説明

通信システム、移動機、関門交換機、管理装置および通信方法

【課題】正確な通信料金の把握を行って、適正な通信切断を行うことができる通信システムおよび通信方法を提供する。
【解決手段】関門交換機100においては、移動機300からの発信要求に応じて通信接続処理を行い、その後、移動機300が送信する上り方向のパケットデータの上り方向のパケットデータ量を計数する。一方で、交換機200においては、通信接続処理を行い、移動機300宛に送信された下り方向のパケットデータの下り方向のパケットデータ量を計数する。そして、関門交換機100においては、計数された上り方向のパケットデータ量と、交換機200から通知された下り方向のパケットデータ量とを合算して総パケットデータ量を算出し、算出された総パケットデータ量に基づいて、移動機300との間の通信を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレペイド式移動機に対する通信接続制御を行う通信システム、移動機、関門交換機、管理装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、プリペイド式の移動機は、音声通話などのCSドメインを利用したものが知られている。近年、パケットデータ通信のためのプリペイド式の移動機が考えられており、その料金管理の仕方として、特許文献1に記載のものが考えられている。この特許文献1に記載されている技術は、GPRS(General Packet Radio Service)を用いて移動機間でデータの通信を行う技術において、プリペイド式の通信サービスに適用して、効率的な課金処理を行うことの記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−204323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の特許文献1に記載の技術では、正確な通信料金の把握を行うことが困難な場合があり、適正な通信切断を行うことができない場合があり得る。
【0005】
そこで、本発明においては、正確な通信料金の把握を行って、適正な通信切断を行うことができる通信システム、移動機、関門交換機、管理装置および通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の通信システムは、ネットワークと接続するための関門交換機と、当該関門交換機の下位に配置され、移動機に対する通信接続制御を行う交換機とを備える通信システムにおいて、前記関門交換機は、前記移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する第一計数手段と、前記第一計数手段により計数された上り方向のデータ量と、前記交換機から通知された下り方向のデータ量とを合算して総データ量を算出する合算手段と、前記合算手段により算出された総データ量に基づいて、前記移動機との通信を切断する切断手段と、を備え、前記交換機は、前記移動機宛に送信された下り方向のデータの下り方向のデータ量を計数する第二計数手段と、前記第二計数手段により計数された下り方向のデータ量を前記関門交換機に通知する通知手段と、を備える。
【0007】
また、本発明の通信方法は、ネットワークと接続するための関門交換機と、当該関門交換機の下位に配置され、移動機に対する通信接続制御を行う交換機とを備える通信システムの通信方法において、前記関門交換機が、前記移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する第一計数ステップと、前記交換機が、前記移動機宛に送信された下り方向のデータの下り方向のデータ量を計数する第二計数ステップと、前記交換機が、前記第二計数ステップにより計数された下り方向のデータ量を前記関門交換機に通知する通知ステップと、前記関門交換機が、前記第一計数ステップにより計数された上り方向のデータ量と、前記交換機から通知された下り方向のデータ量とを合算して総データ量を算出する合算ステップと、前記関門交換機が、前記合算ステップにより算出された総データ量に基づいて、前記移動機との通信を切断する切断ステップと、を備える。
【0008】
この発明によれば、関門交換機においては、移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する。一方で、交換機においては、移動機宛に送信された下り方向のデータの下り方向のデータ量を計数し、計数された下り方向のデータ量を関門交換機に通知する。そして、関門交換機においては、計数された上り方向のデータ量と、交換機から通知された下り方向のデータ量とを合算して総データ量を算出し、算出された総データ量に基づいて、移動機との間の通信を切断する。これにより、上り方向のデータ、下り方向のデータの計数する場所を変えて、上り方向のデータについては、移動機より相対的に遠くの位置で計数し、下り方向のデータについては、相対的に移動機側の位置で計数することで、より正確な送信されたデータ量を把握することができる。そして、関門交換機において、上り方向のデータと下り方向のデータのそれぞれのデータ量を把握することができ、移動機における総データ量を把握することができ、全体の送信されたデータ量を把握することができる。よって、より正確な総データ量に基づいた切断処理を行うことができる。
【0009】
また、本発明の通信システムにおいて、前記関門交換機は、前記関門交換機と前記移動機との間の通信が切断されたときに、前記合算手段により算出された総データ量を管理装置に送信する送信手段をさらに備えることが好ましい。
【0010】
この発明によれば、関門交換機と移動機との間の通信が切断されたときに、算出された総データ量を管理装置に送信することで、通信終了時における総データ量を管理装置に通知することができ、管理装置側においては、残通信可能データ量を把握することができる。
【0011】
また、本発明の通信システムにおいて、前記関門交換機における前記送信手段は、前記関門交換機と前記移動機との間で通信が接続されている間における所定時間ごとに、前記合算手段により算出された総データ量を管理装置に送信することが好ましい。
【0012】
この発明によれば、関門交換機と移動機との間で通信が接続されている間における所定時間ごとに、算出された総データ量を管理装置に送信することで、通信の途中における総データ量を管理装置に通知でき、関門交換機若しくは交換機が通信の途中でダウンして、通信終了時における総データ量を管理装置に通知できなかったとしても、少なくとも、通信の途中における総データ量を管理装置に把握させることができる。よって、関門交換機若しくは交換機がダウンした場合のリスクを考慮したデータ量の管理を行うことができる。
【0013】
また、本発明の通信システムにおいて、前記関門交換機は、前記移動機から通信接続要求を受けると、前記管理装置若しくは前記交換機から当該移動機に対応づけられている今後送信可能なデータ量を示す残データ量、または今まで送信したデータの送信済データ量および送受信可能な最大通信データ量を取得し、残データ量、または送信済データ量および最大通信データ量に基づいて、前記移動機との間の通信接続可能か否かを判断する取得手段と、前記取得手段により通信接続できないと判断されると、前記移動機との間の通信接続を行わない通信処理手段と、を備えることが好ましい。
【0014】
