説明

通信システム、情報処理装置及びプログラム

【課題】 無線にて映像データの送受を行う際、通信環境の影響を受けることなく、重要映像を良好に出力できるようにする。
【解決手段】 本発明のシステムでは、カメラ内蔵の各監視装置が、情報処理装置により設定された画質設定値に対応するビットレートで、カメラからの入力信号を符号化し、映像データを生成する。そして、これを含む動画データを、無線通信にて情報処理装置に送信する。情報処理装置は、各監視装置から受信した動画データを、再生処理して、映像を表示する(S270)。また、特定の監視装置から受信した動画データの伝送過程における劣化の程度により、受信状態の良否を判定し(S250)、受信状態が良くない場合には、状態が良いと判定されるまで、繰返し低画質化処理を実行し(S260)、画質設定値を1段階下げるように指示する設定コマンドを、特定の監視装置以外の各監視装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に接続された端末装置の複数と、各端末装置と通信可能な情報処理装置と、を備える通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、通信システムとしては、監視対象を撮影するための撮影装置を内蔵する端末装置と、この端末装置にて生成された映像データを受信して再生処理し、この映像データが表す映像を、表示装置に出力する情報処理装置と、からなるシステムが知られている。
【0003】
また、この種の通信システムとしては、複数の端末装置を備え、情報処理装置が、各端末装置にて生成された映像データの夫々を、並列受信して、これらを再生処理し、各端末装置が撮影する監視対象の映像を、表示装置に同時表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。上記通信システムでは、映像データの送受信時に、ネットワークトラフィックが大きいと、映像データの受信遅れが発生するため、ネットワークトラフィックに応じて、映像データのフレームレート等を設定することが行われている。
【0004】
また、通信方式としては、有線及び無線の方式が知られ、無線通信システムとしては、ノイズ環境に応じて、変調速度や、変調方式を設定し、データ伝送速度を自動的に切り替えるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−163914号公報
【特許文献2】特開2002−290417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来システムでは、映像データを送受信する際、ネットワークトラフィックに応じて、各端末装置に対しフレームレート等を設定する程度であるため、同時表示されている映像の一つが、ユーザにとって重要な映像であって、他の映像は重要でない場合でも、各映像の画質が、フレームレートの低下により、一律に低下するといった問題があった。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、無線通信にて映像データの送受信を行う通信システムにおいて、通信環境の変動の影響をあまり受けることなく良好に、重要映像を出力することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の通信システムは、
撮影装置に接続された、無線通信手段を備える端末装置、
を複数備えると共に、
前記各端末装置と無線通信可能な無線通信手段を備える情報処理装置、
を備える通信システムであって、
前記各端末装置は、
自装置に接続された撮影装置からの入力信号に基づき、予め設定されたビットレートの映像データを生成し、生成した映像データを順次、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記情報処理装置に送信する生成送信手段、
を備え、
少なくとも予め定められた特定の端末装置を除く前記各端末装置は、
前記情報処理装置から送信される設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して受信すると、受信した設定指令信号に従って、自装置における前記ビットレートの設定値を変更する設定変更手段、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記各端末装置から送信される映像データを、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して受信し、受信した映像データを順次、再生処理して、前記映像データに基づく映像を、表示装置に出力する受信再生手段と、
前記受信再生手段が前記特定の端末装置から受信する映像データの受信状態の良否を、判定する判定手段と、
前記判定手段にて前記受信状態が良くないと判定されると、ビットレートの設定値を下げるように指示する設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記特定の端末装置を除く各端末装置に、送信する設定修正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の通信システムは、
前記受信再生手段が、前記表示装置の出力画面を区画化して、前記各端末装置から受信した映像データに基づく映像を、同時表示する構成にされ、前記特定の端末装置から受信した映像データに基づく映像を表示するための区画を、他の端末装置から受信した映像データに基づく映像を表示するための区画よりも広く設定する構成にされていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3記載の通信システムは、
前記設定修正手段が、前記判定手段にて前記受信状態が良くないと判定されると、前記判定手段にて前記受信状態が良いと判定されるまで、前記ビットレートの設定値を下げるように指示する設定指令信号を、段階的に、前記特定の端末装置を除く各端末装置に対して送信する構成にされていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載の通信システムは、
前記情報処理装置に、
前記各端末装置にてビットレートの設定変更が行われていない状態で、所定時間、前記判定手段にて前記受信状態が良いと判定され続けると、初期値を超えない範囲で、前記ビットレートの設定値を上げるように指示する設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記特定の端末装置を除く各端末装置に送信する設定復元手段、
を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5記載の通信システムは、
