通信システム、送信電力制御方法、基地局、宛先装置及び中間装置
【課題】マルチホップ通信システムでのデータスループットを改善すること。
【解決手段】本発明はソース装置から宛先装置へ少なくとも1つの中間装置を介して信号を伝送するための無線通信システム並びに関連する方法及び装置に関連する。特に本発明はマルチホップ通信システムでデータスループットを改善する技術に関連する。
【解決手段】本発明はソース装置から宛先装置へ少なくとも1つの中間装置を介して信号を伝送するための無線通信システム並びに関連する方法及び装置に関連する。特に本発明はマルチホップ通信システムでデータスループットを改善する技術に関連する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から宛先装置へ信号を伝送する無線通信システム及び関連する方法に関する。特に本発明はマルチホップ通信システムでのデータスループットを改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信信号が空間を伝搬する際に散乱又は吸収されることに起因して、伝搬損失又は「パスロス」が生じると、信号強度の減少を引き起こすことが知られている。送信機及び受信機間のパスロスに影響する要因は:送信機のアンテナの高さ、受信機のアンテナの高さ、キャリア周波数、散乱タイプ(都市、都市近郊、田舎)、形態の詳細(高度、密度、隔たり、地勢(丘上、平坦))等を含む。送信機及び受信機間のパスロスL(dB)は次のようにモデル化できる:
L=b+10nlogd (A)
ここでd(メートル)は送信機−受信機間の隔たりであり、b(dB)及びnはパスロスパラメータであり、絶対パスロスはl=10(L/10)で与えられる。
【0003】
図1Aは基地局(3G通信システムでは「ノードB」(NB)として知られている)、中継ノード(RN)及びユーザ装置(UE)を有するシングルセル2ホップ無線通信システムを示す。信号がダウンリンク(DL)で基地局から宛先ユーザ装置(UE)へ中継ノード(RN)を介して伝送される場合には、基地局はソース装置(S)を構成し、ユーザ装置は宛先装置(D)を構成する。通信信号がアップリンク(UL)でユーザ装置(UE)から中継ノードを経て基地局に伝送される場合には、ユーザ装置がソース装置を構成し、基地局が宛先装置を構成する。中継ノードは中間装置(I)の一例であり:ソース装置からの信号を受信する受信機と;その信号を又はそれから導出したものを宛先装置へ送信する送信機を有する。
【0004】
以下の表1はマルチホップ伝送システムにおける様々なリンクで伝送された信号のパスロス計算値のいくつかの具体例を与え、そのリンクはソースから宛先(SD)、ソースから中間(SI)及び中間から宛先(ID)である。ここでb及びnはリンクの各々で同じままであるように仮定されている。
【0005】
【表1】
表1
上記の計算例は、間接的なリンクで体験する絶対パスロスの合計SI+IDは直接的なリンクSDで体験するパスロスより少ないことを示す。言い換えればそれは次のように書ける:
L(SI)+L(ID)<L(SD) (B)
従って単一の伝送リンクを2つの短い伝送セグメントに分割することは、パスロス及び距離の間の非線形関係を引き出す。数式(A)を用いたパスロスの簡易な理論分析により、全体的なパスロスの減少(及び信号強度及びデータスループットにおける改善又は利益)は、ソース装置から宛先装置へ直接的に伝送されるのではなく、中間装置(例えば、中継ノード)を介してソース装置から宛先装置へ信号が伝送される場合に達成されることが理解できる。実現されるならばマルチホップ通信システムは送信機の送信電力を潜在的に削減可能にする。これは、電磁放射に晒されることを減らすだけでなく干渉レベルの低減効果をももたらす。
【0006】
明らかに、パスロス及び距離の間の非線形関係に起因して、ソース及び宛先に対する中間装置の位置は、ソース及び宛先間の直接的な即ちシングルホップの伝送に比較して、マルチホップ伝送が有するポテンシャルゲインに決定的に影響する。このことはマルチホップ伝送で達成される理論的ゲインのグラフ表現を示す図2Aに示され、図2Aはソース装置及び宛先装置間の中間装置の相対的な規格化された位置に対する全パワーロス(dB)をプロットしている。
【0007】
先ず、ソース及び宛先間の直接的なリンクの線上に中間ノードが位置している場合(この場合、経路延在因子(s)=1である)を考えると、ポテンシャルゲインは、中間点から離れてソース装置へ又は宛先装置へ向かうにつれて減少することが理解できる。同様に中間装置の位置が直接リンクの線上から離れるにつれて、2つの伝送セグメントの合計の全経路長が伸びるにつれて(経路延在因子をs=1.1,s=1.2等のように増やすにつれて))、理論的ゲインのグラフ領域が再び減少していることが分かる。
【0008】
しかしながらマルチホップ通信システムの適用性を検査するために実行されたシミュレーションは、意外にもデータスループットの低いゲインを示した。実際、経験するゲインはパスロスの数式Aに基づく簡易な分析で示唆されるポテンシャルゲインを大きく下回る。その結果、信号範囲の拡張性、ソース及び宛先間での信号伝送に要する全送信電力を潜在的に削減できること、及びマルチホップでなかったならば到達できないノードへの接続性等の観点からマルチホップシステムが示す潜在的な利点にもかかわらず、無線システムオペレータはマルチホップネットワークを実現することを思いとどまっている。
【0009】
予測されるゲインとシミュレーションされたゲインの間にそのような不一致が存在する理由の1つは、前者の予測が、パスロスパラメータb及びnが全てのリンクで同じであるとする仮定に基づくことである。つまり実際には、これらの値は、中継ノードの高さと比較したソース装置及び宛先装置のアンテナ高さに起因して変化する。かくて更に現実的な値のテーブルが以下の表2に与えられる。表中3GPPの項で示される値は、中間装置のアンテナ高さがおおよそソース及び宛先装置でのアンテナ高さの間のどこかにあることを考慮のうえ、3GPPで使用されるモデルを適用することで得られたものである。UoBの項で示される値はブリストル市における典型的な配備に基づいてブリストル大学で行われたモデリングから導出されたものである。
【0010】
【表2】
表2
図2Bには、表2のパスロスパラメータを用いたグラフ(全パスロス対規格化された中継ノード位置)が示されている。理論的な中継ノードの位置を調整しながら全パスロスを計算するために、より現実的なパスロスパラメータ群が使用される場合には、図2Aの完全な「釣り鐘形状」は得られないことが理解できる。実際、グラフの領域は減少している。中継ノード又はユーザ装置の位置の比較的小さな変化は、通信リンクにおける絶対パスロスの変化を招き、受信装置における通信信号の品質にかなりの影響を与えることが分かる。従って、達成されるゲインがマルチホップ伝送により得られる場合には、ソース及び宛先間の直接的な伝送に比較して、中間装置又は中継ノードの位置は重要である。
【0011】
しかしながら現実世界で遭遇しそうなパスロスパラメータのより正確な考慮に基づいて予測を行っても、マルチホップシステムのシミュレーションは、予想されるゲインと一致しないという結果を示した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、マルチホップ通信システムでのデータスループットを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一形態は、ソース装置、宛先装置及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムを提供し、前記ソース装置及び中間装置の各々は、通信信号を又はそこから導出された信号を前記宛先装置へ向かう通信方向で送信する送信機を有し、前記宛先装置及び中間装置の各々は、通信信号を又はそこから導出された信号を受信する受信機を有し、前記通信システムは:
i)前記宛先装置で受信された前記通信信号の品質の測定値;及び
ii)前記又は各々の中間装置で受信された前記通信信号の品質の測定値;
の間で実質的にバランスをとる又は維持するように、1以上の送信機に割り当てられるリソースの測定値を又は測定値の変化を判定する判定手段を有する。
【0014】
当然に、宛先装置で実際に受信される通信信号は、ソース装置から送信された通信信号でもよいし、それから導出された通信信号でもよいことが理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好適実施例は、中間装置で受信された通信信号の品質測定値及び宛先装置で受信された通信信号の品質測定値の「均衡−バランス(balance)」を維持する又は達成しようとする。好ましくは、判定手段が1以上の装置の送信電力の変更を判定し、その装置は本発明を利用する通信システムの通信信号を送信し、中間装置で受信される通信信号の品質測定値と宛先装置で受信される通信信号の品質測定値との間の実質的な不均衡を減らす又は防ぐ(即ち、実質的な「バランス」を達成又は維持する。)。
【0016】
本発明を利用する通信システムで不均衡が存在することは、宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値と中間装置で受信された通信信号の品質の測定値との直接的な比較により明らかにされる。或いは不均衡はマッピング関数により比較がなされた場合に明らかにされてもよい。従って等しい値の測定値が均衡したシステムに対して等しいとしない状況が存在してもよいし、同様に異なる値の測定値が均衡したシステムに等しいとされてもよい。
【0017】
システムを最適化するために、及び/又は中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値とを実質的に均衡させるために、本発明の実施例はマルチホップシステムの配備に先だって使用されてよいことが想定される。全てのリンクにわたる通信信号品質の測定値の「バランス」を達成及び維持するために、 本発明の実施例は既存のマルチホップシステムで実現されてよいことも想定される。かくて本発明は、宛先装置のRSS又はSINRのインジケータと中間装置でのRSS又はSINRのインジケータとの間で実質的な「均衡(バランス)」を確立するマルチホップ通信システムで使用されてよい。有利なことに送信電力は、マルチホップシステムで通信信号を受信する或る装置に関し、ターゲット受信信号品質に関して初期に最適化される。これは通常的には宛先装置である。かくて、有利なことに、宛先装置で受信された通信信号の品質のターゲット受信信号品質からの変位測定値のインジケータ(=「ターゲットからの変位」インジケータ)は、本発明の実施例によりシステムが最適される場合に最小化される。そして、ターゲットインジケータからの変分における変化(正でも負でもよい)が検出された場合、例えば通信信号の品質が悪化した又は改善された場合に、或いは装置に設定されるターゲットが変わった場合に、ターゲットインジケータからの変分は増加する。この場合、有利なことに、所望値からのターゲットインジケータからの変分の導出を検出可能にする本発明の実施例は、ターゲットインジケータからの変分を所望値に近づける。
【0018】
本発明を利用するマルチホップ通信システムのシミュレーションは、信号が宛先装置に直接手伝送されるシステムでかなりのゲインを実証することを示した。実際、本発明の好適実施例を検査するために実行されたシステムレベルのシミュレーション結果は、本発明により「バランス」のとられた通信システムは、マルチホップ伝送に関する希望を満たし、データスループットの改善をもたらすよう期待できることを示す。
【0019】
本発明の好適実施例により実証される改善されたスループットに関する説明は、それらがマルチホップシステムで必要とされる絶対送信電力の削減を可能にすることが確信される。これは以下で更に詳細に説明される。
【0020】
説明済みの原理から始めると、単一の直接的な伝送リンクを2つの短い伝送リンクに分けることで、信号が受ける全体的なパスロスの削減が達成される。ソース装置から少なくとも1つの中間装置を経て宛先装置へ通信信号を伝送するのに必要な全送信電力は、ソース装置及び宛先装置間で通信信号を直接的に伝送するのに要するものより少ない。従って、宛先装置(及びひょっとすると中間装置も)が最少の又は「ターゲット」の信号品質を受信することを保証するのに、より少ない送信電力しか必要とされない。送信電力について何の調整もなされなかったならば、かなりの余分な送信電力(即ち、宛先装置及び/又は中間装置で良好な又はターゲットの品質を達成するのに必要なものを超える送信電力)が生じる結果となる。ソース装置及び宛先装置間での直接通信と比較して、マルチホップ通信で達成されるゲインを更に増やすようにはせず、この過剰な送信電力は単に干渉レベルを増やし、通信品質の劣化を招く。劣化はマルチホップシステムのポテンシャルゲインを弱める傾向をもたらし、これは以前に考察されたマルチホップ通信システムの貧弱なシミュレーション結果を説明する。
【0021】
更に(例えば)2ホップシステムにわたる全体的なスループットは:中間装置で受信されるデータパケット数及び宛先装置で受信されるデータパケット数の低い方によって制限される。受信機で受信されたデータパケット数は、その受信機で終端する通信リンクの品質に依存する。これは例えばスループットの測定値、受信信号強度(RSS)の測定値又は信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値によって反映される。かくて実際上マルチホップシステム中の最低品質の通信信号を受信する受信機が、データパケット伝送に関する「ボトルネック」(障害)を形成し、これによりマルチホップシステム内の他のリンクにおけるデータ伝送容量を浪費する。送信機での送信電力の増加は、その最低品質の通信信号を改善するようには機能せず、余分な送信電力を追加する結果になる。従ってそのシステムパフォーマンスでは更なる劣化が生じる。これは図9A及び9Bに示され、これらはソース装置(NB)の送信電力に関し、シングルホップシステムで観測されたものと比較した、2ホップシステムのユーザによって観測された平均パケットスループットのゲイン変化をプロットしている。各グラフは4つのプロットを含み、各々は中間装置の異なる送信電力に関連する。基地局の送信電力が最適点を超えて増やされると、より多くの信号エネルギの放出であるにも関わらず、ゲインの顕著な劣化が生じることが理解できる。
【0022】
従って、本発明の好適実施例でなされる改善は、宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値と中間装置で受信された通信信号の品質の測定値との間の如何なる不均衡でも減らされる又は防がれることを保証するようにする本発明の様々な手法に帰することが理解できるであろう。かくてデータパケットのスループットを改善しない且つ干渉レベルを増やすようにしか機能しない余分なりソース割り当てが最小化される。
【0023】
マルチホップシステムでは、「不均衡(imbalance)」(即ち、宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値と中間装置で受信された通信信号の品質の測定値との相違)を招くおそれを生じさせる多数の様々なイベントが存在する:
i)リンクの一方で生じるパスロスが変化する。これはそのリンクに関する送信機及び受信機の一方又は双方の位置変化に起因し、又は送信機及び受信機間で生じる環境状態や干渉レベルの変化に起因するかもしれない。
【0024】
ii)通信信号を受信する装置はターゲットRSS又はターゲットSINRを有するのが通常的である。これは通常的にはネットワークプロバイダにより設定され、通信システムや受信装置の特性に依存して又は送信されるデータのタイプに依存して変わってもよい。移動電話機又は他のユーザ装置のターゲットRSS/SINRは変化してよく、ターゲットの如何なる変化も、送信装置の送信電力を調整することで対処され、その調整は宛先装置で受信された通信信号の品質のターゲット受信信号品質からの変化測定値(即ち、「ターゲットからの変化」)を最小化するようになされる。マルチホップシステムの場合には、或る受信装置のターゲットの変化に対処する際に、或る装置の送信電力を単に調整したのではシステム内の不均衡を招いてしまう。
【0025】
本発明の実施例は、ソース装置から基地局へ1以上の中間装置を介してアップリンク(UL)で伝送されるデータスループットを改善するために、不均衡又は潜在的な不均衡に応じる手法を提供し、その不均衡は上記の可能なイベントの結果として生じる。標準的な通信システムではアップリンクはUE及びNB間のリンクである。マルチホップの場合、ULは通信がNBに向かう方向のリンクを示す(例えば、UEからRN、RNからNB側のRN、及びRNからNBである。)。更に本発明の実施例はマルチホップシステムを最適化する手法をもたらし、1以上の受信機で設定される如何なるターゲット品質も実質的に維持され、各リンクにわたるデータのスループットは実質的に等しくなる。
【0026】
本発明の第1形態の例によれば、ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムが提供され、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は基地局で受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、当該システムは:
i)基地局により導出されるインジケータの所望値からの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
ii)基地局に設けられ、第1計算手段を有する制御手段であって、そのような変化の検出に続いて、中間装置の新たな送信電力又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算し、新たな計算値はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じる不均衡を実質的に防ぐところの制御手段;を有する。
【0027】
有利なことに、本発明の第1形態の第1の例は、i)中間装置の新たな送信電力を計算することで、中間装置及び基地局間のパスロス変化に起因する所望値からの変位に応答して;又はii)中間装置及びソース装置双方の新たな送信電力を計算することで、宛先装置のターゲット変化に続いて生じる潜在的な不均衡に応答して、宛先装置によって導出されたどのインジケータでも所望値に戻す手法をもたらす。
【0028】
本発明の第1形態の実施例では、通信信号を受信する受信機又は装置により導出される品質インジケータの1つは、その受信機で受信された通信信号の強度測定値(例えば、RSS)を含む。代替的に又は付加的に、受信機で導出されたインジケータの1つは、その装置で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値でもよいし、或いは受信装置に設定されたターゲット受信信号品質からの、その装置で受信された通信信号の品質の変分の測定値でもよい。ターゲットからの変分インジケータは、ターゲットRSSからの変分、SINRからの変分、又はRSS及びSINRの組み合わせに基づくターゲットからの変分でもよい。
【0029】
好ましくは、本発明の第1形態の実施例での不均衡は、基地局で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値及び中間装置で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値の間の差分より成る。
【0030】
ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムが提供され、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は制御手段を有し、基地局及び中間装置の各々は:基地局又は中間装置でそれぞれ受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、前記制御手段は中間装置及び基地局各々から前記インジケータを受信し、前記制御手段は:
i)基地局で導出された或るインジケータと中間装置で導出された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
ii)そのような不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する計算手段;を有する。
【0031】
有利なことに、本発明の第2形態の例はソース装置の送信電力を調整する手法を提供し、基地局で受信された通信信号の品質と中間装置で受信された通信信号の品質との間の均衡を維持又は達成しようとする。特に本発明の第2形態の例は有利なことに不均衡に応じる手段を備え、その不均衡はソース装置及び中間装置間のパスロスの変化に起因して生じるものである。
【0032】
本発明の第2形態の実施例では、中間装置及び宛先装置各々で導出されるインジケータの1つは、その宛先装置又は中間装置でそれぞれ受信された通信信号の強度測定値(例えば、RSS)を含む。代替的に又は付加的に、中間装置及び宛先装置の各々で導出されたインジケータの1つは、その宛先装置又は中華装置でそれぞれ受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値でもよい。
【0033】
好ましくは、不均衡検出手段はパスロス更新手段を有し、パスロス更新手段は、基地局及び中間装置からのインジケータ受信後に又はインジケータ(複数)の一方又は双方の変化後に、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が経験するパスロスの測定値を判定する。ソース装置及び中間装置間で伝送される通信信号が経験するパスロスの測定値は、その通信信号が伝送された時のソース装置の送信電力測定値から判定されることが好ましい。中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が経験するパスロスの測定値は、その通信信号が伝送された時の中間装置の送信電力測定値から判定されることが好ましい。中間装置は、中間装置の現在の送信電力を示す送信電力インジケータを、中間装置及び宛先装置間のパスロスを判定するのに使用するパスロス更新手段に送信する。或いは、中間装置の送信電力測定値は、i)最初の時点での中間装置の送信電力測定値及びii)その初期の時点以来生じた中間装置の送信電力変化の情報から判定されてもよい。
【0034】
中間装置は好ましくはソース装置により送信された信号を受信する受信機;及び受信した信号又はそれから導出された信号を宛先装置に送信する送信機を有する。中間装置で受信した通信信号を中間装置から送信する通信信号と分離するための信号の二重化は、周波数分割二重化(FDD)又は時分割二重化(TDD)でもよい。1以上の中間装置は好ましくはいわゆる中継ノード(RN: relay node)又は中継局(RS: relay−station)から構成される。意図される最終的宛先装置でない中継ノードは信号を受信し、その信号を別のノードに送信し、信号が意図される宛先に向かって進行するようにできる。中継ノードは、受信信号がビットレベルにデコードされてハード判定を行う再生タイプでもよい。受信したパケットに誤りが発見された場合には、再送が要求され、従ってRNはARQ又はH−ARQの機能を組み込んでいる。ARQ又はH−ARQは再送要求及び以後の再送信号の受信を管理する受信技法である。一端パケットが良好に受信された場合には、RNに組み込まれた何らかの無線リソース管理法に基づいて、宛先装置に向けて再送が計画される(スケジューリングされる)。或いは中継ノードは非再生タイプでもよく、その場合データは中継ノードで増幅され、その信号が次の局に転送される。中間装置又は中継ノードの機能は移動電話機や他のユーザ装置に備わってよいことが想定される。
【0035】
好ましくは、第1計算手段による中間装置の新たな送信電力の計算に続いて、中間装置の新たな送信電力がその中間装置の最大送信電力より大きいか否かが判定される。これは命令受信後に中間装置により、又は命令発行前に制御手段により判定されてもよい。好ましくは、新たな送信電力が所与の装置の最大送信電力より大きいことが制御手段により判定された場合に、計算手段はその最大送信電力を超えない第2の新たな送信電力を計算する。
【0036】
更に制御手段が中間装置の送信電力の変更要求を受信する場合には、制御手段は好ましくは入力信号を受信し、その要求が、基地局で導出されたターゲットインジケータからの変化に起因しているか否かを制御手段が判定できるようにする。その要求が基地局で導出されたターゲットインジケータからの変化に起因することが判定されると、第1計算手段は、中間装置の新たな送信電力に基づいて、ソース装置の新たな送信電力を更に計算し、中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値との間で発生している不均衡を実質的に防ぐようにする。ソース装置の新たな送信電力の計算に従って、好ましくは、基地局の新たな送信電力がソース装置の最大送信電力より大きいか否かを制御手段が判定する。新たな送信電力がソース装置の最大送信電力より大きいと制御手段により判定された場合には、第1計算手段は、その最大値を超えないソース装置の第2の新たな送信電力を計算する。有利なことに、第1計算手段は、ソース装置の第2の新たな送信電力の計算に続いて、中間装置の第2の新たな送信電力を計算し、その電力は、中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値との間で発生している不均衡を実質的に防ぐようにする。
