説明

通信システムおよび通信装置

【課題】太陽電池発電の出力抑制をより高い信頼性で制御可能とする。
【解決手段】実施形態の通信システムは、発電装置の発電出力を予め定められた電圧に変換する変換装置と、発電出力を制御するための制御情報を受信する通信装置とを備える。通信装置は、制御情報が第1の周波数で放送された信号を受信し、受信した信号の周波数を第1の周波数から第2の周波数に変換する。通信装置は、周波数が第2の周波数に変換された信号を発電出力に対して重畳して、変換装置に供給する。変換装置は、通信装置から供給された発電出力から、発電出力に重畳された第2の周波数に変換された信号を分離して、分離した信号から制御情報を抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、通信システムおよび通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各家庭などに設置された太陽電池パネルの出力を分配して、電力を効率的に利用するようにした太陽光発電システムが普及している。このような太陽光発電システムでは、太陽光発電による電力が需要電力を上回ることによる余剰電力の発生を抑制する必要がある。
【0003】
太陽光発電システムにおける出力抑制方法として、パワーコンディショナ(PCS)によるカレンダ情報に基づく出力抑制機能と共に、双方向通信を活用した出力抑制が提案されている。すなわち、制御センタと各太陽電池パネルの制御装置との間で通信を行い、各太陽電池パネルの出力抑制を制御センタから制御する。
【0004】
このときの通信方法として、例えば下記の4通りが提案されている。
(1)PCSに無線通信装置を搭載し、制御センタからこの無線通信装置に対して直接的に通信を行う。
(2)各太陽電池パネルに対して新たな通信装置を導入し、この通信装置を経由して制御センタとの通信を行う。
(3)使用電力を可視化する電力見える化システムや電力使用量の自動検針に適用されるスマートメータを用いた通信システムを経由して制御センタとの通信を行う。
(4)インターネットを経由して制御センタとの通信を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】資源エネルギー庁 電力・ガス事業部、「次世代送配電システム制度検討会第1ワーキンググループ第7回事務局資料」、online、平成22年12月17日、資源エネルギー庁 電力・ガス事業部、平成23年4月13日検索、インターネット(http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004671/007_03_00.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した(1)のPCSに搭載した無線通信装置を用いる方法では、無線通信の状態がPCSの設置場所に大きく依存してしまう。そのため、無線通信の信頼性がPCSの設置場所に依存し、それにより太陽電池パネルの出力制御の可否が決定されてしまうという問題点があった。
【0007】
(2)の、新たな通信装置を導入する方法では、上述の(1)の方法と同様に、太陽電池パネルの出力制御の可否が通信装置の設置場所に依存してしまうおそれがある。また、この方法では、当該通信装置からPCSまでの通信手段を別途、用意する必要があり、導入コストが嵩んでしまうという問題点があった。
【0008】
(3)の、スマートメータを利用する方法では、PCSとスマートメータとを共に導入する必要があり、導入コストが嵩んでしまうという問題点があった。さらに、(4)の、インターネットを利用する方法では、太陽電池パネルの利用環境に必ずしもインターネット回線が用意されているとは限らず、導入コストが嵩んでしまうおそれがあるという問題点があった。
【0009】
本発明の実施形態によれば、太陽電池発電の出力抑制をより高い信頼性で制御可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施の形態通信システムは、発電装置の発電出力を予め定められた電圧に変換する変換装置と、発電出力を制御するための制御情報を受信する通信装置とを備える。通信装置は、制御情報が第1の周波数で放送された信号を受信し、受信した信号の周波数を第1の周波数から第2の周波数に変換する。通信装置は、周波数が第2の周波数に変換された信号を発電出力に対して重畳して、変換装置に供給する。変換装置は、通信装置から供給された発電出力から、発電出力に重畳された第2の周波数に変換された信号を分離して、分離した信号から制御情報を抽出する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る通信システムの構成の概略図。
【図2】第1の実施形態に係る送信システムの通信装置のブロック図。
【図3】第1の実施形態に係る受信システムのブロック図。
【図4】第1の実施形態に係る通信装置のより詳細なブロック図。
【図5】第1の実施形態に係る変換装置のより詳細なブロック図。
【図6】通信装置の電源の取得方法を説明するためのブロック図。
【図7】第1の実施形態の各変形例に係る無線処理部のブロック図。
【図8】第1の実施形態の各変形例に係るアナログ処理部のブロック図。
【図9】標準電波における通常時のタイムコードの1情報周期分を示す略線図。
【図10】第2の実施形態の変形例に係る出力抑制通知フォーマットの略線図。
【図11】第3の実施形態に係る通信システムの概略図。
【図12】報知情報を説明するための略線図。
【図13】第4の実施形態に適用可能な送信システム側の通信装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る通信システムの一例の構成を概略的に示す。通信システムは、送信システム1と受信システム2とを含む。通信システムは、図1に示されるように、複数の受信システム2、2、…を含むことができる。送信システム1は、互いにネットワーク11で接続される制御装置10と通信装置12とを含む。制御装置10は、複数の受信システム2、2、…を含む太陽光発電システムに対して発電出力の抑制を行うか否かを示す出力抑制通知を生成して、ネットワーク11を介して通信装置12に対して送信する。通信装置12は、受信した出力抑制通知を、既存システムの放送信号に含めてアンテナ13から無線送信により放送する。