前記設定復元手段が、前記各端末装置にてビットレートの設定変更が行われていない状態で、所定時間、前記判定手段にて前記受信状態が良いと判定され続けることにより、設定指令信号の送信タイミングが到来する度に、前記設定指令信号として、前記ビットレートの設定値を、一段階上げるように指示する設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記特定の端末装置を除く各端末装置に送信する構成にされていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の情報処理装置は、
撮影装置に接続された、無線通信手段を備える端末装置、の複数と無線通信可能な無線通信手段を備える情報処理装置であって、
前記各端末装置は、
自装置に接続された撮影装置からの入力信号に基づき、予め設定されたビットレートの映像データを生成し、生成した映像データを順次、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記情報処理装置に送信する生成送信手段、
を備え、
少なくとも予め定められた特定の端末装置を除く前記各端末装置は、
前記情報処理装置から送信される設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して受信すると、受信した設定指令信号に従って、自装置における前記ビットレートの設定値を変更する設定変更手段、
を備え、
当該情報処理装置は、
前記各端末装置から送信される映像データを、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して受信し、受信した映像データを順次、再生処理して、前記映像データに基づく映像を、表示装置に出力する受信再生手段と、
前記受信再生手段が前記特定の端末装置から受信する映像データの受信状態の良否を、判定する判定手段と、
前記判定手段にて前記受信状態が良くないと判定されると、ビットレートの設定値を下げるように指示する設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記特定の端末装置を除く各端末装置に、送信する設定修正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7記載のプログラムは、請求項6記載の情報処理装置における前記受信再生手段、前記判定手段、及び、前記設定修正手段としての機能を、コンピュータに実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の通信システムでは、特定の端末装置から送信される映像データの受信状態の良否を判定し、受信状態が良くない場合には、特定の端末装置を除く各端末装置のビットレートを下げるように、各端末装置を制御するので、ノイズ等で通信環境が悪化した場合であっても、上記ビットレートの調整により、受信側の情報処理装置は、各端末装置から送信される映像データを良好に受信することができ、特定の端末装置から送信される映像データの映像については、画質を落とさず出力(表示)することができる。
【0015】
周知のように、無線通信方式では、ノイズ等によって通信環境が悪化すると、単位時間当たりに伝送可能なデータ量が低下するため、生成する映像データのビットレートを固定化すると、映像データの一部が欠落した状態で再生処理が行われることになって、良好な映像表示を行うことができない。
【0016】
しかしながら、これに対処するために、全ての端末装置における映像データのビットレートを一律に下げてしまうと、ビットレートの低下に応じて、受信すべきデータの総量が減少し、受信データの欠落を抑制することができるものの、全ての端末装置に対応する再生映像の画質が劣化してしまう。即ち、全ての端末装置における映像データのビットレートを一律に下げてしまうと、重要な対象を撮影する撮影装置の映像から、重要でない映像まで、一律に、良好な画質が得られなくなってしまうのである。
【0017】
これに対し、請求項1記載の通信システムでは、映像データの受信状態が劣化した場合でも、特定の端末装置における映像データのビットレートを下げず、特定の端末装置以外の端末装置における映像データのビットレートを下げて、ノイズ等により低下した情報処理装置の受信能力に、各端末装置からの送信データの総量を適合させるため、特定の端末装置から送信される映像データを、通信環境が良い場合と同様に、良好に再生処理して、良好な画質で、再生映像を出力することができる。
【0018】
従って、この発明によれば、重要な対象を撮影する撮影装置に接続された端末装置を、上記特定の端末装置とすることによって、通信環境の変動の影響を受けることなく、重要映像を良好に出力することが可能な通信システムを構築することができる。
【0019】
尚、ビットレートは、例えば、量子化ビット、データ圧縮率、1秒間のフレーム数(フレームレート)等を変更することで下げることができる。また、判定手段は、受信再生手段が特定の端末装置から受信した映像データの受信量に基づき、受信状態の良否を判定する構成にされてもよいし、受信再生手段が特定の端末装置から受信した映像データの状態の良否を判定する構成にされてもよい。また、特定の端末装置から受信した映像データの状態の良否を判定する場合、判定手段は、受信した映像データを解析して、映像データの伝送過程における劣化の程度(例えば、データ欠落の程度)に基づき、特定の端末装置から受信した映像データの状態の良否を判定する構成にされるとよい。
【0020】
その他、固定的に、単一の端末装置を、特定の端末装置と定める場合には、その端末装置に、情報処理装置からの設定指令信号に基づいて、ビットレートの設定変更を行う機能を設ける必要はないが、特定の端末装置を、ユーザの指令等により可変に定める場合には、特定の端末装置を含む全端末装置に、設定変更手段を設けると共に、スイッチや無線信号により、特定の端末装置を設定できるように、上記通信システムを構成するとよい。
【0021】
また、本発明は、受信再生手段が、表示装置の出力画面を区画化し、各端末装置から受信した映像データに基づく映像を、同時表示する構成にされ、特定の端末装置から受信した映像データに基づく映像を表示するための区画を、他の端末装置から受信した映像データに基づく映像を表示するための区画よりも広く設定する通信システムに適用されるとよい(請求項2)。
【0022】
複数の映像を、画面分割によって同時表示する場合には、重要映像の出力画面を、非重要映像の出力画面より広く設定することが、良く行われているが、この場合に、重要映像及び非重要映像の画質を同一設定にすると、出力画面を広く設定した分だけ、フレームサイズが大きくなるため、重要映像に対応する映像データの量が増大する。換言すると、フレームサイズが異なるのにもかかわらずビットレートを同一にする場合には、フレームサイズを大きくした分だけ、フレーム数等を下げなければならず、再生映像が、スムーズに物体の移動を描写できなくなって、再生映像の画質が低下する。
【0023】