この発明によれば、移動機から通信接続要求を受けると、管理装置若しくは交換機から当該移動機に対応づけられている今後送信可能なデータ量を示す残データ量、または今まで送信した送受信データの送信済データ量および送受信可能な最大通信データ量を取得し、取得された残データ量、または送信済データ量および最大通信データ量に基づいて、移動機との間の通信接続が可能ではないと判断すると、移動機との間の通信接続を行わない。これにより、最初に契約した最大通信データ量を使い切ってしまった場合には、発信規制がかかるため、プリペイド契約の移動機に対する適正な通信接続処理を行うことができる。
【0015】
また、本発明の通信システムは、ネットワークと接続するための関門交換機と、当該関門交換機の下位に配置され、移動機に対する通信接続制御を行う交換機と、前記移動機により送受信されるデータ量を記憶する管理装置とを備える通信システムにおいて、前記関門交換機は、前記移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する第一計数手段と、前記第一計数手段により計数された上り方向のデータ量を前記管理装置に通知する第一通知手段と、を備え、前記交換機は、前記移動機宛に送信された下り方向のデータの下り方向のデータ量を計数する第二計数手段と、前記第二計数手段により計数された下り方向のデータ量を前記管理装置に通知する第二通知手段と、を備え、前記管理装置は、前記第一通知手段により通知された上り方向のデータ量および前記第二通知手段により通知された下り方向のデータ量を合算して、総データ量を算出する合算手段と、最大通信データ量を記憶する記憶手段と、前記合算手段により算出された総データ量および前記記憶手段に記憶されている最大通信データ量に基づいて、前記関門交換機または前記交換機に対して、移動機との間の通信を切断するよう指示する切断指示手段と、を備える。
また、本発明の通信方法は、ネットワークと接続するための関門交換機と、当該関門交換機の下位に配置され、移動機に対する通信接続制御を行う交換機と、前記移動機により送受信されるデータ量および最大通信データ量を記憶する管理装置とを備える通信システムの通信方法において、前記関門交換機が、前記移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する第一計数ステップと、前記関門交換機が、前記第一計数ステップにより計数された上り方向のデータ量を前記管理装置に通知する第一通知ステップと、前記交換機が、前記移動機宛に送信された下り方向のデータの下り方向のデータ量を計数する第二計数ステップと、前記交換機が、前記第二計数ステップにより計数された下り方向のデータ量を前記管理装置に通知する第二通知ステップと、前記管理装置が、前記第一通知ステップにより通知された上り方向のデータ量および前記第二通知ステップにより通知された下り方向のデータ量を合算して、総データ量を算出する合算ステップと、前記合算ステップにより算出された総データ量および前記最大通信データ量に基づいて、前記関門交換機または前記交換機に対して、移動機との間の通信を切断するよう指示する切断指示ステップと、を備える。
【0016】
この発明によれば、関門交換機において移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数し、計数された上り方向のデータ量を管理装置に通知し、交換機において、移動機宛に送信された下り方向のデータの下り方向のデータ量を計数し、計数された下り方向のデータ量を管理装置に通知する。そして、管理装置は、通知された上り方向のデータ量および下り方向のデータ量を合算して、総データ量を算出して、当該総データ量および最大通信データ量に基づいて、関門交換機または交換機に対して、移動機との間の通信を切断するよう指示する。これにより、上り方向のデータ、下り方向のデータの計数する場所を変えて、上り方向のデータについては、移動機より相対的に遠くの位置で計数し、下り方向のデータについては、相対的に移動機側の位置で計数することで、より正確な送信されたデータ量を把握することができる。そして、管理装置において、上り方向のデータと下り方向のデータのそれぞれのデータ量を把握することができ、移動機における全データ量を把握することができ、全体の送信されたデータ量を把握することができる。よって、より正確な総データ量に基づいた切断処理を行うことができる。
【0017】
また、本発明の通信システムは、前記関門交換機における第一通知手段および前記交換機における第二通知手段は、前記関門交換機と前記移動機との間の通信が切断されたときに、上り方向のデータ量および下り方向のデータ量を前記管理装置に送信することが好ましい。
【0018】
この発明によれば、関門交換機と移動機との間の通信が切断されたときに、上り方向のデータ量および下り方向のデータ量を管理装置に送信することにより、管理装置側においては、残通信可能データ量を把握することができる。
【0019】
また、本発明の通信システムにおいて、前記関門交換機における第一通知手段および前記交換機における第二通知手段は、前記関門交換機と前記移動機との間で通信が接続されている間における所定時間ごとに、計測された上り方向のデータ量および下り方向のデータ量を前記管理装置に送信することが好ましい。
【0020】
この発明によれば、関門交換機と移動機との間で通信が接続されている間における所定時間ごとに、計測された上り方向のデータ量および下り方向のデータ量を管理装置に送信することにより、通信の途中における総データ量を管理装置に通知でき、関門交換機若しくは交換機が通信の途中でダウンして、通信終了時における総データ量を管理装置に通知できなかったとしても、少なくとも、通信の途中における総データ量を管理装置に把握させることができる。よって、関門交換機若しくは交換機がダウンした場合のリスクを考慮したデータ量の管理を行うことができる。
【0021】
また、本発明の通信システムにおいて、前記第一通知手段は、上り方向のデータ量とともに、前記移動機との間で切断処理するための指示宛先を示す宛先情報を前記管理装置に通知し、前記管理装置における指示手段は、前記宛先情報宛で示された関門交換機に切断指示を行うことが好ましい。
【0022】
この発明によれば、関門交換機においては、上り方向のデータ量とともに、移動機との間で切断処理するための指示宛先を示す宛先情報を管理装置に通知し、管理装置においては、宛先情報宛で示された関門交換機に切断指示を行うことにより、移動機が通信に利用している関門交換機に対して正確に切断指示を行うことができる。
【0023】
なお、本発明は、上述の通信システムおよび通信方法の発明としてとらえるほか、移動機、関門交換機および管理装置の発明としてもとらえることができる。
【0024】
すなわち、本発明の移動機は、上述通信システムと通信可能に構成されている。
【0025】
また、本発明の関門交換機は、移動機に対する下り方向のデータ量を計数する交換機と通信接続するものであって、前記移動機の通信制御を行って、ネットワークとの通信接続を行う関門交換機において、移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する第一計数手段と、前記第一計数手段により計数された上り方向のデータ量と、前記交換機から通知された下り方向のデータ量とを合算して総データ量を算出する合算手段と、
【0026】
前記合算手段により算出された総データ量に基づいて、前記移動機との通信を切断する切断手段と、を備える。
【0027】