【0013】
制御装置10は、太陽光発電システムと、火力発電など他の大規模発電システムとによる発電量を制御する。例えば、制御装置10は、太陽光発電システムの発電により余剰電力が発生するような場合に、太陽光発電システムに対して発電出力の抑制を行うことを示す出力抑制通知を生成する。
【0014】
なお、送信システム1において、制御装置10および通信装置12は、ネットワーク11で接続されるものに限られない。例えば、制御装置10および通信装置12を一体的に構成することも可能である。また、ネットワーク11は、有線でも無線でも構わない。
【0015】
受信システム2は、通信装置22、変換装置23および発電装置24を含む。通信装置22は、送信システム1の通信装置12により放送された放送電波を、アンテナ21により受信する。通信装置22は、受信した放送電波から出力抑制通知を抽出し、変換装置23に供給する。発電装置24は、電力を発電して発電出力を変換装置23に送る。発電装置24は、例えば、照射された光に応じて発電する太陽電池パネルである。
【0016】
変換装置23は、発電装置24から送られた発電出力を直流から交流に変換すると共に、予め定められた電圧に調整し、外部に出力する。変換装置23の出力は、例えば電源として各種の電気機器に供給される。また、変換装置23は、通信装置22から供給された出力抑制通知に従い、発電出力の外部への出力を抑制する。一例として、変換装置23は、出力抑制通知が出力抑制を行うことを示している場合には、発電出力の外部への出力を停止する。一方、出力抑制通知が出力抑制を行わないことを示している場合には、交流に変換された発電出力を外部に出力する。
【0017】
図2は、図1で示した送信システム1における通信装置12の一例の構成を示す。なお、図2において、上述した図1と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。通信装置12は、出力抑制制御部100、データ生成部101、信号処理部102および無線処理部103を有する。
【0018】
データ生成部101は、図示されない他の装置などから供給されたデータに基づき、この通信システムに適用される放送の方式に従った送信データを生成する。信号処理部102は、データ生成部101で生成された送信データに対して、放送を行うために必要な所定の信号処理を施す。例えば、信号処理部102は、当該送信データに対して誤り検出符号の付加、誤り訂正符号化、参照信号挿入および変調などの信号処理を施す。
【0019】
無線処理部103は、信号処理部102でこれらの処理を施された送信データに対して、この通信システムに適用される放送の方式に従った無線信号処理を施す。例えば、無線処理部103は、当該送信データに対して、D/A変換、直交変換、周波数変換(アップコンバート)、帯域制限および電力増幅といった無線信号処理を施す。無線処理部103で送信データに対して無線信号処理を施された送信信号は、アンテナ13により電波として放送される。
【0020】
通信装置12において、出力抑制制御部100は、制御装置10よりネットワーク11を介して送信された出力抑制通知を受信して、送信データまたは送信信号に含める。例えば、出力抑制制御部100は、出力抑制通知を、例えばデータ生成部101に供給して送信データに挿入する。これに限らず、出力抑制制御部100は、出力抑制通知を信号処理部12に供給し、送信信号に重畳させることもできる。
【0021】
なお、本第1の実施形態において、放送の方式は、既存システムの放送方式を利用することができる。出力抑制通知は、例えば、既存システムの放送方式におけるデータフォーマットに規定される空き領域に挿入することができる。また、出力抑制通知を変調して、既存システムの放送信号に重畳することも可能である。
【0022】
図3は、受信システム2の一例の構成を示す。なお、図3において、上述の図1と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、図3において、実線の矢印はデータ(情報)の流れを示し、点線の矢印は発電出力(電力)の流れを示す。受信システム2において、通信装置22は、無線処理部220および重畳部221を有する。また、変換装置23は、分離部230、変換部231、信号処理部232および制御部233を有する。
【0023】
発電装置24で発電された直流電圧による発電出力は、電線を介して通信装置22に入力され、重畳部221に供給される。
【0024】
通信装置22において、無線処理部220は、電波がアンテナ21で受信されることにより生成された信号に対して、帯域制限、電力増幅および周波数変換(ダウンコンバート)などの所定の無線信号処理を施して、受信信号を生成する。重畳部221は、無線処理部220で生成された受信信号を、発電装置24から供給された発電出力に対して重畳する。受信信号が重畳された発電出力は、電線を介して変換装置23に供給される。
【0025】
変換装置23において、通信装置22から供給された、受信信号が重畳された発電出力が入力され、分離部230に供給される。分離部230は、供給された発電出力から、当該発電出力に対して重畳された受信信号を分離して、信号処理部232に供給する。また、分離部230は、受信信号が分離された発電出力を、変換部231に供給する。
【0026】
信号処理部232は、分離部230から供給された受信信号に対して、所定の復調処理、誤り訂正符号の復号処理などを施し、制御部233に供給する。制御部233は、信号処理部232から供給された信号から出力抑制通知を抽出する。そして、制御部233は、抽出した出力抑制通知に従い変換部231を制御して、発電出力の出力抑制を行う。
【0027】
図4は、通信装置22の一例の構成をより詳細に示す。アンテナ21が電波を受信することで生成された受信信号に対し、バンドパスフィルタ(BPF)222により帯域制限を施し、アンプ223により電力増幅を行う。アンプ223から出力された受信信号は、混合器224により、発振器225から出力された所定周波数の信号と混合された後、ローパスフィルタ(LPF)226により高周波数成分を制限され、周波数変換される。
【0028】