従って、出力画面のサイズを映像毎(端末装置毎)に変える場合には、ノイズ等で通信環境が悪化した場合に、各端末装置における映像データのビットレートを、一律に下げてしまうと、特定の端末装置に対応する再生映像の画質が、他の端末装置に対応する再生映像よりも大きく悪化してしまい、出力画面を広く設定した意味が薄れてしまう。
【0024】
これに対し、請求項2記載の通信システムによれば、特定の端末装置における映像データのビットレートを下げることなく、他の端末装置における映像データのビットレートを下げ、通信環境悪化の影響を緩和するので、特定の端末装置から受信した映像データに基づく映像を表示するための区画を、他の端末装置から受信した映像データに基づく映像を表示するための区画よりも広く設定しても、特定の端末装置に対応する映像を、良好な画質で出力することができる。
【0025】
また、上記通信システムでは、判定手段によって受信状態が良くないと判定された場合に、特定の端末装置以外の各端末装置のビットレートをただちに最低値まで下げるようにしてもよいが、ビットレートを最低値までただちに下げると、必要以上に、特定の端末装置以外の各端末装置に対応する再生映像の画質が低下してしまう可能性がある。従って、上記通信システムにおいては、設定修正手段を、請求項3記載のように構成するとよい。
【0026】
請求項3記載のように、段階的にビットレートの設定値を下げるようにすれば、ビットレートの下げ幅を、必要最小限に収めて、各端末装置の映像データを良好に受信・再生することができる。従って、請求項3記載の通信システムによれば、判定手段にて受信状態が良くないと判定された場合に、特定の端末装置以外の各端末装置における映像データのビットレートを、ただちに最低値まで下げるよりも、各端末装置に対応する映像を、良好な画質で表示装置に出力することができる。
【0027】
尚、設定修正手段は、各端末装置がビットレートを多段階設定可能な構成にされていることを前提として、判定手段にて上記受信状態が良くないと判定されると、受信状態が良いと判定されるまで、ビットレートの設定値を一段階下げるように指示する設定指令信号を、繰返し、特定の端末装置を除く各端末装置に対して送信する構成にされるとよい。
【0028】
また、上記通信システムには、請求項4記載のように、一度下げたビットレートを、受信状態に応じて上げるための構成を導入すると便利である。ビットレートを固定した状態で、所定時間、判定手段にて上記受信状態が良いと判定された場合には、ノイズ等が消滅し通信環境が回復している可能性がある。従って、所定時間、特定の端末装置からの映像データの受信状態が良い場合には、一度下げた各端末装置のビットレートの設定値を上げるようにすれば、通信環境が良い状態である場合、映像を良好な画質にて、表示装置に出力することができる。従って、請求項4記載の通信システムによれば、通信環境に応じて、特定の端末装置以外の各端末装置に適切なビットレートを設定することができる。
【0029】
但し、ビットレートを上げる際には、急激に、設定値を元の初期値に戻してしまうと、再び、受信状態が悪化して、ビットレートの設定値を下げる必要が生じ、映像データを良好に受信できない期間が長くなる可能性がある。従って、上記の設定復元手段は、請求項5記載のように構成されるとよい。
【0030】
請求項5記載の通信システムでは、映像データを良好に受信することができている場合、所定時間が経過する度に、段階的にビットレートの設定値を上げるので、常時、通信環境に応じた適切なビットレートを、各端末装置に設定することができ、常時最適な画質にて、再生映像を、表示装置に出力することができる。
【0031】
また、請求項6記載の情報処理装置によれば、特定の端末装置の映像データの受信状態に応じて、特定の端末装置以外の各端末装置のビットレートを変更するので、通信環境が悪化しても、特定の端末装置からの映像データを良好に受信して再生処理することができると共に、その映像を、良好な画質で表示装置に出力することができる。
【0032】
また、請求項7記載のプログラムによれば、請求項6記載の発明と同様の効果を得ることができる。尚、上記プログラムには、請求項4記載の設定復元手段としての機能を、コンピュータに実現させるためのプログラムを、組み込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施例について、図面と共に説明する。図1は、本発明が適用された監視システム1の構成を表す説明図である。
本実施例の監視システム1は、監視対象を撮影する監視装置10を複数個備えると共に、映像出力用の情報処理装置30、及び、この情報処理装置30と通信ケーブルLNを介して接続された無線通信装置50を備える。
【0034】
監視システム1を構成する各監視装置10は、夫々同一構成にされ、監視対象を撮影するカメラ11と、カメラ11の周囲に設置されたマイクロフォン12a及びスピーカ12bと、カメラ11から入力されるアナログの映像信号及びマイクロフォン12aから入力されるアナログの音声信号に基づき、ディジタル映像データ及びディジタル音声データを混合したディジタル動画データを生成するディジタル変換部13と、マイクロコンピュータ等から構成される制御部15と、情報処理装置30に接続された無線通信装置50と無線通信可能な無線通信回路部17と、を備える。
【0035】
制御部15は、ディジタル変換部13から入力されるディジタル動画データと、情報処理装置30のアドレスを記した送信先情報と、当該監視装置10のアドレスを記した送信元情報と、を格納した送信データを生成し、これを、無線通信回路部17に入力する通信制御部15aを有し、無線通信回路部17は、この通信制御部15aから入力される送信データを重畳させた無線信号を、アンテナから出力する。尚、無線通信方式としては、周知のIEEE802.11x規格を採用することができ、通信プロトコルとしては、インターネットプロトコルを採用することができる。
【0036】
また、通信制御部15aは、情報処理装置30から送信されてくるディジタル音声データを、無線通信回路部17を介して受信し、これをディジタル変換部13に入力する構成にされている。
【0037】
一方、ディジタル変換部13は、周知のMPEG(Moving Picture Expert Group)方式にて、カメラ11からの入力信号を符号化し、ディジタル映像データを生成する構成にされている。
【0038】
このディジタル変換部13は、動画生成モードとして、第一モード及び第二モードを有し、第一モードで動作している場合、上記ディジタル映像データの生成と並行して、マイクロフォン12aからの入力信号を符号化し、ディジタル音声データを生成する。
【0039】
そして、第一モードでは、上記生成したディジタル映像データ及びディジタル音声データを図示しない内蔵のマルチプレクサに入力して、ディジタル映像データ及びディジタル音声データを混合したディジタル動画データを生成し、これを通信制御部15aに入力する。また、第二モードでは、上記ディジタル音声データを生成せず、カメラ11からの入力信号に基づき生成したディジタル映像データを、ディジタル動画データとして通信制御部15aに入力する。
【0040】