また、本発明の管理装置は、ネットワークと接続するための関門交換機、および当該関門交換機の下位に配置され、移動機に対する通信接続制御を行う交換機と通信接続する管理装置において、前記移動機の最大通信データ量を記憶する記憶手段と、前記交換機から通知された前記移動機から上り方向のデータ量および前記第二通知手段により通知された前記移動機に対する下り方向のデータ量を合算して、総データ量を算出する合算手段と、前記合算手段により算出された総データ量および前記記憶手段に記憶されている最大通信データ量に基づいて、前記関門交換機または前記交換機に対して、移動機との間の通信を切断するよう指示する切断指示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、上り方向のデータ、下り方向のデータの計数する場所を変えて、上り方向のデータについては、移動機より相対的に遠くの位置で計数し、下り方向のデータについては、相対的に移動機側の位置で計数することで、より正確な送信されたデータ量を把握することができる。そして、これらデータ量に基づいて移動機における総データ量を把握することができる。よって、より正確な総データ量に基づいた切断処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態の通信システム10のシステム構成を示すシステム構成図である。
【図2】関門交換機100の機能構成を示すブロック図である。
【図3】交換機200の機能構成を示すブロック図である。
【図4】関門交換機100の処理を示すフローチャートである。
【図5】関門交換機100aの機能を示すブロック図である。
【図6】交換機200aの機能を示すブロック図である。
【図7】サービス制御装置400aの機能を示すブロック図である。
【図8】関門交換機100a、交換機200a,およびサービス制御装置400aの処理を示すフローチャートである。
【図9】変形例である通信システム10bのシステム構成図である。
【図10】移動機300が在圏エリアを移動するときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0031】
<第一の実施形態>
図1は、本実施形態の通信システム10のシステム構成を示すシステム構成図である。図1に示されるとおり、通信システム10は、関門交換機(GGSN:Gateway GPRS Support Node)100、交換機(SGSN:Serving GPRS Support Node)200,移動機300、およびサービス制御装置(HLR:Home LocationRegister)400を含んで構成されている。関門交換機100は、他の通信事業者等が構築する外部ネットワークや、ISP(Internet Service Provider)など各種サーバ装置で構成するネットワークと接続するための装置であり、交換機200は、関門交換機100の下位に配置され、移動機300に対する通信制御を行う装置である。サービス制御装置400は、例えばHLRなどの管理装置であって、ユーザ情報などのプロファイルを記憶する部分である。
【0032】
本実施形態においては、データ通信についてプリペイドで料金支払いをしている、所謂プリペイド式の移動機300を利用した課金処理を行うものである。なお、移動機自体がプリペイド専用端末である必要はなく、プリペイド契約によりデータ通信を可能にする移動機であればよい。まず、移動機300が発信処理をすると、BS(Base Station:基地局)、RNC(Radio Network Controller:無線制御装置)等を介して交換機200および関門交換機100と通信接続し、他の通信端末若しくはネットワークを介したサイトに通信接続することができる。また、サービス制御装置400は、移動機300の位置情報、プリペイドの契約情報(最大接続時間若しくは、最大通信パケットデータ量)などを記憶しており、関門交換機100、交換機200は、その契約情報に基づいて通信接続処理を行うことができる。
【0033】
さらに詳細には、関門交換機100は、移動機300から送信したパケットデータのパケットデータ量を計数し、交換機200は、移動機300に対して送信されたパケットデータのパケットデータ量を計数する。これにより、所謂、上り方向のパケットデータについては、関門交換機100で、下り方向のパケットデータについては、交換機200で、そのパケットデータ量を計数することができ、よって、より正確な通信量を把握することができる。つまり、下り方向のパケットデータについては、より移動機300に近い地点でそのパケットデータ量を計数し、上り方向のパケットデータについては、移動機300から遠い地点でそのパケットデータ量を計数することで、通信が無事相手に届いたとみなすことができ、より正確なパケットデータ量を計数することができる。
【0034】
つぎに、このように構成された通信システム10の関門交換機100について説明する。図2は、関門交換機100の機能構成を示すブロック図である。図2に示されるとおり、関門交換機100は、通信制御部101、計数部102(第一計数手段)、演算部103(合算手段)、記憶部104、および判断部105を含んで構成されている。
【0035】
通信制御部101は、交換機200を介して移動機300から送信されたパケットデータに対する通信処理を行う部分であり、具体的には、通信処理部101a(通信処理手段)、取得部101b(取得手段)、受信部101c、送信部101d(送信手段)、および切断部101e(切断手段)を含んで構成されている。
【0036】
通信処理部101aは、移動機300に対する通信接続処理を行う部分である。
【0037】
取得部101bは、サービス制御装置400から、移動機300に対応づけられている今後送信可能なパケットデータ量を示す残パケットデータ量、または移動機300が送受信したパケットデータの送信済パケットデータ量および送受信可能な最大通信パケットデータ量を取得する部分である。
【0038】
受信部101cは、交換機200において計数されたパケットデータ量を受信する部分である。交換機200においては、所定時間ごとにパケットデータ量を送信するため、所定時間ごとにパケットデータ量を受信することになる。
【0039】
送信部101dは、演算部103において算出された総パケットデータ量をサービス制御装置400に送信する部分である。この送信部101dは、所定時間ごとに、または切断部101eによる切断処理時に、総パケットデータの送信処理を行う。
【0040】
切断部101eは、判断部105における判断に基づいて、通信処理部101aにおける通信処理を切断する部分である。
【0041】
計数部102は、通信処理部101aにおいて上り方向のパケットデータのデータ量を計数する部分である。上り方向のパケットデータは、そのパケットデータのヘッダに記述されている宛先情報および発信元情報に基づいて判断することができる。なお、発信元情報は、必ずしも必須の情報ではない。
【0042】
演算部103は、所定時間単位における、計数部102において上り方向のパケットデータのパケットデータ量と、受信部101cにより受信された下り方向のパケットデータ量とを合算することで、移動機300において送受信した総パケットデータ量を算出する部分である。この総パケットデータ量は、所定単位時間あたりに移動機300が送受信したパケットデータ量である。
【0043】
記憶部104は、移動機300が発信したときに、サービス制御装置400から取得された当該移動機300の料金管理データを記憶する部分である。この料金管理データには、当該発信前までに移動機300が送受信した送受信済みパケットデータ量および移動機300の通信事業者との間で契約したプリペイド料金に基づいた送受信できる最大通信パケットデータ量が記述されている。
【0044】