【0037】
本発明の第1形態の例は、宛先装置で導出されたインジケータの所望値からの変化を検出し、そのインジケータと中間装置で導出された同じタイプのインジケータとの間の不均衡を均衡させるように又は防ぐようにしてもよいししなくてもよいことが理解されるべきである。更に、宛先装置で設定されたターゲットSINRからの変化に関するインジケータ変化が、ターゲットSINR変化の結果として検出される場合には(但し、宛先での受信SINRは不変のままである)、宛先装置及び中間装置で導出されたSINRのインジケータ間には何らの不均衡もなく(宛先装置でのターゲット変更前にシステムは均衡状態にあったことを仮定している)、制御手段は中間装置及びソース装置双方の送信電力に要求される調整量を計算し、その調整量は生じているSINRの不均衡を防ごうとする。
【0038】
本発明の第1及び第2形態は異なる状況で生じる又は場合によっては生じるかもしれない不均衡を減らす又は防ぐ。例えば中間装置及び基地局間のパスロスが変わる或いは基地局のターゲットが変わる状況が生じ得る。これら双方のイベントは基地局で導出されるインジケータの変化を招き、有利なことに本発明の第1形態の実施例で対処できる。好ましくはこれらの実施例は宛先装置のインジケータを常に監視するインジケータ変化検出手段を有する。従って宛先装置で導出される所望値からの如何なる変化や変分も速やかに検出可能である。
【0039】
中間装置及び基地局間のパスロス変化に従って、マルチホップシステムのバランスを取り戻すのに第1形態だけで充分であるかもしれない。多くの場合に第1形態だけでマルチホップシステムに関するバランスを維持するのに充分かもしれない。しかしながらソース装置及び宛先装置間のパスロスが変わると(これは、アドホックネットワークでの中間装置の位置変化に起因する、或いはそのリンクにわたる環境状態変化に起因するかもしれない)、その変化は、本発明の第2形態の実施例によって処理されなければならない。かくて本発明の第1及び第2形態双方を有する通信システムを用意することが望ましい。この場合本発明の第2形態の不均衡検出は周期的に実行される。かくて本発明の第1形態の好適実施例によれば、中間装置は、基地局で受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、中間装置及び基地局インジケータを制御手段に送信し、制御手段は:
i)基地局及び宛先装置のインジケータ間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
ii)そのような不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段;を更に有する。
【0040】
宛先装置のターゲット変化が、中間装置及び基地局間のパスロスの実質的な同時変化によって収容される場合が生じ得る。かくてインジケータ変化検出手段が基地局に備えられ、その基地局は中間装置の送信電力を変えるための要求を制御手段に送信する場合には、そのような状況が発生した場合に、中間装置の送信電力を変更する如何なる要求も宛先装置によって生成されない。これはそのシステムで不均衡を招き、その不均衡は本発明の第1形態によっては適正化されない。なぜなら基地局の新たなターゲットは(偶然に)適合しているが、ソース装置の送信電力に対応する変更は何らなされていないからである。この比較的まれな状況は本発明の第1及び第2形態双方を使用する通信システムで対処される。なぜなら中間装置及び基地局間で受けたパスロスの測定値変化は、パスロス更新手段で検出されるからである。中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値とを均衡させるために、第2計算手段は基地局の送信電力に必要な変化量を計算する。
【0041】
本発明の第1形態の実施例によれば、マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法が提供され、その通信システムはソース装置、宛基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するステップ;
ii)インジケータの変化を検出するステップ;
iii)そのような変化の検出に続いて、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;を有し、新たな送信電力はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らす;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐ。
【0042】
本発明の第2形態の実施例によれば、マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法が提供され、その通信システムはソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で又は中間装置でそれぞれ受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを、基地局及び中間装置の各々で導出するステップ;
ii)基地局で導出されたインジケータ及び中間装置で導出されたインジケータの間の不均衡を検出するステップ;及び
iii)そのような不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;を有する。
【0043】
本発明の第1形態の実施例によれば、少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局が提供され、当該基地局は:
i)当該基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;又は
ii)インジケータ導出手段により導出された或るインジケータの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
iii)そのような変化の検出に続いて、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算する第1計算手段を有する制御手段であって、その新たな送信電力は、a)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐところの制御手段;を有する。
【0044】
好ましくは基地局は入力信号を受信し、要求が、基地局で導出されたターゲットインジケータからの変分の変化に起因しているか否かを制御手段が判定できるようにし、その要求は宛先装置に設定されたターゲット受信信号品質の変化に起因して生じる。更に制御手段は或る命令を中間装置及び/又はソース装置に発行し、その命令は、中間装置の送信電力及び/又はソース装置の送信電力を、第1計算手段によって計算された新たな送信電力に従って変えるよう指令する。
【0045】
好ましくは基地局は中間装置からインジケータを受信するインジケータ受信手段を更に有し、そのインジケータは中間装置で受信した通信信号の品質を表し、基地局は基地局で導出された或るインジケータと中間装置から受信した或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段を更に有し;及び/又は制御手段は第2計算手段を有し、第2計算手段は、そのような不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する。好ましくは不均衡検出手段はパスロス更新手段を有し、パスロス更新手段はソース装置及び中間装置の間で並びに中間装置及び基地局の間で伝送される通信信号が経験するパスロスの測定値を判定する。
【0046】
本発明の第2形態の実施例によれば、少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局が提供され、当該基地局は:
i)基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;
ii)中間装置から1以上のインジケータを受信する受信手段(インジケータは中間装置で受信された通信信号の品質を表す);
iii)基地局で導出された或るインジケータと中間装置から受信された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
iv)そのような不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段を有する制御手段;を有する。
【0047】
好ましくは、不均衡検出手段はパスロス更新手段を更に有し、パスロス更新手段は、ソース装置及び並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定する。制御手段は、好ましくは、第2計算手段で計算された新たな送信電力に従って、変更するソース装置の送信電力の変更を指示する命令をソース装置に発行する命令手段を有する。
【0048】
本発目を使用する基地局、本発明を使用する中間装置又は本発明を使用する宛先装置で実行される通信方法も提供される。
【0049】
本発明の実施例は中継ノードが固定されているマルチホップシステムに特に有利である。更に本発明の実施例は有利なことに再生型及び非再生型中継いずれも使用されてよい。更に本発明の実施例は、維持される送信電力設定に関するセントラル化された制御を促し、中継局で必要とされる処理を最小化する点で有利である。これはネットワークの管理をより簡潔にする中央エンティティ内で制御を行うので、無線システムのオペレータに有利である。更に、万一中継局が不具合を生じた場合には、制御が基地局(ノードB)で行われることに起因して、集約的な測定がオペレータにより可能である。更に、中間装置での処理が最少に維持されることは、仮に中間装置が移動装置や遠隔装置であった場合に、電力消費を減らしてバッテリ寿命を延ばす観点から有利である。
【0050】
所望値は、システムが実質的に均衡している場合に宛先装置で設定されたターゲットにおけるもの又はそれに近いものである(即ち、宛先装置で受信される通信信号の品質の測定値は、中間装置で受信される通信信号の品質の測定値と均衡している。)。かくて本発明の第1形態の例は、有利なことに、宛先装置で受信された通信信号の品質を、宛先装置で設定されたターゲット値又はそれに近い値に維持するように使用される。そして本発明の第2形態の例は、宛先装置及び中間装置の間でバランスが達成されることを保証するシステムを最適化することを要する。
【0051】
かくてインジケータ変化検出手段は既に均衡している又は最適化されているシステムで使用されてよいことが理解されるべきである。かくて所望値からの変化は或るイベントに起因して生じ、そのイベントは宛先装置での通信信号の品質測定値の変化をもたらし、先行する中間装置に割り当てられるリソースに必要とされる変化量が決定される。
【0052】
リソース割り当てに必要とされる変化量は第1計算手段で計算される。インジケータの変化がターゲットの変化に起因する場合には、第1計算手段はソース装置の新たな送信電力を計算し、その新たな送信電力は、宛先装置での新たなターゲット品質に起因して生じる不均衡を防ごうとする。ターゲットは変わらないがパスロスは変わり、通信信号の品質が変わる場合には、バランスを維持するために計算手段は中間装置の新たな送信電力を計算することしか要しない。ソース装置及び中間装置間のパスロス変化は、中間装置でのRSS/SINRの変化を招き、システム/方法で処理される必要があり、そのシステム等は本発明の第2形態を利用する、或いはインジケータ変化検出手段及び不均衡検出手段双方を利用する。
【0053】
本発明の実施例は如何なる多重アクセス技術をも用いる無線通信システムで実行されてよく、その多重アクセス技術は、限定ではないが、周波数分割多重アクセス(FDMA)、時分割多重アクセス(TDMA)、符号分割多重アクセス(CDMA)及び直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を含む。CDMAシステムの場合には、全ての送信は同一周波数帯域で行われ、各送信には固有のチャネライゼーションコードが割り当てられ、Gp因子は送信信号を拡散するのに使用される拡散率又は符号長を表し、或いは処理利得としても知られている。直交拡散コードの場合には、高々Gp個のチャネルが同時送信に利用可能である。
【0054】
第1及び第2計算手段で実行される実際の計算は、可能な多数の手法で導出されてよい。マルチホップネットワーク中の受信要素各々でのSINRの考察に基づく或る導出法が後述され、その導出法は、様々な配備状況について、マルチホップネットワークを構成する送信要素の最適な送信電力を計算するための可能な多数の解を導出する。マルチホップネットワークの受信機での通信信号品質の他の種類の測定値を考察することで及びそれらの測定値を均衡させる本発明の原理を考察することで、代替的な解が導出されてよいことを当業者は理解するであろう。
【0055】
「ユーザ装置」なる用語は、無線通信システムで使用されるように動作する如何なる装置をも包含することが理解されるべきである。更に本発明は現在知られている技術で使用される用語で主に説明されているが、本発明の実施例は有利なことに如何なる無線通信システムに適用されてもよいことが意図され、そのシステムはソース及び宛先装置間で中継装置を介して通信信号の伝送を促す。
【0056】
上記のどの例においても、様々な特徴はハードウエアで、1以上のプロセッサで動作するソフトウエアモジュールとして、又はそれらの組み合わせで実行されてよい。本発明は、ここで説明されたどの方法でも実行するオペレーティングプログラム(コンピュータプログラム及びコンピュータプログラムプロダクト)や、ここで説明されるどの手法でも実行するためのプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な媒体ももたらす。本発明を利用するプログラムはコンピュータ読み取り可能な媒体に格納され、或いは例えばインターネットウエブサイトから提供されるダウンロード可能なデータ信号のような信号形式でもよし、或いは多の如何なる形式でもよい。
【0057】
本発明を更に理解するため及び本発明を実行してどのように効果が得られるかを説明するために、添付図面が例示的に参照される。
【実施例1】
【0058】
図3を参照しながら本発明の第1形態の実施例を実行するアルゴリズム例が説明される。図3ではソース装置はユーザ装置(UE)で構成され、中間装置は再生タイプの中継ノード(RN)で構成され、宛先装置は基地局(NB)で構成される。基地局はRSSを継続的に監視し、RSSのインジケータ及び目標RSSからの変分を導出する。基地局はこれらのインジケータの一方又は双方の変化を検出するインジケータ変化検出手段を備える。基地局は本発明の例による第1計算手段を有する制御手段も備える。
【0059】
NBにより導出されたインジケータの変化に続いて新たなRN送信電力の明示的な計算を可能にするために、NBの制御手段は現在のRN送信電力の情報必要とする。この情報を得るために2つの技法が利用可能であり:1)NBは最大値に加えてRNの初期送信電力の情報を有する;この情報は固定的なものでもよいし、RNがNBに接続される場合に通知されてもよい。そしてNBはRN送信電力を変更する要求が発行されるとその電力を追跡する、或いは2)RNは現在の送信電力をNBに報告し、NBでの追跡の必要性を避けてもよい。このアルゴリズムは第1の技法が使用されることを仮定している(シグナリングの複雑さがより少ない利益があるからである。)。
【0060】
アルゴリズムの詳細は以下のように要約される:
アップリンクアルゴリズム1:パート1
トリガ:NBでのRN送信電力変更要求
アルゴリズム入力 要求元 原因
RN送信電力の変更要求 NB NBで導出
RN送信電力 NB NBでの探知/算出
UE送信電力 NB NBでの探知/算出
アルゴリズム出力 導出 宛先及び通知要求
新たなRN送信電力 明示的な計算 RNに通知されるRN送信電力の相対的変化
新たなUE送信電力 明示的な計算 RNを介してUEに通知されるUE送信電力の相対的変化
以下のシーケンスは基地局により導出されたインジケータ変化の検出後に実行され、i)中間装置で受信された通信信号の品質測定値及び基地局で受信された通信信号の品質測定値の間の不均衡を実質的に減らし;又は(NB)ii)生じるその不均衡を実質的に防ぐ。
【0061】
1.NBの制御手段は、RNの送信電力限界を考慮してRNの新たな送信電力を計算する。
【0062】
2a.基地局のインジケータ変化検出手段で検出された変化が、中間装置及び基地局間の伝搬損失の変化の結果として起こったならば(例えば、SINRのインジケータが変化した場合)、基地局の制御手段はRNの送信電力の変更を指令する命令をRNに送信する;又は
2b.基地局のインジケータ変化検出手段で検出された変化が、その基地局に関するターゲット品質インジケータ群の変化の結果として起こったならば(例えば、ターゲットRSSからの変分インジケータが変化した場合):
i)第1計算手段はソース装置(UE)の新たな送信電力を計算し、その送信電力はRNに関して算出された新たな送信電力に対応するものである。CDMAシステムの場合には、第1計算手段はいわゆる「遠近(near−far)」効果を最小化するように、ソース装置の新たな送信電力計算値を修正する。こうしてUEの送信電力は最適値から増やされる或いは減らされる。その修正はシステムオペレータの要請に依存するであろう。なぜならマルチホップによるパフォーマンスゲインに対する変則的なパワーバランス削減の影響は、複数ユーザの状況下での受信機のパフォーマンス低減に対して重み付けされなければならないからである(全ての受信信号レベルが等しくはないからである。)。
【0063】
ii)算出された送信電力に合わせるために必要なUEの送信電力の調整がなされ得ることを、NBはUEの最大送信電力を考慮しながら検査する。UEの算出された新たな送信電力が満たされ得ないことが確認されると、第1計算手段はRN及びUE双方について修正された新たな送信電力を計算する。CDMAシステムの場合には、第1計算手段はいわゆる「遠近(near−far)」効果を最小化するように、ソース装置の新たな送信電力計算値を修正する;及び
iii)第1計算手段で計算された新たな送信電力に従ってRN及びUEの送信電力の変更を指令するように制御手段はRN及びUEに命令を発行する。
【0064】
上述のアルゴリズムはRN及びNB間で伝搬損失が変化する場合や、ターゲットRSSをNBが修正する場合に何とか対処する。上記のアルゴリズムがUEの新たな送信電力を決定しないように、UE及びRN間で伝搬ロスが変化する場合、及びNBでのターゲットとRN及びUE間の伝搬ロスとの双方が変化する場合を取り扱うために、本発明の第2形態の別の例を実行するアルゴリズムは以下に説明されるように周期的に動作する。
【0065】
アルゴリズムの詳細は次のように要約される:
アップリンクアルゴリズム1:パート2
トリガ:NBで周期的に実行される
アルゴリズム入力 要求元 原因
RNでのRSS NB RNからの通知
RNでのRSS NB NBで監視
RN送信電力 NB NBで探知/算出
UE送信電力 NB NBで探知/算出
アルゴリズム出力 導出 宛先及び通知要求
新たなUE送信電力 明示的な計算 RNを介してUEに通知されるUE電力の相対的変化
新たなRN送信電力 明示的な計算 RNに通知されるRN電力の相対的変化
伝搬損失 明示的な計算 Tx及びRxのパワー差から導出され、NBで使用される
有利なことにアルゴリズムは図4に関して上述されたアルゴリズムと共に実行されてもよい。或いは図4に関して説明されるアルゴリズム−即ち以下のアルゴリズム−は無線マルチホップ通信システムで別個に実行可能である。
【0066】
アルゴリズムは、RNで導出された通信信号の品質(RSS)のインジケータがNBに報告されることを仮定している。NBはRNにより及びNBのインジケータ変化検出手段により導出されたインジケータをモニタし、2つのリンクにわたる第2計算手段による伝搬損失の計算を支援する。NBはRN送信電力及びUE送信電力の情報を必要とし、その情報は2つの技術の一方により得られてもよい:1)NBは最大値に加えてRN/UEの初期送信電力の情報を有し;この情報は固定的でもよいし、RN/UEがNBに接続される場合に通知されてもよい。そしてNBはRN/UE送信電力を変更する命令が発行されるとその電力を探知する、或いは2)RN/UEは現在の送信電力をNBに報告し、NBでの追跡の必要性を避けてもよい。このアルゴリズムは第1の技法が使用されることを仮定している(シグナリングの複雑さがより少ない利益があるからである。)。
【0067】
1.NBはNB及びRN双方で導出された受信信号強度のインジケータをモニタする。これをRN及びUE送信電力の情報と共に利用することで、UE−RN及びRN−NBリンクの伝搬損失を更新する。
【0068】
2.UE−RN又はRN−NBの伝搬損失の変化が検出された場合には、最適なUE送信電力を計算するために、RN送信電力の情報と共に、更新された伝搬損失が第2計算手段により使用される。CDMAシステムの場合には、第1計算手段はいわゆる「遠近(near−far)」効果を最小化するように、ソース装置の新たな送信電力計算値を修正する。伝搬損失変化が一切検出されなかった場合には、アルゴリズムのその回の反復は終了する。
【0069】
3.算出された最適送信電力が現在のUE送信電力と異なっているか否かをNBは検査する。
【0070】
3a.異なっていなかったならば、アルゴリズムのその回の反復は終了する;或いは
3b.異なっていたならば:
i)計算された新たなUE送信電力が満たされるならば(即ち、UEの最大送信電力を超えないならば)、第2計算手段によって計算された新たな送信電力に従ってUEがその送信電力を調整するように、NBはUEに命令を通知する;或いは
ii)計算されたUE送信電力が満たされなかった場合には、UE送信電力は満たされるものに修正される。そして第2計算手段は最適な均衡を保証する新たなRN送信電力を計算する。第2計算手段によって計算された新たな送信電力に従って送信電力を調整するように、NBはUE及びRNに命令を通知する。
【実施例2】
【0071】
[理論解析]
以下の理論解析は、様々な配備状況のマルチホップネットワークを構成する送信要素の最適な送信電力を計算するための可能な解を導出する。マルチホップネットワークのダウンリンクを形成するコネクションの場合についてのみ数式が展開されるが、導出された数式をアップリンクの場合に適用することは容易である。そのような適用は、受信ノードでの受信SINRの表現を展開するのに使用されたのと同じ手法を採用することで達成され、この場合送信ノードはUE及びRNであり、この場合受信ノードはNB及びRNである。RN及びNBで受信されるSINRについての表式にいったん辿り着くと、UE及びRNの最適な送信電力設定値を決定するために、同じ方法論が配備状況の各々に使用可能である。シングルセルモデル及び2セルモデルを仮定しながら、各配備状況について理論的な解が得られる。2セルモデルの場合には、セル双方での配置は等しいこと及び基地局(BS)及び中間装置(I)の送信電力は同じであることが仮定される。適切ならば、Ptx_tot,RN=GpPtx,RN及びPtx_tot,NB=GpPtx,NBであること、及びTDDの場合に双方のRNが同時に送信することも仮定される。事実上これは2セルに関して最悪の状況を生み出す。
【0072】
理論解は、マルチホップシステムの受信ノード(即ち、中間装置(I)及び宛先装置(D))で経験する信号対干渉プラス雑音比(SINR)を考察することから発展されてもよい。特定のノードでのSINRはそのノードで受信された通信信号の品質測定値であり、非希望信号(ノイズ及び干渉)の受信信号強度に対する希望信号の受信強度の比率である。
【0073】
上述したように、ノイズ及び干渉に必要な考察は、中間装置で受信される信号を中間装置から送信されるものから分離するのに使用される二重化方法、中間装置の特性、及び考慮されるセル間干渉レベル(即ち、隣接セルからの干渉)に依存する。
【0074】
以下の数式は、中間装置から宛先装置へ伝送される通信信号の全ての状況についてのSINRを表現し、中間装置のタイプ(例えば、非再生型又は再生型)及び二重化方法に依存してそれぞれの項は無視されてもよい:
【0075】
【数1】
TDDではなくFDDの場合には括弧内の第3項は除去され、非再生型ではなく再生型の場合には括弧内の第2項が除去される。
【0076】
図1Bに示されるような2セルモデルの場合には、これは次のように書ける:
【0077】
【数2】
第2式の括弧内の最初の3つの項は第1式のものと同じである。追加的な後ろの2項は隣接している同一チャネルNB,RN各々から受ける干渉に起因する。明らかに、隣接するセルが異なる周波数を利用する場合又は中継伝送に異なるタイムスロットを利用する場合には、この干渉を形成するのに必要な項は変わるであろう。これらの数式は高精度化するために3セルモデル以上に拡張可能であることが理解されるべきである。
【0078】
基地局又はノードB(NB)と宛先ユーザ装置(UE)との間で中間的な中継ノード(RN)を経て伝送されるダウンリンク(DL)伝送の場合に、可能な様々な配備状況が考察される。
【0079】
[1A.]