一例として、アンテナ21から出力される受信信号の周波数を周波数f1、発振器225から出力される信号の周波数を周波数f2とし、f1>f2とする。アンプ223で電力増幅された周波数f1の受信信号が、混合器224で周波数f2の信号と混合され、さらにLPF226で高周波数成分を制限されて、周波数f3=f1−f2の信号が得られる。一例として、周波数f1=2.5GHz、周波数f2=2.48GHzとすると、周波数変換された受信信号は、周波数f3=20MHzとなる。
【0029】
この周波数f3に変化された受信信号は、アンプ227で電力増幅され、重畳部221に供給される。重畳部221は、無線処理部220から供給された、周波数f3に周波数変換された受信信号を、発電装置24から供給される、直流電圧による発電出力に重畳する。図4の例では、重畳部221は、トランス228を用いて、発電出力に対して受信信号を重畳している。受信信号が重畳された発電出力は、電線を介して変換装置23に供給される。
【0030】
図5は、変換装置23の一例の構成をより詳細に示す。重畳部221から供給された、受信信号が重畳された発電出力が分離部230に入力される。分離部230は、発電出力から受信信号を分離して、信号処理部232に供給する。図5の例では、分離部230は、トランス240を用いて発電出力から受信信号を分離している。
【0031】
なお、発電出力から分離された受信信号の周波数は、上述したように、周波数f3である。ここで、受信信号が重畳された発電出力の信号品質が、通信装置22および変換装置23の設置環境によって変化することが考えられる。そのため、例えば、分離部230において良好な品質で受信信号を分離可能なように、発電出力に重畳する受信信号の周波数f3、すなわち発振器225における周波数f2を決めると、好ましい。
【0032】
信号処理部232において、分離部230から供給された周波数f3の受信信号がBPF241に入力されて帯域制限され、アンプ242で電力増幅される。アンプ242から出力された受信信号は、混合器243により、発振器244から出力された周波数f3の信号と混合された後、ローパスフィルタ(LPF)245により高周波数成分を制限され、ベースバンド信号が生成される。
【0033】
このベースバンド信号は、アンプ246で電力増幅されA/D変換器247でデジタル信号に変換され、デジタル部248に供給される。デジタル部248は、ベースバンド信号から変換されたデジタル信号に対して、送信システム1側において信号処理部102で施された処理に対応する復調処理、誤り訂正符号の復号処理などを施し、元のデジタルデータを復元する。デジタル部248は、さらに、この復元したデジタルデータから出力抑制通知を抽出する。
【0034】
上述したように、本第1の実施形態によれば、送信システム1において、発電装置24の発電出力を制御するための出力抑制通知を、既存システムによる放送信号に含めて放送する。受信システム2側では、出力抑制通知が含まれて放送された放送電波を受信し、この受信信号に対して周波数変換を施す。そして、周波数が変換された受信信号を発電装置24による発電出力に重畳して、電線を介して変換装置23に供給するようにしている。
【0035】
このように、本第1の実施形態では、受信システム2側において、出力抑制通知が含まれる放送電波を受信する通信装置22と、発電装置24の発電出力に対する変換処理を行う変換装置23とが分離されている。そのため、本第1の実施形態を適用することで、受信システム2側において、発電装置24や変換装置23の設置環境に関わらず、出力抑制通知を安定的に変換装置23に対して送信することが可能となる。例えば、通信装置22を発電装置24と共に屋根の上などに設置し、変換装置23を屋内に設置することも可能である。また、出力抑制通知の放送を既存システムを用いて行っているため、簡易なシステムで発電電力の出力抑制を制御することができる。
【0036】
なお、通信装置22は、電源が供給されることで稼働される。通信装置22に供給するための電源は、商用電源から取得するものに限らず、例えば発電装置24で発電された発電出力を当該電源として用いることが可能である。発電装置24の発電出力を通信装置22の電源として利用することで、通信装置22の設置に際する電力消費を抑えることができる。
【0037】
図6(a)および図6(b)は、通信装置22の電源を発電装置24の発電出力から取得する際の構成の例を示す。なお、図6(a)および図6(b)において、上述の図3と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0038】
図6(a)は、通信装置22aにおいて、電源部260が、重畳部221にて発電出力の電力伝送経路から取り出された電力から、無線処理部220に供給する電源を生成する例を示す。なお、電源部260は、発電装置24の発電量が少ない場合、出力抑制通知の受信を不要と判断し、無線処理部220に対する電源供給を行わないように制御することができる。
【0039】
図6(b)は、通信装置22bにおいて、電源部261が、重畳部221にて発電出力の電力伝送経路から取り出された電力の一部を蓄電部262に蓄電するようにした構成の例を示す。電源部261は、発電出力の電力伝送経路から取り出した電力と、蓄電部262に蓄電された電力とのうち少なくとも一方を用いて、無線処理部220に供給する電源を生成する。この場合、電源部261は、発電装置24の発電量が少ない場合、出力抑制通知の受信を不要と判断し、無線処理部220に対する電源供給を行わないよう制御しても構わない。
【0040】
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、本第1の実施形態の第1の変形例について説明する。図7(a)は、本第1の変形例による無線処理部220aの一例の構成を示す。無線処理部220aは、アナログ処理部300、A/D変換部301、等化部302、D/A変換部303およびアナログ処理部304を有する。
【0041】
図8は、アナログ処理部300の一例の構成を示す。なお、図8において、上述した図4と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。図8に示されるように、アナログ処理部300では、アンプ223から出力される周波数f1の受信信号に対して、混合部224にて発振器250から出力された周波数f1の信号を混合する。この混合部224の出力に対してLPF226により高周波数成分を制限することで、ベースバンド信号が生成される。このベースバンド信号をアンプ227で電力増幅して出力する。