判断部105は、演算部103において算出した総パケットデータ量、記憶部104に記憶されている送受信済みパケットデータ量および最大通信パケットデータ量に基づいて、移動機300の通信処理を維持できるか否かを判断する部分である。すなわち、判断部105は、所定時間ごとに送信された総パケットデータ量の累積量と送受信済みパケットデータ量との合計値が、最大通信パケットデータ量より大きくなると、契約したパケットデータ量を超えてしまい、それ以上課金できないため、通信処理は維持できないと判断することができる。そして、切断部101eは、判断部105における判断に基づいて通信処理部101aにおける通信処理を切断する。
【0045】
なお、記憶部104は、送受信済みパケットデータ量および契約した最大通信パケットデータ量を記憶しているが、これに限るものではなく、残パケットデータ量を記憶するようにしてもよい。すなわち、残りどれぐらいのパケットデータを送受信できるか、その残量を示す残パケットデータ量を記憶するようにしてもよい。残パケットデータ量は、サービス制御装置400において予め記憶されたものでもよいし、また関門交換機100が最大通信パケットデータ量および送受信済みパケットデータ量に基づいて算出するようにしてもよい。
【0046】
つぎに、交換機200について、説明する。図3は、交換機200の機能構成を示すブロック図である。図3に示されるように、交換機200は、通信制御部201、計数部202(第二計数手段)および記憶部203を含んで構成されている。通信制御部201は、さらに、通信処理部201aおよび送信部201b(通知手段)を含んでいる。
【0047】
通信処理部201aは、移動機300からの位置登録要求や、発信処理に対して、位置登録処理や、通信接続処理を行う部分である。
【0048】
送信部201bは、計数部202において計数された下り方向のパケットデータ量を所定時間経過ごとに関門交換機100に送信する部分である。
【0049】
計数部202は、移動機300宛に送信された下り方向のパケットデータ量を計数する部分である。
【0050】
記憶部203は、交換機200において、計数部202により計数された下り方向のパケットデータ量を記憶する部分である。この記憶部203に記憶されているパケットデータ量は、送信部201bにより関門交換機100に通知されることになる。なお、図10に示されるとおり、交換機200においては、記憶部203に記憶されているパケットデータ量を引き継ぐことができる。
【0051】
交換機200は、所定の通信エリアごとに配置されており、移動機300がそのエリアをまたいだ場合、今まで計数したパケットデータ量を引き継ぐ必要がある。図10に示されるとおり、RNC(図示せず)などの通信制御に従って、移動元の交換機200は、異動先の交換機200にプロファイルを送信することで、通信処理部201aは、前回移動機300が在圏していた交換機200において計数したパケットデータ量を含んだプロファイルを取得することができる。そして、記憶部203に記憶することで、プロファイルとともにパケットデータ量の引き継ぎ処理を行うことができる。なお、一般的にはプロファイルは、移動機300のユーザ情報等を含んだものであり、一般的な通信接続に用いられている情報である。本実施形態のプロファイルは、新たに計数したパケットデータ量を含んでいる点において、一般的なプロファイルと相違する。
【0052】
このようにして構成された通信システム10における関門交換機100の処理について説明する。図4は、関門交換機100の処理を示すフローチャートである。
【0053】
まず、交換機200を介して、移動機300から発信要求を受けると、通信処理部101aにより通信接続処理が開始される(S101)。そして、取得部101bにより、発信要求に含まれている移動機300のユーザの識別情報(SIMに記憶されるIMSI)が抽出され(S102)、その識別情報をキーにして、サービス制御装置400から、対応する料金管理データが取得される(S103)。なお、ここでは、サービス制御装置400から取得しているが、交換機200も移動機300の位置登録時に料金管理データを取得しているため、関門交換機100は、当該料金管理データを交換機200から取得するようにしてもよい。
【0054】
取得部101bにおいて、取得された料金管理データに基づいて、送受信できる残パケットデータ量の有無が判断される(S104)。すなわち、料金管理データに記述されている、送受信可能な残パケットデータ量が0(若しくは所定値以下)であるか否かが判断される。ここで、パケットデータ量が0(若しくは所定値以下)であると判断されると、通信処理部101aによる通信接続処理が行われることなく、処理は終了する。また、パケットデータ量が0(若しくは所定値以下)ではないと判断されると、セッションが張られ、通信処理が通信処理部101aにより行われる(S105)。
【0055】
そして、移動機300とその通信相手との間でセッションが張られている間、移動機300から送信された上り方向のパケットデータのパケットデータ量が、計数部102により計数される(S106)。計数処理をしつつ、交換機200において計数された下り方向のパケットデータ量の通知を受けたか否かが、受信部101cにより、判断される(S107)。
【0056】
ここで、通知を受けたと判断されると、判断部105により、料金管理データに基づいて、通信接続状態を維持できるか否かが判断される(S108)。すなわち、通知を受けた交換機200における下り方向のパケットデータ量と、計数部102において計数した上り方向のパケットデータ量とを合算した総パケットデータ量は所定時間経過ごとに算出されており、その累積量が、料金管理データに記述されている送受信済みパケットデータ量および契約した最大通信パケットデータ量に基づいて算出された残パケットデータ量を超えたか否かが、判断部105により判断される。
【0057】
ここで、総パケットデータ量の累積量が残パケットデータ量を超え、通信接続を維持できないと判断されると、そのときまで送受信した総パケットデータ量の累積量がサービス制御装置400に対して通知され(S109)、切断部101eにより、通信処理部101aに対して通信切断処理が行われる(S110)。
【0058】
一方、S107において、交換機200からパケットデータ量の通知がない場合には、受信部101cにより、切断指示がISP等外部のサーバや移動機300から受信したか否かが判断される(S111)。切断指示が受信されたと判断されると、送信部101dにより、そのときまで送受信した総パケットデータ量の累積量が、サービス制御装置400に送信される(S113)。また、送信部101dにより、切断指示が受信されないと判断され、さらに前回の総パケットデータ量の通知処理をしてから所定時間経過したときには、つぎの時間単位において送受信された総パケットデータ量の累積量の送信処理がサービス制御装置400に対して行われる(S112)。
【0059】
サービス制御装置400においては、関門交換機100において算出した総パケットデータ量の累積量を所定時間経過ごとに取得することで、定期的に総パケットデータ量の最新の累積量を把握することができる。なお、上述では、総パケットデータ量の累積量を通知しているが、これに限らず、所定時間単位で計算された総パケットデータ量(累積量ではない)を逐次送信しておき、サービス制御装置400においては、受信した総パケットデータ量の逐次加算することにより、総パケットデータ量の累積量を算出するようにしてもよい。
【0060】
このようにして、関門交換機100は、交換機200から下り方向のパケットデータ量を把握し、自機で計数した上り方向のパケットデータ量と合算して、総パケットデータ量を算出することで、より正確なパケットデータ量を算出することができる。
【0061】