[図1Aに示されるようなFDD−シングルセル−モデルによる再生中継]
この場合、中間のRNに接続される宛先UEでのSINRは次式で与えられる:
【0080】
【数3】
ここで、Gpは処理利得(プロセスゲイン)であり、Ptx,RNは対象とするチャネルのRNにおける送信電力であり、LRN−UEはRNからUEに至るリンクでの伝搬損失であり、Nはノイズである。これはセル内の干渉は一切存在しないことを仮定していることに留意を要する。
【0081】
NBから信号を受信する中間RNでのSINRは次式で与えられる:
【0082】
【数4】
ここで、Ptx,NBは対象とするチャネルのNBにおける送信電力であり、LNB−RNはNBからRNに至るリンクでの伝搬損失である。ここでも再びセル内干渉は無いことが仮定されている。
【0083】
マルチホップリンク全体にわたるスループットは2つのSINR値の低い方によって制限される。なぜならそれ(低い方)はデータがエンティティに伝送されることの可能なレートを制限するからである。SINRの不均衡を引き起こす送信電力の如何なる増加も、マルチホップシステムのパフォーマンスを改善しないであろうし;それは単にエネルギの浪費となり、どの同一チャネルユーザにとっても干渉を増やすことになるであろう。
【0084】
かくて中間のRNの受信機と宛先UEの受信機とが同様に動作すると仮定するならば、NB及びRNの送信電力は、RN及びUEでのSINRが同じになるように設定されるべきである、ということになる。送信電力の比率を設定するためにこの基準を使用すると、その比率は次式のようになる:
【0085】
【数5】
ここで、b1,n1はNBからRNに至るリンク(長さs1)のパスロスパラメータであり、b2,n2,s2はRNからUEへのリンクに関連するものである。数式(3)を用いることで、他方に与える送信電力を見出すことができる。
【0086】
[1B.]
[図1Bに示されるようなFDD−2セルモデルによる再生中継]
この場合、送信電力の式は、他セルで行っている送信によって引き起こされる干渉を考慮することによって導出される。
【0087】
この場合、中間RNから信号を受信する宛先UEでのSINRは、次のようになる:
【0088】
【数6】
最適なNB送信電力は(4)及び(2)を等しく設定することで見出される。従って:
【0089】
【数7】
である。所与のソースNB送信電力の下での中間RN送信電力を見出すために、(5)は次のように書き直すことができる:
【0090】
【数8】
[2A.]
[図1AのシングルセルモデルでTDDの場合の再生中継]
RNの受信及び送信動作を分離するためにTDDを利用し、2つのリンク(ソースから中間へ及び中間から宛先へ)が同一周波数で動作することが仮定される(即ち、もはや全二重ではない。)。RNが送信するタイムスロットはNBによっては使用されず、FDD二重化法の再生中継の場合に関して説明された数式が使用可能であることが仮定される。しかしながら、ソースNBが或るRNと異なる装置又はノードと通信するためにその中間RNと同じタイムスロットを使用するならば、そのRNによる送信に起因して干渉が生じることになる。この場合、中間RNから通信信号を受信する宛先UEでのSINRは次式のように与えられる:
【0091】
【数9】
ここで、Ptx_tot,NBはNBからの全送信電力であり、LNB−UEはNBからUEに至るリンクでの伝搬損失である。この場合、同じSINRを保証するRNでの送信電力は次式で与えられる:
【0092】
【数10】
数式(3)及び数式(8)を比較すると、もはや単純な比率は理想的な均衡をもたらさないことが分かる。Ptx_tot,NB=GpPtx,NBであるとすると、数式(8)は次のように書ける:
【0093】
【数11】
(9)式より、所与のNB送信電力の下で理想的なRN送信電力を決定することができる。2番目の括弧内の2番目の項が無視できるようにシステムの設定がなされていたならば(即ち、Ptx_tot,NB/NLNB−UE<<1)、FDDデュプレックス法による再生中継の場合に関する上述の基準が使用可能になることは、言及に値するであろう。
【0094】
所与の或るRN送信電力の下でのNB送信電力は(9)の根から見出すことができる、ということになる。次のように簡略化された形式で数式(9)は:
【0095】
【数12】
のようになる。ここで、
【0096】
【数13】
である。(10)の根は次式で与えられる:
【0097】
【数14】
送信電力は正の数なので、1つの解のみが定まり、従ってRN及びUEで等しいSINRを保証するNBでの最適な送信電力は、次式で与えられる:
【0098】
【数15】
最後に、上記の定義を利用して(9)を書き直すことができ、それは同様に簡易な形式で最適なRN送信電力を与える:
Ptx,RN= bPtx,NB+a(Ptx,NB)2 (13)。
【0099】
[2B.]
[図1Bで示される2セルモデルでTDDの場合の再生中継]
双方での配備が同じであり、NB及びRNでの送信電力が同じであると仮定することに加えて、適切ならばPtx−tot,RN=Gp Ptx,RN及びPtx−tot,NB=Gp Ptx,NBであること、及びTDDの場合に双方のRNが同じ時間に送信することが仮定される。これは事実上2セルの場合の劣悪な状況を生み出す。
【0100】
この場合、中間RNから信号を受信する宛先UEでのSINRは、次のようになる:
【0101】
【数16】
最適なNB送信電力は(14)及び(2)を等しく設定することで見出すことができる:
【0102】
【数17】
最適なNB送信電力は正の解から見出される:
【0103】
【数18】
解は次式で与えられる:
【0104】
【数19】
ここで、この場合には
【0105】
【数20】
であり、b及びc双方がRN送信電力の関数になる。
【0106】
そのNB送信電力の下で、RN送信電力を見出すために(15)を書き直すことができる。最適なRN送信電力は次式のように与えられることになる:
【0107】
【数21】
[3A.]
[図1Aに示されるFDD−シングルセルモデルによる非再生的中継ノード(RN)]
この例の場合とFDD二重化法に関して使用された再生中継ノードの場合との間の相違は、UEでのSINRがRNでのSINRの関数になっていることであり、RNに接続される宛先UEでのSINRは次式で与えられる:
【0108】
【数22】
理想的なバランス(均衡)はUEでのSINRをRNでのものに等しく設定することによってはもはや導出されない結果となる。(19)によれば、RNでのSINRは、UEでのターゲットSINRが得られるのを妨げないように設定されることを要する。しかしながらNB電力はRNでの或るレベルを超えて生じるSINRを制限するように抑制される必要があり、そのSINRは、実際上必要とされる以上の過剰な干渉及び無駄な送信電力を生じることになってしまうものである。
【0109】
図5は2つの異なる配備状況について、NB及びRN送信電力の設定内容が、RNに接続されたUEでのSINRにどのように影響するかを示す。
【0110】
かくて最適解は、図5に示される面の中でシステムが山折りの対角線に沿って(diagonal fold)実際上動作するようにNB及びRNの送信電力を選択することであることが理解できる。(19)の1階微分を計算し、UEでのSINRに関してNB又はRN送信電力が最も少なく増える結果となる地点を見つけることで、そのような解を実現できる。
【0111】
(19)の第1導関数を判定するために、(19)は次式のように書き直される:
【0112】
【数23】
次式のように定義する。
【0113】
【数24】
(20)は次式のように簡略化できる:
【0114】
【数25】
Ptx,NBによるSINRの変化率を求めるために、商の微分規則が使用される:
【0115】
【数26】
要求される勾配及びPtx,RNの下で(22)をPtx,NBに関して解くことで、最適なNB送信電力を見出すことができる:
【0116】
【数27】
NBの最適送信電力の下で最適なRN送信電力を見出すために、(21)の微分がPtx,RNに関して実行される。この場合、1次導関数は次式で与えられる:
【0117】
【数28】
そして、NBの最適送信電力の下での最適なRN送信電力は、次式で与えられる:
【0118】
【数29】
[3B.]
[図1Bに示されるようなFDD−2セルモデルによる非再生的中継ノード(RN)]
2セルモデルでは、セル端における宛先UEの良好でない状況に関するSINRは、次式で与えられる:
【0119】
【数30】
2つのRNの送信電力が等しく、2セルの配置が等しく、Ptx_tot,RN= GPPtx,RN であると仮定すると、(26)式の簡略化された形式が次式のように得られる:
【0120】
【数31】
1階微分は次のようになる:
【0121】
【数32】
かくて最適なNB送信電力は次式により見出される:
【0122】
【数33】
最適なRN送信電力はPtx,RNに関して(27)の微分を計算することで見出される:
【0123】
【数34】
かくて最適なRN送信電力は次式により見出される:
【0124】
【数35】
[4A.]
[図1Aに示されるようなTDD−シングルセルモデルによる非再生的中継]
この状況は非再生的な上記の場合と同様であるが、目下の場合NBからの干渉が考慮されなければならない点が異なる。NBはRNと同一周波数及び同一時間に送信を行うからである。この場合、RNによって送信された通信信号を受信しているUEでのSINRは次式で与えられる:
【0125】
【数36】
Ptx,NB/ Ptx,RNが大きすぎる場合には、UEでのSINRは不十分なRN送信電力に起因して制限され、RNへの接続のリンクパフォーマンスが優れた領域に相応しくなり、NBへの接続は減少する。逆にそれが非常に小さかったならば、UEでのSINRは、RNでの低いSINRによって制限される。
【0126】
この場合、図6に示されるように、FDD二重化法と共に使用された非再生的中継の場合に説明されたものよりも、バランスは更に繊細に(複雑に)なる。最適な動作点は(32)の第1導関数がゼロに等しくなる点を発見することで与えられる。この最適点を見つけるために、(32)は先ず次の形式に書き直される:
【0127】
【数37】
ここで次式が定義される:
【0128】
【数38】
上記の[3A.]での議論による定義と、
【0129】
【数39】
の式から、(33)は次式のように簡易化できる:
【0130】
【数40】
次の段階は、次式を解くことで(34)の放物関数の1つの最大値を見つけることである:
【0131】
【数41】
(34)の1次微分を見出すために商規則を利用することで、次式を得る:
【0132】
【数42】
yの最大値は(36)をゼロに等しく設定し、Ptx,NBに関して解くことで発見可能である。UEでの最大SINRは次式のように置くことで得られる:
【0133】
【数43】
従ってRNの所与の送信電力の下で、RNに接続されたUEでの最大SINRを保証する対応するNB送信電力を見出すために、(37)を利用することができる。
【0134】
そのNB送信電力の下で最適なRN送信電力を発見する場合には、UEでのSINRがRN送信電力の二次関数でないような、FDD二重化法と共に使用される非再生的中継ノードの場合に上述されたものと同様の手法が使用可能である。最適なRN送信電力を見つけるために、(34)は次のように書き換えられる:
【0135】
【数44】
1次微分は次のようになる:
【0136】
【数45】
Ptx,RNに関して(39)を解くことで、そのNB送信電力の下での最適なRN送信電力が次式のように得られる:
【0137】
【数46】
図6の面、(34)の関数形及び(40)の結果を見ることで、NB送信電力が小さかった場合には、RN送信電力のSINR変化率は、RN送信電力の増加に関して減少することが明らかである。しかしながら大きなNB送信電力の場合には、UEでのSINRはRN送信電力の線形関数に近い。これは、(40)にまとめられているこの場合の問題の解が無限になることの結果である。
【0138】
[4B.]