【0042】
図7(a)の説明に戻り、アナログ処理部300から出力されたベースバンド信号は、A/D変換部301でデジタル信号に変換され、等化部302により無線伝送により生じた歪みを等化され、D/A変換部303により再びアナログ信号に変換される。D/A変換部303から出力されたベースバンド信号は、アナログ処理部304において、周波数が上述した周波数f3に変換され、帯域制限および電力増幅など所定のアナログ信号処理を施される。アナログ処理部304の出力が、重畳部221に供給され、発電出力に対して重畳される。
【0043】
上述の第1の実施形態では、無線処理部220において、アンテナ21から出力された受信信号に対し、周波数変換のみを行って重畳部221に供給していた。これに対し、本第1の変形例では、上述のように、アンテナ21から出力された受信信号から一旦ベースバンド信号を生成し、このベースバンド信号をA/D変換して等化し、その後、再びD/A変換してアナログ信号に戻して発電出力に重畳している。そのため、発電出力に重畳する信号の信頼性を向上させることができる。
【0044】
(第1の実施形態の第2の変形例)
次に、本第1の実施形態の第2の変形例について説明する。図7(b)は、本第2の変形例による無線処理部220bの一例の構成を示す。なお、図7(b)において、上述した図7(a)と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。図7(b)に示されるように、本第2の変形例による無線処理部220bは、上述の第1の変形例による無線処理部220aに対して、等化部302の代わりに、復調部310および変調部311を設けている。
【0045】
すなわち、アナログ処理部300から出力されたベースバンド信号がA/D変換部301でデジタル信号に変換され、復調部310において、信号処理部102による変調処理に対応する復調処理を施される。復調部310で復調されたデジタル信号は、変調部311において、送信符号化処理を施されて再び変調される。変調部311で変調された信号は、D/A変換部303でアナログ信号に変換される。このアナログ信号は、アナログ処理部304において、周波数f3の信号に変換され、帯域制限および電力増幅など所定のアナログ信号処理を施され、重畳部221に供給される。
【0046】
このように、本第2の変形例では、上述のように、アンテナ21から出力された受信信号から一旦ベースバンド信号を生成し、このベースバンド信号をA/D変換して復調し、その後、復調された信号に対して送信符号化処理を施し再び変調してD/A変換しアナログ信号に戻して発電出力に重畳している。そのため、発電出力に重畳する信号の信頼性を向上させることができる。
【0047】
(第1の実施形態の第3の変形例)
次に、本第1の実施形態の第3の変形例について説明する。図7(c)は、本第3の変形例による無線処理部220cの一例の構成を示す。なお、図7(c)において、上述した図7(b)と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。図7(c)に示されるように、本第3の変形例による無線処理部220cは、上述の第2の変形例による無線処理部220bに対して、復調部310と変調部311との間に、復号部320が追加されている。
【0048】
すなわち、アナログ処理部300から出力されたベースバンド信号がA/D変換部301でデジタル信号に変換され、復調部310において、信号処理部102による変調処理に対応する復調処理を施される。復調部310で復調されたデジタル信号は、復号部320で信号処理部102により符号化された誤り訂正符号を復号されて誤り訂正される。誤り訂正されたデジタル信号は、変調部311で所定の方式で以て再び変調され、D/A変換部303でアナログ信号に変換される。このアナログ信号は、アナログ処理部304において、周波数f3の信号に変換され、帯域制限および電力増幅など所定のアナログ信号処理を施され、重畳部221に供給される。
【0049】
このように、本第3の変形例では、アンテナ21から出力された受信信号に基づくデジタル信号に対して誤り訂正処理を施し、その後、再び変調処理などを施して発電出力に重畳するようにしている。そのため、発電出力に重畳する信号の信頼性を、より向上させることができる。
【0050】
(第1の実施形態の第4の変形例)
次に、本第1の実施形態の第4の変形例について説明する。図7(d)は、本第1の実施形態の第4の変形例による無線処理部220dの一例の構成を示す。なお、図7(d)において、上述した図7(c)と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。図7(d)に示されるように、本第3の変形例による無線処理部220dは、上述の第3の変形例による無線処理部220cに対して、復号部320と変調部311との間に、プロトコル処理部330が追加されている。
【0051】
すなわち、アナログ処理部300から出力されたベースバンド信号がA/D変換部301でデジタル信号に変換され、復調部310において、信号処理部102による変調処理に対応する復調処理を施される。復調部310で復調されたデジタル信号は、復号部320で信号処理部102により符号化された誤り訂正符号を復号されて誤り訂正される。
【0052】
プロトコル処理部330は、復号部320で誤り訂正されたデジタル信号に基づき所定のプロトコルに従い送信データを生成する。このとき、プロトコル処理部330は、送信システム1と受信システム2との間での放送に適用されるプロトコルとは異なるプロトコルに基づいて送信データを生成するようにしてもよい。プロトコルを変換することで、変換装置23における処理をより柔軟に行うことが可能となる。
【0053】
プロトコル処理部330で生成された送信データは、変調部311で所定の方式で以て再び変調され、D/A変換部303でアナログ信号に変換される。このアナログ信号は、アナログ処理部304において、周波数f3の信号に変換され、帯域制限および電力増幅など所定のアナログ信号処理を施され、重畳部221に供給される。