つぎに、第一の実施形態における通信システム10の作用効果について図2および図3を参照しながら説明する。関門交換機100においては、移動機300からの発信要求に応じて通信処理部101aが通信接続処理を行い、その後、計数部102が、移動機300が送信する上り方向のパケットデータの上り方向のパケットデータ量を計数する。一方で、交換機200においては、通信処理部201aが通信接続処理を行い、計数部202が移動機300宛に送信された下り方向のパケットデータの下り方向のパケットデータ量を計数する。そして、送信部201bは、計数部202において計数された下り方向のパケットデータ量を関門交換機100に通知する。そして、関門交換機100においては、演算部103が、計数された上り方向のパケットデータ量と、交換機200から通知された下り方向のパケットデータ量とを合算して総パケットデータ量を算出し、切断部101eは、算出された総パケットデータ量の累積量に基づいて、移動機300との間の通信を切断する。
【0062】
これにより、上り方向のパケットデータ、下り方向のパケットデータの計数する場所を変えて、上り方向のパケットデータについては、移動機300より相対的に遠くの位置で計数し、下り方向のパケットデータについては、相対的に移動機300側の位置で計数することで、より正確な送信されたパケットデータ量を把握することができる。そして、関門交換機100において、上り方向のパケットデータと下り方向のパケットデータのそれぞれのパケットデータ量を把握することができ、移動機における総パケットデータ量を把握することができ、全体の送信されたパケットデータ量を把握することができる。よって、より正確な総パケットデータ量に基づいた切断処理を行うことができる。
【0063】
また、本実施形態の関門交換機100において、送信部101dは、関門交換機100と移動機300との間の通信が切断されたときに、算出された総パケットデータ量をサービス制御装置400に送信することで、通信終了時における総パケットデータ量をサービス制御装置400に通知することができ、サービス制御装置400側においては、残通信可能データ量を把握することができる。
【0064】
また、本実施形態の関門交換機100において、送信部101dは、関門交換機100と移動機300との間で通信が接続されている間における所定時間ごとに、演算部103により算出された総パケットデータ量をサービス制御装置400に送信することで、通信の途中における総パケットデータ量をサービス制御装置400に通知でき、関門交換機100若しくは交換機200が通信の途中でダウンして、通信終了時における総パケットデータ量をサービス制御装置400に通知できなかったとしても、少なくとも、通信の途中における総パケットデータ量をサービス制御装置400に把握させることができる。よって、関門交換機100若しくは交換機200がダウンした場合のリスクを考慮したパケットデータ量の管理を行うことができる。
【0065】
また、本実施形態における関門交換機100は、通信処理部101aが移動機300から通信接続要求を受けると、取得部101bは、サービス制御装置400から当該移動機300に対応づけられている今後送信可能なパケットデータ量を示す残パケットデータ量、または今まで送信したパケットデータの送信済データ量および送受信可能な最大通信パケットデータ量を取得し、取得された残パケットデータ量、または送信済パケットデータ量および最大通信パケットデータ量に基づいて、移動機300との間の通信接続が可能であるか否かを判断する。そして、可能ではないと判断されると、通信処理部101aは移動機300との間の通信接続を行わない。これにより、最初に契約した最大通信パケットデータ量を使い切ってしまった場合には、発信規制がかかるため、プリペイド契約の移動機300に対する適正な通信接続処理を行うことができる。
【0066】
なお、本実施形態では、関門交換機100において、パケットデータの合算処理を行っているが、これに限るものではなく、交換機200においてパケットデータの合算処理を行うようにしてもよい。すなわち、関門交換機100においてカウントした上り方向のパケットデータ量を交換機200に通知し、交換機200においてカウントした下り方向のパケットデータ量と合算処理する。合算処理した総パケットデータ量は、交換機200が位置登録処理時に取得した料金管理データに反映させ、累積した総パケットデータ量を記憶しておく。そして、通信終了時や、所定時間経過ごとに、交換機200は、サービス制御装置400に、パケットデータ量を通知する。

【0067】
<第二の実施形態>
つぎに第二の実施形態の通信システム10aについて図5を用いて説明する。この実施形態の通信システム10aにおいては、関門交換機100aで上り方向のパケットデータ量を計数し、関門交換機100aで下り方向のパケットデータ量を計数する。そして、それぞれ計数した上り方向のパケットデータ量、下り方向のパケットデータ量をサービス制御装置400aに通知する。
【0068】
サービス制御装置400aにおいては、上り方向のパケットデータ量および下り方向のパケットデータ量を合算処理することで、移動機300において送受信した総パケットデータ量を算出して、それに基づいて通信状態の維持または切断を判断するようにしたものである。なお、第一の実施形態の通信システム10とは、そのシステム構成は同じであるが、上述の点で、関門交換機100a、交換機200a、およびサービス制御装置400aの機能構成は異なっている。
【0069】
まず、関門交換機100aについて説明する。図5は、関門交換機100aの機能を示すブロック図である。図5に示されるとおり、関門交換機100aは、通信制御部101x(通信処理部101a、取得部101b、送信部101d(第一通知手段)、切断部101e)、および計数部102を含んで構成されている。
【0070】
通信制御部101は、交換機200を介して移動機300から送信されたパケットデータに対する通信処理を行う部分であり、通信処理部101a、送信部101d、および切断部101eを含んで構成されている。これら各構成要素は、第一の実施形態と同様である。すなわち、通信処理部101aは、移動機300に対する通信接続処理を行う部分である。取得部101bは、サービス制御装置400aからユーザのプロファイル情報や、残パケットデータ量を取得する部分である。送信部101dは、演算部103において算出された総パケットデータ量を所定時間ごとに、または切断部101eのよる通信切断時にサービス制御装置400aに送信する部分である。切断部101eは、判断部105においける判断に基づいて、通信処理部101aにおける通信処理を切断する部分である。
【0071】
計数部102は、通信処理部101aにおいて上り方向のパケットデータ量を計数する部分である。
【0072】
図6は、交換機200aの機能を示すブロック図である。その具体的な構成は、第一の実施形態における交換機200とほぼ同じであるが、送信部201b(第二通知手段)は、関門交換機100aではなく、サービス制御装置400aに下り方向のパケットデータ量を所定時間ごとに送信する点で相違する。なお、関門交換機100aの送信部101dによる送信タイミングに合わせて、送信部201bは、パケットデータ量の通知と同期をとって行うようにすることが好ましい。同期の取り方は、時間を合わせてもよいし、同期信号を相互に送ることにより同期をとるようにしてもよい。
【0073】
図7は、サービス制御装置400aの機能を示すブロック図である。このサービス制御装置400aは、通信制御部401、演算部402、記憶部403(記憶手段)、および判断部404を含んで構成されている。
【0074】
通信制御部401は、関門交換機100aおよび交換機200aと通信を行う部分であり、受信部401aおよび切断指示部401b(切断指示手段)を含んでいる。