[図1に示されるTDD−2セルモデルによる非再生的中継]
セル端のUEの見地から、より悪い状態は、隣接するセルがRN送信に使用されるのと同じタイムスロットを用いるTDD法を使用する場合である。セルが同じ配置及び送信電力でサイズが等しく、Ptx_tot,RN/NB=GpPtx,RN/NB であると仮定すると:
【0139】
【数47】
である。この場合(4)式の簡略化された形式は次式のようになる:
【0140】
【数48】
そして第1微分は次のようになる:
【0141】
【数49】
最終的に、(43)をゼロに等しく設定し且つPtx,NBに関して解くことで最大値が得られる:
【0142】
【数50】
そのNB送信電力の下で最適なRN送信電力を見つけるために、(42)は次のように書き直せる:
【0143】
【数51】
第1微分は次のようになる:
【0144】
【数52】
Ptx,RNに関して解くことで、そのNB送信電力の下での最適なRN送信電力が得られる:
【0145】
【数53】
再び、大きなNB送信電力の場合に、UEでのSINRはRN送信電力の線形関数に近くなる。これは(47)の解は無限になる結果になる。
【0146】
最適な送信電力バランスは、様々な中継や二重化法に関する及び2つの別々の配備状況に関する上記の解に基づいて決定される。それらの配備状況(シナリオ)は表3にまとめられ、(48)のパスロスの式に関する伝搬パラメータは表4の中にある。
【0147】
L=b+10 n logd (48)
【0148】
【表3】
表3:配備シナリオ
送信機受信機間の隔たりはセル半径に等しい(即ち、UEはセル半径の場所に位置する)。示されているRN位置は、NBが位置するセル中心を基準とする距離である。従ってRN位置はNBからRNまでの距離である。そしてRN−UEはセル半径及びNB−RN距離の差分である。
【0149】
【表4】
表4:伝搬パラメータ
_再生中継
FDDに関して(3)及び(5)の式に及びTDDに関して(12)及び(17)の式に表3及び表4に与えられる値を代入することで、所与のRN送信電力の下で最適なNB送信電力を見出すことができる。図7Aは、2つの配備状況についてFDD及びTDD双方のRN送信電力の関数として、最適なNB送信電力を示す。
【0150】
_FDDによる非再生中継
図7Bに示されるように、パラメータを(23)及び(24)に代入することで、2つの配備状況について最適なNB送信電力を求めることができる。
【0151】
_TDDによる非再生中継
図7Cに示されるように、パラメータを(37)及び(44)に代入することで、2つの配備状況について最適なNB送信電力を求めることができる。
【0152】
[システムレベルシミュレーション結果]
図7Cの結果に基づいて予測されるスループットゲインの最適送信電力設定内容を確認するため、RN及びNBの送信電力が最適ポイント近辺で変化する平均パケットコールスループットゲインを用いて、3番目の送信時間間隔毎に伝送内容を中継するTDD二重化の非再生的中継を行うマルチホップHSDMAネットワークのシステムシミュレーションが行われた。
【0153】
表3で説明済みの2つの配備状況についてのシステムレベルシミュレーション結果が提示される。シミュレーションパラメータは以下の表5及び表6に掲げられる。
【0154】
【表5】
表5:配備パラメータ
【0155】
【表6】
表6:シミュレーションパラメータ
双方の配備状況に関し、ユーザによって体験される平均パケットコールスループットのゲイン(30dBmのNB送信電力でシングルホップシステムの場合に観測される)が、4つの異なるRN送信電力についてのNB送信電力の関数としてプロットされている。図8Aは配備状況(シナリオ)1に関するゲインを示し、図8Bはシナリオ2に関するゲインを示す。
【0156】
NBからUEへのリンクのチャネルゲインは、NBからRN及びRNからUEへのリンクに関するものより3dB高くなっていることに留意を要する。これは、RNに接続されたUEが体験する別のNBからの干渉は、図7A,7B及び7Cに関して上述されたリンク分析に使用されたものの二倍になることを意味する。
【0157】
このチャネルゲインは送信信号の多数のレプリカが受信されることに起因し、これら全てについての電力が加算される場合には、NBからUEへのチャネルの場合に、合計電力はNBからRNへ又はRNからUEへのチャネルで2倍になる。これが3dBの説明となる(3dBは2倍に等しい。)。NBからUEへのチャネルに関してチャネルゲインの結果はより高くなり、これは、マルチパスを介したチャネルゲインが一切考慮されない地点に至るまで、受信信号電力が分析に使用されたものよりも3dB(即ち、2倍)高くなることを意味する。
【0158】
[リンクベースの予測及びシステムシミュレーションの比較]
図9は各配備状況についてTDDの非再生的中継用のRN送信電力の関数として、最適NB送信電力を示し、NBからUEへのリンクは他のリンクに比べて3dBのゲインを有することが仮定されている。この場合、シミュレーションで使用されたRN送信電力について、NBでの予測された送信電力は、スループットゲインに関する表7に掲載され、そのゲインはこれらの設定値が使用された場合に得られる達成可能な最大値である。
【0159】
【表7】
表7:予測される最適NB送信電力及びその結果のシミュレーションスループットゲイン(観測される最大ゲインと比較された、その設定値から達成可能な値)
上記の数式に基づく技法を用いて本発明による好適実施例に従ってパワーバランスが図られる場合に、選択されるパワーバランスは一般に最適地点の利用域内にあることを、表7、図7A及び図8Bは示す。特に使用される送信電力に関し、ゲインは常に達成可能な最大値の10%以内にあることが示され、そのズレはマルチセルシステムをモデル化するのに2セルモデルを利用していることに起因する。
【0160】
送信電力の均衡を図る必要性は図8A及び8B双方に提示される結果から明白であり、NB送信が最適ポイントを超えて増やされる場合には、より多くの信号エネルギを放出するにもかかわらず、かなりのゲイン劣化が経験されることが示される。NB送信電力が注意深く選択されるならば、RN送信電力に対するゲインの感度が減らされることも示される。
【0161】
以下、本発明により教示される手段が例示的に列挙される。
【0162】
(付記1)
ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムであって、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は該基地局で受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、当該システムは:
i)基地局により導出されるインジケータの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
ii)基地局に設けられ、第1計算手段を有する制御手段であって、前記変化の検出に続いて、中間装置の新たな送信電力又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算し、新たな計算値はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じる不均衡を実質的に防ぐところの制御手段;
を有することを特徴とする通信システム。
【0163】
(付記2)
基地局により導出される或るインジケータが、基地局で受信された通信信号の強度の測定値を含む
ことを特徴とする付記1記載の通信システム。
【0164】
(付記3)
基地局により導出される或るインジケータが、基地局で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値を含む
ことを特徴とする付記1又は2に記載の通信システム。
【0165】
(付記4)
基地局により導出される或るインジケータが、基地局で受信された通信信号の品質のターゲット受信信号品質からの変化の測定値を含む
ことを特徴とする付記1,2又は3に記載の通信システム。
【0166】
(付記5)
前記不均衡が、基地局で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率の測定値と中間装置で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率の測定値との間の差分を含む
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか1項に記載の通信システム。
【0167】
(付記6)
前記インジケータ変化検出手段が基地局に設けられ、前記基地局は要求送信手段を更に有し、該要求送信手段は、インジケータ変化検出手段による変化の検出後に、中間装置を経て又は直接的に中間装置の新たな送信電力に関する要求を第1計算手段に送信し、新たな送信電力は、a)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じる不均衡を実質的に防ぐ
ことを特徴とする付記1乃至5の何れか1項に記載の通信システム。
【0168】
(付記7)
前記第1計算手段は前記基地局から送信された要求を受信し、前記第1計算手段は、制御手段で該要求を受信した後に、該要求を満たす中間装置の新たな送信電力を計算する
ことを特徴とする付記6記載の通信システム。
【0169】
(付記8)
前記制御手段は、前記第1計算手段による中間装置の新たな送信電力の計算後に、中間装置の新たな送信電力が該中間装置の最大送信電力より大きいか否かを判定する
ことを特徴とする付記1乃至7の何れか1項に記載の通信システム。
【0170】
(付記9)
前記新たな送信電力が前記最大送信電力より大きいことが前記制御手段により確認された場合に、前記第1計算手段は、中間装置の前記最大送信電力を超えない中間装置の第2の新たな送信電力を計算する
ことを特徴とする付記8記載の通信システム。
【0171】
(付記10)
前記制御手段が入力信号を受信し、前記入力信号は、前記要求が、基地局により導出されたターゲットインジケータからの変化に起因するか否かを判定可能にし、前記変化は基地局に設定されたターゲット受信信号品質の変化に起因する
ことを特徴とする付記6乃至9の何れか1項に記載の通信システム。
【0172】
(付記11)
前記要求が基地局により導出されたターゲットインジケータからの変化に起因することが確認された場合に、前記第1計算手段は、中間装置用に計算された新たな送信電力に基づいて、ソース装置用の新たな送信電力を更に計算し、中間装置で受信された通信信号の品質測定値と基地局で受信された通信信号の品質測定値との間で生じている不均衡を実質的に防止するようにする
ことを特徴とする付記10記載の通信システム。
【0173】
(付記12)
前記制御手段は、ソース装置の新たな送信電力の計算後に、ソース装置の新たな送信電力がソース装置の最大送信電力より大きいか否かを確認する
ことを特徴とする付記11記載の通信システム。
【0174】
(付記13)
前記新たな送信電力がソース装置の最大送信電力より大きいことが前記制御手段により確認された場合に、前記第1計算手段は、前記最大送信電力を超えないソース装置の第2の新たな送信電力を計算する
ことを特徴とする付記12記載の通信システム。
【0175】
(付記14)
前記第1計算手段は、ソース装置の第2の新たな送信電力の計算後に、生じている不均衡を防ぐ中間装置の第2の新たな送信電力を計算する
ことを特徴とする付記13記載の通信システム。
【0176】
(付記15)
前記中間装置は、該中間装置で受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、中間装置及び宛先装置の各々は導出された或るインジケータを制御手段に送信し、制御手段は:
i)宛先装置で送出された或るインジケータと中間装置で導出された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
ii)不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段;
を更に有することを特徴とする付記1乃至14の何れか1項に記載の通信システム。
【0177】
(付記16)
中間装置及び基地局各々により導出される或るインジケータが、中間装置で又は基地局で受信された通信信号の強度の測定値を含む
ことを特徴とする付記15記載の通信システム。
【0178】
(付記17)
中間装置及び基地局各々により導出される或るインジケータが、中間装置で又は基地局で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値を含む
ことを特徴とする付記15又は16に記載の通信システム。
【0179】
(付記18)
不均衡検出手段はパスロス更新手段を有し、パスロス更新手段は、基地局及び宛先装置双方からのインジケータ受信後に又は制御手段で受信された複数のインジケータの一方又は双方の変化後に、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記15又は16に記載の通信システム。
【0180】
(付記19)
前記パスロス更新手段は、通信信号が送信された時のソース装置の送信電力測定値から、ソース装置及び中間装置間で伝送される通信信号の受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記18記載の通信システム。
【0181】
(付記20)
前記パスロス更新手段は、通信信号が送信された時の中間装置の送信電力測定値から、中間装置及び基地局間で伝送される通信信号の受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記18又は19に記載の通信システム。
【0182】
(付記21)
前記中間装置は、該中間装置の現在の送信電力の測定値を示す送信電力インジケータを前記パスロス更新手段に送信し、該パスロス更新手段は、送信電力インジケータを受信し、中間装置及び基地局間で伝送される通信信号の受けるパスロスを判定するために該送信電力インジケータを利用する
ことを特徴とする付記20記載の通信システム。
【0183】
(付記22)
中間装置の送信電力の情報が、i)初期時点での中間装置の送信電力の測定値から及びii)該初期時点以来生じた中間装置の送信電力の変化を示す情報から決定される
ことを特徴とする付記18記載の通信システム。
【0184】
(付記23)
付記6に従属する場合であって、中間装置の送信電力の変更要求が基地局から無かったときに、パスロス更新手段で決定される中間装置及び基地局間で受けるパスロスの測定値の変化に続いて、前記第2計算手段は、ソース装置の送信電力に要求される変更を計算し、中間装置及び基地局で導出される信号強度インジケータのバランスを保つ
ことを特徴とする付記18乃至22の何れか1項に記載の通信システム。
【0185】
(付記24)
付記10に従属する場合であって、前記入力信号が、前記パスロス更新手段により決定される中間装置及び基地局間で受けるパスロスのインジケータを含む
ことを特徴とする付記18乃至22の何れか1項に記載の通信システム。
【0186】
(付記25)
ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムであって、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は制御手段を有し、基地局及び中間装置の各々は:基地局又は中間装置でそれぞれ受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、前記制御手段は中間装置及び基地局各々から前記インジケータを受信し、前記制御手段は:
i)基地局で導出された或るインジケータと中間装置で導出された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
ii)不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する計算手段;
を有することを特徴とする通信システム。
【0187】
(付記26)
中間装置及び基地局各々により導出される或るインジケータが、中間装置で又は基地局でそれぞれ受信された通信信号の強度の測定値を含む
ことを特徴とする付記25記載の通信システム。
【0188】
(付記27)
中間装置及び基地局各々により導出される或るインジケータが、中間装置で又は基地局で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値を含む
ことを特徴とする付記25又は26に記載の通信システム。
【0189】
(付記28)
不均衡検出手段はパスロス更新手段を有し、パスロス更新手段は、基地局及び宛先装置双方からのインジケータ受信後に又は制御手段で受信された複数のインジケータの一方又は双方の変化後に、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記25,26又は27に記載の通信システム。
【0190】
(付記29)
前記パスロス更新手段は、通信信号が送信された時のソース装置の送信電力測定値から、ソース装置及び中間装置間で伝送される通信信号の受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記28記載の通信システム。
【0191】
(付記30)
前記パスロス更新手段は、通信信号が送信された時の中間装置の送信電力測定値から、中間装置及び基地局間で伝送される通信信号の受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記28又は29に記載の通信システム。
【0192】
(付記31)
前記中間装置は、該中間装置の現在の送信電力の測定値を示す送信電力インジケータを前記パスロス更新手段に送信し、該パスロス更新手段は、送信電力インジケータを受信し、中間装置及び基地局間で伝送される通信信号の受けるパスロスを判定するために該送信電力インジケータを利用する
ことを特徴とする付記30記載の通信システム。
【0193】
(付記32)
中間装置の送信電力の測定値が、i)初期時点での中間装置の送信電力の測定値から及びii)該初期時点以来生じた中間装置の送信電力の変化を示す情報から決定される
ことを特徴とする付記31記載の通信システム。
【0194】
(付記33)
前記計算手段は、ソース装置及び中間装置間で受けるパスロスの測定値の変化後に、ソース装置の送信電力に要求される変化を計算し、中間装置及び基地局で導出される信号強度インジケータのバランスを保つ
ことを特徴とする付記28乃至32の何れか1項に記載の通信システム。
【0195】
(付記34)
前記制御手段は、ソース装置の新たな送信電力の計算後に、ソース装置の新たな送信電力が該ソース装置の最大送信電力より大きいか否かを判定する
ことを特徴とする付記25乃至33の何れか1項に記載の通信システム。
【0196】
(付記35)
前記新たな送信電力がソース装置の最大送信電力より大きいことが前記制御手段により確認された場合に、前記計算手段は、前記最大送信電力を超えないソース装置の第2の新たな送信電力を計算する
ことを特徴とする付記34記載の通信システム。
【0197】
(付記36)
前記第2計算手段は、ソース装置の第2の新たな送信電力の計算後に、中間装置の新たな送信電力を計算し、該新たな送信電力は基地局及び中間装置の信号強度インジケータ間の不均衡を軽減又は防止する
ことを特徴とする付記35記載の通信システム。
【0198】
(付記37)
前記制御手段は、前記計算手段で計算された新たな送信電力に従って、中間装置の送信電力及び/又はソース装置の送信電力の変更を指示する命令を、中間装置に及び/又はソース装置に発行する
ことを特徴とする付記1乃至36の何れか1項に記載の通信システム。
【0199】
(付記38)
マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法であって、前記通信システムはソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するステップ;
ii)前記インジケータの変化を検出するステップ;
iii)前記変化の検出後に、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;
を有し、該新たな送信電力はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らす;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐことを特徴とする方法。
【0200】
(付記39)
マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法であって、前記通信システムはソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で又は中間装置で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを、基地局及び中間装置各々で導出するステップ;
ii)基地局で導出されたインジケータ及び中間装置で導出されたインジケータの間の不均衡を検出するステップ;
iii)前記変化の検出後に、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;
を有することを特徴とする方法。
【0201】
(付記40)
少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局であって:
i)当該基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;又は
ii)インジケータ導出手段により導出された或るインジケータの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
iii)前記変化の検出後に、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算する第1計算手段を有する制御手段;
を有し、前記新たな送信電力は、a)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐことを特徴とする基地局。
【0202】
(付記41)
当該基地局は入力信号を受信し、該入力信号は、基地局で導出されたターゲットインジケータからのずれの変化に前記要求が起因して居るか否かを制御手段が判定することを可能にする
ことを特徴とする付記40記載の基地局。
【0203】
(付記42)
制御手段は、第1計算手段で計算された新たな送信電力に従って、変更するソース装置の送信電力及び/又は中間装置の送信電力の変更を指示する命令をソース装置に及び/又は中間装置に発行する命令手段を更に有する
ことを特徴とする付記40又は41に記載の基地局。
【0204】
(付記43)
中間装置で受信された通信信号の品質を示すインジケータを中間装置から受信するインジケータ受信手段を有し、前記基地局は、該基地局で導出されたインジケータと中間装置から受信したインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段を更に有し、前記制御手段は、該不均衡の検出後に、不均衡を実質的に減らす当該ソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段を有する
ことを特徴とする付記40,41又は42に記載の基地局。
【0205】
(付記44)
前記不均衡検出手段が、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定するパスロス更新手段を更に有する
ことを特徴とする付記43記載の基地局。
【0206】
(付記45)
少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局であって:
i)当該基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;
ii)中間装置で受信された通信信号の品質を表す1以上のインジケータを中間装置から受信する受信手段;
iii)当該基地局で導出された或るインジケータと中間装置から受信された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
iv)不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段を有する制御手段;
を有することを特徴とする基地局。
【0207】
(付記46)
前記不均衡検出手段がパスロス更新手段を有し、該パスロス更新手段は、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記45記載の基地局。
【0208】
(付記47)
前記制御手段は、計算手段で計算された新たな送信電力に従って、ソース装置の送信電力の変更を指示する命令をソース装置に発行する命令手段を更に有する
ことを特徴とする付記45又は46に記載の基地局。
【0209】
(付記48)
コンピュータにロードされた場合に、付記1乃至37の何れか1項に記載の通信システムの基地局として動作させる又は付記40乃至48の何れか1項に記載の基地局として前記コンピュータを動作させるコンピュータプログラム。
【0210】
(付記49)
キャリア媒体により持ち運ばれる付記48記載のコンピュータプログラム。
【0211】
(付記50)
前記キャリア媒体が記録媒体である
ことを特徴とする付記49記載のコンピュータプログラム。
【0212】
(付記51)
前記キャリア媒体が伝送媒体である
ことを特徴とする付記49記載のコンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1A】無線通信システムのシングルセル/中継モデルを示す図である。
【図1B】無線通信システムの2セル/中継モデルを示す図である。
【図2A】パスロスの数式(A)に基づくマルチホップ通信システムで達成される理論的なゲインのグラフ表現を示す図である。
【図2B】パスロスの数式(A)に基づくマルチホップ通信システムで達成される理論的なゲインのグラフ表現を示す図である。
