説明

通信システム、送信装置、受信装置、送信方法、受信方法、送信プログラム、及び受信プログラム

【課題】誤りを減少し、また、再送処理による伝送効率の低下を軽減する。
【解決手段】送信装置と、前記送信装置からの信号を受信する受信装置とを備える通信システムにおいて、前記送信装置は、前記受信装置へ送信する複数の異なる符号ビット系列を重畳する重畳情報生成部と、前記重畳情報生成部から出力された系列を変調した信号を送信する送信部と、を備え、前記受信装置は、前記送信装置が送信した信号から、前記送信装置において重畳された複数の符号ビット系列を復号する復号部を備える。重畳情報生成部は、排他的論理和演算により、前記複数の異なる符号ビット系列を重畳する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、送信装置、受信装置、送信方法、受信方法、送信プログラム、及び受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信システムの伝送速度が高くなるとともに、誤り制御技術も高度化している。その誤り制御技術として、自動再送要求(ARQ:Automatic Retaransmission reQuest)がある。ARQでは、ビット誤りが無い場合には肯定応答(ACKnowledgement)、ビット誤りがある場合には否定応答(NACK:Negative ACK)を送信装置に通知し、それら応答信号を受信した送信装置は、ACKの場合には次のデータ、NACKの場合には、再送として同一のデータを送信する。さらに、最近ではハイブリッドARQ(HARQ:Hybrid ARQ)が採用されている。HARQは、前のビット誤りがあったフレームの受信信号や受信符号語と新しく送信された再送信号を合成することで再送の利得を大きくすることが可能となっている。例えば、ビット誤りとなった伝送機会の受信信号を保存しておき、再送信号の受信信号と最大比合成することで、等価的に受信電力を高くする時間的なダイバーシチを得るチェイス合成法(CC:Chase Combining)や、誤り訂正符号化を前提に、ビット誤りとなった伝送機会の受信符号ビット(符号ビットの信頼性を表す対数尤度比(LLR:Log Likehihood Ratio)がよく使用される。)を保存しておき、ビット誤りとなった伝送機会で送信していない符号ビットの冗長ビットを再送し、受信装置で保存しておいた受信符号ビットと組み合わせて等価的に符号化率を低くすることで誤り訂正能力を高める増加的冗長法(IR:Incremental Redundancy)が主に検討されている。
【0003】
図22、23に、それぞれ、従来技術に係る送信装置、受信装置の構成を示す概略ブロック図を示す。
図22の送信装置x1では、送信したい情報ビット系列は、CRC(Cyclic Redundancy Check)部x101において、誤り検出を行うために必要なビットが付加され、符号化部x102により誤り訂正符号化されて、符号ビット系列となる。変調部x103は、符号ビット系列をBPSK(Binary Phase Shift Keying、二位相偏移変調)やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying、4位相偏移変調)などの変調方式を用いて変調信号を生成する。無線部x104は、変調信号をD/A(Digital to Analog)変換した後、無線周波数にアップコンバートし、送信アンテナx105を介して受信装置へ送信する。
図23の受信装置でy1は、送信装置x1から送信された信号を受信アンテナy101で受信し、無線部y102は、受信信号をダウンコンバートしてベースバンド信号を生成し、A/D(Analog to Digital)変換する。復調部y103では、送信装置x1での変調方式に基づき、A/D変換後のデジタル信号を復調する。復号部y104では、復調後の受信信号系列から送信装置x1の符号化方法に応じた誤り訂正復号を行い、復号ビット系列を得て、得られた復号ビットが正しいかを検査するために付加されたCRC符号から誤り検出を行う。
【0004】
先に述べたARQが用いられるシステムでは、復号ビットが正しいと判断された場合には受信装置から肯定応答(ACK)が送信装置にフィードバックされ、復号ビットに誤りがあると判断された場合には否定応答(NACK)がフィードバックされる。また、先に述べたように、HARQを用いるシステムの受信装置では、先の受信信号と再送信号を合成するために、現在の伝送機会で受信された受信信号を保持しておくことが必要となる。
このように、再送を行うシステムでは、復号ビットに誤りが生じた場合でも、次の伝送機会で同じ情報ビット系列を再送することにより、正しい復号ビットを得る可能性が高くなり、伝送品質を向上させることができる。
【0005】
また、複数の受信装置宛に同じ信号を伝送するブロードキャスト通信において、誤った送信ビット系列を再送する方法として、ネットワークコーディングを用いて複数の受信装置に対する再送信号をブロードキャストする方法が提案されている(非特許文献1)。
図24、図25にその一例を示す。図24では、送信装置Xが情報ビット列d(1)〜d(4)を送信し、受信装置Y、Zが復号ビット誤りを検出する。図25は、受信装置Y、Zにおける復号ビット誤りの検出結果である。図25は、受信装置Yではd(1)、受信装置Zではd(3)の復号結果に誤りが含まれることを示す。この場合、図24の送信装置Xでは、受信装置Yに対して情報ビット列d(1)と、受信装置Zに対してd(3)を同時に再送するために、ネットワークコーディングを用いて多重する。具体的には、d(1)とd(3)の排他的論理和(XOR:Exclusive OR)を算出し、再送のための送信データ信号Sとする。この信号Sは、次式(1)で表わされる。
【0006】
【数1】

【0007】
送信装置Xは受信装置Yと受信装置Zに対して、同じ信号Sを送信する。受信装置Yでは、受信信号を正しく復号した結果(S)と過去に正しく復号したd(3)との排他的論理和を算出し、d(1)を得ることができる。この処理は、次式(2)で表わされる。
【0008】
【数2】

【0009】
同様に、受信装置2では、復号されたSと過去に正しく復号したd(1)との排他的論理和を算出し、d(3)を得ることができる。
以上のように、異なる受信装置宛の異なる再送信号をネットワークコーディングによって重畳してブロードキャストすることで、複数の受信装置を対象とした場合の再送に必要な無線リソースの量を減らすことができ、効率の良い再送を実現することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Dong Nguyen, Tuan Tuan, Thinh Nguyen, Bella Bose, “Wireless Broadcast Using Network Coding” IEEE Trans., vol.58, No.2, pp.914−925, Feb. 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来技術では、送信装置は、受信装置で誤りを検出した信号すべてを再送しなければならないため、再送により伝送効率が低下するという欠点があった。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、誤りを減少することができ、また、再送による伝送効率の低下を軽減することができる通信システム、送信装置、受信装置、送信方法、受信方法、送信プログラム、及び受信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明は、送信装置と、前記送信装置からの信号を受信する受信装置とを備える通信システムにおいて、前記送信装置は、前記受信装置へ送信する複数の異なる符号ビット系列を重畳する重畳情報生成部と、前記重畳情報生成部から出力された系列を変調した信号を送信する送信部と、を備え、前記受信装置は、前記送信装置が送信した信号から、前記送信装置において重畳された複数の符号ビット系列を復号する復号部を備えることを特徴とする通信システムである。
上記構成によると、前記送信装置は、前記受信装置へ送信する複数の異なる符号ビット系列を重畳した信号を送信し、前記受信装置は、前記送信装置が送信した信号から、前記送信装置において重畳された複数の符号ビット系列を復号するので、例えば、送信装置が、ある情報と、以前に前記受信装置へ向けて送信したこの情報を異なる符号ビット系列として重畳して送信し、受信装置が、その送信信号を復号して情報を取得することができる。これにより、同一情報を冗長して送信することができるので、そのダイバーシチ効果によって誤りを減少することができ、また、再送による伝送効率の低下を軽減することができる。
【0014】
(2)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記重畳情報生成部は、排他的論理和演算により、前記複数の異なる符号ビット系列を重畳することを特徴とする。
上記構成によると、伝送効率を下げることなく、複数の符号ビット系列を重畳して送信することができる。
【0015】
(3)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記複数の異なる符号ビット系列は、それぞれ符号構成が異なる符号器において符号化された系列であることを特徴とする。
【0016】
(4)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記符号器各々は、それぞれ異なる情報ビット系列を符号化して、前記符号ビット系列を生成することを特徴とする。
【0017】
(5)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記異なる情報ビット系列のうち、少なくともひとつの系列は、以前に前記受信装置へ向けて送信した情報ビット系列であることを特徴とする。
上記構成によると、前記異なる情報ビット系列のうち、少なくともひとつの系列は、以前に前記受信装置へ向けて送信した情報ビット系列であるので、例えば、送信装置が、ある情報と、以前に前記受信装置へ向けて送信したこの情報を異なる符号ビット系列として重畳して送信し、受信装置が、その送信信号を復号して情報を取得することができる。これにより、同一系列を冗長して送信することができるので、そのダイバーシチ効果によって誤りを減少することができ、また、再送による伝送効率の低下を軽減することができる。
【0018】