【0075】
受信部401aは、関門交換機100aおよび交換機200aのそれぞれから上り方向のパケットデータ量および下り方向のパケットデータ量を示す情報を受信する部分である。
【0076】
切断指示部401bは、判断部404において判断された結果に基づいて、関門交換機100aに対して移動機300の通信接続の切断指示を行う部分である。
【0077】
演算部402は、関門交換機100aおよび交換機200aのそれぞれから受信した上り方向のパケットデータ量、下り方向のパケットデータ量を合算して、総パケットデータ量を算出する部分である。
【0078】
記憶部403は、料金管理データを記憶する部分である。この料金管理データは、第一の実施形態と同じであり、移動機300において、今まで送受信したパケットデータ量、および通信事業者と契約したプリペイド払いした料金に基づく送受信可能な最大通信パケットデータ量を記憶する部分である。
【0079】
判断部404は、記憶部403に記憶されている今まで送受信したパケットデータ量、および通信事業者と契約したプリペイド払いした料金に基づく送受信可能な最大通信パケットデータ量、および演算部402により算出された総パケットデータ量の累積量に基づいて、契約したパケットデータ量を超えたか否かを判断し、超えたと判断した場合には、通信を切断するように、切断指示部401bにその旨の指示を行う。
【0080】
つぎに、このように構成された関門交換機100a、交換機200a,およびサービス制御装置400aのそれぞれの処理について説明する。図8は、関門交換機100a、交換機200a,およびサービス制御装置400aの処理を示すフローチャートである。
【0081】
移動機300からの発信処理が行われると、関門交換機100a、および交換機200aによる通信接続処理が行われる(S201、S301)。関門交換機100aおよび交換機200aにおいては、取得部101bにより移動機300のユーザの識別情報(SIMに記憶されているIMSI)が取得され(S202、S302)、サービス制御装置400aに対して、関門交換機100aのアドレス情報が送信される(S203)。
【0082】
そして、取得部101bにより、料金管理データに基づいて、残パケットデータ量があって、通信可能と判断されると、関門交換機100aおよび交換機200aのそれぞれにおいて、移動機300からの発信処理に基づいた通信処理が実行される(S204、S303)。この通信処理によりパケットデータが、移動機300に対して送受信され、関門交換機100aおよび交換機200aにおいては、計数部102および計数部202により、通信処理部101aおよび通信処理部201aにおいて送信されたパケットデータ量が計数される(S205,S304)。なお、関門交換機100aにおいては、移動機300から送信される上り方向のパケットデータ量を計数し、交換機200aにおいては、移動機300に対して送信される下り方向のパケットデータ量を計数する。上り方向、下り方向の区別は、パケットデータのヘッダに記述されている宛先情報に基づいて判断できる。
【0083】
一方、関門交換機100aにおいて、切断指示がISP等外部のサーバや移動機300から受信したか否かが判断される(S207)。切断指示が受信されたと判断されると、送信部101dにより、その時点での上り方向のパケットデータ量が、サービス制御装置400aに送信される(S208)。そして、その後切断処理が行われる(S209)。
【0084】
また、交換機200aにおいても、同様に、切断指示がISP等外部のサーバや移動機300または関門交換機100aから受信したか否かが判断される(S306)。切断指示が受信されたと判断されると、送信部201dにより、その時点での下り方向のパケットデータ量が、サービス制御装置400aに送信される(S307)。そして、その後切断処理が行われる(S308)。
【0085】
サービス制御装置400aにおいては、これら関門交換機100aおよび交換機200aから送信された上り方向のパケットデータ量および下り方向のパケットデータ量に基づいて残パケットデータ量を算出し、もしくは算出可能な状態で記憶しておき、次回の通信に備えておく。
【0086】
つぎに、関門交換機100aおよび交換機200aにより、所定時間経過ごとに、サービス制御装置400aに対して、その所定時間単位に送信したパケットデータ量が通知される(S206,S305)。すなわち、関門交換機100aおよび交換機200aにおいて、所定時間経過したか否かが、送信部101dおよび送信部201bにより判断され、所定時間経過するごとに、計数部102および計数部202において計数されたパケットデータ量が通知される。
【0087】
サービス制御装置400aにおいては、受信部401aにより、関門交換機100aおよび交換機200aから上り方向および下り方向のパケットデータ量の通知を受けると(S401)、演算部402により、それぞれのパケットデータ量は合算され、所定時間あたりに移動機300が送受信した総パケットデータ量が算出される(S402)。
【0088】
そして、算出された総パケットデータ量の累積値が、記憶部403に記憶されている、契約された最大通信パケットデータ量を超えた否かが判断され、超えたと判断された場合には、切断指示部401bにより関門交換機100aおよび交換機200aに対して切断指示が送信される(S404)。
【0089】
関門交換機100aおよび交換機200aにおいては、サービス制御装置400aから切断指示を受けると、移動機300との間の通信接続を切断する処理を行う(S209,S308)。
【0090】
このようにして、サービス制御装置400aにおいて、上り方向および下り方向のパケットデータ量の合算処理を行うことができ、その合算処理により得た総パケットデータ量の累積量が、プリペイドにより契約した最大通信パケットデータ量を超えたか否かを判断して、適切な切断処理を行うことができる。
【0091】
つぎに、第二の実施形態における通信システム10aの変形例について説明する。図9は、変形例である通信システム10bのシステム構成図であり、この通信システム10bは、関門交換機100b〜100bがある点で、上述本実施形態における通信システム10aと相違する。
【0092】
一般的に、各関門交換機における通信処理の負担を平均化するために、関門交換機は複数備えられている。そして、このような複数の関門交換機を備えている通信システムにおいて、上述の本実施形態における通信システム10aに適用しようとする場合、サービス制御装置400aは、どの関門交換機に対して切断指示をしてよいか分からない。
【0093】
よって、通信処理を実行している関門交換機は、通信接続時に、自機を示す識別情報(アドレス等)をサービス制御装置400aに通知することが必要である。
【0094】
以下、図9を用いて説明する。図9は、関門交換機100b〜100bを備えた通信システム10bのシステム構成を示している。移動機300は、例えば、関門交換機100bを利用して通信処理をしようとする。その場合、関門交換機100bは、サービス制御装置400aから料金管理データを取得する際に、自分のアドレスを通知する。サービス制御装置400aでは、移動機300が現在利用している関門交換機100bを知ることができる。よって、切断処理時においては、その通知を受けた関門交換機100bに対して切断指示を行うことができる。
【0095】