【図3】本発明の第1形態を用いるアルゴリズムを示す図である。
【図4】本発明の第1形態を用いるアルゴリズムを示す図である。
【図5A】マルチホップ通信システムが非再生的中継ノードを有しFDD二重化を用いる場合のソース送信電力及び中間送信電力間の関係を示す図である。
【図5B】マルチホップ通信システムが非再生的中継ノードを有しFDD二重化を用いる場合のソース送信電力及び中間送信電力間の関係を示す図である。
【図6A】マルチホップ通信システムが非再生的中継ノードを有しTDD二重化を用いる場合のソース送信電力及び中間送信電力間の関係を示す図である。
【図6B】マルチホップ通信システムが非再生的中継ノードを有しTDD二重化を用いる場合のソース送信電力及び中間送信電力間の関係を示す図である。
【図7A】RN送信電力の関数として最適なNB送信電力を示す図である。
【図7B】RN送信電力の関数として最適なNB送信電力を示す図である。
【図7C】RN送信電力の関数として最適なNB送信電力を示す図である。
【図8A】シングルホップシステムで観測されるものと比較した、マルチホップシステムのユーザにより観測されるスループットの平均ゲインの変動を示すグラフである。
【図8B】シングルホップシステムで観測されるものと比較した、マルチホップシステムのユーザにより観測されるスループットの平均ゲインの変動を示すグラフである。
【図9】RN送信電力の関数として最適なNB送信電力を示す図である(ソース及び宛先装置間の通信リンクは、より短いマルチホップリンクに比較して3dBの利得を有することが仮定されている。)。
【符号の説明】
【0214】
1 インジケータ導出手段; 2 インジケータ変化検出手段; 3 決定手段; 4 第1計算手段; 5 第2計算手段; 6 要求受信手段; 7 制御/命令手段; 8a 要求リレー; 8b 要求修正手段; 9 インジケータ受信手段; 10 インバランス検出手段; 11 基地局; 12 中間装置; 13 ソース装置
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から宛先装置へ信号を伝送する無線通信システム及び関連する方法に関する。特に本発明はマルチホップ通信システムでのデータスループットを改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信信号が空間を伝搬する際に散乱又は吸収されることに起因して、伝搬損失又は「パスロス」が生じると、信号強度の減少を引き起こすことが知られている。送信機及び受信機間のパスロスに影響する要因は:送信機のアンテナの高さ、受信機のアンテナの高さ、キャリア周波数、散乱タイプ(都市、都市近郊、田舎)、形態の詳細(高度、密度、隔たり、地勢(丘上、平坦))等を含む。送信機及び受信機間のパスロスL(dB)は次のようにモデル化できる:
L=b+10nlogd (A)
ここでd(メートル)は送信機−受信機間の隔たりであり、b(dB)及びnはパスロスパラメータであり、絶対パスロスはl=10(L/10)で与えられる。
【0003】
図1Aは基地局(3G通信システムでは「ノードB」(NB)として知られている)、中継ノード(RN)及びユーザ装置(UE)を有するシングルセル2ホップ無線通信システムを示す。信号がダウンリンク(DL)で基地局から宛先ユーザ装置(UE)へ中継ノード(RN)を介して伝送される場合には、基地局はソース装置(S)を構成し、ユーザ装置は宛先装置(D)を構成する。通信信号がアップリンク(UL)でユーザ装置(UE)から中継ノードを経て基地局に伝送される場合には、ユーザ装置がソース装置を構成し、基地局が宛先装置を構成する。中継ノードは中間装置(I)の一例であり:ソース装置からの信号を受信する受信機と;その信号を又はそれから導出したものを宛先装置へ送信する送信機を有する。
【0004】
以下の表1はマルチホップ伝送システムにおける様々なリンクで伝送された信号のパスロス計算値のいくつかの具体例を与え、そのリンクはソースから宛先(SD)、ソースから中間(SI)及び中間から宛先(ID)である。ここでb及びnはリンクの各々で同じままであるように仮定されている。
【0005】
【表1】
表1
上記の計算例は、間接的なリンクで体験する絶対パスロスの合計SI+IDは直接的なリンクSDで体験するパスロスより少ないことを示す。言い換えればそれは次のように書ける:
L(SI)+L(ID)<L(SD) (B)
従って単一の伝送リンクを2つの短い伝送セグメントに分割することは、パスロス及び距離の間の非線形関係を引き出す。数式(A)を用いたパスロスの簡易な理論分析により、全体的なパスロスの減少(及び信号強度及びデータスループットにおける改善又は利益)は、ソース装置から宛先装置へ直接的に伝送されるのではなく、中間装置(例えば、中継ノード)を介してソース装置から宛先装置へ信号が伝送される場合に達成されることが理解できる。実現されるならばマルチホップ通信システムは送信機の送信電力を潜在的に削減可能にする。これは、電磁放射に晒されることを減らすだけでなく干渉レベルの低減効果をももたらす。
【0006】
明らかに、パスロス及び距離の間の非線形関係に起因して、ソース及び宛先に対する中間装置の位置は、ソース及び宛先間の直接的な即ちシングルホップの伝送に比較して、マルチホップ伝送が有するポテンシャルゲインに決定的に影響する。このことはマルチホップ伝送で達成される理論的ゲインのグラフ表現を示す図2Aに示され、図2Aはソース装置及び宛先装置間の中間装置の相対的な規格化された位置に対する全パワーロス(dB)をプロットしている。
【0007】
先ず、ソース及び宛先間の直接的なリンクの線上に中間ノードが位置している場合(この場合、経路延在因子(s)=1である)を考えると、ポテンシャルゲインは、中間点から離れてソース装置へ又は宛先装置へ向かうにつれて減少することが理解できる。同様に中間装置の位置が直接リンクの線上から離れるにつれて、2つの伝送セグメントの合計の全経路長が伸びるにつれて(経路延在因子をs=1.1,s=1.2等のように増やすにつれて))、理論的ゲインのグラフ領域が再び減少していることが分かる。
【0008】
しかしながらマルチホップ通信システムの適用性を検査するために実行されたシミュレーションは、意外にもデータスループットの低いゲインを示した。実際、経験するゲインはパスロスの数式Aに基づく簡易な分析で示唆されるポテンシャルゲインを大きく下回る。その結果、信号範囲の拡張性、ソース及び宛先間での信号伝送に要する全送信電力を潜在的に削減できること、及びマルチホップでなかったならば到達できないノードへの接続性等の観点からマルチホップシステムが示す潜在的な利点にもかかわらず、無線システムオペレータはマルチホップネットワークを実現することを思いとどまっている。
【0009】
予測されるゲインとシミュレーションされたゲインの間にそのような不一致が存在する理由の1つは、前者の予測が、パスロスパラメータb及びnが全てのリンクで同じであるとする仮定に基づくことである。つまり実際には、これらの値は、中継ノードの高さと比較したソース装置及び宛先装置のアンテナ高さに起因して変化する。かくて更に現実的な値のテーブルが以下の表2に与えられる。表中3GPPの項で示される値は、中間装置のアンテナ高さがおおよそソース及び宛先装置でのアンテナ高さの間のどこかにあることを考慮のうえ、3GPPで使用されるモデルを適用することで得られたものである。UoBの項で示される値はブリストル市における典型的な配備に基づいてブリストル大学で行われたモデリングから導出されたものである。
【0010】
【表2】
表2
図2Bには、表2のパスロスパラメータを用いたグラフ(全パスロス対規格化された中継ノード位置)が示されている。理論的な中継ノードの位置を調整しながら全パスロスを計算するために、より現実的なパスロスパラメータ群が使用される場合には、図2Aの完全な「釣り鐘形状」は得られないことが理解できる。実際、グラフの領域は減少している。中継ノード又はユーザ装置の位置の比較的小さな変化は、通信リンクにおける絶対パスロスの変化を招き、受信装置における通信信号の品質にかなりの影響を与えることが分かる。従って、達成されるゲインがマルチホップ伝送により得られる場合には、ソース及び宛先間の直接的な伝送に比較して、中間装置又は中継ノードの位置は重要である。
【0011】
しかしながら現実世界で遭遇しそうなパスロスパラメータのより正確な考慮に基づいて予測を行っても、マルチホップシステムのシミュレーションは、予想されるゲインと一致しないという結果を示した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、マルチホップ通信システムでのデータスループットを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一形態は、ソース装置、宛先装置及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムを提供し、前記ソース装置及び中間装置の各々は、通信信号を又はそこから導出された信号を前記宛先装置へ向かう通信方向で送信する送信機を有し、前記宛先装置及び中間装置の各々は、通信信号を又はそこから導出された信号を受信する受信機を有し、前記通信システムは:
i)前記宛先装置で受信された前記通信信号の品質の測定値;及び
ii)前記又は各々の中間装置で受信された前記通信信号の品質の測定値;
の間で実質的にバランスをとる又は維持するように、1以上の送信機に割り当てられるリソースの測定値を又は測定値の変化を判定する判定手段を有する。
【0014】
当然に、宛先装置で実際に受信される通信信号は、ソース装置から送信された通信信号でもよいし、それから導出された通信信号でもよいことが理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好適実施例は、中間装置で受信された通信信号の品質測定値及び宛先装置で受信された通信信号の品質測定値の「均衡−バランス(balance)」を維持する又は達成しようとする。好ましくは、判定手段が1以上の装置の送信電力の変更を判定し、その装置は本発明を利用する通信システムの通信信号を送信し、中間装置で受信される通信信号の品質測定値と宛先装置で受信される通信信号の品質測定値との間の実質的な不均衡を減らす又は防ぐ(即ち、実質的な「バランス」を達成又は維持する。)。
【0016】
本発明を利用する通信システムで不均衡が存在することは、宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値と中間装置で受信された通信信号の品質の測定値との直接的な比較により明らかにされる。或いは不均衡はマッピング関数により比較がなされた場合に明らかにされてもよい。従って等しい値の測定値が均衡したシステムに対して等しいとしない状況が存在してもよいし、同様に異なる値の測定値が均衡したシステムに等しいとされてもよい。
【0017】
システムを最適化するために、及び/又は中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値とを実質的に均衡させるために、本発明の実施例はマルチホップシステムの配備に先だって使用されてよいことが想定される。全てのリンクにわたる通信信号品質の測定値の「バランス」を達成及び維持するために、 本発明の実施例は既存のマルチホップシステムで実現されてよいことも想定される。かくて本発明は、宛先装置のRSS又はSINRのインジケータと中間装置でのRSS又はSINRのインジケータとの間で実質的な「均衡(バランス)」を確立するマルチホップ通信システムで使用されてよい。有利なことに送信電力は、マルチホップシステムで通信信号を受信する或る装置に関し、ターゲット受信信号品質に関して初期に最適化される。これは通常的には宛先装置である。かくて、有利なことに、宛先装置で受信された通信信号の品質のターゲット受信信号品質からの変位測定値のインジケータ(=「ターゲットからの変位」インジケータ)は、本発明の実施例によりシステムが最適される場合に最小化される。そして、ターゲットインジケータからの変分における変化(正でも負でもよい)が検出された場合、例えば通信信号の品質が悪化した又は改善された場合に、或いは装置に設定されるターゲットが変わった場合に、ターゲットインジケータからの変分は増加する。この場合、有利なことに、所望値からのターゲットインジケータからの変分の導出を検出可能にする本発明の実施例は、ターゲットインジケータからの変分を所望値に近づける。
【0018】
本発明を利用するマルチホップ通信システムのシミュレーションは、信号が宛先装置に直接手伝送されるシステムでかなりのゲインを実証することを示した。実際、本発明の好適実施例を検査するために実行されたシステムレベルのシミュレーション結果は、本発明により「バランス」のとられた通信システムは、マルチホップ伝送に関する希望を満たし、データスループットの改善をもたらすよう期待できることを示す。
【0019】
本発明の好適実施例により実証される改善されたスループットに関する説明は、それらがマルチホップシステムで必要とされる絶対送信電力の削減を可能にすることが確信される。これは以下で更に詳細に説明される。
【0020】
説明済みの原理から始めると、単一の直接的な伝送リンクを2つの短い伝送リンクに分けることで、信号が受ける全体的なパスロスの削減が達成される。ソース装置から少なくとも1つの中間装置を経て宛先装置へ通信信号を伝送するのに必要な全送信電力は、ソース装置及び宛先装置間で通信信号を直接的に伝送するのに要するものより少ない。従って、宛先装置(及びひょっとすると中間装置も)が最少の又は「ターゲット」の信号品質を受信することを保証するのに、より少ない送信電力しか必要とされない。送信電力について何の調整もなされなかったならば、かなりの余分な送信電力(即ち、宛先装置及び/又は中間装置で良好な又はターゲットの品質を達成するのに必要なものを超える送信電力)が生じる結果となる。ソース装置及び宛先装置間での直接通信と比較して、マルチホップ通信で達成されるゲインを更に増やすようにはせず、この過剰な送信電力は単に干渉レベルを増やし、通信品質の劣化を招く。劣化はマルチホップシステムのポテンシャルゲインを弱める傾向をもたらし、これは以前に考察されたマルチホップ通信システムの貧弱なシミュレーション結果を説明する。
【0021】
更に(例えば)2ホップシステムにわたる全体的なスループットは:中間装置で受信されるデータパケット数及び宛先装置で受信されるデータパケット数の低い方によって制限される。受信機で受信されたデータパケット数は、その受信機で終端する通信リンクの品質に依存する。これは例えばスループットの測定値、受信信号強度(RSS)の測定値又は信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値によって反映される。かくて実際上マルチホップシステム中の最低品質の通信信号を受信する受信機が、データパケット伝送に関する「ボトルネック」(障害)を形成し、これによりマルチホップシステム内の他のリンクにおけるデータ伝送容量を浪費する。送信機での送信電力の増加は、その最低品質の通信信号を改善するようには機能せず、余分な送信電力を追加する結果になる。従ってそのシステムパフォーマンスでは更なる劣化が生じる。これは図9A及び9Bに示され、これらはソース装置(NB)の送信電力に関し、シングルホップシステムで観測されたものと比較した、2ホップシステムのユーザによって観測された平均パケットスループットのゲイン変化をプロットしている。各グラフは4つのプロットを含み、各々は中間装置の異なる送信電力に関連する。基地局の送信電力が最適点を超えて増やされると、より多くの信号エネルギの放出であるにも関わらず、ゲインの顕著な劣化が生じることが理解できる。
【0022】
従って、本発明の好適実施例でなされる改善は、宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値と中間装置で受信された通信信号の品質の測定値との間の如何なる不均衡でも減らされる又は防がれることを保証するようにする本発明の様々な手法に帰することが理解できるであろう。かくてデータパケットのスループットを改善しない且つ干渉レベルを増やすようにしか機能しない余分なりソース割り当てが最小化される。
【0023】
マルチホップシステムでは、「不均衡(imbalance)」(即ち、宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値と中間装置で受信された通信信号の品質の測定値との相違)を招くおそれを生じさせる多数の様々なイベントが存在する:
i)リンクの一方で生じるパスロスが変化する。これはそのリンクに関する送信機及び受信機の一方又は双方の位置変化に起因し、又は送信機及び受信機間で生じる環境状態や干渉レベルの変化に起因するかもしれない。
【0024】
ii)通信信号を受信する装置はターゲットRSS又はターゲットSINRを有するのが通常的である。これは通常的にはネットワークプロバイダにより設定され、通信システムや受信装置の特性に依存して又は送信されるデータのタイプに依存して変わってもよい。移動電話機又は他のユーザ装置のターゲットRSS/SINRは変化してよく、ターゲットの如何なる変化も、送信装置の送信電力を調整することで対処され、その調整は宛先装置で受信された通信信号の品質のターゲット受信信号品質からの変化測定値(即ち、「ターゲットからの変化」)を最小化するようになされる。マルチホップシステムの場合には、或る受信装置のターゲットの変化に対処する際に、或る装置の送信電力を単に調整したのではシステム内の不均衡を招いてしまう。
【0025】
本発明の実施例は、ソース装置から基地局へ1以上の中間装置を介してアップリンク(UL)で伝送されるデータスループットを改善するために、不均衡又は潜在的な不均衡に応じる手法を提供し、その不均衡は上記の可能なイベントの結果として生じる。標準的な通信システムではアップリンクはUE及びNB間のリンクである。マルチホップの場合、ULは通信がNBに向かう方向のリンクを示す(例えば、UEからRN、RNからNB側のRN、及びRNからNBである。)。更に本発明の実施例はマルチホップシステムを最適化する手法をもたらし、1以上の受信機で設定される如何なるターゲット品質も実質的に維持され、各リンクにわたるデータのスループットは実質的に等しくなる。
【0026】
本発明の第1形態の例によれば、ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムが提供され、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は基地局で受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、当該システムは:
i)基地局により導出されるインジケータの所望値からの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
ii)基地局に設けられ、第1計算手段を有する制御手段であって、そのような変化の検出に続いて、中間装置の新たな送信電力又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算し、新たな計算値はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じる不均衡を実質的に防ぐところの制御手段;を有する。
【0027】
有利なことに、本発明の第1形態の第1の例は、i)中間装置の新たな送信電力を計算することで、中間装置及び基地局間のパスロス変化に起因する所望値からの変位に応答して;又はii)中間装置及びソース装置双方の新たな送信電力を計算することで、宛先装置のターゲット変化に続いて生じる潜在的な不均衡に応答して、宛先装置によって導出されたどのインジケータでも所望値に戻す手法をもたらす。
【0028】
本発明の第1形態の実施例では、通信信号を受信する受信機又は装置により導出される品質インジケータの1つは、その受信機で受信された通信信号の強度測定値(例えば、RSS)を含む。代替的に又は付加的に、受信機で導出されたインジケータの1つは、その装置で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値でもよいし、或いは受信装置に設定されたターゲット受信信号品質からの、その装置で受信された通信信号の品質の変分の測定値でもよい。ターゲットからの変分インジケータは、ターゲットRSSからの変分、SINRからの変分、又はRSS及びSINRの組み合わせに基づくターゲットからの変分でもよい。
【0029】
好ましくは、本発明の第1形態の実施例での不均衡は、基地局で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値及び中間装置で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値の間の差分より成る。
【0030】
ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムが提供され、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は制御手段を有し、基地局及び中間装置の各々は:基地局又は中間装置でそれぞれ受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、前記制御手段は中間装置及び基地局各々から前記インジケータを受信し、前記制御手段は:
i)基地局で導出された或るインジケータと中間装置で導出された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
ii)そのような不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する計算手段;を有する。
【0031】
有利なことに、本発明の第2形態の例はソース装置の送信電力を調整する手法を提供し、基地局で受信された通信信号の品質と中間装置で受信された通信信号の品質との間の均衡を維持又は達成しようとする。特に本発明の第2形態の例は有利なことに不均衡に応じる手段を備え、その不均衡はソース装置及び中間装置間のパスロスの変化に起因して生じるものである。
【0032】
本発明の第2形態の実施例では、中間装置及び宛先装置各々で導出されるインジケータの1つは、その宛先装置又は中間装置でそれぞれ受信された通信信号の強度測定値(例えば、RSS)を含む。代替的に又は付加的に、中間装置及び宛先装置の各々で導出されたインジケータの1つは、その宛先装置又は中華装置でそれぞれ受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値でもよい。
【0033】
好ましくは、不均衡検出手段はパスロス更新手段を有し、パスロス更新手段は、基地局及び中間装置からのインジケータ受信後に又はインジケータ(複数)の一方又は双方の変化後に、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が経験するパスロスの測定値を判定する。ソース装置及び中間装置間で伝送される通信信号が経験するパスロスの測定値は、その通信信号が伝送された時のソース装置の送信電力測定値から判定されることが好ましい。中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が経験するパスロスの測定値は、その通信信号が伝送された時の中間装置の送信電力測定値から判定されることが好ましい。中間装置は、中間装置の現在の送信電力を示す送信電力インジケータを、中間装置及び宛先装置間のパスロスを判定するのに使用するパスロス更新手段に送信する。或いは、中間装置の送信電力測定値は、i)最初の時点での中間装置の送信電力測定値及びii)その初期の時点以来生じた中間装置の送信電力変化の情報から判定されてもよい。
【0034】
中間装置は好ましくはソース装置により送信された信号を受信する受信機;及び受信した信号又はそれから導出された信号を宛先装置に送信する送信機を有する。中間装置で受信した通信信号を中間装置から送信する通信信号と分離するための信号の二重化は、周波数分割二重化(FDD)又は時分割二重化(TDD)でもよい。1以上の中間装置は好ましくはいわゆる中継ノード(RN: relay node)又は中継局(RS: relay−station)から構成される。意図される最終的宛先装置でない中継ノードは信号を受信し、その信号を別のノードに送信し、信号が意図される宛先に向かって進行するようにできる。中継ノードは、受信信号がビットレベルにデコードされてハード判定を行う再生タイプでもよい。受信したパケットに誤りが発見された場合には、再送が要求され、従ってRNはARQ又はH−ARQの機能を組み込んでいる。ARQ又はH−ARQは再送要求及び以後の再送信号の受信を管理する受信技法である。一端パケットが良好に受信された場合には、RNに組み込まれた何らかの無線リソース管理法に基づいて、宛先装置に向けて再送が計画される(スケジューリングされる)。或いは中継ノードは非再生タイプでもよく、その場合データは中継ノードで増幅され、その信号が次の局に転送される。中間装置又は中継ノードの機能は移動電話機や他のユーザ装置に備わってよいことが想定される。
【0035】
好ましくは、第1計算手段による中間装置の新たな送信電力の計算に続いて、中間装置の新たな送信電力がその中間装置の最大送信電力より大きいか否かが判定される。これは命令受信後に中間装置により、又は命令発行前に制御手段により判定されてもよい。好ましくは、新たな送信電力が所与の装置の最大送信電力より大きいことが制御手段により判定された場合に、計算手段はその最大送信電力を超えない第2の新たな送信電力を計算する。
【0036】