(6)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記送信装置は、他の送信装置から受信した信号を前記受信装置に送信し、前記異なる情報ビット系列のうち、少なくともひとつの系列は、前記他の送信装置から受信した信号を復調した情報ビット系列であることを特徴とする。
上記構成によると、前記異なる情報ビット系列のうち、少なくともひとつの系列は、前記他の送信装置から受信した信号を復調した情報ビット系列であるので、前記送信装置は、誤りを減少し、また、再送による伝送効率の低下を軽減しつつ、前記他の送信装置からの信号を受信装置に中継することができる。
【0019】
(7)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記重畳情報生成部は、前記受信装置における受信状況に応じて、符号ビット系列を重畳することを停止することを特徴とする。
上記構成によると、前記送信装置は、前記受信装置における受信状況に応じて、符号ビット系列を重畳することを停止するので、例えば、受信品質が高い受信装置では、通信の伝送効率を増加させることができ、一方、受信品質が低い受信装置では、符号ビット系列を重畳した通信によってダイバーシチ効果を得て、誤りの減少、再送回数の低減を実現することができる。
【0020】
(8)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記受信装置は、前記送信装置が以前に送信した情報ビット系列の復号結果を保持する情報保持部と、前記情報ビット系列の復号結果に基づいて前記情報ビット系列が重畳された情報の信号の復号方式を切り替える切替部と、を備えることを特徴とする。
【0021】
(9)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記切替部は、前記情報ビット系列の復号結果に誤りが含まれるか否かに応じて復号方式を切り替えることを特徴とする。
【0022】
(10)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記重畳情報生成部は、排他的論理和演算により、前記複数の異なる符号ビット系列を重畳し、前記切替部は、前記情報ビット系列の復号結果に誤りが含まれない場合に、復号した情報ビット系列から前記符号ビット系列を生成し、前記生成した符号ビット系列を利用して、生成した符号ビット系列と重畳された符号ビット系列を復号する復号方式を選択することを特徴とする。
【0023】
(11)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記重畳情報生成部は、排他的論理和演算により、前記複数の異なる符号ビット系列を重畳し、前記切替部は、前記情報ビット系列の復号結果に誤りが含まれる場合には、前記情報ビット系列に関する事前情報を算出し、前記算出した事前情報と、前記情報ビット系列の符号ビット系列が重畳された信号を受信した結果より得られる対数尤度比と、に基づいて、前記情報ビット系列と、前記情報ビット系列と重畳された情報ビット系列と、を復号する復号方式を選択することを特徴とする。
上記構成によると、受信装置は、前記算出した事前情報と、前記情報ビット系列の符号ビット系列が重畳された信号を受信した結果より得られる対数尤度比と、に基づいて、前記情報ビット系列と、前記情報ビット系列と重畳された情報ビット系列と、を復号するので、誤りを減少することができる。
【0024】
(12)また、本発明は、受信装置へ信号を送信する送信装置において、前記受信装置へ送信する複数の異なる符号ビット系列を重畳する重畳情報生成部と、前記重畳情報生成部から出力された系列を変調した信号を送信する送信部と、を備えることを特徴とする送信装置である。
【0025】
(13)また、本発明は、送信装置からの信号を受信する受信装置において、前記送信装置が送信した信号から、前記送信装置において重畳された複数の符号ビット系列を復号する復号部と、前記復号部での復号した情報ビット系列の復号結果を保持する情報保持部と、前記情報ビット系列の復号結果に基づいて前記情報ビット系列が重畳された情報の信号の復号方式を切り替える切替部と、を備えることを特徴とする受信装置である。
【0026】
(14)また、本発明は、受信装置へ信号を送信する送信装置における送信方法において、重畳情報生成部が、前記受信装置へ送信する複数の異なる符号ビット系列を重畳する大1の過程と、送信部が、前記第1の過程にて出力された系列を変調した信号を送信する第2の過程と、を有することを特徴とする送信方法である。
【0027】
(15)また、本発明は、送信装置からの信号を受信する受信装置における受信方法において、復号部が、前記送信装置が送信した信号から、前記送信装置において重畳された複数の符号ビット系列を復号する第1の過程と、前記第1の過程にて復号した情報ビット系列の復号結果を保持する第2の過程と、前記情報ビット系列の復号結果に基づいて前記情報ビット系列が重畳された情報の信号の復号方式を切り替える第3の過程と、を有するを特徴とする受信方法である。
【0028】
(16)また、本発明は、受信装置へ信号を送信する送信装置のコンピュータを、前記受信装置へ送信する複数の異なる符号ビット系列を重畳する重畳情報生成手段、前記重畳情報生成手段にて出力された系列を変調した信号を送信する送信手段、として機能させる送信プログラムである。
【0029】
(17)また、本発明は、送信装置からの信号を受信する受信装置のコンピュータを、前記送信装置が送信した信号から、前記送信装置において重畳された複数の符号ビット系列を復号する復号手段、前記復号手段にて復号した情報ビット系列の復号結果を保持する情報保持部と、前記情報ビット系列の復号結果に基づいて前記情報ビット系列が重畳された情報の信号の復号方式を切り替える切替手段、として機能させる受信プログラムである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、通信システムは、誤りを減少することができ、また、再送による伝送効率の低下を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る通信システムの概念図である。
【図2】本実施形態に係る送信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】本実施形態に係る重畳ビット生成部の回路構成を示す概略図である。
【図4】本実施形態に係る重畳ビット列の一例を示す概略図である。
【図5】本実施形態に係る受信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】本実施形態に係る復号部の構成を示す概略ブロック図である。
【図7】この発明の第2の実施形態に係る送信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図8】本実施形態に係る重畳ビット列の一例を示す概略図である。
【図9】本実施形態に係る受信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る誤り検出結果テーブルの一例を示す概略図である。
【図11】本実施形態に係る受信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図12】本実施形態に係る復号部の構成を示す概略ブロック図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る通信システムの概念図である。
【図14】本実施形態に係る送信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る重畳ビット列と誤り検出結果の一例を示す概略図である。
【図16】本実施形態に係る再送パケットの一例を示す概略図である。
【図17】本実施形態に係る再送パケットの別の一例を示す概略図である。
【図18】本発明の第6の実施形態に係る通信システムの概念図である。
【図19】本実施形態に係る送信タイミングの一例を示す概略図である。
【図20】本実施形態に係る送信タイミングの別の一例を示す概略図である。
【図21】本実施形態に係るリレー局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図22】従来技術に係る送信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図23】従来技術に係る受信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図24】従来技術に係るネットワークコーディングを示す概略図である。
【図25】従来技術に係る誤り検出結果を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る通信システムの概念図である。この図は、送信装置a1(基地局装置)が信号を送信し、受信装置b1(移動局装置)がその信号を受信していることを示す。ここで、送信装置a1は、1つの受信装置b1宛の複数の情報ビット系列(ビット系列とは、0と1で表される情報の並びであり、ビット列とも呼ばれる。情報ビット系列とは受信装置に送信したい情報の並びである。)を、ネットワークコーディングを適用して重畳し、重畳したビット系列を送信することにより複数の情報ビット系列を同時に送信する。ここで、重畳される情報ビット系列は、以前に受信装置b1宛に送信した系列と、新たに受信装置b1宛に送信する系列である。また、受信装置b1は、以前に送信された系列の重畳ビットの復号結果に基づいて、受信信号に対する次の重畳ビットの復号処理を切り替える。
【0033】
<送信装置a1について>
図2は、本実施形態に係る送信装置a1の構成を示す概略ブロック図である。この図において、送信装置a1は、CRC(Cyclic Redundancy Check;巡回冗長検査符号)部a101、情報保持部a102、重畳ビット生成部C1、変調部a103、無線部a104、及び送信アンテナa105を含んで構成される。また、重畳ビット生成部C1は、符号化部c111、c112、及び排他的論理和演算部c113を含んで構成される。
【0034】
CRC部a101は、入力された情報ビット系列(第1の情報系列)に対して、誤り検出を行うためのCRC符号を付加し、符号化部a111及び情報保持部a102に出力する。以下、情報ビット系列の1ビットにCRC部a101がCRC符号を付加したビット列をd(t)で表わす。ここで、tは、1回の送信処理を行う単位時間(送信単位時間という)を1とした送信タイミングの時刻を表わす。ここでは、CRC部a101から2つの同じ信号を符号化部a111及び情報保持部a102に出力する構成となっているが、CRC部a101からの出力は1つの信号とし、CRC部a101の出力を複製する情報系列複製部を設ける構成としてもよい。