つぎに、第二の実施形態における通信システム10aの作用効果について図5から図7を参照しながら説明する。この第二の実施形態の通信システム10aにおいて、関門交換機100aにおいては、計数部102が、移動機300が送信する上り方向のパケットデータの上り方向のパケットデータ量を計数し、送信部101dが、計数された上り方向のデータ量をサービス制御装置400aに通知する。交換機200において、計数部202が、移動機300宛に送信された下り方向のパケットデータの下り方向のパケットデータ量を計数し、送信部201bが、計数された下り方向のパケットデータ量をサービス制御装置400aに通知する。そして、サービス制御装置400aにおいて、演算部103は、通知された上り方向のパケットデータ量および下り方向のパケットデータ量を合算して、総パケットデータ量を算出して、判断部105は、当該総データ量および最大通信データ量に基づいて、関門交換機100aまたは交換機200aに対して、移動機300との間の通信を切断するか否かを判断する。切断部101eは、その判断結果に従って切断処理を行うよう指示する。
【0096】
これにより、上り方向のパケットデータ、下り方向のパケットデータの計数する場所を変えて、上り方向のパケットデータについては、移動機300より相対的に遠くの位置で計数し、下り方向のパケットデータについては、相対的に移動機300側の位置で計数することで、より正確な送信されたパケットデータ量を把握することができる。そして、サービス制御装置400aにおいて、上り方向のパケットデータと下り方向のパケットデータのそれぞれのパケットデータ量を把握することができ、移動機300における総パケットデータ量を把握することができ、全体の送信されたパケットデータ量を把握することができる。よって、より正確な総パケットデータ量に基づいた切断処理を行うことができる。
【0097】
また、通信システム10aにおいて、関門交換機100aの送信部101dは、関門交換機100aと移動機300との間の通信が切断されたときに、上り方向のパケットデータ量および下り方向のパケットデータ量をサービス制御装置400aに送信することにより、サービス制御装置400a側においては、残通信可能パケットデータ量を把握することができる。
【0098】
また、通信システム10aにおいて、関門交換機100aの送信部101dは、関門交換機100aと移動機300との間で通信が接続されている間における所定時間ごとに、計測された上り方向のパケットデータ量および下り方向のパケットデータ量をサービス制御装置400aに送信することにより、通信の途中における総パケットデータ量をサービス制御装置400aに通知でき、関門交換機100a若しくは交換機200aが通信の途中でダウンして、通信終了時における総パケットデータ量をサービス制御装置400aに通知できなかったとしても、少なくとも、通信の途中における総パケットデータ量をサービス制御装置400aに把握させることができる。よって、関門交換機100a若しくは交換機200aがダウンした場合のリスクを考慮したパケットデータ量の管理を行うことができる。
【0099】
また、サービス制御装置400aは、移動機ごとに対応づけられている今後送信可能なデータ量を示す残パケットデータ量、または今まで送信したパケットデータの送信済パケットデータ量および送受信可能な最大通信パケットデータ量を記述する管理テーブルを記憶する記憶部403を備え、この管理テーブルに基づいて、判断部404が、移動機300が通信状態の維持が可能か否かを判断する。そして、判断部404は、通信状態の維持が不可であると判断すると、切断指示部401bは、移動機300との間の通信接続を切断する指示を関門交換機100aに対して与える。これにより、最初に契約した最大通信パケットデータ量を使い切ってしまった場合には、通信中であってもその通信の切断を行うため、プリペイド契約の移動機300に対する適正な通信接続処理を行うことができる。

【0100】
<変形例>
上述第一の実施形態および第二の実施形態は、主にGPRSによる通信システムを用いたものである。しかしながら、このような通信システムに限定するものではなく、パケットデータを通信することができる通信システムにおいては適宜適用可能であり、例えば、LTE(Long Term Evolution)などの新規な通信システムにおいても適用可能である。その際、関門交換機100に相当するものは、P−GW(Packet Data Network Gateway)であり、交換機200に相当するものは、MME(Mobility Management Entity)若しくはS−GW(Serving Gateway)である。また、サービス制御装置400に相当するものは、HSS(加入者情報管理サーバ:Home Subscriber System)である。なお、サービス制御装置400としてPCRF(ポリシー制御装置:Policy and Charging Rule Function)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10…通信システム、10a…通信システム、10b…通信システム、100…関門交換機、100a…関門交換機、101…通信制御部、101a…通信処理部、101b…取得部、101c…受信部、101d…送信部、101e…切断部、101x…通信制御部、102…計数部、103…演算部、104…記憶部、105…判断部、200…交換機、200a…交換機、201…通信制御部、201a…通信処理部、201b…送信部、202…計数部、203…記憶部、300…移動機、400…サービス制御装置、400a…サービス制御装置、401…通信制御部、401a…受信部、401b…切断指示部、402…演算部、403…記憶部、404…判断部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークと接続するための関門交換機と、当該関門交換機の下位に配置され、移動機に対する通信接続制御を行う交換機とを備える通信システムにおいて、
前記関門交換機は、
前記移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する第一計数手段と、
前記第一計数手段により計数された上り方向のデータ量と、前記交換機から通知された下り方向のデータ量とを合算して総データ量を算出する合算手段と、
前記合算手段により算出された総データ量に基づいて、前記移動機との通信を切断する切断手段と、
を備え、
前記交換機は、
前記移動機宛に送信された下り方向のデータの下り方向のデータ量を計数する第二計数手段と、
前記第二計数手段により計数された下り方向のデータ量を前記関門交換機に通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記関門交換機は、前記関門交換機と前記移動機との間の通信が切断されたときに、前記合算手段により算出された総データ量を管理装置に送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記関門交換機における前記送信手段は、前記関門交換機と前記移動機との間で通信が接続されている間における所定時間ごとに、前記合算手段により算出された総データ量を管理装置に送信することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記関門交換機は、
前記移動機から通信接続要求を受けると、前記管理装置若しくは前記交換機から当該移動機に対応づけられている今後送信可能なデータ量を示す残データ量、または今まで送信したデータの送信済データ量および送受信可能な最大通信データ量を取得し、残データ量、または送信済データ量および最大通信データ量に基づいて、前記移動機との間の通信接続可能か否かを判断する取得手段と、
前記取得手段により通信接続できないと判断されると、前記移動機との間の通信接続を行わない通信処理手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項5】