また、ディジタル変換部13は、通信制御部15aからディジタル音声データが入力されると、これをアナログの音声信号に変換して、スピーカ12bに入力する。
その他、ディジタル変換部13は、カメラ11から入力される映像信号の符号化時のビットレート(所謂、符号化ビットレート)を変更可能な構成にされ、制御部15により、設定部13aに設定された画質設定値に対応するビットレートにて、カメラ11からの入力信号を符号化し、上記ディジタル映像データを生成する。具体的に、画質設定値は、値「1」〜「5」までの五段階の値をとり、本実施例のディジタル変換部13は、画質設定値が大きい程、高ビットレートのディジタル映像データを生成する。
【0041】
図2は、画質設定値と、ディジタル映像データ生成時のビットレート(符号化ビットレート)との関係を示した説明図である。
本実施例のディジタル変換部13は、制御部15により設定部13aに設定されたモード設定値が「1」である場合、上述の第一モードで動作して、後述する画面G1(図5参照)に対応するフレームサイズのディジタル映像データを生成する。一方、設定部13aに設定されたモード設定値が「2」である場合には、上述の第二モードで動作して、後述する画面G2〜G6に対応するフレームサイズのディジタル映像データを生成する。このため、本実施例では、同一の画質設定値で、画面G1に表示される映像の画質と、画面G2〜G6に表示される映像の画質とが一致するように、各モードで、異なるビットレートの映像データを生成する。
【0042】
具体的に、モード設定値が「1」で、画質設定値が「1」である場合には、4Akbpsのディジタル映像データ(変数Aとしては、例えば、A=64を挙げることができる)を生成し、画質設定値が「2」である場合に、画質設定値が「1」である場合の倍のビットレートである8Akbpsのディジタル映像データを生成し、画質設定値が「5」である場合には、64Akbpsのディジタル映像データを生成する。
【0043】
また、モード設定値が「2」で、画質設定値が「1」である場合には、フレームサイズが第一モードの4分の1であるため、第一モードの4分の1のAkbpsのディジタル映像データを生成し、画質設定値が「2」である場合には、2Akbpsのディジタル映像データを生成し、画質設定値が「5」である場合には、16Akbpsのディジタル映像データを生成する。
【0044】
尚、上記モード設定値及び画質設定値の変更は、監視装置10において、制御部15が実行する設定切替処理によって実現される。図3は、制御部15が繰返し実行する設定切替処理を表すフローチャートである。
【0045】
設定切替処理を開始すると、制御部15は、情報処理装置30から、モード設定値及び画質設定値を変更するように指示する設定コマンドを、無線通信回路部17を介して受信するまで待機し(S110)、設定コマンドを受信すると、設定コマンドに付されたモード指定値及び画質指定値を解釈し、設定部13aのモード設定値を、その設定コマンドに付されたモード指定値と同一の値に変更すると共に、設定部13aの画質設定値を、上記設定コマンドに付された画質指定値と同一の値に変更する(S120)。その後、制御部15は、設定変更が完了した旨の応答信号を、設定コマンドの送信元装置(情報処理装置30)に、無線通信回路部17を介して送信し(S130)、当該設定切替処理を一旦終了する。その後、再び、S110に移行する。
【0046】
その他、無線通信装置50は、時分割にて、各監視装置10と同時に無線通信可能な構成にされている。情報処理装置30は、この無線通信装置50と接続され、無線通信装置50を介して各監視装置10と通信可能なインタフェース31と、プログラムに従って各種演算処理を行うCPU33と、CPU33によるプログラム実行時に作業領域として使用されるRAM35と、ブートプログラム等を記憶するROM37と、ハードディスク装置39と、液晶ディスプレイ等からなるスピーカ内蔵の表示部41と、キーボードやポインティングデバイス、マイクロフォン等からなる入力部43と、を備える。
【0047】
また、情報処理装置30は、ハードディスク装置39に、後述する映像受信表示処理をCPU33に実行させるためのプログラムや、タイマーとしての機能をCPU33に実現させるためのプログラム、ユーザにより指定された画面G1〜G6の割り当てを示す画面設定情報、ユーザにより指定された画質設定値の初期値を示す画質初期設定情報、監視装置10の個数Xを示す端末数設定情報、等を記憶している。
【0048】
図4は、ハードディスク装置39に記憶された画面設定情報を表す説明図であり、図5は、後述する映像受信表示処理によって、表示部41の出力画面上に生成される映像表示ウィンドウG0の構成を表す説明図である。
【0049】
図5に示すように、映像表示ウィンドウG0は、区画化された画面G1〜G6からなり、画面G1は、画面G2〜G6の4倍広く設定されている。即ち、映像表示ウィンドウG0は、大画面構成の画面G1と、小画面構成の画面G2〜G6と、の2種類・6個の画面を備えた構成にされている。
【0050】
画面設定情報は、これら各画面G1〜G6毎に、その画面が割り当てられた監視装置10の識別情報(アドレス)が記述されたものであり、情報処理装置30は、この画面設定情報に基づき、映像受信表示処理によって、画面Giが割り当てられた監視装置10からのディジタル動画データに基づく映像を、画面Giに表示する(i=1,2,3,4,5,6)。そして、このような手法で、各監視装置10が撮影した映像を、表示部41の出力画面に同時表示する。
【0051】
図6は、CPU33が実行する映像受信表示処理を表すフローチャートである。CPU33は、入力部43から、映像受信表示処理の実行指示が入力されると、対応するプログラムを、ハードディスク装置39から読み出し、このプログラムに従って、図6に示す映像受信表示処理を実行する。
【0052】
映像受信表示処理を開始すると、CPU33は、まずS210にて、画質設定値の変更回数を示す画質変更カウンタCNTをリセットし(即ち、CNT=0に設定し)、その後、映像表示ウィンドウG0を、表示部41の出力画面上に生成する(S213)。また、S213の処理を終えると、S217に移行して、ハードディスク装置39が記憶する端末数設定情報に基づき、その端末数設定情報が示す監視装置10の個数Xを、パラメータnに設定する(n=X)。
【0053】
また、S217での処理を終えると、S220に移行し、ハードディスク装置39が記憶する画面設定情報及び画質初期設定情報に基づき、各監視装置10の初期設定を行う。具体的には、画質指定値として、画質初期設定情報が示す初期値を付し、モード指定値として、値「1」を付した設定コマンドを、インタフェース31及び無線通信装置50を介して、画面G1が割り当てられた監視装置10に送信することにより、画面G1が割り当てられた監視装置10の設定部13aに、モード設定値として、値「1」を設定すると共に、画質設定値として初期値を設定する。
【0054】