情報保持部a102は、CRC部a101から入力された情報ビット列d(t)を、送信単位時間保持し、次の送信タイミングに符号化部c112に出力する。つまり、符号化部a111に時刻tの情報ビット列d(t)が入力されるとき、符号化部a112には時刻t−1の情報ビット列d(t−1)が入力される。なお、ここでは情報ビット列に対してインターリーブを行っていないが、情報ビット列をインターリーブし、符号化部へ入力してもよい。
【0035】
符号化部c111(第1の符号化部)、c112(第2の符号化部)は、それぞれ、CRC部a101、情報保持部a102から入力された情報ビット列を誤り訂正符号で符号化し、符号化した符号ビット列を排他的論理演算部c113に出力する。なお、符号化部c111、c112で用いられる誤り訂正符号としては、ターボ符号、低密度パリティチェック(LDPC:Low Density Parity Check)符号または畳み込み符号などを用いることが好ましいが、これらに限られない。
排他的論理演算部c113は、符号化部c111、c112から入力された符号ビット系列の排他的論理和を演算し、2つの符号ビット系列を重畳する。この重畳処理により、受信装置に向けて既に一度送信されている情報ビット系列d(t−1)と新たに送信する情報ビット系列d(t)が重畳されることとなる。
なお、符号化部c111、c112及び排他的論理演算部c113(重畳ビット生成部C1)の回路構成については、後述する。
【0036】
変調部a103は、排他的論理演算部c113から入力された重畳ビット列S(t)を変調して変調信号を生成し、無線部a104に出力する。
無線部a104は、変調部a103から入力された変調信号をD/A(Digital to Analog)変換した後、無線周波数にアップコンバートし、送信アンテナa105を介して受信装置b1へ送信する。
以上のように、送信装置a1は、新たに送信する情報ビット系列に対して、あらかじめ保持しておいた一送信単位時間前に送信を行った情報ビット系列を排他的論理和演算により重畳して送信する。
【0037】
<重畳ビット生成部C1について>
図3は、本実施形態に係る重畳ビット生成部C1(重畳情報生成部)の回路構成を示す概略図である。この図において、重畳ビット生成部C1は、再帰型組織畳み込み(RSC:Recursive Systematic Convolutional)符号を用いた符号化を行って、その符号ビット列を重畳する。また、この図において、符号化部c111は、3個のシフトレジスタD1〜D3、及び3個の加算器E11〜E13を含んで構成される。また、符号化部c112は、3個のシフトレジスタD1〜D3、及び2個の加算器E21〜E23を含んで構成される。また、排他的論理和演算部c113は、3個の加算器E31〜E33を含んで構成される。なお、符号化部c111、c112は、符号化率が1/3、拘束長が4であり、1ビットの情報ビットを入力すると3ビットの符号ビットを出力する。
シフトレジスタD1〜D6各々は、入力されるビットに対して、一時点前に入力されたビットを出力する。
加算器E11〜E33は、入力されたビットに対して排他的論理和演算を行う。
【0038】
図3において、符号化部c111では、加算器E1が出力するビットを「8」、シフトレジスタD1、D2、D3が出力するビットをそれぞれ、「4」、「2」、「1」で表わす。符号化部c111の出力は、この数字を用いて、出力するビットを8進数で表わしたものである。ただし、符号化部c111に入力される情報ビット列d(t)(入力ビットという)は「15」で表わされる。
例えば、加算器E12の出力は、加算器E12で排他的論理和をとるビットが表わす「8」、「4」、「2」、「1」を加算した数字「17」(=1+2+4+8)で表わされる。図3において、この出力は、出力するビットを示す「17」と入力ビット「15」を用いて、「17/15」で表わされる。なお、符号化部c112についても同様の記載をする。
【0039】
上記の数字での表記を用いて、符号化部c111の出力は、15/15、13/15、17/15で表わされる(出力されるビットを、それぞれ、c11(t)、c12(t)、c13(t)という)。また、符号化部c112の出力は、02/15、07/15、15/15で表わされる(出力されるビットを、それぞれ、c21(t−1)、c22(t−1)、c23(t−1)という)。
この数字が示すように、符号化部c111と符号化部c112では符号化率は同じだが、異なる符号構成の符号化を行う。なお、本発明は図3の構成に限定されず、他の符号構成であってもよい。
【0040】
加算器E31〜E33は、それぞれ、c11(t)とc21(t−1)の排他的論理和演算、c12(t)とc22(t−1)の排他的論理和演算、c13(t)とc23(t−1)の排他的論理和演算を行う。
また、排他的論理和演算部c113は、加算器E31〜E33での演算結果を並直列変換して出力する。具体的には、「+」とは排他的論理和として、c11(t)+c21(t−1)、c12(t)+c22(t−1)、c13(t)+c23(t−1)を順に出力する。すなわち、重畳ビット生成部C1では、元の情報ビット系列での並びが前後するビット列が重畳される。このように出力されたビット列のうち、時刻tの送信単位時間に送信されるビット列を重畳ビット列S(t)といい、この重畳ビット列S(t)を次式(3)で表わす(図2参照)。
【0041】
【数3】

【0042】
ここで、C(t)は符号化部c111の出力を、C(t)は符号化部c112の出力をそれぞれ示す。
【0043】
図4は、本実施形態に係る重畳ビット列の一例を示す概略図である。この図において、横軸は時刻tを示す。図4に示すように、本実施の形態では、新たに送信する系列と、一送信単位時間前に送信された系列が重畳されて送信される。但し、同じ情報ビット系列を最初に送信する際と、その一送信単位時間後に送信する際には、異なる符号器で符号化が行われることとなる。また、初回(時刻t=1)のビット系列は1個前の送信単位時間で送信したビット系列がないため、C(1)のみを送信することを示す。
【0044】
<受信装置b1について>
図5は、本実施形態に係る受信装置b1の構成を示す概略ブロック図である。この図において、受信装置b1は、受信アンテナb101、無線部b102、復調LLR(Log Likelihood Ratio;対数尤度比)算出部b103、及び復号部F1を含んで構成される。
無線部b102は、受信アンテナb101を介して受信した送信装置a1からの送信信号を、ベースバンド帯域にダウンコンバートし、A/D(Analog to Digital)変換する。無線部b102は、A/D変換した信号を、復調LLR算出部b103に出力する。
復調LLR算出部b103は、無線部b102から入力された信号をビット単位に分解し、ビット毎に信頼性を示すLLRを算出する。具体的に、復調LLR算出部b103は、信号と0、1のユークリッド距離を計算することによりLLRを算出する。ビット分解した受信信号s’(n)は、次式(4)で表わされる。
【0045】
【数4】

【0046】
ここで、nは符号化ビットの番号(1≦n≦N、Nは符号化ビット数)を示す。復調LLR算出部b103は、算出したLLRを復号部F1に出力する。
復号部F1は、復調LLR算出部b103から入力されたLLRを復号し、復号ビット系列を出力する。復号部F1の詳細については、後述する。
【0047】
<復号部F1について>
図6は、本実施形態に係る復号部F1の構成を示す概略ブロック図である。この図において、復号部F1は、切替部f101、LLR反転部f102、MAP(Maximum A Posteriori probability;最大事後確率)復号部f103、f104、CRC検出部f105、情報保持部f106、切替部f107、符号化部f108、情報保持部f109、及び事前確率算出部f110を含んで構成される。
【0048】
切替部f101は、情報保持部f106から入力されたCRC検出結果に基づいて、復調LLR算出部b103から入力されたLLRをLLR反転部f102又はMAP復号部f104に出力する。ここで、情報保持部f106から入力されるCRC検出結果は、一受信単位時間前(受信単位時間は送信単位時間と同期した時間である)で受信した信号のCRC検出結果(前回CRC検出結果という)である。
具体的には、切替部f101は、前回CRC検出結果が誤りがないことを示す場合、LLRをLLR反転部f102に出力する。一方、切替部f101は、前回CRC検出結果が誤りがあることを示す場合、LLRをMAP復号部f104に出力する。なお、初回(t=1)のLLR(S(1)の受信信号をビット分解したS’(n)に対応するLLR)については、切替部f101はLLR反転部f102に出力する。
【0049】
LLR反転部b103は、符号化部f108から入力された符号ビット列を用いて、切替部f101から入力されたLLRを反転する。ここで、符号化部f108から入力される符号ビット列は、一受信単位時間前の信号を復号し、復号した情報ビットを送信装置a1の符号化部c112と同じ処理で生成した符号ビットである。具体的には、c21(t−1)、c22(t−1)、c23(t−1)に対応するビット列である(符号ビット列C(t−1)という)。
具体的に、LLR反転部b103は、C(t−1)のうち0であるビットに対応するLLRを、そのままの値とする。一方、C(t−1)のうち1であるビットに対応するLLRを、LLRの符号を反転させた−L(s’(n))とする。つまり、C(t)に対応するLLRを抽出する。なお、初回(t=1)のLLRについては、そのままの値とする。すなわち、LLR反転部b103は、一受信単位時間前の復号結果におけるLLRを基に、重畳された符号ビット列C’(t)に対するLLRを取得し、MAP復号部f103に出力する。
【0050】
MAP復号部f103は、LLR反転部f102から入力されたLLRに対し、MAP推定により、送信情報ビット列d(t)に対応する情報ビット列d’(t)を復号する(MAP復号という)。このMAP推定とは、送信されたビットが0であるか1であるかの確率を表す事前情報と受信された信号から送信信号の発生確率を考慮し、送信された確率の最も高い送信信号を推定するものである。具体的に、MAP復号部f103は、送信装置a1の符号化部c111(15/15、13/15、17/15)に対応した状態数8の状態遷移を考慮したMAP推定により、事後確率が最大となる情報ビットを情報ビット列d’(t)とする。
