱数を生成し、
前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を生成し、
前記所定の処理を表す制御信号とともに、前記共通鍵および前記検出符号を、前記第2の通信により、前記他の装置に送信し、
前記共通鍵で前記データを暗号化し、
前記共通鍵で暗号化された前記データを前記第1の通信により前記他の装置に送信する
ステップを含むプログラム。
【請求項7】
第1の通信により他の装置から受信した暗号化されたデータを、前記第1の通信と異なる第2の通信により受信した共通鍵で復号し、その結果得られる前記データを用いた所定の処理を行う電子機器において、
前記第2の通信により、前記所定の処理を表す制御信号、前記共通鍵、および、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を受信する共通鍵受信手段と、
前記検出符号に基づいて、前記共通鍵の伝送エラーを検査するエラー検査手段と、
前記共通鍵の伝送エラーがない場合に、前記第1の通信により、前記共通鍵で暗号化された前記データを受信するデータ受信手段と、
暗号化された前記データを受信中であることを報知する報知手段と、
暗号化された前記データを前記共通鍵で復号する復号手段と、
前記制御信号に応じて、復号された前記データを用いた前記所定の処理を行うデータ処理手段と
を備える電子機器。
【請求項8】
前記共通鍵の伝送エラーがない場合であって、前記電子機器の電源状態がスタンバイ状態であるとき、前記電子機器の電源状態をオン状態に制御する電源制御手段をさらに備える
請求項7に記載の情電子機器。
【請求項9】
前記第1の通信は、IEEE802.11に準拠した通信であり、前記第2の通信は赤外線通信である
請求項7に記載の情電子機器。
【請求項10】
前記データを記憶するデータ記憶手段をさらに備える
請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
第1の通信により他の装置から受信した暗号化されたデータを、前記第1の通信と異なる第2の通信により受信した共通鍵で復号し、その結果得られる前記データを用いた所定の処理を行う電子機器の制御方法において、
前記第2の通信により、前記所定の処理を表す制御信号、前記共通鍵、および、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を受信し、
前記検出符号に基づいて、前記共通鍵の伝送エラーを検査し、
前記共通鍵の伝送エラーがない場合に、前記第1の通信により、前記共通鍵で暗号化された前記データを受信し、
暗号化された前記データを受信中であることを報知し、
暗号化された前記データを前記共通鍵で復号し、
前記制御信号に応じて、復号された前記データを用いた前記所定の処理を行う
ステップを含む制御方法。
【請求項12】
第1の通信により他の装置から受信した暗号化されたデータを、前記第1の通信と異なる第2の通信により受信した共通鍵で復号し、その結果得られる前記データを用いた所定の処理を、コンピュータに実行させるプログラムにおいて、
前記第2の通信により、前記所定の処理を表す制御信号、前記共通鍵、および、前記共通鍵の伝送エラーを検出するための検出符号を受信し、
前記検出符号に基づいて、前記共通鍵の伝送エラーを検査し、
前記共通鍵の伝送エラーがない場合に、前記第1の通信により、前記共通鍵で暗号化された前記データを受信し、
暗号化された前記データを受信中であることを報知し、
暗号化された前記データを前記共通鍵で復号し、
前記制御信号に応じて、復号された前記データを用いた前記所定の処理を行う
ステップを含むプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−60704(P2008−60704A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232424(P2006−232424)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】