その他、画質指定値として、画質初期設定情報が示す初期値を付し、モード指定値として、値「2」を付した設定コマンドを、インタフェース31及び無線通信装置50を介して、画面Gi(2≦i≦X:iは自然数)が割り当てられた各監視装置10に送信することにより、画面Giが割り当てられた各監視装置10の設定部13aに、モード設定値として、値「2」を設定すると共に、画質設定値として初期値を設定する。
【0055】
また、上述した手法でX個の各監視装置10に対するモード及び画質設定が完了すると、CPU33は、各監視装置10の設定部13aに設定した画質設定値を、現在の画質設定値Mi(i=1,2,…,X)として、RAM35に記憶する。
【0056】
また、S220での処理を終えると、CPU33は、各監視装置10から送信されてくるディジタル動画データを、無線通信装置50及びインタフェース31を介して受信し(S230)、所定量又は所定期間分のディジタル動画データを受信すると、その受信データを解析して(S240)、画面G1に対応する監視装置10から受信したディジタル動画データが、再生処理するのに良好な状態であるか否かを、所定の基準に照らし合わせて、判定する(S250)。
【0057】
具体的には、画面G1に対応する監視装置10から受信したディジタル動画データにおいて欠落しているデータ(パケット)の量が所定量以上ある場合に、受信した上記ディジタル動画データが良好な状態ではないと判定し、それ以外の場合には、受信した上記ディジタル動画データが良好な状態であると判定する。即ち、本実施例では、画面G1に対応する監視装置10から受信したディジタル動画データに基づいて、このディジタル動画データの伝送過程における劣化の程度(具体的には、データ(パケット)欠落の程度)により、受信したディジタル動画データの状態が「良好な状態である」か「良好な状態ではない」かのいずれかの判定を下すのである。尚、詳細な判定基準は、設計者により任意に決定可能である。
【0058】
そして、受信したディジタル動画データの状態が良好な状態ではないと判断すると(S250でNo)、CPU33は、S260に移行し、図7に示す低画質化処理を実行する。図7は、CPU33が実行する低画質化処理を表すフローチャートである。
【0059】
低画質化処理を実行すると、CPU33は、画面Gnが割り当てられた監視装置10の現在の画質設定値Mnが、最低値(即ち、値「1」)であるか否かを判断し(S310)、現在の画質設定値Mnが最低値であると判断すると(S310でYes)、S350に移行し、現在の画質設定値Mnが、最低値ではないと判断すると(S310でNo)、S320に移行する。
【0060】
S320に移行すると、CPU33は、現在の画質設定値Mnより1小さい値Mn−1を、画質指定値として付し、モード指定値として値「2」を付した設定コマンドを、インタフェース31及び無線通信装置50を介して、画面Gnが割り当てられた監視装置10に送信し、これによって、画面Gnが割り当てられた監視装置10における設定部13aに、現在の画質設定値Mnよりも1段階小さい画質設定値Mn−1(換言すると、1段階低いビットレート)を設定する。また、設定変更が完了した旨の応答信号の受信後には、S325に移行し、更新後の画質設定値Mn−1を、画面Gnが割り当てられた監視装置10の現在の画質設定値Mnとして記憶する(Mn←Mn−1)。
【0061】
また、S325での処理を終えると、CPU33は、S330に移行し、画質変更カウンタCNTを1加算し(CNT←CNT+1)、その後、所定時間T0だけ計時するようにタイマー設定を行って、タイマーに、時間T0分のカウントダウンを開始させる(S335)。尚、S335の処理実行時に、既にタイマーが動作している場合には、タイマーを一旦リセットした後、所定時間T0だけ計時するようにタイマー設定を行う(S335)。
【0062】
また、S335での処理を終えると、CPU33は、S390に移行し、パラメータnが値「2」である(n=2)か否かを判断する。そして、n=2ではないと判断すると(S390でNo)、S393にて、パラメータnの値を1減算し(n←n−1)、n=2であると判断すると(S390でYes)、S397にて、パラメータnを、値Xに設定し(n=X)、その後、当該低画質化処理を終了する。
【0063】
一方、S350に移行すると、CPU33は、画面G1以外の画面Gi(2≦i≦X:iは自然数)が割り当てられた各監視装置10の現在の画質設定値Mi(2≦i≦X:iは自然数)が、全て最低値(即ち、値「1」)であるか否かを判断し、全て最低値ではないと判断すると(S350でNo)、S390に移行し、全て最低値であると判断すると(S350でYes)、S360に移行する。
【0064】
また、S360に移行すると、CPU33は、画面G1が割り当てられた監視装置10の現在の画質設定値M1が、最低値(即ち、値「1」)であるか否かを判断し、現在の画質設定値M1が最低値であると判断すると(S360でYes)、当該低画質化処理を終了し、現在の画質設定値M1が、最低値ではないと判断すると(S360でNo)、S370に移行する。
【0065】
そして、S370に移行すると、CPU33は、現在の画質設定値M1より1小さい値M1−1を、画質指定値として付し、モード指定値として値「1」を付した設定コマンドを、インタフェース31及び無線通信装置50を介して、画面G1が割り当てられた監視装置10に送信し、これによって、画面G1が割り当てられた監視装置10における設定部13aに、現在の画質設定値M1よりも1段階小さい画質設定値M1−1(換言すると、1段階低いビットレート)を設定する。また、設定変更が完了した旨の応答信号の受信後には、S375に移行し、更新後の画質設定値M1−1を、画面G1が割り当てられた監視装置10の現在の画質設定値M1として記憶する(M1←M1−1)。
【0066】
また、S375での処理を終えると、S380に移行し、画質変更カウンタCNTを1加算し(CNT←CNT+1)、その後、所定時間T0だけ計時するようにタイマー設定を行って、タイマーに、時間T0分のカウントダウンを開始させる(S385)。その後、当該低画質化処理を終了する。尚、S385の処理実行時に、既にタイマーが動作している場合には、タイマーを一旦リセットした後、所定時間T0だけ計時するようにタイマー設定を行う(S385)。
【0067】
また、S260にて上記低画質化処理を終了すると、CPU33は、入力部43を通じてユーザから当該映像受信表示処理の終了指示が入力されているか否かを判断する(S295)。そして、終了指示が入力されていると判断すると(S295でYes)、当該映像受信表示処理を終了し、終了指示が入力されていないと判断すると(S295でNo)、S230に移行する。また、S230に移行すると、CPU33は、監視装置10から送信されてくる続きのディジタル映像データを、無線通信装置50及びインタフェース31を介して受信し、その後、S240以降の処理を実行する。
【0068】