なお、MAP復号には、BCJR(Bahl,Cocke,Jelinek,Raviv)アルゴリズムを用いてもよい。このアルゴリズムによって演算量を低減し復号を高速に行うことができる。また、復号部F1でMAP復号を用いる理由は、後述するように、時刻t−1の情報ビット列d’(t−1)の復号結果に誤りがあった場合に、その復号結果を次の時刻tの事前情報として使用するため、LLRを出力する構成が好ましいからである。ただし、MAP復号部f103には事前情報を入力しないため、MAP復号部f103はMAP復号を行うものに限られず、SOVA(Soft Output Viterbi Algorithm)を用いた最尤系列(ML:Maximum Likelihood)推定を用いて復号を行ってもよい。
MAP復号部f103は、復号した情報ビット列d’(t)をCRC検出部f105に出力する。
なお、ここでは、事前に正しく復号されたC(t−1)の値に基づいて、次の送信単位時間において受信された信号のLLRを反転することにより、次の送信単位時間においてC(t−1)と重畳されているC(t)のLLRを算出し、復号を行う構成としているが、C(t−1)は既に正しく復号されていることから、C(t−1)とC(t)が重畳されている信号をまず復号し、その復号結果に対してC(t−1)の復号結果(d(t−1))との排他的論理和を算出することによってもC(t)を復号する(d(t)を得る)ことができる。
【0051】
MAP復号部f104は、切替部f101から入力されたLLRに対し、事前確率算出部f110から入力された事前確率情報に基づいたMAP推定により、送信情報ビット列d(t)、d(t−1)に対応する情報ビット列d’(t)、d’(t−1)を復号する。ここで、MAP復号部f104は、送信装置a1の符号化部c111(15/15、13/15、17/15)及び符号化部c112(02/15、07/15、15/15)に対応した状態遷移を考慮したMAP推定により、事後確率が最大となる情報ビットを情報ビット列d’(t)とする。これは、MAP復号部f104で復号される系列は、2つの異なるビット列(C(t)とC(t−1))が送信側で重畳された重畳ビット列であり、MAP復号部f104はこれら2つのビット列を同時に復号する、符号化率2/3の復号部となるためである。よって、符号化部c111及び符号化部c112の両方を合わせて、64状態の状態遷移を考慮した復号を行うこととなり、一つの状態から次の状態へ遷移するパス(枝)は4つとなる。
また、MAP復号部f104のMAP復号は、事前確率情報に基づくものである。この事前確率情報は、一受信単位時間前の信号(C’(t−1))を復号したときの情報であり、復号処理で復号結果は誤っていた場合でも算出することができる信頼性に関する情報である。
【0052】
具体的に、MAP復号部f104では、事前確率算出部f110から入力された事前確率に対して、復調LLR算出部b103から得られた各状態に遷移する確率を乗算し、事前確率を考慮したメトリックの計算を行う。例えば、P([0,0]|s’(n))を、s’(n)が受信された場合に符号化部c111及び符号化部c112への入力ビットが0、0であった確率とし、事前確率を乗算するとP(dt−1’(n)=0)×P([0,0]|s’(n))という信頼性に関する確率が得られる。また、同様に、P(dt−1’(n)=0)×P([0,1]|s’(n))、P(dt−1’(n)=1)×P([1,0]|s’(n))、P(dt−1’(n)=1)×P([1,1]|s’(n))という全部で4つの信頼性を表す情報が得られるため、これらの情報をもとにMAP復号が行われる。但し、d’(n)は時刻tの送信単位時間で送信された情報ビット系列のn番目のビットを示している。このような復号を行うことにより、先に復号されたものの復号結果が誤った系列と新たに送信された系列が重畳された系列を、先に復号された系列の部分的な信頼性情報を事前情報として用いることにより、同時に復号することが可能となる。すなわち、MAP復号部f104は、取得した情報で誤りが検出された場合に、該取得した情報のLLRを事前情報として、次の受信単位時間で受信された信号を構成する2つの重畳された情報を取得する。
MAP復号部f104は、復号した情報ビット列d’(t)、d’(t−1)をCRC検出部f105に出力する。
【0053】
CRC検出部f105は、MAP復号部f103から入力された情報ビット列d’(t)又はMAP復号部f104から入力された情報ビット列d’(t)、d’(t−1)に対して、CRC符号を抽出して誤り検出を行う。CRC検出部f105は、情報ビット列d’(t)のCRC検出結果を情報保持部f106に出力する。また、CRC検出部f105は、CRC検出結果、及び情報ビット列d’(t)、又は情報ビット列d’(t)、d’(t−1)を切替部f107に出力する。
情報保持部f106は、CRC検出部f105から入力されたCRC検出結果を保持し、前回CRC検出結果として切替部f101に出力する。
【0054】
切替部f107は、CRC検出部f105から入力されたCRC検出結果に基づいて、情報ビット列d’(t)、d’(t−1)のいずれにも誤りが含まれない場合には、正しく復号された情報ビット列d(t)、d(t−1)を出力する。また、この場合には、d(t)は符号化部f108にも入力される。情報ビット列d’(t)に誤りが含まれる場合には、d’(t)の信頼性に関する軟出力を情報保持部f109に出力する。
具体的には、切替部f107は、CRC検出結果が誤りがないことを示す情報ビット列d’(t)、又はd’(t−1)を出力する。また、切替部f107は、CRC検出結果が誤りがないことを示す情報ビット列d’(t)を符号化部f108に出力する。一方、切替部f107は、CRC検出結果が誤りがあることを示す情報ビット列d’(t)を情報保持部f109に出力する。
符号化部f108は、送信装置a1の符号化部c112と同じ構成であり(図3参照)、切替部f107から入力された情報ビット列d’(t)を符号化する。符号化部f108は、符号化した符号ビット列を一時保持し、LLR反転部f102が受信単位時間後のLLRを処理する直前に、符号ビット列をLLR反転部f102に出力する。
【0055】
情報保持部f109は、情報ビット列d’(t)の復号結果の軟出力を保存しておく。情報保持部f109は、LLR反転部f102が受信単位時間後のLLRを処理する直前に、保存していた情報を事前確率算出部f110に出力する。
事前確率算出部f110では、情報保持部f109から入力された情報より、復号結果が0らしかったかを表す確率P(d’(t)=0)と復号結果が1らしかったかを表す確率P(d’(t)=1)を算出し、事前確率情報とする。
以上のように、復号部F1は、第1の情報を取得し、取得した第1の情報に基づいてこの第1の情報と重畳された第2の情報を取得し、取得した第2の情報に基づいてこの第2の情報と重畳された新たな第1の情報を取得することをくり返す。なお、送信装置においてインターリーブを行った場合は、MAP復号部からの復号結果にデインターリーブを行えばよい。
【0056】
このように、本実施形態によれば、送信装置a1が、以前に受信装置b1宛に送信した系列と、新たに受信装置b1宛に送信する系列を重畳して送信することにより、同一系列を複数回送信する。すなわち、ある情報と、以前に前記受信装置へ向けて送信したこの情報を異なる符号ビット系列として重畳して送信する。そして、送信装置a1から送信された信号を受信した受信装置b1では、同一系列が複数回送信されることを考慮した復号を行うことにより、受信信号から情報ビット系列を正しく取得する。これにより、通信システムは、ダイバーシチ効果によって誤りを減少することができる。また、通信システムは、誤りを減少させることにより、再送回数を減少することができ、再送による伝送効率の低下を軽減することができる。
また、本実施形態によれば、送信装置a1が、排他的論理和演算により、前記複数の異なる符号ビット系列を重畳する。これにより、伝送効率を下げることなく、複数の符号ビット系列を重畳して送信することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
本実施形態では、無線通信システムが、複数の周波数チャネルを用いて、複数の情報ビット系列を重畳して送信する場合について説明をする。なお、本実施形態では、2つの周波数チャネルを用いる場合について説明するが、3つ以上の周波数チャネルを用いてもよい。
本実施形態に係る通信システムの概念図は、図1と同じ図である。以下、本実施形態に係る受信装置を受信装置b2といい、送信装置を送信装置a2という。
【0058】
<送信装置a2について>
図7は、この発明の第2の実施形態に係る送信装置a2の構成を示す概略ブロック図である。この図において、送信装置a2は、S/P(Serial/Parallel;シリアル/パラレル)部a200、CRC部a201、情報保持部a202、重畳ビット生成部C21、C22、変調部a213、a223、チャネル割当部a206、無線部a204、及び送信アンテナa205を含んで構成される。また、重畳ビット生成部C21は、符号化部c211、c212、及び排他的論理和演算部c213を含んで構成される。また、重畳ビット生成部C22は、符号化部c221、c222、及び排他的論理和演算部c223を含んで構成される。
【0059】
S/P変換部a200は、入力された1つの情報ビット系列を並列化し、送信単位時間だけ前後した2つの情報ビット系列を同時に、CRC部a201に出力する。
CRC部a201は、S/P変換部a200から入力された情報ビット系列に対して、誤り検出を行うためのCRC符号を付加する。この情報ビット系列のビット列は、d(2t)、d(2t−1)で表わされる。情報ビット列d(2t)は符号化部c211及び情報保持部c202に出力され、情報ビット列d(2t−1)は符号化部c212及び符号化部c221に出力される。
情報保持部a202は、CRC部a201から入力された情報ビット列d(2t)を、2個の送信単位時間保持し、次の送信タイミングに符号化部c222に出力する。つまり、符号化部a211に時刻2tの情報ビット列d(2t)が入力されるとき、符号化部a222には時刻2t−2の情報ビット列d(2t−2)が入力される。
【0060】
符号化部c211、c212は、それぞれ、CRC部a201から入力された情報ビット列d(2t)、d(2t−1)を誤り訂正符号で符号化し、符号化した符号ビット列を排他的論理演算部c213に出力する。
排他的論理演算部c213は、符号化部c211、c212から入力された符号ビット系列の排他的論理和を演算し、2つの符号ビット系列を重畳する。排他的論理演算部c213は、重畳した重畳ビット列S(t)を変調部a213に出力する。