【0054】
このように、本第4の変形例では、アンテナ21から出力された受信信号に基づくデジタル信号に対して誤り訂正処理を施し、その後、プロトコル処理部330により所定のプロトコルに従い送信データを生成し、この送信データに対して再び変調処理などを施して発電出力に重畳するようにしている。そのため、発電出力に重畳する信号の信頼性を向上させることができると共に、発電出力から分離した信号に対する処理をより柔軟に行うことができる。
【0055】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る通信システムについて説明する。なお、本第2の実施形態において、通信システムに含まれる送信システム1および受信システム2の構成は、上述した第1の実施形態による送信システム1および受信システム2の構成を略そのまま適用できるので、処理が共通する部分については、ここでの詳細な説明を省略する。
【0056】
本第2の実施形態では、出力抑制通知を、既存の超広域の同報型無線システムを用いて送信することで、出力抑制通知の放送を行う。例えば、当該同報型無線システムの1情報周期に、格納する情報が定義されていない空き領域が存在する場合に、その空き領域に対して出力抑制通知を挿入する。
【0057】
超広域の同報型無線システムとしては、所定周期で標準時刻情報を放送する、標準電波システムを適用することができる。標準電波システムは、原子時計を用いて正確な時間の情報を正確な周波数で以て放送するシステムである。
【0058】
標準電波システムで放送される標準電波は、国内では、東北地方および九州地方の2箇所から、長波帯(それぞれ周波数が40kHzおよび60kHz)の電波を用いて、時刻に関する情報としてタイムコードを常時送信している。標準電波により送信されるタイムコードは、通常時(毎時15分、45分以外)のタイムコードと、呼出符号送出時(毎時15分、45分)のタイムコードとがある。本第2の実施形態では、将来の拡張性のために格納する情報が定義されていない予備ビットが設けられている、通常時のタイムコードを用いて、出力抑制通知を放送する。
【0059】
図9は、標準電波における通常時のタイムコードの1情報周期分の例を示す。タイムコードは、1周期の先頭マーカMの時刻を、2進数を用いて符号化して表現される。ポジションマーカP0は、通常(非うるう秒時)は、59秒の立ち上がりに対応し、ポジションマーカP1〜5は、それぞれ9秒、19秒、29秒、39秒、49秒の立ち上がりに対応する。時間情報は、先頭マーカMの直後から、分、時、1月1日からの通算日、年(西暦下2桁)、曜日、うるう秒の順に送信される。マーカM、P0〜P5、ならびに、2進数の「0」および「1」は、パルス幅により識別される。図9は、「2004年92日(4月1日)17時25分木曜日、1ヶ月以内にうるう秒無し」の例を示していることが分かる。
【0060】
通常時のタイムコードにおいて、ポジションマーカP4の前後の1ビット、合計2ビットが予備ビットとされている。出力抑制通知は、発電装置24による発電出力を抑制するか否かを制御するための通知なので、少なくとも1ビットがあれば表現可能である。そこで、この2ビットの予備ビットのうち少なくとも一方を、出力抑制通知を示すビットに割り当てる。
【0061】
一例として、図1および図2に示される通信装置12を、標準電波の送信所における送信装置に対応させることができる。例えば、通信装置12において、原子時計の出力がデータ生成部101に供給される。データ生成部101は、供給された原子時計の出力に基づき、図9に示すタイムコードを生成する。その際、データ生成部101は、制御装置10からネットワーク11を介して送信された出力抑制通知を、出力抑制制御部100の制御により予備ビットの位置に挿入する。出力抑制通知は、タイムコードに対して1周期毎に挿入する。
【0062】
なお、標準電波の受信およびタイムコードの解析は、一般家庭などでも用いられる電波時計用のモジュールなどで実行可能であり、入手および利用は容易である。例えば、図3に示した変換装置23内の制御部233に対して電波時計用のモジュールの機能を持たせ、信号処理部232から供給された信号を解析して、通常時のタイムコードにおける予備ビットの位置の値を抽出する。制御部233は、抽出された値に従い変換部231を制御し、発電出力の出力抑制を行う。
【0063】
また、上述したように、標準電波は、周波数が数10kHzの長波帯を用いて送信される。一方、受信システム2において通信装置22から変換装置23に発電出力を伝送する電線に重畳するための信号の周波数は、数10kHzから数10MHzが適当であるとされている。そのため、図4を参照し、無線処理部220において、混合器224、発振器225およびローパスフィルタ(LPF)226による周波数変換を行わなくてもよく、また、発振器225から出力される信号の周波数f2を数10MHzとして、生成された周波数f3の信号を、重畳部221で発電出力に対して重畳してもよい。
【0064】
このように、本第2の実施形態によれば、既存システムを用いて広範囲に出力抑制通知を放送でき、受信側の構成も既存システムによる構成を利用することができるため、各発電装置24の発電出力の抑制制御を、より低コストで実現することができる。
【0065】
(第2の実施形態の変形例)
次に、上述した第2の実施形態の変形例について説明する。上述の第2の実施形態では、標準電波のタイムコードに対して、1情報周期毎に出力抑制通知を挿入したが、これはこの例に限定されない。本第2の実施形態の変形例では、複数の情報周期分の予備ビットを用いて、出力抑制通知を送信するためのフォーマット(出力抑制通知フォーマットと呼ぶ)を定義し、当該出力抑制通知フォーマットに従い出力抑制通知を送信する。なお、ここでは、出力抑制通知は、発電出力の出力抑制の可否を示す情報と、当該情報に関連する情報とを含んで構成されるものとする。
【0066】
図10を用いて、出力抑制通知フォーマットの一例について説明する。図10(a)に例示されるように、1情報周期内に2つの予備ビット500および501が含まれるものとする。図10(b)に示されるように、M/2情報周期(Mは1以上の整数)に含まれるM個の予備ビット500、501、502、…、50M-1によるMビットで、1制御周期のフレームを構成する(図10(c))。このフレームに対して所定ビット数毎にフィールドを割り当てて、各フィールドに対して、出力抑制通知を構成する各情報を格納する。