更に制御手段が中間装置の送信電力の変更要求を受信する場合には、制御手段は好ましくは入力信号を受信し、その要求が、基地局で導出されたターゲットインジケータからの変化に起因しているか否かを制御手段が判定できるようにする。その要求が基地局で導出されたターゲットインジケータからの変化に起因することが判定されると、第1計算手段は、中間装置の新たな送信電力に基づいて、ソース装置の新たな送信電力を更に計算し、中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値との間で発生している不均衡を実質的に防ぐようにする。ソース装置の新たな送信電力の計算に従って、好ましくは、基地局の新たな送信電力がソース装置の最大送信電力より大きいか否かを制御手段が判定する。新たな送信電力がソース装置の最大送信電力より大きいと制御手段により判定された場合には、第1計算手段は、その最大値を超えないソース装置の第2の新たな送信電力を計算する。有利なことに、第1計算手段は、ソース装置の第2の新たな送信電力の計算に続いて、中間装置の第2の新たな送信電力を計算し、その電力は、中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と宛先装置で受信された通信信号の品質の測定値との間で発生している不均衡を実質的に防ぐようにする。
【0037】
本発明の第1形態の例は、宛先装置で導出されたインジケータの所望値からの変化を検出し、そのインジケータと中間装置で導出された同じタイプのインジケータとの間の不均衡を均衡させるように又は防ぐようにしてもよいししなくてもよいことが理解されるべきである。更に、宛先装置で設定されたターゲットSINRからの変化に関するインジケータ変化が、ターゲットSINR変化の結果として検出される場合には(但し、宛先での受信SINRは不変のままである)、宛先装置及び中間装置で導出されたSINRのインジケータ間には何らの不均衡もなく(宛先装置でのターゲット変更前にシステムは均衡状態にあったことを仮定している)、制御手段は中間装置及びソース装置双方の送信電力に要求される調整量を計算し、その調整量は生じているSINRの不均衡を防ごうとする。
【0038】
本発明の第1及び第2形態は異なる状況で生じる又は場合によっては生じるかもしれない不均衡を減らす又は防ぐ。例えば中間装置及び基地局間のパスロスが変わる或いは基地局のターゲットが変わる状況が生じ得る。これら双方のイベントは基地局で導出されるインジケータの変化を招き、有利なことに本発明の第1形態の実施例で対処できる。好ましくはこれらの実施例は宛先装置のインジケータを常に監視するインジケータ変化検出手段を有する。従って宛先装置で導出される所望値からの如何なる変化や変分も速やかに検出可能である。
【0039】
中間装置及び基地局間のパスロス変化に従って、マルチホップシステムのバランスを取り戻すのに第1形態だけで充分であるかもしれない。多くの場合に第1形態だけでマルチホップシステムに関するバランスを維持するのに充分かもしれない。しかしながらソース装置及び宛先装置間のパスロスが変わると(これは、アドホックネットワークでの中間装置の位置変化に起因する、或いはそのリンクにわたる環境状態変化に起因するかもしれない)、その変化は、本発明の第2形態の実施例によって処理されなければならない。かくて本発明の第1及び第2形態双方を有する通信システムを用意することが望ましい。この場合本発明の第2形態の不均衡検出は周期的に実行される。かくて本発明の第1形態の好適実施例によれば、中間装置は、基地局で受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、中間装置及び基地局インジケータを制御手段に送信し、制御手段は:
i)基地局及び宛先装置のインジケータ間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
ii)そのような不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段;を更に有する。
【0040】
宛先装置のターゲット変化が、中間装置及び基地局間のパスロスの実質的な同時変化によって収容される場合が生じ得る。かくてインジケータ変化検出手段が基地局に備えられ、その基地局は中間装置の送信電力を変えるための要求を制御手段に送信する場合には、そのような状況が発生した場合に、中間装置の送信電力を変更する如何なる要求も宛先装置によって生成されない。これはそのシステムで不均衡を招き、その不均衡は本発明の第1形態によっては適正化されない。なぜなら基地局の新たなターゲットは(偶然に)適合しているが、ソース装置の送信電力に対応する変更は何らなされていないからである。この比較的まれな状況は本発明の第1及び第2形態双方を使用する通信システムで対処される。なぜなら中間装置及び基地局間で受けたパスロスの測定値変化は、パスロス更新手段で検出されるからである。中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値とを均衡させるために、第2計算手段は基地局の送信電力に必要な変化量を計算する。
【0041】
本発明の第1形態の実施例によれば、マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法が提供され、その通信システムはソース装置、宛基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するステップ;
ii)インジケータの変化を検出するステップ;
iii)そのような変化の検出に続いて、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;を有し、新たな送信電力はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らす;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐ。
【0042】
本発明の第2形態の実施例によれば、マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法が提供され、その通信システムはソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で又は中間装置でそれぞれ受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを、基地局及び中間装置の各々で導出するステップ;
ii)基地局で導出されたインジケータ及び中間装置で導出されたインジケータの間の不均衡を検出するステップ;及び
iii)そのような不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;を有する。
【0043】
本発明の第1形態の実施例によれば、少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局が提供され、当該基地局は:
i)当該基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;又は
ii)インジケータ導出手段により導出された或るインジケータの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
iii)そのような変化の検出に続いて、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算する第1計算手段を有する制御手段であって、その新たな送信電力は、a)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐところの制御手段;を有する。
【0044】
好ましくは基地局は入力信号を受信し、要求が、基地局で導出されたターゲットインジケータからの変分の変化に起因しているか否かを制御手段が判定できるようにし、その要求は宛先装置に設定されたターゲット受信信号品質の変化に起因して生じる。更に制御手段は或る命令を中間装置及び/又はソース装置に発行し、その命令は、中間装置の送信電力及び/又はソース装置の送信電力を、第1計算手段によって計算された新たな送信電力に従って変えるよう指令する。
【0045】
好ましくは基地局は中間装置からインジケータを受信するインジケータ受信手段を更に有し、そのインジケータは中間装置で受信した通信信号の品質を表し、基地局は基地局で導出された或るインジケータと中間装置から受信した或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段を更に有し;及び/又は制御手段は第2計算手段を有し、第2計算手段は、そのような不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する。好ましくは不均衡検出手段はパスロス更新手段を有し、パスロス更新手段はソース装置及び中間装置の間で並びに中間装置及び基地局の間で伝送される通信信号が経験するパスロスの測定値を判定する。
【0046】
本発明の第2形態の実施例によれば、少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局が提供され、当該基地局は:
i)基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;
ii)中間装置から1以上のインジケータを受信する受信手段(インジケータは中間装置で受信された通信信号の品質を表す);
iii)基地局で導出された或るインジケータと中間装置から受信された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
iv)そのような不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段を有する制御手段;を有する。
【0047】
好ましくは、不均衡検出手段はパスロス更新手段を更に有し、パスロス更新手段は、ソース装置及び並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定する。制御手段は、好ましくは、第2計算手段で計算された新たな送信電力に従って、変更するソース装置の送信電力の変更を指示する命令をソース装置に発行する命令手段を有する。
【0048】
本発目を使用する基地局、本発明を使用する中間装置又は本発明を使用する宛先装置で実行される通信方法も提供される。
【0049】
本発明の実施例は中継ノードが固定されているマルチホップシステムに特に有利である。更に本発明の実施例は有利なことに再生型及び非再生型中継いずれも使用されてよい。更に本発明の実施例は、維持される送信電力設定に関するセントラル化された制御を促し、中継局で必要とされる処理を最小化する点で有利である。これはネットワークの管理をより簡潔にする中央エンティティ内で制御を行うので、無線システムのオペレータに有利である。更に、万一中継局が不具合を生じた場合には、制御が基地局(ノードB)で行われることに起因して、集約的な測定がオペレータにより可能である。更に、中間装置での処理が最少に維持されることは、仮に中間装置が移動装置や遠隔装置であった場合に、電力消費を減らしてバッテリ寿命を延ばす観点から有利である。
【0050】
所望値は、システムが実質的に均衡している場合に宛先装置で設定されたターゲットにおけるもの又はそれに近いものである(即ち、宛先装置で受信される通信信号の品質の測定値は、中間装置で受信される通信信号の品質の測定値と均衡している。)。かくて本発明の第1形態の例は、有利なことに、宛先装置で受信された通信信号の品質を、宛先装置で設定されたターゲット値又はそれに近い値に維持するように使用される。そして本発明の第2形態の例は、宛先装置及び中間装置の間でバランスが達成されることを保証するシステムを最適化することを要する。
【0051】
かくてインジケータ変化検出手段は既に均衡している又は最適化されているシステムで使用されてよいことが理解されるべきである。かくて所望値からの変化は或るイベントに起因して生じ、そのイベントは宛先装置での通信信号の品質測定値の変化をもたらし、先行する中間装置に割り当てられるリソースに必要とされる変化量が決定される。
【0052】
リソース割り当てに必要とされる変化量は第1計算手段で計算される。インジケータの変化がターゲットの変化に起因する場合には、第1計算手段はソース装置の新たな送信電力を計算し、その新たな送信電力は、宛先装置での新たなターゲット品質に起因して生じる不均衡を防ごうとする。ターゲットは変わらないがパスロスは変わり、通信信号の品質が変わる場合には、バランスを維持するために計算手段は中間装置の新たな送信電力を計算することしか要しない。ソース装置及び中間装置間のパスロス変化は、中間装置でのRSS/SINRの変化を招き、システム/方法で処理される必要があり、そのシステム等は本発明の第2形態を利用する、或いはインジケータ変化検出手段及び不均衡検出手段双方を利用する。
【0053】
本発明の実施例は如何なる多重アクセス技術をも用いる無線通信システムで実行されてよく、その多重アクセス技術は、限定ではないが、周波数分割多重アクセス(FDMA)、時分割多重アクセス(TDMA)、符号分割多重アクセス(CDMA)及び直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)を含む。CDMAシステムの場合には、全ての送信は同一周波数帯域で行われ、各送信には固有のチャネライゼーションコードが割り当てられ、Gp因子は送信信号を拡散するのに使用される拡散率又は符号長を表し、或いは処理利得としても知られている。直交拡散コードの場合には、高々Gp個のチャネルが同時送信に利用可能である。
【0054】
第1及び第2計算手段で実行される実際の計算は、可能な多数の手法で導出されてよい。マルチホップネットワーク中の受信要素各々でのSINRの考察に基づく或る導出法が後述され、その導出法は、様々な配備状況について、マルチホップネットワークを構成する送信要素の最適な送信電力を計算するための可能な多数の解を導出する。マルチホップネットワークの受信機での通信信号品質の他の種類の測定値を考察することで及びそれらの測定値を均衡させる本発明の原理を考察することで、代替的な解が導出されてよいことを当業者は理解するであろう。
【0055】
「ユーザ装置」なる用語は、無線通信システムで使用されるように動作する如何なる装置をも包含することが理解されるべきである。更に本発明は現在知られている技術で使用される用語で主に説明されているが、本発明の実施例は有利なことに如何なる無線通信システムに適用されてもよいことが意図され、そのシステムはソース及び宛先装置間で中継装置を介して通信信号の伝送を促す。
【0056】
上記のどの例においても、様々な特徴はハードウエアで、1以上のプロセッサで動作するソフトウエアモジュールとして、又はそれらの組み合わせで実行されてよい。本発明は、ここで説明されたどの方法でも実行するオペレーティングプログラム(コンピュータプログラム及びコンピュータプログラムプロダクト)や、ここで説明されるどの手法でも実行するためのプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な媒体ももたらす。本発明を利用するプログラムはコンピュータ読み取り可能な媒体に格納され、或いは例えばインターネットウエブサイトから提供されるダウンロード可能なデータ信号のような信号形式でもよし、或いは多の如何なる形式でもよい。
【0057】
本発明を更に理解するため及び本発明を実行してどのように効果が得られるかを説明するために、添付図面が例示的に参照される。
【実施例1】
【0058】
図3を参照しながら本発明の第1形態の実施例を実行するアルゴリズム例が説明される。図3ではソース装置はユーザ装置(UE)で構成され、中間装置は再生タイプの中継ノード(RN)で構成され、宛先装置は基地局(NB)で構成される。基地局はRSSを継続的に監視し、RSSのインジケータ及び目標RSSからの変分を導出する。基地局はこれらのインジケータの一方又は双方の変化を検出するインジケータ変化検出手段を備える。基地局は本発明の例による第1計算手段を有する制御手段も備える。
【0059】
NBにより導出されたインジケータの変化に続いて新たなRN送信電力の明示的な計算を可能にするために、NBの制御手段は現在のRN送信電力の情報必要とする。この情報を得るために2つの技法が利用可能であり:1)NBは最大値に加えてRNの初期送信電力の情報を有する;この情報は固定的なものでもよいし、RNがNBに接続される場合に通知されてもよい。そしてNBはRN送信電力を変更する要求が発行されるとその電力を追跡する、或いは2)RNは現在の送信電力をNBに報告し、NBでの追跡の必要性を避けてもよい。このアルゴリズムは第1の技法が使用されることを仮定している(シグナリングの複雑さがより少ない利益があるからである。)。
【0060】
アルゴリズムの詳細は以下のように要約される:
アップリンクアルゴリズム1:パート1
トリガ:NBでのRN送信電力変更要求
アルゴリズム入力 要求元 原因
RN送信電力の変更要求 NB NBで導出
RN送信電力 NB NBでの探知/算出
UE送信電力 NB NBでの探知/算出
アルゴリズム出力 導出 宛先及び通知要求
新たなRN送信電力 明示的な計算 RNに通知されるRN送信電力の相対的変化
新たなUE送信電力 明示的な計算 RNを介してUEに通知されるUE送信電力の相対的変化
以下のシーケンスは基地局により導出されたインジケータ変化の検出後に実行され、i)中間装置で受信された通信信号の品質測定値及び基地局で受信された通信信号の品質測定値の間の不均衡を実質的に減らし;又は(NB)ii)生じるその不均衡を実質的に防ぐ。
【0061】
1.NBの制御手段は、RNの送信電力限界を考慮してRNの新たな送信電力を計算する。
【0062】
2a.基地局のインジケータ変化検出手段で検出された変化が、中間装置及び基地局間の伝搬損失の変化の結果として起こったならば(例えば、SINRのインジケータが変化した場合)、基地局の制御手段はRNの送信電力の変更を指令する命令をRNに送信する;又は
2b.基地局のインジケータ変化検出手段で検出された変化が、その基地局に関するターゲット品質インジケータ群の変化の結果として起こったならば(例えば、ターゲットRSSからの変分インジケータが変化した場合):
i)第1計算手段はソース装置(UE)の新たな送信電力を計算し、その送信電力はRNに関して算出された新たな送信電力に対応するものである。CDMAシステムの場合には、第1計算手段はいわゆる「遠近(near−far)」効果を最小化するように、ソース装置の新たな送信電力計算値を修正する。こうしてUEの送信電力は最適値から増やされる或いは減らされる。その修正はシステムオペレータの要請に依存するであろう。なぜならマルチホップによるパフォーマンスゲインに対する変則的なパワーバランス削減の影響は、複数ユーザの状況下での受信機のパフォーマンス低減に対して重み付けされなければならないからである(全ての受信信号レベルが等しくはないからである。)。
【0063】
ii)算出された送信電力に合わせるために必要なUEの送信電力の調整がなされ得ることを、NBはUEの最大送信電力を考慮しながら検査する。UEの算出された新たな送信電力が満たされ得ないことが確認されると、第1計算手段はRN及びUE双方について修正された新たな送信電力を計算する。CDMAシステムの場合には、第1計算手段はいわゆる「遠近(near−far)」効果を最小化するように、ソース装置の新たな送信電力計算値を修正する;及び
iii)第1計算手段で計算された新たな送信電力に従ってRN及びUEの送信電力の変更を指令するように制御手段はRN及びUEに命令を発行する。
【0064】
上述のアルゴリズムはRN及びNB間で伝搬損失が変化する場合や、ターゲットRSSをNBが修正する場合に何とか対処する。上記のアルゴリズムがUEの新たな送信電力を決定しないように、UE及びRN間で伝搬ロスが変化する場合、及びNBでのターゲットとRN及びUE間の伝搬ロスとの双方が変化する場合を取り扱うために、本発明の第2形態の別の例を実行するアルゴリズムは以下に説明されるように周期的に動作する。
【0065】
アルゴリズムの詳細は次のように要約される:
アップリンクアルゴリズム1:パート2
トリガ:NBで周期的に実行される
アルゴリズム入力 要求元 原因
RNでのRSS NB RNからの通知
RNでのRSS NB NBで監視
RN送信電力 NB NBで探知/算出
UE送信電力 NB NBで探知/算出
アルゴリズム出力 導出 宛先及び通知要求
新たなUE送信電力 明示的な計算 RNを介してUEに通知されるUE電力の相対的変化
新たなRN送信電力 明示的な計算 RNに通知されるRN電力の相対的変化
伝搬損失 明示的な計算 Tx及びRxのパワー差から導出され、NBで使用される
有利なことにアルゴリズムは図4に関して上述されたアルゴリズムと共に実行されてもよい。或いは図4に関して説明されるアルゴリズム−即ち以下のアルゴリズム−は無線マルチホップ通信システムで別個に実行可能である。
【0066】
アルゴリズムは、RNで導出された通信信号の品質(RSS)のインジケータがNBに報告されることを仮定している。NBはRNにより及びNBのインジケータ変化検出手段により導出されたインジケータをモニタし、2つのリンクにわたる第2計算手段による伝搬損失の計算を支援する。NBはRN送信電力及びUE送信電力の情報を必要とし、その情報は2つの技術の一方により得られてもよい:1)NBは最大値に加えてRN/UEの初期送信電力の情報を有し;この情報は固定的でもよいし、RN/UEがNBに接続される場合に通知されてもよい。そしてNBはRN/UE送信電力を変更する命令が発行されるとその電力を探知する、或いは2)RN/UEは現在の送信電力をNBに報告し、NBでの追跡の必要性を避けてもよい。このアルゴリズムは第1の技法が使用されることを仮定している(シグナリングの複雑さがより少ない利益があるからである。)。
【0067】
1.NBはNB及びRN双方で導出された受信信号強度のインジケータをモニタする。これをRN及びUE送信電力の情報と共に利用することで、UE−RN及びRN−NBリンクの伝搬損失を更新する。
【0068】
2.UE−RN又はRN−NBの伝搬損失の変化が検出された場合には、最適なUE送信電力を計算するために、RN送信電力の情報と共に、更新された伝搬損失が第2計算手段により使用される。CDMAシステムの場合には、第1計算手段はいわゆる「遠近(near−far)」効果を最小化するように、ソース装置の新たな送信電力計算値を修正する。伝搬損失変化が一切検出されなかった場合には、アルゴリズムのその回の反復は終了する。
【0069】
3.算出された最適送信電力が現在のUE送信電力と異なっているか否かをNBは検査する。
【0070】
3a.異なっていなかったならば、アルゴリズムのその回の反復は終了する;或いは
3b.異なっていたならば:
i)計算された新たなUE送信電力が満たされるならば(即ち、UEの最大送信電力を超えないならば)、第2計算手段によって計算された新たな送信電力に従ってUEがその送信電力を調整するように、NBはUEに命令を通知する;或いは
ii)計算されたUE送信電力が満たされなかった場合には、UE送信電力は満たされるものに修正される。そして第2計算手段は最適な均衡を保証する新たなRN送信電力を計算する。第2計算手段によって計算された新たな送信電力に従って送信電力を調整するように、NBはUE及びRNに命令を通知する。
【実施例2】
【0071】
[理論解析]
以下の理論解析は、様々な配備状況のマルチホップネットワークを構成する送信要素の最適な送信電力を計算するための可能な解を導出する。マルチホップネットワークのダウンリンクを形成するコネクションの場合についてのみ数式が展開されるが、導出された数式をアップリンクの場合に適用することは容易である。そのような適用は、受信ノードでの受信SINRの表現を展開するのに使用されたのと同じ手法を採用することで達成され、この場合送信ノードはUE及びRNであり、この場合受信ノードはNB及びRNである。RN及びNBで受信されるSINRについての表式にいったん辿り着くと、UE及びRNの最適な送信電力設定値を決定するために、同じ方法論が配備状況の各々に使用可能である。シングルセルモデル及び2セルモデルを仮定しながら、各配備状況について理論的な解が得られる。2セルモデルの場合には、セル双方での配置は等しいこと及び基地局(BS)及び中間装置(I)の送信電力は同じであることが仮定される。適切ならば、Ptx_tot,RN=GpPtx,RN及びPtx_tot,NB=GpPtx,NBであること、及びTDDの場合に双方のRNが同時に送信することも仮定される。事実上これは2セルに関して最悪の状況を生み出す。
【0072】
理論解は、マルチホップシステムの受信ノード(即ち、中間装置(I)及び宛先装置(D))で経験する信号対干渉プラス雑音比(SINR)を考察することから発展されてもよい。特定のノードでのSINRはそのノードで受信された通信信号の品質測定値であり、非希望信号(ノイズ及び干渉)の受信信号強度に対する希望信号の受信強度の比率である。
【0073】
上述したように、ノイズ及び干渉に必要な考察は、中間装置で受信される信号を中間装置から送信されるものから分離するのに使用される二重化方法、中間装置の特性、及び考慮されるセル間干渉レベル(即ち、隣接セルからの干渉)に依存する。
【0074】
以下の数式は、中間装置から宛先装置へ伝送される通信信号の全ての状況についてのSINRを表現し、中間装置のタイプ(例えば、非再生型又は再生型)及び二重化方法に依存してそれぞれの項は無視されてもよい:
【0075】
【数1】
TDDではなくFDDの場合には括弧内の第3項は除去され、非再生型ではなく再生型の場合には括弧内の第2項が除去される。
【0076】
図1Bに示されるような2セルモデルの場合には、これは次のように書ける:
【0077】
【数2】
第2式の括弧内の最初の3つの項は第1式のものと同じである。追加的な後ろの2項は隣接している同一チャネルNB,RN各々から受ける干渉に起因する。明らかに、隣接するセルが異なる周波数を利用する場合又は中継伝送に異なるタイムスロットを利用する場合には、この干渉を形成するのに必要な項は変わるであろう。これらの数式は高精度化するために3セルモデル以上に拡張可能であることが理解されるべきである。
【0078】
基地局又はノードB(NB)と宛先ユーザ装置(UE)との間で中間的な中継ノード(RN)を経て伝送されるダウンリンク(DL)伝送の場合に、可能な様々な配備状況が考察される。
【0079】
[1A.]