符号化部c221、c222は、それぞれ、CRC部a201から入力された情報ビット列d(2t−1)、d(2t−2)を誤り訂正符号で符号化し、符号化した符号ビット列を排他的論理演算部c223に出力する。
排他的論理演算部c223は、符号化部c221、c222から入力された符号ビット系列の排他的論理和を演算し、2つの符号ビット系列を重畳する。排他的論理演算部c223は、重畳した重畳ビット列S(t)を変調部a223に出力する。
なお、重畳ビット生成部C22及びC23各々の回路構成は、重畳ビット生成部C1(図3)と同じ構成であるため、説明は省略する。なお、符号化部c211、c221が符号化部c111と同じ構成及び機能を有し、符号化部c212、c222が符号化部c112と同じ構成及び機能を有する。
この重畳ビット列S(t)、S(t)は次式(5)で表わされる。
【0061】
【数5】

【0062】
変調部a213は、排他的論理演算部c213から入力された重畳ビット列S(t)を変調して変調信号を生成し、チャネル割当部a206に出力する。また、変調部a223は、排他的論理演算部c223から入力された重畳ビット列S(t)を変調して変調信号を生成し、チャネル割当部a206に出力する。
チャネル割当部a206は、変調部a213、a223から入力された変調信号を、2つの周波数チャネルに割り当てる。ここで割り当てる2つの周波数をそれぞれf、fとすると、変調部a213からの変調信号をfに割り当て、変調部a223からの変調信号をfに割り当て、それぞれシングルキャリア伝送を行うものとする。なお、OFDM(Orthogonal Frequency−Division Multiplexing;直交周波数分割多重方式)のようなマルチキャリア伝送方式では、サブキャリアごとに各変調部a213、a223から入力された変調信号を割り当ててもよい。
チャネル割当部a206は、変調信号を割り当てた信号を無線部a104に出力する。
無線部a204は、チャネル割当部a206から入力された信号をD/A(Digital to Analog)変換した後、無線周波数にアップコンバートし、送信アンテナa205を介して受信装置b2へ送信する。
【0063】
図8は、本実施形態に係る重畳ビット列の一例を示す概略図である。この図において、横軸は時刻t、縦軸は周波数fを示す。またs211〜s224を付したビット列は、それぞれ、送信単位時間のビット列を示す。この図は、1つの受信装置b1宛の時間的に前後する2つの情報ビット系列をネットワークコーディングを適用して重畳し、2つの周波数f、fに配置していることを示す。例えば、この図は、s212、s222を付したビット列は、それぞれ、時刻t=2に送信する重畳ビット列S(2)、S(2)の集合であることを示す。なお、初回(時刻t=1)に送信する重畳ビット列S(1)のビット系列では、1個前の送信単位時間で送信したビット系列がないため、C(1)のみを送信することを示す。
【0064】
<受信装置b2について>
図9は、本実施形態に係る受信装置b2の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る受信装置b2(図9)と第1の実施形態に係る受信装置b1(図5)とを比較すると、受信装置b2には、チャネル分離部b214が追加されている点が異なる。しかし、他の構成要素(受信アンテナb111、無線部b112、復調LLR算出部b113、及び復号部F1)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
チャネル分離部b214は、周波数fに割り当てられた重畳ビット列S(t)の変調信号と、周波数fに割り当てられた重畳ビット列S(t)の変調信号と、を抽出する。チャネル分離部b214は、重畳ビット列S(t)の変調信号、続いて重畳ビット列S(t)の変調信号の順に並べて、復調LLR算出部b113に出力する。
なお、本実施形態の復号部F1では、例えば、図8中のs222の重畳ビット列からC(4)を復号した際に誤りがあった場合、MAP復号部f104で、図8中のs213の重畳ビット列を復号する場合に、C(4)に関する軟出力が事前情報として用いられる。
【0065】
このように、本実施形態によれば、送信装置a2が、重畳した情報の信号を、複数の周波数チャネルに割り当てる。これにより、通信システムは、周波数ダイバーシチ効果によって誤りを減少することができる。また、通信システムは、誤りを減少させることにより、再送回数を減少することができ、再送による伝送効率の低下を軽減することができる。
【0066】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。
本実施形態では、第1の実施形態に係る受信装置b1で復号誤りが発生したときに、復号結果が正しくなった時点で、その正しい復号結果を用いて現在から過去にさかのぼる形で逆順に復号し、過去の復号誤りを訂正する場合について説明する。
なお、本実施形態に係る通信システムの概念図は、図1と同じ図である。以下、本実施形態に係る受信装置を受信装置b3という。また、本実施形態に係る送信装置a1が持つ機能は第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0067】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る誤り検出結果テーブルの一例を示す概略図である。図示するように誤り検出結果テーブルは、受信単位時間を示す時刻、受信系列、及び、誤り検出結果の各項目の列を有している。誤り検出結果テーブルは、時刻毎に誤り検出結果情報が格納される行と列からなる2次元の表形式のデータである。
例えば、この図は、時刻「3」、「4」で「×」となっており、誤りが検出されたことを示す。また、この図は、時刻「5」で「○」となっており、誤りが検出されなかったことを示す。
本実施形態では、時刻「5」の受信系列に基づいて、時刻「4」の受信系列を復号誤りを訂正し、さらに、時刻「3」の受信系列の復号誤りを訂正する。これにより、本実施形態に係る通信システムでは、過去の復号結果に誤りがあった場合でも、後続の正しく復号された系列を用いて過去の復号結果を訂正することができる。
【0068】
<受信装置b3について>
図11は、本実施形態に係る受信装置b3の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る受信装置b3(図11)と第1の実施形態に係る受信装置b1(図5)とを比較すると、復号部F3が異なる。しかし、他の構成要素(受信アンテナb111、無線部b112、及び復調LLR算出部b113)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0069】
図12は、本実施形態に係る復号部F3の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る復号部F3(図12)と第1の実施形態に係る復号部F1(図6)とを比較すると、LLR保持部f311、判定部f312、再復号部f32の符号化部f321、LLR反転部f322、MAP復号部f323、が異なる。しかし、他の構成要素(切替部f101、LLR反転部f102、MAP復号部f103、f104、CRC検出部f105、情報保持部f106、切替部f107、符号化部f108、情報保持部f109、及び事前確率算出部f110)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0070】
LLR保持部f311は、復調LLR算出部b103から入力されたLLRを記憶する。
判定部f312は、CRC検出部f105が生成した誤り検出結果テーブル(図10)を、切替部f107を介して取得して記憶する。判定部f312は、誤り検出結果テーブルを読み出し、正しく復号され、切替部f107から入力された情報ビット列d(t−m)(mは正の整数)の時刻t−mから受信単位時間前の時刻t−m−1の誤り検出結果情報を参照する。
参照した検出結果情報の復号結果が「×」である場合、つまり、情報ビット列d’( t−m−1)で誤りを検出していた場合、判定部f312は、再復号可と判定する。この場合、判定部f312は、情報ビット列d(t−m)を符号化部f321に出力する。
一方、復号結果が「○」である場合、つまり、情報ビット列d’(t−m−1)で誤りを検出しなかった場合、判定部f312は、再復号不要と判定し、情報ビット列d(t)を符号化部f108に出力する。
【0071】
符号化部f321は、送信装置a1の符号化部c111と同じ構成であり(図3参照)、判定部f312から入力された情報ビット列d(t−m)を符号化する。
符号化部f321は、生成した符号ビット列C(t−m)をLLR反転部f322に出力する。
【0072】
LLR反転部b322は、符号化部f321から入力された符号ビット列を用いて、LLR保持部f311が記憶するC’(t−m−1)のLLRを反転する。具体的に、LLR反転部b322は、C(t−m)のうち0であるビットに対応するLLRを、そのままの値とする。一方、C(t−m)のうち1であるビットに対応するLLRを、LLRの符号を反転させた値とする。LLR反転部b322は、反転して抽出した符号ビット列C’(t−m−1)のLLRをMAP復号部f323に出力する。
【0073】
MAP復号部f323は、LLR反転部f322から入力された符号ビット列C’(t−m−1)のLLRに対し、MAP推定により、情報ビット列d(t−m−1)に対応する情報ビット列d’(t−m−1)を復号する。ここで、MAP復号部f323は、送信装置a1の符号化部c112(02/15、07/15、15/15)に対応した状態数8の状態遷移を考慮したMAP推定により、事後確率が最大となる情報ビットを情報ビット列d’(t−m−1)とする。
MAP復号部f323は、復号した情報ビット列d’(t−m−1)をCRC検出部f105に出力する。
CRC検出部f105に出力された情報ビット列d’(t−m−1)は、CRC検出部f105で誤り検出され、誤りがない場合、切替部f107を介して、出力される。ここで、切替部f107が出力するビット列は、バッファに一時記憶され、予め定めた時間のビット全てに誤りがなくなった場合に、出力される。具体的には、CRC検出部f105は、情報ビット列d’(t−m−1)に誤りがないと判定した場合、誤り検出結果テーブルの時刻t−m−1に対応する復号結果を「○」に更新し、バッファは、誤り検出結果テーブルで予め定めた時間の復号結果が全て「○」になった場合にビット列を時間順に整列して出力する。
【0074】