また、S250にて、画面G1が割り当てられた監視装置10から受信したディジタル動画データの状態が良好であると判断すると(S250でYes)、CPU33は、各監視装置10から受信したディジタル動画データを再生処理して、それらのディジタル動画データを、表示部入力用の再生信号に変換し、これを表示部41に入力して、受信したディジタル動画データに基づく映像及び音声を、表示部41に出力させる(S270)。
【0069】
この際、CPU33は、映像表示ウィンドウG0における各画面G1〜G6に、対応する監視装置10から受信したディジタル動画データに基づく映像が表示されるようにする。即ち、CPU33は、各監視装置10から受信したディジタル動画データに基づく映像を、その監視装置10に割り当てられた画面Gi(i=1,2,…X)に表示する。
【0070】
また、S270での処理を終えると、CPU33は、画質変更カウンタCNTがゼロであるか否かを判断し(S280)、画質変更カウンタCNTがゼロであると判断すると(S280でYes)、S295に移行し、画質変更カウンタCNTがゼロではないと判断すると(S280でNo)、S285に移行する。尚、本実施例では、低画質化処理にて、画質設定値を1段階下げる度に、画質変更カウンタCNTを1加算し、後述する高画質化処理にて、画質設定値を1段階上げる度に、画質変更カウンタCNTを1減算するので、画質変更カウンタCNTがゼロである場合、各監視装置10における設定部13aの画質設定値は、S220で設定した初期値と一致する。
【0071】
また、S285に移行すると、CPU33は、タイマー値がゼロであるか否かを判断し、タイマー値がゼロではない(即ち、タイマー値がゼロより大きい値である)と判断すると(S285でNo)、最後に監視装置10に対する画質設定値の変更を行ってから、所定時間T0が経過していないとして、S295に移行し、タイマー値がゼロであると判断すると(S285でYes)、最後に監視装置10に対する画質設定値の変更を行ってから、所定時間T0が経過したとして、S290に移行し、図8に示す高画質化処理を実行する。図8は、CPU33が実行する高画質化処理を表すフローチャートである。
【0072】
高画質化処理を開始すると、CPU33は、画面G1が割り当てられた監視装置10の現在の画質設定値M1が、S220で設定した初期値であるか否かを判断し(S410)、画面G1が割り当てられた監視装置10の現在の画質設定値M1が、初期値であると判断すると(S410でYes)、S440に移行し、画面G1が割り当てられた監視装置10の現在の画質設定値M1が、初期値ではないと判断すると(S410でNo)、S420に移行する。
【0073】
また、S420に移行すると、CPU33は、現在の画質設定値M1より1大きい値M1+1を、画質指定値として付し、モード指定値として、値「1」を付した設定コマンドを、インタフェース31及び無線通信装置50を介し、画面G1が割り当てられた監視装置10に送信することによって、その監視装置10における設定部13aに、現在の画質設定値M1よりも1段階大きい画質設定値M1+1(換言すると、1段階高いビットレート)を、設定する。そして、設定変更が完了した旨の応答信号の受信後には、S425に移行し、更新後の画質設定値M1+1を、現在の画質設定値M1として、RAM35に記憶する(M1←M1+1)。
【0074】
また、S425での処理を終えると、CPU33は、S430に移行して、画質変更カウンタCNTを1減算し(CNT←CNT−1)、その後、所定時間T0だけ計時するようにタイマー設定を行って、タイマーに、時間T0分のカウントダウンを開始させる(S435)。その後、当該高画質化処理を終了する。
【0075】
一方、S440に移行すると、CPU33は、パラメータnが値Xであるか否かを判断する。そして、n=Xではないと判断すると(S440でNo)、S443にて、パラメータnの値を1加算し(n←n+1)、その後、S450に移行する。一方、n=Xであると判断すると(S440でYes)、S447にて、パラメータnを、値「2」に設定し(n=2)、その後、S450に移行する。
【0076】
また、S450に移行すると、CPU33は、画面Gnが割り当てられた監視装置10の現在の画質設定値Mnが、S220で設定した初期値であるか否かを判断し、現在の画質設定値Mnが、初期値であると判断すると(S450でYes)、当該高画質化処理を終了し、現在の画質設定値Mnが、初期値ではないと判断すると(S450でNo)、S460に移行する。
【0077】
また、S460に移行すると、CPU33は、現在の画質設定値Mnより1大きい値Mn+1を、画質指定値として付し、モード指定値として、値「2」を付した設定コマンドを、インタフェース31及び無線通信装置50を介し、画面Gnが割り当てられた監視装置10に送信することによって、その監視装置10における設定部13aに、現在の画質設定値Mnよりも1段階大きい画質設定値Mn+1(換言すると、1段階高いビットレート)を、設定する。そして、設定変更が完了した旨の応答信号の受信後には、S465に移行し、更新後の画質設定値Mn+1を、現在の画質設定値Mnとして、RAM35に記憶する(Mn←Mn+1)。
【0078】
また、S465での処理を終えると、CPU33は、S470に移行して、画質変更カウンタCNTを1減算し(CNT←CNT−1)、その後、所定時間T0だけ計時するようにタイマー設定を行って、タイマーに、時間T0分のカウントダウンを開始させる(S475)。その後、当該高画質化処理を終了する。
【0079】
このようにして、S290での高画質化処理を終えると、CPU33は、終了指示が入力されているか否かを判断し(S295)、終了指示が入力されていない場合には(S295でNo)、S230に移行し、終了指示が入力されている場合には(S295でYes)、当該映像受信表示処理を終了する。
【0080】
以上、本実施例の監視システム1について説明したが、この監視システム1では、撮影装置としてのカメラ11を内蔵する監視装置10が、ディジタル変換部13にて、カメラ11からの入力信号を、設定部13aに設定された画質設定値に対応するビットレート(符号化ビットレート)で符号化し、ディジタル映像データを生成する。また、監視装置10は、通信制御部15a及び無線通信回路部17(本発明の端末装置が内蔵する無線通信手段に相当)を通じて、このディジタル映像データを含むディジタル動画データを順次、情報処理装置30に送信する。
【0081】
その他、監視装置10は、制御部15にて設定切替処理を実行し、情報処理装置30から送信される設定コマンド(本発明の設定指令信号に相当)を、無線通信回路部17を介して受信すると(S110でYes)、受信した設定コマンドに付された画質指定値に従って、設定部13aに画質を設定し、上記ビットレートを変更する(S120)。
【0082】
また、情報処理装置30は、各監視装置10から送信されるディジタル動画データを、自身に接続された無線通信装置50(本発明の情報処理装置が内蔵する無線通信手段に相当)を介して受信し(S230)、受信したディジタル動画データを順次、再生処理して、そのディジタル動画データに基づく映像を、表示部41(本発明の表示装置に相当)に出力する(S270)。