[図1Aに示されるようなFDD−シングルセル−モデルによる再生中継]
この場合、中間のRNに接続される宛先UEでのSINRは次式で与えられる:
【0080】
【数3】
ここで、Gpは処理利得(プロセスゲイン)であり、Ptx,RNは対象とするチャネルのRNにおける送信電力であり、LRN−UEはRNからUEに至るリンクでの伝搬損失であり、Nはノイズである。これはセル内の干渉は一切存在しないことを仮定していることに留意を要する。
【0081】
NBから信号を受信する中間RNでのSINRは次式で与えられる:
【0082】
【数4】
ここで、Ptx,NBは対象とするチャネルのNBにおける送信電力であり、LNB−RNはNBからRNに至るリンクでの伝搬損失である。ここでも再びセル内干渉は無いことが仮定されている。
【0083】
マルチホップリンク全体にわたるスループットは2つのSINR値の低い方によって制限される。なぜならそれ(低い方)はデータがエンティティに伝送されることの可能なレートを制限するからである。SINRの不均衡を引き起こす送信電力の如何なる増加も、マルチホップシステムのパフォーマンスを改善しないであろうし;それは単にエネルギの浪費となり、どの同一チャネルユーザにとっても干渉を増やすことになるであろう。
【0084】
かくて中間のRNの受信機と宛先UEの受信機とが同様に動作すると仮定するならば、NB及びRNの送信電力は、RN及びUEでのSINRが同じになるように設定されるべきである、ということになる。送信電力の比率を設定するためにこの基準を使用すると、その比率は次式のようになる:
【0085】
【数5】
ここで、b1,n1はNBからRNに至るリンク(長さs1)のパスロスパラメータであり、b2,n2,s2はRNからUEへのリンクに関連するものである。数式(3)を用いることで、他方に与える送信電力を見出すことができる。
【0086】
[1B.]
[図1Bに示されるようなFDD−2セルモデルによる再生中継]
この場合、送信電力の式は、他セルで行っている送信によって引き起こされる干渉を考慮することによって導出される。
【0087】
この場合、中間RNから信号を受信する宛先UEでのSINRは、次のようになる:
【0088】
【数6】
最適なNB送信電力は(4)及び(2)を等しく設定することで見出される。従って:
【0089】
【数7】
である。所与のソースNB送信電力の下での中間RN送信電力を見出すために、(5)は次のように書き直すことができる:
【0090】
【数8】
[2A.]
[図1AのシングルセルモデルでTDDの場合の再生中継]
RNの受信及び送信動作を分離するためにTDDを利用し、2つのリンク(ソースから中間へ及び中間から宛先へ)が同一周波数で動作することが仮定される(即ち、もはや全二重ではない。)。RNが送信するタイムスロットはNBによっては使用されず、FDD二重化法の再生中継の場合に関して説明された数式が使用可能であることが仮定される。しかしながら、ソースNBが或るRNと異なる装置又はノードと通信するためにその中間RNと同じタイムスロットを使用するならば、そのRNによる送信に起因して干渉が生じることになる。この場合、中間RNから通信信号を受信する宛先UEでのSINRは次式のように与えられる:
【0091】
【数9】
ここで、Ptx_tot,NBはNBからの全送信電力であり、LNB−UEはNBからUEに至るリンクでの伝搬損失である。この場合、同じSINRを保証するRNでの送信電力は次式で与えられる:
【0092】
【数10】
数式(3)及び数式(8)を比較すると、もはや単純な比率は理想的な均衡をもたらさないことが分かる。Ptx_tot,NB=GpPtx,NBであるとすると、数式(8)は次のように書ける:
【0093】
【数11】
(9)式より、所与のNB送信電力の下で理想的なRN送信電力を決定することができる。2番目の括弧内の2番目の項が無視できるようにシステムの設定がなされていたならば(即ち、Ptx_tot,NB/NLNB−UE<<1)、FDDデュプレックス法による再生中継の場合に関する上述の基準が使用可能になることは、言及に値するであろう。
【0094】
所与の或るRN送信電力の下でのNB送信電力は(9)の根から見出すことができる、ということになる。次のように簡略化された形式で数式(9)は:
【0095】
【数12】
のようになる。ここで、
【0096】
【数13】
である。(10)の根は次式で与えられる:
【0097】
【数14】
送信電力は正の数なので、1つの解のみが定まり、従ってRN及びUEで等しいSINRを保証するNBでの最適な送信電力は、次式で与えられる:
【0098】
【数15】
最後に、上記の定義を利用して(9)を書き直すことができ、それは同様に簡易な形式で最適なRN送信電力を与える:
Ptx,RN= bPtx,NB+a(Ptx,NB)2 (13)。
【0099】
[2B.]
[図1Bで示される2セルモデルでTDDの場合の再生中継]
双方での配備が同じであり、NB及びRNでの送信電力が同じであると仮定することに加えて、適切ならばPtx−tot,RN=Gp Ptx,RN及びPtx−tot,NB=Gp Ptx,NBであること、及びTDDの場合に双方のRNが同じ時間に送信することが仮定される。これは事実上2セルの場合の劣悪な状況を生み出す。
【0100】
この場合、中間RNから信号を受信する宛先UEでのSINRは、次のようになる:
【0101】
【数16】
最適なNB送信電力は(14)及び(2)を等しく設定することで見出すことができる:
【0102】
【数17】
最適なNB送信電力は正の解から見出される:
【0103】
【数18】
解は次式で与えられる:
【0104】
【数19】
ここで、この場合には
【0105】
【数20】
であり、b及びc双方がRN送信電力の関数になる。
【0106】
そのNB送信電力の下で、RN送信電力を見出すために(15)を書き直すことができる。最適なRN送信電力は次式のように与えられることになる:
【0107】
【数21】
[3A.]
[図1Aに示されるFDD−シングルセルモデルによる非再生的中継ノード(RN)]
この例の場合とFDD二重化法に関して使用された再生中継ノードの場合との間の相違は、UEでのSINRがRNでのSINRの関数になっていることであり、RNに接続される宛先UEでのSINRは次式で与えられる:
【0108】
【数22】
理想的なバランス(均衡)はUEでのSINRをRNでのものに等しく設定することによってはもはや導出されない結果となる。(19)によれば、RNでのSINRは、UEでのターゲットSINRが得られるのを妨げないように設定されることを要する。しかしながらNB電力はRNでの或るレベルを超えて生じるSINRを制限するように抑制される必要があり、そのSINRは、実際上必要とされる以上の過剰な干渉及び無駄な送信電力を生じることになってしまうものである。
【0109】
図5は2つの異なる配備状況について、NB及びRN送信電力の設定内容が、RNに接続されたUEでのSINRにどのように影響するかを示す。
【0110】
かくて最適解は、図5に示される面の中でシステムが山折りの対角線に沿って(diagonal fold)実際上動作するようにNB及びRNの送信電力を選択することであることが理解できる。(19)の1階微分を計算し、UEでのSINRに関してNB又はRN送信電力が最も少なく増える結果となる地点を見つけることで、そのような解を実現できる。
【0111】
(19)の第1導関数を判定するために、(19)は次式のように書き直される:
【0112】
【数23】
次式のように定義する。
【0113】
【数24】
(20)は次式のように簡略化できる:
【0114】
【数25】
Ptx,NBによるSINRの変化率を求めるために、商の微分規則が使用される:
【0115】
【数26】
要求される勾配及びPtx,RNの下で(22)をPtx,NBに関して解くことで、最適なNB送信電力を見出すことができる:
【0116】
【数27】
NBの最適送信電力の下で最適なRN送信電力を見出すために、(21)の微分がPtx,RNに関して実行される。この場合、1次導関数は次式で与えられる:
【0117】
【数28】
そして、NBの最適送信電力の下での最適なRN送信電力は、次式で与えられる:
【0118】
【数29】
[3B.]
[図1Bに示されるようなFDD−2セルモデルによる非再生的中継ノード(RN)]
2セルモデルでは、セル端における宛先UEの良好でない状況に関するSINRは、次式で与えられる:
【0119】
【数30】
2つのRNの送信電力が等しく、2セルの配置が等しく、Ptx_tot,RN= GPPtx,RN であると仮定すると、(26)式の簡略化された形式が次式のように得られる:
【0120】
【数31】
1階微分は次のようになる:
【0121】
【数32】
かくて最適なNB送信電力は次式により見出される:
【0122】
【数33】
最適なRN送信電力はPtx,RNに関して(27)の微分を計算することで見出される:
【0123】
【数34】
かくて最適なRN送信電力は次式により見出される:
【0124】
【数35】
[4A.]
[図1Aに示されるようなTDD−シングルセルモデルによる非再生的中継]
この状況は非再生的な上記の場合と同様であるが、目下の場合NBからの干渉が考慮されなければならない点が異なる。NBはRNと同一周波数及び同一時間に送信を行うからである。この場合、RNによって送信された通信信号を受信しているUEでのSINRは次式で与えられる:
【0125】
【数36】
Ptx,NB/ Ptx,RNが大きすぎる場合には、UEでのSINRは不十分なRN送信電力に起因して制限され、RNへの接続のリンクパフォーマンスが優れた領域に相応しくなり、NBへの接続は減少する。逆にそれが非常に小さかったならば、UEでのSINRは、RNでの低いSINRによって制限される。
【0126】
この場合、図6に示されるように、FDD二重化法と共に使用された非再生的中継の場合に説明されたものよりも、バランスは更に繊細に(複雑に)なる。最適な動作点は(32)の第1導関数がゼロに等しくなる点を発見することで与えられる。この最適点を見つけるために、(32)は先ず次の形式に書き直される:
【0127】
【数37】
ここで次式が定義される:
【0128】
【数38】
上記の[3A.]での議論による定義と、
【0129】
【数39】
の式から、(33)は次式のように簡易化できる:
【0130】
【数40】
次の段階は、次式を解くことで(34)の放物関数の1つの最大値を見つけることである:
【0131】
【数41】
(34)の1次微分を見出すために商規則を利用することで、次式を得る:
【0132】
【数42】
yの最大値は(36)をゼロに等しく設定し、Ptx,NBに関して解くことで発見可能である。UEでの最大SINRは次式のように置くことで得られる:
【0133】
【数43】
従ってRNの所与の送信電力の下で、RNに接続されたUEでの最大SINRを保証する対応するNB送信電力を見出すために、(37)を利用することができる。
【0134】
そのNB送信電力の下で最適なRN送信電力を発見する場合には、UEでのSINRがRN送信電力の二次関数でないような、FDD二重化法と共に使用される非再生的中継ノードの場合に上述されたものと同様の手法が使用可能である。最適なRN送信電力を見つけるために、(34)は次のように書き換えられる:
【0135】
【数44】
1次微分は次のようになる:
【0136】
【数45】
Ptx,RNに関して(39)を解くことで、そのNB送信電力の下での最適なRN送信電力が次式のように得られる:
【0137】
【数46】
図6の面、(34)の関数形及び(40)の結果を見ることで、NB送信電力が小さかった場合には、RN送信電力のSINR変化率は、RN送信電力の増加に関して減少することが明らかである。しかしながら大きなNB送信電力の場合には、UEでのSINRはRN送信電力の線形関数に近い。これは、(40)にまとめられているこの場合の問題の解が無限になることの結果である。
【0138】
[4B.]
[図1に示されるTDD−2セルモデルによる非再生的中継]
セル端のUEの見地から、より悪い状態は、隣接するセルがRN送信に使用されるのと同じタイムスロットを用いるTDD法を使用する場合である。セルが同じ配置及び送信電力でサイズが等しく、Ptx_tot,RN/NB=GpPtx,RN/NB であると仮定すると:
【0139】
【数47】
である。この場合(4)式の簡略化された形式は次式のようになる:
【0140】
【数48】
そして第1微分は次のようになる:
【0141】
【数49】
最終的に、(43)をゼロに等しく設定し且つPtx,NBに関して解くことで最大値が得られる:
【0142】
【数50】
そのNB送信電力の下で最適なRN送信電力を見つけるために、(42)は次のように書き直せる:
【0143】
【数51】
第1微分は次のようになる:
【0144】
【数52】
Ptx,RNに関して解くことで、そのNB送信電力の下での最適なRN送信電力が得られる:
【0145】
【数53】
再び、大きなNB送信電力の場合に、UEでのSINRはRN送信電力の線形関数に近くなる。これは(47)の解は無限になる結果になる。
【0146】
最適な送信電力バランスは、様々な中継や二重化法に関する及び2つの別々の配備状況に関する上記の解に基づいて決定される。それらの配備状況(シナリオ)は表3にまとめられ、(48)のパスロスの式に関する伝搬パラメータは表4の中にある。
【0147】
L=b+10 n logd (48)
【0148】
【表3】
表3:配備シナリオ
送信機受信機間の隔たりはセル半径に等しい(即ち、UEはセル半径の場所に位置する)。示されているRN位置は、NBが位置するセル中心を基準とする距離である。従ってRN位置はNBからRNまでの距離である。そしてRN−UEはセル半径及びNB−RN距離の差分である。
【0149】
【表4】
表4:伝搬パラメータ
_再生中継
FDDに関して(3)及び(5)の式に及びTDDに関して(12)及び(17)の式に表3及び表4に与えられる値を代入することで、所与のRN送信電力の下で最適なNB送信電力を見出すことができる。図7Aは、2つの配備状況についてFDD及びTDD双方のRN送信電力の関数として、最適なNB送信電力を示す。
【0150】
_FDDによる非再生中継
図7Bに示されるように、パラメータを(23)及び(24)に代入することで、2つの配備状況について最適なNB送信電力を求めることができる。
【0151】
_TDDによる非再生中継
図7Cに示されるように、パラメータを(37)及び(44)に代入することで、2つの配備状況について最適なNB送信電力を求めることができる。
【0152】
[システムレベルシミュレーション結果]
図7Cの結果に基づいて予測されるスループットゲインの最適送信電力設定内容を確認するため、RN及びNBの送信電力が最適ポイント近辺で変化する平均パケットコールスループットゲインを用いて、3番目の送信時間間隔毎に伝送内容を中継するTDD二重化の非再生的中継を行うマルチホップHSDMAネットワークのシステムシミュレーションが行われた。
【0153】
表3で説明済みの2つの配備状況についてのシステムレベルシミュレーション結果が提示される。シミュレーションパラメータは以下の表5及び表6に掲げられる。
【0154】
【表5】
表5:配備パラメータ
【0155】
【表6】
表6:シミュレーションパラメータ
双方の配備状況に関し、ユーザによって体験される平均パケットコールスループットのゲイン(30dBmのNB送信電力でシングルホップシステムの場合に観測される)が、4つの異なるRN送信電力についてのNB送信電力の関数としてプロットされている。図8Aは配備状況(シナリオ)1に関するゲインを示し、図8Bはシナリオ2に関するゲインを示す。
【0156】
NBからUEへのリンクのチャネルゲインは、NBからRN及びRNからUEへのリンクに関するものより3dB高くなっていることに留意を要する。これは、RNに接続されたUEが体験する別のNBからの干渉は、図7A,7B及び7Cに関して上述されたリンク分析に使用されたものの二倍になることを意味する。
【0157】
このチャネルゲインは送信信号の多数のレプリカが受信されることに起因し、これら全てについての電力が加算される場合には、NBからUEへのチャネルの場合に、合計電力はNBからRNへ又はRNからUEへのチャネルで2倍になる。これが3dBの説明となる(3dBは2倍に等しい。)。NBからUEへのチャネルに関してチャネルゲインの結果はより高くなり、これは、マルチパスを介したチャネルゲインが一切考慮されない地点に至るまで、受信信号電力が分析に使用されたものよりも3dB(即ち、2倍)高くなることを意味する。
【0158】
[リンクベースの予測及びシステムシミュレーションの比較]
図9は各配備状況についてTDDの非再生的中継用のRN送信電力の関数として、最適NB送信電力を示し、NBからUEへのリンクは他のリンクに比べて3dBのゲインを有することが仮定されている。この場合、シミュレーションで使用されたRN送信電力について、NBでの予測された送信電力は、スループットゲインに関する表7に掲載され、そのゲインはこれらの設定値が使用された場合に得られる達成可能な最大値である。
【0159】
【表7】
表7:予測される最適NB送信電力及びその結果のシミュレーションスループットゲイン(観測される最大ゲインと比較された、その設定値から達成可能な値)
上記の数式に基づく技法を用いて本発明による好適実施例に従ってパワーバランスが図られる場合に、選択されるパワーバランスは一般に最適地点の利用域内にあることを、表7、図7A及び図8Bは示す。特に使用される送信電力に関し、ゲインは常に達成可能な最大値の10%以内にあることが示され、そのズレはマルチセルシステムをモデル化するのに2セルモデルを利用していることに起因する。
【0160】
送信電力の均衡を図る必要性は図8A及び8B双方に提示される結果から明白であり、NB送信が最適ポイントを超えて増やされる場合には、より多くの信号エネルギを放出するにもかかわらず、かなりのゲイン劣化が経験されることが示される。NB送信電力が注意深く選択されるならば、RN送信電力に対するゲインの感度が減らされることも示される。
【0161】
以下、本発明により教示される手段が例示的に列挙される。
【0162】
(付記1)
ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムであって、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は該基地局で受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、当該システムは:
i)基地局により導出されるインジケータの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
ii)基地局に設けられ、第1計算手段を有する制御手段であって、前記変化の検出に続いて、中間装置の新たな送信電力又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算し、新たな計算値はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じる不均衡を実質的に防ぐところの制御手段;
を有することを特徴とする通信システム。
【0163】
(付記2)
基地局により導出される或るインジケータが、基地局で受信された通信信号の強度の測定値を含む
ことを特徴とする付記1記載の通信システム。
【0164】
(付記3)
基地局により導出される或るインジケータが、基地局で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値を含む
ことを特徴とする付記1又は2に記載の通信システム。
【0165】
(付記4)
基地局により導出される或るインジケータが、基地局で受信された通信信号の品質のターゲット受信信号品質からの変化の測定値を含む
ことを特徴とする付記1,2又は3に記載の通信システム。
【0166】
(付記5)
前記不均衡が、基地局で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率の測定値と中間装置で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率の測定値との間の差分を含む
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか1項に記載の通信システム。
【0167】
(付記6)
前記インジケータ変化検出手段が基地局に設けられ、前記基地局は要求送信手段を更に有し、該要求送信手段は、インジケータ変化検出手段による変化の検出後に、中間装置を経て又は直接的に中間装置の新たな送信電力に関する要求を第1計算手段に送信し、新たな送信電力は、a)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じる不均衡を実質的に防ぐ
ことを特徴とする付記1乃至5の何れか1項に記載の通信システム。
【0168】
(付記7)
前記第1計算手段は前記基地局から送信された要求を受信し、前記第1計算手段は、制御手段で該要求を受信した後に、該要求を満たす中間装置の新たな送信電力を計算する
ことを特徴とする付記6記載の通信システム。
【0169】
(付記8)
前記制御手段は、前記第1計算手段による中間装置の新たな送信電力の計算後に、中間装置の新たな送信電力が該中間装置の最大送信電力より大きいか否かを判定する
ことを特徴とする付記1乃至7の何れか1項に記載の通信システム。
【0170】
(付記9)
前記新たな送信電力が前記最大送信電力より大きいことが前記制御手段により確認された場合に、前記第1計算手段は、中間装置の前記最大送信電力を超えない中間装置の第2の新たな送信電力を計算する
ことを特徴とする付記8記載の通信システム。
【0171】
(付記10)
前記制御手段が入力信号を受信し、前記入力信号は、前記要求が、基地局により導出されたターゲットインジケータからの変化に起因するか否かを判定可能にし、前記変化は基地局に設定されたターゲット受信信号品質の変化に起因する
ことを特徴とする付記6乃至9の何れか1項に記載の通信システム。
【0172】
(付記11)
前記要求が基地局により導出されたターゲットインジケータからの変化に起因することが確認された場合に、前記第1計算手段は、中間装置用に計算された新たな送信電力に基づいて、ソース装置用の新たな送信電力を更に計算し、中間装置で受信された通信信号の品質測定値と基地局で受信された通信信号の品質測定値との間で生じている不均衡を実質的に防止するようにする
ことを特徴とする付記10記載の通信システム。
【0173】
(付記12)
前記制御手段は、ソース装置の新たな送信電力の計算後に、ソース装置の新たな送信電力がソース装置の最大送信電力より大きいか否かを確認する
ことを特徴とする付記11記載の通信システム。
【0174】
(付記13)
前記新たな送信電力がソース装置の最大送信電力より大きいことが前記制御手段により確認された場合に、前記第1計算手段は、前記最大送信電力を超えないソース装置の第2の新たな送信電力を計算する
ことを特徴とする付記12記載の通信システム。
【0175】
(付記14)
前記第1計算手段は、ソース装置の第2の新たな送信電力の計算後に、生じている不均衡を防ぐ中間装置の第2の新たな送信電力を計算する
ことを特徴とする付記13記載の通信システム。
【0176】
(付記15)
前記中間装置は、該中間装置で受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、中間装置及び宛先装置の各々は導出された或るインジケータを制御手段に送信し、制御手段は:
i)宛先装置で送出された或るインジケータと中間装置で導出された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
ii)不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段;
を更に有することを特徴とする付記1乃至14の何れか1項に記載の通信システム。
【0177】
(付記16)
中間装置及び基地局各々により導出される或るインジケータが、中間装置で又は基地局で受信された通信信号の強度の測定値を含む
ことを特徴とする付記15記載の通信システム。
【0178】
(付記17)
中間装置及び基地局各々により導出される或るインジケータが、中間装置で又は基地局で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値を含む
ことを特徴とする付記15又は16に記載の通信システム。
【0179】
(付記18)
不均衡検出手段はパスロス更新手段を有し、パスロス更新手段は、基地局及び宛先装置双方からのインジケータ受信後に又は制御手段で受信された複数のインジケータの一方又は双方の変化後に、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記15又は16に記載の通信システム。
【0180】
(付記19)
前記パスロス更新手段は、通信信号が送信された時のソース装置の送信電力測定値から、ソース装置及び中間装置間で伝送される通信信号の受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記18記載の通信システム。
【0181】
(付記20)
前記パスロス更新手段は、通信信号が送信された時の中間装置の送信電力測定値から、中間装置及び基地局間で伝送される通信信号の受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記18又は19に記載の通信システム。
【0182】
(付記21)
前記中間装置は、該中間装置の現在の送信電力の測定値を示す送信電力インジケータを前記パスロス更新手段に送信し、該パスロス更新手段は、送信電力インジケータを受信し、中間装置及び基地局間で伝送される通信信号の受けるパスロスを判定するために該送信電力インジケータを利用する
ことを特徴とする付記20記載の通信システム。
【0183】
(付記22)
中間装置の送信電力の情報が、i)初期時点での中間装置の送信電力の測定値から及びii)該初期時点以来生じた中間装置の送信電力の変化を示す情報から決定される
ことを特徴とする付記18記載の通信システム。
【0184】
(付記23)
付記6に従属する場合であって、中間装置の送信電力の変更要求が基地局から無かったときに、パスロス更新手段で決定される中間装置及び基地局間で受けるパスロスの測定値の変化に続いて、前記第2計算手段は、ソース装置の送信電力に要求される変更を計算し、中間装置及び基地局で導出される信号強度インジケータのバランスを保つ
ことを特徴とする付記18乃至22の何れか1項に記載の通信システム。
【0185】
(付記24)
付記10に従属する場合であって、前記入力信号が、前記パスロス更新手段により決定される中間装置及び基地局間で受けるパスロスのインジケータを含む