以下、上記の各部の処理(再復号処理という)を、図10の例の誤り検出結果テーブルを用いて具体的に説明する。
例えば、判定部f311に正しく復号されたd(5)が入力され、t=4の復号結果が「×」である場合、判定部f311は再復号可と判定する。この場合、符号部f321は、判定部f311から入力されたd(5)を符号化し、LLR反転部f322に出力する。LLR反転部f322は、反転して抽出した符号ビット列C’(4)のLLRをMAP復号部f323に出力する。MAP復号部f323は、復号した情報ビット列d’(4)をCRC検出部f105に出力する。CRC検出部f105は、情報ビット列d’(4)に誤りがないと判定した場合、d(4)を切替部f107を介して判定部f311に出力する。t=3の復号結果が「×」である場合、判定部f311は再復号可と判定する。その後、同様の処理によって、MAP復号部f323は、復号した情報ビット列d’(3)をCRC検出部f105に出力する。CRC検出部f105は、情報ビット列d’(3)に誤りがないと判定した場合、d(3)を切替部f107を介して判定部f311に出力する。判定部f311はt=3の復号結果が「○」であるため、再復号不要と判定する。
なお、再復号処理において、判定部f312は、CRC検出部f105が誤りを検出した場合、再復号処理を中止して、d(t)を符号化部f108に出力してもよい。つまり、再復号処理をしたビット列に誤りを検出した場合、再復号不可と判定する。また、これとは異なり、再復号処理をしたビット列に誤りを検出した場合でも、再復号処理により得られた信頼性に関する情報を事前情報として、更に過去の系列と共に復号する構成としてもよい。
【0075】
このように、本実施形態によれば、受信装置b3は、誤りがない情報に基づいてその情報と重畳された過去の情報を取得し、取得した情報と重畳された更に過去の情報をさらに取得することをくり返す。これにより、通信システムは、過去に誤った情報を復号することが可能となり、誤りを検出した信号すべてを再送する必要がなくなるため、伝送効率を向上させることができる。
【0076】
(第4の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第4の実施形態について詳しく説明する。
図13は、本発明の第4の実施形態に係る通信システムの概念図である。この図は、受信装置A、B(移動局装置)が、送信装置a4(基地局装置)のセル内に在圏し、送信装置a4と通信を行うことを示す。
図13において、受信装置Aは受信装置Bと比較して、送信装置a4から近い地点に位置し、送信装置a4からの信号を高い受信電力で受信する。一方、受信装置Bは受信装置Aと比較して、送信装置a4から遠い地点(セルエッジ)に位置し、送信装置a4からの信号を低い受信電力で受信する。なお、図13では、受信装置の位置が異なる場合について説明をしたが、障害物の有無によっても、受信装置の受信電力は異なってくる。
本実施形態では、通信システムは、送信装置と受信装置との通信の受信品質に基づいて、上記第1の実施形態のネットワークコーディングを適用して情報ビット系列を重畳する(情報ビット系列を重畳するという)か否かを切り替える。
【0077】
具体的には、受信品質が予め定めた閾値より高くて誤りの発生が少ない場合(例えば、図13の受信装置A)には情報ビット系列を重畳せず、受信品質が予め定めた閾値より低くて誤り率の発生が多い場合(例えば、図13の受信装置B)には情報ビット系列を重畳する。また、情報ビット系列を重畳しない場合、情報ビット系列を重畳する場合と比較して高い符号化率の符号化を施す。例えば、情報ビット系列を重畳するときに1つの符号器の符号化率が1/3である場合、情報ビット系列を重畳しないときには、例えば符号化率が2/3の符号器を用いて符号化する。これにより、受信品質が高い受信装置では、通信の伝送効率を増加させることができる。また、受信品質が低い受信装置では、情報ビット系列を重畳した通信によって時間ダイバーシチ効果を得て、再送回数を低減することができる。
なお、受信装置A、Bは、受信装置b1に信号の送信機能を追加したものである。以下、受信装置A、Bを受信装置b4という。
【0078】
<送信装置a4について>
図14は、本実施形態に係る送信装置a4の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る送信装置a4(図14)と第1の実施形態に係る送信装置a1(図2)とを比較すると、送信装置a4には、受信アンテナa411、無線部a412、受信品質測定部a413、切替部a414、及び符号化部a415が追加されている点が異なる。しかし、他の構成要素(CRC部a101、情報保持部a102、重畳ビット生成部C1、変調部a103、無線部a104、及び送信アンテナa105)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0079】
無線部a412は、受信アンテナa411を介して受信した受信装置からの送信信号を、ベースバンド帯域にダウンコンバートし、受信品質測定部a413に出力する。
受信品質測定部a413は、無線部a412から入力された信号から、予め波形を記憶するパイロット信号を抽出し、そのパイロット信号を用いて受信品質を検出する。なお、この受信品質は、受信装置b4毎に検出する。受信品質測定部a413は、検出した受信品質情報を切替部a414に出力する。
【0080】
切替部a414は、受信品質測定部a413から入力された受信品質情報が予め定めた閾値より高いことを示す場合、つまり、受信品質が高い場合、CRC部a101から入力された情報ビット系列を、符号化部a415に出力する。符号化部a415に出力された情報ビット系列は、変調部a103で変調され、無線部a104及び送信アンテナa105を介して受信装置b4に送信される。この場合、無線部a104は、情報ビット系列を重畳していないことを示す重畳制御情報を、制御チャネルに配置する。この制御チャネルは、例えば、通信パケットの先頭部分である。
一方、受信品質測定部a413から入力された受信品質情報が予め定めた閾値より低いことを示す場合、つまり、受信品質が低い場合、CRC部a101から入力された情報ビット系列を、情報保持部a102及び符号化部c111に出力する。情報保持部a102では、入力された情報ビット系列を一送信単位時間だけ遅延させ、符号化部c112に出力する。この処理により、排他的論理和演算部c113では、時間的に前後した情報ビット系列が重畳されることとなり、この重畳された系列は変調部a103で変調され、無線部a104及び送信アンテナa105を介して受信装置b4に送信される。この場合、無線部a104は、情報ビット系列を重畳したことを示す重畳制御情報を、制御チャネルに配置する。
【0081】
符号化部a415は、切替部a414から入力された情報ビット列を誤り訂正符号で符号化する。ここで、符号化部a415は、符号化部c111、c112より高い符号化率で符号化する。
なお、受信装置b5は、制御チャネルに配置された重畳制御情報に基づいて、情報ビット系列を復号する。
【0082】
このように、本実施形態によれば、送信装置a4は、受信品質情報に基づいて情報ビット系列を重畳するか否かを切り替える。これにより、受信品質が高い受信装置b1では、通信の伝送効率を増加させることができ、一方、受信品質が低い受信装置b1では、情報ビット系列を重畳した通信によって時間ダイバーシチ効果を得て、誤りの減少、再送回数の低減を実現することができる。
【0083】
(第5の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第5の実施形態について詳しく説明する。
本実施形態では、情報ビット系列を重畳した場合でも、誤りが生じて再送が必要となった場合の再送制御について説明をする。
なお、本実施形態に係る通信システムの概念図は、図1と同じ図である。以下、本実施形態に係る受信装置を受信装置b5といい、送信装置を送信装置a5という。受信装置b5は、第1の実施形態の受信装置b3に加え、ACK/NACKを送信装置a5に送信する機能を備える。また、送信装置a5は、送信装置a1の構成に加えて、NACKを受信した場合に、再送を行う機能を備える。
【0084】
また、本実施形態では、受信装置b5が、4つの送信単位時間のビット列毎にACK/NACKを送信装置a5に送信する場合について説明する。具体的には、受信装置b5は、4つの送信単位時間のビット列のうち、1つでも誤りを検出した場合にNACKを送信し、すべて誤りを検出しなかった場合にはACKを送信する。しかし、本発明はこれに限らず、ACK/NACKを通知する送信単位時間の間隔は4でなくてもよいし、例えば、送信単位時間のビット列が予め定めた数連続して誤りとなった場合にNACKを送信してもよい。また、NACKには、何番目の送信単位時間のビット列が誤りであるかを示す情報を付加してもよい。
【0085】
まず、再送が必要な場合について説明をする。
図15は、本発明の第5の実施形態に係る重畳ビット列と誤り検出結果の一例を示す概略図である。この図において、横軸は、時刻tを示す。またs31〜s34を付したビット列は、それぞれ、送信単位時間のビット列を示す。また、「○」「×」は、誤り検出結果を示す。図15は、例えば、C(1)のみ誤りが検出されず(「○」)、その後、連続した3つのビット列で誤りが検出された(「×」)ことを示す。
この場合、受信装置b5は、NACKを送信する。
【0086】
NACKを受けた送信装置a5は再送を行う。なお、再送する送信単位時間のビット列を、再送パケットという。
まず、送信装置a5が、再送パケットについては情報ビット列の重畳を行わない場合について説明をする。
【0087】
図16は、本実施形態に係る再送パケットの一例を示す概略図である。この図は、図15に示すような誤りが生じた場合に再送する再送パケットの一例を示す。また、この図において、横軸は、時刻tを示す。またs41〜s45を付したビット列は、それぞれ、送信単位時間のビット列を示す。
図16は、送信装置a5が、一度しか送信していないビット列、つまり、この一例ではC(4)を再送パケットs45として送信することを示す。他のビット系列と同じ回数送信するためである。しかし、本発明はこれに限らず、誤りがあった送信単位時間のビット列に含まれるC(t)又はC(t)のいずれか(但し、図中のC(1)以外)を再送パケットs45として送信してもよい(複数でもよい)。受信装置b5は、再送パケットs45からd(4)を誤りなく検出できた場合、再復号処理をくり返して、d’(3)、d’(2)を復号することができる。