【0083】
また、情報処理装置30は、受信したディジタル動画データを解析して、画面G1に対応する監視装置10から受信したディジタル動画データ、の伝送過程における劣化の程度により、画面G1に対応するディジタル動画データの受信状態の良否を判定し(S250)、状態が良くないと判定すると(S250でNo)、状態が良いと判定されるまで、繰返し低画質化処理を実行し(S260)、画質設定値を1段階下げるように指示する設定コマンド(現在の画質設定値より1小さい画質指定値を付した設定コマンド)を、無線通信装置50を介して、画面G1に対応する監視装置10以外の各監視装置10に送信する(S320)。
【0084】
これによって、情報処理装置30は、画面G2〜G6に対応する各監視装置10から送信されるディジタル動画データのビットレート(符号化ビットレート)を段階的に下げ、受信すべきディジタル動画データの総量を減少させる。
【0085】
また、画面G1に対応する監視装置10以外の各監視装置10の画質設定値が最低値である場合には、画面G1に対応する監視装置10に対し、画質設定値を1段階下げるように指示する設定コマンドを、無線通信装置50を介して、状態が良いと判定されるまで繰返し送信することにより(S370)、画面G1に対応する監視装置10から送信されるディジタル動画データのビットレートを段階的に下げ、受信すべきディジタル動画データの総量を減少させる。
【0086】
このように、本実施例では、ノイズ等で通信環境が悪化して、各監視装置10から単位時間当たりに受信可能なデータの総量が減少しても、画面G1以外の画面G2〜G6に対応する各監視装置10のビットレートを優先的に下げて、無線通信装置50の受信能力に、各監視装置10から送信データの総量を適合させるため、データ欠落を防止して、各監視装置10から送信されるディジタル動画データを、良好に受信・再生することができる。また、本実施例によれば、画面G1に表示する映像の画質を落とさずに済むので、良好な画質で画面G1に映像を表示することができる。
【0087】
従って、ユーザは、画面設定情報を編集して、画面G1に、重要な対象を撮影する監視装置10を割り当てれば、通信環境の変動の影響を受けることなく、常時安定的に、良好な画質で、重要映像を画面G1に表示させることができる。
【0088】
また、本実施例では、映像表示ウィンドウG0にて、表示部41の出力画面を区画化すると共に、画面G1を、他の画面G2〜G6より広く設定するため、重要映像を、良好な画質で、高解像度に表示することができる。
【0089】
その他、本実施例によれば、段階的にビットレートを下げるので、ビットレートの下げ幅を、必要最小限に収めることができる。従って、本実施例によれば、受信データの状態が良くないと判定された場合に(S250でNo)、ただちに画面G1に対応する監視装置10以外の各監視装置10のビットレートを最低値まで下げるよりも、良好な画質で各映像を表示部41に出力することができる。
【0090】
また、本実施例では、各監視装置10にてビットレートの設定変更が行われていない状態で、画面G1に対応する受信データの状態が良いと判定され続けて(S250でYes)、所定時間T0が経過する度に(S285でYes)、高画質化処理を実行し(S290)、画質設定値を1段階上げるように指示する設定コマンド(現在の画質設定値より1大きい画質指定値を付した設定コマンド)を、無線通信装置50を介して、各監視装置10に送信する。これによって、情報処理装置30は、各監視装置10から送信されるディジタル動画データのビットレート(符号化ビットレート)を、初期値を超えない範囲で、段階的に上げ、映像出力時の画質を向上させる。
【0091】
ビットレートを固定した状態で、所定時間T0、受信データの状態が良いと判定された場合には、通信環境が回復している可能性があるため、上述のようにビットレートを調整すれば、通信環境が良い状態である場合、各画面G1〜G6の映像を、最適な画質で、表示部41に出力することができる。
【0092】
尚、本発明の端末装置は、本実施例のカメラ11を除く監視装置10の内部回路に相当し、本発明の情報処理装置は、無線通信装置50及び情報処理装置30に相当する。また、生成送信手段は、ディジタル変換部13及び通信制御部15aに相当し、設定変更手段は、設定切替処理にて実現されている。その他、受信再生手段は、S230,S270の処理にて実現され、判定手段は、S240,S250の処理にて実現され、設定修正手段は、低画質化処理(具体的には、S310〜S350,S390〜S397)により実現され、設定復元手段は、高画質化処理(具体的には、S440〜S475)により実現されている。
【0093】
また、本発明の通信システム及び情報処理装置並びにプログラムは、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、S250で状態が良くないと判定する度に、一段階ずつビットレートを下げるように監視システム1を構成したが、S250で状態が良くないと判定した場合には、状態の悪さを数値化し、その数値に応じて、ビットレートの下げ幅を決定し、数値に応じたビットレートを、各監視装置10に設定するようにしてもよい。
【0094】
その他、ビットレートの変更は、量子化ビットの変更、データ圧縮率の変更、1秒間当たりのフレーム数の変更、フレームサイズの変更等により実現することができるが、通信環境が悪化した場合には、画面G2〜G6のフレームサイズよりも小さいフレームサイズのディジタル映像データを、画面G2〜G6に対応する監視装置10に生成させることで、画面G2〜G6に対応する監視装置10から送信されるディジタル動画データのビットレートを下げるようにしてもよい。
【0095】
また、情報処理装置30に各画面G1〜G6の録画機能を設ける場合には、録画機能がオンにされていない画面G2〜G6、録画機能がオンにされている画面G2〜G6、画面G1の順に、画質設定値を下げるようにして、各監視装置10からの送信データの総量を通信環境に適合させるとよい。このように監視システム1を構成すれば、録画対象の映像を、良好な画質で録画することができる。また、この監視システム1においては、録画機能がオフからオンに切り替えられた画面に対応する監視装置10の画質設定値を上げるように、情報処理装置30を構成してもよい。
【0096】
その他、上記実施例では、監視システムに、本発明を適用した例を説明したが、本発明は、監視システムに限定されず、その他の通信システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明が適用された監視システム1の構成を表す説明図である。
【図2】画質設定値とビットレートとの関係を示した説明図である。
【図3】制御部15が繰返し実行する設定切替処理を表すフローチャートである。