【0067】
図10(d)の例では、出力抑制通知フォーマットとしてHDLC(High-Level Data Link Control)のフレーム構造を適用させている。このように、既存のフレーム構造を用いることで、システムの開発コストなどを削減可能である。勿論、これに限らず、独自のフォーマットを用いてもよい。
【0068】
図10(d)を参照して、30情報周期分、ビット長60ビットを1制御周期のフレームとして、先頭から8ビットずつ「フラグ」、「アドレス」、「コントロール」および「会社ID」を配し、次の10ビットに「地域ID」を配する。「地域ID」の次の2ビットを出力抑制通知による「抑制指示」を配する。そして、最後に、16ビットのビット長で誤り検出符号を配する。誤り検出符号としては、CRC(Cyclic Redundancy Check)やチェックサムなどを用いることができる。
【0069】
「フラグ」は、1制御周期の先頭を示す同期ビットであって、特定のビットパターンが用いられる。「アドレス」は、送信先のアドレスを示す。「コントロール」は、特定の機能の制御に用いることができる。「会社ID」は、例えば送信元の電力会社を識別する識別情報である。「地域ID」は、この出力抑制通知の通知対象となる地域を識別する識別情報である。「抑制指示」は、発電装置24の発電出力の抑制制御を行うための情報であり、発電出力を抑制するか否かを示す。なお、これらのうち、「アドレス」および「コントロール」は、本第2の実施形態の変形例では省略することができる。
【0070】
これらの情報は、送信システム1における制御装置10で生成され、ネットワーク11を介して通信装置12に入力され、出力抑制制御部100に供給される。出力抑制制御部100は、上述した出力抑制通知フォーマットに従い、制御装置10から供給された各情報から出力抑制通知を生成する。一方、データ生成部101は、供給された原子時計の出力に基づき、図9に示すタイムコードを生成する。このとき、出力抑制制御部100は、生成された出力抑制通知を先頭から2ビットずつ取り出してデータ生成部101に渡す。データ生成部101は、渡された2ビットのデータを、タイムコードの予備ビットの位置に挿入する。
【0071】
このように、多くの予備ビットを用いて出力抑制通知を送信することで、電力会社毎、地域毎などより細かな単位で発電出力の抑制制御を行うことができる。「アドレス」および「コントロール」をさらに用いることで、各受信システム2に対してそれぞれ出力抑制通知を送信するようにもできる。
【0072】
上述の標準電波システムの例では、1情報周期が1分であるので、例えば受信システム2側では、制御部233において、タイムコードから予備ビットを抽出してレジスタなどに保持しておき、「フラグ」に示される同期ビットを検出する。検出された同期ビットから所定ビット数分(図10(d)の例では52ビット)の予備ビットが抽出されレジスタに保持された時点で誤り検出符号を用いて誤り検出を行う。
【0073】
誤りが検出されなければ、制御部233は、「会社ID」および「地域ID」に基づき自身が含まれる受信システム2が出力抑制対象であるか否かを判定する。なお、受信システム2は、自身の「会社ID」および「地域ID」を、予めROM(Read Only Memory)などに記憶して保持しているものとする。制御部233は、当該受信システム2が受信した信号による出力抑制対象であると判定した場合に、抑制指示に従い変換部231を制御して、発電出力の抑制制御を行う。
【0074】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、本第3の実施形態において、通信システムに含まれる送信システム1および受信システム2の構成は、上述した第1の実施形態による送信システム1および受信システム2の構成を略そのまま適用できるので、処理が共通する部分については、ここでの詳細な説明を省略する。
【0075】
本第3の実施形態では、出力抑制通知を、既存の広域無線システムを用いて送信することで、出力抑制通知の放送を行う。例えば、当該同報型無線システムの1情報周期に、格納される情報が定義されていない空き領域が存在する場合に、その空き領域に対して出力抑制通知を挿入する。
【0076】
既存の広域無線システムとしては、携帯電話などの移動体端末による無線通信に用いられる通信システム(以下、移動体通信システムと呼ぶ)を用いることができる。このような移動体通信システムでは、所定の範囲を通信エリアとする基地局と、当該通信エリア内に存在する通信端末との間で無線通信が行われる。したがって、上述した図1を参照すると、基地局を送信システム1における通信装置12とし、通信端末を受信システム2における通信装置22として考えることができる。
【0077】
図11は、本第3の実施形態による、移動体通信システムを用いた通信システムの例を概略的に示す。なお、図11において、上述の図1と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。送信システム1(図示しない)において、制御装置10と通信装置12、12、…とがネットワーク11を介して接続される(図11では、煩雑さを避けるため一部の経路のみ記載している)。通信装置12、12、…は、それぞれ所定の通信エリア30a、30b、…を有する基地局である。各通信エリア30a、30b、…には、通信装置22、変換装置23および発電装置24を含む受信システム2、2、…が存在する。なお、図11において、通信エリア30aおよび30bを通信エリア群Aとし、通信エリア30cおよび30dを通信エリア群Bとする。
【0078】
このような移動体通信システムでは、各端末装置が移動体端末であることを前提に、各端末装置が基地局の位置を示す位置情報を取得するために、基地局は、報知情報の放送を周期的に行っている。各端末装置は、最も近い基地局から発信された報知情報を受信して当該基地局の位置情報を取得し、端末装置が含まれる通信エリアを知ることができる。本第3の実施形態では、この報知情報に対して出力抑制通知を挿入して、各受信システム2に対して出力抑制通知を放送する。