このように、伝送した信号に誤りが検出され、再送を行う必要が生じた場合には、再送パケットにはネットワークコーディングによる情報ビット系列の重畳を行わず、誤りが検出された系列の中から適切な系列を選択して単独で再送することにより、再送を行っていないデータ系列についても正しく復号できる可能性が出てくる。これにより、再送回数を大幅に低減することが可能となり、この再送パケットの後には新たなビット系列を送信することができるため、システムの周波数利用効率を向上させることができる。
【0088】
<変形例>
次に、送信装置a5が、再送パケットについて情報ビット列の重畳を行う場合について説明をする。なお、本変形例では、NACKには、何番目の送信単位時間のビット列が誤りであるかを示す情報を付加されている場合について説明をする。
【0089】
図17は、本実施形態に係る再送パケットの別の一例を示す概略図である。この図は、図15に示すような誤りが生じた場合に再送する再送パケットの一例を示す。また、この図において、横軸は、時刻tを示す。またs51〜s55を付したビット列は、それぞれ、送信単位時間のビット列を示す。
図17は、送信装置a5が、一度しか送信していないビット列(この一例ではC(4))と、誤りが検出されなかったビット列(この一例ではC(1))と重畳されたビット列(この一例ではC(2))と、を重畳し、再送パケットs55として送信することを示す。なお、誤りが検出されなかったビット列と重畳されたビット列を選択するのは、誤りが検出されなかったビット列と重畳され、他のビット系列と同じ回数送信されているにもかかわらず、誤りが検出されていることから、非常に劣悪な伝搬路状況で伝送されているものと考えられ、再度伝送することによりダイバーシチ効果を高めるためである。
なお、この場合、受信装置b5は、d(4)を誤りなく検出できた場合、再復号処理をくり返して、d’(3)、d’(2)を復号してもよいし、また、d(2)を誤りなく検出できた場合、第1の実施形態の復号処理と同じように、時間順に復号処理をおこなって、d’(3)、d’(4)を復号してもよい。
【0090】
このように、再送前に伝送した送信単位時間(誤りが検出された送信単位時間)における重畳状況を考慮して、効率よく再送するために適した2つのビット系列を選択し、それらを重畳して伝送することにより、再送回数を大幅に低減しつつ、過去の復号で誤りが検出されたビット系列についても正しく復号できる可能性を高めることができる。
【0091】
(第6の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第6の実施形態について詳しく説明する。
本実施形態では、複数の送信装置から信号を受信し、受信した信号の情報ビット列を重畳して受信装置に送信するリレー局装置について説明をする。
【0092】
図18は、本発明の第6の実施形態に係る通信システムの概念図である。この図は、送信装置A、B(移動局装置)が、それぞれ、ビット系列C(t)、C(t)の信号を、リレー局装置Cへ送信することを示す。また、この図は、リレー局装置Cが受信したビット系列C(t)、C(t)を重畳したビット系列S(t)の信号を受信装置D(基地局装置)へ送信することを示す。
なお、送信装置A、Bは、公知の送信装置の構成及び機能を備えるので説明は省略する。以下、リレー局装置Cをリレー局装置c6という。また、本実施形態では、説明の簡単化のため、リレー局における復号処理で誤りは生じないものとする。
【0093】
図19は、本実施形態に係る送信タイミングの一例を示す概略図である。この図において、横方向の各列は時刻tを示し、縦方向の各行は装置を示す。
図19は、送信装置Aが、時刻「4i」(iは非負の整数)にビット系列C(i)の信号を送信することを示す。また、この図は、送信装置Bが、時刻「4i+1」にビット系列C(i)の信号を送信することを示す。また、この図は、リレー局装置c6が、時刻「4i+2」にS(2i)の信号、時刻「4i+3」にS(2i+1)の信号を送信することを示す。
【0094】
ここで、ビット系列C(i)、C(i)をリレー局装置c6が復号し、復号した情報ビット列を再度符号化して生成したビット系列を、それぞれ、ビット系列CX,A(i)、CX,B(i)とする。このビット系列CX,A(i)及びCX,B(i)を用いて、ビット系列S(t)は、以下の式(6)で表わされる。但し、添え字のXは符号化される符号器の番号を表している(X=1,2)。
【0095】
【数6】

【0096】
ただし、S(0)=C1,A(0)である。
【0097】
図20は、本実施形態に係る送信タイミングの別の一例を示す概略図である。この図において、横方向の各列は時刻tを示し、縦方向の各行は装置を示す。
図20は、送信装置Aが、時刻「4i」(iは非負の整数)にビット系列C(i)の信号を送信することを示す。また、この図は、送信装置Bが、時刻「4i+2」にビット系列C(i)の信号を送信することを示す。また、この図は、リレー局装置c6が、時刻「4i+1」にS(2i)の信号、時刻「4i+3」にS(2i+1)の信号を送信することを示す。
このように、本実施形態では、式(6)に示したS(t)で、復号結果を再符号化した符号ビット系列を重畳すればよく、送信タイミングは、図19、20で示した送信タイミング以外であってもよい。
【0098】
<リレー局装置c6について>
図21は、本実施形態に係るリレー局装置c6の構成を示す概略ブロック図である。
この図において、リレー局装置c6は、受信部c61及び送信部c62を含んで構成される。また、受信部c61は、受信アンテナc611、無線部c612、復調部c613、及び復号部c614を含んで構成される。また、送信部c62は、CRC部c621、情報保持部c622、符号化部c623、c624、排他的論理和演算部c625、変調部c626、無線部c627、及び送信アンテナc628を含んで構成される。
【0099】
無線部c612は、受信アンテナc611を介して受信した送信装置A、Bからの送信信号を、ベースバンド帯域にダウンコンバートし、A/D変換する。無線部c612は、A/D変換した信号を、復調部c613に出力する。
復調部c613は、無線部c612から入力された信号を復調し、復号部c614に出力する。
復号部c614は、復調部c613から入力された信号を復号して復号ビット系列を生成し、CRC部c621に出力する。ここで、復号部c614は、送信装置A、Bからの信号の復号ビット系列を、交互にCRC部c621に出力する。例えば、送信装置Aからの信号の復号ビット系列をb、送信装置Bからの信号の復号ビット系列をbとすると、b(j)b(k)b(j+1)b(k+1)b(j+2)b(k+2)・・・のように出力する。ここで、j、kは、それぞれ、復号ビット系列b、bの順番を表わす番号である。ただし、図19、20の一例では、k=j=iである。
【0100】
CRC部c621は、復号部c614から入力された復号ビット系列に対して、誤り検出を行うためのCRC符号を付加し、符号化部c623及び情報保持部c622に出力する。以下、情報ビット系列にCRC部c621がCRC符号を付加したビット列をdA/B(t)で表わす。
情報保持部a102は、CRC部c621から入力された情報ビット系列dA/B(t)を、送信単位時間保持し、次の送信タイミングに符号化部c624に出力する。但し、添え字のA/Bは、送信装置AまたはBのいずれかから送信された情報ビット系列であることを示しており、例えば、符号化部c623に情報ビット列d(t)が入力されるとき、符号化部c624には情報ビット列d(t−1)が入力される。逆に、符号化部c623に情報ビット列d(t)が入力されるとき、符号化部c624には情報ビット列d(t)が入力される。
【0101】
符号化部c623、c624は、それぞれ、CRC部c621、情報保持部c622から入力された情報ビット列を誤り訂正符号で符号化し、符号化した符号ビット列を排他的論理演算部c625に出力する。
排他的論理演算部c625は、符号化部c623、c624から入力された符号ビット系列の排他的論理和を演算し、2つの符号ビット系列を重畳する。排他的論理演算部c625は、重畳した重畳ビット列S(t)を変調部c626に出力する。
なお、符号化部c623、c624及び排他的論理演算部c625の回路構成は、それぞれ、図3の符号化部c111、c112及び排他的論理演算部c113の回路構成と同じである。
【0102】
変調部c626は、排他的論理演算部c625から入力された重畳ビット列S(t)を変調して変調信号を生成し、無線部c627に出力する。
無線部c627は、変調部c626から入力された変調信号をD/A変換した後、無線周波数にアップコンバートし、送信アンテナc628を介して受信装置Dへ送信する。
なお、受信装置Dは、第1の実施形態に係る受信装置b1の構成に加え、復号した復号ビット系列を、交互に異なる送信装置からのビット系列として抽出する構成を備える。
【0103】
このように、本実施形態によれば、リレー局装置c6は、複数の送信装置A、Bから信号を受信し、受信した信号の情報ビット列を重畳して受信装置に送信する。この構成においても同一の情報ビット系列が複数回送信されることとなり、これにより、通信システムは、リレー局装置c6と受信装置b1との通信において、ダイバーシチ効果によって誤りを減少することができる。
また、本実施の形態では、2つの送信装置A、Bから送信された情報ビット系列をリレー局装置c6において重畳する構成について示したが、1つの送信装置Aから送信された情報ビット系列とリレー局独自の情報ビット系列を重畳して受信装置(基地局装置)へ伝送する構成としてもよい。
【0104】
なお、上記各実施形態において、通信システムが、シングルキャリア伝送方式を用いる場合について説明をした。しかし、本発明はこれに限らず、マルチキャリア伝送方式であってもよいし、他の伝送方式であってもよい。
また、上記各実施形態において、新たに伝送するビット系列と重畳するビット系列が一送信単位時間前に伝送を行ったビット系列である場合について説明をした。しかし、本発明はこれに限らず、多重するビット系列は一送信単位時間以上前のビット系列であってもよい。例えば、N一送信単位時間前から一送信単位時間前のビット系列を重畳する場合、送信装置は1〜N+1のN+1個の符号化部を備え、排他的論理和演算部は符号化部から出力された符号ビット系列に対して排他的論理和演算を施す。
【0105】
また、上記各実施形態において、送信装置と受信装置との通信が無線通信である場合について説明したが、本発明はこれに限らず、有線通信であってもよい。