ネットワークと接続するための関門交換機と、当該関門交換機の下位に配置され、移動機に対する通信接続制御を行う交換機と、前記移動機により送受信されるデータ量を記憶する管理装置とを備える通信システムにおいて、
前記関門交換機は、
前記移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する第一計数手段と、
前記第一計数手段により計数された上り方向のデータ量を前記管理装置に通知する第一通知手段と、
を備え、
前記交換機は、
前記移動機宛に送信された下り方向のデータの下り方向のデータ量を計数する第二計数手段と、
前記第二計数手段により計数された下り方向のデータ量を前記管理装置に通知する第二通知手段と、
を備え、
前記管理装置は、
前記第一通知手段により通知された上り方向のデータ量および前記第二通知手段により通知された下り方向のデータ量を合算して、総データ量を算出する合算手段と、
最大通信データ量を記憶する記憶手段と、
前記合算手段により算出された総データ量および前記記憶手段に記憶されている最大通信データ量に基づいて、前記関門交換機または前記交換機に対して、移動機との間の通信を切断するよう指示する切断指示手段と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記関門交換機における第一通知手段および前記交換機における第二通知手段は、前記関門交換機と前記移動機との間の通信が切断されたときに、上り方向のデータ量および下り方向のデータ量を前記管理装置に送信することを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記関門交換機における第一通知手段および前記交換機における第二通知手段は、前記関門交換機と前記移動機との間で通信が接続されている間における所定時間ごとに、計測された上り方向のデータ量および下り方向のデータ量を前記管理装置に送信することを特徴とする請求項5または6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記第一通知手段は、上り方向のデータ量とともに、前記移動機との間で切断処理するための指示宛先を示す宛先情報を前記管理装置に通知し、
前記管理装置における前記切断指示手段は、前記宛先情報宛で示された関門交換機に切断指示を行うことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項9】
ネットワークと接続するための関門交換機と、当該関門交換機の下位に配置され、移動機に対する通信接続制御を行う交換機とを備える通信システムにおいて、
前記関門交換機は、
前記移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する第一計数手段と、
前記第一計数手段により計数された上り方向のデータ量を前記交換機に通知する通知手段と、
を備え、
前記交換機は、
前記移動機宛に送信された下り方向のデータの下り方向のデータ量を計数する第二計数手段と、
前記第一計数手段により計数された下り方向のデータ量と、前記関門交換機から通知された上り方向のデータ量とを合算して総データ量を算出する合算手段と、
前記合算手段により算出された総データ量に基づいて、前記移動機との通信を切断する切断手段と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項10】
ネットワークと接続するための関門交換機と、当該関門交換機の下位に配置され、移動機に対する通信接続制御を行う交換機とを備える通信システムの通信方法において、
前記関門交換機が、前記移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する第一計数ステップと、
前記交換機が、前記移動機宛に送信された下り方向のデータの下り方向のデータ量を計数する第二計数ステップと、
前記交換機が、前記第二計数ステップにより計数された下り方向のデータ量を前記関門交換機に通知する通知ステップと、
前記関門交換機が、前記第一計数ステップにより計数された上り方向のデータ量と、前記交換機から通知された下り方向のデータ量とを合算して総データ量を算出する合算ステップと、
前記関門交換機が、前記合算ステップにより算出された総データ量に基づいて、前記移動機との通信を切断する切断ステップと、
を備える通信方法。
【請求項11】
ネットワークと接続するための関門交換機と、当該関門交換機の下位に配置され、移動機に対する通信接続制御を行う交換機と、前記移動機により送受信されるデータ量および最大通信データ量を記憶する管理装置とを備える通信システムの通信方法において、
前記関門交換機が、前記移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する第一計数ステップと、
前記関門交換機が、前記第一計数ステップにより計数された上り方向のデータ量を前記管理装置に通知する第一通知ステップと、
前記交換機が、前記移動機宛に送信された下り方向のデータの下り方向のデータ量を計数する第二計数ステップと、
前記交換機が、前記第二計数ステップにより計数された下り方向のデータ量を前記管理装置に通知する第二通知ステップと、
前記管理装置が、前記第一通知ステップにより通知された上り方向のデータ量および前記第二通知ステップにより通知された下り方向のデータ量を合算して、総データ量を算出する合算ステップと、
前記合算ステップにより算出された総データ量および前記最大通信データ量に基づいて、前記関門交換機または前記交換機に対して、移動機との間の通信を切断するよう指示する切断指示ステップと、
を備える通信方法。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項における通信システムと通信可能な移動機。
【請求項13】
移動機に対する下り方向のデータ量を計数する交換機と通信接続するものであって、前記移動機の通信制御を行って、ネットワークとの通信接続を行う関門交換機において、
移動機が送信する上り方向のデータの上り方向のデータ量を計数する第一計数手段と、
前記第一計数手段により計数された上り方向のデータ量と、前記交換機から通知された下り方向のデータ量とを合算して総データ量を算出する合算手段と、
前記合算手段により算出された総データ量に基づいて、前記移動機との通信を切断する切断手段と、
を備える関門交換機。
【請求項14】
ネットワークと接続するための関門交換機、および当該関門交換機の下位に配置され、移動機に対する通信接続制御を行う交換機と通信接続する管理装置において、
前記移動機の最大通信データ量を記憶する記憶手段と、
前記交換機から通知された前記移動機から上り方向のデータ量および前記第二通知手段により通知された前記移動機に対する下り方向のデータ量を合算して、総データ量を算出する合算手段と、
前記合算手段により算出された総データ量および前記記憶手段に記憶されている最大通信データ量に基づいて、前記関門交換機または前記交換機に対して、移動機との間の通信を切断するよう指示する切断指示手段と、
を備える管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−138701(P2012−138701A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288776(P2010−288776)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】