【0079】
図12(a)は、移動体通信システムにおいて、例えば通信方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)などのマルチキャリア通信を用いた場合の信号の例を示す。縦軸は周波数、横軸は時間を表す。情報は、時間軸方向に区切られたフレームを単位として、周期的に放送される。報知情報40は、各フレームにおいて、所定周波数および所定時間に送信される。出力抑制通知は、例えば値「1」で出力抑制を行うことを、値「0」で出力抑制を行わないことをそれぞれ示す1ビットの情報からなる。この出力抑制通知を、図12(b)に例示されるように、報知情報40において格納する情報が定義されていない領域に挿入する。
【0080】
例えば、通信装置12において、図示されない制御部からのデータに基づき報知情報40を生成する。このとき、データ生成部101は、制御装置10からネットワーク11を介して送信された出力抑制通知を、出力抑制制御部100の制御により報知情報40の所定位置に挿入する。出力抑制通知は、送信データの各フレーム毎に挿入する。また、出力抑制通知は、報知情報40に限らず、例えばページングと称される呼出情報に挿入してもよい。
【0081】
受信システム2側の処理は、一例として、通信装置22の無線処理部220に対して、既存の携帯電話端末のモジュールの機能を持たせる。そして、基地局(通信装置12)からの電波をアンテナ13で受信して得られた受信信号に対して、携帯電話端末のモジュール機能により復調、復号などの処理を施し、デジタル信号を得る。このデジタル信号を、発電出力に重畳するために適した周波数の信号に変調して重畳部221に供給し、発電装置24からの発電出力に重畳して変換装置23に伝送する。これに限らず、デジタル信号から報知情報40を抽出し、抽出された報知情報40のみに対して変調など所定の処理を施して重畳部221にて発電出力に対して重畳してもよい。
【0082】
変換装置23では、分離部230により、発電出力に重畳された信号を取り出して信号処理部232に供給する。信号処理部232は、供給された信号に対して復調などの所定の処理を施してデジタル信号を生成し、このデジタル信号を制御部233に供給する。制御部233は、信号処理部232から供給されたデジタル信号から報知情報40を抽出し、さらに、当該報知情報40から出力抑制通知を取り出す。そして、取り出した出力抑制通知に従い変換部231を制御して、発電出力の出力抑制を行う。
【0083】
なお、制御装置10は、各通信装置12(基地局)の通信エリア30a、30b、…毎に出力抑制の制御を行うことができる。例えば、制御装置10は、各通信装置12、12、…を識別する識別情報を出力抑制通知と共にネットワーク11に対して送信する。各通信装置12、12、…は、ネットワーク11を介して送信された出力抑制通知のうち、識別情報が自身と対応する出力抑制通知のみを受信し、報知情報40を生成する。
【0084】
また、制御装置10は、上述したように、各通信装置12(基地局)の通信エリア30a、30b、…毎ではなく、複数の通信装置12(基地局)の通信エリア毎に出力抑制を制御してもよい。図11の例では、2つの通信エリア30aおよび30bを含む通信エリア群Aと、異なる2つの通信エリア30cおよび30dを含む通信エリア群Bとに対し、それぞれ出力抑制の制御が行われる。
【0085】
このように、本第3の実施形態によれば、既存システムを用いて広範囲に出力抑制通知を放送でき、受信側の構成も既存システムの構成を利用することができるため、各発電装置24の発電出力の抑制制御を、より低コストで実現することができる。
【0086】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。なお、本第4の実施形態において、通信システムに含まれる送信システム1および受信システム2の構成は、上述した第1の実施形態による送信システム1および受信システム2の構成を略そのまま適用できるので、処理が共通する部分については、ここでの詳細な説明を省略する。
【0087】
本第4の実施形態では、出力抑制通知を、既存のデジタル放送システムを用いて送信することで、出力抑制通知の放送を行う。例えば、出力抑制通知を所定の方式で変調してデジタル放送システムによる放送電波に対して重畳して放送する。このとき、出力抑制通知を変調した信号の信号電力を、既存の放送電波の信号電力に対して所定の比率以下として、既存システムによる放送電波の受信処理を妨げないようにする。
【0088】
本第4の実施形態に適用可能な既存のデジタル放送システムとして、地上デジタル放送がある。地上デジタル放送は、番組の、所定の方式で圧縮符号化された映像データおよび音声データや、番組に付随するデータなどをOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を用いて変調および多重化して、放送電波として送信する。このとき、出力抑制通知を変調して、地上デジタル放送による放送電波に重畳して送信する。
【0089】
図13は、本第4の実施形態に適用可能な、送信システム1側の通信装置12の一例の構成を示す。なお、図13において、上述の図2と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。通信装置12において、信号処理部102は、第1変調部200、第2変調部201および加算器202を有する。この通信装置12は、例えば、地上デジタル放送における送信設備(図示しない)の一部として構成できる。
【0090】
図示されない放送局において、番組の映像データおよび画像データなどが所定の方式で圧縮符号化されて、番組に関連する付随データなどと共に多重化されて、プログラムストリームが生成される。このプログラムストリームは、トランスポートストリーム(TS)によるTSパケットに所定単位毎に詰め込まれて、他のチャンネルのプログラムストリームと多重化されてトランスポートストリームが生成される。このトランスポートストリームが通信装置12に入力される。
【0091】