また、上記第1〜5の実施形態において、基地局装置(送信装置)から移動局装置(受信装置)へ信号を伝送するダウンリンクの場合について説明したが、本発明はこれに限らず、逆の伝送、つまり、移動局装置(送信装置)から基地局装置(受信装置)へ信号を伝送するアップリンクに適用してもよい。また、上記第6の実施形態において、アップリンクの場合について説明したが、本発明はこれに限らず、複数の基地局装置(送信装置)から移動局装置(受信装置)へ信号をリレー局装置が中継するダウンリンクに適用してもよい。
【0106】
また、上記第4の実施形態において、送信装置が各受信装置の受信品質情報を検出する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、各受信装置が受信品質情報を検出し、検出結果を送信装置に送信するようにしてもよい。
また、上記第4の実施形態において、受信品質情報に基づいて情報ビット系列を重畳するか否かの切り替えを行う場合について説明をした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、受信装置(移動局装置)の移動速度に基づいて切り替えを行ってもよい。この場合、通信システムは、高速移動中の受信装置への信号では情報ビット系列を重畳し、低速移動中の受信装置への信号では情報ビット系列を重畳しない。通常、高速移動中の端末の受信品質は時々刻々と大きく変化するため、端末の受信品質を基地局にフィードバックし、それに応じた適応制御(変調方式等の制御)を正確に行うことが困難となる。それに対して、本発明によるネットワークコーディングでは、上記のようなフィードバックが不要で、伝送レートを低下させることなく同一データを複数回伝送することにより受信側においてダイバーシチ利得が得られるため、高速移動端末への適用は非常に適している。
【0107】
なお、上述した実施形態における送信装置a1、a2、a4、a5、受信装置b1、b2、b3、b4、b5、又はリレー局装置c6の一部をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、送信装置a1、a2、a4、a5、受信装置b1、b2、b3、b4、b5、又はリレー局装置c6に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0108】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0109】
a1、a2、a4、A、B・・・送信装置、b1、b2、b3、D・・・受信装置、C、c6・・・リレー局装置、a101、c621・・・CRC部、a102、c622・・・情報保持部、C1、C21、C22・・・重畳ビット生成部、a103、a213、a223、c626・・・変調部、a104、a204、c627・・・無線部、a105、a205、c628・・・送信アンテナ、c111、c211、c221、c623・・・符号化部、c112、c212、c222、c624・・・符号化部、c113、c213、c223、c625・・・排他的論理和演算部、D1〜D6・・・シフトレジスタ、E11〜E33・・・加算器、b101・・・受信アンテナ、b102・・・無線部、b103・・・復調LLR算出部、F1、F3・・・復号部、f101・・・切替部、f102・・・LLR反転部、f103・・・MAP復号部、f104・・・MAP復号部、f105・・・CRC検出部、f106・・・情報保持部、f107・・・切替部、f108・・・重畳ビット生成部(重畳情報生成部)、f109・・・情報保持部、f110・・・事前確率算出部、a200・・・S/P部、a201・・・CRC部、a202・・・情報保持部、a206・・・チャネル割当部、b214・・・チャネル分離部、f311・・・LLR保持部、f312・・・判定部、f32・・・再復号部、f321・・・符号化部、f322・・・LLR反転部、f323・・・MAP復号部、a411・・・受信アンテナ、a412・・・無線部、a413・・・受信品質測定部、a414・・・切替部、a415・・・符号化部、c61・・・受信部、c62・・・送信部、c611・・・受信アンテナ、c612・・・無線部、c613・・・復調部、c614・・・復号部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置と、前記送信装置からの信号を受信する受信装置とを備える通信システムにおいて、
前記送信装置は、
前記受信装置へ送信する複数の異なる符号ビット系列を重畳する重畳情報生成部と、
前記重畳情報生成部から出力された系列を変調した信号を送信する送信部と、
を備え、
前記受信装置は、
前記送信装置が送信した信号から、前記送信装置において重畳された複数の符号ビット系列を復号する復号部を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記重畳情報生成部は、排他的論理和演算により、前記複数の異なる符号ビット系列を重畳することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記複数の異なる符号ビット系列は、それぞれ符号構成が異なる符号器において符号化された系列であることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記符号器各々は、それぞれ異なる情報ビット系列を符号化して、前記符号ビット系列を生成することを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記異なる情報ビット系列のうち、少なくともひとつの系列は、以前に前記受信装置へ向けて送信した情報ビット系列であることを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記送信装置は、他の送信装置から受信した信号を前記受信装置に送信し、
前記異なる情報ビット系列のうち、少なくともひとつの系列は、前記他の送信装置から受信した信号を復調した情報ビット系列であることを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記重畳情報生成部は、前記受信装置における受信状況に応じて、符号ビット系列を重畳することを停止することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の通信システム。
【請求項8】
前記受信装置は、
前記送信装置が以前に送信した情報ビット系列の復号結果を保持する情報保持部と、
前記情報ビット系列の復号結果に基づいて前記情報ビット系列が重畳された情報の信号の復号方式を切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項9】
前記切替部は、前記情報ビット系列の復号結果に誤りが含まれるか否かに応じて復号方式を切り替えることを特徴とする請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記重畳情報生成部は、排他的論理和演算により、前記複数の異なる符号ビット系列を重畳し、
前記切替部は、前記情報ビット系列の復号結果に誤りが含まれない場合に、復号した情報ビット系列から前記符号ビット系列を生成し、前記生成した符号ビット系列を利用して、生成した符号ビット系列と重畳された符号ビット系列を復号する復号方式を選択することを特徴とする請求項9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記重畳情報生成部は、排他的論理和演算により、前記複数の異なる符号ビット系列を重畳し、
前記切替部は、前記情報ビット系列の復号結果に誤りが含まれる場合には、前記情報ビット系列に関する事前情報を算出し、前記算出した事前情報と、前記情報ビット系列の符号ビット系列が重畳された信号を受信した結果より得られる対数尤度比と、に基づいて、前記情報ビット系列と、前記情報ビット系列と重畳された情報ビット系列と、を復号する復号方式を選択することを特徴とする請求項9に記載の通信システム。
【請求項12】
受信装置へ信号を送信する送信装置において、
前記受信装置へ送信する複数の異なる符号ビット系列を重畳する重畳情報生成部と、
前記重畳情報生成部から出力された系列を変調した信号を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項13】
送信装置からの信号を受信する受信装置において、
前記送信装置が送信した信号から、前記送信装置において重畳された複数の符号ビット系列を復号する復号部と、
前記復号部での復号した情報ビット系列の復号結果を保持する情報保持部と、
前記情報ビット系列の復号結果に基づいて前記情報ビット系列が重畳された情報の信号の復号方式を切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項14】
受信装置へ信号を送信する送信装置における送信方法において、
重畳情報生成部が、前記受信装置へ送信する複数の異なる符号ビット系列を重畳する第1の過程と、
送信部が、前記第1の過程にて出力された系列を変調した信号を送信する第2の過程と、
を有することを特徴とする送信方法。
【請求項15】
送信装置からの信号を受信する受信装置における受信方法において、
復号部が、前記送信装置が送信した信号から、前記送信装置において重畳された複数の符号ビット系列を復号する第1の過程と、
前記第1の過程にて復号した情報ビット系列の復号結果を保持する第2の過程と、
前記情報ビット系列の復号結果に基づいて前記情報ビット系列が重畳された情報の信号の復号方式を切り替える第3の過程と、
を有することを特徴とする受信方法。
【請求項16】
受信装置へ信号を送信する送信装置のコンピュータを、
前記受信装置へ送信する複数の異なる符号ビット系列を重畳する重畳情報生成手段、
前記重畳情報生成手段にて出力された系列を変調した信号を送信する送信手段、
として機能させる送信プログラム。
【請求項17】
送信装置からの信号を受信する受信装置のコンピュータを、
前記送信装置が送信した信号から、前記送信装置において重畳された複数の符号ビット系列を復号する復号手段、
前記復号手段にて復号した情報ビット系列の復号結果を保持する情報保持部と、
前記情報ビット系列の復号結果に基づいて前記情報ビット系列が重畳された情報の信号の復号方式を切り替える切替手段、
として機能させる受信プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−61547(P2011−61547A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209687(P2009−209687)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【Fターム(参考)】