ことを特徴とする付記18乃至22の何れか1項に記載の通信システム。
【0186】
(付記25)
ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムであって、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は制御手段を有し、基地局及び中間装置の各々は:基地局又は中間装置でそれぞれ受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、前記制御手段は中間装置及び基地局各々から前記インジケータを受信し、前記制御手段は:
i)基地局で導出された或るインジケータと中間装置で導出された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
ii)不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する計算手段;
を有することを特徴とする通信システム。
【0187】
(付記26)
中間装置及び基地局各々により導出される或るインジケータが、中間装置で又は基地局でそれぞれ受信された通信信号の強度の測定値を含む
ことを特徴とする付記25記載の通信システム。
【0188】
(付記27)
中間装置及び基地局各々により導出される或るインジケータが、中間装置で又は基地局で受信された通信信号の信号対干渉プラス雑音比率(SINR)の測定値を含む
ことを特徴とする付記25又は26に記載の通信システム。
【0189】
(付記28)
不均衡検出手段はパスロス更新手段を有し、パスロス更新手段は、基地局及び宛先装置双方からのインジケータ受信後に又は制御手段で受信された複数のインジケータの一方又は双方の変化後に、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記25,26又は27に記載の通信システム。
【0190】
(付記29)
前記パスロス更新手段は、通信信号が送信された時のソース装置の送信電力測定値から、ソース装置及び中間装置間で伝送される通信信号の受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記28記載の通信システム。
【0191】
(付記30)
前記パスロス更新手段は、通信信号が送信された時の中間装置の送信電力測定値から、中間装置及び基地局間で伝送される通信信号の受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記28又は29に記載の通信システム。
【0192】
(付記31)
前記中間装置は、該中間装置の現在の送信電力の測定値を示す送信電力インジケータを前記パスロス更新手段に送信し、該パスロス更新手段は、送信電力インジケータを受信し、中間装置及び基地局間で伝送される通信信号の受けるパスロスを判定するために該送信電力インジケータを利用する
ことを特徴とする付記30記載の通信システム。
【0193】
(付記32)
中間装置の送信電力の測定値が、i)初期時点での中間装置の送信電力の測定値から及びii)該初期時点以来生じた中間装置の送信電力の変化を示す情報から決定される
ことを特徴とする付記31記載の通信システム。
【0194】
(付記33)
前記計算手段は、ソース装置及び中間装置間で受けるパスロスの測定値の変化後に、ソース装置の送信電力に要求される変化を計算し、中間装置及び基地局で導出される信号強度インジケータのバランスを保つ
ことを特徴とする付記28乃至32の何れか1項に記載の通信システム。
【0195】
(付記34)
前記制御手段は、ソース装置の新たな送信電力の計算後に、ソース装置の新たな送信電力が該ソース装置の最大送信電力より大きいか否かを判定する
ことを特徴とする付記25乃至33の何れか1項に記載の通信システム。
【0196】
(付記35)
前記新たな送信電力がソース装置の最大送信電力より大きいことが前記制御手段により確認された場合に、前記計算手段は、前記最大送信電力を超えないソース装置の第2の新たな送信電力を計算する
ことを特徴とする付記34記載の通信システム。
【0197】
(付記36)
前記第2計算手段は、ソース装置の第2の新たな送信電力の計算後に、中間装置の新たな送信電力を計算し、該新たな送信電力は基地局及び中間装置の信号強度インジケータ間の不均衡を軽減又は防止する
ことを特徴とする付記35記載の通信システム。
【0198】
(付記37)
前記制御手段は、前記計算手段で計算された新たな送信電力に従って、中間装置の送信電力及び/又はソース装置の送信電力の変更を指示する命令を、中間装置に及び/又はソース装置に発行する
ことを特徴とする付記1乃至36の何れか1項に記載の通信システム。
【0199】
(付記38)
マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法であって、前記通信システムはソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するステップ;
ii)前記インジケータの変化を検出するステップ;
iii)前記変化の検出後に、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;
を有し、該新たな送信電力はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らす;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐことを特徴とする方法。
【0200】
(付記39)
マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法であって、前記通信システムはソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で又は中間装置で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを、基地局及び中間装置各々で導出するステップ;
ii)基地局で導出されたインジケータ及び中間装置で導出されたインジケータの間の不均衡を検出するステップ;
iii)前記変化の検出後に、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;
を有することを特徴とする方法。
【0201】
(付記40)
少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局であって:
i)当該基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;又は
ii)インジケータ導出手段により導出された或るインジケータの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
iii)前記変化の検出後に、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算する第1計算手段を有する制御手段;
を有し、前記新たな送信電力は、a)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐことを特徴とする基地局。
【0202】
(付記41)
当該基地局は入力信号を受信し、該入力信号は、基地局で導出されたターゲットインジケータからのずれの変化に前記要求が起因して居るか否かを制御手段が判定することを可能にする
ことを特徴とする付記40記載の基地局。
【0203】
(付記42)
制御手段は、第1計算手段で計算された新たな送信電力に従って、変更するソース装置の送信電力及び/又は中間装置の送信電力の変更を指示する命令をソース装置に及び/又は中間装置に発行する命令手段を更に有する
ことを特徴とする付記40又は41に記載の基地局。
【0204】
(付記43)
中間装置で受信された通信信号の品質を示すインジケータを中間装置から受信するインジケータ受信手段を有し、前記基地局は、該基地局で導出されたインジケータと中間装置から受信したインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段を更に有し、前記制御手段は、該不均衡の検出後に、不均衡を実質的に減らす当該ソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段を有する
ことを特徴とする付記40,41又は42に記載の基地局。
【0205】
(付記44)
前記不均衡検出手段が、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定するパスロス更新手段を更に有する
ことを特徴とする付記43記載の基地局。
【0206】
(付記45)
少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局であって:
i)当該基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;
ii)中間装置で受信された通信信号の品質を表す1以上のインジケータを中間装置から受信する受信手段;
iii)当該基地局で導出された或るインジケータと中間装置から受信された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
iv)不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段を有する制御手段;
を有することを特徴とする基地局。
【0207】
(付記46)
前記不均衡検出手段がパスロス更新手段を有し、該パスロス更新手段は、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする付記45記載の基地局。
【0208】
(付記47)
前記制御手段は、計算手段で計算された新たな送信電力に従って、ソース装置の送信電力の変更を指示する命令をソース装置に発行する命令手段を更に有する
ことを特徴とする付記45又は46に記載の基地局。
【0209】
(付記48)
コンピュータにロードされた場合に、付記1乃至37の何れか1項に記載の通信システムの基地局として動作させる又は付記40乃至48の何れか1項に記載の基地局として前記コンピュータを動作させるコンピュータプログラム。
【0210】
(付記49)
キャリア媒体により持ち運ばれる付記48記載のコンピュータプログラム。
【0211】
(付記50)
前記キャリア媒体が記録媒体である
ことを特徴とする付記49記載のコンピュータプログラム。
【0212】
(付記51)
前記キャリア媒体が伝送媒体である
ことを特徴とする付記49記載のコンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1A】無線通信システムのシングルセル/中継モデルを示す図である。
【図1B】無線通信システムの2セル/中継モデルを示す図である。
【図2A】パスロスの数式(A)に基づくマルチホップ通信システムで達成される理論的なゲインのグラフ表現を示す図である。
【図2B】パスロスの数式(A)に基づくマルチホップ通信システムで達成される理論的なゲインのグラフ表現を示す図である。
【図3】本発明の第1形態を用いるアルゴリズムを示す図である。
【図4】本発明の第1形態を用いるアルゴリズムを示す図である。
【図5A】マルチホップ通信システムが非再生的中継ノードを有しFDD二重化を用いる場合のソース送信電力及び中間送信電力間の関係を示す図である。
【図5B】マルチホップ通信システムが非再生的中継ノードを有しFDD二重化を用いる場合のソース送信電力及び中間送信電力間の関係を示す図である。
【図6A】マルチホップ通信システムが非再生的中継ノードを有しTDD二重化を用いる場合のソース送信電力及び中間送信電力間の関係を示す図である。
【図6B】マルチホップ通信システムが非再生的中継ノードを有しTDD二重化を用いる場合のソース送信電力及び中間送信電力間の関係を示す図である。
【図7A】RN送信電力の関数として最適なNB送信電力を示す図である。
【図7B】RN送信電力の関数として最適なNB送信電力を示す図である。
【図7C】RN送信電力の関数として最適なNB送信電力を示す図である。
【図8A】シングルホップシステムで観測されるものと比較した、マルチホップシステムのユーザにより観測されるスループットの平均ゲインの変動を示すグラフである。
【図8B】シングルホップシステムで観測されるものと比較した、マルチホップシステムのユーザにより観測されるスループットの平均ゲインの変動を示すグラフである。
【図9】RN送信電力の関数として最適なNB送信電力を示す図である(ソース及び宛先装置間の通信リンクは、より短いマルチホップリンクに比較して3dBの利得を有することが仮定されている。)。
【符号の説明】
【0214】
1 インジケータ導出手段; 2 インジケータ変化検出手段; 3 決定手段; 4 第1計算手段; 5 第2計算手段; 6 要求受信手段; 7 制御/命令手段; 8a 要求リレー; 8b 要求修正手段; 9 インジケータ受信手段; 10 インバランス検出手段; 11 基地局; 12 中間装置; 13 ソース装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムであって、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は該基地局で受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、当該システムは:
i)基地局により導出されるインジケータの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
ii)基地局に設けられ、第1計算手段を有する制御手段であって、前記変化の検出に続いて、中間装置の新たな送信電力又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算し、新たな計算値はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じる不均衡を実質的に防ぐところの制御手段;
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1計算手段による中間装置の新たな送信電力の計算後に、中間装置の新たな送信電力が該中間装置の最大送信電力より大きいか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記新たな送信電力が前記最大送信電力より大きいことが前記制御手段により確認された場合に、前記第1計算手段は、中間装置の前記最大送信電力を超えない中間装置の第2の新たな送信電力を計算す
ことを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムであって、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は制御手段を有し、基地局及び中間装置の各々は:基地局又は中間装置でそれぞれ受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、前記制御手段は中間装置及び基地局各々から前記インジケータを受信し、前記制御手段は:
i)基地局で導出された或るインジケータと中間装置で導出された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
ii)不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する計算手段;
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
不均衡検出手段はパスロス更新手段を有し、パスロス更新手段は、基地局及び宛先装置双方からのインジケータ受信後に又は制御手段で受信された複数のインジケータの一方又は双方の変化後に、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする請求項4記載の通信システム。
【請求項6】
前記パスロス更新手段は、通信信号が送信された時のソース装置の送信電力測定値から、ソース装置及び中間装置間で伝送される通信信号の受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする請求項5記載の通信システム。
【請求項7】
マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法であって、前記通信システムはソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するステップ;
ii)前記インジケータの変化を検出するステップ;
iii)前記変化の検出後に、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;
を有し、該新たな送信電力はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らす;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐことを特徴とする方法。
【請求項8】
マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法であって、前記通信システムはソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で又は中間装置で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを、基地局及び中間装置各々で導出するステップ;
ii)基地局で導出されたインジケータ及び中間装置で導出されたインジケータの間の不均衡を検出するステップ;
iii)前記変化の検出後に、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;
を有することを特徴とする方法。
【請求項9】
少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局であって:
i)当該基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;又は
ii)インジケータ導出手段により導出された或るインジケータの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
iii)前記変化の検出後に、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算する第1計算手段を有する制御手段;
を有し、前記新たな送信電力は、a)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐことを特徴とする基地局。
【請求項10】
少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局であって:
i)当該基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;
ii)中間装置で受信された通信信号の品質を表す1以上のインジケータを中間装置から受信する受信手段;
iii)当該基地局で導出された或るインジケータと中間装置から受信された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
iv)不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段を有する制御手段;
を有することを特徴とする基地局。
【請求項1】
ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムであって、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は該基地局で受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、当該システムは:
i)基地局により導出されるインジケータの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
ii)基地局に設けられ、第1計算手段を有する制御手段であって、前記変化の検出に続いて、中間装置の新たな送信電力又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算し、新たな計算値はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じる不均衡を実質的に防ぐところの制御手段;
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1計算手段による中間装置の新たな送信電力の計算後に、中間装置の新たな送信電力が該中間装置の最大送信電力より大きいか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記新たな送信電力が前記最大送信電力より大きいことが前記制御手段により確認された場合に、前記第1計算手段は、中間装置の前記最大送信電力を超えない中間装置の第2の新たな送信電力を計算す
ことを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
ソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有する通信システムであって、ソース装置は中間装置を介して基地局に通信信号を送信し、基地局は制御手段を有し、基地局及び中間装置の各々は:基地局又は中間装置でそれぞれ受信した通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段を有し、前記制御手段は中間装置及び基地局各々から前記インジケータを受信し、前記制御手段は:
i)基地局で導出された或るインジケータと中間装置で導出された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
ii)不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する計算手段;
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
不均衡検出手段はパスロス更新手段を有し、パスロス更新手段は、基地局及び宛先装置双方からのインジケータ受信後に又は制御手段で受信された複数のインジケータの一方又は双方の変化後に、ソース装置及び中間装置間で並びに中間装置及び基地局間で伝送される通信信号が受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする請求項4記載の通信システム。
【請求項6】
前記パスロス更新手段は、通信信号が送信された時のソース装置の送信電力測定値から、ソース装置及び中間装置間で伝送される通信信号の受けるパスロスの測定値を判定する
ことを特徴とする請求項5記載の通信システム。
【請求項7】
マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法であって、前記通信システムはソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するステップ;
ii)前記インジケータの変化を検出するステップ;
iii)前記変化の検出後に、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;
を有し、該新たな送信電力はa)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らす;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐことを特徴とする方法。
【請求項8】
マルチホップ通信システムで通信信号を送信する1以上の装置の送信電力を制御する方法であって、前記通信システムはソース装置、基地局及び少なくとも1つの中間装置を有し、ソース装置は通信信号を中間装置を介して基地局に送信し、当該方法は:
i)基地局で又は中間装置で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを、基地局及び中間装置各々で導出するステップ;
ii)基地局で導出されたインジケータ及び中間装置で導出されたインジケータの間の不均衡を検出するステップ;
iii)前記変化の検出後に、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算するステップ;
を有することを特徴とする方法。
【請求項9】
少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局であって:
i)当該基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;又は
ii)インジケータ導出手段により導出された或るインジケータの変化を検出するインジケータ変化検出手段;
iii)前記変化の検出後に、中間装置の新たな送信電力、又は中間装置及びソース装置の新たな送信電力を計算する第1計算手段を有する制御手段;
を有し、前記新たな送信電力は、a)中間装置で受信された通信信号の品質の測定値と基地局で受信された通信信号の品質の測定値との間の不均衡を実質的に減らし;又はb)生じている不均衡を実質的に防ぐことを特徴とする基地局。
【請求項10】
少なくとも1つの中間装置を介してソース装置から送信された通信信号を受信する基地局であって:
i)当該基地局で受信された通信信号の品質の1以上のインジケータを導出するインジケータ導出手段;
ii)中間装置で受信された通信信号の品質を表す1以上のインジケータを中間装置から受信する受信手段;
iii)当該基地局で導出された或るインジケータと中間装置から受信された或るインジケータとの間の不均衡を検出する不均衡検出手段;及び
iv)不均衡の検出に続いて、不均衡を実質的に減らすソース装置の新たな送信電力を計算する第2計算手段を有する制御手段;
を有することを特徴とする基地局。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公開番号】特開2006−352890(P2006−352890A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167984(P2006−167984)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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