【図4】ハードディスク装置39に記憶された画面設定情報を示す説明図である。
【図5】映像表示ウィンドウG0の構成を表す説明図である。
【図6】CPU33が実行する映像受信表示処理を表すフローチャートである。
【図7】CPU33が実行する低画質化処理を表すフローチャートである。
【図8】CPU33が実行する高画質化処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
1…監視システム、10…監視装置、11…カメラ、13…ディジタル変換部、13a…設定部、15…制御部、15a…通信制御部、17…無線通信回路部、30…情報処理装置、31…インタフェース、33…CPU、35…RAM、37…ROM、39…ハードディスク装置、41…表示部、43…入力部、50…無線通信装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置に接続された、無線通信手段を備える端末装置、
を複数備えると共に、
前記各端末装置と無線通信可能な無線通信手段を備える情報処理装置、
を備える通信システムであって、
前記各端末装置は、
自装置に接続された撮影装置からの入力信号に基づき、予め設定されたビットレートの映像データを生成し、生成した映像データを順次、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記情報処理装置に送信する生成送信手段、
を備え、
少なくとも予め定められた特定の端末装置を除く前記各端末装置は、
前記情報処理装置から送信される設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して受信すると、受信した設定指令信号に従って、自装置における前記ビットレートの設定値を変更する設定変更手段、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記各端末装置から送信される映像データを、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して受信し、受信した映像データを順次、再生処理して、前記映像データに基づく映像を、表示装置に出力する受信再生手段と、
前記受信再生手段が前記特定の端末装置から受信する映像データの受信状態の良否を、判定する判定手段と、
前記判定手段にて前記受信状態が良くないと判定されると、ビットレートの設定値を下げるように指示する設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記特定の端末装置を除く各端末装置に、送信する設定修正手段と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記受信再生手段は、前記表示装置の出力画面を区画化して、前記各端末装置から受信した映像データに基づく映像を、同時表示する構成にされ、前記特定の端末装置から受信した映像データに基づく映像を表示するための区画を、他の端末装置から受信した映像データに基づく映像を表示するための区画よりも広く設定する構成にされていることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記設定修正手段は、前記判定手段にて前記受信状態が良くないと判定されると、前記判定手段にて前記受信状態が良いと判定されるまで、前記ビットレートの設定値を下げるように指示する設定指令信号を、段階的に、前記特定の端末装置を除く各端末装置に対して送信する構成にされていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
前記情報処理装置に、
前記各端末装置にてビットレートの設定変更が行われていない状態で、所定時間、前記判定手段にて前記受信状態が良いと判定され続けると、初期値を超えない範囲で、前記ビットレートの設定値を上げるように指示する設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記特定の端末装置を除く各端末装置に送信する設定復元手段、
を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記設定復元手段は、前記各端末装置にてビットレートの設定変更が行われていない状態で、所定時間、前記判定手段にて前記受信状態が良いと判定され続けることにより、設定指令信号の送信タイミングが到来する度に、前記設定指令信号として、前記ビットレートの設定値を、一段階上げるように指示する設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記特定の端末装置を除く各端末装置に送信する構成にされていることを特徴とする請求項4記載の通信システム。
【請求項6】
撮影装置に接続された、無線通信手段を備える端末装置、の複数と無線通信可能な無線通信手段を備える情報処理装置であって、
前記各端末装置は、
自装置に接続された撮影装置からの入力信号に基づき、予め設定されたビットレートの映像データを生成し、生成した映像データを順次、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記情報処理装置に送信する生成送信手段、
を備え、
少なくとも予め定められた特定の端末装置を除く前記各端末装置は、
前記情報処理装置から送信される設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して受信すると、受信した設定指令信号に従って、自装置における前記ビットレートの設定値を変更する設定変更手段、
を備え、
当該情報処理装置は、
前記各端末装置から送信される映像データを、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して受信し、受信した映像データを順次、再生処理して、前記映像データに基づく映像を、表示装置に出力する受信再生手段と、
前記受信再生手段が前記特定の端末装置から受信する映像データの受信状態の良否を、判定する判定手段と、
前記判定手段にて前記受信状態が良くないと判定されると、ビットレートの設定値を下げるように指示する設定指令信号を、自装置内蔵の前記無線通信手段を介して、前記特定の端末装置を除く各端末装置に、送信する設定修正手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の情報処理装置における前記受信再生手段、前記判定手段、及び、前記設定修正手段としての機能を、コンピュータに実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−311520(P2006−311520A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84678(P2006−84678)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】