通信装置12に入力されたトランスポートストリームは、送信データとして、データ生成部101を介して第1変調部200に供給される。第1変調部200は、供給された送信データに対して誤り訂正符号化、参照信号の挿入、ならびに、変調などの所定の信号処理を行い、送信信号210を生成する。地上デジタル放送の場合、変調方式としては、マルチキャリア変調の一つであるOFDMが適用される。送信信号210は、加算器202に入力される。
【0092】
なお、図13において、送信信号210、ならびに、後述する放送信号211および出力抑制信号212は、それぞれ縦軸が信号強度P、横軸が周波数fを示す。
【0093】
一方、制御装置10は、出力抑制通知を生成してネットワーク11を介して通信装置12に送信する。通信装置12に受信された出力抑制通知は、出力抑制制御部100を介して第2変調部201に供給される。第2変調部201は、供給された出力抑制通知に対して、誤り訂正符号化、参照信号の挿入、ならびに、変調などの所定の信号処理を行い、出力抑制信号212を生成する。出力抑制信号212は、加算器202に入力され、送信信号210に対して重畳される。加算器202で送信信号210に出力抑制信号212が重畳された放送信号211は、無線処理部103で所定の処理を施され、アンテナ13から放送電波として送信される。
【0094】
ここで、図13に例示されるように、第2変調部201は、出力抑制信号212を、単位周波数当たりの信号電力が、第1変調部200が生成する送信信号210の単位周波数当たりの信号電力に対して所定の比率以下となるように生成する。例えば、出力抑制信号212の信号電力を、地上デジタル放送を受信するテレビジョン受像機における、放送信号211に対する復調、復号などの処理の妨げにならない程度の信号電力とする。
【0095】
第2変調部201における所定の変調方式は、直接拡散方式に代表されるスペクトラム拡散方式が用いて好適である。受信システム2の通信装置22において、無線処理部220は、スペクトラム拡散により周波数帯域に拡散された出力抑制信号212を逆拡散する。出力抑制信号212を逆拡散することで、当該出力抑制信号212の単位時間当たりの信号電力を、第1変調部200で変調された送信信号210の単位時間当たりの信号電力よりも大きくすることができる。したがって、第2変調部201における変調の際に、出力抑制信号212の単位時間当たりの信号電力を、第1変調部200により変調された送信信号210の単位時間当たりの信号電力に対して所定の比率以下とした場合であっても、出力抑制信号212を正しく抽出することができる。
【0096】
このように、本第4の実施形態によれば、既存システムを用いて広範囲に出力抑制通知を放送でき、受信側の構成も既存システムの構成を利用することができるため、各発電装置24の発電出力の抑制制御を、より低コストで実現することができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 送信システム
2 受信システム
10 制御装置
11 ネットワーク
12,22 通信装置
13,21 アンテナ
23 変換装置
24 発電装置
40 報知情報
100 出力抑制制御部
101 データ生成部
102 信号処理部
103,220 無線処理部
221 重畳部
230 分離部
231 変換部
232 信号処理部
233 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置の発電出力を予め定められた電圧に変換する変換装置と、
前記発電出力を制御するための制御情報が第1の周波数で放送された信号を受信し、受信した該信号の周波数を該第1の周波数から第2の周波数に変換し、周波数が該第2の周波数に変換された該信号を前記発電出力に重畳し、該信号を重畳した該発電出力を前記変換装置に供給する通信装置と
を備え、
前記変換装置は、
前記通信装置から供給された前記発電出力から、該発電出力に重畳された前記第2の周波数に変換された信号を分離して、該信号から前記制御情報を抽出する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記制御情報は、標準電波に規定される予備ビットの位置に挿入されて放送される
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記制御情報は、移動体端末と基地局との間で無線通信を行う移動体通信システムにおいて該基地局の位置を示す位置情報を報知するための報知情報に挿入されて放送される
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記制御情報は、単位周波数当たりの信号電力がデジタル放送システムによるデジタル放送信号の単位周波数当たりの信号電力に対して予め定められた比率以下となるように変調されて、該デジタル放送信号に重畳されて放送される
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
発電装置の発電出力を制御するための制御情報が第1の周波数で放送された信号をアンテナにて受信した受信信号の周波数を、該第1の周波数から第2の周波数に変換する無線処理部と、
前記無線処理部で前記第2の周波数に変換された受信信号を発電装置の発電出力に重畳し、該受信信号が重畳された該発電出力を、発電装置の発電出力を予め定められた電圧に変換する変換装置に対して出力する重畳部と
を有する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項6】
前記無線処理部は、
受信した信号の周波数を前記第2の周波数よりも低い第3の周波数に変換し、該第3の周波数の信号をデジタル信号に変換して復調し、復調された該デジタル信号を変調して該第3の周波数の信号に変換し、該信号の周波数を該第3の周波数から前記第2の周波数に変換し、
前記重畳部は、
前記無線処理部で周波数が前記第3の周波数から前記第2の周波数に変換された信号を前記発電出力に重畳する
ことを特徴とする請求項5に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−238940(P2012−238940A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104928(P2011−104928)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】